読切小説
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いつだって貴方の立っている方角が、私にとっての恵方だ!
 聞くところによると、今日は節分という日らしい。
 極東国由来の行事らしいのだが、ジパング人でない俺にはそれがどんなものなのか分からない。
 ということで、俺の嫁さんにして物知りなアオオニ、トーコさんに聞いてみた。

「なに。節分だと」
「トーコさん、知ってるの?」
「無論だ。私達鬼にも縁のある行事だからな」

 さすが、知能と策略に定評のあるアオオニ。細いメガネは伊達じゃあない。

「どういう行事なの?」
「うむ。その日は恵方巻きという、太いものを食べるのだ」

 なんだかよく分からないが、厄除けとか幸福祈願とか、そういう儀式なんだろうか。

「その恵方巻きって、何なの?」
「……」

 なぜかトーコさんは急に黙りこんでしまった。
 もしかして知ったかぶっているのかとも思ったが、どうもそうではないらしい。彼女のメガネの奥には至極嬉しそうな、作戦の成功を喜ぶ時と同じような色が浮かんでいたからだ。

「分からないか? 太くて、美味しいものだよ」

 そういえばさっきトーコさんは少しお酒を嗜んでいらっしゃったなあ、と思うと、急に俺は彼女に押し倒された。

「魔物が食べるぶっとい物って言ったら、これ以外に無いだろう? これからの幸せを祈って、たっぷり食べさせてもらうぞ」
「トーコさん、あなた酔ってますね!?」

 見た目こそスレンダーだが彼女とて鬼の一種、ただの男が腕力で太刀打ちできる筈は無い。
 いつものごとく、豪腕とそれに見合わぬ繊細な手つきで、あっという間に俺は下半身を丸裸にされてしまった。

「いいじゃないか。早速頂くぞ。恵方巻きを食べるときには、声を出してはいけないんだ」

 魔物と付き合って朝から晩までセックスばかり繰り返していると、ある種の条件反射が身につく。トーコさんに押し倒されたときにはもうすでに、俺の肉棒は硬くなっていた。
 太くなった男性器を彼女はにっこり笑い、そして口に含んだ。
 まずは先端、敏感な部分を重点的に咥え込んで刺激する方策らしい。酩酊していながらも彼女の中の技巧的な部分は少しも失われず、むしろ酔いはその興奮と同時に、男を感じさせる手管も高めてくれている。
 酔えば酔うほどエロくなる。それがアオオニである。

「んふふふ……じゅる、ぷはっ……」

 こちらにセクシーな流し目をくれながら、トーコさんは口を使い始めた。
 ぷるんとして柔らかい唇でカリ首をハムハムされ鈴口を舌先でツンツンされると、もう堪らない。
 余りにあっさり屈服して四肢の力を抜いた俺を見て、彼女はますます機嫌を良くする。
 唾液を潤滑液にしながら、頬を窄めて尿道を吸い上げる。チュパッ、チュパッといやらしい水音を立てながら、赤黒く膨らんだ粘膜を舌と口腔とで甘く優しくしかも激しく責めてくれる。
 裏筋を舐め上げてそのまま先端まで愛撫し、外に張り出たカリを上下の唇できゅっきゅと締める。溢れる我慢汁を啜り飲み下し、ちらちらとこちらを見上げる。
 飾り気の無いいかにも理知的な感じの眼鏡の奥から欲情に塗れた視線で見つめられると、自分はもうトーコさんの思うままに弄ばれてしまうのだということが実感できて、快感が倍増する。
 このまま先っぽばかり舐められていたらすぐにイってしまう、と唇を噛んだ所、トーコさんは口唇愛撫の手を少し緩めてくれた。
 あまりさっさと射精しても、量が少なくて物足りない、ということだろう。
 亀頭を責めるのはやめて、トーコさんは更に顔を下げ、竿の方まで飲み込んできた。
 根元まで咥えられると、男性器の先端がトーコさんの喉奥に当たって一種独特な快感に襲われた。咽頭まで肉茎を届かせてもえずいたりすることは無く、物も言わずにほろ酔いアオオニはフェラチオを続行する。
 端正で理知的な顔を惜しげも無く歪めて、剛直を残らず貪るトーコさんの顔は普段の賢そうな表情とは全く異なり、見ているだけでも興奮させられてしまう。
 どこに出しても恥ずかしくない知的美人に、こんなに下品な顔でちんこをしゃぶってもらえるのは世界で俺だけなのだと思うと、背筋がゾクゾクするほど興奮する。
 勿論、快感は視覚的なものに留まらない。
 裏筋を舌でねっとり舐め上げられ竿をきつく締め付けられ、唇の端にカリ首が引っかかるくらいの所まで顔を持ち上げられ、そこから一気に根元まで咥え直す。
 狭い喉奥で敏感な亀頭がぎゅっと刺激され、先走りを飲み込まれると腰の奥、前立腺を直接啜られるような凄まじい快感に打ちのめされる。
 激しいヘッドバンギングが生み出す強烈な快楽は、まるで男性器のみならず下半身、いや神経そのものをしゃぶられているような感覚で俺を支配する。
 ずずずずっ、という唾の音と、口腔粘膜が鳴らす、ぬぽぬぽっというくぐもった声とが聴覚からも俺を責め立てる。浅ましく口を尖らせたトーコさんのメガネは微かに曇っており、彼女の体温もまた上昇していることを悟らせた。
 そんな風なあまりにいやらしすぎる口戯を受け続けて、長く忍耐できる男はいない。すぐに俺も限界に達し、半泣きになりながら彼女に許しを乞うた。

「トーコさんもう、だめ、出るっ……!」
「……くく、……」

 微かに俺の痴態を嘲笑した発情アオオニは、そのまま頭を素早く振り立て、一気にイかせにかかった。
 水音は更に激しさを増し、快感もそれに比例する。抵抗のしようもなく、たちまち俺は精を放った。

「あ、ああ……!」

 その時。ワイルド過ぎるヘッドバンギングで、亀頭がすっぽりとトーコさんの口から抜けてしまった。
 その瞬間の、全く予想外な、唇の端で粘膜を擦られたことによる強い刺激が、俺への止めとなった。
 気づいたときには、射精してしまっていた。
 たっぷりの精液が、焦らされた男性器から止めどなく吹き出る。それは当然一番近くにあったトーコさんに顔面を降り注ぎ、彼女の、高く、筋の通った鼻や、少し紅潮した蒼い頬や、見るからに知的な雰囲気を醸し出すメガネなどを白く汚していく。
 申し訳無いと思いながらも、しかし一度出た精液を途中で止めることなどできない。仕方なく俺は、生まれて初めての顔射を堪能してしまった。

 一頻り精液が出終わると、トーコさんはメガネを外した。こびりついたザーメンを舌で舐めとり、俺を見下ろす。

「やってくれたわねぇ。まさか顔にぶっかけられるとは」
「ご、ごめん。止められなかったんだよ」
「別にいいけどね。……こっちも随分、元気になっちゃってるし」

 彼女の言う通り。俺の精子で汚れたトーコさんの賢そうな顔を見ると、それだけで股間の収まりがつかなくなってしまったのだ。
 大事にしているメガネだけは綺麗に舐めて清めたが、まだ鼻にも頬にも白濁は残っている。拭おうともせず、むしろその臭いを楽しむかのように深呼吸して、トーコさんは言った。
 
「まったく、しょうがない子ね。このことはきっちり、償ってもらわなきゃ」

 虎柄の腰巻を外し、彼女は俺と同じく下半身裸になった。償うために何をすればいいのか、俺にはもう察しがついている。

「……こっちで、がんばってもらおうか」
「善処します!」

 良い返事にアオオニの表情が緩む。仰向けに寝転んだ俺の腰を跨ぎ、トーコさんは膝をついた。

「じゃあ挿れちゃうぞ。飲めなかった分、しっかり注いでもらうからな……」

 顔を汚されてしまったことより、精飲できなかったことのほうが重要なのか。驚く俺を置いて、トーコさんは陰唇を亀頭に触れさせ、そのまま一気に腰を落としてきた。

「くふっ……大事な彼女の顔にぶっかけておいて、カタいじゃないか……この、変態めっ」
「すまん!」
「謝ってもだめだ。中出ししないと、承知しないからな?」

 それはどう考えても贖罪じゃなくてご褒美だろうと思える事を言って、彼女は腰を振り立て始めた。
 ほとんど愛撫もしていないのに、トーコさんのおまんこはもう濡れ濡れだ。俺のものを咥えて股を疼かせていたのか、そう考えるだけで首筋の毛が逆立ち、この愛しい女を孕ませずにはいられなくなる。
 床に寝転んだまま弾みをつけるようにして、騎乗位で跨るトーコさんの膣を下から突き上げるようにしてみると、甘い嬌声が響いた。

「あぅんッ! い、いいぞ、もっとやれ……! もっとおちんぽ、ずこずこしてぇっ!」
「こうか?」

 トーコさんが下半身を上下させるタイミングに合わせて俺も股ぐらを突き上げてみると、頭上の嫁がひどく嬉しそうな顔をした。
 騎乗位とは本来、女性がリードして男性を犯す体位だが、俺も犯られっぱなしではいない。可愛い彼女を感じさせて乱れさせたいというのは、全世界男子共通の願いだ。
 それに、頑張って肉棒を突き込んでやればそれに見合った愛蜜を、女性器は漏らしてくれる。股間が濡れそぼるにしたがってその気持ちよさ、中毒性はますます高まり、ただ寝転んでいるより俺もずっと気持ち良くなれるのだ。
 一回射精したということもあり、俺は暴発を恐れること無くトーコさんの膣を楽しむことが出来た。
 彼女のおまんこは全体が狭く、しかも入ってくるものを押し返すような独特のきつさがある。細密なヒダを有した膣壁を亀頭で掘り進んでいくと、びしょびしょになった無数の凹凸がブラシのように粘膜を摩擦し、何物にも代えがたい快楽を与えてくれる。
 胎の奥まで男性器をぶち込まれるのはトーコさんにとっても気持ちのいいことらしく、一度往復するたびに膣の奥から粘ついた淫液が垂れ流され、更に滑りの良くなった肉筒が男そのものを搾り取る。
 お互いに快感を与え合い高めあう、今のようなセックスが俺は一番好きだった。
 膝立ちになって男性器を貪っているトーコさんの表情は淫らに崩れている。はぁ、はぁと短い息をついている彼女に、俺は言った。

「もう、喋ってもいいんじゃないの?」
「あ、ああ、そうだったか。……きもち、よすぎて、な、話してる暇、なんて……!」

 嬉しいことを言ってくれた彼女の顔には、先程射精した時の精液がまだほとんど残っている。
 メガネにかかった分も、一度舐めとっただけなので汚れはまだまだ残っている。唇の端からは、涎と精液の混じり合ったような濁った液体が垂れ落ちていた。
 普段は、鬼族としては例外的な程に理性的で真面目な女性が、顔面を精子で汚されて喜んでいる。綺麗な頬や高そうなメガネを白く染められ、涎すら垂らして喘いでいる。こういうシチュエーションに男は弱いのだ。

「ああ気持ちいいっ! 最高だよトーコさんっ!」
「は、ははっ、私も、良いぞぉ……な、一緒に、イこうな? それがきっと、一番気持ちいいぞ……?」

 言われるまでもない。絶頂の瞬間に一際強く締まる膣の、その強烈な刺激に身を任せて子宮に子種を注ぎ込む、これは一度味わってしまえばやめられない美味である。俺にとっても、トーコさんにとっても。
 だから俺は床に両手をついて身体の支えにして、もっと激しく腰を突き上げた。トーコさんが身体を持ち上げているときに、更に下からえぐりあげるように男性器を打ち込み、精液を待ちくたびれている子宮の入り口を軽く突いてやる。
 胎内を直接弄られるような感覚でトーコさんの四肢が一瞬脱力すると、彼女の体重が全て股間に掛かり亀頭が更に深くめり込む。絶え間なく絶頂へ押し上げられる元インテリは、呂律が回らなくなってきていた。

「ひゃ、ひ、す、これ、ダメ、もう……」
「おれもそろそろ、だからっ」

 膣壁がひくひく痙攣して、愛液が溢れてくる。もう、すぐにでもイきそうなのを感じ取った俺は、一瞬だけ腰を下げて膣を締めさせ、トーコさんの腰を持った。
 どこへも逃げられないようにして、一旦膣の括約筋を収縮させて、そこから一気に突き込む。隘路を無理やり押し広げられる感覚で、腕の中の鬼は身を捩った。

「イ、くぅ……!」
「……!」

 微かに、絞り出すような声でエクスタシーに至ったトーコさんのおまんこは今までで一番良く締まる。強すぎる刺激に耐えるという意識を持つことすら出来ず、俺は抱き抱えた嫁の子宮にたっぷり射精することになった。

「あ、あああ出てる、精子、熱いのが、お腹の中に……気持ち、イイ……♪」

 恍惚の表情を浮かべるトーコさんを見ながら、俺も深い満足感を覚えていた。


 しっぽり二人楽しんで、しばらく後。何気なく、俺は聞いてみた。

「そういえば、ジパング由来の年中行事って他にもあるの?」
「ああ、あるぞ。次にあるのは……そうだ、ヒナマツリだ」

 聞き慣れない単語である。解説を頼んでみると、やけに嬉しげに教えてくれた。

「女の子のための祭りなんだがな。豪勢な人形を飾って、甘酒を飲むんだよ」

 甘酒と聞いて、俺は先の予想がなんとなくついた。
 人形なんて持っていないし、まだまだ女の子なんて縁の無い俺達だが、酔ったトーコさんが俺に何をするのかは、もう十分過ぎる程に分かっていたからだ。
12/02/03 23:23更新 / ナシ・アジフ

■作者メッセージ
アオオニさんみたいな知的メガネ美人に顔射するのが、ワシの長年の夢だった!

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