バブリング操性器
ここ10年は来たことの無い点検員のため灯された魔導燈が弱々しく光る暗渠。
薄暗い下水道を、物も言わず行き場も無さげに徘徊する娘が一人いた。
娘といっても、その姿は人間のものとはかけ離れている。そもそも、彼女には定まった身体と言う物が無い。
濃い緑色の粘液が女性の形態を取って隆起した、バブルスライムという魔物である。
テイミンという名のその魔物娘は、一般のスライムよりは知能が高い様子だったが、しかしそれゆえにか酷く物憂げな表情をしていた。
その名の通り粘液状の肉体から絶え間無く泡を生成し空気中に放っているテイミンだが、その泡、いや彼女の液状の身体そのものが、物凄い悪臭を放つのだ。
下水や汚水を何倍にも濃縮して煮詰めた様な、鼻が曲がりそうなんて言葉ではとても形容できない臭気ゆえ、地上の人間達に迫害され、仕方無くこの臭くて暗くて窮屈な下水道をねぐらとしていた。
行き場も生き甲斐も無く、このまま誰の目にも付かない地下でひっそり生き続けるのかなぁ、とテイミンが気落ちしていた時。彼女はふと、視界の隅に何か見慣れないものを見つけた。
近寄って見てみると、なんとそれは通路に倒れて気を失っている人間の男だった。
年の頃は20に少し足りないくらい。その若々しい体はしかし、打ち身や切り傷、何かよく分からない刺し傷や穴などでぼろぼろであり、男の生活環境の悪さを伺わせた。
すぐに治療が必要な大きな外傷は見当たらないが、足を少し挫いているらしい。
脇の壁には中程で折れた梯子が据え付けてある。切断面は真新しく、転落の衝撃で頭を打った結果、気を失ったらしい事が分かった。
不衛生な下水道に傷ついた人間をこのまま放っておくのを可哀相に思ったテイミンは、男を自分の寝床に連れ帰る事にした。もともと用具置き場か何かだったらしい小部屋を一室、下水道の下層に確保してあったのだ。
他のスライム種と比べて粘度が低く、力も余り強くないバブルスライムの身では、男一人を引きずって歩く事などできない。可塑性のある体を活かして、男の頭から足先まで包み込む様にして抱きかかえる以外に無かった。
半開きの口に半固体状の軟体がちょっと流れ込むのを、テイミンは申し訳なさげでいた。
二人、部屋に戻ってしばらく後。床に寝かせていた男が唸り声と共に目を覚ました。
「ん……あ? ここは……」
「あ、ええと、おはようございます」
「……? わ、あんた、魔物か」
「は、はい。此所は私の隠れ家で……」
テイミンは男に事情を説明した。
「つまり、あなたが俺を助けてくれたのか。礼を言うよ。
俺の名はフレイ。恩人の名を、伺って良いかい?」
今までに臭い臭いと言って自分を苛めた人間達と違って、随分友好的な感じの挨拶に少し戸惑ったテイミンだったが、彼女とて女の子。若い男性にフレンドリーに接してもらえて嬉しくないわけも無い。おずおずと、自己紹介を返す。
「あ、はい。私はテイミン……バブルスライムです」
「バブル? ……ああ、確かに泡が出てるな」
「きゃっ、ごめんなさい。私の泡、臭いでしょう?」
「む? そうか?臭いのは臭いが、これは下水道の臭いでしょ? テイミンさんからは、別に何も臭いは感じないけど」
「え……?」
自分の事を臭くないと言ってもらえたのは、テイミンにとって始めての事だった。
僅かにフレイの口に流入した自身の一部、その作用も知らず、少女は問うた。
「う、うそ、みんな、私のこと……」
「嘘なんかじゃないですよ。テイミンさんは臭くなんか……むしろ、ちょっと良い匂いがしますよ。微かに、だけれど」
「ほんと……!?」
「本当ですって……ぐ、痛っ」
「ああー、動いちゃだめです。足を挫いているんですよ」
起き上がろうとして苦痛に顔を歪めたフレイに、テイミンは身を寄せた。
自分の事を臭くない、どころか良い匂いがするとまで言ってくれたこの青年への好意が急速に高まるのを感じながら、再び床へ寝かせる。
密着するくらい身体を近付けても顔をしかめない初めての男に、伴侶を求めて飢える魔物娘の本能が熱くたぎる。
「治まるまで、じっとしていて下さいね。……私の臭いが嫌じゃないなら、いつまでいてくれてもいいですから」
「本当に、臭くないんですって。魔物とはいえ女の子が、余り自分の事を悪く言うもんじゃないっすよ」
「女の子……!!」
生まれて初めて「女の子」として扱われ、テイミンの全身が歓喜に震える。
女性としての快感に目覚めつつある彼女の様子も知らないフレイは、言葉を継いだ。
「しかし、ここにいていいと言ってくれるのは正直、助かるなあ。しばらく地上にゃ、戻るに戻れんのよね」
「何か、あったんですか?」
「うーん、まあ、大したこっちゃないんだけどね。
でも、ここは人間なんてまず来ない所なんだろう? なら是非、お言葉に甘えさせて頂きたいな。 ……何にもお礼できそうにないのは心苦しいが」
「お礼……」
欲望に泡立つテイミンの様子にも気付かず言った迂闊な単語を、聞き逃す魔物娘ではない。仰向けに寝たフレイを見下ろし、答える。
「お礼……してくれるんですか?」
「へ?
う、うん、テイミンさんは俺を救ってくれた恩人だし、隠れ家まで提供してくれるってんなら、もう出来る限りの事はさせてもらいますよ」
「じゃあ」
ぬるっとにじり寄り、フレイの下半身をその粘液ボディで覆い、テイミンは言った。
「私のこと、嫌じゃなければ……エッチしてくれませんか?」
「……何だって?」
「私達、魔物娘は男性の精で生きるんです。でも、みんな私のこと臭い臭いって言って避けるから、今までずっとお腹空いてたんです……フレイさん、あなたの精、私にくれませんか?」
突然の求愛に面食らった様子のフレイは、しかし拒絶する風でもなかった。
戸惑いながらも、据膳食わぬは男の恥とでも言うつもりなのか、不安と期待に満ちたテイミンを受け入れようとしていた。
「……テイミンさんみたいに可愛い娘なら、俺も全然嫌じゃないんだけど。でも、どうやってするの?」
半液状生物であるテイミンの身体には、普通の女や魔物娘が持つような確固たる女性器は無い。 至極もっともな疑問を投げ掛けるフレイとは対照的に、バブルスライムの少女は確信に満ちた様子で言った。
「大丈夫。何となくやり方は分かるから。こうすれば……」
「!?」
ズボンと下着を脱がし、男性器を露出させ軟体の内に取り込む。テイミンの意志によって自在に蠢き、流れる。半勃ちだった肉茎は、ダークグリーンのゲルが生み出す不規則かつ連続的な刺激で急速に充血する。
ローションプレイをも凌ぐ、「ローションマンコ」とでも言うべき異次元の感覚は、一発でフレイを虜にした。
「うおっ、なんだこれ。すげぇヌルヌルする……」
「どうですか……お嫌じゃ、ないですか?」
「いや全然、ていうかこれ、凄く良い……比べもんになんねーよ、これ」
快楽を隠そうとしないフレイの言葉を裏付けるように、彼の男性器はみるみるうちに硬度を増し、完全に勃起してしまった。
普通のスライムと比べても粘着性の低いテイミンの軟体は、ただ肉棒を包み込んでいるだけでも重力に負けてズルズルと滑り落ち、緩やかな流れを生み出す。敏感な先端部分から、ぬるぬるの半液体をじっくりとっくり流し掛けられ、フレイは歯を食いしばっていた。
「まだ、私の体で包んであげただけなのに、そんなに気持ちいいんですか……?」
「ああ、魔物ってこんなんなんだな。人間よりずっといいじゃねーか」
「むむっ」
他の女性との経験を示唆する発言に、テイミンはちょっとむっとした。と同時に、自分が嫉妬を覚えるほどこの若い男に入れ込んでしまっていることに気づき、愕然とする。
可愛いとか、いい匂いとか、気持ちいいとか、生まれてこの方掛けられたことのなかった優しい言葉を立て続けに聞かされ、陰気なバブルスライムの乙女心は暴走していた。
このまま暗い地下で朽ちていくだけなんだと思っていた自分のことを可愛いと言ってくれる人間がいる。それだけで、彼女はずいぶんと救われた気持ちになった。また、この唯一自分を嫌わない人間を、決して離したくないとも思う。
明確な性器を持たないはずのスライムの体が、挿入の快感を感じ始めていた。それは肉体的な刺激よりも、自分を女として、番う相手として見てもらえるという歓喜によるものだった。
「私なんかで気持ちよくなってくれて、嬉しい……もっともっと、がんばりますね」
女性や魔物娘が騎乗位で男を搾り取る要領で、テイミンも自分の体を上下に揺らし始めた。
動きの鈍いバブルスライムゆえ、激しい腰使いで獲物を感じさせ絶頂させるような真似はできない。
しかし比重の大きい粘液は、テイミンの身体が動くのにつれてずずずっと肉竿やカリ首にまとわりつき、彼女が身体を落とすとき、その勢いに乗って一気に根元まで扱きたてる。
それは例えるならば、半液体状のオナホールでペニスを扱かれるような、本来この世にありえない快楽を生み出す。
如何に女性経験があろうと、異次元の快楽を耐える役には全く立たない。傷ついた手足をぴくぴくさせながら、フレイは捕食される草食動物のように悶えた。
「う、う……くっ、はぁ、はぁ……」
「どうです? 射精、できそうですか……? 私の中に、精液出せそうですか……?」
「ああ、もう、このままじゃ、すぐに……気持ちいいよ、テイミンさん。病みつきになっちまう、こんなことされたら……」
「私のエッチ、気持ちいいって言ってくれるんですね……うれしい、うれしいです……いっぱい、私で感じてくださいね」
人間の男と愛しあい子を成すために生まれた魔物娘にとって、孤独は精神を蝕む猛毒である。
内気なバブルスライムにとっても、それは例外ではなかった。石もて追われ、光の届かない場所で寂しさだけを感じ続けてきたテイミンにとって、自分を気持いいと言ってくれる男を逃すことは精神的な死を意味する。
突然目の前に現れた「生き甲斐」に対して、少女はもっと気持ちよくなってもらいたい奉仕の気持ちと、何処へも行かせたくない拘束の気持ちを同時に抱いた。
「私の身体、スライムだから……こんなこともできるんですよ?」
「!!」
粘液の上下動は止めないままに、テイミンは自身の肉体に命じて更なる刺激をフレイのものに加えた。
膣の襞が摩擦を生み出し男を感じさせるあのプロセスを、もっと精細、かつ粘着的にしたような奉仕。
体組織を構成するゲルを男性器付近に寄せ集め、その無限の可塑性を活かして変幻自在の責を施したのだ。
横に張り出たカリ首には、細かい突起と襞で擦り上げ、先端、鈴口には密な刷毛のように造形した微細な触手状の軟体が撫でる。尿道口をちろちろされ、液体が出ることはあれ入ることなど決してない聖域を粘液に浸され、フレイは息を飲んだ。
それでもまだテイミンの魔奉仕は収まらない。にゅるにゅるっと変形した軟組織が竿を左右から挟み、押しつぶすような形態を取る。テイミンから半分はみ出ていた陰嚢にも軟体は手を伸ばし、綺麗な緑色へと取り込んでしまう。当然取り込むだけに終わるはずもなく、袋に覆われた大切な生殖器を、優しくやわやわと刺激し性感を後押しする。
玉舐めとパイズリとフェラと尿道プレイを同時に食らわされたような凄まじすぎる快感に、フレイは荒い息を吐き始めた。なんとなく、限界の近さを感じ取ったテイミンは顔を近づけ、彼女の下で翻弄され続ける男に尋ねた。
「もう、駄目ですか? いっちゃいますか?」
「うん、これ、やっば……」
「んふふ。いきそうだったら、いつでも中出ししてくださいね。……んちゅうっ」
半開きになったフレイの口に、テイミンは自分の唇を合わせた。
目を見開いて犯されるままの男の口腔を、バブルスライムは思う存分味わう。体と同じく可変性のある舌は、どろどろ溶けながら唇の裏、舌の上、口蓋などを撫で貪り、唾液を飲む。
彼女の舌は口内でうねるごとに少しづつ削れ、崩れてフレイの体内へ浸透して行ったが、それを気にするものは誰もいなかった。
凌辱的なキスを続けたまま、フレイは四肢を硬直させた。いよいよか、とテイミンが、好き放題にいじめていたちんこに、今までの奉仕をすべて同時に注ぐ。限界に達すると同時に許容量を越える快楽を強制されたフレイは、異常な量の精液を放った。
軟体の海の中で肉棒が跳ねるごとにたっぷりの白濁が射精され、緑色のゲルが斑に白く染まっていく。二度三度とザーメンを出してもまだ収まらず、結局一分近く続いた大量射精でテイミンの体は作られて溶けかけたメロンクリームソーダのようになってしまうのだった。
生まれて初めての中出しと、男を感じさせ屈服させた快感で、孤独だったバブルスライムの全身に悦楽が走る。性の美味に溺れる魔物娘は貪ることを止められず、体いっぱいのスペルマを次から次へと味わう。
エクスタシーに蕩けながら、一滴の子種も逃すまいと捉えたままの男性器、尿道口や裏筋に張り付いた雫をスライムでれろれろとこそげ取る、その姿こそ正しく魔物だった。
しばらく後、射精とアクメが落ち着いた二人。自分の体から離れようとしないテイミンを見て、フレイが言った。
「……なんだか、テイミンさんからいい匂いがするぞ」
「……へ?」
「うん、間違いない。さっきまではほとんど無臭だったけど、今はなんか……雨上がりの花みたいな甘い匂いがする。どうしたんだろ」
「花……」
自分にそんな形容が用いられるなんて、彼女は思ってもみなかった。綺麗な色と芳しい香りで人を引きつける花は、如何に憧れようとも決して自分では及ばない物だと諦めていたのに。
ざばりとスライム体を広げ、フレイの首から下ほとんど全てを覆い尽くして、テイミンは言った。
「……私の匂いなんかでよかったら、ずっと嗅いでいてくれてもいいですよ……おちんちんも気持よくして差し上げますから、いつまでもここに居て下さいね……」
所有欲に狂った魔物は、決して男から離れようとしなかった。
薄暗い下水道を、物も言わず行き場も無さげに徘徊する娘が一人いた。
娘といっても、その姿は人間のものとはかけ離れている。そもそも、彼女には定まった身体と言う物が無い。
濃い緑色の粘液が女性の形態を取って隆起した、バブルスライムという魔物である。
テイミンという名のその魔物娘は、一般のスライムよりは知能が高い様子だったが、しかしそれゆえにか酷く物憂げな表情をしていた。
その名の通り粘液状の肉体から絶え間無く泡を生成し空気中に放っているテイミンだが、その泡、いや彼女の液状の身体そのものが、物凄い悪臭を放つのだ。
下水や汚水を何倍にも濃縮して煮詰めた様な、鼻が曲がりそうなんて言葉ではとても形容できない臭気ゆえ、地上の人間達に迫害され、仕方無くこの臭くて暗くて窮屈な下水道をねぐらとしていた。
行き場も生き甲斐も無く、このまま誰の目にも付かない地下でひっそり生き続けるのかなぁ、とテイミンが気落ちしていた時。彼女はふと、視界の隅に何か見慣れないものを見つけた。
近寄って見てみると、なんとそれは通路に倒れて気を失っている人間の男だった。
年の頃は20に少し足りないくらい。その若々しい体はしかし、打ち身や切り傷、何かよく分からない刺し傷や穴などでぼろぼろであり、男の生活環境の悪さを伺わせた。
すぐに治療が必要な大きな外傷は見当たらないが、足を少し挫いているらしい。
脇の壁には中程で折れた梯子が据え付けてある。切断面は真新しく、転落の衝撃で頭を打った結果、気を失ったらしい事が分かった。
不衛生な下水道に傷ついた人間をこのまま放っておくのを可哀相に思ったテイミンは、男を自分の寝床に連れ帰る事にした。もともと用具置き場か何かだったらしい小部屋を一室、下水道の下層に確保してあったのだ。
他のスライム種と比べて粘度が低く、力も余り強くないバブルスライムの身では、男一人を引きずって歩く事などできない。可塑性のある体を活かして、男の頭から足先まで包み込む様にして抱きかかえる以外に無かった。
半開きの口に半固体状の軟体がちょっと流れ込むのを、テイミンは申し訳なさげでいた。
二人、部屋に戻ってしばらく後。床に寝かせていた男が唸り声と共に目を覚ました。
「ん……あ? ここは……」
「あ、ええと、おはようございます」
「……? わ、あんた、魔物か」
「は、はい。此所は私の隠れ家で……」
テイミンは男に事情を説明した。
「つまり、あなたが俺を助けてくれたのか。礼を言うよ。
俺の名はフレイ。恩人の名を、伺って良いかい?」
今までに臭い臭いと言って自分を苛めた人間達と違って、随分友好的な感じの挨拶に少し戸惑ったテイミンだったが、彼女とて女の子。若い男性にフレンドリーに接してもらえて嬉しくないわけも無い。おずおずと、自己紹介を返す。
「あ、はい。私はテイミン……バブルスライムです」
「バブル? ……ああ、確かに泡が出てるな」
「きゃっ、ごめんなさい。私の泡、臭いでしょう?」
「む? そうか?臭いのは臭いが、これは下水道の臭いでしょ? テイミンさんからは、別に何も臭いは感じないけど」
「え……?」
自分の事を臭くないと言ってもらえたのは、テイミンにとって始めての事だった。
僅かにフレイの口に流入した自身の一部、その作用も知らず、少女は問うた。
「う、うそ、みんな、私のこと……」
「嘘なんかじゃないですよ。テイミンさんは臭くなんか……むしろ、ちょっと良い匂いがしますよ。微かに、だけれど」
「ほんと……!?」
「本当ですって……ぐ、痛っ」
「ああー、動いちゃだめです。足を挫いているんですよ」
起き上がろうとして苦痛に顔を歪めたフレイに、テイミンは身を寄せた。
自分の事を臭くない、どころか良い匂いがするとまで言ってくれたこの青年への好意が急速に高まるのを感じながら、再び床へ寝かせる。
密着するくらい身体を近付けても顔をしかめない初めての男に、伴侶を求めて飢える魔物娘の本能が熱くたぎる。
「治まるまで、じっとしていて下さいね。……私の臭いが嫌じゃないなら、いつまでいてくれてもいいですから」
「本当に、臭くないんですって。魔物とはいえ女の子が、余り自分の事を悪く言うもんじゃないっすよ」
「女の子……!!」
生まれて初めて「女の子」として扱われ、テイミンの全身が歓喜に震える。
女性としての快感に目覚めつつある彼女の様子も知らないフレイは、言葉を継いだ。
「しかし、ここにいていいと言ってくれるのは正直、助かるなあ。しばらく地上にゃ、戻るに戻れんのよね」
「何か、あったんですか?」
「うーん、まあ、大したこっちゃないんだけどね。
でも、ここは人間なんてまず来ない所なんだろう? なら是非、お言葉に甘えさせて頂きたいな。 ……何にもお礼できそうにないのは心苦しいが」
「お礼……」
欲望に泡立つテイミンの様子にも気付かず言った迂闊な単語を、聞き逃す魔物娘ではない。仰向けに寝たフレイを見下ろし、答える。
「お礼……してくれるんですか?」
「へ?
う、うん、テイミンさんは俺を救ってくれた恩人だし、隠れ家まで提供してくれるってんなら、もう出来る限りの事はさせてもらいますよ」
「じゃあ」
ぬるっとにじり寄り、フレイの下半身をその粘液ボディで覆い、テイミンは言った。
「私のこと、嫌じゃなければ……エッチしてくれませんか?」
「……何だって?」
「私達、魔物娘は男性の精で生きるんです。でも、みんな私のこと臭い臭いって言って避けるから、今までずっとお腹空いてたんです……フレイさん、あなたの精、私にくれませんか?」
突然の求愛に面食らった様子のフレイは、しかし拒絶する風でもなかった。
戸惑いながらも、据膳食わぬは男の恥とでも言うつもりなのか、不安と期待に満ちたテイミンを受け入れようとしていた。
「……テイミンさんみたいに可愛い娘なら、俺も全然嫌じゃないんだけど。でも、どうやってするの?」
半液状生物であるテイミンの身体には、普通の女や魔物娘が持つような確固たる女性器は無い。 至極もっともな疑問を投げ掛けるフレイとは対照的に、バブルスライムの少女は確信に満ちた様子で言った。
「大丈夫。何となくやり方は分かるから。こうすれば……」
「!?」
ズボンと下着を脱がし、男性器を露出させ軟体の内に取り込む。テイミンの意志によって自在に蠢き、流れる。半勃ちだった肉茎は、ダークグリーンのゲルが生み出す不規則かつ連続的な刺激で急速に充血する。
ローションプレイをも凌ぐ、「ローションマンコ」とでも言うべき異次元の感覚は、一発でフレイを虜にした。
「うおっ、なんだこれ。すげぇヌルヌルする……」
「どうですか……お嫌じゃ、ないですか?」
「いや全然、ていうかこれ、凄く良い……比べもんになんねーよ、これ」
快楽を隠そうとしないフレイの言葉を裏付けるように、彼の男性器はみるみるうちに硬度を増し、完全に勃起してしまった。
普通のスライムと比べても粘着性の低いテイミンの軟体は、ただ肉棒を包み込んでいるだけでも重力に負けてズルズルと滑り落ち、緩やかな流れを生み出す。敏感な先端部分から、ぬるぬるの半液体をじっくりとっくり流し掛けられ、フレイは歯を食いしばっていた。
「まだ、私の体で包んであげただけなのに、そんなに気持ちいいんですか……?」
「ああ、魔物ってこんなんなんだな。人間よりずっといいじゃねーか」
「むむっ」
他の女性との経験を示唆する発言に、テイミンはちょっとむっとした。と同時に、自分が嫉妬を覚えるほどこの若い男に入れ込んでしまっていることに気づき、愕然とする。
可愛いとか、いい匂いとか、気持ちいいとか、生まれてこの方掛けられたことのなかった優しい言葉を立て続けに聞かされ、陰気なバブルスライムの乙女心は暴走していた。
このまま暗い地下で朽ちていくだけなんだと思っていた自分のことを可愛いと言ってくれる人間がいる。それだけで、彼女はずいぶんと救われた気持ちになった。また、この唯一自分を嫌わない人間を、決して離したくないとも思う。
明確な性器を持たないはずのスライムの体が、挿入の快感を感じ始めていた。それは肉体的な刺激よりも、自分を女として、番う相手として見てもらえるという歓喜によるものだった。
「私なんかで気持ちよくなってくれて、嬉しい……もっともっと、がんばりますね」
女性や魔物娘が騎乗位で男を搾り取る要領で、テイミンも自分の体を上下に揺らし始めた。
動きの鈍いバブルスライムゆえ、激しい腰使いで獲物を感じさせ絶頂させるような真似はできない。
しかし比重の大きい粘液は、テイミンの身体が動くのにつれてずずずっと肉竿やカリ首にまとわりつき、彼女が身体を落とすとき、その勢いに乗って一気に根元まで扱きたてる。
それは例えるならば、半液体状のオナホールでペニスを扱かれるような、本来この世にありえない快楽を生み出す。
如何に女性経験があろうと、異次元の快楽を耐える役には全く立たない。傷ついた手足をぴくぴくさせながら、フレイは捕食される草食動物のように悶えた。
「う、う……くっ、はぁ、はぁ……」
「どうです? 射精、できそうですか……? 私の中に、精液出せそうですか……?」
「ああ、もう、このままじゃ、すぐに……気持ちいいよ、テイミンさん。病みつきになっちまう、こんなことされたら……」
「私のエッチ、気持ちいいって言ってくれるんですね……うれしい、うれしいです……いっぱい、私で感じてくださいね」
人間の男と愛しあい子を成すために生まれた魔物娘にとって、孤独は精神を蝕む猛毒である。
内気なバブルスライムにとっても、それは例外ではなかった。石もて追われ、光の届かない場所で寂しさだけを感じ続けてきたテイミンにとって、自分を気持いいと言ってくれる男を逃すことは精神的な死を意味する。
突然目の前に現れた「生き甲斐」に対して、少女はもっと気持ちよくなってもらいたい奉仕の気持ちと、何処へも行かせたくない拘束の気持ちを同時に抱いた。
「私の身体、スライムだから……こんなこともできるんですよ?」
「!!」
粘液の上下動は止めないままに、テイミンは自身の肉体に命じて更なる刺激をフレイのものに加えた。
膣の襞が摩擦を生み出し男を感じさせるあのプロセスを、もっと精細、かつ粘着的にしたような奉仕。
体組織を構成するゲルを男性器付近に寄せ集め、その無限の可塑性を活かして変幻自在の責を施したのだ。
横に張り出たカリ首には、細かい突起と襞で擦り上げ、先端、鈴口には密な刷毛のように造形した微細な触手状の軟体が撫でる。尿道口をちろちろされ、液体が出ることはあれ入ることなど決してない聖域を粘液に浸され、フレイは息を飲んだ。
それでもまだテイミンの魔奉仕は収まらない。にゅるにゅるっと変形した軟組織が竿を左右から挟み、押しつぶすような形態を取る。テイミンから半分はみ出ていた陰嚢にも軟体は手を伸ばし、綺麗な緑色へと取り込んでしまう。当然取り込むだけに終わるはずもなく、袋に覆われた大切な生殖器を、優しくやわやわと刺激し性感を後押しする。
玉舐めとパイズリとフェラと尿道プレイを同時に食らわされたような凄まじすぎる快感に、フレイは荒い息を吐き始めた。なんとなく、限界の近さを感じ取ったテイミンは顔を近づけ、彼女の下で翻弄され続ける男に尋ねた。
「もう、駄目ですか? いっちゃいますか?」
「うん、これ、やっば……」
「んふふ。いきそうだったら、いつでも中出ししてくださいね。……んちゅうっ」
半開きになったフレイの口に、テイミンは自分の唇を合わせた。
目を見開いて犯されるままの男の口腔を、バブルスライムは思う存分味わう。体と同じく可変性のある舌は、どろどろ溶けながら唇の裏、舌の上、口蓋などを撫で貪り、唾液を飲む。
彼女の舌は口内でうねるごとに少しづつ削れ、崩れてフレイの体内へ浸透して行ったが、それを気にするものは誰もいなかった。
凌辱的なキスを続けたまま、フレイは四肢を硬直させた。いよいよか、とテイミンが、好き放題にいじめていたちんこに、今までの奉仕をすべて同時に注ぐ。限界に達すると同時に許容量を越える快楽を強制されたフレイは、異常な量の精液を放った。
軟体の海の中で肉棒が跳ねるごとにたっぷりの白濁が射精され、緑色のゲルが斑に白く染まっていく。二度三度とザーメンを出してもまだ収まらず、結局一分近く続いた大量射精でテイミンの体は作られて溶けかけたメロンクリームソーダのようになってしまうのだった。
生まれて初めての中出しと、男を感じさせ屈服させた快感で、孤独だったバブルスライムの全身に悦楽が走る。性の美味に溺れる魔物娘は貪ることを止められず、体いっぱいのスペルマを次から次へと味わう。
エクスタシーに蕩けながら、一滴の子種も逃すまいと捉えたままの男性器、尿道口や裏筋に張り付いた雫をスライムでれろれろとこそげ取る、その姿こそ正しく魔物だった。
しばらく後、射精とアクメが落ち着いた二人。自分の体から離れようとしないテイミンを見て、フレイが言った。
「……なんだか、テイミンさんからいい匂いがするぞ」
「……へ?」
「うん、間違いない。さっきまではほとんど無臭だったけど、今はなんか……雨上がりの花みたいな甘い匂いがする。どうしたんだろ」
「花……」
自分にそんな形容が用いられるなんて、彼女は思ってもみなかった。綺麗な色と芳しい香りで人を引きつける花は、如何に憧れようとも決して自分では及ばない物だと諦めていたのに。
ざばりとスライム体を広げ、フレイの首から下ほとんど全てを覆い尽くして、テイミンは言った。
「……私の匂いなんかでよかったら、ずっと嗅いでいてくれてもいいですよ……おちんちんも気持よくして差し上げますから、いつまでもここに居て下さいね……」
所有欲に狂った魔物は、決して男から離れようとしなかった。
11/07/06 21:21更新 / ナシ・アジフ