絶対に負けられない戦いが、そこにはある
その大きさ、重さに似合わない速さで振り下ろされた木剣を、しかし紙一重で回避、同時に俺の木剣で対手の右手に刺突を仕掛ける。攻撃直後に生ずる僅かな隙を突かれ、為す術なく木剣を巻き落とされたティールの首筋に得物を当てることで俺は試合終了の合図とした。
「っと、そろそろ日も暮れるな。今日はこんなもんにするか」
「ああ。……しかし、こうしてバルファーと手合わせをするのは、私としては複雑な気分だ」
言って立ち上がるのは生まれながらの武人にして我が妻、リザードマンのティールである。
「勝負に負けることは悔しいし勝ちたいとも思う、んだが……同時に、私を圧倒する君の姿に、どうしようもなく惹かれてしまうのだよ。もっと君の戦う姿を見ていたいような、もっと君に圧倒されたいような……他のリザードマンも、こんな気持ちを抱えながら鍛錬しているんだろうか?」
小っ恥ずかしい台詞を吐かれて俺の顔が微かに赤らむが、いつものことなのでそれ程動揺はしない。こいつはいつだって率直で、自分にも他人にも嘘を吐かないのだ。
「……相手に惚れながら試合する奴があるか。勝負の最中に余計なことを考えるなんて、お前が一番嫌いそうなことだが」
「余計なことなどと言ってはいけない。君への気持ちは、私にとって武芸と並ぶほど大切な事なのだ。たとえ一時だろうと、忘れることなどできようか」
武芸者の言うことか、と半ば呆れながら、木剣や防具を袋に仕舞い帰り支度を始める。ティールも身につけた防具類を取り外し、荷物をまとめる、と、こちらに振り返りなにやら意味深な笑みを浮かべた。
「そうだ。今晩、私ともう一勝負しないか?」
「夜の稽古か?俺は別に構わんが……何故だ?何か今日の稽古に物足りないことでもあったか?」
「いや、勝負と言っても剣術のではない。古い知り合いが教えてくれたものだ」
「……剣術ではない、って何だよ?ゲームか何かか?」
「まあ、そんなものだ。詳しくは夕食後に話そう」
やけに嬉しげなティールと共に、俺は家路に着いたのだった。
風呂で昼間の汗を流し、夕食後。
いつもなら二人でいちゃいちゃしつつ子作りに励むところだが、今日は多少様子が違った。というのも、ティールの言っていた「勝負」の内容が、
「性交して、先に絶頂したほうが負け……だと……」
「ああ。とあるサキュバスが教えてくれたのだ。世の中には『セックスバトル』という戦いがあると。
直接戦闘力に劣るサキュバスは言葉巧みに人間の戦士をこの戦いに誘い込み、圧倒するという」
「色事で生身の人間がサキュバスに勝てるわけもないだろうに、男どもはなんでそんな勝負に乗るんだよ。普通に戦えよ」
「そこをどうにかするのが女の手管、ということらしい。それを聞いて私は思ったのだ。『試合ではバルファーにかなわない私だが、これなら一矢報えるかもしれない』と」
確かに、俺はティール以外に女性経験がほぼ無いし、ティールも俺以外の男を知らない。生まれ持った身体能力や積んできた鍛錬の量に左右される武芸の試合よりも平等な勝負といえなくはないかもしれないが、
「俺がイったのは隠しようもないが、お前の絶頂は割りと誤魔化しが効くんじゃないか?」
「見くびるな。仮にも勝負と名の付くもので、不正を行う私ではない」
胸を張って宣言されてしまった。こいつがそう言うならそうなんだろうが。
「……どうも反応が悪いな。
そうだ、こうしよう。勝った方は、負けた方を一日自由にできる権利が与えられる、というのはどうだ」
正直、今までのティールとの性交に特に不満を感じていなかった故この提案に今ひとつ乗り切れずにいた俺だが、これを聞いて俄然やる気が出てきた。
堅苦しい言葉遣いに違わず、私生活でも質実剛健を絵に書いたようなスタイルのティールを、一日自由にできるという。一体どんなことをして楽しませてもらおうか、そうだ侍女服を着せて、一日メイドさんとかいいんじゃないか。いつもクールで凛々しいティールが、俺の脚の間に跪いて「ご主人様、お赦しください……」とか言うのを想像しただけで股ぐらがいきり立つ。
服を脱ぎ捨て、ベッドにスタンバイして両腕を広げる。迂闊な提案を後悔させてやる。
「早速始めよう!お前の全てを俺のものにしてやる!」
「……もう、なっていると思うんだがな。乗り気になってくれたので良しとするか」
互いに裸身を晒し、唇を合わせる。いつもはゆったりと、互いを慈しみながら性感を高め合うものだが、今回はそうは行かない。既に戦いは始まっているのだ。
舌で唇を割開き、強引にティールの口腔を舐める。口蓋や歯の裏を舌先で丁寧に愛撫してやり、同時に右手で、眼下の美乳を揉みしだく。
「……ん、んんっ、ぅん……ちゅぅ、ちゅ」
「ふう……ふ」
誂えたかのように俺の掌に収まるティールの乳房は、大きすぎず小さすぎず、実に揉み心地が良い。それでいて感度は抜群というのだから、ここで責めない法は無い。
薄桃色の可愛い乳首を指の間に挟んで軽く刺激してやり、乳房を強めに掴んでやる。ぐにゃりと卑猥に形を変えたティールの胸乳を見て、俺の興奮はますます高まった。
「や、こんな、激しいっ……」
「なんだよ、いつもやってることじゃないか。ちょっと痛いぐらいが良いんだろ?」
言いながらも、俺は愛撫の手を止めない。無駄無く引き締まった身体の上に膨らむ程良い大きさのおっぱいは、俺の好みにどストライクだ。母乳は出ないし、パイズリできるほどの大きさも無いが、それでも俺はこの胸が大好きだった。
まるでマシュマロか何かかと思うほど柔らかく、それでいて弾性と靭性に富んだティールの胸はいくら揉んでいても飽きる気がしない。潤いに富んだ肌は俺の手に吸いつき、まるで乳房自身が愛撫を欲しているかのようだ。更には、揉めば揉むほど眼前の健康美人が悶え、悦び、俺の肉棒をねだるようになるのだ。愛さずにはいられないというものだろう。
「ん、もう、バルファーばっかり……えい」
と、口を吸われ胸を弄られされるがままだったティールが、不意に俺を押し倒してきた。そのまま挿れるかと思いきや、体の向きを180°変え、俺の陰茎にしゃぶりつく。やはり一方的に責められるわけにはいかない、ということか。
「余裕そうなことを言いながら、こっちももうガチガチじゃないか……仕返しだ」
じゅぽっ、じゅぽと淫靡な音を立てて、ティールが口唇愛撫を始める。凛々しい彼女の顔が、俺の陰茎で卑猥に歪む様は最高にそそるのだが、いまのこの69体勢では拝みようもない。代わりと言っては何だが、目の前に濡れそぼった女陰が切なげにひくついているので、今度はそちらを愛することとする。
股間に顔を寄せ、舌で膣口を軽くつついてやると、ティールは軽くくぐもったような喘ぎ声を上げたが、すぐにまた口淫に戻った。肉棒を温かい口内に包まれて、カリ首や裏筋を舌と頬裏で激しく擦られると、否応なしに感じさせられてしまう。唇と肉竿の間から漏れ聞こえるじゅるじゅるという音が彼女の献身を表しているようで堪らなくなってくる。挿入すらしないうちに敗北するわけにはいかない、と俺はクンニで快感を紛らわすことにした。
結婚してから何度も俺のものを受け入れたにもかかわらず未だに処女のように綺麗な色を保ったティールの陰唇に吸いつき、溢れ出る愛蜜を啜ってやる。数時間前に汗を流したこともあり、軽い石鹸の匂いを除いてほとんど無臭の膣を舌先で穿り、Gスポットを探る。当たりをつけてやると、ティールは嬌声を上げ、フェラチオを中断した。
「随分良さそうだな。このままイくか?」
「誰が……、バルファーこそ、結構ヤバイんじゃないのか?舐めとっても舐めとっても我慢汁が溢れてきて、見てるこっちが辛いくらいだぞ」
「……言ってろ。
ところで、勝者の権利のことだが、俺はお前に何を要求するか、もう決めているぞ」
「ほう。差し支えなければ聞かせてもらいたいな」
「うむ。いつもお前は実用重視な服を着ているからな、たまには可愛い格好をしてもらおうと思っている。侍女服とか、な」
「!!」
「で、一日俺のためにその服に相応しい振る舞いをしてくれたりしたら、お前は今以上に可愛くなれると……、なんだ?」
呆れているのかと思ったが、しかしティールは声を殺して笑っているようだった。顔をこちらに向け、不自然な程にいい笑顔を浮かべる。
「なるほどなるほど、それがご主人様の願いか。ならば私の願いも教えて差し上げよう。
これも件の淫魔が教えてくれたことなのだが、処女非処女の概念は男にもあるそうだな?」
なんだろう。ものすごく嫌な予感がする。ケツの穴にツララを突っ込まれたような悪寒を感じる。
「肛門の奥に有る前立腺とか言う器官を触ってやると、男は容易く絶頂してしまうとか、なんとか。前から興味があったのだ。
私が勝った暁には、バルファー、君の処女を貰おう」
当たってほしくない予感ほどよく当たる、とは言うがこれは出来過ぎではないのか。
というか。
「メイド服と後ろの処女じゃ、釣り合いが取れんだろ!」
「『負けた方を一日自由にできる』と聞いて飛びついたのはバルファーの方だろうに。今更勝負は無効だなどと、女々しいことは言うまいな?」
これはまずい。どうあってもティールは俺の純ケツを奪う気だ。このままフェラチオ奉仕を受け続けるわけにはいかない。なんとか、自分のペースに持っていかなければ。
と、いうことで俺はティールの方を掴み、今までとは逆に押し倒した。上下逆転である。
「……遊びは終わりだ。お前がそういうつもりなら、俺としても最早手を抜くわけにはいかない」
「君のためだけのキツキツマンコだ。遠慮せず、いつでも膣内射精してくれて構わんからな?」
いつもなら奮い立つそんな言葉も今の俺にとっては脅威でしかないが、しかし今更引くこともならない。事態は既に抜き差しならない領域にある。
布団に手を付き、ティールを組み敷いて正常位で挿入する。俺の唾液とティールの淫水で十分に滑りが良くなった肉筒は、その狭さきつさとは裏腹な貪欲さで俺のものを飲み込む。奥まで挿入すると、ティールは両脚を俺の腰の後ろに回し絡めた。
「今日も、中出しするまでは止めさせないからな?バルファーの子種を、私にくれ」
こいつはいつでもこんな感じだが、今回に限っては俺の興奮を煽ろうと殊更に淫語を口にする。俺が中出しとか生出しとか言う単語に弱いのを知っているが故か。
いつもよりも前戯は長めにやったし、ということで、俺は最初からハイペースで行くことにした。腰を大きく前後に動かし、膣奥を亀頭でえぐる。少し角度をつけ、膣壁の手前を擦るようにすると、たちまちティールの余裕が無くなってきた。
「ふっ、ふっ、ううっ……」
「感じてるティールも、可愛いな……いつものように、またイき潮噴いてみてくれよ」
「君がイった後なら、何度でも見せてやるよ……!」
強情な奴め。早く達してもらわないと、こっちもあまり余裕が無いのだが。
そもそもティールの肢体が余りに俺好みすぎるのがいかんのだ。物心着いた頃から剣を振っていたという彼女の肉体はどこも程良く引き締まり、腹などは腹直筋が微かに浮き出ているほどだが、それで女性らしさが失われるかというとそんなことは全く無い。
発達した大胸筋の上に乗った美乳は垂れも弛みも知らずツンと可愛く上を向いているし、実戦の中で鍛えられた僧帽筋が形作るうなじは匂い立つような健康的な色気を放つ。
腰を振りながらも、ティールへの愛しさと性感が高まるのを抑えられない。こんなエロい女を抱いてて、射精を耐えるなんて出来るわけない。こうなったらどうにかして、俺より先にティールをイかせるしか無いか。
布団に付いていた右手を引き、ティールの乳房に載せる。腰を止めずに軽く体重を掛けるようにして真上から揉みしだいてやる。
「ひあ、これ、痛……」
「それがいいんじゃないのか?こんなに乳首勃たせて……マンコもキュウキュウ言ってるぞ」
「そ、そんなこと、な、ひッ!」
グラインドに合わせてCカップを圧搾してやると、より一層乳首はしこり、淫肉は締まり女の苦悶を伝えてくる。もう少しでティールを追い込める、と腰の動きを激しくする。
「あ、あ、あン、こんな、苦し、気持ちイイ……」
「イっちゃいけない、と思うから苦しいんだよ。我慢しないで、感じろよっ……」
「やぁ、もう、無理っ……」
いよいよ俺も限界が近い。かつて無いほど淫らにうねるティールの膣にこれだけ長く挿入して、まだ射精していないことが不思議なくらいだ。理性が決壊し、俺の意志とは関係なく精を搾り取られそうになる。
「ほら、もう、イっちまえよ……!」
「あ、や、もう、もうイくっ!もう駄目、イっちゃうぅ!イくうッ!!」
その言葉と共に、今までで一番強く女陰が締まる。亀頭から竿の根元までを包むその快感に抗いようもなく、俺はティールの最奥に、溜めに溜めた大量の精液を残らず放った。
一瞬の虚脱、意識の空白。射精し終えた俺は、同じく放心状態のティールと少しの間見つめ合った。
「……結局、先にイったのはどっちだったんだ?」
「私にも分からない……しかし困った。まさか引き分けになるとは」
取り敢えず後ろを守れただけでも俺は満足だったのだが、ティールは灰色の決着に些かご不満のようだ。
「こんなことなら、引き分けの時の裁定も聞いておけばよかった」
「……特に無いんじゃないか?普通の人間がサキュバス相手に引き分けまで粘れるとは思えん」
「それもそうか……」
と、ティールの顔がぱっと輝いた。先程も見たような、いやに上機嫌な表情。またしても身の危険を感じる。
「いや、簡単なことじゃないか。引き分け、即ちノーゲーム。ならば試合をもう一度行うまで」
そう言うなり、逃げ出しかけていた俺を捕らえ、逆に組み敷く。股間から精液を垂らすその姿は淫靡だったが、それ以上に俺は恐怖を感じていた。
「さっきは散々責められたから、今度は私主体でやらせてもらうぞ。
がんばって、耐えてみるがいい」
せめてローションを多めに用意しておこう。医者の世話にならないためにも。俺は心に誓った。
「っと、そろそろ日も暮れるな。今日はこんなもんにするか」
「ああ。……しかし、こうしてバルファーと手合わせをするのは、私としては複雑な気分だ」
言って立ち上がるのは生まれながらの武人にして我が妻、リザードマンのティールである。
「勝負に負けることは悔しいし勝ちたいとも思う、んだが……同時に、私を圧倒する君の姿に、どうしようもなく惹かれてしまうのだよ。もっと君の戦う姿を見ていたいような、もっと君に圧倒されたいような……他のリザードマンも、こんな気持ちを抱えながら鍛錬しているんだろうか?」
小っ恥ずかしい台詞を吐かれて俺の顔が微かに赤らむが、いつものことなのでそれ程動揺はしない。こいつはいつだって率直で、自分にも他人にも嘘を吐かないのだ。
「……相手に惚れながら試合する奴があるか。勝負の最中に余計なことを考えるなんて、お前が一番嫌いそうなことだが」
「余計なことなどと言ってはいけない。君への気持ちは、私にとって武芸と並ぶほど大切な事なのだ。たとえ一時だろうと、忘れることなどできようか」
武芸者の言うことか、と半ば呆れながら、木剣や防具を袋に仕舞い帰り支度を始める。ティールも身につけた防具類を取り外し、荷物をまとめる、と、こちらに振り返りなにやら意味深な笑みを浮かべた。
「そうだ。今晩、私ともう一勝負しないか?」
「夜の稽古か?俺は別に構わんが……何故だ?何か今日の稽古に物足りないことでもあったか?」
「いや、勝負と言っても剣術のではない。古い知り合いが教えてくれたものだ」
「……剣術ではない、って何だよ?ゲームか何かか?」
「まあ、そんなものだ。詳しくは夕食後に話そう」
やけに嬉しげなティールと共に、俺は家路に着いたのだった。
風呂で昼間の汗を流し、夕食後。
いつもなら二人でいちゃいちゃしつつ子作りに励むところだが、今日は多少様子が違った。というのも、ティールの言っていた「勝負」の内容が、
「性交して、先に絶頂したほうが負け……だと……」
「ああ。とあるサキュバスが教えてくれたのだ。世の中には『セックスバトル』という戦いがあると。
直接戦闘力に劣るサキュバスは言葉巧みに人間の戦士をこの戦いに誘い込み、圧倒するという」
「色事で生身の人間がサキュバスに勝てるわけもないだろうに、男どもはなんでそんな勝負に乗るんだよ。普通に戦えよ」
「そこをどうにかするのが女の手管、ということらしい。それを聞いて私は思ったのだ。『試合ではバルファーにかなわない私だが、これなら一矢報えるかもしれない』と」
確かに、俺はティール以外に女性経験がほぼ無いし、ティールも俺以外の男を知らない。生まれ持った身体能力や積んできた鍛錬の量に左右される武芸の試合よりも平等な勝負といえなくはないかもしれないが、
「俺がイったのは隠しようもないが、お前の絶頂は割りと誤魔化しが効くんじゃないか?」
「見くびるな。仮にも勝負と名の付くもので、不正を行う私ではない」
胸を張って宣言されてしまった。こいつがそう言うならそうなんだろうが。
「……どうも反応が悪いな。
そうだ、こうしよう。勝った方は、負けた方を一日自由にできる権利が与えられる、というのはどうだ」
正直、今までのティールとの性交に特に不満を感じていなかった故この提案に今ひとつ乗り切れずにいた俺だが、これを聞いて俄然やる気が出てきた。
堅苦しい言葉遣いに違わず、私生活でも質実剛健を絵に書いたようなスタイルのティールを、一日自由にできるという。一体どんなことをして楽しませてもらおうか、そうだ侍女服を着せて、一日メイドさんとかいいんじゃないか。いつもクールで凛々しいティールが、俺の脚の間に跪いて「ご主人様、お赦しください……」とか言うのを想像しただけで股ぐらがいきり立つ。
服を脱ぎ捨て、ベッドにスタンバイして両腕を広げる。迂闊な提案を後悔させてやる。
「早速始めよう!お前の全てを俺のものにしてやる!」
「……もう、なっていると思うんだがな。乗り気になってくれたので良しとするか」
互いに裸身を晒し、唇を合わせる。いつもはゆったりと、互いを慈しみながら性感を高め合うものだが、今回はそうは行かない。既に戦いは始まっているのだ。
舌で唇を割開き、強引にティールの口腔を舐める。口蓋や歯の裏を舌先で丁寧に愛撫してやり、同時に右手で、眼下の美乳を揉みしだく。
「……ん、んんっ、ぅん……ちゅぅ、ちゅ」
「ふう……ふ」
誂えたかのように俺の掌に収まるティールの乳房は、大きすぎず小さすぎず、実に揉み心地が良い。それでいて感度は抜群というのだから、ここで責めない法は無い。
薄桃色の可愛い乳首を指の間に挟んで軽く刺激してやり、乳房を強めに掴んでやる。ぐにゃりと卑猥に形を変えたティールの胸乳を見て、俺の興奮はますます高まった。
「や、こんな、激しいっ……」
「なんだよ、いつもやってることじゃないか。ちょっと痛いぐらいが良いんだろ?」
言いながらも、俺は愛撫の手を止めない。無駄無く引き締まった身体の上に膨らむ程良い大きさのおっぱいは、俺の好みにどストライクだ。母乳は出ないし、パイズリできるほどの大きさも無いが、それでも俺はこの胸が大好きだった。
まるでマシュマロか何かかと思うほど柔らかく、それでいて弾性と靭性に富んだティールの胸はいくら揉んでいても飽きる気がしない。潤いに富んだ肌は俺の手に吸いつき、まるで乳房自身が愛撫を欲しているかのようだ。更には、揉めば揉むほど眼前の健康美人が悶え、悦び、俺の肉棒をねだるようになるのだ。愛さずにはいられないというものだろう。
「ん、もう、バルファーばっかり……えい」
と、口を吸われ胸を弄られされるがままだったティールが、不意に俺を押し倒してきた。そのまま挿れるかと思いきや、体の向きを180°変え、俺の陰茎にしゃぶりつく。やはり一方的に責められるわけにはいかない、ということか。
「余裕そうなことを言いながら、こっちももうガチガチじゃないか……仕返しだ」
じゅぽっ、じゅぽと淫靡な音を立てて、ティールが口唇愛撫を始める。凛々しい彼女の顔が、俺の陰茎で卑猥に歪む様は最高にそそるのだが、いまのこの69体勢では拝みようもない。代わりと言っては何だが、目の前に濡れそぼった女陰が切なげにひくついているので、今度はそちらを愛することとする。
股間に顔を寄せ、舌で膣口を軽くつついてやると、ティールは軽くくぐもったような喘ぎ声を上げたが、すぐにまた口淫に戻った。肉棒を温かい口内に包まれて、カリ首や裏筋を舌と頬裏で激しく擦られると、否応なしに感じさせられてしまう。唇と肉竿の間から漏れ聞こえるじゅるじゅるという音が彼女の献身を表しているようで堪らなくなってくる。挿入すらしないうちに敗北するわけにはいかない、と俺はクンニで快感を紛らわすことにした。
結婚してから何度も俺のものを受け入れたにもかかわらず未だに処女のように綺麗な色を保ったティールの陰唇に吸いつき、溢れ出る愛蜜を啜ってやる。数時間前に汗を流したこともあり、軽い石鹸の匂いを除いてほとんど無臭の膣を舌先で穿り、Gスポットを探る。当たりをつけてやると、ティールは嬌声を上げ、フェラチオを中断した。
「随分良さそうだな。このままイくか?」
「誰が……、バルファーこそ、結構ヤバイんじゃないのか?舐めとっても舐めとっても我慢汁が溢れてきて、見てるこっちが辛いくらいだぞ」
「……言ってろ。
ところで、勝者の権利のことだが、俺はお前に何を要求するか、もう決めているぞ」
「ほう。差し支えなければ聞かせてもらいたいな」
「うむ。いつもお前は実用重視な服を着ているからな、たまには可愛い格好をしてもらおうと思っている。侍女服とか、な」
「!!」
「で、一日俺のためにその服に相応しい振る舞いをしてくれたりしたら、お前は今以上に可愛くなれると……、なんだ?」
呆れているのかと思ったが、しかしティールは声を殺して笑っているようだった。顔をこちらに向け、不自然な程にいい笑顔を浮かべる。
「なるほどなるほど、それがご主人様の願いか。ならば私の願いも教えて差し上げよう。
これも件の淫魔が教えてくれたことなのだが、処女非処女の概念は男にもあるそうだな?」
なんだろう。ものすごく嫌な予感がする。ケツの穴にツララを突っ込まれたような悪寒を感じる。
「肛門の奥に有る前立腺とか言う器官を触ってやると、男は容易く絶頂してしまうとか、なんとか。前から興味があったのだ。
私が勝った暁には、バルファー、君の処女を貰おう」
当たってほしくない予感ほどよく当たる、とは言うがこれは出来過ぎではないのか。
というか。
「メイド服と後ろの処女じゃ、釣り合いが取れんだろ!」
「『負けた方を一日自由にできる』と聞いて飛びついたのはバルファーの方だろうに。今更勝負は無効だなどと、女々しいことは言うまいな?」
これはまずい。どうあってもティールは俺の純ケツを奪う気だ。このままフェラチオ奉仕を受け続けるわけにはいかない。なんとか、自分のペースに持っていかなければ。
と、いうことで俺はティールの方を掴み、今までとは逆に押し倒した。上下逆転である。
「……遊びは終わりだ。お前がそういうつもりなら、俺としても最早手を抜くわけにはいかない」
「君のためだけのキツキツマンコだ。遠慮せず、いつでも膣内射精してくれて構わんからな?」
いつもなら奮い立つそんな言葉も今の俺にとっては脅威でしかないが、しかし今更引くこともならない。事態は既に抜き差しならない領域にある。
布団に手を付き、ティールを組み敷いて正常位で挿入する。俺の唾液とティールの淫水で十分に滑りが良くなった肉筒は、その狭さきつさとは裏腹な貪欲さで俺のものを飲み込む。奥まで挿入すると、ティールは両脚を俺の腰の後ろに回し絡めた。
「今日も、中出しするまでは止めさせないからな?バルファーの子種を、私にくれ」
こいつはいつでもこんな感じだが、今回に限っては俺の興奮を煽ろうと殊更に淫語を口にする。俺が中出しとか生出しとか言う単語に弱いのを知っているが故か。
いつもよりも前戯は長めにやったし、ということで、俺は最初からハイペースで行くことにした。腰を大きく前後に動かし、膣奥を亀頭でえぐる。少し角度をつけ、膣壁の手前を擦るようにすると、たちまちティールの余裕が無くなってきた。
「ふっ、ふっ、ううっ……」
「感じてるティールも、可愛いな……いつものように、またイき潮噴いてみてくれよ」
「君がイった後なら、何度でも見せてやるよ……!」
強情な奴め。早く達してもらわないと、こっちもあまり余裕が無いのだが。
そもそもティールの肢体が余りに俺好みすぎるのがいかんのだ。物心着いた頃から剣を振っていたという彼女の肉体はどこも程良く引き締まり、腹などは腹直筋が微かに浮き出ているほどだが、それで女性らしさが失われるかというとそんなことは全く無い。
発達した大胸筋の上に乗った美乳は垂れも弛みも知らずツンと可愛く上を向いているし、実戦の中で鍛えられた僧帽筋が形作るうなじは匂い立つような健康的な色気を放つ。
腰を振りながらも、ティールへの愛しさと性感が高まるのを抑えられない。こんなエロい女を抱いてて、射精を耐えるなんて出来るわけない。こうなったらどうにかして、俺より先にティールをイかせるしか無いか。
布団に付いていた右手を引き、ティールの乳房に載せる。腰を止めずに軽く体重を掛けるようにして真上から揉みしだいてやる。
「ひあ、これ、痛……」
「それがいいんじゃないのか?こんなに乳首勃たせて……マンコもキュウキュウ言ってるぞ」
「そ、そんなこと、な、ひッ!」
グラインドに合わせてCカップを圧搾してやると、より一層乳首はしこり、淫肉は締まり女の苦悶を伝えてくる。もう少しでティールを追い込める、と腰の動きを激しくする。
「あ、あ、あン、こんな、苦し、気持ちイイ……」
「イっちゃいけない、と思うから苦しいんだよ。我慢しないで、感じろよっ……」
「やぁ、もう、無理っ……」
いよいよ俺も限界が近い。かつて無いほど淫らにうねるティールの膣にこれだけ長く挿入して、まだ射精していないことが不思議なくらいだ。理性が決壊し、俺の意志とは関係なく精を搾り取られそうになる。
「ほら、もう、イっちまえよ……!」
「あ、や、もう、もうイくっ!もう駄目、イっちゃうぅ!イくうッ!!」
その言葉と共に、今までで一番強く女陰が締まる。亀頭から竿の根元までを包むその快感に抗いようもなく、俺はティールの最奥に、溜めに溜めた大量の精液を残らず放った。
一瞬の虚脱、意識の空白。射精し終えた俺は、同じく放心状態のティールと少しの間見つめ合った。
「……結局、先にイったのはどっちだったんだ?」
「私にも分からない……しかし困った。まさか引き分けになるとは」
取り敢えず後ろを守れただけでも俺は満足だったのだが、ティールは灰色の決着に些かご不満のようだ。
「こんなことなら、引き分けの時の裁定も聞いておけばよかった」
「……特に無いんじゃないか?普通の人間がサキュバス相手に引き分けまで粘れるとは思えん」
「それもそうか……」
と、ティールの顔がぱっと輝いた。先程も見たような、いやに上機嫌な表情。またしても身の危険を感じる。
「いや、簡単なことじゃないか。引き分け、即ちノーゲーム。ならば試合をもう一度行うまで」
そう言うなり、逃げ出しかけていた俺を捕らえ、逆に組み敷く。股間から精液を垂らすその姿は淫靡だったが、それ以上に俺は恐怖を感じていた。
「さっきは散々責められたから、今度は私主体でやらせてもらうぞ。
がんばって、耐えてみるがいい」
せめてローションを多めに用意しておこう。医者の世話にならないためにも。俺は心に誓った。
10/10/09 15:34更新 / ナシ・アジフ