Angels of heaven
仕事を終えて主任に挨拶した後事務所を出ると、自転車にまたがって帰路につく。友人から飲みの誘いがあったが、懐が寒いため断った。そんな俺が家で普段何してるかというと……特に何もしていない。適当にスマホでオカズを探して抜いて、買いだめてあるビールやチューハイを飯と一緒に流し込んで風呂に入って寝るだけである。正直退屈過ぎるのだが、仕事そのものは充実してるし休憩時間に同僚とする馬鹿話も楽しい。スマホゲーもそこそこするし、話題になっているアニメを飯の間に適当に流して見て、社会のことはネットニュースを流し読み。将来のビジョンなんて浮かばず、ただ遊びの予定を適当に入れるその場しのぎの生活をしている。
仕事が転勤族のため家の心配がない分かろうじて愛車持ちで一人暮らしをしてはいるが、中古の軽を適当に見繕った上最低限のメンテナンスしかしていない。10代の頃は金がないなりに色々とやりたいことがあったはずなのだが、20代になり大学を卒業して今いる会社に就職を決めると、仕事に慣れるまでが大変でだんだん無気力になっていった気がする。
社会人になれば楽しいことがたくさん待っていると思っていた自分はどこに行ったんだろうか。夢に囲まれて無邪気に生きていた自分はどこに行ったんだろうか。酔いが回ったかそんなことをふと思うと、部屋の隅に立てていたギブソンのレスポールを手に取ってみる。とある邦楽バンドのギターヴォーカルに憧れて、高校の頃必死にバイトして買って、大学を卒業するまで潰さん限りに毎日弾き続けていた一品。社会に出てからもいつでも使えるように手入れは欠かさなかった。若気の至りと言われれば否定はできないだろうが、これだけは捨てられなかった夢の欠片と懐かしき思い出の音色が俺の耳を叩く。
一時間は経っただろうか。高校時代から使い続けたローランドのスピーカーアンプから響くサウンドに酔いしれた俺は様々なフレーズを思い描く限りに弾き倒し、程よい疲れが両の掌にやってきた頃、突然目の前に天使が現れた。比喩ではなく、いや、比喩だとしてもいいだろう。帽子と白いニーソックス、肘まで覆う白い手袋以外は下着かと思うほど露出している褐色肌でスレンダーな美女。その手に持つは弓、その背に負うは二色の矢と、純白に輝く一対の翼。少なくとも俺の知り合いにこんな奇抜な格好をする女も、これほどの美人もいない。後光でも差しているのか、やけに輝いて見えて眩しい。というか、中断したのはそれに気付いたからだ。明らかに部屋の照明より眩しいものがいきなり現れたら誰だって気付くし驚くだろう。
「……いい音色ね」
「そうかい?まぁ、安物だけどね」
「あなたの技のなせるものね。相当の修練を積んだんでしょう。なのに叶わなかったことがある。違うかしら?」
「なんでそこまでわかるんだい?初対面だろう、俺とあなたは」
「私が天から遣わされた愛の天使だから」
「……」
思わず絶句してしまった。まさか本当に天使とは思わなかった。しかも愛の天使て。厨二病が酷くなったのか俺は。
「寂しい、愛が欲しいって声が、音を通してすごく伝わってきた。鉛の矢を撃ってもないのにそんなに強く聞こえてきた。だから急いで飛んできた」
「……そんなに寂しい音だったかい?」
「ええ。そして悔しそうでもあった。何があったのか、よかったら私に話して欲しい」
「……ガキの頃のつまらない話だが、聞いてくれるかい?」
そう、話にしたら本当につまらないものだ。モテたくて音楽を始めたらのめり込みすぎて、気付けば彼女すら作らないままに音楽中心に生きた学生時代の笑い話なのだから。
「……以上だ。笑えるだろ」
「いいえ、でもあなたの寂しいって気持ちは痛いほど伝わってきた」
話をしながらギターを担いでいるわけにもいかず、また招かれざるとは言えこっちが甘えさせてもらうのだからと、座ってもらって来客用の紅茶を出した。ティーバッグだが。
「誰かいないの?あなたが思いを寄せる人は。学生時代でも、今でもいいんだけど」
「いることはいるしいたことはいたけど、残念ながら全員相手がいたよ。卒業後してから同窓会行った時は驚いたもんだ。今は転勤族だから職場恋愛なんてできやしないさ」
「なら、遊んでるお店とかは?」
「おいおい、水商売の店で一々女の子に惚れててどうするよ。身の破滅だぜ間違いなく。それに俺はそういうところには行かないことにしてるんだ」
「……そう」
すると彼女は突然俺を正面から抱きしめてくれた。細い体に見合わぬ豊満な胸が俺の胸板で潰れる。
「なら、私があなたの寂しさを埋めてあげる」
しばらく抱き合っていると、安らいだ気分になっていく頭とは別に、下半身が起き上がってきた。彼女もいつの間にか胸が固くなり、呼吸も荒くなってきた。
「……そろそろマズイ」
「はぁ……何が?」
「股間が」
「……そう」
すると彼女は、その美脚を腰に回し、あぐらをかく俺の腰に体重をかけてくる。ちょうど割れ目が俺のピストルに当たるように。寝巻きにしている薄い短パンを履いているからか、気のせいか濡れている感触が伝わってくる。
「……全部脱いで」
「いいのか?」
「いい。むしろ裸で感じたい」
そういうと彼女は俺から一旦離れると、来ているものを脱ぎ捨てる。俺も急いで全裸になると、彼女を押し倒した。彼女から放たれる雄を誘うような匂いと、わずかに残るアルコールが俺から理性を奪った。
「あっ……」
「……もう、止まれないからな」
「むしろ止めたら怒る」
そして俺は、前戯もなしに彼女の腰へと自らの腰を叩きつけた。
「あくっ……」
「ぐっ……」
すると俺は、あまりの熱さと狭さに驚いた。
「まさか、初めてなのか?」
「ええ……あなたもでしょう?」
「なぜバレた……」
「そういう存在だから」
お互いに初めてを捧げあった。しかし、女に溺れる男の気持ちがわかった。こんなに優しくされ、求められれば、男からすれば逆らえない。
「ん……動いて?」
「え、もういいのか?」
「うん……もっと色々して欲しい」
「そうは言うが……」
実際今の俺は、あまりの熱と快感で腰が砕けて動けない。すると彼女は、俺の両肩に手を置くと自分で腰を動かしだした。
「ちょ、まっ……」
「っ、待て、ないっ……」
「で、出るっ……抜いて!中は……」
そして今更だが、ゴムをしてないことに気付く。手遅れな気がするが、それでもいきなり孕ませるようなことがあってはマズい。しかし彼女はそれを聞くと表情がこれ以上ないくらいに歓喜に蕩けた。
「出してっ、孕ませてっ!」
「ええっ!?」
「こう、なった、時に……はぁ、違う、あなたのところにっ、来た時からっ、覚悟は、してきたからっ……」
「そういう問題じゃ……」
「いいのっ、もう、そういうこと、いう口は……」
必死に訴えようとするが、彼女によって口が塞がれてしまった。彼女自身の唇によって。
「んんっ……」
彼女自身の味は非常に官能的で、もう我慢ができなかったと思った瞬間。
「んんんんんんんんんんっ!?」
俺の股間が暴発した感触と同時に彼女が震えると、中も体も力いっぱいしがみついてきた。全てを搾り取るかのごとく。いや、実際に中は絞られているのだろう。
「はぁ……はぁ……」
互いに唇を話すと銀の橋がかかり、互の荒い吐息が交じり合う。そして中のものを吐ききった俺の得物は力を無くし、脱力感から体を離した時に結合が解かれた。
「お掃除……する……」
しかし彼女はまだ元気があるのか、うつぶせになって俺の股間に顔をやると、自分を貫いたブツを口に含む。
「はぁ……」
深呼吸しながら彼女の奉仕を受け、俺はただ倒れていた。
音楽を始めたばかりの頃は、ただたくさんの女の子にちやほやされたかった。高校を卒業すると、もう女の子より音楽に夢中だった。そして大学を卒業すると、だらしのない自分を愛してくれるただ一人の女の子が欲しかった。それが俺の寂しさの原因だったのかも知れない。音楽に溺れて恋を諦めようとしていたのは、自分が打ち込めるものが相手の都合でなくなってしまう怖さから目を背けたかったからか。しかし成長と共に、周りが伴侶を見つけ、既に子育てをしている奴もいるという。そんな中俺は何をしているのかわからないままに、したいことが見つからず、ただ生きていることに飽きてきて、溺れられるものが欲しかったのかも知れない。
しかし、俺は今最高に幸せだ。例えどんなに転勤を重ねても、それこそ転職しようと失業しようと絶対に離れない天使が俺の横にいてくれるから。俺の歌で、俺の音で楽しんでくれるから。俺は夢を叶えられた。大勢の人に自分を見せつけたい思いこそ残りはするが、それ以上に一緒に人生を歩きたい女の子が横に居てくれるから。
「ねぇ、君はいつまで俺の隣にいてくれるんだい?」
「あなたが私のものでいてくれる限り。他の誰かのものになんかさせない。私だけにくれる音をずっと聞かせて?」
仕事が転勤族のため家の心配がない分かろうじて愛車持ちで一人暮らしをしてはいるが、中古の軽を適当に見繕った上最低限のメンテナンスしかしていない。10代の頃は金がないなりに色々とやりたいことがあったはずなのだが、20代になり大学を卒業して今いる会社に就職を決めると、仕事に慣れるまでが大変でだんだん無気力になっていった気がする。
社会人になれば楽しいことがたくさん待っていると思っていた自分はどこに行ったんだろうか。夢に囲まれて無邪気に生きていた自分はどこに行ったんだろうか。酔いが回ったかそんなことをふと思うと、部屋の隅に立てていたギブソンのレスポールを手に取ってみる。とある邦楽バンドのギターヴォーカルに憧れて、高校の頃必死にバイトして買って、大学を卒業するまで潰さん限りに毎日弾き続けていた一品。社会に出てからもいつでも使えるように手入れは欠かさなかった。若気の至りと言われれば否定はできないだろうが、これだけは捨てられなかった夢の欠片と懐かしき思い出の音色が俺の耳を叩く。
一時間は経っただろうか。高校時代から使い続けたローランドのスピーカーアンプから響くサウンドに酔いしれた俺は様々なフレーズを思い描く限りに弾き倒し、程よい疲れが両の掌にやってきた頃、突然目の前に天使が現れた。比喩ではなく、いや、比喩だとしてもいいだろう。帽子と白いニーソックス、肘まで覆う白い手袋以外は下着かと思うほど露出している褐色肌でスレンダーな美女。その手に持つは弓、その背に負うは二色の矢と、純白に輝く一対の翼。少なくとも俺の知り合いにこんな奇抜な格好をする女も、これほどの美人もいない。後光でも差しているのか、やけに輝いて見えて眩しい。というか、中断したのはそれに気付いたからだ。明らかに部屋の照明より眩しいものがいきなり現れたら誰だって気付くし驚くだろう。
「……いい音色ね」
「そうかい?まぁ、安物だけどね」
「あなたの技のなせるものね。相当の修練を積んだんでしょう。なのに叶わなかったことがある。違うかしら?」
「なんでそこまでわかるんだい?初対面だろう、俺とあなたは」
「私が天から遣わされた愛の天使だから」
「……」
思わず絶句してしまった。まさか本当に天使とは思わなかった。しかも愛の天使て。厨二病が酷くなったのか俺は。
「寂しい、愛が欲しいって声が、音を通してすごく伝わってきた。鉛の矢を撃ってもないのにそんなに強く聞こえてきた。だから急いで飛んできた」
「……そんなに寂しい音だったかい?」
「ええ。そして悔しそうでもあった。何があったのか、よかったら私に話して欲しい」
「……ガキの頃のつまらない話だが、聞いてくれるかい?」
そう、話にしたら本当につまらないものだ。モテたくて音楽を始めたらのめり込みすぎて、気付けば彼女すら作らないままに音楽中心に生きた学生時代の笑い話なのだから。
「……以上だ。笑えるだろ」
「いいえ、でもあなたの寂しいって気持ちは痛いほど伝わってきた」
話をしながらギターを担いでいるわけにもいかず、また招かれざるとは言えこっちが甘えさせてもらうのだからと、座ってもらって来客用の紅茶を出した。ティーバッグだが。
「誰かいないの?あなたが思いを寄せる人は。学生時代でも、今でもいいんだけど」
「いることはいるしいたことはいたけど、残念ながら全員相手がいたよ。卒業後してから同窓会行った時は驚いたもんだ。今は転勤族だから職場恋愛なんてできやしないさ」
「なら、遊んでるお店とかは?」
「おいおい、水商売の店で一々女の子に惚れててどうするよ。身の破滅だぜ間違いなく。それに俺はそういうところには行かないことにしてるんだ」
「……そう」
すると彼女は突然俺を正面から抱きしめてくれた。細い体に見合わぬ豊満な胸が俺の胸板で潰れる。
「なら、私があなたの寂しさを埋めてあげる」
しばらく抱き合っていると、安らいだ気分になっていく頭とは別に、下半身が起き上がってきた。彼女もいつの間にか胸が固くなり、呼吸も荒くなってきた。
「……そろそろマズイ」
「はぁ……何が?」
「股間が」
「……そう」
すると彼女は、その美脚を腰に回し、あぐらをかく俺の腰に体重をかけてくる。ちょうど割れ目が俺のピストルに当たるように。寝巻きにしている薄い短パンを履いているからか、気のせいか濡れている感触が伝わってくる。
「……全部脱いで」
「いいのか?」
「いい。むしろ裸で感じたい」
そういうと彼女は俺から一旦離れると、来ているものを脱ぎ捨てる。俺も急いで全裸になると、彼女を押し倒した。彼女から放たれる雄を誘うような匂いと、わずかに残るアルコールが俺から理性を奪った。
「あっ……」
「……もう、止まれないからな」
「むしろ止めたら怒る」
そして俺は、前戯もなしに彼女の腰へと自らの腰を叩きつけた。
「あくっ……」
「ぐっ……」
すると俺は、あまりの熱さと狭さに驚いた。
「まさか、初めてなのか?」
「ええ……あなたもでしょう?」
「なぜバレた……」
「そういう存在だから」
お互いに初めてを捧げあった。しかし、女に溺れる男の気持ちがわかった。こんなに優しくされ、求められれば、男からすれば逆らえない。
「ん……動いて?」
「え、もういいのか?」
「うん……もっと色々して欲しい」
「そうは言うが……」
実際今の俺は、あまりの熱と快感で腰が砕けて動けない。すると彼女は、俺の両肩に手を置くと自分で腰を動かしだした。
「ちょ、まっ……」
「っ、待て、ないっ……」
「で、出るっ……抜いて!中は……」
そして今更だが、ゴムをしてないことに気付く。手遅れな気がするが、それでもいきなり孕ませるようなことがあってはマズい。しかし彼女はそれを聞くと表情がこれ以上ないくらいに歓喜に蕩けた。
「出してっ、孕ませてっ!」
「ええっ!?」
「こう、なった、時に……はぁ、違う、あなたのところにっ、来た時からっ、覚悟は、してきたからっ……」
「そういう問題じゃ……」
「いいのっ、もう、そういうこと、いう口は……」
必死に訴えようとするが、彼女によって口が塞がれてしまった。彼女自身の唇によって。
「んんっ……」
彼女自身の味は非常に官能的で、もう我慢ができなかったと思った瞬間。
「んんんんんんんんんんっ!?」
俺の股間が暴発した感触と同時に彼女が震えると、中も体も力いっぱいしがみついてきた。全てを搾り取るかのごとく。いや、実際に中は絞られているのだろう。
「はぁ……はぁ……」
互いに唇を話すと銀の橋がかかり、互の荒い吐息が交じり合う。そして中のものを吐ききった俺の得物は力を無くし、脱力感から体を離した時に結合が解かれた。
「お掃除……する……」
しかし彼女はまだ元気があるのか、うつぶせになって俺の股間に顔をやると、自分を貫いたブツを口に含む。
「はぁ……」
深呼吸しながら彼女の奉仕を受け、俺はただ倒れていた。
音楽を始めたばかりの頃は、ただたくさんの女の子にちやほやされたかった。高校を卒業すると、もう女の子より音楽に夢中だった。そして大学を卒業すると、だらしのない自分を愛してくれるただ一人の女の子が欲しかった。それが俺の寂しさの原因だったのかも知れない。音楽に溺れて恋を諦めようとしていたのは、自分が打ち込めるものが相手の都合でなくなってしまう怖さから目を背けたかったからか。しかし成長と共に、周りが伴侶を見つけ、既に子育てをしている奴もいるという。そんな中俺は何をしているのかわからないままに、したいことが見つからず、ただ生きていることに飽きてきて、溺れられるものが欲しかったのかも知れない。
しかし、俺は今最高に幸せだ。例えどんなに転勤を重ねても、それこそ転職しようと失業しようと絶対に離れない天使が俺の横にいてくれるから。俺の歌で、俺の音で楽しんでくれるから。俺は夢を叶えられた。大勢の人に自分を見せつけたい思いこそ残りはするが、それ以上に一緒に人生を歩きたい女の子が横に居てくれるから。
「ねぇ、君はいつまで俺の隣にいてくれるんだい?」
「あなたが私のものでいてくれる限り。他の誰かのものになんかさせない。私だけにくれる音をずっと聞かせて?」
15/06/11 17:23更新 / ☆カノン