ここは青い草原を眼下に見下ろす石細工の盛んな親魔領の町『セディア』の郊外にある牧羊地の主ラウル・ジルンの家。

そこの畜舎でせっせとイイ汗を流して働いているはラウル本人であった。
しかし、彼の表情は余り優れていないようだ。

どうしたのだろうか?

「･･くそっ･･･あのババァ･･ﾖｯ･･アウルが大口開けて寝ていたのをいいことに･･ﾊｯ･･無理に噛ませやがって･･･ﾌｩー･･･」
ブツブツと愚痴を漏らしながらも干草を纏めて畜舎の清掃作業をするラウル。

「おかげでアウルが『ごめんなさい』連呼して泣き出したんだぞ･･･ｯｲｼｮｯﾄ･･･あぁぁ! もうっ、思い出しただけで腹立ってきたっ!!」
ガーッ、と掃除用具から手を離し頭をガシガシかき乱し両手で頭を抱えて激しく咆哮した。

「どんだけ大変だったことか････ﾌｩｰ･･･よいしょ･･･よし、終わり。」
しばしの咆哮のあと清掃を再会し今ちょうど終わったようだ。
そして掃除用具を纏めて納屋へもって行く途中でも再びラウルは愚痴を漏らす。

「しかも次の日には『探さないで。夫と共に子作りしてくるっ♪』とかカワイコぶった手紙置いて蒸発とか･･･信じられん･･･」
ズリズリと器具を引きづる音と共に遠くで疎らに散らばった羊達がメェ〜、と鳴く声が時々聞こえる炎天下の中納屋にたどり着き器具をしまい始めた。

「よし、終了。･･･にしても今日はアツいな〜･･･過去最高気温か?」
と目を細めて眩しそうに手を翳して上を見るラウルはふぅ、と溜息を一つして羊達の放たれている牧草地帯に向かい歩き始めた。

区切りの柵を越えて生い茂る枝葉で日陰が出来ている木がポツポツと定間隔で生えた中の一本に歩み寄る。
するとその木下でだらしなく体を地面にのべぇ〜、と伸ばす一匹のワーウルフがいた。

「おいおい、大丈夫かよ? アウル?」
「ぅぅ･･･あづい･･･水浴びした〜ぃ･･･」
ダレッ、と目をぴったり閉じて眉尻を下げて「大丈夫だぁ〜･･」と返事をするかのように尻尾をフルッ、と一振りした。

「うぅ〜ん、流石に今は勘弁してくれなアウル。今お前がココを離れちゃうと羊達を見るのが誰もいなくなっちゃうんだ。」
「ぅん･･･わかってるよぅ･･･」
相変わらず顔はダレきっているが尻尾はフリフリと揺れている。頼られたことがとても嬉しいようで。

「ところでアウル? ロロナ見なかった?」
「ぅぁ? ロロナ? ･･･あ、多分今だと洗濯物干してるね。」
「そっか、ありがとうなアウル♪」
そう礼を言うと今は背を伸ばしラウルと同じくらいに成長したアウルの頭を一撫でする。
「わふん♪」、とソレを享受するアウルの顔はとても嬉しそうだった。
アウルを撫でたラウルは立ち上がりロロナを探しに自宅へと向かった。

「あ、今日は気温高いから渡した水と岩塩舐めて熱中症に注意してくれよぉ〜」
と注意を喚起する言葉をアウルに残して。

そして自宅に来てみて吃驚した。

「････ぁぅぅ････」

目をぐるぐると回して倒れているワーシープが倒れているではありませんか!!

「ぅぇっ!? ロロナっ、おいっ!」
「あへへ〜ご主人様ぁ〜♪」
ラウルはすぐに駆け寄り抱き上げた。体温が高くなりすぎた為、目が回ったままなのににやけた顔は口から涎が出ていた。

「まずいな･･･とにかく水分と塩分を与えて･･･っと、よし。」
ムニャムニャと口ごもりながらも水を飲み岩塩を少し齧ったロロナ。

「んで日陰に避難させて･･･ﾖｲｼｮｯ･･･っと。」
自宅の長窓を開け広げて奥のほうの冷たいソファにロロナを寝かしたラウルはすぐさま水で布を多く湿らせたモノを水を張ったバケツに入れて持ってきた。
そして体の肌が露出しているところにそれらの布を当てていく。

暫くして･･･

「･･･んん･･･あ、あれぇ〜?　私ぃ〜どうして寝てるのぉ〜?」
「お、よかった･･･ロロナは熱中症で倒れちゃったんだよ。」
むくり、とゆっくりした動作と口調で復帰したロロナを見てホッと溜息をするラウル。
そのラウルの溜息に気付いてロロナはラウルの方へ向き直りぱぁぁぁ、と太陽の様な笑顔を向けて耳をパタパタと上下させていた。
ついでに尻尾も。

「あ〜ご主人様ぁ〜おはようございますぅ〜」
「え、あ、お、おはよう。」
あまりのマイペースにちょっと戸惑うラウルであった。
だが、ラウルはその怯んだ表情を一変して真剣な眼差しでロロナをジィーッとみる。

「やぁ〜ん♪　はずかしいぃ〜♪」
よほど恥ずかしいのかキャッキャして耳が下がり両手で頬を押さえて緩い速度で顔を左右に振る。

すると?



「･･･よし。ロロナ、毛を刈ろう。」
確りとした目でロロナへその言葉を告げるラウル。



「･･･えぇ〜毛ですかぁ〜?」
ソレを受けてキョトンとした表情のロロナは意味を理解すると唇に人差し指をピトッとつけて首をかしげた。

「(うっ、か、かわいい♪)そ、そう。毛が多すぎて倒れちゃったもんだからね。」
「ふぅ〜ん?･･･いいですよ〜?」
その仕草の可愛さの余りデレッとなりかけたラウルであったが何とか持ちこたえてロロナの了承を得た。
ラウルは急ぎ納屋から羊の毛刈り用のバリカン鋏と毛切鋏を持ってき･･･たかったのだが、それが無かった。

「あれ? ここにおいておいて･･･あ!」
ハッとした表情になってラウルは今日の朝方のことを思い出した。

『あれ? 　ラウル。この鋏２本、刃こぼれしているよ?』
『なに?! あ、本当だ･･･』
『じゃあアタシ仕事の前に街行く用事あるからその時一緒に修理だそうか?』
『うん、アウル頼むよ。』

「･･･そうだった、修理に出しちゃったんだよなぁ〜･･･ん〜･･･」
ポリポリと頭を掻いて困った顔をし俯いた瞬間何かがキラリと光ってラウルはそれに気付く。

「ん? これって･･･仕方が無い･･･これで刈ろう･･･いや、剃ろう。」
と、光の原因を握って刃こぼれが無いか確認して大丈夫だったので少し研いでからロロナのいる自宅へと向かった。

そして石鹸と水を張った桶を用意してリビングをかたずけて敷き布を引いた。ソコにロロナを呼んで座らせると毛刈りを開始する。

････････

････

･･･

「大丈夫? いたくない?」
「大丈〜夫でぇ〜す。」
ジョリッ、っとロロナの足側の毛を一枚刃の剃刀で刈っていく。
黒い皮膜(?)を傷つけないように慎重に肌に、少しずつ石鹸の泡をつけながらロロナの健康的な美脚を剃っていく。
そこから立ち上るワーシープの魔力の篭った毛を誤って吸わないように布で口元と鼻を防御しつつラウルは剃っていきロロナの足の強靭だがしなやかで細いラインがくっきりしてきた。

「はい、足は終わったよ。」
「んー･･･何だかスースーしますぅ･･･」
両足が黒い皮膜に、見方によっては黒のハイソックスのみの状態になった。
ただし足先はワーシープの所以たる二股の黒い蹄がちょこんとついてはいるけれど。
毛が段々と無くなるたびにロロナの表情が普段のトロンとしモノから本来の魔物のような爛々とした表情になっていた。

「･･･んふふ♪」
「ん? なにか言った? ロロナ?」
しかしラウンは後ろに周り背中側の毛を刈っているためロロナの表情が見えずに聞き返す。
しかしロロナは「なんでもないですよ♪」と心なしか普段より滑舌がいい声ではっきりと返事をした。

「よし、と。さて、次は胴だな･･･」
「･･･♪」
ラウンは作業に集中するあまりロロナのほうへは顔を向けずに上半身のブラのようになった毛を剃り始めた。
形良く、女としてたわわに実った小玉スイカほどもあるその胸の毛を慎重に剃っていくラウル。

(･･･あれ? ロロナの乳首立ってないか?･･･いやいやまてまて。まずは毛を剃り終えるまで集中だっ!!)
事実ロロナは黒い皮膜の上からでも分かるくらい小ぶりの可愛らしい突起が二つ自己主張していた。
そんなロロナはというとかなり息が荒かった。
そして上半身の剃りこみが終わった。剃り終った上半身を見るとちょうど黒い皮膜が人間女性で言う陸上の選手が着る腹見せのインナーシャツに見える。
･･･ぶっちゃけエロイ。
乳首はさらに突起を高くくして呼吸に合わせてピクンピクンと動いている。
己の邪念を払うようにして首をブンブン横に振って水分を取るために一息ついた瞬間のこと。

「･･･ねぇ? ご主人様ぁ?」
「ん?　なんd･･んぶぅ!?」
後ろを向いて水を取ろうと体を捻った瞬間にロロナに呼ばれたラウルはクルッと正面を向きなおす。
すると行き成り体を密着させられて布を解かれて口をふさがれた。

「ｱﾑｯ･･･ﾁｭﾙﾙﾙﾙ･･･ﾁｭﾌﾟｯ･･･」
「(うぉぉっ!? ふ、普段より激しいんですけどっ!?)」
そのキスの激しさたるやワーウルフであるアウルに全く引けをとらないほどの激しさであり普段のスローペースなワーシープからしたら考えられないくらい煽情的で情熱的であった。

「っぷぁ･･･どうしました、ご主人様♪　私の毛を剃るんですよね?」
「っぷぁ! ･･･あ、あぁ･･･」
普段の眠そうで話し方がゆっくりなロロナはソコに無く、かわりに目が蒼水晶のようにキラキラと瞳を輝かせて寝ぼけ眼の目が見開かれて、少し顔が紅潮している呂律が確りし滑舌よくテンポ良く話す『魔物の気性に目覚めた』ワーシープがいた。

(普段のロロナもいいけど･･･コッチもコッチでいいな♪)
「じゃあ次は手を剃るよ。さ、ロロナ左手出して?」
「はいどうぞ? 綺麗に剃ってくださいね? ご主人様♪」
スッと差し出した左手を出すロロナの表情はニタァと何か悪戯を考えている子供のような笑顔だった。

「よし、んじゃあ･･･っおぅ!?」
「んふふ〜♪　どうしたんですか〜♪　女の子みたいな声をだしちゃって♪」
ラウルは預けられた左手の毛を肘側からゆっくり慎重に剃っていたんだが途中で下半身から強烈な電撃のような感覚が襲ってきた。
悪戯が成功したような顔のロロナのあいている右を辿ってみると、なるほど。


ロロナは右手でラウルの服越しに玉をクニクニと弄り転がしているではないか。


「ねぇ、ご主人様♪　はやく剃ってくれないと･･･次は･･･」
「わ、分かったっ! だからちょっと待ってろ、な!?」
ラウルはその快楽にビクンビクンとしながらも左腕の残りを丁寧に剃り上げた。
そう、ロロナはラウルが剃っている最中もずっと玉を弄っていたのであった。

「ﾊｧﾊｧ･･･つ、次は右な･･･」
「は〜い♪」
ロロナは剃り終った左を引っ込めて先ほどまで玉弄りしていた右をスッとラウルの前に剃りやすい様に出す。

「はぁ･･･よし剃るz････うぇぃ!?」
「またぁ♪　どうしたんですか♪　そんな声上げて♪」
ラウルは声を上げるのは仕方が無い。


ロロナの左手がズボン下のイチモツを確り握りこみ動かし始めたからである。


対面で座っているので前側からするり、と入ってきた手は自然な動きでラウルのイチモツに纏わりついて快楽という毒をラウルの神経に流し込んでいた。

「ご主人様ぁ? はやく毛を刈ってくれないと･･･もっと凄いことしちゃいますからね♪」
「ﾊｧﾊｧ･･･ぅくっ･･･じゃじゃあ･･･剃るぞ･･･っく･･･」
ラウルは必死に耐える。ロロナの表情が訴えている。「まぁ止めませんけど♪」とっ!
歯を食いしばりながらもキチンと仕事をこなしていくラウルは流石としか言いようが無いが悪戯している側のロロナは面白くないようで徐々に不満顔になっていった。

「ﾊｧﾊｧ･･･よし･･･お、終わった･･･」
「じゃあご褒美です♪　えいっ♪」
「えっ?! っぁ! ぁぁぁ!!」
右の一剃りが終わって両腕の毛剃りが終わった瞬間待っていましたと言わんばかりに再び悪戯顔になったロロナは素早くラウルのイチモツをズボンから引き出してラウルを押し倒した。
ちょうどロロナの毛が山になっている所に突っ込んだ為に毛に溜まっていた濃厚な魔力がラウルを襲いラウルは意識が沈みかけた。

「ロロ･･ナ･･･やめ･･･」
「いやです♪　･･･はぁ〜♪　ご主人様の子種汁･･･ｼﾞｭﾙﾙ･･･」
ラウルが朦朧とする意識の中ロロナにやめるよう強めに言うも拒否され、ラウルの爪先からジワジワと這い上がってきたロロナはラウルの腰で上昇を止めてそのむき出しになったラウルのイチモツを自身の黒い双丘に挟み込み出てきた先端を口にくわえ込んで愛撫を始める。
ロロナ手コキでさえイきかけたラウルにその強烈な、腰が砕けるような快感に堪えれることはなくそのままロロナの胸の黒い皮膜を白く染め上げた。

「あはぁ♪　いっぱいでましたねぇ♪　こだねじるぅ♪」
「ﾊｧﾊｧ･･･うぅ･･･」
「でもご主人様ぁ?　まだココ･･･剃っていないですよぉ?」
足、背、胸、腕････まだある剃り残し。
そう。


股上。


それを態々ラウルの腹上まで移動して膝立ちになりへそ下からゆっくりと手を下ろしていく。
ラウルにココだよ、と示すように。熱をもった視線で扇情的に。

「ぅぁ･･･うん、ロロナ･･･いま･･剃る･･ね･･･」
「あはぁ♪　うれしい♪」
虚ろな瞳でソレを見やるラウルは己の分身をいきり立たせながら剃刀を握って準備した。
それに釣られてロロナは再びラウルの体を上昇して顔の上に膝立ちで跨った。

「さぁご主人様ぁ♪　しっかりと仕事できるようにこんなに近くにきましたよぉ♪」
「･･･ぁぅ･･･」
虚ろな瞳のラウルはもう何も言えなかった。
目の前のピチャッと音を立てて落ちていきそうな雫をたっぷりと溜めた蜜つぼの前にある真っ白なフワフワの壁を一心不乱に剃り始めた。

「っあ♪　ひぃん♪　ぁぁん♪」
やはり魔物、人関係なく女としてその部分はとても敏感なようでｼﾞｮﾘｯ、とそるたびにロロナにはゾクゾクｯとした快感が脳にやってきているようだ。

そしてロロナがその快楽に耐えていると不意に剃る音が聞こえなくなった。
不思議に思い下を覗き込むと虚ろな瞳のラウルと目が合った。
どうやら剃り終わったようであった。

ロロナの剃り終わった股上はまるでホットパンツであった。
ただし･･･割れ目や菊門が丸出しだが。

暫しラウルのその様子を見ていたロロナだったがニヤリっ、と微笑むとラウルの顔に腰を落とした。

「それじゃあご主人様ぁ、ご褒美ですy･･･んぁぁっ♪」
ロロナが言い切る前にもはや本能で動いているラウルは剃刀を遠くへ投げて目の前の甘い甘い蜜を垂らしているロロナの蜜つぼに吸い付いた。
ロロナの両足を両手でホールドして。

「あ、ご、ご主人･･あひぃぃ♪･･様ぁ･･うぎっ♪･･･き、きもち･･･うくぅ♪･･よしゅぎ･･れしゅぅぅ♪」
あまりの快感でロロナは上を向いて甘い嬌声を出し、腕は何かを掴もうとしているようで胸の前で宙に浮いた状態であった。
しかしそんな状態のロロナを気にすることも無く激しく責め続けるラウル。
やがて絶頂に近くなったロロナはラウルから口を離してもらおうとラウルの額に両手を突っ張らせて話させようとするもまるで万力で固定されているかのようにピクリとも動かなかった。

「あ、あ、あ、だ、だめっ♪　くる、くりゅぅ♪　ぁぁぁぁぁぁぁぁ♪」
やがてやって来た大きな波にロロナは背をピンと張って全身の筋肉を緊張させた。
その時ロロナの尻尾が激しく左右に振れた時ラウルのはち切れんばかりに膨張したイチモツを叩いた。

「･･･っん! んんゥゥゥゥッ!!!」
その小さな衝撃が引き金を引いて再びラウルはロロナを白く汚した。
その不意の攻撃を浴びた神経が過敏になっていたロロナは折角落ち着いたところに再び火をつけられた。

「っぁぁ♪･･･ご、ご主人様･･･もっと、もっとほしいですぅ♪　ココにたっぷりくださいぃ♪」
ビクンと痙攣してラウルの横に寝る形に倒れたロロナはすぐに体の自由が戻ってラウルに尻を向けてふわふわの尻尾を振り、上半身を床につけ二つの双丘をぐにゃりと変形させ切なそうな顔をラウルへ向け、両手で自分の割れ目をくぱぁと広げる。

ぞくに言う『ニャンニャンスタイル』にてラウルを誘った。

その瞬間。


ズンっ!


「っあはっっ♪　き、きたぁぁ♪　極太ソーセージぃぃ♪」
ラウンはバックで激しく犯し始めた。

「おほぉぉ♪　膣かべぇゴリゴリえぐってりゅぅぅ♪　あ゛ぁっっ♪　Ｇスポットゴツゴツあたってぇりゅぅぅぅぅ♪」
その腰の動きはロロナの想像以上でロロナはすでに意識が飛びかけていた。
パチュンパチュンと水音と一対の番の嬌声が響く室内にはワーシープの魔力がコレでもかというほど溜まってきていた。

「うひぉ♪　ごしゅじんさまぁ♪　またおおきくなっちゃぁ♪　でゆのっ♪　でゆのぉぉ♪　いっぱいぃぃ♪　いっぱぃぃらしてぇぇ♪」
もう快楽漬けのせいで呂律が回らなく全身の力が入らないロロナはただただラウルの野生的な動きに身をゆだねていた。
そしてロロナのもっとも奥、子宮口にもっとも激しく打ち込まれた瞬間、二匹のケモノは同時にイきそのまま気絶してしまったのであった。

･････････

･････

･･･

２人が目を覚ましたのはその後夕方になって夕飯当番になっていたアウルが鼻歌を歌いながら帰ってきたときであった。
「アタシもヤりたかったのにぃぃっっ!!」
グズるアウルを宥める為、ラウルは後日アウルとヤる約束をしてその場を逃れたのは言うまでもない。

そして翌日。

予想以上に纏まった量になっていたロロナの毛を換金する為にラウルとロロナは朝一でセディアにて一番信用されている換金所兼質屋にやって来た。
店の看板を見ると丸い枠の中に三匹の蛇がグネグネと絡まったマーク、その右上にココの現地語で『三蛇の導き』とかいてあった。
扉を開けようとすると中から言い争いの声が聞こえた。かと思ったら行き成りバァンッ、と大きな音を立てて扉が開いて「畜生ぅぅぅっっ!!」と涙を流しながら騎士の格好をした若い人が走り去っていった。

「三日待ってやるからちゃんと金返せよ〜。･･･ん? 何かようか?」
開け放たれた扉からぬっ、と姿を現したのは綺麗に整えられた木炭色の黒髪の男だった。
ロロナとラウルがコクンと頷くと然もめんどくさそうにするも「入れ。」とだけ言って中に入っていった。

ラウル達が中に入ると先ほどの男が困った顔していた。
ラウル達もどう反応していいか分からなかった。

だってラミア種三人に巻きつかれているんだもの･･･。

男は溜息を一つはいて「いつものことだ。気にするな。」とだけ言ってそのままラミア種の方々を殴って説教をしていた。
その説教が終わったのかコチラに向き直り商談の話になった。
そして応接間のようなソファに対面でテーブルを挟んで３人は座った。

「んで、換金か? それとも質か? 」
「換金で･･･コレを･･･」
「ん? ･･･ほぅ･･･」
ラウルは白い大きな包みをドサッと置いて広げる。勿論中身はロロナの毛だ。
男はそれをジーッと見つめ、手に取り、唸っていた。
更に男は「テス、ちょっと来てくれ。･･･こいつぁどうだ?」と呼び出した胸の大きなラミア種の人と一緒に唸って２、３会話した後にこちらに向き直ったかと思うとラウル達は男からいくつか質問をされた。

「まず･･･この毛は隣の嬢ちゃんのか?」
「はい。」
「はいそうです。私の毛です。」
ロロナは今毛無しの状態なのでそのまま町には行かせられないと言う事でラウルにより左胸の所にちっちゃい羊のアクセントがついた膝下まである薄めの素材の黒いワンピースに身を包んでいる。

「むぅ･･･毛を刈ったのははじめてか?」
「はい、一度も刈ってもらったりした事が無いので間違いないです。」
それをロロナから聞いた男は腕を組んで目を閉じた。

暫くの沈黙のあと、男は目をゆっくりと開けて後ろを向いてそれぞれのラミア種に向かって「タロト、契約書とペンを。サット、【６】もってきてくれ。」と言った。
「えぇっ!? そ、そんなにっ!?」と驚くのは金を持ってくるように言われたラミア種だった。
男はコクン、と一度頷くとその愚痴ったラミア種はハァ、と溜息一つを残して奥に行ってしまった。

そして?




ドンッ!!!･･･ｼﾞｬﾗﾘｯ･････




「･･･あのぅ･･･この皮袋の山はなんですか?」
「ん? 何をいっている。換金後の貨幣だ。」
ラウルは机の上に置かれた皮袋6つにビクビクしながら男に聞いたがサラリと返されてしまった。
ラウルは正直気絶しそうであった。
なぜかと言うと皮袋一つで半年は遊んで暮らせる金額なのだから。

「毎年毛が抜けたり刈ったりしたときにある程度纏めてまたウチにうってくれないか?　それの手付金も含めてこの価格だが･･･少ないか?」
『いえいえいえっ!? とんでもないっ!?』
ブンブンブン、と首を横に振って否定する汗だくのラウルと汗だくのロロナ。
「そうか。もし受けてくれるならココにサインをくれないか?」
「ハ、ハィッ!?」
そうしてガタガタと震える手で契約書にサインをしたラウルであった。


【完】