『酔った勢いで妖狐はトンデモな行動をしてしまった・・・』 |
事件が起こる前日・・・
其の日は新人巫女の歓迎会ということで居酒屋にて主に尻尾もちの皆さんで賑やか過ぎる酒宴が行われていた・・・ 「よぅし! 菜々っ! ビール1樽イッキしまふっ!」 「菜々さんの〜ちょっといいとこみてみたいっ!」 『『『はいっ、飲んで飲んで飲んで〜・・・・』』』 ・・・ほんとに騒々しい。座敷部屋を貸しきって妖狐が二人、稲荷が三人、カラステングが二人、人間が六人(男)。さらに新入りであるジョロウグモ、ダークプリースト、人間の女性がテーブルの華場で座ってもてはやされていた。 「うぃ〜・・・トイレいくぅ〜・・・」 一匹の稲荷が立ち上がると隣に座ってた男が一緒に立ち上がり二人で座敷を後にした。 ・・・30分後、稲荷はツヤツヤして戻ってきたが男はやつれていた。だが、満足げだった。 ・・・チクショウ・・モゲロよ・・・ ・・・ゲフンゲフン・・・ そしてその宴会の中でベロベロに酔った妖狐(独身)が・・・ 「ぅぅ〜・・・・アタシ・・・もぅかえるわぁ〜・・・・んじゃ♪」 「あら。じゃまたね綾(あや)〜。」 「しっかり酔いを明日までに抜いてこいよ。」 ソレを一組の稲荷の夫妻が気付き声をかける。 すると山彦のように【おつかれさ〜した〜】とほとんどのモノが呂律が回らないながらも挨拶をするのであった。 そして綾の帰路・・・・ ほとんどのものが寝静まって交わり時間(バトルタイム)くらいの夜中に近い時間の住宅街、電柱の街灯が仄かにともる中・・・・ 「うぃー・・・・・うぅぁ・・・ちょ〜っと飲みすぎたかしらぁ?」 顔を仄かに紅くしてトロンとした目でフラフラと千鳥足で歩く綾は・・・どうみても酔っ払いであった。 と、一人愚痴っていると前から人影が・・・ 「はぁはぁっ・・・やっべぇっ・・・遅く居すぎたっ。明日学校だってのにっ・・・」 制服であろう紺ブレザーを来た童顔の男子がこちらに向かって走ってきた。 (・・・・ぐふふっ・・・タイプだわっ!!) 街灯の明かりで顔を確認し、それが自分の好みと分かると・・・・ その後の行動は早かった・・・・ 「ねぇ、ぼくぅ〜?」 「えっ? 僕のこt」 ・・・・彼は最後まで言葉を発することは出来なかった・・・ ・・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・ チュンチュン・・・・ 「・・・ん・・・くぅあぁぁぁ〜・・・・よくねt」 ・・・ここは綾の住むアパート。その綾の部屋である。 いつもどおりの時間におきて・・・ いつもどおりに背伸びをして・・・ いつもどおりに服を正・・・そうとして違和感に気付く・・・ 「あ、あれ? ・・・なんでアタシ【全裸】なの?!」 ・・・そういつも着ている筈のデフォルメされた狐柄のパジャマを着ていなく生まれたままの姿でシーツ一枚を肩までかけたベッドで寝てた・・・ 「・・・あ、あれれ・・・お、おかしい・・・昨日の飲み会からの記憶が・・・」 彼女は焦った。 ・・・以前も飲みすぎが原因で朝気付いたら隣にカーネルおじさん1/1人形がいてソレを抱いた状態で寝ていたことがあったので・・・ 即確認した。 すると・・・どう見ても自身の腰あたりのシーツが不自然に盛り上がっている・・・ しかも身じろぎしているのかモゾモゾと時折動く・・・ 「・・・あちゃー・・・ワーキャットかネコマタあたり拾っちゃったか・・・?」 ちょっと自分の酒癖の悪さに呆れながら微笑んで確認するためシーツを捲る。 「う〜ん・・・も、もう出ないです・・・・おねぇさん・・・・うぅ・・・」 「え゛っ!?」 ・・・そこにいたのはワーキャットでもネコマタでもなく、ましてや雌犬アヌビスでもなく・・・ 全裸の男の子だった(半勃ちver.) 「・・・あるぇ〜???・・・あぁ、夢か。」 ・・・綾は現実逃避に走る。だが・・・ 「あくっ・・・うっ・・・も、もう無理です・・・・」 男の子の寝言が聞こえるたびにムラムラして現実に引き戻される。 「・・・ジュルリ・・・・はっ!? と、とりあえず落ち着きましょうアタシっ!・・・よし、まずはコーヒーを入れてニュースをみよう。うんそうしよう。」 ・・・何やら口から涎を垂らしながら一人自己暗示をするかのように呟き男の子を起こさないように腕を解かせてベッドから起きて普段着を着て・・・ついでに男の子にもその子が着ていたであろう服を着せていく。 そしてコーヒーの粉末をカップに掻き入れてポットからお湯を注ぐ。・・・ちょうどお湯が切れたみたいだった。 そして冷蔵庫から『超濃厚っ! 山田さんちのホルミルク』の紙パックを取り出しコーヒーにそそぎカフェラテにしてソレを口にする。 「・・・ん〜・・・相変わらずホルミルクラテっておいしいわぁ〜♪」 フサフサとした尻尾を5本ふりふりさせて、耳をペタンとたおしコーヒーの味に舌鼓をうった。 そして二口目を含みつつテレビをつけるとちょうどセイレーンのニュースキャスターのニュースがやっていた。 ・・・・・・緊急速報で。 『・・・スです。只今入りました情報によりますと、昨日未明、ガーネット・カンパニーグループ総裁のご子息である【早川 勇(はやかわ ゆう)】君(14歳)が××市内にて誘拐された模様です。未だ犯人からの連絡はありません。 早川 勇君の最後に接触したと思われる友人の証言では・・・ 「昨日遅くまで勉強の手伝いをしてもらったんだけど・・・送っていくといったらイイといわれたので其のまま送ったんです。でも何故か急に胸騒ぎがしたので叔父さんに連絡したんです。・・・そしたらこんな事に・・・・。」 友人の方はなんとも悲痛な面持ちで話してくださいました。心中お察しいたします・・・。 繰り返しますが、誘拐犯からの連絡は未だきておりません。 もしかしたら付近にまだ犯人がいるかもしれません。周囲の方々は十分注意して、怪しい人物を見かけたら直ぐに110番に連絡を・・・』 ぶふふぅぅぅぅーーーーーーーーーーーーっっっっっ!!!!!!!!????? 綾は口に含んでいたコーヒーを全て噴出してしまった・・・・ それも無理は無い。 ・・・・ニュースに写っていた被害者の少年が現に自分のベッドで寝ているのだから・・・・ 「あわ・・・・あわわわ・・・・・ア、アタシ・・・誘拐犯・・・・なのっ!?!?!?」 ガタガタ震えだす綾・・・ そこへ・・・ 「(ドンドン)すいません、綾さん。昨日男子を連れ込んだと付近の住人の方が・・・」 (えぇぇぇ!? もうばれてる・・・・あわわわっ! あわわわっ!!?) かなり慌てる綾。・・・・尻尾が忙しなく縦横斜めにブンブン振れている・・・ 「・・・こ・・・こうなったら・・・・・にげるっ!!」 ・・・正直に話せば罪は軽くなるのでは? という疑問は最初から出なかったようだ・・・ 「とりあえず・・・・」 綾は扉に張り付き先ほど聞こえてきた女性(の警官?)のほうへ自身の淫気が濃縮された気を放つ。 すると・・・ 「あぅっ!? きゅぅぅん!!?? な、なにこの感覚っ!?!?・・・ま、まるで発情期が・・・あ゛あ゛・・・ガマンデキナイ・・・・ヤラセテーッ!!」 「え゛っ!? ちょ、警部っ!?・・・あ・・アッーーーー!!」 「・・・よし。・・・ふふ、伊達に妖狐やってないわよ♪」 と、明らかに力の使い方を間違っているにもかかわらずドヤ顔する綾。 ・・・カメラなんて無いよ? 綾はすばやく荷物を纏めると再びドアの前に張り付いて外の様子を伺う・・・ 「ハァハァ・・・モット・・・モットォォ!! アオォーーーン♪」 「あ、が・・・・抜かず5発とか・・・・・すごすぎ・・・る・・・」 ・・・アヌビスか? ワーウルフか? ・・・分からないがウルフ属の魔物なら暫くは大丈夫だろう。 綾はドアと反対にある窓に足をかけて飛び降りようとした・・・時に男の子の方を見る。 「・・・ぐぅー・・・も、もう無理ですー・・・・ぐぅ・・・」 「・・・・・・・・・」 ピッ rァ・持っていくに決まっているだろ?JK ・馬鹿っ! 常識考えろってっ!! 「・・・・・・・・・」 ピッ ・持っていくに決まっているだろ?JK rァ・馬鹿っ! 常識考えろってっ!! 「・・・うん。」 ぴろり〜ん♪ rァ・持っていくに決まっているだろ?JK ・馬鹿っ! 常識考えろってっ!! 「おもちかえりぃぃぃ♪」 そういうや否や男の子を脇に抱え上げて二階の窓から飛び降りた。 ・・・こうして妖狐・綾のトンデモ逃避行は幕を開けたのであった。 その後彼女たちがどうなったか? ・・・・それは誰も知らない・・・・ 【完】 |
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