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ーー【傾国】第十章 堕ツル柱、一本・・・ーー |
長海らは帰路の途中で兵装を剥ぎ取った兵士へ綺麗に装備を付け直して廊下の壁に寝かせた。 そして急ぎ焔の元へ向かうのであった・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・ そして現在葛篭の部屋にて・・・ いつものように『人除けの術』と『絶音の術』を施して傾国勢が全員集合していた・・・ 「よし、上出来。」 「っぁ・・・はぁ♪・・・・・ンクゥゥ・・・」 「・・・焔大丈夫なのか? この【壊れかけ】の状態で・・・」 無事救出した女を寝具に寝かし、その周りを奈々以外で囲っていた。 ・・・奈々は部屋の片隅で鼻を掃除していた・・・がようやく復帰して輪に加わった。 「よし、やってみるか・・・」 ・・・おもむろに焔は『転写』をといて本来の姿になる。 余談だが・・・服はすでに着替えていたので寸足らずにならずに済んでいた。 「ほぅ・・・尻尾が【八本】か・・・」 「うわぁ・・・綺麗です・・・」 奈々と春は初めてみる本来の焔の姿に感嘆の意をしめしていた。が・・・ 「・・・この計画で尻尾が増えるのは仕方ないが・・・なにか複雑な気がするな・・・」 眉を顰めて一人愚痴る長海であった・・・ そんな周りの声など聞こえぬと言わんばかりに集中して行く焔・・・ 段々と空気が張り詰めていき・・・ 「あわ・・あわわ・・・ぁ・・・」 ・・・あまりの氣の圧迫感により春が気絶してしまった・・・・ なおも膨れ上がる膨大な氣・・・ やがて・・・ 「・・・・ふぅ・・・葛篭、筆を貸して。」 「・・・はい、どうぞ。」 一息ついた焔は山吹色の光を全身に纏っていた・・・・ そして間を空けずに葛篭から筆を渡されると・・・ 「・・・壱の項、弐の香、参の功・・・」 「あひゃん♪ くひぃ♪ おんふ♪」 ・・・なにやら女の体へ【何かを書き込んで行く】焔。 書き込まれたところからは焔と同じ山吹色の・・・【文字や線や記号】が書かれていた。 ・・・それがよほどくすぐったいのか・・・暴れだす女。 「・・・長海、奈々。・・・押さえ込んで。」 無表情のまま二人に対して声をかける焔だったがすでに名を呼ばれた時点で行動に移して・・・ 奈々が両足を、長海が両腕を押さえ込んでいた。 「・・・上出来。・・・・肆の講、伍の候・・・・・」 と、再び筆を走らせる焔。 そして・・・ 「・・・玖の慌、十の幸・・・・・・・喝っ!!」 筆を止めて・・・氣を篭めた右手の手のひらで女の丹田を・・・強く打つっ!! 肌と肌を打ち付ける音とともに先ほどまで書かれていた呪印が強く光る。 「ぁぁ♪・・・あぁうっ?! ・・・あ゛っ・・・あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」 するとさっきまで嬌声しか上げていなかった女が急に苦しみだし・・・全身の毛という毛を逆立てて一際強く反り・・・叫び声を上げていたがしばらくすると・・・ 「あ゛ぁ・・・・・・ぁ・・・・・スゥー・・・スゥー・・・」 ・・・静かにまぶたが閉じていき、脱力し、寝息を立て始めた・・・ 「・・・はい、終わり。」 ・・・いつしか焔はいつもの様子に戻っていた。 「・・・それで・・・心は?」 長海が・・・全員が気になっていることを代表して焔に問いかけるが・・・ 「・・・わからない。」 えっ、と皆が目が点になるも・・・ 「【コレ】はあくまでも自我を取り戻す切欠をつくるだけだもの・・・あとは・・・」 焔は目線を下へもって行き・・・ 安らかに微笑んで寝ている女・・・『黒狗理人』にあわせると・・・ 「・・・この娘しだいだよ。」 と・・・ ・・・・・しばしの沈黙の後・・・・・・ 「・・・最悪、私の策の第二案を使って・・・」 ・・・皆に対して苦笑して代案の説明を始めようとした・・・ その時・・・奇跡はおこった・・・ 「・・・っぅん・・・・う〜ん・・・・・アレ?・・・ここは・・・?」 なんと先ほどまで寝ていた筈の女が起きたのだ! コレだけ早い復帰は焔も想定外だったようで・・・ 全員の顔が驚き一色に染まっていた。 そして女はムクリと上体を起こして、掛け布で前を隠して周りを見回した。 「・・・ここは後宮の一部よ。自分のこと・・・思い出したかしら?」 焔はこの起き上がった女に質問をしてみた。 「あ、はい。・・・えっと・・・みなさんは・・・どちら様でしょうか?」 ・・・意識もはっきりしているようだ。 呂律もしっかりしている。 「・・・あたしは奈々。一応姫だよ。」 「私は春。私も姫だよ。・・・庶民出だけどね・・・」 いつの間にか復活していた春と奈々が自己紹介をした。 ・・・同じ魔物としてか、暗い過去を持つもの同士かはわからないがなにか共感するものがあったのだろう・・・ 「はじめまして。私は葛篭です。理由があって今は【葛葉】と名乗っています。この部屋の中だけでは葛篭と、ここ以外では葛葉とおよびください。」 「自分は焔よ。理由あって外では私を【葛篭】と呼ばせている。この部屋では・・・まぁ・・・葛葉と同じようにしてくださいな。」 つづいて葛篭と焔が。 そして最後に・・・ 「・・・長海だ。一応この二人の護衛だ。」 ・・・そうぶっきら棒に自己紹介する長海をみて・・・女は微かに体が震えた。・・・一瞬だったが・・・ ・・・どうやら後遺症が残っているようだった・・・ 「は、はじめまして・・・私は慎香(しんか)と申します。この度は助けていただき・・・本当にありがとうございますっ!」 自己紹介が終わると同時に頭を下げた女・・・慎香。 ・・・少しの沈黙の後、焔が慎香に話を持ちかけた。 「・・・ねぇ慎香。貴女この国に・・・恨みって持ってる?」 その質問を聞いた瞬間、先ほどとは空気が全然違う慎香が・・・怒りの氣を纏って焔を見た。 「・・・もしできるなら・・・今すぐにでも滅ぼしたいですよっ。」 そして慎香はどうして今の状況になったのか・・・説明を始めた。 「・・・五年前、不可侵の条約を結んでいたはずの史厳が何の前触れも無く攻めてきました。まさか一方的に破られるとは思ってもいませんでした。それゆえに一方的に攻撃され、準備も間々ならない状態になり我が領国『敏省(びんしょう)』は負けました。・・・勝敗は兵家の常です。戦に負けることはこちらの準備不足が招いた結果だとは認めますが・・・」 ・・・一呼吸おき・・・ 「・・・史厳は事もあろうか・・・市民の男を皆殺しにしました。さらには女子供を纏めて史厳に強制的に連れ去れましたっ。そして追い討ちをかけるように・・・統治領領主である父を母娘の前でむごたらしく・・・何度も剣で切り刻んで殺し、それを目にした母が気に触れてしまい・・・精神崩壊を起こしましたっ。その上・・・目の前で史厳帝王は・・・・」 『その精神が病んだ母を・・・・娘である自分の目の前で犯したんです・・・・っ』 ・・・握った拳からは・・・血が流れていた・・・ 「・・・さらには『あきた。』といい・・・今度は兵士に母を犯させましたっ・・・・そして私は恐怖と嫌悪の感情の中・・・なぜ攻めたのか・・・聞きました。・・・・そしたら・・・なんていったとおもいますか?・・・帝王はキッパリとこう言ったんです。」 ・・・かみ締めた唇からも・・・紅い血が流れ始めた・・・・ 『攻めた理由? ・・・そんなものただ魔物を犯してみたかっただけじゃ。はっはっはっはぁ・・・・』 「・・・。」 「・・・。外道め・・・・。」 「・・・戦う気が無い国に対してこれか・・・ふざけているっ!」 焔は静かに怒気を抑えていた。 長海は怒気を隠さずに・・・毒を吐いた。 奈々は・・・戦う意思があって負けた自分の国と慎香の国を比べて・・・史厳の残虐性に吼える。 「・・・そして母を犯した帝王は私をみて気に入ったみたいで・・・私はこの史厳の国へほかの魔物達とともに無理やり連れて来られました。・・・なんども夜枷をしろといわれましたが全て断っていました。そしたらある日・・・全身黒い服を着た男たちが私を地下へ強制連行していき・・・投薬と拷問により兵士の性欲の処理の肉人形にされかけていました。・・・必死に抵抗して四年・・・もうだめかと・・・心が・・・折れそうになったときに・・・・あなた方に助けていただきました。・・・・・・・・・本当に、本当にありがとうございますっ!!」 ・・・そして涙を流しながら再び深く礼を述べる慎香。 「・・・慎香、私達・・・この国を潰そうとしているの。」 「っ?!」 「・・・私も春もそれに賛同している。」 焔は未だ頭を垂れる慎香の肩に屈んで手を置き、今自分たちが何をしているか掻い摘んで説明した。そしてそれに参加していると宣言する奈々。 「ぜひ・・・是非に私も参加させてくださいっ!! 」 「判ったわ。・・・では、ともにがんばりましょう。」 すっ、と慎香の前に手を差し出した焔。 すぐさまソレを理解してその手を握り・・・ 今ここに新しい仲間が加わった。 「そして、早速貴女にやってほしいことがあるの・・・皆も聞いて。」 ・・・焔は【季夫人落とし】の計画を皆に告げたのだった・・・ ・・・そらには月が出ていた。 ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・ ・・・ここは季夫人の部屋。 寝室にて寝具の上で何時ぞやの様に震えている・・・かと思いきや・・・ 「・・・なんとかしなければ・・・なんとかしなければ・・・」 ・・・部屋の中を行ったり来たりする季夫人がそこにあった。 「・・・まずは・・・葛篭姫の周りから・・・・そうよ、まずあの【葛葉】という給仕。アレを攫って脅しをかk」 ・・・黒く染まりきった歪な笑みをだして恐ろしいことを言おうとした・・・瞬間・・・ 「・・・ぁぇ・・・っ・・・」 季夫人の視界がグラついた。そしてゆっくりと・・・世界が闇に覆われた・・・ 「・・・。」 ・・・どうやら後ろに立っていたモノにやられたようだ。 「・・・さっさと運ぶか・・・」 ・・・その声の主は・・・・・長海だった・・・・ そして長海は入ったとき同様、まったく物音を立てずに季夫人もろとも部屋をでた。 ・・・・月明かりの中、その部屋はただただ風がながれるだけだった・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・ 「・・・んぅ・・・ん? ・・・ここは?」 ・・・季夫人はめが覚めた。すると・・・・ 「あらら、ようやくお目覚め? 」 声のしたほうを見ると・・・ 妖狐と・・・・奈々と・・・・どこかで見た黒狗理人の少女がいた。 「一体私をどうs・・・・っ!? い、いやぁぁっ?!」 問いかけようとした季夫人だったが・・・ 何か体が涼しい・・・ふと下をみると・・・なるほど、違和感の原因は・・・ 服を着ていないから。・・・下着もなにもつけていない。 これには羞恥心が先にでて声を上げてしまったのも頷ける。 しかも夫人は自分が手足を縄で縛られて・・・大の字で壁に貼り付けられているのに気付いた。 ・・・そんなことなど関係ないと・・・妖狐は話を進める。 「季夫人、貴女は我が主に執拗に過激な嫌がらせをしていましたね?」 淡々と・・・しかし・・・冷ややかに言葉が紡がれた・・・ 次に奈々が・・・ 「貴様のわがままのせいで・・・よくも妹を殺してくれたな・・・・っ」 怒りを露にした。 そして・・・ 「あなた達の勝手で私たちの領民は酷い仕打ちを受けました。これは必然な結果ですね・・・」 静かに・・・でもアツく・・・慎香は怒っていた・・・ 「な、何を言っているのあなた達・・・っ」 「季夫人、ここがどこか知っていますか? ・・・・ここは貴女が趣味で【作らせた】天文学用の楼閣ですよ。・・・そしてここは【良く風が通る】・・・そして・・・」 と言いかけると妖狐・・・焔は壁をぐるりと指差した。 つられて季夫人も怪しみながら壁を良く見る。 すると・・・ 壁一面に【変な文字やら記号】がびっしりと書き込まれていた・・・ 「これは【絶対防音の術印】といいまして・・『たとえ泣こうが叫ぼうが』何しても音が外に漏れることが無いんです。」 淡々と・・・ほんとに唯淡々と説明していく焔には一種の恐怖が滲み出ていた・・・ 「だ、だからなに? さっさと殺せばいいじゃないっ!」 「殺す? そんな簡単に死なせて【もらえる】とおもっているのか?」 嘲笑を含んだ笑みで季夫人に問いかける奈々。 「・・・焔さん・・・もういいですか・・・?」 なにやら手に持った杖に呪文を唱え始めた慎香は途中で焔に『計画』を進めていいか聞くが・・・ 「おっと。ちょっと待ってて・・・」 焔は徐に懐から符を取り出して・・・唱えた。 「・・・・『複写』」 『複写』・・・いつも葛篭に変身しているときは『転写』を使っていたが・・・ と、見る見るうちに焔が変化していき・・・ 「・・・ふぅ・・・変身終了。」 そこには・・・髪色から背格好、声に至るまで・・・誰がどう見ても・・・ 【季夫人がいた。】 さらに焔は恐ろしいことに・・・ 「・・・へぇ・・・子飼いの部隊が百人と、各国の姫の人質の場所が・・・ほぅ・・・こんなところに・・・あら? 若さを維持するために人魚の血を【乱獲】までして・・・」 他人が見たらただの独り言・・・ですんだかもしれないが・・・ 季夫人は顔面蒼白になった。 なぜ? ・・・それは簡単。【自分しか知らない秘密を目の前で喋られているから】だ。 「な、なぜソレを・・・っ!?」 「これは『複写』。『転写』と違い・・・相手の記憶とか思考も完全に写しこむことができる。」 焔は・・・笑った。微笑んだ。 ・・・黒い笑みで。 「じゃあ慎香。・・・・やって。」 「はい。【・・・・・・・・・・・】・・・・っえいっ!」 何かを唱えた途端、光球が黒狗里人・・・慎香の杖から放たれて・・・ それは一直線に季夫人へ向かった・・・・ 「へっ、きゃっ・・・あ゛ぁぁぁぁ♪」 眩い光に包まれた事に最初は驚いた季夫人だったが・・・次第に快楽一色になっていく・・・ そしてその光が収まると・・・そこには・・・ 【布葬死人(マミー)】がいた。 「・・・えっ・・・な、何・・・これ・・・」 「ふふっ・・・奈々。」 「はいよ。・・・・・せいっ!」 自身の変貌に唖然としている季夫人を無視し焔は奈々を呼ぶ。 奈々は手持ちの形見・・・【蒼刀】で綺麗に【包帯だけ】を切り裂いた。 そうなれば・・・勿論・・・・ 「っ〜〜〜〜〜ぁ♪」 快楽の度合いが今以上になり・・・声にならない嬌声を上げて盛大に潮を吹く季夫人。 ・・・まだ魔物になって数秒なのにもう床には水溜りができていた・・・ 「ふふっ・・・でもここ・・・・【良く風が通るのよ】?・・・コレでイってたら・・・死んじゃうかも・・・あ〜・・・【布葬死人】だから元々死人だからしなないか〜・・・ふふっ良かったじゃない? だって・・・」 【永遠の命】と【永遠の若さ】がてにはいったじゃない♪ ・・・焔のその言葉は蕩けきった季夫人の脳に異様に残った・・・ 「じゃあ私から贈り物を上げるわ・・・・・・・【快楽倍加】」 焔は季夫人の心臓・・・のあったあたりに右手の人差し指を向けて呪文を唱えると・・・ ミシリと音を立てて季夫人の胸になにやら文字が刻まれた。 その途端・・・ 「ぁ゛ーーーっ!! あ゛あ゛ぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!!」 あまりにも強烈な快楽で全身が震え上がって・・・イキっぱなしになった・・・・ 暴れると縄が食い込み・・・イク。 何もしなくても風が吹いて・・・イク。 自分の涎や涙が自分の胸に付いた瞬間・・・イク。 吐息が胸に触れても・・・イク。 愛液が足を垂れていくだけで・・・頂上から戻れない。 「ふふっ、気に入っていただけたかしら? ・・・では・・・奈々、慎香。・・・【帰りましょう】?」 「あぁ。」 「はい。」 クルリと振り返る三人は恰も買い物が終わり家に帰る町娘のように軽い態度で部屋を出て行く。 「っぁ♪ まっ♪ まってぇ・・・あん♪」 なけなしの理性を振り絞り三人に声をかけるも・・・ 「それでは、ごきげんよう・・・・・・永遠に・・・ね・・・」 その藁にもすがるような小さい声は・・・・焔の笑顔でかき消され・・・・ 重厚な鉄の扉は・・・・静かに・・・・・・・・・・・・・・・・・閉じた。 ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・ ・・・ここは季夫人の部屋。 季夫人の姿の焔が先ほどのやり取りの中で見つけた子飼いの私兵の首領を部屋に呼び出していた。 「お呼びですか? 」 「えぇ・・・西の外れの天文用の楼閣に帝王様から【いただいた】性欲処理の肉を縛り付けてあるから・・・好きに使うがいいわ。」 首領に対して背を向けていたが・・・ニヤリと黒い笑みでその首領へ向き直る。 「ほほぅ・・それはありがたい。」 「あと・・・その肉、何を思ったか自分を【季夫人】と思い込んでいるの。・・・よく【教育】してきなさい。」 「・・・ふふっ・・御意。」 ・・・首領はニコリと笑って部屋を出た。・・・下半身を滾らせながら・・・ 「・・・さて、これで後は・・・・【史厳帝王】だけね・・・ふふふふ・・・・」 一人愚痴る焔は含み笑いをしつつも部屋を後にした。 ・・・・・・・この記述以降、季夫人が表舞台に立つことは無かった。・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・ それから数日・・・季夫人消息不明の情報は瞬く間に史厳中にひろまった。 その季夫人の部屋【だったところ】に入ってくる人影が・・・ 「・・・一体どこへ行かれてしまったのです・・・『母上』・・・」 季夫人の元部屋で一人佇む少女の呟きは・・・ 吹き込んだそよ風の中に消えていった・・・ 【続】 |