『羊飼いと、羊と・・・・・』



やぁ皆さん。私はしがない羊飼い、名を『ラウル・ジルン』といいます。
まだ親から託されたばかりの数頭の羊を飼いならすのに四苦八苦している・・・

『どこにでもいる』羊飼いの・・・・はずなんだ・・・はず・・・なんです・・・

なのにそんなオレに神様ってのは酷いことしやがる・・・
あれは一週間前だった・・・

・・・・・・・・・

・・・・・

・・・

羊達の体を洗うため澄んだ小川の畔まできたラウルはブラッシング道具を一度川原においてすぐさま一頭目を洗い始めた。

「〜〜〜♪」
「めぇ♪ めぇ〜♪」

鼻歌いながらご機嫌で洗っていると羊も気持ちいいのか鼻歌にあわせて歌っていた。
そして二頭目、三頭目・・・・と洗っているうちなにか・・・そう待機させている羊達から何か違和感を感じ取り・・・ラウルは『羊の頭』を数えてみた。

1・・2・・3・・・

・・・・

・・10・・11・・12・・『13』・・・・・・

「・・・・ん? 」
もう一度数えても・・・

・・・11・・12・・『13』・・・・・・

「ん!? 『増えてる』っ!」
そう彼は今日ココには【一二頭】しか連れてきていない。なのに【一頭多い】のである。

すぐさま待機しているモコモコ集団に近づき確認すると・・・

「くぅー・・・すぅー・・・くぅー・・・すぅー」

・・・・超〜〜〜〜〜自然に羊の中に・・・・

【ワーシープ】が寝てました・・・・


「・・・・ん〜起こすの可愛そうだから・・・寝かしておくか・・・」
そういうとラウルは羊のブラッシング作業に戻った。

そして最後の一匹が終わった・・・途端に・・・・

・・・ふにゅぅん♪

「・・・っ?! な、何だ?!」
背中に何か柔らかいものを感じて・・・振り返るt

「ンチュ♪」
・・・振り向きざまにキスされた・・・・誰に?

「・・・えっと・・・」
「ねぇねぇ〜私にも『ソレ』やってよぉ〜」
と、キス魔・・・もとい・・・・先ほど群れで寝てたワーシープが羊達のブラッシング道具を指差して眠そうな目をラウルに輝かせながら向けていた・・・

「え・・・でもオレ・・・君のことしらn」
「あ〜アタシ〜『ロロナ・エーワネット』っていいいまぁす♪ 『ロロナ』でいいからねぇ〜。・・・・さぁ、名前教えたからぁ〜ソレやってぇ♪ 」
知らないとラウルが言いかけた矢先に行き成り自己紹介を始めたロロナ。
・・・かなりのマイペースのようです・・・(汗

「え・・・えっと・・・・うん・・・わかりましたよ・・・・」
多分なに言っても聞かないだろうなぁ・・・と察したのか洗うことに・・・
・・・心なしか暗くなったラウルだった。

〜〜彼女『洗濯中』〜〜

「ふぃぃぃ〜♪ 気持ちよかったぁ〜♪」
「・・・そうか・・・それはよかった・・・・ハハハ・・・・」
一応言うがラウルは本当にただブラッシングしただけであった。・・・え? じゃあなんで疲れているんだ?
・・・・察してあげてください・・・


「っと、ちょっと時間を食いすぎた。早く羊達を戻さないと・・・」
ラウルはそういうと羊飼いの持つ杖を掲げてそのつえについている鈴を鳴らした。

リィーーン・・チリリーーン・・・・

その音を聞いた瞬間、羊「達」がいっせいに牧場へ動き出した。

・・・・・ん? 「達」?

クルリとあたりを見回すと・・・

「るんるるんるるん〜♪」
・・・しっかりとロロナが『憑いて』きた(誤字じゃない)・・・

「あのぅ・・・ロロナ?」
「んぅ? な〜に〜ご主人様ぁ〜?」
・・・ラウルは己の耳を疑った・・・・

「・・・オレのこと・・・なんだって?」
「んふふ〜♪ ご・しゅ・じ・ん・さ・まっ♪」

ギュムニ♪
・・・そういわれて抱きつかれた・・・

「・・・・だめだ・・・頭がおいつかねぇ・・・」
「んふふ〜♪」
頭を抱えて悩むラウルを他所にロロナは満足げにラウルの肩と首に頭をこすり付けていた・・・

しかし今日のラウルの運はここで終わらなかった・・・

あと少しで牧場が見えるというところで・・・

ガサッ・・・ガサガサッ・・・

「「っ!?」」
雑木林の茂みから現れたのは・・・・

「ガルル・・・おぉ・・・うまそうな羊じゃn・・・なんだよ・・・羊飼いもいんのかよ・・・」
・・・ワーウルフでした・・・


「・・・神様・・・おれ・・・なにか悪いこと・・・しましたかぁ・・・」
・・・かれは「絶望したッ」と叫びそうなくらいブルーになっている・・・対して・・・


「おい、狼ぃ・・・あなたに渡す羊は一頭もいないよぉっ」
のんびり口調だが確固たる意思を感じ取れる瞳をワーウルフに向けるロロナがいた。

「へぇ〜何? ワーシープの分際でワーウルフであるこのアタシ、『アウル・リーアー』にたてつこうってのかい?」
・・・どことなくヤラレフラグが立った気がするが・・・彼女、アウルはロロナに向かって挑発的な態度を取った。

そしてにらみ合う両者・・・
「ガルルルルルッ」
「メェェェェェッ」

(・・・・なにこの可愛い生き物達・・・)
現実に戻ってきたラウルはすぐに別世界へトリップしてしまった・・・・

それも仕方ない・・・アウルはよく見ると身長が・・・・まぁ・・・そのぉ・・・低い・・・
恐らくラウルが並ぶと・・・頭の天辺(ミミ除く)がちょうどラウルの胸板のとこらへんにあるだろうと・・・
対してロロナはというと・・・ラウルより頭半分位高い・・・
ラウルは平均男性身長くらいあるので・・・
そこから考えられる構図は・・・

見上げて一生懸命に虚勢を張るアウルに、ソレを見下して顔を少しだけ突き出したロロナ・・・という構図が出来上がる。

考えても見てほしい・・・アウルは虚勢を張って足をプルプルさせながらつま先立ちして腰に手を当てて胸をはっているのですよ・・・

対してロロナは胸の前で小さなファイティングポーズをして少し膝を曲げて真っ向から円らな瞳でアウルと対峙しているんですよ・・・

「・・・はっ?! いかんいかん・・・・二人を止めないと・・・」

「ガルルル」
(・・・後ろからコレだけ接近しても気づかないのか?)

ラウルとアウルの距離・・・およそ30cm・・・・・・・
・・・いまだに気付いてない・・・・『どっちも』・・・・

「ガルルッ」
「メェェッ」
(・・・えっ? マジで気付かないの?)

・・・ラウルはそ〜っと杖を振り上げて・・・アウルに・・・・・

ゴツンっ!

「きゃいぃぃぃん!?」
・・・振り下ろしたが、よほど痛かったのか頭を抱えて蹲って泣いてしまっt・・・・ついでに尻尾も丸まった・・・
その姿・・・・

「エグッ・・・イダイッ・・・イダイヨォ・・・・・グスッ・・・」
プルプルプル・・・・

(・・・やべぇ〜可愛い・・・)

・・・・・プルプル震えている小動物の如しっ!!

「・・・あぁ・・・・そんなに強くは叩いてないが・・・」
「あらぁ〜、流石ですぅ〜ご主人様ぁ〜♪」
「ヒィィッ」
・・・よほどさっきのが効いたのか・・・かなりビクつかれた・・・ちょっと落ち着くまで待つか・・・

〜〜〜少女あやし中〜〜〜

「えぐッ・・・も、もう・・・ぶたない?」
「あぁ、もうぶたないからね〜」
「・・・バシッ♪」
「ヒィィィ〜っ!?」
・・・なんとかアウルが落ち着いてきたのでラウルが話して見るも途中でロロナが邪魔してきて一向に話が進まない・・・

「・・・ロロナ、だまってて・・・」
「はぁい♪」
「エグッ・・エグッ・・・・」
・・・落ち着かせて・・・

「ねぇアウル? どうしてココに来たの?」
「エグッ・・・お母さんが・・・エグッ・・・もうすぐ巣立ちの時期だからって・・・ヒグッ・・・一人で旅を・・・・エグッ・・・してみなさいって・・・・ヒグッ・・・」
・・・おいおい・・・アウルのオッカサンやい・・・ちぃと早くね?

「そ、そっかぁ・・・じゃあこれからアウルはどうする?」
泣き止んだようだったのでアウルに聞いた時、アウルから信じられない言葉を聞きました・・・

『うんとね・・・・男と戦って負けたときはその男を夫として一生面倒見て貰いなさいって・・・教わった♪』

「・・・・」
・・・オレ・・独立して直ぐに妻子もち・・・しかも流れ的に重婚・・・あぁ・・神さm(ry

「あらぁ〜、それじゃアウルちゃんとは妻同士ってことかしらぁ〜♪」
「う〜ん・・・うん♪よろしくね・・・え〜と・・・ロロナ?」
「はぁ〜い♪ よろしくねぇ〜アウラちゃ〜ん♪」
・・・・ラウル抜きで話が進んでいくのであった・・・


・・・・・・・・・

・・・・・

・・・


・・・てことがあったんだよ。んで帰ってから・・・・腹括って親に勘当覚悟で言ったら・・・なんていったと思う?

「よくやったっ! しかもこんな美人を二人もなんてっ! 」
「まあまぁ♪ これはお赤飯炊かなくちゃね♪」

・・・・だぜ? ・・・まぁ怒られるよりは遥かにマシだがな・・・
んで近頃・・・

「早く孫の顔がみたいな・・・」
「アウルちゃんに噛んで貰って・・・・久々に燃えちゃおうかしら♪」

・・・もうね、色々と突っ込みきれなくなったよ・・・てか母親のは断固阻止するがな・・・

っと悪いね、嫁達が呼んでっから行くわ・・・

えっ? 何処にって?

『始まりの川原にだよ』。・・・・絶対くんなよっ・・・・絶対だからなっ!!



・・・っとロロナっ、左にだきつくn・・・ってアウルも右に抱きつくなって! 歩きづらいんだよぉぉぉっ!!





(・・・・そして数年がたち・・・)

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

ここはとある郊外の牧場。ここの牧場はなんと言っても上質の羊毛と、羊毛ほど多くないが『ワーシープ』の毛が売りである。
そこでは珍しく『見目麗しいワーウルフ』が羊番をしているのだ。そのワーウルフの女性と共に『ちぃさなワーウルフ』も大きなワーウルフをみて共に羊番をしているようだ。
自宅へ赴けば『長身のワーシープ』とそのワーシープの膝ぐらいしかない『ちぃさなワーシープ』が迎えてくれた。

アナタも興味があるなら行って見るといい。数少ない『狼と羊』が共存する牧場へ・・・
あたたかな空気に包まれた家庭がアナタの来訪を出迎えるだろう・・・・

fin



・・・・・・ちょっと川原へ・・・

どうもjackryですヽ(゚∀゚)ノ
さてさて「ほのぼーのでっ」とリクいただいたんですが・・・ほのぼの書けたかな・・・(´・ω・)
感想お待ちしております。

11/05/11 18:07 じゃっくりー

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