『影の力でサクラサク・・・』

【マコトサイド・・・】

「・・・・・ゴメンナサイ。」
「っ!」
振られた・・・ははっ・・・最初の告白だったけど・・・・クッ!

「そ・・・っか・・・ハハッ・・・時間とってゴメンね・・・・それじゃあ!」
「・・・・・ぁっ」

たっ・・たっ・・・たっ・・・

オレはその場を去った・・・・何か言いかけた『サヤ』さんが見えるが・・・
今はマトモに見れない・・・



おれの通っている学園の最後の日・・・『卒業式』。
その式の後、ずっと思い人だったサヤさんに告白するためにメールを打った。
そして・・・・

校舎裏の小高い丘の上、一本のサクラと共にオレは待っているとサヤさんはゆっくりと一人で現れた・・・

サヤさんはフランス人の母と日本人の父をもつハーフである。
色白の肌に金髪に近い茶髪で蒼眼。おっとりでお嬢様然としている彼女はその性格で女子からも支持があつく、学園の中で一位二位を争う容姿でもある。
故に多くの男子生徒が彼女にコクった。・・・・だが聞く限りでは全員全滅しているようだ。
そんな彼女に恋心を抱いたのは入学したての三年前から・・・だが中々機会が無く、時期も逃していた・・・・ゆえにコレが・・・・




『ラストチャンス』であった・・・




「遅くなってすいません・・・・お話・・・と言うのは・・・」
フワリとした笑みを浮かべ相手を気遣う動作をして彼女は問うてきた・・・

「実は・・・・」


・・・・・結果は言わずもがな・・・・そして今オレは・・・・

「・・・・・はぁ・・・・」
フラフラと千鳥足で自宅に着いた。そして鍵を開けてなかにはいr

・・・・・パァァァァァ・・・・・

「ん? なんか足元があかr」

・・・・それがオレがこの世界で残した最後の言葉だった・・・・





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【サヤサイド・・・】

「はぁ・・・・なんであの時・・・・はぁ・・・・」

私は『マコト』さんを振ってしまったのでしょうか・・・・
私は・・・・本当はハイと言いたかった・・・・でも・・・

『本当に私なんかで良いのでしょうか・・・』

・・・そんな疑問がまず浮かんでしまったんです。

彼、マコトさんはずっと入学した頃から女子の皆さんから人気がありました。
優しくて、理知的で、成績優秀で、運動能力も目を見張るものがあり、・・・・どなたに対しても平等に接していらっしゃいました・・・
勿論彼に告白していらっしゃる女生徒の方も多かったのですが、彼はやんわりと告白を全て断っていました。
・・・そんな様子をみてなぜか私は安堵してしまいました・・・今思い返すと・・・・

私はマコトさんに一目惚れしてしまったみたいです。入学当時から・・・

・・・私は何かとマコトさんと会おうとするのですが・・・時期やタイミングが悪く・・・この思いを伝えることが出来ませんでした・・・
故に・・・今日まで来てしまいました・・・
そんな今日、マコトさんからメールが・・・

『お話があるので裏の一本桜の木の下で待っています。』

・・・私は回りめぐってきた機会に・・・




この『ラストチャンス』に感謝して彼の元へ向ったのです。




・・・ですが・・・彼を前にすると自分への自信が無くなってしまい・・・結果的に振ってしまったんです・・・
あぁ・・・私にもっと勇気があれば・・・

「・・・・・はぁ・・・・」

私は自宅に重い足取りのまま帰宅いたしました・・・
鍵を取り出し自宅の扉をあけt

・・・・・パァァァァァ・・・・・

「あら? 何か足元があかr」

・・・・それが私がこの世界で残した最後の言葉でした・・・





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
【図鑑世界サイド・・・】

「・・・ん・・・ん〜・・・・いたた・・・・なんだったんだあの光は・・・・」
マコトはムクリと起き上がり辺りを見回すと・・・

「・・・・・っ!? ・・・ここ・・・どこだ・・・」
そこは一面の草原
が月明かりに照らされていた・・・
・・・その光景にマコトが放心状態でいると・・・

「あら、おきたの? 【マコト】。」
「っ!」
いきなり名を呼ばれ意識を戻して後ろを振り向くとそこには・・・

「何? そんなじジロジロみられると恥ずかしいんだけど//」
「あっ、ご、ごめん【サヤ】さん//」
性格が違うが・・・つい先ほど自分を振ったはずの制服姿のサヤがいた。

「なによ、そんな改まって・・・いつものようにサヤと呼んでよ?」
「えっ? えっ? 」
マコトは混乱した。無理も無い。振ったはずの相手に恋人然の態度をとるのである。

「もう・・・どうしたの? ま・こ・と♪」
ツツッと顔を寄せてきて耳元で自分の名を呼ばれたマコトは混乱の極みに達した。

「・・・・・・・・・バタッ」
「えっ!? ちょ、ちょっとマコトっ! しっかりしてぇっ!」
「まっ、まことさんっ!」

・・・マコトは気絶した。その寸前サヤが【二人に見えたのは】気のせい・・・だろう・・・




その少し前、すぐ近くの丘の影では・・・


「ウ・・・うん・・・・ん? ここは・・・何処かしら?」
意識を取り戻し、

「・・・? だれかの話し声が・・・」
丘を登るとそこでは・・・

バタッ

誰かと対峙していたマコトが・・・倒れた瞬間だった・・・

「えっ!? ちょ、ちょっとマコトっ! しっかりしてぇっ!」
「まっ、まことさんっ!」



『・・・・・・っ!!』



そして見てしまった・・・お互いを・・・・

(っ! ワ、私がいる?!・・・・・きゃっ! ・・・な、なにこれっ!)
ザワザワ・・・・

サヤの体中がざわつく感覚に陥る・・・・

「・・・・まさか・・・【本物】がいるなんて・・・」
どうやらサヤ(?)も驚きを隠せずに本物を見ている・・・

「・・・っはぁ・・・はぁ・・・な、なんなんです・・・これは・・・」
「今・・・貴女は・・・・私と目を合わせてしまったので・・・恐らく【ドッペルゲンガー】になってしまわれたのかと・・・」
サヤが自分自身に説明している・・・・傍から見ると双子が会話をしている様である。

そのとき月が陰っていき・・・・

スゥーーーーー・・・・

サヤ(?)の体が闇夜に解け始め・・・そこにいたのは小さめの体の真っ黒なドレスを身に纏う弱弱しい少女だった。

「え・・あ・・み・・みない・・・で・・・」
「・・・・・・・・・・・」
ドッペルゲンガーは何処かに隠れようとあたふたしているが・・・その姿を見てあいた口がふさがらないサヤ・・・・

「・・・はっ! あ・・・えっと・・・お名前は?」
「・・・ぁぅ・・・ユイ・・・です・・・ぁぅぁぅ・・・」
少女『ユイ』は弱弱しくも自己紹介をした。



〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜



「月が陰るとこうなるのかしら?」
「・・・はいぃ・・・月が無い夜は・・・ずっと・・・このまま・・・です・・・」
ユイは依然し黒服のままであった。
・・・・まだ月が陰っていたためである。

そして今は移動中である・・・
いくら草原でも風に当たり続けると体調を崩してしまうと言うことでユイの家に移動することになったのである。

「失礼致します・・・よいしょっと。」
・・・マコトを担ぐサヤ。

「ぁ・・・こっち・・・です・・・」
・・・道案内するユイ。


そして歩くこと数分・・・大きめのログハウスが見えてきた。

「ここ・・・です・・・」
「まぁ随分と立派ですね・・・」
『ただいま・・・』『お邪魔致します。』と中へ入って行く三人。

そしてマコトをソファに寝かし二人でイスに座った瞬間・・・

スッーーーーー

ザワザワザワ・・・・

月明かりが再び辺りを明るく照らし始めるのと同時にユイもサヤと瓜二つの顔に戻った。

「・・・ほんとにそっくりなんですね。」
「そうよ。でなければ意味がないもの。」
穏やかなサヤに、小悪魔的な笑顔を向ける変身後のユイ。

「・・・変身すると強気になるんですね。」
「まぁね・・・これがマコトの理想図みたいだから。・・・あくまでも男性の理想図にしか変身できないの。重要だから二回言ったわ♪」
ニヒヒとホントに小悪魔のように笑うユイ。

「・・・ふふふっ。」
「ちょっとぉ!! 何がおかしいのよっ!」
その笑みにつられて微笑むサヤは本当にたのしそうだった。



「・・・・あと・・・サヤ、貴女に話しておきたいことがあるの。」
「・・・・はい? なんでしょうか?」
と、真剣な顔で話し始めたユイに・・・・ただならぬ空気を感じ姿勢を正して聞き返すサヤ。そのサヤにユイは・・・


『貴女・・・いえあなた達は外から来た人よね?』


「・・・えぇ。そうですね。少なくともここの住人ではない・・・という意味でしたら。」
真剣に答えるサヤ。


『・・・はっきり言うわ。もう元の世界には帰れないわ。』


「・・・やはり・・・そうですか。」
落胆したサヤに畳み掛けるように追い討ちをかけるユイ。

「まず一つ。貴女は私とあって・・・同属の属性になってしまった為。・・・・・・ごめんなさい。・・・・・もう一つは・・・」
「いえ。もう過ぎたことですから・・・・・・もう一つは?」
悲しさを堪えて続きを促すサヤ。

「ここに流れ着いた人の帰還に成功したことは・・・一度も聞いたことが無いから・・・」
「・・・」
ツー・・・と涙がこぼれるサヤの肩にポンとユイは手を置き・・・

「泣かないで、サヤ・・・」
「・・・ありがとう・・・ございます・・・」

・・・・それからしばらくして・・・・


「ユイさん・・・相談があります。」
「うん・・・何かな? サヤ・・・」
まだ少し赤い目をこすり、ユイに対して確然たる瞳で見やるサヤ。

「私を、ここに住まわせてくれませんか? 」
「・・・ふふっ当たり前じゃない。だって・・・」
その質問に対して微笑みで返すユイ。そして・・・


ギュッ・・・
サヤに抱きつき・・・・


『もう私たち・・・姉妹じゃない?』


「っ・・・えぇ・・・そう・・・ですね・・・っ」
・・・再びしずくを垂らすサヤであった。

・・・そして暫くして・・・・


「・・・ねぇサヤ?」
「はい?」
二人とも微笑みながらテーブルで談笑をしていると不意にユイが聞いてきた。

「これから二人でマコトを愛していく上で・・・・新たな門出ってことでマコトの敬称を変えてみない〜?」
「・・・・///」
ニヤニヤと小悪魔スマイルをするユイが爆弾発言をしてきたっ!・・・・思わず赤面するサヤに構わずユイは・・・

「そうだな〜・・・・旦那様・・・アナタ・・・まこっちゃん・・・・んん〜・・・」
と呟きながら腕を組み真剣に悩み始めた・・・


そんなとき・・・・


「・・・・・・ご主人様・・・」
と、良く耳を澄まさないと聞こえないぐらいの声でサヤが恥ずかしそうにボソボソと俯いて喋った・・・

「っ! それだぁぁっ!」
ガタッとイスがずれる位声高々に、サヤを指差し大声を出したユイ。

「えっ? えっ??」
まさか聞こえていたとは思わなかったサヤは目をパチクリさせている・・・

「じゃあそうと決まれば・・・・サヤっ!・・・」
と、ユイは徐にサヤの耳元へ顔をよせ、なにかを呟いた。その瞬間・・・

「・・・・・・・・//////」
コレでもかというくらい赤くなるサヤがいた。

「えっと・・・だめ・・・だったかな?」
「・・・い、いいえ・・・//」
「♪・・・なら♪」

ニカッと笑うユイと林檎みたいに赤くなったサヤは何をするのだろうか?




「ぅぅん・・・・あれ? ・・・草原じゃない?」
その後意識を取り戻したマコト。
そんなマコトに・・・


『『おはようございます。ご主人様♪(///)』』


と、終始笑顔のユイと恥ずかしがってるサヤが・・・

メイド(エプロン着用)姿

で挨拶してきた!



「・・・夢・・・か・・・バタッ」
『『あぁぁぁぁっ! ご主人様ぁぁっ!』』

・・・再び(嬉しさの余り)鼻血を出して倒れるマコト。
ソレをみて『義姉妹』の悲鳴が木霊した・・・・・


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


ここはとある森の中ほどにある大きな山小屋。
そこには宿屋『ドッペル・シスター』を経営する青年『マコト』と看板娘の『サヤとユイ』がいた。

もしこの森近辺に行くことがあるのなら一度その宿に行ってみるといい。
若旦那と『双子の姉妹』がきっとアナタを迎えてくれることだろう・・・


FIN

どうも(´・ω・)ノシ

・・・ドッペルタンの設定がちょっとあやふやなまま書いてしまいました。

ついカッとなって書いた。反省はしてる。後悔は・・・・多分ない(゚听)キリッ

・・・・感想が怖いです・・・・・ガクブルガクブル((( ;゚Д゚)))

11/05/02 03:31 じゃっくりー

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