『妖狐の十戒? 』 |
・妖狐の十戒、壱
私はとっても長生きです。人間よりも遥かにね。 だからちょっと私はのんびり屋さんなの。森の中で本を読むのが好きなくらいね。 まぁ、これは元々の性格だから全部の妖狐がってわけじゃないわ。 だから私とは気長に付き合ってくださいな。 ・妖狐の十戒、弐 私って嘘は嫌いなの。嘘をつこうにもつけない位には正直者って自負してる。 狐の魔物だからって全員が全員奸計を得意としているわけじゃないのよ? 晩御飯争奪戦に奸計を使う程度だし私。 だから私を信じてください。それだけで私は幸せなのよ。 ・妖狐の十戒、参 良く魔物だからって人を襲って食べるだけの化物、って認識の国があるじゃない? あれって甚だ心外なのよね。妖狐に限らずだけど。 昔じゃないんだから。もうちょっと柔軟に世界を見てほしいわね。 私達にも人を愛し、敬い、助けようとする心があるのを忘れないで。 ・妖狐の十戒、肆 人からお願いされても嫌なものは嫌ってちゃんと意思表示するわ。親しき仲にも礼儀ありってね。 言葉には出さないだろうけど。まぁ、大抵の事はヤるけどね♪ あ、強姦なんてしないわよ。するのはお腹がペコちゃんの時だけよ。 つまり私が人のいう事を聞かない時は何か理由があるのよ。 ・妖狐の十戒、伍 私最初に本を読むのが好きって言ったでしょ? だからと言って静かにしていると言われればそうじゃないのよ。こうやっておしゃべりしあうのも好きなの。特に稲荷や刑部狸とね。 いわゆる魔物娘咄(がーるずとーく)ってやつかしら? 私に何か話してみてよ。人の心までは読めないけれど、何かの助けになるわよ? ・妖狐の十戒、陸 よく反魔物領だと奴隷ってやつで私たちが出回ることがあるみたいね。嫌な世界だわ。 でも私たちが本気になったらスライムちゃんにすら人間は太刀打ちできないはずよ。 ただし、私達からは暴力は暴力でも……ね。 だから私達に暴力を振るわないでね。何十倍の快楽地獄でお返しされるからね。 ・妖狐の十戒、漆 種族の最大の特徴はこれ、この尻尾よね。抜け毛が無いか毎朝の確認は大変だし、櫛通りが悪くてイライラするときも多々あるわ。湿気が多いとぶわってなるし、寝癖もついちゃうし、乾燥してるとパチパチなっちゃうし。実は性感帯だし……あ、今の無しっ! だけど尻尾の手入れは欠かさない。だってポリシーだもの。尻尾で遊ぶのはヤメテね♪ ・妖狐の十戒、捌 魔力が垂れ流し? 仕方ないじゃない、妖狐だもの。 ドヤ顔するなって? 仕方ないじゃない、事実なんだから。 まぁ、妖狐の中でもちゃんと制御できてる人ら居るからね。特にジパングのあの地域。 それでも魔力はダダ漏れですが、何か問題ありますか? ・妖狐の十戒、玖 魔物娘全般(一部除く)に言えるのが総じて惚れっぽいってとこかな? まあ面と向かって自分に対して真剣に好きって言われたらそりゃあ落ちますよ。 冗談ですって言われても取り消しはさせないけどねっ!! 私の前で軽々しく好きって言わないで。本気になっちゃうかもよ? 「最後に、私が死ぬとき」 机で原稿用紙にそう最後の箇条書きを書こうとしたときふと隣のベッドで寝ている旦那が目に入ったのだがこれがまた酷い寝相で、布団が蹴られて寝台から落ちているじゃないか。ましてや腹も見せてアレが半勃起しているし。時折寝言まで言うとかもう本当にありのままの自分を出しているなこの旦那はまったく。 「……ふふ、だらしない人だなあ♪ 」 机に向かっていた私はひざ掛けブランケットをそっとどかし、旦那のとこに毛布をかけなおす為に一度席を立とうとした。その瞬間を待っていたのか意図せずなのか、旦那がぼそりと何か喋ったのだが妖狐であるこの三角耳を以てしても聞き取りづらいくらい小声だった。しかし、私は辛うじて聞き取れてしまったが為に、その、なんだ。あー、あれだ。顔が真っ赤になっているのが自分でもわかるくらいに嬉し恥ずかしい気持ちになってしまったよ。だって旦那、いや彼はこういったのだ。 『愛してる、一生傍にいてくれよ、な』 そんなことを無意識のうちに言うのだからこれが赤くならずしてなんになる。 顔が赤くなったとさっき言ったが、あまりの嬉しさに下腹部もだいぶ出来上がってしまったみたいでとても熱い塊がくすぶりだしたのがわかる。 まったく、これではおさまりが付かないじゃないか。く、尻尾が勝手に振れ動いてっ! 「……一生傍にいますよ。共に死ぬまで、ね」 静かに立ち上がった私は書きかけの用紙を破り捨て、衣服を全て脱ぎ去り旦那目掛けて思い切り寝台へ飛び込んだ。 今夜も、いや、今夜から長い夜がずっと続くといいな…… 【姦】 |
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