『私が人間を辞めた時・・・』 |
「私はただの人間から…妖狐になりました。恐らく原因はあの日かな……」 薄暗い部屋で匿名希望で取材に望んでいただいたのは【垣根(かきね) マコト】さん(仮)である。 今ではすっかり金髪の見目麗しく、ふわふわの尻尾とふんわりしている耳をした妖狐であるが元々彼女は人間だった。 そんな彼女はどのようにして今の妖狐になったのか、その特殊な体験を匿名という条件で取材に応じていただき、それを元にわれわれが再現を施して見ました……。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 「ふぅ、おつかれぇ〜」 「おつかれさーん!」 その日の彼女はいつも勤めている『狐路〜きつねみち〜』という飲食店にて働いて帰る準備を整えて店を出た。 その店の従業員の中で数少ない人間の彼女は店主である安芸(あき)の気遣いでよく気にかけてもらっており、彼女はちょっと体調が優れないと相談したところこの時間…やっと太陽が紅くなり始めて地平線に向けて沈み始めたくらいの時間にアガリをもらったのだ。 しかし少し歩を進ませたところで突如薄暗くなった空模様になにやら夕立の気配が……。 「はぁ〜帰って溜まった本の消化を(ポツッ)…ん? ……げげっ!?」 その日の天気予報では雨は降らないと断言されていた彼女にとってまさかまさかの夕立に遭遇してしまう。 仕方なしに彼女は手に提げた学校指定の大き目の革鞄を臨時の傘にし走って家まで帰ろうとする。 彼女の周りにはやはり同じことを考えていた者がおり… ーーカバンと自分の尻尾で臨時の合羽を作って商店街の軒先に駆け込む妖狐。 ーースーツを着た男性から傘を差し出されてその傘を押し引きし終いにはその男性とともにアイアイ傘をする形で共に恥ずかしそうにする稲荷。 ーー相方のぬれおなごと共にズブ濡れになる夫婦。 ーー気の強そうなドラゴンの娘が傍にいた年若い少年とも言える子供たちに自慢の羽を広げて雨宿りさせてあげていたり。 …親魔物領の、ましてやジパングの生き様が垣間見れるその大きく整備された大通りを近場の駅まで走る彼女。 だが彼女が走れば走るほどに雨の勢いは酷くなり、数秒もするともうそれは痛いという感覚が酷く残るくらいの衝撃を肩に当ててくるようになった。 実際この日の瞬間雨量は過去最高のもので洪水も危惧されたが有志で集った宵ノ宮在住の龍やウンディーネ夫妻によりそれは回避されたのだった……。 「い゛だだだっ!? もぅ! これじゃ走れないじゃないっ! …んー、どこかに雨宿り…あ、古里瀬さん家の軒先を借りよう。」 先に述べた衝撃の雨にさすがに若い体育会系の彼女でも堪えて少し先に見えた白壁の大きな家…この街で最大の大富豪である妖狐一家・古里瀬家の軒先を借りることにしたのだ。 「っぁ! …ふぅ…(電車は一本遅らせるかぁ…)」 走りこむ…否。滑り込むようにしてちょうどいいポイントへと体を壁に当てて停止すると掲げていたカバンを下ろし中身をまさぐる彼女はそこからちょっと濡れたスポーツ用タオルを抜き取って顔や肌の雨をふき取る。 ーー …とこ…シたい…… ーー 「…?? 今、なんか聞こえたような…?」 顔を拭いて一息ついたとき彼女は背後のほうから誰かに呼ばれた気がした。 しかし彼女がゆっくりと振り返って見てもそこには重厚な白壁があるだけでそこから先を見ることはできない。 ーー …シたい……シたい…… ーー 「っ! やっぱり聞こえる!?(あ! そういえば…)」 思わず声を上げて驚く彼女。 しかしそれは仕方の無いことだった。 なぜなら先ほどと同じ声がさっきよりも強く彼女の耳に語りかけるように声を発していたのだから。 しかしいくら凝視してもやはり壁。 そんなとき彼女は何故か学校で囁かれてた噂話を思い出した。 ーーー『いい? 絶対に人間の女の子は古里瀬宅近辺に寄っちゃダメよ? 』ーーー 友人であるスフィンクスにそう聞かされたのを……。 「…。」 そのことを思い出した彼女は今すぐにでもこの場を離れたかったが針のように刺す雨がそれを許さなかった。 ーー …あ、カラダ…みつけたぁ♪ ーー 彼女に囁くその呟きが、まさに耳元で発したかのようにすぐ近くにやってきた。 …いや、やってきて【そこにいた】。 彼女は姿が見えないそれに心情が恐怖一色で染まり次第に体がガクガクと震え始める。 そんな彼女を知ってか知らずか声の主はゆっくりと… …ぽぅっ ーーー …彼女の後ろから現れた。 「ひ、ひぃぃ!?」 予想外の場所からの出現により壁ばかりみていた彼女は振り向きざまに尻餅をつくとその声の主を見上げるような形で止まった。 …声も、呼吸も。 「うふふ…オネエさん…体、カシテ?」 青い炎のようにユラユラと揺らめくその娘…いや、その狐。 よくよく見ればロリ妖狐といっても差し支えない出で立ちをして、しかし空中に浮遊している。 …顔に笑みを湛えたまま。 やがてそれは時間が止まった彼女に音も無くスゥーッ、と近づく。 「ぁぃ…いやぁぁ! こ、こないでぇぇ!」 見たことも聞いたことも無いその生物に彼女は時間が戻った瞬間混乱の極みに達してカバンをブンブンと振り回し始めるがその攻撃は青い狐には一切効くことは無い。 …なぜならすべての攻撃がすり抜けてしまっているから。 「ねぇ、ヒトツにナロ?」 「う、うぁ…ぁぁ…」 ーー ジワァァ〜〜…… ーー 自分の攻撃が無駄と悟った彼女は一気に脱力してしまい恐怖からだろうか失禁までしてしまうのだった。 しかしそんなことなどお構いなしな青い狐はそのまま彼女の肌に手を触れると… ーー ドクンッ! ーー 「ひぅ!? にゃ、にゃにぃ!? こりぇ〜っ♪」 「キモチイイ? でも、もっとキモチヨクなろ?」 彼女の心臓が今までの彼女の人生の中でもっとも大きく跳ね上がったかと思うと今度は体の奥から異様なほどの熱が彼女を襲う。 その熱は彼女のありとあらゆる感覚に干渉した挙句、感覚を蹂躙したその熱はまるで決まっているように彼女の体の芯…子宮へと一気に集まりだす。 するとどうだろう? 彼女に今までにかんじたことが無いほどの絶頂感が襲いそのあまりの快楽に今度は聖水ではなく潮を吹いてしまったのだ。 勿論聖水でビシャビシャに濡れた下着の上からの潮吹きに彼女の股座のところからはなんとも香しい匂いが… それを半ば彼女に同化しかけている青い狐は然も嬉しそうに見ると同時に彼女の中へとどんどん吸い込まれていくではないか。 「きゃぅん♪(プシッ) きゅぁっ♪(プシャッ) きゅぅぅん♪(プシッ)」 その狐の娘が彼女と同化するたびに彼女へは先ほど以上の快楽が段階的に少しずつ強くなって子宮を犯し、その度彼女はビクンッと痙攣しながらイッていた。 そのあまりの強烈な快楽の為に彼女の理性はもうすでに焼ききれてしまい、ただただ獣のような嬌声をあげるだけである。 「さぁ、おねえさん? もっときもちよくなろ?…(ツプン」 「あぎぃぃぃぃぃ♪(ブシャァ!」 青い狐の娘はそういい終えると彼女の中へ最後の尻尾を引き込むとその青い狐の気配が完全になくなってしまったのだ。 チャプン、とまるで風呂にでも入ったような音と共に彼女と見事同化した青い狐はその同化時の余波を彼女へ一番大きな快楽という形で送りつけると彼女は白目を向いて後ろに倒れて奇声を上げながら倒れこんでしまう。 その際、下着越しとは到底思えぬ水量の愛液と聖水が空中に娘を描いた。 くしくも彼女が倒れたのは夕立が上がったのと同じ時間だった…。 _/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/ 「それでその後…だと思うんですが… え、なんで曖昧なのか? えっとですね… 実はそのときの記憶が無いんですよ。 私が気づいたのは病院のベッドの上でしたから。」 彼女は恥ずかしそうに頬を朱に染めて俯くこと一瞬、再び顔を上げて話を進める。 「病室で目を覚ますと古里瀬 愛(あい)先生と母がいて… そのときのことはよく覚えています。だって先生がいきなり土下座するんですもの…びっくり しちゃいました。」 耳をクタッ、と一度曲げると「ふふッ♪」と笑って間を置いて… 「なんでも古里瀬 梨花(りか)さんのとてつも無い妖気が屋敷から溢れ出してしまいその妖気が【狐火(きつねび)】となったそうです。その時に偶々通りかかった私にその狐火が襲いかかって …今の私は妖狐ですが、その時の状態でいうと【狐憑き(きつねつき)】というものだったらしいです。」 淡々と笑顔で語る彼女だがその表情に影はさしていない。 「それで病院にて魔力の精密検査を行ったんですが…その結果適正ありということがわかりました。」 そして訪れた微妙な間。 その間を埋めるべく… ーー その姿になって後悔はされていますか? ーー 記者の一人が質問を投げかけると彼女は「うーん…」と目を閉じて唸った後にこちらに向き直りはっきりとこう言った。 「最初のころは戸惑いました。でも周りの人の温かい声に励まされ私は私らし く生きようと決心しました。 その日からですね。トントン拍子にことがいい方向へころがったのは。 部活の陸上もインターハイにいけましたし、意中の幼馴染への告白もある意 味このおかげですし…狐憑きから無事妖狐になれたことも。 だから後悔はありません。」 ーー では最後に一言。 「皆さん、魔物娘化は怖くないですよ。 狐憑きになって悩んでいる方、大丈夫です。心配要りません。普段の生活に 支障をきたすレベルになるまではそこそこの期間がありますのでその間に意 中の男性を射止めてください。 悩んだらまわりの方へ相談したほうがいいですよ!」 ーありがとうございます。それではコレでインタビューは終了になります。お疲れ様でした。 【完】 |
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