三匹目。〜紫陽花に彩られし蛇〜前編
「今日もいい感じの出来栄えです」
私はオーディ
植物を育て彩る事を生業とする者で
現在は依頼のあった屋敷の庭を手入れしています
「ふふーんふーん♪」
「お主はいつも良い仕事をするのぉ」
「はい♪昔から花や草木を
整えるのが好きでして」
「本当に変わっておるの
もうよいぞ、ほれ報酬じゃ」
「ありがとうございます」
「また頼んでもいいかの?」
「えぇ、いつでも」
ーーーオーディ家ーーー
「さてさて〜手入れしますかね」
彼は仕事道具の一つから
あるものを取り出した。
「今日も良い仕事が出来ました〜♪」
それは刀。紫陽花の花飾りの付いた
とても美しい刀。
「ふふーんふーん」
彼は刀を磨いていく
使う事のないその刀を。
「さ〜て、寝ますかね」
男は刀を仕舞い眠りにつく
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「今日はどこへいきましょうか〜」
コソコソコソコソ...
「ん...?」
シーン...
「あれ?」
コソコソコソコソ...
「?」
シーン...
「???」
何かに付けられている?
しかし...
「早く街に行かなきゃ」
という理由で無視した
!?...タッタッタッタッタッ...!
「ん...?いてっ」
誰かにぶつかられたようだ
それは...
「きゅ〜、痛いです〜」
目をバツにして倒れる娘が後ろにいた
「ふ〜ん、なるほど
つまり、私に手入れの仕方を
教わりに来た、と」
「はい、そうなんです
彼は庭師として一流だから
教わってきなさいと」
「ふ〜ん?でも俺
先生じゃあないから
教えるのは出来ないかな」
「じゃあどうしましょう...?」
「ん〜、俺が手入れするの
見て技術を盗め、としか」
「わかりました」
「・・・、え?」
「これからしばらく同棲
させて頂いてもよろしいですか?」
「あ〜、構わないけど...」
「ありがとうございます♪
私はキキーモラのアサナと言います」
「俺はオーディ、よろしく」
「お世話になります」
ーーーーー依頼主の豪邸ーーーーー
「ふふーんふーん」
「ふふ〜んふ〜ん」
「あのさ?」
「なんでしょう?」
「近すぎじゃない?ケガするよ?」
「あっそうですね
少し離れます...」
「当たらない範囲なら
居ても大丈夫だから、ね?」
「はい〜」
この娘、大丈夫なのかな...?
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「ほほぉ、今回も良い仕事であった
それでは、褒美を渡そう」
「ありがとうございます」
「お〜」キラキラ
「なんで目を輝かせてるの
失礼だから、ね?」
「あっ...ハイ」
「待たせたの、今回の分じゃ
また頼むでの」
「あの...?
これ二人分ありませんか...?」
「二人で来たんだから
当然であろう?」
「・・・、それでは
ありがたく頂いて行きます」
「ふむ、また頼むぞ」
「えぇ、また来ます」
ーーーーーーオーディ家ーーーーー
「ここが貴方の家ですか...」
「うん、何も無いけどね」
「いえいえ、凄いです〜
特にあの、紫陽花。」
「あぁ、あれね
お気に入りなんだ」
「とても、綺麗...。」
「触っちゃだめだよ?
造花だから、崩れちゃったら大変だから」
「はい...」
「もし...触れたら...」
「...!」
「俺死んじゃうから〜」
「...へ?」
「ウソウソ♪
さ、ご飯食べよ?」
「あっじゃあ私が作ります〜」
「本当に?それじゃあ
お願いしちゃおうかな〜」
「任せてください♪」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「美味しかった〜」
「喜んで貰えてよかったです〜」
「じゃあ、もう寝ようか、明日も早いしね」
「そうですね、私はどこで寝ましょうか」
「ん〜、じゃあここで」
「こ...こ...?」
「うん、俺の横」
「!?!?///
何言ってるんですか!?」
「そんなに嫌だったの?」
「え、いや、嫌と言うわけでは...
でも...」
「別に俺は構わないよ」
「・・・、では...」
「ん、おやすみ〜」
「はい、おやすみなさい」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
草木も眠る丑三つ時。
とある一軒家の中
寝息を立てている男に
娘はナイフを
ーーー振り下ろすーーー。
ドシュ、ザシュ、ザクッ、グサッ
「これでおしまいですね」
布団の上に横たわる
人だったであろう肉塊
「申し訳ありません」
ドシュッ
「お世話になりました」
もはや男は生きてはいない
この日『蛇』の一人が
絶命させられた。
「せめてもの情です。
貴方の育てた花達は
そのままにしておきますね」
そうして娘は、その場を立ち去った。
ーーーーーしばらくしてーーーーー
「そう、始末できたのね?」
「はい。」
「貴方に何もなくて良かったわ。
他の娘達は皆失敗に
終わっているようだったから」
「私が残りも始末いたしましょうか」
「出来たら、そうして貰える?」
「かしこまりました」
「では、頑張ってね」
「はい。」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「・・・、ふ〜」
男は生きていた。
否、『死ねなかった』
「あ〜、血が出てる
とりあえず、ナイフ抜こう」
オーディが体からナイフを
抜き取ると勢いをまして
血が溢れてきた。
「紫陽花よ」
愛用している刀。
それが妖しく光を放ち
オーディは再び、何もなかったかのような
元の人の体に戻った。
「さて、行きますか...。」
まるで幽鬼のように
立ち上がり
男は、娘を探して
歩き出す。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「とりあえず、この街から出ましょう
これ以上は面倒事に巻き込まれては困りますし」
普通にしていれば
怪しまれないだろう
「すいません、通してもらえますか?」
「あぁ、いいよ」
ーーーーーー刹那ーーーーーー。
刀による一閃が
娘を襲った。
16/02/29 15:24更新 / 紫酔染香*・ω・)ゞ
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