異界渡りの目印になるよう、彼は自分の魔力を込めた絵の具で魔法陣を描いた。普段使わないちゃぶ台の上に、ぽつんと怪しい魔法陣が置かれているのを見ると、思わず笑いたくなってしまう。

「……さて、時間だ」

実験は成功するのか、という純粋な好奇心と、どのような物体が送られてくるのかというどす黒い期待が混ざった、興奮の色を隠せない声が響く。
実際、彼が呟いた瞬間に部屋の魔力がわずかに乱れ、中央の魔法陣に吸い込まれていく。密度の違う二つの液体が混ざり合うように、魔法陣を中心に魔力の渦が巻いて視界がぼやける。興味深い現象だった。無論、動画はとってある。

「……よし」

成功だ、と彼は直感した。確かに予測されていた通りの現象が起き、問題なく静まった。そしてその中央には、生き物の魔力が確かに存在しているのを、彼は敏感に感じ取っていた。外で見た人間や鳥や猫とは異なる魔力の質だ。これが、魔物の、リッチの魔力パターンか、と冷静に彼は頭の中で理解した。

「さて……え？　は？」

リッチの体の一部とやらを見るために、少し離れた場所から近寄ると、正常になった視界に、とんでもないものが飛び込んできた。

「……尻？」

尻、尻である。間違いない。

「……しかも、小さい」

彼は童貞である。しかしそれでも、その尻が成人女性のものではないことは理解できた。年端もいかないような、少女の若々しい二つの肉塊。それが、でんとちゃぶ台に乗っているのである。シュールだった。

「まさか、いきなり尻って。しかも、こんな小さいって、聞いてないぞ」

彼はそれを見て、少しばかり及び腰になってしまった。少なくとも、年端もいかない少女の尻にいたずらするのは、少々、いやかなり気が引けた。

「しかし……」

ごくり、と彼は唾を飲んだ。アンデットで、幼女なはずなのに、その尻はやたらと扇情的だ。血の気のない青白い肌には静脈が浮き上がり、ムダ毛一つ生えていない。傷ひとつないなめらかな肌からは、生々しい魔力が漂ってくるようだ。今代の魔王である淫魔の魔力を受け取った彼女の幼い肌は、ひどく背徳的で、興奮を誘った。

肌、いや、肉、肉だ。幼肉。幼雌肉。

そう彼女の魔力は自己主張し、訴えかけてくるようだ。

「と、とりあえずメッセージを……」

彼はメッセージアプリを起動させ、アルルに実験の成功を知らせる文字列を打った。

「アルルか？　今ちょうど、実験が成功した、らしい」
「そうかい。それはよかった、とても嬉しい」
「だけどその、届いたのが、女の子の……それも小さな女の子の尻なんだ」
「ああ、それであってるよ。そういえば、どこを送るか伝えてはいなかったね」
「いや、なんで尻なんて送ってくるんだ」
「……？　ああ、いや、そういうことか。うん、そうだね。ええと……まず手足は日常生活が不便になるだろう？」
「あー、まあそうか」
「顔や胸は失敗した時が怖い。それから腹部もそうかな。性器でもいいかもしれないけれど、ある程度質量があったほうがいいと思って」

卑猥な言葉を受けて、彼はめまいがした。軽い冗句のつもりだろうか。おまけに、追い討ちをかけるように凄まじいメッセージが飛んでくる。

「それから、おっぱいマウスパッドとか、お尻マウスパッドとかそちらにはあるんだろう？　君も有効活用できると思ってね」
「どこでおぼえたんですかね」
「ネットにはこちらからでも接続できるようになったからね。いやあ、とても便利だし、そちらの世界には色々なものがあって大変よろしいと思う」

その色々、という含みのある言葉に頭痛を覚えた。小さい子がそんなものに興味を出さないでほしい。しかしそんな彼の考えを見透かしたように、続けてメッセージが送られてきた。

「ああ、そうそう僕はそれなりの年齢だよ。リッチは成長が止まっているし、サバトの目的は魔導の探求の他に、幼い魔物の魅力と背徳をあまねく世界に広げることだからね」
「幼い魔物の魅力って……」
「うーん……有り体に言えば、サバトはロリとロリコンの巣窟だよ」

彼は一旦アプリを落とし、タバコに火をつけた。目の前の尻が、これが現実であることを示している。そんなふざけた設定があるなど、正直わけがわからない、という思いだった。

「……ま、まあ俺は共同研究しているだけだしな」

震え声で言って、ふと気づく。ロリとロリコンの巣窟であるならば、アルルはどうなっているんだろうか。この柔らかそうで、死体とは思えないほど艶やかな魅力を備えた尻を、ロリコンの前に差し出して、善がっているのだろうか。

相性がいい、などと言って起きながら、彼に求めているものは技術だけで、その人格も肉体も性的な魅力もどうでもいいと思っているのだろうか。

いや、そうだろう。こんなひねくれた男に魅力を感じる人間などいないことは、これまでの人生で嫌という程味わってきたのだ。

「……ま、そんなものか」

メッセージアプリを開くと、新しくメッセージが到着していた。どきり、と心臓が跳ね上がる。

「うまく繋がっているか知りたいから、触ってくれないかな。ああ、心配しなくても、アンデットは排泄しないよ。ものを食べても、胃袋の炉で魔力まで分解できるから。清潔だから、何を入れても大丈夫。そこは退化した器官だから、アナルセックス用に改造している魔女もいるくらいさ」
「ずいぶん爛れているんだな」
「サバトだからね。もちろん、君もその気ならその尻を使ってもいいよ。僕の体を使って、君が幼い少女の背徳と魅力を理解してくれるなら、僕も嬉しい」

そんなメッセージを見て、なんとも言えない思いが湧き上がった。売女のような文言だ。

（……俺以外にも、それこそ何人も、その尻を差し出してきたのか）

歪な独占欲と邪な貞操観念が、彼の心をささくれ立たせた。実際には魔物が大量に余っており、売女に見えても既婚になれば魔物は夫一筋だ。リッチの紳士的で冷静な求愛行為は、淫乱で見境のない侮蔑行為と取られ、そして破壊的で熱烈な性的行為を誘爆させた。

「……ふん、触ればいいんだろ。ほら」

ぱぁん、と小気味いい音が部屋に響き渡った。彼は思い切り、形のいいぷるぷるの尻肉を、手で叩いたのだ。契約が有る限り付き合いは続くだろうが、余計な色目を使われることももうなくなるだろう、と彼はやけっぱちのように思っていた。

ぷるんっ、と震えた尻肉が可愛らしい。手に伝わってくる柔らかい水風船を叩いたような感触が、彼の心に潜む嗜虐心をくすぐる。尻の方は、アンデットというからには死んでいるはずであるのに、じわりと手のひらの形が浮き上がってくる。生きているのだ。死んでいながらに生きる、アンデット。

「……」

いつもの自分らしくない自分が、彼を乗っ取ってしまったかのようだ。他人に体を操縦されているかのように、女に手を挙げる度胸もないだろう彼が、紅葉痕のついたリッチの尻を冷徹な目で眺めていた。

「……メッセージか」

罵倒だろうか。そう思って携帯を開いた彼の目に、思わぬ文言が飛び込んできた。

「きちんと感覚も繋がっているようだ。しかし、尻をいきなり叩かれるとは思わなかったよ。何か粗相をしてしまったかな。それならば申し訳ないね。いや、しかし、うん、悪くない。むしろ、いい。ここにきてやっと自分の性癖を自覚できた気分だ」

尻を叩かれても、怒るどころか喜んでいるようにすら思える。彼は困惑した。少なくとも、人間とは価値観が異なる。いや、あまり人と価値観が同じであると自信を持って言えない彼に言われたくはないかもしれないが。

「……」

彼はじっと掌を見る。叩いた衝撃は、まだ掌に残っている。一瞬の衝撃であったというのに、その肉の柔らかさと肌の滑らかさは、手に取るようにわかった。一瞬の邂逅で、彼の手はこの雌肉がひどく使い心地がいいということを完全に理解している。
それにあの平静を装っているのに、どこか期待と、熱がこもった文面。

「……何をしても」

何をしても、どうなるのだろう。おそらくきっと、彼女は受け入れる。半ば確信にも似た思いがそこにあった。魔物の肌から伝わる魔力は人を狂わせる。それに、彼自身も女というものに対してあまり容赦を抱く余地がなかった。さらにさらに、アルルはリッチであったが故に、彼の責めをなんでもないように余裕を持って報告することができる。魔物故、どこまでも過激なプレイですら喜ぶ余地がある。それらの要素が重なり合って、ズルズルと魔界でも有数な過激プレイ夫婦が誕生したのであった。彼と彼女が正常な男女の付き合いを行う余地は、このとき失われたのである。魔王軍サバトのボスであるバフォ様は「あの二人、結構ズレてるくせに、性癖がマッチしすぎているせいでパーフェクトコミュニケーションなのじゃ……割れ鍋に綴じ蓋というやつなのじゃ……まあ幸せそうだし研究成果もすごいし文句はないんじゃが……じゃが……あんまり過激なプレイは心臓に悪いのじゃぞ」などとぼやく羽目になる。

「……」

ぱぁん、ぱぁん、と2度音が響いた。ぷるんっ、と桃のような肉が震え、ひくひくっとその下の筋肉が痙攣する様が見える。再びメッセージが届いた。

「申し訳ない。本当に何が起きているのかわからない。だけれど、君は、いや、お兄さんは僕を躾けてくれているのだな。兄にべたべたする同僚たちの気分が初めてわかった気がするよ。ああ、これが身を委ねる感覚か。なるほど、新しい」

ぱぁん、という音が三度響いた。もはや収まりがつかなくなっていた。この余裕たっぷりに見えるメッセージの文面を引き剥がし、その奥に潜む彼女の本性を暴きたくて仕方なくなっていた。余裕のない、怒りや恐怖といった感情。その純粋な感情こそが、彼が女性に向けられるものとしてはふさわしいと思っていた。

しかし、届く文面は未だにへりくだったものである。いや、より先鋭化したといっていい。

「一つ報告なのだけれど、そちらの世界に一部送っているだけで、実際に切り離されているわけではないんだ。壁に尻が嵌ってしまっているような状態かな。だから、きちんとお兄さんの平手は僕の体に届く。叩かれた衝撃が腹の奥まで響くようだ。だから安心して僕の子宮を揺さぶってほしい。それから無知蒙昧で気が利かず、空気の読めない研究一筋の死体魔術師に、どうしてお仕置きされているのか理解させていただく機会をもらえないだろうか。もちろん、気が向けば好きなように扱ってくれて構わないのだけれど、返信がないのは、少し、その、不安になるから」

彼はそんな誘っているのか余裕があるのかわからない文面を舐めまわすように読んだ。気がつけば、ギチギチに勃起していた。彼は下半身を締め付ける邪魔なズボンを脱ぎ、パンツからはみ出るそれをしまうこともないまま、再び手を振るった。今度は4度。

そしてメッセージを送る。短いものだった。

「ど変態め」

そして思い切り力を込めて、手を振るった。過去最大のビンタだった。大きくぱぁんと水と水が勢いよく衝突したような小気味いい音が鳴る。

肌はその弾力を誇るようにたっぷり震えたあと、ぷるぷるとその下の筋肉の痙攣を反映して震えた。彼は掌を見ると、じっとりと湿っている。汗だ。自分のものだけではない。赤くなった尻の表面も、じっとりと汗をかいている。興奮か、恐怖かわからないが、自分が女の感情を動かしたのだ、という歪んで矮小な征服欲が、リッチの邪悪な魔力に増幅されていく。

しかし余韻に浸る間もなく、再びメッセージが届く。

「申し訳ない。少し絶頂してしまった。浅かったけれども、初めての絶頂だ。罵られて、尻を叩かれて絶頂してしまう、お兄さんの言った通り僕はど変態だ。うん、自覚させていただきました。それで、このど変態な魔術師に対する罰は終わりかな？　それとも、まだ躾けられなければいけないのかな」

挑発なのか、誘いなのか全くわからない。彼は携帯のカメラを起動させ、パシャパシャと尻を四方八方から撮影する。

「会陰より後ろ側、尾骨より前側か」

メモして、尻の隣に置く。さらに尻たぶを広げて、中にうずくまる小さな窄まりを撮影した。

「尻穴、健在と」

きゅっと恥ずかしそうに、菊門がしまった気がした。尻たぶも恥じらいを見せて抵抗するかのように力がかかる。しかし彼は、ぐっと力を込めて、その抵抗を封じ込めた。抵抗は許さないというように。

そして、撮影した画像群をメッセージで送信する。その上、メッセージで考察を付け加えた。

「被験体１、種族リッチ、名称アルル＝ツェンベルン＝バックバルルを用いた転送実験は成功した。実験結果は添付した画像の通りである。尻を叩いたことによる振動、感覚共に伝わることは確認済み。しかし、被験体１は異常性癖の持ち主であった。尻を叩かれ、罵倒されることで絶頂するほどのマゾである。臀部を送りつけてきたことも、その表れだと考えられる。未だ尻叩きの余韻が残っているためか、共同研究者に対して魔界側の実験結果を一切送ってこない。臀部を選択したことの意図は、おそらくそのアナル管にあるだろう。リッチの生態上、排泄は行われない。無用となったはずの尻穴を差し出すことで、共同研究者が精を注ぎ込むことを期待している可能性がある」

さらに続ける。まるでアルルを被験体としてみているかのように、ひどく突き放したような書き方だ。本人は客観的なのだ、と言うだろうが。

「今回、被験体１は自身のマゾ性を告白した。これから実験を行う上で、被験体の情報収集は必須である。また、今回、彼女は女性器を転送してこなかった。未だ日が浅いため、十分な信頼関係が築けていない証拠であろう。もしくは、恥じらいというものを持っていたか。いずれにしろ、彼女の被虐性癖を満足させつつ、信頼関係を築くことで、彼女も実験の協力に対して積極的になるだろう」

無理やりといっていい理屈を、その被験体本人に送りつける。そんなものを信頼関係などというのだから、よほど社会性がないのであろうが、まさにそれが――アルルの嗜好に合致しているのだ。

「よって、術式が解けるまでの一週間を使い、彼女が期待していたであろう、臀部の調教を行う。共同研究者として、実験ごとに、被験体に対する客観的なレポートを請う」

しばらく、返事はなかった。彼は気長に待った。

そして、最初の返事は画像だった。彼の心臓は跳ね上がった。恋だの愛だの、あまり縁がない人生を送ってきたが、まさかこのような形でその衝撃を知ることになるとは、彼は思ってもいなかっただろう。

「……俺はロリコンじゃない。好きになった人がロリだっただけだ、なんて言うことになるとは」

美しい、芸術品のような少女だった。それが、全裸になって椅子の上に座っている。彼女の最も愛らしい姿を、アンデットになることで切り取ったその姿。

ショートに切られた銀髪は輝き、菫色の瞳は怪しく光っている。三白眼で目つきは悪い部類に入るだろうが、大きな目のおかげでそれもまた魅力的に映っている。白すぎる肌は、彼女の尻と同じものだと一目でわかった。真っ白で滑らかな肌の中でも、柔らかく膨らんだ唇や、幼気な頬はわずかに赤みが差し、その存在を際立たせている。

幼く、手足を含めて全身がほっそりしており、抱えれば折れそうに見えるにもかかわらず、全身に柔らかそうな肉が乗っている。それこそ、彼が肉食獣であるならば食べてしまいたいと思うほどだろう。特にぴったりと閉じた性器は、肉厚の陰唇に守られつつ、その隙間からとろりと液体を流し、わずかに膨らんだ胸の頂にあるポッチは、可愛らしく勃起していじめられるのを待っていた。

「それに、この表情は……」

一番彼が惹かれたのは、その能面のような顔だった。無表情の顔は、美しすぎて恐怖すら感じかねない。その顔を歪めたくて、歪める男になりたくて、彼の中に巡る魔力は股間へと集中し始めた。

愛か、恋か、いずれにしろ強い感情を抱いた彼は、先程までの昏い感情と合わせてもっと別の、なにか恐ろしい怪物へと変貌し始めていた。何しろ、恋情を抱いた少女はサバトの所属で、淫らで、性関係に慣れているように見える。そのことが、彼のコンプレックスをひどく刺激した。彼女に消えない傷をつけて、自分のものへしたかった。

そして、メッセージが再び届く。要望通り、ひどく冷静でありながら、淫蕩に染まったとんでもなく長い文面だった。

「無論、契約通り実験には付き合う必要がある。被験体１は、自分がどれだけ感じたか、何を考えているのか、実験のレポートという名目で赤裸々に纏めなければならないことに、ひどく興奮している。もちろん、お兄さんが契約を利用して被検体１の体を性的に狙っていることは理解している。被検体１もそれなりに慎重であるし、お兄さんとのセックスを面と向かって行いたいという願望は持っている。女性器を送り出すことも、それなりに恐怖の感情はあっただろう。しかし今の被検体１は君によってその自尊心などを打ち砕かれ、喜んでしっぽを振りながら異常なセックスに興じるチョロマゾマンコに堕とされるであろう事が楽しみでしょうがない。
それに、被検体１とナンバリングされたことも、興奮の一因であったようだ。２、３と続いていくことを予測し、どういった魔物がそれに当たるのかを妄想した。もちろん、被検体１にはある程度の知識があるため、生物を相手にした実験に重要な事項も分かっている。遺伝的な要素が類似していることだ。そこから、自分自身が被検体２や被検体３を産み出すことを自覚し期待してしまった。いや、お兄さんに自覚させられてしまったのだ。自覚してしまったら、契約に則って協力しなければならない。この場合、正確に表現するならば二通りの表現が必要になる。共同研究者として、この被検体１の子宮を使い、多数の被検体を生産していくことが、お兄さんのこれからの実験に重要となるだろう。被検体１として、子宮を被検体製造機にされることに大きな喜びを感じている。一考して欲しい」

そんな淫らな文面と、さらに様々な画像が嵐のように送られてきた。彼は、それに引くどころか益々興奮を増している。彼が尻を撮影し、所見を送ったものと同様に、体の局部を撮影したものに初見がついている。

「これらの写真は被検体１の前肢だ。細く、筋力はあまりないが、繊細な作業には長けている。被検体１としては、お兄さんの体を抱きしめ、その肉棒に指先で奉仕したいと願望を抱いている」

「これらの写真は被検体１の下肢だ。こちらも前肢と同様力はない。研究室から出ないので、新品同様で清潔だ。足コキにも対応できる。被検体１の動画を確認した所、絶頂時は足ピンが優位に判定として利用できると考えられる」

「これらの写真は被検体１の胸部だ。乳腺の発達は未熟だが、孕めば母乳が出るであろうことは確認済みだ。魔力が相当程度入ることが予測される。離乳食としても、お兄さんの飲み物としても極上であると自負しているが、生産量が少ないことは被検体１も気にしているようだ。滑らかで触り心地が良いのは被検体１の自慢なので、存分に乳搾りで絶頂させて欲しいという淫らな願望が有る」

「これらの写真は被検体１の断面図だ。それぞれ、人間の構造と大差はない。機能的にはほとんど停止しており、魔力的な器官に変貌しているものがほとんどだ。被検体１はこれら自分の中身がさらされたことを恥じらい、どのようにめちゃめちゃにされるか興奮しているが、共同研究者としてはお兄さんにはぜひ冷徹かつ冷静に実験を行うべきだと考えている。被検体１の願望や状態など、気にする必要はほぼない」

「これらの写真は被検体１の顔面だ。イラマチオから眼孔姦まで耐えられる。客観的に見て、保護欲を誘う容姿であるから、お兄さんがためらわないか共同研究者としては心配している。歯も小さく、舌は器用だ。死体だからといって冷たいわけではないから、安心して利用できる。無論、魔法で滅菌処理済みだ。呼吸もしないため、長時間の奉仕にも耐えうる。所見を述べるならば、便器として最適だと思われる。客観的なその事実のため、被検体１は尻ではなく顔面を送るべきだったかと少し後悔しているようだ」

「これらの写真は被検体１の性器だ。これについては、コメントを控えさせていただきたい。こちらの都合で申し訳ないが、被検体１としての思い入れが強すぎて、これからお兄さんの様々な実験に用いられ、被検体製造機としての機能を果たすここについて考えると、冷静な思考ができなくなってしまう。リッチとして情けない限りだが、共同研究者としてここを調べ尽くして欲しい。被検体１も、ここの機能と構造をお兄さんに隅々まで知ってほしいと望んでいる」

「以上、様々なパーツがあるが、基本的にお兄さんが今実験できるものは、被検体１の臀部だけだ。とはいえ、肛門から僕の内臓には接続できるから、中身も存分に弄ってもらって構わない。とはいえ、こちらも強力は惜しまない。どういった実験を行うつもりなのだろうか」

彼はそのメッセージを読んで、震える指で返事をした。興奮で震えているのだ。どこまで彼女が冷静さを保っていられるか、黒い欲望をたぎらせながら、彼はメッセージを送信した。

「少々非合法な手段も使って、内視鏡と、それと一緒に使う手術具を手に入れた。アルルも知っているだろうが、腸の面積というのは極めて広い。魔の刻印を多数刻めるであろうから、その効果を判定して欲しい。それから、魔の刻印を刻みやすくするよう、少々複雑すぎる腸の構造を改造していきたい。協力して欲しい」

返事はひどく単純だった。

「もちろん。僕は絶頂してまともに動けなくなるだろうが、思考は経箱で保つことができる。動画で余すこと無く撮影し、きちんとレポートにして送るとも。さあ、実験を開始してくれ」