(20)ワーウルフ
食後、お嬢様の様子がおかしいので、額に手を当ててみると熱を帯びていた。
彼女は頬を赤らめ、弱々しく俺の手を払いのけようとしたが、その腕には力がこもっていた。
どうやら、いつもの発作が近いらしい。発作に至る前に対処しないと。
「お嬢様、ベッドへどうぞ」
「でも・・・」
「旦那様のご命令です。どうか」
俺の言葉に、お嬢様はあきらめたのか、渋々と言った様子でベッドに向かった。
まあ、向かったと言っても、食卓代わりのテーブルから離れれば、僅か数歩でベッドだ。椅子をたってベッドに入った、と表現すべきだろう。
「少しお待ちください」
俺がベッドに横たわったお嬢様にそう言うと、彼女は顔を赤くしたままコクン、と頷いた。
俺は彼女から目を離し、テーブルの上の食器を簡単に重ね、運んだ。
俺たちが押し込められている、この屋敷の地下牢の鉄格子の外にだ。
俺がこの商家に召使いとして雇われたのは、数年前のことだった。庭師の手伝いや荷運びなど、屋敷の雑多な力仕事を任されていた。
そして数ヶ月前、俺はこの家の三女であるお嬢様とともに、この地下牢にぶち込まれた。
理由は簡単、お嬢様が出かけた先でワーウルフに噛まれたからだ。
幸い、命に別状はなかったが、ワーウルフの魔力によりお嬢様はワーウルフの仲間入りを果たしてしまった。
「表に出すと家名に泥を塗る。隠せ」
旦那様は三番目の娘の姿に、そう吐き捨てるように言うと、屋敷で代々使われていた隠し部屋にお嬢様を閉じこめることを選んだ。
表向きは、遠くの取引相手の家に嫁いでいったという形で、お嬢様は太陽の下から消えた。
その際、問題が一つあった。ワーウルフの肉体の疼きに耐えかね、男を求めてお嬢様が遠吠えする可能性があるのだ。
ワーウルフとなってもお嬢様はその性格を大部分保っており、はしたない真似はすまいと振る舞っていた。だが、いずれワーウルフの本能が彼女の意識を侵し、男を求めて吠えさせるだろう。
そうなれば、ただでさえ薄氷の上に乗っているような家名は、地に落ちてしまう。
ならば、先にいなくなってもかまわないような男を、世話係としてあてがえばいい。
こうして、お嬢様の世話係として、俺が選ばれたのだった。
食器を鉄格子の外に置き、振り返る。
すると、ベッドの上に横たわるお嬢様の姿が目に入った。
彼女は最低限のスカートとブラウスだけを身につけ、顔を赤らめ、身を固くしていた。
俺は地下牢を横切り、ベッドの端に腰を下ろした。すると、ベッドの上の彼女がぴくん、と体を震わせた。
「そう緊張しないでください」
「でも、どうしても慣れなくて・・・」
どこかどぎまぎとした様子で、お嬢様は目を泳がせながら答えた。
まるで初夜を迎えた新妻のようだ。俺は何を考えているんだ。
「慣れなくて、って何度目だと・・・」
脳裏に一瞬よぎった考えを振り払う意味を込めて、俺は改めてお嬢様にそう問いかけた。
「ああ、言わないでください・・・」
すると彼女は恥ずかしくてたまらない、といった様子で顔を隠すと、頭髪の間から覗く三角形の耳を垂れさせた。
「まあ、どうしてもイヤだ、とおっしゃるのならば今夜はやめておきましょうか?」
俺の問いかけに、彼女の肩が小さく震えた。
こんな恥ずかしい思いをするのならば、やめておこうか。そんな考えが彼女の脳裏をよぎったのだろう。
だが、直後彼女は何かを打ち消すように、ぶんぶんと顔を手で覆ったまま左右に振った。
大方、俺との初夜の出来事を思い出しているのだろう。いや、初夜って何だ。何を考えているんだ俺は。
「いえ、今お願いします・・・」
彼女は地下牢生活で迎えた、最初の衝動の限界を脳裏から追い払うと、顔から手を離しながら小さな声でそう告げた。
「かしこまりました。失礼します・・・」
俺は彼女の傍らに横になると、そっと身を寄せた。
そして、お嬢様の肩に手を伸ばし、優しく抱き寄せた。
「・・・・・・」
緊張を隠すことなく、唇を真一文字に結んだお嬢様の顔が迫る。恋人同士ならばキスでもするのだろうが、俺は彼女の頭を自分の胸元に導いた。
かすかな重みが胸に触れ、彼女の体温が衣服越しに伝わる。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
相手の体温、相手の呼吸の際の胸の動き、相手の心臓の鼓動を共有しながら、俺はお嬢様を優しく抱き、お嬢様は大人しく抱かれていた。
彼女の体は緊張により妙に力んでいたが、じっと温もりを感じているうちに力が抜けていった。
「・・・落ち着かれましたか・・・?」
俺の鼻先、頭髪の間から覗く、いつの間にかピンと立った狼の耳にそうささやくと、腕の中でお嬢様の頭が小さく動いた。
肯定を示す、頷きだ。
「お休みになられるまで、このままにしますか・・・?」
念のため、俺が問いかけると、今度は左右に頭が揺れた。肉欲をため込んで限界を迎えるより、今日この場で発散しようという決心に変わりはないようだ。
「失礼します」
俺は狼の耳にささやき、彼女の肩を抱き寄せていた手を、ゆっくりと背中へ移動させた。
衣服越しに、皮膚越しに彼女の肩胛骨をなぞり、背骨の一本一本の感触を味わうように、ゆっくりと指がお嬢様の背中を這う。
すると、俺の腕の中でお嬢様の体がこわばり、小さく跳ねた。
拒絶の動きではない。俺の指によって、彼女の背中を刺激が走っているのだ。
指が背中をたどり、腰に至り、尻との継ぎ目で止まる。すると指先に、スカートの布地越しに何かが触れた。
スカートの下、尻の上に生えた、彼女の尻尾だ。お嬢様の尻尾は、主人に構ってもらっている犬のように揺れており、直接触れずともその勢いを俺に伝えた。
だが、俺は尻尾には触らない。尻尾は敏感らしく、お嬢様が痛がるからだ。
代わりに、俺は腰のあたりまで下ろした手を、今度はゆっくりと引き上げた。
少しだけ早く、今度は背筋をくすぐるようにだ。
「・・・!」
俺の胸元で、彼女が小さく息を漏らし、体を細かく震わせた。
お嬢様の反応に、胸の奥に何ともいえない温もりが生じる。
やがて俺の手は彼女の背中からうなじに至り、ゆっくりと首筋をなぞってから頬にたどり着いた。
優しく頬をさすってやってから、顎のラインを越えてのどの軟らかな肉に触れる。
顎の下を一度、二度と擦るうち、衣服越しに俺の胸をくすぐるお嬢様の吐息が、徐々に熱く早いものになっていった。
そして、顎の下を十回ほど擦ってやったところで、俺はお嬢様の顎をそっとつかみ、胸から彼女の顔を離した。
「ふわ・・・」
胸元から離れた彼女の顔はどこかとろんとしており、先ほど真一文字に結ばれていた唇は緩く開いていた。
緊張は十分にほぐれたようだった。
「服を脱がせますが、よろしいですか?」
「・・・・・・」
俺の問いに、お嬢様はかすかに頬を赤らめながらも小さく頷いた。
俺は彼女から少しだけ体を離すと、手を彼女のブラウスに寄せ、ボタンを一つずつ外していった。
あくまで優しく。うっかりボタン糸をちぎらぬようにだ。
ブラウスをはだけさせると、下着に押し込められた彼女の乳房が俺の目の前に晒された。前々から割と大きい方だと思っていたが、ワーウルフになってからもう少し大きくなった気がする。
そんな俺の視線を感じたのか、お嬢様は恥ずかしげに乳房を隠すべく腕を胸元に寄せようとした。
「お嬢様、そう腕を寄せられてはブラウスが脱がせられません」
「・・・・・・はい・・・」
俺の言葉に、自分がこれから何をしようとしているのか思い出したらしく、彼女は小さく答えてから腕を広げた。
ブラウスを導き、袖から腕を抜かせる。次はスカートだ。
彼女の背中から腕を放し、ベッドの上に寝かせたまま、俺だけが身を起こした。
そして、彼女のスカートのボタンを外すと、僅かに力のこもる彼女の足から、スカートを抜いた。
すると、彼女のなめらかな曲線を描く太股と、引き締まった腰、そしてふくよかな乳房につながるわき腹が俺の眼前に晒された。
「・・・・・・」
一瞬彼女の肢体に見惚れていると、彼女は俺の視線に頬を赤らめながら、小さく顔を逸らした。
いかん。
俺は彼女の体から視線を外し、再びお嬢様の傍らに身を横たえた。
そして、むき出しの肌に指を添え、そっと腹を撫でる。
「んっ・・・」
お嬢様が鼻にかかった吐息を漏らし、体に力を込めた。
俺は彼女のへそを中心に、指で肌の下の筋肉をなぞると、ゆっくりと下着に押し込められた乳房に近づけ、布の縁に指を引っかけた。
お嬢様の顔が赤くなり、俺の指が彼女の簡単な下着を押し上げる。
すると、布の内側の圧力に耐えかねて、布を半ばほど間でずらしたところで、彼女の乳房があふれでた。
ぶるん、と勢いよく揺れつつ、窮屈に押し込められていた部位をのばすように、乳房の谷間が広がった。
お嬢様の、片方だけでも手で持ち上げればかなりの重みを感じそうな乳房の先端では、主の気質通りの控えめな大きさの乳首が、彼女の興奮を表すように突き出していた。
吸いつきたい。
俺の内側にそんな欲望が芽生えるが、俺はぐっと堪えた。
代わりに指を伸ばし、そっと軟らかな肉の塊に触れた。
握るより遙かに弱く、触れるに限りなく近い力で、優しく優しく乳房を揉む。
「ん・・・ん・・・」
ここにぶち込まれてから幾度となく触れ、彼女の反応で力加減を覚えてきた俺の指に、お嬢様が甘い声を漏らした。
もう以前のように、思いの外力が入ってしまい、痛みに声を上げさせるようなことはしない。
乳房の表面に指を微かに食い込ませたまま、手をそっと動かす。
すると、指が乳房の表面を滑り、乳房の表面に作り出す微かなくぼみを移動させていく。
柔肌の下、皮膚を擦られる感覚と、軟らかな肉が形を変える感覚に、淡い刺激が生じたのか、お嬢様は指に力を込め拳を軽く握った。
俺はもう一方の手も乳房に添え、両方の手でそれぞれの乳房を支えるようにした。自信の重みにより、お嬢様の肉体からこぼれ落ちそうになっていた肉の球体を、軽く寄せる。
そして、乳房同士を押し合わせ、軽く擦り合わせてやると、柔らかな肌の触れ合う感覚に彼女の乳首が突出する。
そのまま俺は指を伸ばし、乳房の頂上、突出する乳首の麓に広がる乳輪に触れた。
「ひ・・・!」
淡い色合いの敏感な部分に触れられ、お嬢様は握りしめた指に力を込めた。
俺は彼女の乳輪を続けざまに二度、三度となぞり、彼女の興奮を煽っていく。
そして、「触ってほしい」とばかりに突出する二つの突起に、ついに指を触れさせた。
「んぅ・・・!」
指の腹を、コリコリとした弾力が押し返すが、俺はゆっくりと、しかし確実に突起を圧迫した。
そして、指の圧力にお嬢様の乳首が屈し、くにゃりと押し倒される。
指紋の溝が敏感な箇所を擦り、乳首に触れる面積の急激な変化が彼女の性感を高ぶらせる。
俺は指の力を緩めると、乳首から指を離した。すると彼女のそこは、再び圧迫してくれとばかりに立ち上がった。
「あぁ、はぁ・・・!」
お嬢様が苦しげに呼吸を重ね、両足を擦り合わせた。
俺は彼女が何を求めているのか悟ると、乳房を支える手の片方を離し、お嬢様の太股へと移した。
僅かに熱を帯びた彼女の太股に触れると、彼女は一瞬足に力を込めた。だが直後、肌の下で強ばっていた筋肉が弛緩した。高まりつつある興奮と肉体の疼きに、彼女が素直になっているのだ。
乳房と同じように、微かにその柔肌に指を埋めつつ、俺は彼女の太股を悟った。
寄せられ、もどかしげに擦り合わせていた太股から力が抜けていく。
俺の手が彼女の太股を、外側から内側へと擦る場所を変えていくと、お嬢様はそれを拒むどころか、擦りやすいように僅かに脚を開いた。
いや、これは俺に対する配慮などではない。ここを擦ってほしいという、無言の懇願なのだ。
彼女の求めるがまま、俺はお嬢様の太股の内側の方へ、付け根の方へと手を動かしていった。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
いつしかお嬢様は眉根を寄せ、時折唇を擦り合わせながら荒く呼吸を重ねていた。
一見すると、必死に何かに耐えているようだが、彼女の内側の快感のうねりが、その表情にまで滲みだしているのだ。
もう少しだ。
俺はいつしか太股の付け根、下着の縁の辺りをなぞっていた手を、ついに彼女の体でもっとも秘められるべき場所へと滑らせた。
彼女のそこは熱を帯び、唯一身につけている布地を湿らせていた。
体温の上昇によって滲んだ汗だろうか?違う。彼女の両足の付け根、胎内へと続く柔らかな亀裂の奥から滲みだした、快感と興奮の証によるものだ。
「あぁ・・・!」
荒い呼吸が一瞬途切れ、あえぎ声が彼女の喉から紡がれる。
俺は、濡れた柔らかな下着越しに、お嬢様の秘所を指でさすった。
布をそこに食い込ませるような荒々しいものではなく、太股や乳房に触れたときと同じように、微かな圧力を加える程度の力でだ。
だが、彼女の柔らかでもっとも繊細な場所は、それだけの刺激に打ち震え、主たるお嬢様自身にその悦びを快感で伝えた。
「ふ、ぅ・・・!」
もどかしげに唇を擦り合わせつつ、彼女が半ば喘ぎを含んだ吐息を漏らした。
随所から生じる快感に、彼女の体は細かく震え、もっともっとと求めていた。
そして俺の内側でも、もっとと求める衝動が生じつつあったが、俺は強引にその欲求を押さえ込んだ。
黙々と、お嬢様の体に触れる。
「お、お願いです・・・」
乳首を圧迫し、下着越しに秘所を擦り続けていると、不意にお嬢様が苦しげに言葉を紡いだ。
「その・・・ええと・・・」
「何でしょうか、お嬢様」
「・・・もっと、お願いします・・・」
「はっきりおっしゃってください」
「・・・・・・意地悪・・・」
俺のやりたいもっとと、彼女の求めるもっとに違いがあってはならないための問いかけに、お嬢様は唇を軽く噛んだ。
「もっと・・・その・・・激しく・・・」
「もっと、力を入れてよいのですか?それとも、もっと深い場所に触れてよいのですか?」
「・・・りょ、両方でお願いします・・・んっ!」
羞恥心を押さえながらのお嬢様の求めに、俺は行動で答えた。
乳房を掴む指が、少しだけ軟らかな肉球に食い込み、指の間から柔肌を盛り上がらせた。
お嬢様の股間では、つい先ほどまで湿り気を滲ませていた谷間を擦る指が、ついに彼女の最後の下着を引き剥がしにかかっていた。
お嬢様は乳房に加えられる強まった刺激を堪えながら、下着がスムーズに脱げるよう両足を揃えた。
乳房からの快感に震える脚から、そっと下着を抜き取る。
ようやく、彼女の一糸まとわぬ姿が、地下牢に晒された。
俺は手の中の湿り気を帯びた暖かな布をベッドの縁に置くと、彼女の足に触れ、太股まで滑らせた。
するとお嬢様は、接近する手を迎えるように緩く両足を広げた。
程なく俺の手が彼女の秘所にたどり着き、指先がそっと肉の亀裂に触れる。
「ん・・・!」
亀裂に縁に触れた指先に、彼女が身震いとともに声を漏らした。
俺は彼女の女陰をなぞりつつ、乳房に埋める指を蠢かせる。二カ所から生じる快感が、お嬢様の意識を揺さぶった。
「ああ、ああ・・・!」
快感のうねりに、彼女は喘ぎ声を抑え込むことも忘れ、目元に涙を滲ませながら声を漏らした。
「お願いです・・・!もう、辛抱できません・・・!」
彼女は寄せては返す波に耐えるように、言葉を区切りながら俺に向けて口を開く。
「どうか、唇も・・・!」
「それは、だめです」
接吻を求めるお嬢様に、俺は小さく頭を振った。
確かに言葉を紡ぎ、時折もどかしげに擦り合わせられる彼女の唇は、俺を悩ましく誘っていた。あくまでも俺の仕事はお嬢様の性欲を発散すること。それ以上のことは許されない。
「唇も触ってください・・・!キス、ではありませんから・・・大丈夫・・・んっ!」
「かしこまりました」
俺はそう応えると、彼女の顔に唇を寄せた。
片手は乳房、片手は秘所。両手がふさがっているのならば、彼女の唇に触れられるのは俺の唇だけだ。
思い切り、歯と歯がぶつかり合うような勢いで吸いつきたい、という欲求を押さえ込み、俺は小鳥が果物をついばむようにちょんとお嬢様の唇に触れた。
彼女の唇はみずみずしく柔らかで、俺の唇に吸いつくようだった。
「ん・・・!」
彼女は触れた粘膜の感触を味わおうと、俺の唇を求めた。だが、俺はとっさに頭を引き、ついばむ小鳥に食らいつこうとする甘い果実から逃れた。
「あぁ・・・!」
彼女の唇が開き、無念を含んだ喘ぎ声があふれる。
だが、彼女の唇が閉じる前に、俺は再び顔を寄せた。彼女の柔らかな上唇を、俺の唇で柔らかく挟む。
舞い戻ってきた小鳥のついばみに、彼女は俺の下唇に食いついて応えた。
「ん、んん・・・!ん・・・!」
互いの唇を吸い、時折離しては再び吸いつきながら、俺たちは互いを貪った。
俺の手の動きに時折彼女の体が震え、唇の動きを乱れさせた。
するとお嬢様は仕返しとばかりに、くぐもった声を漏らしながらよりいっそう強い力で俺の唇を吸った。
いつしか、彼女の手が俺の体に触れ、体をもっと密着させようとするかのように俺にしがみついていた。
また、どちらからともなく俺たちは互いの唇の間に舌を差し入れ、互いの口腔をまさぐっていた。
唇の感触に、微かにざらつく相手の舌、そして自分のものではない唾液の味とが一体となり、俺たちの興奮を高めていく。
興奮に自然と呼吸が荒くなるが、鼻だけでは息が追いつかない。
「ぷは・・・!」
俺は唇を離すと首を反らし、口を開けて空気を求めた。
お嬢様が俺の唇を追うように頭を持ち上げるが、自身も酸欠気味であることに気がついたのか、大きく喘いだ。
いつの間にか彼女の乳房と秘所に触れていた手は、お嬢様の背中と尻に移動し、彼女を抱き寄せる姿勢になっている。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
俺たちは抱き合ったまま、荒く呼吸を重ねた。
彼女の乳房は俺の胸板で押しつぶされていたが、その先端は痛いほどに俺の胸をつついている。そして俺の股間も、お嬢様の太股に興奮の証を押しつけていた。
「も、もう我慢できません・・・!」
興奮に震える声で、お嬢様が太股に押し当てられる固いものを求めた。普段ならば、ここで一言挟むところだが、俺にはその余裕はない。
もう二人とも、出来上がってしまっているわけだ。
「・・・」
俺は無言で頷くと、腰を浮かしてズボンの前合わせを開いた。
下着をずらし、その奥に隠されていたモノを露出させると、お嬢様が目を見開いた。
「あぁ・・・!」
期待を言葉に滲ませながら、彼女は手を俺の股間にのばし、脈打つ男根に触れた。
柔らかな彼女の指に、肉棒に甘い刺激が生じ、ぴくんと揺れた。
彼女は跳ねる肉棒にそっと指を絡めると、導くように角度を調整した。俺はお嬢様の導きに従い、ゆっくりと腰を沈めていく。
そして、膨れ上がった亀頭に柔らかく、濡れた、温かな亀裂が触れた。
「あ、あっぁ・・・!」
肉の穴を押し広げる感覚が肉棒を包み込むのに合わせ、お嬢様の喉から喘ぎ声が絞り出される。
きつく締め付けてくる濡れた女陰に、俺は肉棒を根本まで押し込むと、彼女の背中に両腕を回した。
俺の覆い被さるような抱擁に対し、彼女もまた俺の背中に両手を回すことで応えた。
「うご・・・きます・・・!」
「・・・」
俺の言葉に、お嬢様が小さく頷く。
彼女の返答を確認するや否や、俺はお嬢様に突き込んだ肉棒で彼女の蜜壺をかき回した。
「あ、ああ・・・ん・・・!」
腰を回す度に、甘い喘ぎ声を紡ぎ出す唇を、俺は唇で塞いだ。
するとお嬢様は喘ぎ声の代わり、とばかりに舌を突き出し、俺の口内を探った。
歯茎と唇の間を、彼女の舌が柔軟に這い回る。やはりワーウルフになった影響で、舌の動きがよくなったのだろうか?
そんな疑問が脳裏で浮かんだ瞬間、意識の隙間を突くように、お嬢様の膣壁が波打った。
きつく締め付けてくるだけだった肉の穴が蠢動し、俺の勃起の根本から先までの圧迫感が複雑に変化する。
一度に加えられた軟らかい肉ときつい締め付け、波打つ粘膜の感触に、俺の意識は高みへと突き上げられた。
「ぅ・・・!」
お嬢様と唇を重ねたまま、低くうめき声を漏らしつつも、俺は踏みとどまった。
俺一人だけが勝手に気持ちよくなってはならない。
意識を凝らし、力を振り絞って、ともすれば限界に達しそうな肉棒を叱咤しながら、俺は彼女の奥深くめがけて腰を押しつけた。
「んっ・・・!?」
肉の穴の奥深く、そこまで届くとは思っていなかった場所に届いた肉棒の感触に、お嬢様の喉が震える。
そして、彼女の全身が強ばり、独特な痙攣を起こした直後、俺もまた限界に達した。
頭の中でどこともなく込めていた力が抜け、解放感が意識を満たす。同時に、俺の肉棒が震えながら、彼女の胎内に精液を放った。
勢いよく、煮えたぎった絶頂の証が、興奮の頂に達して震える肉洞に注ぎ込まれる。
熱と勢い、そして興奮によって熟成された固い精液の感触に、お嬢様はより高みへと昇っていった。
「・・・・・・!」
眉根を寄せ、目を閉じ、随喜の涙を流しながら、声にならぬ喘ぎをおれと唇を重ねたまま漏らす。
彼女の全身が震え、俺の背中に回された両手がきつく俺を抱きしめ、腰に彼女の両足が絡みつく。
両手両足で、俺にしがみついたまま彼女は忘我の彼方へ舞っていった。
そしてお嬢様の意識から解放されたワーウルフの肉体が、さらに精液を搾ろうとするかのように膣壁を波打たせた。
そんなことをせずとも、しばらく射精は止みそうにないのに。
解放感と絶頂の快感に身を任せたまま、俺は意識のどこかで苦笑しつつ、与えられる膣壁の刺激に対して白濁を迸らせて応えた。
そして、しばしの間互いに絶頂を高め合ったところで、俺の肉棒の脈動が弱まり、お嬢様の肉壺の痙攣が止まった。
なにもか藻を忘れ去るような解放感が消え去り、絶頂後特有の心地よいけだるさが全身を満たす。
俺たちは指一本動かすのも辛いほどの倦怠感に身を任せ、繋がったまま全身を脱力させた。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
重ね合わせていた唇を離し、体が求めるまま荒く呼吸を重ねる。
すると、いち早く倦怠感から立ち直ったのか、それとも絶頂の名残に浸ったままなのか、お嬢様が口を開いた。
「とても、気持ちよかったです・・・・・・」
満足げな調子で彼女はそういうと、涙の跡の残る目を細めた。
「一番最初の、身体の疼きに全てを任せた最初の時よりも、ずっとずっと気持ちよかったです」
俺の脳裏に、お嬢様が最初に発作を起こしたときのことが浮かんだ。
羞恥心と爆発した性欲に板挟みになり、俺を押し倒して跨ったはいいもののどうしたらいいかわからず、女陰を擦りつけながらもどかしさと恥ずかしさにすすり泣くお嬢様。
「あのときは、大変でした・・・お嬢様が泣かれて、でも身体の火照りは治まらなくて・・・」
脳裏に浮かび上がった彼女の泣き顔に、俺はどうにか口を動かして応えた。
「もう、そっちの最初は忘れてください」
お嬢様は顔を赤らめながら、唇をとがらせた。
そうだった。彼女の中では、色々予習して覚悟を決めた上で迎えた二度目が、最初なのだ。
「すみませんでした・・・」
「以後、気をつけてくださいね?」
俺の腕の中で、彼女はくすくすと笑った。
「それで・・・実は、いつもあなたに気持ちよくしてもらってばかりだと気がついたんです・・・」
彼女は笑みを引っ込めると、少しだけ恥ずかしそうに言った。
「お構いなく。それが俺の仕事ですから」
「仕事といっても、私が申し訳なく感じるんです」
俺の返答に、お嬢様は珍しく強めの語調で応えた。
「ですから、今度は私が上になって、あなたに気持ちよくなってもらおうと・・・」
「そんな・・・」
今でも十分気持ちいいです、と続けようとして、俺は口をつぐんだ。
視線を逸らし、かすかに頬を赤らめる彼女の表情に、お嬢様の真意を悟ったからだ。
考えてみれば、ここに入れられてから俺が上になって抱き合う姿勢でしか交わったことがない。そろそろほかの姿勢に興味がわいても、おかしくはない。
「・・・かしこまりました。ではお願いします」
「はい・・・」
俺の返答に、彼女は少しだけ期待を含んだ、恥ずかしげな声音で応じると、俺の背中から手をゆるめてベッドに触れた。
俺は重心を移動し、彼女が上になるよう寝返りを打って協力した。
「ん・・・!」
「大丈夫ですか?」
上下入れ替わると同時に、小さくうめいたお嬢様に俺は声を掛けた。
「大丈夫、です・・・すこしいつもと違うところに当たって・・・」
彼女の声と、変化した圧迫感に、お嬢様の胎内で肉棒が脈打った。
「ん・・・動いた・・・苦しくありませんか・・・?」
「俺も大丈夫です」
こくん、と頷くと、お嬢様が頬を赤らめたまま微笑んだ。
「では、たっぷり気持ちよくなってくださいね・・・!」
「お嬢様も、どうか・・・」
お嬢様が興奮をはらんだ声に、俺はそう言葉を紡いだ。
夜は長いし、時間はたっぷりとある。
俺たちがもっと楽しむには、十分だ。
彼女は頬を赤らめ、弱々しく俺の手を払いのけようとしたが、その腕には力がこもっていた。
どうやら、いつもの発作が近いらしい。発作に至る前に対処しないと。
「お嬢様、ベッドへどうぞ」
「でも・・・」
「旦那様のご命令です。どうか」
俺の言葉に、お嬢様はあきらめたのか、渋々と言った様子でベッドに向かった。
まあ、向かったと言っても、食卓代わりのテーブルから離れれば、僅か数歩でベッドだ。椅子をたってベッドに入った、と表現すべきだろう。
「少しお待ちください」
俺がベッドに横たわったお嬢様にそう言うと、彼女は顔を赤くしたままコクン、と頷いた。
俺は彼女から目を離し、テーブルの上の食器を簡単に重ね、運んだ。
俺たちが押し込められている、この屋敷の地下牢の鉄格子の外にだ。
俺がこの商家に召使いとして雇われたのは、数年前のことだった。庭師の手伝いや荷運びなど、屋敷の雑多な力仕事を任されていた。
そして数ヶ月前、俺はこの家の三女であるお嬢様とともに、この地下牢にぶち込まれた。
理由は簡単、お嬢様が出かけた先でワーウルフに噛まれたからだ。
幸い、命に別状はなかったが、ワーウルフの魔力によりお嬢様はワーウルフの仲間入りを果たしてしまった。
「表に出すと家名に泥を塗る。隠せ」
旦那様は三番目の娘の姿に、そう吐き捨てるように言うと、屋敷で代々使われていた隠し部屋にお嬢様を閉じこめることを選んだ。
表向きは、遠くの取引相手の家に嫁いでいったという形で、お嬢様は太陽の下から消えた。
その際、問題が一つあった。ワーウルフの肉体の疼きに耐えかね、男を求めてお嬢様が遠吠えする可能性があるのだ。
ワーウルフとなってもお嬢様はその性格を大部分保っており、はしたない真似はすまいと振る舞っていた。だが、いずれワーウルフの本能が彼女の意識を侵し、男を求めて吠えさせるだろう。
そうなれば、ただでさえ薄氷の上に乗っているような家名は、地に落ちてしまう。
ならば、先にいなくなってもかまわないような男を、世話係としてあてがえばいい。
こうして、お嬢様の世話係として、俺が選ばれたのだった。
食器を鉄格子の外に置き、振り返る。
すると、ベッドの上に横たわるお嬢様の姿が目に入った。
彼女は最低限のスカートとブラウスだけを身につけ、顔を赤らめ、身を固くしていた。
俺は地下牢を横切り、ベッドの端に腰を下ろした。すると、ベッドの上の彼女がぴくん、と体を震わせた。
「そう緊張しないでください」
「でも、どうしても慣れなくて・・・」
どこかどぎまぎとした様子で、お嬢様は目を泳がせながら答えた。
まるで初夜を迎えた新妻のようだ。俺は何を考えているんだ。
「慣れなくて、って何度目だと・・・」
脳裏に一瞬よぎった考えを振り払う意味を込めて、俺は改めてお嬢様にそう問いかけた。
「ああ、言わないでください・・・」
すると彼女は恥ずかしくてたまらない、といった様子で顔を隠すと、頭髪の間から覗く三角形の耳を垂れさせた。
「まあ、どうしてもイヤだ、とおっしゃるのならば今夜はやめておきましょうか?」
俺の問いかけに、彼女の肩が小さく震えた。
こんな恥ずかしい思いをするのならば、やめておこうか。そんな考えが彼女の脳裏をよぎったのだろう。
だが、直後彼女は何かを打ち消すように、ぶんぶんと顔を手で覆ったまま左右に振った。
大方、俺との初夜の出来事を思い出しているのだろう。いや、初夜って何だ。何を考えているんだ俺は。
「いえ、今お願いします・・・」
彼女は地下牢生活で迎えた、最初の衝動の限界を脳裏から追い払うと、顔から手を離しながら小さな声でそう告げた。
「かしこまりました。失礼します・・・」
俺は彼女の傍らに横になると、そっと身を寄せた。
そして、お嬢様の肩に手を伸ばし、優しく抱き寄せた。
「・・・・・・」
緊張を隠すことなく、唇を真一文字に結んだお嬢様の顔が迫る。恋人同士ならばキスでもするのだろうが、俺は彼女の頭を自分の胸元に導いた。
かすかな重みが胸に触れ、彼女の体温が衣服越しに伝わる。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
相手の体温、相手の呼吸の際の胸の動き、相手の心臓の鼓動を共有しながら、俺はお嬢様を優しく抱き、お嬢様は大人しく抱かれていた。
彼女の体は緊張により妙に力んでいたが、じっと温もりを感じているうちに力が抜けていった。
「・・・落ち着かれましたか・・・?」
俺の鼻先、頭髪の間から覗く、いつの間にかピンと立った狼の耳にそうささやくと、腕の中でお嬢様の頭が小さく動いた。
肯定を示す、頷きだ。
「お休みになられるまで、このままにしますか・・・?」
念のため、俺が問いかけると、今度は左右に頭が揺れた。肉欲をため込んで限界を迎えるより、今日この場で発散しようという決心に変わりはないようだ。
「失礼します」
俺は狼の耳にささやき、彼女の肩を抱き寄せていた手を、ゆっくりと背中へ移動させた。
衣服越しに、皮膚越しに彼女の肩胛骨をなぞり、背骨の一本一本の感触を味わうように、ゆっくりと指がお嬢様の背中を這う。
すると、俺の腕の中でお嬢様の体がこわばり、小さく跳ねた。
拒絶の動きではない。俺の指によって、彼女の背中を刺激が走っているのだ。
指が背中をたどり、腰に至り、尻との継ぎ目で止まる。すると指先に、スカートの布地越しに何かが触れた。
スカートの下、尻の上に生えた、彼女の尻尾だ。お嬢様の尻尾は、主人に構ってもらっている犬のように揺れており、直接触れずともその勢いを俺に伝えた。
だが、俺は尻尾には触らない。尻尾は敏感らしく、お嬢様が痛がるからだ。
代わりに、俺は腰のあたりまで下ろした手を、今度はゆっくりと引き上げた。
少しだけ早く、今度は背筋をくすぐるようにだ。
「・・・!」
俺の胸元で、彼女が小さく息を漏らし、体を細かく震わせた。
お嬢様の反応に、胸の奥に何ともいえない温もりが生じる。
やがて俺の手は彼女の背中からうなじに至り、ゆっくりと首筋をなぞってから頬にたどり着いた。
優しく頬をさすってやってから、顎のラインを越えてのどの軟らかな肉に触れる。
顎の下を一度、二度と擦るうち、衣服越しに俺の胸をくすぐるお嬢様の吐息が、徐々に熱く早いものになっていった。
そして、顎の下を十回ほど擦ってやったところで、俺はお嬢様の顎をそっとつかみ、胸から彼女の顔を離した。
「ふわ・・・」
胸元から離れた彼女の顔はどこかとろんとしており、先ほど真一文字に結ばれていた唇は緩く開いていた。
緊張は十分にほぐれたようだった。
「服を脱がせますが、よろしいですか?」
「・・・・・・」
俺の問いに、お嬢様はかすかに頬を赤らめながらも小さく頷いた。
俺は彼女から少しだけ体を離すと、手を彼女のブラウスに寄せ、ボタンを一つずつ外していった。
あくまで優しく。うっかりボタン糸をちぎらぬようにだ。
ブラウスをはだけさせると、下着に押し込められた彼女の乳房が俺の目の前に晒された。前々から割と大きい方だと思っていたが、ワーウルフになってからもう少し大きくなった気がする。
そんな俺の視線を感じたのか、お嬢様は恥ずかしげに乳房を隠すべく腕を胸元に寄せようとした。
「お嬢様、そう腕を寄せられてはブラウスが脱がせられません」
「・・・・・・はい・・・」
俺の言葉に、自分がこれから何をしようとしているのか思い出したらしく、彼女は小さく答えてから腕を広げた。
ブラウスを導き、袖から腕を抜かせる。次はスカートだ。
彼女の背中から腕を放し、ベッドの上に寝かせたまま、俺だけが身を起こした。
そして、彼女のスカートのボタンを外すと、僅かに力のこもる彼女の足から、スカートを抜いた。
すると、彼女のなめらかな曲線を描く太股と、引き締まった腰、そしてふくよかな乳房につながるわき腹が俺の眼前に晒された。
「・・・・・・」
一瞬彼女の肢体に見惚れていると、彼女は俺の視線に頬を赤らめながら、小さく顔を逸らした。
いかん。
俺は彼女の体から視線を外し、再びお嬢様の傍らに身を横たえた。
そして、むき出しの肌に指を添え、そっと腹を撫でる。
「んっ・・・」
お嬢様が鼻にかかった吐息を漏らし、体に力を込めた。
俺は彼女のへそを中心に、指で肌の下の筋肉をなぞると、ゆっくりと下着に押し込められた乳房に近づけ、布の縁に指を引っかけた。
お嬢様の顔が赤くなり、俺の指が彼女の簡単な下着を押し上げる。
すると、布の内側の圧力に耐えかねて、布を半ばほど間でずらしたところで、彼女の乳房があふれでた。
ぶるん、と勢いよく揺れつつ、窮屈に押し込められていた部位をのばすように、乳房の谷間が広がった。
お嬢様の、片方だけでも手で持ち上げればかなりの重みを感じそうな乳房の先端では、主の気質通りの控えめな大きさの乳首が、彼女の興奮を表すように突き出していた。
吸いつきたい。
俺の内側にそんな欲望が芽生えるが、俺はぐっと堪えた。
代わりに指を伸ばし、そっと軟らかな肉の塊に触れた。
握るより遙かに弱く、触れるに限りなく近い力で、優しく優しく乳房を揉む。
「ん・・・ん・・・」
ここにぶち込まれてから幾度となく触れ、彼女の反応で力加減を覚えてきた俺の指に、お嬢様が甘い声を漏らした。
もう以前のように、思いの外力が入ってしまい、痛みに声を上げさせるようなことはしない。
乳房の表面に指を微かに食い込ませたまま、手をそっと動かす。
すると、指が乳房の表面を滑り、乳房の表面に作り出す微かなくぼみを移動させていく。
柔肌の下、皮膚を擦られる感覚と、軟らかな肉が形を変える感覚に、淡い刺激が生じたのか、お嬢様は指に力を込め拳を軽く握った。
俺はもう一方の手も乳房に添え、両方の手でそれぞれの乳房を支えるようにした。自信の重みにより、お嬢様の肉体からこぼれ落ちそうになっていた肉の球体を、軽く寄せる。
そして、乳房同士を押し合わせ、軽く擦り合わせてやると、柔らかな肌の触れ合う感覚に彼女の乳首が突出する。
そのまま俺は指を伸ばし、乳房の頂上、突出する乳首の麓に広がる乳輪に触れた。
「ひ・・・!」
淡い色合いの敏感な部分に触れられ、お嬢様は握りしめた指に力を込めた。
俺は彼女の乳輪を続けざまに二度、三度となぞり、彼女の興奮を煽っていく。
そして、「触ってほしい」とばかりに突出する二つの突起に、ついに指を触れさせた。
「んぅ・・・!」
指の腹を、コリコリとした弾力が押し返すが、俺はゆっくりと、しかし確実に突起を圧迫した。
そして、指の圧力にお嬢様の乳首が屈し、くにゃりと押し倒される。
指紋の溝が敏感な箇所を擦り、乳首に触れる面積の急激な変化が彼女の性感を高ぶらせる。
俺は指の力を緩めると、乳首から指を離した。すると彼女のそこは、再び圧迫してくれとばかりに立ち上がった。
「あぁ、はぁ・・・!」
お嬢様が苦しげに呼吸を重ね、両足を擦り合わせた。
俺は彼女が何を求めているのか悟ると、乳房を支える手の片方を離し、お嬢様の太股へと移した。
僅かに熱を帯びた彼女の太股に触れると、彼女は一瞬足に力を込めた。だが直後、肌の下で強ばっていた筋肉が弛緩した。高まりつつある興奮と肉体の疼きに、彼女が素直になっているのだ。
乳房と同じように、微かにその柔肌に指を埋めつつ、俺は彼女の太股を悟った。
寄せられ、もどかしげに擦り合わせていた太股から力が抜けていく。
俺の手が彼女の太股を、外側から内側へと擦る場所を変えていくと、お嬢様はそれを拒むどころか、擦りやすいように僅かに脚を開いた。
いや、これは俺に対する配慮などではない。ここを擦ってほしいという、無言の懇願なのだ。
彼女の求めるがまま、俺はお嬢様の太股の内側の方へ、付け根の方へと手を動かしていった。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
いつしかお嬢様は眉根を寄せ、時折唇を擦り合わせながら荒く呼吸を重ねていた。
一見すると、必死に何かに耐えているようだが、彼女の内側の快感のうねりが、その表情にまで滲みだしているのだ。
もう少しだ。
俺はいつしか太股の付け根、下着の縁の辺りをなぞっていた手を、ついに彼女の体でもっとも秘められるべき場所へと滑らせた。
彼女のそこは熱を帯び、唯一身につけている布地を湿らせていた。
体温の上昇によって滲んだ汗だろうか?違う。彼女の両足の付け根、胎内へと続く柔らかな亀裂の奥から滲みだした、快感と興奮の証によるものだ。
「あぁ・・・!」
荒い呼吸が一瞬途切れ、あえぎ声が彼女の喉から紡がれる。
俺は、濡れた柔らかな下着越しに、お嬢様の秘所を指でさすった。
布をそこに食い込ませるような荒々しいものではなく、太股や乳房に触れたときと同じように、微かな圧力を加える程度の力でだ。
だが、彼女の柔らかでもっとも繊細な場所は、それだけの刺激に打ち震え、主たるお嬢様自身にその悦びを快感で伝えた。
「ふ、ぅ・・・!」
もどかしげに唇を擦り合わせつつ、彼女が半ば喘ぎを含んだ吐息を漏らした。
随所から生じる快感に、彼女の体は細かく震え、もっともっとと求めていた。
そして俺の内側でも、もっとと求める衝動が生じつつあったが、俺は強引にその欲求を押さえ込んだ。
黙々と、お嬢様の体に触れる。
「お、お願いです・・・」
乳首を圧迫し、下着越しに秘所を擦り続けていると、不意にお嬢様が苦しげに言葉を紡いだ。
「その・・・ええと・・・」
「何でしょうか、お嬢様」
「・・・もっと、お願いします・・・」
「はっきりおっしゃってください」
「・・・・・・意地悪・・・」
俺のやりたいもっとと、彼女の求めるもっとに違いがあってはならないための問いかけに、お嬢様は唇を軽く噛んだ。
「もっと・・・その・・・激しく・・・」
「もっと、力を入れてよいのですか?それとも、もっと深い場所に触れてよいのですか?」
「・・・りょ、両方でお願いします・・・んっ!」
羞恥心を押さえながらのお嬢様の求めに、俺は行動で答えた。
乳房を掴む指が、少しだけ軟らかな肉球に食い込み、指の間から柔肌を盛り上がらせた。
お嬢様の股間では、つい先ほどまで湿り気を滲ませていた谷間を擦る指が、ついに彼女の最後の下着を引き剥がしにかかっていた。
お嬢様は乳房に加えられる強まった刺激を堪えながら、下着がスムーズに脱げるよう両足を揃えた。
乳房からの快感に震える脚から、そっと下着を抜き取る。
ようやく、彼女の一糸まとわぬ姿が、地下牢に晒された。
俺は手の中の湿り気を帯びた暖かな布をベッドの縁に置くと、彼女の足に触れ、太股まで滑らせた。
するとお嬢様は、接近する手を迎えるように緩く両足を広げた。
程なく俺の手が彼女の秘所にたどり着き、指先がそっと肉の亀裂に触れる。
「ん・・・!」
亀裂に縁に触れた指先に、彼女が身震いとともに声を漏らした。
俺は彼女の女陰をなぞりつつ、乳房に埋める指を蠢かせる。二カ所から生じる快感が、お嬢様の意識を揺さぶった。
「ああ、ああ・・・!」
快感のうねりに、彼女は喘ぎ声を抑え込むことも忘れ、目元に涙を滲ませながら声を漏らした。
「お願いです・・・!もう、辛抱できません・・・!」
彼女は寄せては返す波に耐えるように、言葉を区切りながら俺に向けて口を開く。
「どうか、唇も・・・!」
「それは、だめです」
接吻を求めるお嬢様に、俺は小さく頭を振った。
確かに言葉を紡ぎ、時折もどかしげに擦り合わせられる彼女の唇は、俺を悩ましく誘っていた。あくまでも俺の仕事はお嬢様の性欲を発散すること。それ以上のことは許されない。
「唇も触ってください・・・!キス、ではありませんから・・・大丈夫・・・んっ!」
「かしこまりました」
俺はそう応えると、彼女の顔に唇を寄せた。
片手は乳房、片手は秘所。両手がふさがっているのならば、彼女の唇に触れられるのは俺の唇だけだ。
思い切り、歯と歯がぶつかり合うような勢いで吸いつきたい、という欲求を押さえ込み、俺は小鳥が果物をついばむようにちょんとお嬢様の唇に触れた。
彼女の唇はみずみずしく柔らかで、俺の唇に吸いつくようだった。
「ん・・・!」
彼女は触れた粘膜の感触を味わおうと、俺の唇を求めた。だが、俺はとっさに頭を引き、ついばむ小鳥に食らいつこうとする甘い果実から逃れた。
「あぁ・・・!」
彼女の唇が開き、無念を含んだ喘ぎ声があふれる。
だが、彼女の唇が閉じる前に、俺は再び顔を寄せた。彼女の柔らかな上唇を、俺の唇で柔らかく挟む。
舞い戻ってきた小鳥のついばみに、彼女は俺の下唇に食いついて応えた。
「ん、んん・・・!ん・・・!」
互いの唇を吸い、時折離しては再び吸いつきながら、俺たちは互いを貪った。
俺の手の動きに時折彼女の体が震え、唇の動きを乱れさせた。
するとお嬢様は仕返しとばかりに、くぐもった声を漏らしながらよりいっそう強い力で俺の唇を吸った。
いつしか、彼女の手が俺の体に触れ、体をもっと密着させようとするかのように俺にしがみついていた。
また、どちらからともなく俺たちは互いの唇の間に舌を差し入れ、互いの口腔をまさぐっていた。
唇の感触に、微かにざらつく相手の舌、そして自分のものではない唾液の味とが一体となり、俺たちの興奮を高めていく。
興奮に自然と呼吸が荒くなるが、鼻だけでは息が追いつかない。
「ぷは・・・!」
俺は唇を離すと首を反らし、口を開けて空気を求めた。
お嬢様が俺の唇を追うように頭を持ち上げるが、自身も酸欠気味であることに気がついたのか、大きく喘いだ。
いつの間にか彼女の乳房と秘所に触れていた手は、お嬢様の背中と尻に移動し、彼女を抱き寄せる姿勢になっている。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
俺たちは抱き合ったまま、荒く呼吸を重ねた。
彼女の乳房は俺の胸板で押しつぶされていたが、その先端は痛いほどに俺の胸をつついている。そして俺の股間も、お嬢様の太股に興奮の証を押しつけていた。
「も、もう我慢できません・・・!」
興奮に震える声で、お嬢様が太股に押し当てられる固いものを求めた。普段ならば、ここで一言挟むところだが、俺にはその余裕はない。
もう二人とも、出来上がってしまっているわけだ。
「・・・」
俺は無言で頷くと、腰を浮かしてズボンの前合わせを開いた。
下着をずらし、その奥に隠されていたモノを露出させると、お嬢様が目を見開いた。
「あぁ・・・!」
期待を言葉に滲ませながら、彼女は手を俺の股間にのばし、脈打つ男根に触れた。
柔らかな彼女の指に、肉棒に甘い刺激が生じ、ぴくんと揺れた。
彼女は跳ねる肉棒にそっと指を絡めると、導くように角度を調整した。俺はお嬢様の導きに従い、ゆっくりと腰を沈めていく。
そして、膨れ上がった亀頭に柔らかく、濡れた、温かな亀裂が触れた。
「あ、あっぁ・・・!」
肉の穴を押し広げる感覚が肉棒を包み込むのに合わせ、お嬢様の喉から喘ぎ声が絞り出される。
きつく締め付けてくる濡れた女陰に、俺は肉棒を根本まで押し込むと、彼女の背中に両腕を回した。
俺の覆い被さるような抱擁に対し、彼女もまた俺の背中に両手を回すことで応えた。
「うご・・・きます・・・!」
「・・・」
俺の言葉に、お嬢様が小さく頷く。
彼女の返答を確認するや否や、俺はお嬢様に突き込んだ肉棒で彼女の蜜壺をかき回した。
「あ、ああ・・・ん・・・!」
腰を回す度に、甘い喘ぎ声を紡ぎ出す唇を、俺は唇で塞いだ。
するとお嬢様は喘ぎ声の代わり、とばかりに舌を突き出し、俺の口内を探った。
歯茎と唇の間を、彼女の舌が柔軟に這い回る。やはりワーウルフになった影響で、舌の動きがよくなったのだろうか?
そんな疑問が脳裏で浮かんだ瞬間、意識の隙間を突くように、お嬢様の膣壁が波打った。
きつく締め付けてくるだけだった肉の穴が蠢動し、俺の勃起の根本から先までの圧迫感が複雑に変化する。
一度に加えられた軟らかい肉ときつい締め付け、波打つ粘膜の感触に、俺の意識は高みへと突き上げられた。
「ぅ・・・!」
お嬢様と唇を重ねたまま、低くうめき声を漏らしつつも、俺は踏みとどまった。
俺一人だけが勝手に気持ちよくなってはならない。
意識を凝らし、力を振り絞って、ともすれば限界に達しそうな肉棒を叱咤しながら、俺は彼女の奥深くめがけて腰を押しつけた。
「んっ・・・!?」
肉の穴の奥深く、そこまで届くとは思っていなかった場所に届いた肉棒の感触に、お嬢様の喉が震える。
そして、彼女の全身が強ばり、独特な痙攣を起こした直後、俺もまた限界に達した。
頭の中でどこともなく込めていた力が抜け、解放感が意識を満たす。同時に、俺の肉棒が震えながら、彼女の胎内に精液を放った。
勢いよく、煮えたぎった絶頂の証が、興奮の頂に達して震える肉洞に注ぎ込まれる。
熱と勢い、そして興奮によって熟成された固い精液の感触に、お嬢様はより高みへと昇っていった。
「・・・・・・!」
眉根を寄せ、目を閉じ、随喜の涙を流しながら、声にならぬ喘ぎをおれと唇を重ねたまま漏らす。
彼女の全身が震え、俺の背中に回された両手がきつく俺を抱きしめ、腰に彼女の両足が絡みつく。
両手両足で、俺にしがみついたまま彼女は忘我の彼方へ舞っていった。
そしてお嬢様の意識から解放されたワーウルフの肉体が、さらに精液を搾ろうとするかのように膣壁を波打たせた。
そんなことをせずとも、しばらく射精は止みそうにないのに。
解放感と絶頂の快感に身を任せたまま、俺は意識のどこかで苦笑しつつ、与えられる膣壁の刺激に対して白濁を迸らせて応えた。
そして、しばしの間互いに絶頂を高め合ったところで、俺の肉棒の脈動が弱まり、お嬢様の肉壺の痙攣が止まった。
なにもか藻を忘れ去るような解放感が消え去り、絶頂後特有の心地よいけだるさが全身を満たす。
俺たちは指一本動かすのも辛いほどの倦怠感に身を任せ、繋がったまま全身を脱力させた。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
重ね合わせていた唇を離し、体が求めるまま荒く呼吸を重ねる。
すると、いち早く倦怠感から立ち直ったのか、それとも絶頂の名残に浸ったままなのか、お嬢様が口を開いた。
「とても、気持ちよかったです・・・・・・」
満足げな調子で彼女はそういうと、涙の跡の残る目を細めた。
「一番最初の、身体の疼きに全てを任せた最初の時よりも、ずっとずっと気持ちよかったです」
俺の脳裏に、お嬢様が最初に発作を起こしたときのことが浮かんだ。
羞恥心と爆発した性欲に板挟みになり、俺を押し倒して跨ったはいいもののどうしたらいいかわからず、女陰を擦りつけながらもどかしさと恥ずかしさにすすり泣くお嬢様。
「あのときは、大変でした・・・お嬢様が泣かれて、でも身体の火照りは治まらなくて・・・」
脳裏に浮かび上がった彼女の泣き顔に、俺はどうにか口を動かして応えた。
「もう、そっちの最初は忘れてください」
お嬢様は顔を赤らめながら、唇をとがらせた。
そうだった。彼女の中では、色々予習して覚悟を決めた上で迎えた二度目が、最初なのだ。
「すみませんでした・・・」
「以後、気をつけてくださいね?」
俺の腕の中で、彼女はくすくすと笑った。
「それで・・・実は、いつもあなたに気持ちよくしてもらってばかりだと気がついたんです・・・」
彼女は笑みを引っ込めると、少しだけ恥ずかしそうに言った。
「お構いなく。それが俺の仕事ですから」
「仕事といっても、私が申し訳なく感じるんです」
俺の返答に、お嬢様は珍しく強めの語調で応えた。
「ですから、今度は私が上になって、あなたに気持ちよくなってもらおうと・・・」
「そんな・・・」
今でも十分気持ちいいです、と続けようとして、俺は口をつぐんだ。
視線を逸らし、かすかに頬を赤らめる彼女の表情に、お嬢様の真意を悟ったからだ。
考えてみれば、ここに入れられてから俺が上になって抱き合う姿勢でしか交わったことがない。そろそろほかの姿勢に興味がわいても、おかしくはない。
「・・・かしこまりました。ではお願いします」
「はい・・・」
俺の返答に、彼女は少しだけ期待を含んだ、恥ずかしげな声音で応じると、俺の背中から手をゆるめてベッドに触れた。
俺は重心を移動し、彼女が上になるよう寝返りを打って協力した。
「ん・・・!」
「大丈夫ですか?」
上下入れ替わると同時に、小さくうめいたお嬢様に俺は声を掛けた。
「大丈夫、です・・・すこしいつもと違うところに当たって・・・」
彼女の声と、変化した圧迫感に、お嬢様の胎内で肉棒が脈打った。
「ん・・・動いた・・・苦しくありませんか・・・?」
「俺も大丈夫です」
こくん、と頷くと、お嬢様が頬を赤らめたまま微笑んだ。
「では、たっぷり気持ちよくなってくださいね・・・!」
「お嬢様も、どうか・・・」
お嬢様が興奮をはらんだ声に、俺はそう言葉を紡いだ。
夜は長いし、時間はたっぷりとある。
俺たちがもっと楽しむには、十分だ。
12/08/17 16:37更新 / 十二屋月蝕
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