連載小説
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(19)インプ
ふと空を見上げると、いつの間にか雲の色が変わっていた。
見慣れた白や灰色の雲ではなく、複数の色が入り乱れつつも決して混ざろうとせず、風の流れが複雑な模様を描き出している。ざわざわと、心の奥を騒がせる色合いだった。
「・・・魔界かあ・・・」
少年は、異様な色合いの空に向けてしみじみと呟いた。
彼が纏っているのは、革製の軽装鎧で、腰には剣を下げていた。
いずれも、どこか真新しさを感じさせる拵えであり、下手すれば先月購入した新品といっても通じそうであった。
「よし・・・」
少年は鎧に手をかけ、軽く身体にフィットさせるように揺すった。
勇者として故郷を旅立ってから半年。ここまで運良く、強い魔物や争いごとに遭遇することもなく来れたが、ここからは違う。
魔界は実力が物を言う世界だ。この半年で身につけた物を存分に発揮しよう。
少年がそう腹を決め、足を踏み出した。
そして渦巻く雲の下、しばし足を進めていると、彼の耳を羽音が打った。
「・・・?」
顔を上げてみれば、渦巻く雲と魔界の植物の繁る大地の間に、小さな影が三つ飛んでいるのが見えた。
影は少年の方に向けて近づくにつれて次第に大きさを増し、形をはっきりさせた。
三つの影はいずれも、角を生やし背中から小さなコウモリのような翼を生やした、少女の姿をしていた。
「魔物だ・・・!」
少年の声に緊張感が宿り、震える手が剣を抜く。
すると三人の魔物は、少年の剣の十数歩先に降り立った。
「やっぱり人間だ!」
髪を肩口で切りそろえたショートカットの魔物が、少年の姿にうれしげに声を上げた。
「しかもかわいい男の子だよ!」
つむじのあたりで髪の毛を団子にまとめた魔物が、ショートカットに続ける。
「でも剣を抜いてるわよ?」
背中に届くほどのロングヘアの魔物が、少年の抜いた剣を目にして、ショートカットとお団子の背後に隠れるように回り込んだ。だが、三人の中で頭一つ大きいため、その姿は全く隠れていない。
一見すると、細身のかわいらしい外見の女の子だが、その角と翼が彼女らが人間ではないことを主張していた。
少年の胸中に、魔物を一度に三体も前にしたことに対する恐怖が芽生えた。
「お前たち、何の用だ!」
少年が、三体の魔物に向けてそう声を張り上げた。すると彼の心から、僅かばかりではあるが恐怖が息を潜める。
「きゃっ!」
突然の大声に、ロングヘアが身を縮こまらせた。
「そんなにビビらなくて大丈夫よ」
「そうだよ。むしろあの子の方がビビってるよ」
ショートカットがロングヘアの肩を叩いて落ち着かせ、お団子が少年の恐怖を見抜いた。
「で、でも魔界に来るぐらいだからきっと強いわよ・・・」
「大丈夫だって。ほら剣も鎧も新品だから、ろくに戦ったこともないよ」
お団子がロングヘアに、そう少年に対する評価を伝えた。
「ぼ、僕は強いぞ!お前たちサキュバス三体なんて、あっという間に叩きのめしてやるんだからな!」
「ひっ!」
「へ?」
「え?」
ロングヘアが少年の威嚇に身を縮こまらせ、ショートカットとお団子が一瞬呆けたような表情を浮かべる。
直後、ショートカットとお団子の二人が笑いだした。
「なにがおかしい!」
「いや、だって・・・あたしたちがサキュバスって・・・」
少年の怒りをはらんだ言葉に、ショートカットが笑いすぎたあまり目元に滲む涙を拭いながら答えた。
「ウチらは印譜だよ!」
「インプとサキュバスの違いも分からないなら安心よ」
「・・・・・・そう、かなあ・・・?」
ショートカットが背後に隠れるロングヘアにそう言うと、ロングヘアはどこかおびえた表情を浮かべながら二人の影からゆっくり顔をのぞかせた。
「それに、本当に強いのなら、とっくにウチらなんて叩きのめされてるよ」
「やってみないと分からないぞ!」
ニヤニヤと笑みを浮かべるお団子に向け、少年は自信を鼓舞するように声を張り上げた。
「じゃあ、やってみようか」
「そうだね」
ショートカットとお団子が言葉を交わした瞬間、二人が動いた。
ショートカットが少年を指さし、指先から小さな雷を放つ。
雷は少年が指一本動かす暇もなく彼にぶつかり、前進に衝撃と痺れを走らせた。
「ぎゃ・・・!」
悲鳴が彼の口からほとばしる間に、お団子頭が地面を蹴って少年に迫り、どうにか手で支えているだけの剣を蹴った。
鋭い一撃に、剣は彼の手から弾かれ、回転しながら魔界の植物の合間へ消えていった。
「ほら、弱かったよー!」
「とどめとどめ!」
「え?え?」
ショートカットとお団子がロングヘアに呼びかけると、彼女は戸惑ったように二人の顔を見比べた。
そして、剣を弾かれ雷の影響でどうにか立っているだけの少年に目を向けると、意を決したように彼女は駆けだした。
「えーい!」
捨て身のタックル、というと聞こえはいいが、実のところ半ば抱きつくようにしながらの体当たりに、少年とロングヘアのインプは地面に倒れ伏した。
「勇者を倒したー!」
「やったー!」
少年を押し倒したロングヘアの後ろで、二人のインプがぴょんぴょんと跳ねた。
「それで、この後どうするの?」
少年が起きあがらぬよう、腹の上に跨りながら、ロングヘアが問いかけた。
「こういうときやることは一つ。決まってるでしょ?」
ショートカットはニヤリと笑みを浮かべると、ロングヘアの後ろ、少年の両足の上に屈んだ。
「ほら、こっち向いて」
「う、うん・・・」
戸惑うロングヘアが、少年の腹の上でぐるりと向きを変え、ちょうどショートカットと少年の腰のあたりを挟む姿勢になった。
「こういうこと初めてだっけ?」
「うん・・・」
「じゃあ、あたしが最初にお手本を見せるね」
ショートカットはそう言うと、少年のベルトを緩めてズボンに手をかけ、引き下ろした。
「わ・・・」
ロングヘアが、初めて目にする男性の股間に、口元を押さえて声を漏らす。
「このぐらいの男の子だと、バキバキに大きくなってるんだけどなあ・・・」
雷の影響で体が麻痺しているため、柔らかいままの肉棒にショートカットは説明を始めた。
「最初はね、こうやって指でもんであげるのよ」
彼女は気を取り直して指を伸ばすと、肉棒を五本の指でつまみ、くにくにと揉み始めた。
「うぅ・・・」
「声がでたよ・・・痛いの・・・?」
股間に走った刺激に、反射的に呻いた少年を振り返りつつ、ロングヘアは心配そうに呟いた。
「違うわよ。気持ちいいけど口が動かないのよ。ほら」
ロングヘアが顔を少年の股間に向けると、いつの間にか肉棒は大きく膨れ上がっていた。
「こんなに・・・」
「まだまだ大きくなるよ」
あまりの膨張に言葉を失うロングヘアの前で、ショートカットは肉棒を手のひらで包むように握ると、軽く揉みながら手を上下させた。
彼女の手の中で、肉棒に血が集まり、熱を帯びながら膨張していく。
「はい、準備完了〜」
ショートカットは手を離すと、小さく脈動しながら揺れる勃起を晒した。
「このままもう少し手で擦っていたら、射精するのよ」
「射精・・・」
ひくつく肉棒を見ながら、ロングヘアのインプは小さくのどを鳴らした。
「じゃあ、見てるだけじゃおもしろくないから、射精させてみてよ」
「え?私が・・・!?」
ショートカットの言葉に、ロングヘアは唖然とした様子で顔を上げると、パタパタと手を振りつつ続けた。
「無理無理無理!今の今、初めておちんちん見たのに・・・」
「簡単だよ」
「ウチらも手伝うから」
二人の傍らに立ち、ニヤニヤしていたお団子が、任せろとばかりに薄い胸をたたいた。
「手で優しく握って、擦ってあげるだけでいいのよ。簡単でしょ?」
「う、うーん・・・」
「インプは度胸!何でもやってみなって!」
お団子頭はロングヘアの手を握ると、彼女が抵抗するより先に肉棒へと導き、勃起を握らせた。
「わ・・・!」
手の中の男性器の感触にロングヘアは小さく声を漏らした。
「どう?」
「な、なんか固くて、熱くて・・・でも、ちょっと柔らかくて・・・」
ショートカットの問いに、ロングヘアは途切れ途切れに手の中の感触を確かめながら答えた。
彼女の指の動きは、自然と肉棒全体をまさぐることとなり、結果少年に淡い快感を与えた。
「う、うぅぅ・・・」
「あっ、痛かった・・・んじゃないのよね・・・?」
少年が漏らした快感のうめき声に、ロングヘアの指が一瞬止まる。
すると、雷の影響で痺れていた少年の舌が、どうにか言葉を紡ぎだした。
「や、やめて・・・!」
少女三人に隠すべきところを晒している羞恥心と、魔物三体に敗れてなにをされるか分からない恐怖が、彼の口から懇願の言葉を紡ぎだした。
「へえ、もう少し痺れたままだと思っていたのに」
「気にしないで続けていいよ」
「でも、この人やめてって・・・」
少年の言葉に、改めて罪悪感が芽生えたのか、ロングヘアは弱々しくそう言った。
「やめてって言っても、こっちはガチガチのビンビンだよ?」
「ほら、おちんちんさんも「触って〜」って言ってるわよ」
ショートカットがひくつく肉棒の心理を裏声で代弁し、笑った。
「や、やめてぇ・・・!」
「もう、うるさいなあ」
「本当は気持ちよくしてほしいくせに。そんな嘘つきの口は、こうだ!」
お団子頭は、少年の頭を跨ぐと、何の遠慮もなく彼の顔に腰を下ろした。
「むぐ・・・!?」
お団子頭の股間が視界いっぱいに広がった直後、彼の目の前は真っ暗になった。圧迫感と息苦しさが、彼の顔を押さえる。
闇の中、少年の呼吸はほとんど封じられ、力を込めて吸い込む空気には甘酸っぱい香りが宿っていた。
「あ、少し大きくなった・・・!」
「女の子のアソコが顔に触っているから、興奮しているのよ」
少しだけ膨れた勃起に、ロングヘアとショートカットが言葉を交わす。
実際のところ、魔物の陰部から放たれる微弱なフェロモンが、彼の肉体に作用しているだけなのだが、少年には顔に跨られて興奮しているように感じられた。
「ほら、せっかく気持ちよくなってきているんだから、しごいてあげて」
「うん・・・」
ロングヘアは促されるまま、肉棒を握り直すとゆっくりと手を上下に動かした。
余り気味の包皮が膨れた亀頭を包んでは解放するという、皮膚越しの摩擦が粘膜を刺激する。
正直、おっかなびっくりのゆっくりとした動きは、直接的な快感にはつながらない。
だが、魔物とはいえ女の子の姿をした者三人に跨られ、陰部をいじられているという事態は、少年の意識に深く染み込み興奮を煽った。
加えて、顔面に押しつけられるインプの股間が、彼に未だ見たことのない女性器の形状を連想させ、香りとともに興奮を高めていく。
「ん?こいつウチのアソコの匂いを深呼吸してる!」
荒くなってきた少年の呼吸に、お団子が声を上げた。
「女の子に跨られて悔しがるならまだ分かるけど、思い切り深呼吸するなんてヘンタイだ〜」
お団子頭は少年を茶化すように笑うが、その言葉は少年の理性にまで届かなかった。
むしろ、自分がヘンタイであると言われたことで、理性で押しとどめていたタガが外れることとなった。
「ひゃ・・・!?」
インプの股間が作り出す闇の中、少年は口を開いて圧迫する闇を舐めた。
お団子の裏返った声とともに、ほのかな甘みを含んだ味が彼の舌に伝わる。
「どうしたの?」
「こいつ、ウチのアソコを舐め・・・ひゃあ!」
お団子頭が言葉を紡いでいる間に、少年は二度三度と闇に舌を這わせた。
「ひゃ、ああ、ひ・・・!」
股間をはい回る肉の感触は、彼女の意識に思いの外深く突き刺さり、抵抗するまもなく彼女の興奮を煽った。
「この子もやる気になったみたいだから、あたしたちも本気出そうか」
あえぐお団子の声を背景に、ショートカットがロングヘアに言った。
「でも、本気って」
「簡単だよ。まずはおちんちんに二人でよだれをかけるのよ」
ロングヘアの指を脈打つ剛直から離させると、ショートカットは口を開いた。
すると、彼女のつきだした舌を伝わって、ねっとりとしたよだれが肉棒に垂れた。
「ほら、よだれよだれ」
「は、はい・・・」
ロングヘアも口を開くと、促されるまま唾液を肉棒に垂らす。
二人分の、体温の気配の残る唾液に、肉棒はひくひくと震えた。
「そして、よだれをたっぷりとおちんちん全体に塗り広げるのよ」
ショートカットは肉棒に迷うことなく触れると、粘つく唾液を剛直に塗り広げた。
ぐちゅぐちゅ、と湿った音が響く。
「これでよし・・・あとは、二人で一緒におちんちんを擦ってあげるの」
「二人で、って私ほとんどなにも・・・」
「大丈夫、さわりながら教えてあげるから」
ロングヘアはおずおずと、唾液にまみれた勃起に触れると、ゆっくりと擦り始めた。
「もう少し指を緩めて・・・おちんちんを掴むんじゃなくて、擦るように・・・」
「こ、こう・・・?」
ショートカットの指導に、ロングヘアの指がトンネルを造りだし、唾液を潤滑油代わりに肉棒を擦り始めた。
勃起の表面を擦る感触に、少年の背筋をゾクゾクする快感が走り抜け、彼の体を震わせた。少年の顔が僅かに持ち上がり、お団子頭のインプの股間を突き上げる。
「あぅ・・・!」
「気持ちいいみたいね」
お団子のあえぎ声と、足の下で震えた少年の体に、ショートカットは少年が快感を覚えていることを確信した。
「じゃあ、そのまま続けて・・・」
「は、はい・・・」
ロングヘアに肉棒をしごかせながら、ショートカットが膨れ上がった亀頭に手のひらをかぶせた。
ロングヘアとショートカットの二人の手のひらにより、少年の肉棒は温もりに包み込まれた。
直後、ロングヘアは手のひらを回転させるように動かし、亀頭を唾液越しに擦った。
「ん・・・んぁ・・・!」
少年の喘ぎと身悶えが、お団子の股間を刺激し、彼の快感を喘ぎによって代弁させた。
「うわ・・・びくびくしてきた・・・!」
「もうすぐよ・・・」
二人の手の中で脈打つ肉棒に、ロングヘアの言葉が震え、ショートカットが目を細める。
そして、ショートカットが亀頭に被せていない方の手を、ロングヘアの握る竿の部分に伸ばした。
「ほら、手を握るみたいに指を絡ませて・・・」
「こう・・・?」
ロングヘアの指が離れ、そこにショートカットの指が絡まる。
ちょうど、少年の肉棒を挟んで手を握る姿勢になった。二人分の掌に竿を挟み込まれ、独特の圧迫感が彼の意識を苛んだ。
「んぐぅ・・・!」
「ひゃ・・・!」
お団子頭の股の下から、低い少年の呻き声が漏れ、その震動にインプが声を漏らす。
そして、ロングヘアとショートカットの手の中で、肉棒がひときわ大きく勃起した瞬間、ショートヘアが勢いよく掌で亀頭を擦ってから、覆い被せていた手を離した。
敏感な粘膜に加えられた刺激が、限界に達していた少年の意識を興奮の頂へと突き上げる。
瞬間、彼の腹の奥から、煮えた白濁が迸った。
「きゃ・・・!」
「出たぁ・・・!」
手の中で脈打つ肉棒と、噴き上げる精液にロングヘアが声を漏らし、ショートカットが恍惚をはらんだ声音で呟いた。
同時に、少年の絶頂の痙攣がお団子頭の陰部を刺激し、少年の顔に跨るインプに大きな喘ぎ声を漏らさせた。
驚くインプと静かに興奮するインプ、そして快感のうねりに身をゆだねるインプの三者に、噴きあがった白濁が降り注ぐ。
顔や髪の毛に容赦なく降り掛かる粘液は、少年の興奮を示すように熱を帯びていた。
「わあ・・・こんなにたくさん・・・」
ロングヘアが、未だ手の中で脈打ち粘液を垂れ流す肉棒に、ある種の感動の宿った声を漏らした。
「ね?簡単だったでしょ・・・?」
顔を濡らす熱い体液に頬を赤らめながら、ショートカットが一本の肉棒を握りあうインプに向けてほほえんだ。
「でも、おちんちんをアソコに入れると、もっと簡単に・・・もっと楽しく射精させられるわよ」
「・・・!」
ショートヘアの意図するところに気がつき、ロングヘアが頬を赤らめる。
「どうする?このままシちゃう?」
「ええと・・・」
「迷うんならウチにやらせて〜・・・」
逡巡するロングヘアに、いくらか呼吸を荒くしたお団子頭が振り返った。
「この子、舌がすごくて・・・このままウチの旦那さんにしたいよ〜・・・」
「あたしもこんなに射精がすごいなら、夫にしたいわよ」
内心の興奮をにじませながら、ショートカットはお団子頭に返した。
「その・・・私ももう少し、この人といろいろしたい・・・」
すると、ロングヘアも、おずおずといった様子で二人に続いた。
「ん〜、だったらあたしたち三人で、この人とケッコンしようか」
「え?」
「する〜ケッコンする〜」
戸惑うロングヘアの背を押すように、お団子頭が腰を少年の顔に擦りつけながら続けた。
「じゃあ、この子を連れてあたしたちのアジトまで帰ろうよ」
「うん!」
「う、うん・・・」
くすぶる興奮に身を任せながら、内心の迷いを抱えつつ好奇心と衝動に導かれるまま、お団子頭とロングヘアは頷いた。
「じゃあ、場所を変えたら続きをしてあげるからね」
ショートカットは、ロングヘアの肩越しに少年の顔の方を身ながら続けた。
「ダ、ン、ナ、サ、マ」
己の意志の関わる隙もなく、三人のインプの夫となった少年は、これからの日々に体を震わせた。
12/08/16 22:39更新 / 十二屋月蝕
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