(11)ハニービー
森の中を少年が歩いていた。大人たちからあまり奥に入るなとくぎを刺されていたが、遊んでいるうちに道に迷ってしまったのだ。
よく知る森の入口ならば、方角がわかれば森の外にも出られるが、少年にはどちらが村の方かすらわからなかった。
彼に出来ることは、出口を求めてまっすぐに進むことだった。
だが、行けども行けども木々は途絶えず、少年の体力だけが減っていく。
そして、ついに彼は木の根元に腰を下ろしてしまった。
ほんの少し休憩するだけ。そう少年は考えていたが、心のどこかで日が沈むのが先だと確信していた。
日が沈めば魔物が森を彷徨う。そうなれば少年の命はない。
木の根元に座り込み、呼吸を整えながら、少年は体を休めた。
すると、少年の耳にどこからともなく震えるような音が聞こえて来た。まるで、ハチか蝿のは音のようだ。
少年が目だけで音の方に顔を向けると、彼の表情が強張った。
視線の先にいたのが、ハチめいた装いの少女だったからだ。尻の後ろに黒と黄の縞で彩られた楕円を生やし、背中の羽で空を飛んでいる。ハチの魔物、ハニービーだ。
少年が見ていると、彼女はふと少年の方に顔を向け、一瞬の驚きを挟んでから笑みを浮かべた。
彼女は飛ぶ方向を変えると、少年の方へまっすぐ近付いてきた。
「うわあ…」
近寄ってくる魔物に、少年は逃げようとしたが、想像以上に脚を酷使していたためか、立ち上がることすらできなかった。
足を動かし、踵で地面を擦る少年の前に、ハニービーが降り立つ。
「こんにちは」
ハニービーは怯えた様子の少年に向けて、にっこりとほほ笑んだ。
「こんな森の中で人間を見るなんて思わなかったわ。どうしたの?」
安心させるように、彼女はそう言った。だが、少年は初めて見る魔物の姿に怯え、体を震わせるばかりだった。
「…道に迷ったのね」
土にまみれた少年の靴や衣服にくっついた木の葉に、彼女は少年の状況を察したようだった。
「うーん…ま、いいかしら…」
ハニービーはしばし悩んだように呻くと、少年の前に屈んだ。
そして、腰に結わえつけていた小さな壺に手を差し入れると、指先にねっとりとした黄金色の蜜をつけた。
「はい、お口を開けて」
蜜に浸した指を少年の顔に寄せる。
少年は魔物の行為に口をつぐんだまま、必死に逃れようと顔をそむけた。だが、ハニービーが顔を抑え、唇まで指を近づけたことで、彼は観念した。
唇を薄く開き、蜜の付いた指を受け入れる。
すると、少年の口内に甘みが広がった。
村でも味わったことのない、果物や花の蜜を濃縮させた、純然たる甘み。
強烈な甘みは舌から全身に広がり、体の奥を温め、疲労による手足の震えを押さえ込んでいた。
「噛んじゃ駄目よ」
いつの間にか指にしゃぶりついていた少年の耳に、ハニービーのたしなめるような声が届く。
だが少年は甘みに意識を犯され、半ば夢うつつとなりながら指をしゃぶり続けた。
指を逃さぬよう唇を締め、蜜の残滓を味わうべく舌を絡める。
爪の隙間や指紋の凹凸に舌の表面を押しあて、擦りながら唾液をまぶし、少しずつ嚥下していく。
僅かに残る蜜の味を求めて舌が、頬が、勝手に動いていた。
「はい、おしまい」
たっぷり数分、指先の皮膚がふやけるほど舐めさせてから、ハニービーは指を引き抜いた。
少年の口から小さな声が漏れ、糸を引きながら離れていく指を追おうと、彼の身体が僅かばかり前のめりになる。
「どう?少し元気になったでしょ?」
ハニービーの言葉に、彼はようやく自身の身体を満たしていた疲労が、少しだけ癒されていることに気が付いた。
このまま歩いて帰るのは無理だろうが、少なくとも一歩も動けないという程ではなくなった。
魔物が人間を助けてくれた、という疑問にも似た感情が、少年の心中に浮かんだ。
「さて、できればこのまま連れて行ってあげたいんだけど…ちょっとゴメンネ」
ハニービーは少しだけ困ったような顔をすると、謝罪の言葉とともに指を少年のズボンに伸ばした。
前の合わせ目を開き、その奥に手が差し込まれる。
「っ!」
「ごめんねー、ちょっとじっとしててねー」
突然の行動に驚き、身を強張らせる少年をなだめつつ、彼女はズボンから彼の性器を取り出した。
疲労した肉体が子孫を残そうとする本能に従ったためか、そこは屹立していた。
だが、ピンク色の亀頭は年相応に半ばほどまで包皮に覆われている。
「うん、元気になってるね」
ハニービーはにこやかに言うと、腰の壷に指先を浸した。
再び彼女の指先が黄金色の蜜に塗れるが、ハニービーは指を少年の口ではなく、屹立に伸ばした。
小さく震える肉棒に、少しだけ冷えた蜜が触れる。
「ひうっ!」
一瞬の冷たさに少年が身体を震わせるが、すぐに蜜に負けぬほど甘い喘ぎが彼の口からあふれ出した。
蜜に塗れた指が、少年の肉棒を擦り始めたからだ。
包皮越しに亀頭の膨らみをなぞり、裏筋を擦り、肌に蜜を塗り込む。すると、蜜の滋養が肌を通じて吸収されたかのように、屹立はその硬さを増した。
「んー、やっぱりちょっと早かったかなあ…」
硬くなれども包皮が剥けきれない肉棒に、彼女はそう呟く。
「ウチの女王様は奥の方突かれるのが好きだから…ま、将来に期待ってとこかしら」
肉棒を擦られる度に背筋を這いまわる未知の感覚に身悶えする少年を、ハニービーはそう評価した。
そしてその間も股間を這いまわる指は、少年に初めての快感を与え続けた。
手の幅ほどの肉棒をすっぽりと握り込み、指を波打たせて揉み解す。
指の動きを止め、親指の腹が裏筋の膨らみを擦る。
そのまま親指をずらし、包皮から顔を覗かせる桃色の膨らみにぐりぐりと押し付ける。
指の動きの一つ一つが、蜜のぬめりを通じて甘い快感を少年に与えていた。
やがて、少年の腹の奥底で何かが脈打ち始め、それはすぐに尿道を上り始めた。
「お、おしっこ出る…!」
「大丈夫よ、たっぷり出しなさい」
目に涙をにじませた少年の言葉に、ハニービーはにっこり微笑み、指の動きを大きくした。
蜜が粘ついた音を立て、肉棒に絡み付き、さらなる快感を生じる。
「あっ、あっ…!」
少年は短く声を漏らすと、全身を震わせた。
直後、白く粘ついた汁が、鈴口を覆う蜜の薄い膜を突き破り、勢いよく迸った。
腹の中身を引きずり出されるような解放感が、少年の体内を駆け巡る。
そして尿道を擦りながら放たれていく白濁は、ハニービーのもう片方の手に受け止められた。
彼女の指が動き、肉棒を揉み、精液をさらに迸らせる。
やがて、十数度の脈動と迸りを経て、少年の初めての絶頂は終わった。
「ふふ、つまめそうなぐらいドロドロ…」
全身に残る倦怠感にぐったりする少年の耳に、微かに興奮したようなハニービーの声が聞こえた。
目だけを彼女の方に向けると、そこには掌で受け止めた白濁に口を寄せ、舐め啜る魔物の姿があった。
頬を紅潮させ、僅かに両の目を潤ませたハニービーは、どこか興奮しているようだった。
だが、瞳には理性の光りが確かに宿っていた。彼女は手の精液を舐め終えると、しばし目を伏せて黙考した。
「うん…いいんだけど、やっぱり長さねえ…」
そう呟くと、彼女は目を開いた。
だが、そこまで見たところで少年の視界が暗くなり始めた。
自身の目蓋が下がりつつあることに、彼は遅れて気が付く。無理もない、蜜を舐めたとはいえ疲労しきった身体で、生まれて初めての射精を迎えたのだ。
倦怠感と疲労感は、限界に達していた少年の意識を限界に追いやりつつあった。
「ざんね……あな…さよ…むかえ…」
徐々にくぐもっていく彼の意識の中、ハニービーはそう少年に言った。
彼が何を言ったかに関わることなく、魔物はそう答えた。
「いつか」「迎えに行く」という言葉を忘れ、少年もまた何を忘れたかを忘れてのことだった。
よく知る森の入口ならば、方角がわかれば森の外にも出られるが、少年にはどちらが村の方かすらわからなかった。
彼に出来ることは、出口を求めてまっすぐに進むことだった。
だが、行けども行けども木々は途絶えず、少年の体力だけが減っていく。
そして、ついに彼は木の根元に腰を下ろしてしまった。
ほんの少し休憩するだけ。そう少年は考えていたが、心のどこかで日が沈むのが先だと確信していた。
日が沈めば魔物が森を彷徨う。そうなれば少年の命はない。
木の根元に座り込み、呼吸を整えながら、少年は体を休めた。
すると、少年の耳にどこからともなく震えるような音が聞こえて来た。まるで、ハチか蝿のは音のようだ。
少年が目だけで音の方に顔を向けると、彼の表情が強張った。
視線の先にいたのが、ハチめいた装いの少女だったからだ。尻の後ろに黒と黄の縞で彩られた楕円を生やし、背中の羽で空を飛んでいる。ハチの魔物、ハニービーだ。
少年が見ていると、彼女はふと少年の方に顔を向け、一瞬の驚きを挟んでから笑みを浮かべた。
彼女は飛ぶ方向を変えると、少年の方へまっすぐ近付いてきた。
「うわあ…」
近寄ってくる魔物に、少年は逃げようとしたが、想像以上に脚を酷使していたためか、立ち上がることすらできなかった。
足を動かし、踵で地面を擦る少年の前に、ハニービーが降り立つ。
「こんにちは」
ハニービーは怯えた様子の少年に向けて、にっこりとほほ笑んだ。
「こんな森の中で人間を見るなんて思わなかったわ。どうしたの?」
安心させるように、彼女はそう言った。だが、少年は初めて見る魔物の姿に怯え、体を震わせるばかりだった。
「…道に迷ったのね」
土にまみれた少年の靴や衣服にくっついた木の葉に、彼女は少年の状況を察したようだった。
「うーん…ま、いいかしら…」
ハニービーはしばし悩んだように呻くと、少年の前に屈んだ。
そして、腰に結わえつけていた小さな壺に手を差し入れると、指先にねっとりとした黄金色の蜜をつけた。
「はい、お口を開けて」
蜜に浸した指を少年の顔に寄せる。
少年は魔物の行為に口をつぐんだまま、必死に逃れようと顔をそむけた。だが、ハニービーが顔を抑え、唇まで指を近づけたことで、彼は観念した。
唇を薄く開き、蜜の付いた指を受け入れる。
すると、少年の口内に甘みが広がった。
村でも味わったことのない、果物や花の蜜を濃縮させた、純然たる甘み。
強烈な甘みは舌から全身に広がり、体の奥を温め、疲労による手足の震えを押さえ込んでいた。
「噛んじゃ駄目よ」
いつの間にか指にしゃぶりついていた少年の耳に、ハニービーのたしなめるような声が届く。
だが少年は甘みに意識を犯され、半ば夢うつつとなりながら指をしゃぶり続けた。
指を逃さぬよう唇を締め、蜜の残滓を味わうべく舌を絡める。
爪の隙間や指紋の凹凸に舌の表面を押しあて、擦りながら唾液をまぶし、少しずつ嚥下していく。
僅かに残る蜜の味を求めて舌が、頬が、勝手に動いていた。
「はい、おしまい」
たっぷり数分、指先の皮膚がふやけるほど舐めさせてから、ハニービーは指を引き抜いた。
少年の口から小さな声が漏れ、糸を引きながら離れていく指を追おうと、彼の身体が僅かばかり前のめりになる。
「どう?少し元気になったでしょ?」
ハニービーの言葉に、彼はようやく自身の身体を満たしていた疲労が、少しだけ癒されていることに気が付いた。
このまま歩いて帰るのは無理だろうが、少なくとも一歩も動けないという程ではなくなった。
魔物が人間を助けてくれた、という疑問にも似た感情が、少年の心中に浮かんだ。
「さて、できればこのまま連れて行ってあげたいんだけど…ちょっとゴメンネ」
ハニービーは少しだけ困ったような顔をすると、謝罪の言葉とともに指を少年のズボンに伸ばした。
前の合わせ目を開き、その奥に手が差し込まれる。
「っ!」
「ごめんねー、ちょっとじっとしててねー」
突然の行動に驚き、身を強張らせる少年をなだめつつ、彼女はズボンから彼の性器を取り出した。
疲労した肉体が子孫を残そうとする本能に従ったためか、そこは屹立していた。
だが、ピンク色の亀頭は年相応に半ばほどまで包皮に覆われている。
「うん、元気になってるね」
ハニービーはにこやかに言うと、腰の壷に指先を浸した。
再び彼女の指先が黄金色の蜜に塗れるが、ハニービーは指を少年の口ではなく、屹立に伸ばした。
小さく震える肉棒に、少しだけ冷えた蜜が触れる。
「ひうっ!」
一瞬の冷たさに少年が身体を震わせるが、すぐに蜜に負けぬほど甘い喘ぎが彼の口からあふれ出した。
蜜に塗れた指が、少年の肉棒を擦り始めたからだ。
包皮越しに亀頭の膨らみをなぞり、裏筋を擦り、肌に蜜を塗り込む。すると、蜜の滋養が肌を通じて吸収されたかのように、屹立はその硬さを増した。
「んー、やっぱりちょっと早かったかなあ…」
硬くなれども包皮が剥けきれない肉棒に、彼女はそう呟く。
「ウチの女王様は奥の方突かれるのが好きだから…ま、将来に期待ってとこかしら」
肉棒を擦られる度に背筋を這いまわる未知の感覚に身悶えする少年を、ハニービーはそう評価した。
そしてその間も股間を這いまわる指は、少年に初めての快感を与え続けた。
手の幅ほどの肉棒をすっぽりと握り込み、指を波打たせて揉み解す。
指の動きを止め、親指の腹が裏筋の膨らみを擦る。
そのまま親指をずらし、包皮から顔を覗かせる桃色の膨らみにぐりぐりと押し付ける。
指の動きの一つ一つが、蜜のぬめりを通じて甘い快感を少年に与えていた。
やがて、少年の腹の奥底で何かが脈打ち始め、それはすぐに尿道を上り始めた。
「お、おしっこ出る…!」
「大丈夫よ、たっぷり出しなさい」
目に涙をにじませた少年の言葉に、ハニービーはにっこり微笑み、指の動きを大きくした。
蜜が粘ついた音を立て、肉棒に絡み付き、さらなる快感を生じる。
「あっ、あっ…!」
少年は短く声を漏らすと、全身を震わせた。
直後、白く粘ついた汁が、鈴口を覆う蜜の薄い膜を突き破り、勢いよく迸った。
腹の中身を引きずり出されるような解放感が、少年の体内を駆け巡る。
そして尿道を擦りながら放たれていく白濁は、ハニービーのもう片方の手に受け止められた。
彼女の指が動き、肉棒を揉み、精液をさらに迸らせる。
やがて、十数度の脈動と迸りを経て、少年の初めての絶頂は終わった。
「ふふ、つまめそうなぐらいドロドロ…」
全身に残る倦怠感にぐったりする少年の耳に、微かに興奮したようなハニービーの声が聞こえた。
目だけを彼女の方に向けると、そこには掌で受け止めた白濁に口を寄せ、舐め啜る魔物の姿があった。
頬を紅潮させ、僅かに両の目を潤ませたハニービーは、どこか興奮しているようだった。
だが、瞳には理性の光りが確かに宿っていた。彼女は手の精液を舐め終えると、しばし目を伏せて黙考した。
「うん…いいんだけど、やっぱり長さねえ…」
そう呟くと、彼女は目を開いた。
だが、そこまで見たところで少年の視界が暗くなり始めた。
自身の目蓋が下がりつつあることに、彼は遅れて気が付く。無理もない、蜜を舐めたとはいえ疲労しきった身体で、生まれて初めての射精を迎えたのだ。
倦怠感と疲労感は、限界に達していた少年の意識を限界に追いやりつつあった。
「ざんね……あな…さよ…むかえ…」
徐々にくぐもっていく彼の意識の中、ハニービーはそう少年に言った。
彼が何を言ったかに関わることなく、魔物はそう答えた。
「いつか」「迎えに行く」という言葉を忘れ、少年もまた何を忘れたかを忘れてのことだった。
11/12/24 23:33更新 / 十二屋月蝕
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