連載小説
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(94)ワーシープ
あら、いらっしゃい。
患者さんかしら?予約は?
予約はないのね。
ごめんなさい、今ナイトメア先生出かけてるのよ。
だから、ナイトメア先生の診察を受けにきたんだったら・・・
え?ちょっと相談にきただけ?
ああ、睡眠に関するトラブルね。それなら私でもできるわ。
ちょっと待ってね・・・はい、この問診表に必要事項を記入して。
私はその間に準備してくるから、ごゆっくり・・・うふふ。


はい、お待たせ。
問診表は書けたかしら?
書けてるようね。
じゃ、こっちの部屋にどうぞ。
ちょっと薄暗いけど、安心してね。
そこの長いすが見えるかしら?横になるように腰掛けて。あと上着、預かるわよ。
・・・ふふ、その長いす柔らかいでしょう?新品なのよ。
そうやって患者さんにリラックスしてもらって、話を聞くっていうのが目的なの。
それじゃ、始めるわよ。
えぇと、名前と年齢と性別、住所・・・は関係ないわね。
問診の内容を確かめるわね
問1症状は?『夜、ベッドに入っても眠れない』・・・と。
これは辛そうねえ。疲れはなかなか取れないし、眠れないままベッドで時間をつぶすのも苦痛だし・・・
肉体的な疲れが癒えても、心が疲れるのよねえ。
・・・ああ、ごめんなさい。次、いくわね。
問2いつから?『先月から』
もう一ヶ月ぐらいになるのかしら?よく頑張ったわねえ。
自力でいろいろ試してみたんでしょ?偉いわぁ。
でも、もう少し早く頼ってくれてもよかったのよ?
次は・・・と。
問3どの程度?『体は疲れているのに、ベッドに入っても一向に眠くならない。ごろごろしているうちに、朝になっている』
うーん、やっぱり大変ねえ。
この調子だと、夜明けまで羊を数えたこともあるでしょ?
飽きるほど羊を数えても、風の音や家のきしみが気になって、眠れない。
そんなところかしら?
それで・・・
問4当クリニック以外に、上の症状で病院に行ったことは?『ない』
でしょうねえ。ただ眠れないって症状で、普通の病院には行き辛いものねえ。
眠るなんてことは、誰にでもできるから軽視されがちだけど、その分悩みを抱える人は苦しんでいるのよ。
でも、もう大丈夫よ。当クリニックが、あなたの悩みを解決するわ。
そして、最後に・・・
問5恋人や配偶者はいる?あるいはいたか?『いない』
うーん、今はいないっていうのはわかるけど、過去にいたかどうか・・・
え?この質問の意味が分からない?
ふふ、そうよねえ。眠れなくてうちを訪ねたのに、恋人の有無を聞かれても困るわよねえ。
でも、これも結構重要なのよ。あなたの側にいてくれる誰かの存在が、治療を行う上で関わってくる場合があるの。
眠りのトラブルの原因だったり、治療の要になったり。時には、ちょっとした行き違いが原因での喧嘩が、二人の心に深く根を張っている場合もあるわ。
そのぐらい、恋人や配偶者の有無は重要なの。
それで、過去に恋人はいたかしら?正直に答えてくれるとうれしいわ。
・・・そう。まあ、人それぞれよ。きっとそのうち、すてきな人が現れてくれるわよ。私とか。
ふふ、冗談よ。でも、恋人がいないというのなら、原因を探るのがだいぶ楽になるわ。
じゃあ、これで問診表の確認はおしまい。これから本格的な診察に入るわよ。
ああ、そう緊張しなくていいから。仰向けになって、天井を見て、楽にして。
ベルトとか、シャツのボタンをゆるめて呼吸を楽にしてね。いい?始めるわよ。
今から、私の言うとおりにしてね。質問されたらあまり考えず、最初に心に浮かんだことを答えるのよ。
始めるわ・・・
まず、息を吐いて。
ゆっくりゆっくり。体の中の古い空気を、全部、全部出して。
出したら、今度は吸って。
新しい、新鮮な空気を肺一杯に取り込んで。
きれいな空気が、あなたの中に入っていくわ。
吐いて。
吸って。
吐いて。
吸って。
そうそう、そのままそのまま。ゆっくりゆっくり、その調子で呼吸を繰り返して。
肺から吸った空気が、血の流れに乗って体を巡っているのがわかるかしら。
肺から心臓へ。ゆっくり脈打つ心臓から、血管に乗って体中を流れていく。
心臓を出たら、肺の側を通って、肋骨の間から右肩に入ったわ。
そして、右手全体に血が広がっていく。
あなたの吸った空気が、右手一杯に広がっているの。
指を動かさなくても、右手はわかるでしょ?
指が五本に、手のひら、手首。手首から腕につながって、肘、二の腕、そして肩へ。
あなたの右腕が、そこにあるわ。
ずうっとあなたと一緒だった、あなたの右腕。
ずうっと肩からぶら下げていたから、重さになれてしまっているのよ。
これから息を吸って吐くと、少しずつ体から力が抜けて、だんだん右腕が重くなっていくわ。
吸って・・・吐いて・・・右腕が重くなる・・・
吸って・・・吐いて・・・右腕が重ーくなる・・・
腕の力が抜けて・・・イスに腕を預けていく・・・
吸って・・・吐いて・・・今度は左腕が重くなる・・・
吸って・・・吐いて・・・左腕が重ーくなる・・・
右手と左手の次は、両足が重くなる・・・
吸って・・・吐いて・・・吸って・・・吐いて・・・
体全体から力が抜けて、イスに沈み込んでいく。
でも怖くない。
イスの上だから怖くない。
さあ、ずうっと一緒だったあなたの体から力が抜けたわ。
手足にこもっていた力が抜けて、よけいなエネルギーが余っていく。
余ったエネルギーが、だんだんあなたを温めていく。
ほら、手足がだんだん温かくなってきた。
指先からゆっくり、あなたは温かくなっていく。
足首のあたりまで、温かくなっていく。
だんだん、手足が温かくなっていく。
肘と膝まで温かくなってきた。
前進の血液がゆっくり巡って、体を温めていく。
もう肩と太腿が温かい。
ほら、もう胸とおなかがホカホカしてきた。
柔らかくて、温かくて、全身の緊張はもうないわ。
さあ、このままゆっくりゆっくり、休みましょう。
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
うーん、眠れないのね。
体はこんなにリラックスして、意識も大分落ち着いているのに。
だったらこれでどうかしら?ちょっと横に失礼するわね・・・
うふふ、手足が動かないでしょう?もうあなたの体は眠っている状態なの。
ただ意識だけが目覚めているから、そんな風に体が動かないのよ。
だから、じっとして・・・
さ、これでよし。どう?私の添い寝、温かいでしょう?
ワーシープの羊毛の魔力に頼るのは、最後の手段だけど・・・こうして自分以外の温もりを感じるだけでも、心が落ち着いてくるでしょ?
え?柔らかくて、落ち着かない?
羊毛のふわふわの感触が気になって・・・
・・・・・・
ごめんなさいね。胸が当たって、気になってたのよね。
全身の力が抜けてる分、感覚の方が少し敏感になって、よけいに感じちゃってるからかしら・・・こんなに・・・。
コレじゃあ、眠れないわよねえ。
仕方ないわ。落ち着かせてあげる。
ほら、抵抗しないでじっとして。体が脱力してるから、無理に動こうとすると危ないわよ?
じっとして・・・おとなしくなるまで、ぎゅっとするわよ・・・
・・・
ふふ、抱きしめられて緊張しちゃったのかしら?おとなしくなったわね。
じゃあこのまま、下の方もさわってあげる・・・
まずは手のひらでなでて・・・ふふ、ズボン越しでもカチカチなのがわかるわ。
すりすりするだけでも、どきどきしてるのが手に伝わるわ。
そろそろ苦しそうだから、出してあげる。
こうしてベルトをもっと緩めて・・・ズボンの前を開いて・・・はい、出たわ。
ふふ、元気一杯・・・
まずはなでなでしてあげる。
あら、全身が温かくなるって言ったけど、ここも熱々ねえ。
もしかして風邪でも引いているのかしら?ちょっと額を失礼・・・
うん、熱はないみたいね。でも、おでこがふれあった瞬間、ちょっとびくんってふるえたわね。
いいのよ。恋人もいなかったんだから、初めてこうやって熱を計ってもらって、少しびっくりしたのよね。
よしよし、いい子いい子・・・
あらあら、なでなでしてるのに手をぐいぐい押して・・・乱暴な息子さんねえ。
そんな腕白は、こうして掴まえてあげちゃうんだから。
うふふ、これでもう逃げられないわよ。
軽く握ったまま、指を握ったり緩めたり・・・気持ちいいのね?一瞬、息が乱れたわよ。
いいのよ。男の人はここが弱点なんだから。
ここで気持ちよくなるのが自然なこと。だから、一杯気持ちよくなってね・・・
にぎにぎ、にぎにぎ。指を緩めたり、ぎゅっとにぎったり。カタいここをマッサージするみたいに揉み揉みして・・・
十分揉んだら、こんどはごしごし。
手を軽く上下に動かして、擦ってあげるわ。
どう?なでなでされたり、自分で擦るのとは違うでしょ?
いつもあなたがやってるのとは違う動きだから、どんな刺激がくるかわからない。
だから、気持ちよさへの心構えができないから、いつもより感じちゃうのよ・・・
ごしごし、ごしごし。時々揉み揉み・・・
びくびくしてきたわね・・・もう少しで出そうかしら・・・?
いいのよ。そのまま出して・・・
え?ぎゅってしてもらいながら出したい?
ふふ、贅沢ね・・・
いいわよ。ぎゅって抱きしめながら、出させてあげる。
もう片方の手で、こうやってあなたの頭を抱いて・・・ほら、これでいい?
ふわふわの私の羊毛に顔を埋めて・・・ふふ、そんなに深呼吸されると、ちょっと恥ずかしいわ・・・
でもいいのよ。羊毛の魔力が、あなたの体に入って意識を安らげるから。
それよりも、今はこっちよ。
このままこうして擦って・・・
んっ・・・
・・・・・・
出たわね。
勢いが強くてちょっとびっくりしちゃったわ。
ふふ、こんなにたくさん・・・私の体にかかってよかったわ・・・
あら?こんなに出したのにまだ固いまま・・・若いわねえ、ふふふ。
あなたがお望みなら、もう一回ぐらい・・・あら、寝ちゃってる。
ちょっと、羊毛の魔力を吸わせすぎちゃったかしら?
それと、射精の直後のリラックスが重なって・・・
でも、よく寝てるわね。下半身の臨戦状態が嘘みたい。
・・・うん、下半身は臨戦状態なのよね・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・お目覚めかしら?
ぐっすり眠っていたわね。だいたい一時間ぐらいよ。
でも、久々の睡眠だったんじゃなかったかしら?
どう?すっきりした?
え?何となくからだがだるい?
あー、やっぱりふかふかのイスだけど、ベッドにはかなわないのよねえ。
でも、これで眠れるようになったんだから、よかったじゃないの。
今夜からベッドに入ったとき、全身をリラックスさせるようにすればいいわ。
眠れなかったとしても、体の疲れは大分癒せるはずよ。
とりあえず、今夜様子を見て、明日またきてくれるかしら?
今夜眠れないようだったら、私が責任もって、あなたの家に通って治療してあげる。
・・・ふふふ、どういう意味かしらね?
それじゃ、お大事に。
12/12/15 15:51更新 / 十二屋月蝕
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■作者メッセージ
羊の毛ってよく見ると薄汚れてるし、実物は若干特有の臭いがあるけど、ワーシープさんの匂いは勃起モンの匂いだと思う。
ワーシープさんのふわふわの羊毛に顔つっこんで深呼吸して、匂いで失神するような勢いで眠りにつきたい。
抱きつきながらのオヤスミにワーシープさんはびっくりするけど、なんだかんだで睡眠逆レイプしてくれるんだよ。
眠っているおかげで感覚は若干鈍くなってるけど、それでもゆるゆるいっぱいオヤスミチンチンを刺激してくれるんだ。
そして俺が目覚めると妙なけだるさだけが取り残されるんだよ。

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