メイドとしてやってきたオートマトンにエナジータンク化調教されちゃうお話
それは唐突だった。
「お父さんとお母さん、今日から数日間家を開けるの」
「だから、お留守番よろしくね♪」
「……へ?」
父さんと母さんから呼ばれたかと思ったら、母さんから突然そんなことを言われた。
母さんはニコニコとしており、それに反して父さんは神妙な顔つきで黙っている。
突然の報告にあっけに取られていると
「……不満か?」
父さんがじろりと睨むように視線を合わせて、そう言ってきた。
「いえ、父さんが母さんと出かけるなんて、珍しくて……」
父さんは非常に厳格で典型的な仕事人間だ。
監獄都市国家と呼ばれるこの国において、最も大事な機関である監獄に勤めていて、しかもトップクラスの役職に就いている。
志はとても高く、国の治安を守り、その上で囚人たちを更生させることに尽力を注いでおり、自他共に非常に厳しい。
家のことを完全に放置しているわけじゃないけど、人生の大半は仕事に注いでいる……とはいえ、それは大事な役目を果たすためであり、僕も母さんもそんな父さんを誇りに思っている。
……だから、仕事を放って二人で旅行するなんて思いも寄らなかった。余りに不思議で、唐突で、厳格な父の前にも関わらずそんな言葉が溢れてしまう。
「いや、そのだな……」
「あなた?」
「……っ、まあ、暫くお母さんを放ってたからな」
「家のことを全部任せていたし、労わってやろうと思って――」
「あなた?」
「……っっ!」
「お、お母さんと久々に二人きりになりたいんだっ!だ、だから家を開けるっ!」
父さんが何か話す度に母さんがニコニコしながら問いただし、何故か父さんは余裕がなくなっていって、最終的にはヤケクソのような叫びで締められた。
なぜ父は顔を赤くして切羽詰まっているのだろうか?今日の父さんと母さんは肩が触れ合うほど近寄っているのは何なのだろうか?そもそも、あの父さんがそのような理由で家を開けるだろうか?そして母さんのこの謎の威圧感はどうしたのだろうか?
疑問点しかないこのやり取りに困惑して、「はぁ……」という曖昧な返事をすることしか出来ない。
だが、そんなことはすぐに記憶の彼方に吹き飛んでいった。
「それで、お母さんとお父さんが家に居なくて困ることあるでしょ?」
「ま、まあ、あるけど」
「だから、お手伝いさんを雇ったの」
「へ?」
その言葉と共にガチャリとドアが開かれる。
そこから現れたのは、メイド服姿の女性だった。
メイド服にも関わらず浮き上がっているボディーラインは彼女の体つきの良さを表していて、そしてその身長はまだ子供にすぎない僕よりも遥かに大きく……父さんの身長すら超えていそうだった。
そして、その顔は凜としていて、まさしく美麗という言葉がピッタリだった。キリリとした目元、みずみずしくて引き締まった唇、どれを取っても魅力的な女性。
そんな絶世の美女とも言えよう人物が突然現れ、心臓がドキリと跳ねる。
「初めましてご主人様、『フェルリダメーラ』と申します」
流れるような動きでロングスカートの裾を持ち上げ、頭を下げて優雅に挨拶をする彼女。
その胸部は溢れんばかりに大きく実っていて、重量感を伴って揺れる。ぷるるんと、蠱惑的に揺れる果実に視線が吸い寄せられ、無意識のうちに凝視してしまっていた。
そうしていると、顔を上げた彼女と目が合ってしまった。どこか無機質な瞳に射竦めてられ、罪悪感や羞恥心がこみ上げてきて、すぐさま顔を逸らす。
こんな綺麗な人が急に来たら驚くというか、どうしたら分からないというか……
出会った際の仕草だけで彼女がとても優秀だということは分かる。仕事の面ではまず問題はないだろう。
でも、この冷たい表情を見ていると……仲良くなれるか分からない。取っつきにくそうで、どう接したらいいのか分からない。
だから、母さんにもう少しだけ紹介してもらおうと思ったけど
「じゃ、お母さん達は出かけるから、後はよろしくねー♪」
「ま、待て!こんなの聞いて……うぅっ!」
「ほら、あなた、早く行きましょうね♪」
母さんと父さんは、そんな僕を放って、荷物を持っていそいそと家から出て行ってしまった。残されたのは、突然現れたメイドさんと僕だけ。
「え、えーと……よろしくおねがいします?」
「はい、よろしくお願いします、ご主人様」
そうして、僕と彼女の共同生活が始まった。
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彼女はすごかった。
想像していた通り、仕事はまさに完璧だった。
部屋はいつも以上にキチンと家具が揃えられ、洗濯では昨日僕が汚してしまった服すら新品かと思うぐらいピカピカになり、料理は思わず舌鼓を打ってしまうほど絶品だった。
非の打ち所がない彼女。どんな作業も文句ひとつ言わずに淡々とこなし、疲れた様子を一切見せず、所作が崩れることは殆どなかった。
だけど、そんなことすら些細に思えるほど……彼女はスゴイ秘密を持っていた。
「え、ゴーレムなの!?」
「はい、正確には『オートマトン』ですね」
「私、フェルリダメーラはその中でも――」
オートマトン。彼女が言うにはゴーレムの一種らしくて、複雑な機構や高度な魔術によって動いているとのこと。
その体の中には様々な機能が秘められているらしくて、関節動作が云々、体内のコアが云々、といったように彼女はどこか自慢げに語っていた。
「――といったように、通常のオートマトンよりも高性能なのが私、フェルリダメーラです」
「へー……」
内容の半分以上は理解しきれなかったが、無表情ながら胸を張っている様子を見る限り、彼女は自身の体に誇りを持っているらしい。
にしても、彼女がゴーレムの一種とはとても思えない。僕の知っているゴーレムはもっと泥人形みたいな雑な感じだし、大雑把な仕事しかさせることができない。
「ほ、ホントにゴーレムなの?」
「ええ、ここをご覧になってください、内部構造が垣間見えると思います」
「わぁ……すごい、こんなの見たことない……!」
彼女の言葉を疑うわけじゃないけど、こんな本物の人間のように振舞えて、さらに人間を遥かに上回る器用さを持っているゴーレムが存在するなんて信じられなくて、改めて尋ねてしまう。
彼女はそんな僕に対して、不快感を表すことなく、腕をまくって漆黒の関節部をあらわにする。その奇妙奇天烈な内部構造を目にして、好奇心がくすぐられる。
どんな文書でも見たことない機構、どう動いているのかさっぱり分からない……そんな事実が更に興味を引いて、いつの間にか気恥ずかしさも忘れて間近で観察していた。
こんなスゴイ彼女だけど、実はもう一つスゴイことがある。
「フェルリダメーラはすごいんだね!」
「……はい、分かって頂けたようで何よりです」
彼女には感情がある。人間と間違えるほど……いや、人間と同じ感情を持っている。
無表情で何を考えているのか分かりにくいけど、こうやって僕が褒めると、少し照れくさそうに間を空けてから返事をする。
表情は変わらないし、顔色も変わらないけど、ほんのちょっとだけ声から、動作から、何となく感情が滲み出ている。
そう、彼女は本物の人間と何も違わない。
ゴーレムというのは外見と名前だけで、内面は人間と変わらない。
今もこうやって照れくさそうにした後、視線を宙に漂わせて、ソワソワとして……何か言いたそうだ。
「どうかしたの?」
そうやって声をかけると、こちらに視線を合わしてくる。その瞳の奥で紫色の瞳孔が少し大きく開かれる。
多分、驚いたのだろう。基本的に無表情だから、こうやって気にかけられることに慣れていないのだと思う。
そして、固く結ばれていた口が開かれる。
「……その、おこがましいお願いですが」
「フェル、と呼んで頂けませんか?」
仰々しい前振りの後に来たのは、ささやかなお願い。
ちょっと拍子抜けで、クールな彼女がそんなことでまごまごしていたのだと想像すると、とても可愛い。
「うん!これからもよろしくね、フェル」
もちろん断る理由なんて無いから、快く了承する。
『フェル』、そう彼女を呼ぶと、心なしか頬が上がったような気がした。
無表情だけど、かわいい。
「ありがとうございます、ご主人様」
そんな顔を隠すかのように一礼。感謝の言葉と共に頭を下げる。
フェルとはとても仲良くなれそう
そんな予感と共に、パチッ、パチッとどこかで静電気のような音がなった。
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フェルとの日々はあっという間だった。
あれがしたいな、これがしたいな、と思えば
『ご主人様、クッキーと紅茶を用意いたしました』
『こちらの本をお取りしましょうか』
といったように、まさにベストなタイミングで声をかけてくれる。
それに、フェルは
『はい、実はこちらが開いて、ここから――』
『ここの関節は――』
自身の体について色々と教えてくれる。
元々、機械とかそういうのに興味があった僕からすると、フェルの体そのものが知識の宝庫のようなもので、時間も忘れて熱中してしまう。
見たこともない機構で動いているけどどういう仕組みになっているのかとか、動力源がどうなっていてどのように伝達しているか……なんてことを解説して貰いながら色んなことを勉強した。
あまりにも熱中しすぎて、食事の時ぐらいしか時間を知るタイミングがなくて、気がついた時にはもう陽が暮れてしまっている。
フェルと一緒に他愛ない話をしながら眠くなるまで待って、うとうとしてきたら布団に入って、明日はフェルと何をしようか……なんてことを考えながら眠りに着く。
そんな風に楽しくて、幸せな毎日が続いていた。
今日も楽しかった。
見たこともないお菓子を作ってくれて一緒に食べたり、実際に簡易的な機構を作りながら動き方について教えてもらったり、魔術についての基本的なことも教わった。
どれもこれも本当に楽しくて、一日を終えるのが惜しく思ってしまうほどで、こうして深夜なのに寝ることもせずにぶらぶらと寛いでいる。
明日はどんなことをしようか、そんなことを考えていると
「ご主人様」
フェルに呼ばれた。
多分、夜更かししすぎだって言われるんだろう。
「あ、そうだね、もうこんな時間だから――」
「いえ、そうではなく……ご主人様にご相談があります」
フェルが言うであろうことを予想したつもりだったが、返ってきたのは予想外な言葉。
「相談って、何かあったの?」
相談……フェルがそういった言葉を使うのは初めてだった。だから、何か大事なことを話すのだと分かって、身構える。
「フェルの気持ちを率直に申し上げますと、ご主人様のことをとても慕っております」
「可能であれば、このままずっとご主人様に仕えたいと思っています」
その端正な口から溢れてきたのは、僕への好意。
慕っているし、ずっと仕えたいなんて言われて、気恥ずかしさもあるけど純粋に嬉しくなってしまう。
「えっ、そ、そうなんだ……えへへ」
「ですが、現在はお母様に雇われて、ご主人様に仕えている状況です」
「今のままでは、お母様とお父様がお帰りになさった時点で、フェルとご主人様との契約は切れてしまいます」
「あっ……そうなっちゃうんだ」
だけど、その後に続く言葉で気分が沈んでしまう。
この楽しい日々に終わりが来ると考えるだけで、モヤモヤとした暗い感情に襲われる。
「そうならないために、ご主人様には正式な『マスター』になって頂きたいと思っております」
「正式なマスター?」
「ご主人様が『認証登録』をして頂ければ、ご主人様は正式な『マスター』となって、そのような契約切れは発生しなくなります」
「じゃあ、その『認証登録』をすれば、ずっとフェルと一緒に居られるってこと?」
「その通りです」
話をまとめると、フェルは僕と正式な契約を結びたいらしい。今のままでは母さん達が帰ってきたらフェルはいなくなってしまうけど、この『認証登録』をすれば母さん達が帰ってきた後も契約がずっと続く。
僕はもちろん、フェルとずっと一緒に居たいと思っているし、今すぐにでも『認証登録』をしたいところだけど……家族が増えるようなことだから、流石に母さんと父さんに相談しないとダメだと思う。
「でも、母さんや父さんと相談しないと……」
「ご安心ください、すでにお義母様の許可は取ってあります」
「えっ!?そうなの!?」
「はい、この数日間でご主人様に気に入って頂ければ、正式な契約を結んで良いと伝えられております」
「なるほど……」
その懸念はすぐに氷解した。
この家に来た時点で、母さんとはそういった話をしていたらしい。
何だか都合が良すぎる気もするけど……母さんの了承が得られているのなら、悩むことは何も無い。
「うん、分かった!フェルの正式な『マスター』になるよ!」
気が付いた時には口から言葉が溢れ出ていた。
「……ありがとうございます」
フェルはほんの少しだけ目を細めて、深く一礼をする。
「では、『認証登録』を致しますので、こちらにどうぞ」
「フェルに近寄ればいいの?」
「はい」
「……近寄ったよ?」
「はい」
「……フェル?」
「……ジッとしててください」
しばらく何もされないものだから不思議に思って何度も呼びかける。
すると、何か意を決したかのように一呼吸をして、じりじりと顔を近づけてくるフェル。端正な顔が近づいてきて、思わずみずみずしい唇に目が向いてしまって、ドキリとする。
このまま近づいて何をするんだろうか……とドキドキしながら思っていたら、もう眼前にまで迫ってきていて、唇が触れそうになっていて……
そこでようやく何をされてしまうのか察してしまった。
「え、ちょっと……まっ」
制止の声をあげたものの、遅かった。
「ちゅっ……」
「んっ……」
フェルの唇が重なる。プルプルの唇が僕の唇に吸い付いてきて、生温かな感触に心を奪われてしまう。
ぷちゅ……と静かに、ゆっくりと唇を押しつけられ、フェルとより深く繋がった感じがする。
突然のキスへの驚きの感情はすでに消え失せていて、その心地よい感覚に身を委ねてした……が
「……ちゅる」
舌が入り込む。造り物とは思えないほど、湿っぽくて、肉厚で、長くて、ぬるぬるで、いとも簡単に僕の歯の間から滑り込んでくる。
両手が僕の頬に優しく添えられる。柔らかくて、包み込むような感じなのに、万力で固定されているかのごとく顔を全く動かせない。
舌の動きは徐々に激しくなってきて、そして
「じゅるっ、じゅるるるる、ちゅっ、ちゅっ、じゅるるるるっ」
「んーーっ!!??」
蹂躙が始まった。
綺麗に閉じられていた唇はいつの間にか大きく開いて、僕の唇ごと捕食してしまう。
舌で歯をなぞって、深く突き刺し、そして僕の舌に巻き付くように絡められ、そのまましゃぶられて……
体験したことのない刺激、激しすぎる快感。
ぶちゅりという音とともによだれが垂れる……がフェルはそれを全く気にせず一心不乱に貪ってくる。
「ちゅっ……じゅるっ……ちゅっちゅっ……」
「はむ……ちゅこちゅこ……じゅるるるるるっ」
「れろー……れろっ」
「じゅるっ、ちゅっ……ちゅっ……」
「んーっ、んーっ!」
口内を舐めまわされ、ちゅっちゅっと吸い付いてから音を立てて唾液を吸い取ろうとしてきて、唇を甘噛みするように扱いて……
ようやく唇を離されたと思ったら、舌をつたって唾液を流し込まれ、その行為によって羞恥と興奮が高まってしまって、そしてまたキスが再開される。
もはや一方的な捕食のようなキス、口の中の神経を全て丁寧に一本一本擦りあげられているかのような、処理しきれない刺激によって脳の奥がチカチカと弾ける。まるで射精してしまっている時のような、異常な絶頂感。
このままじゃおかしくなる……壊れちゃう……♡
そうは思うけど、あまりの快楽に心が屈服してしまって、抵抗する気力が湧かない。
頭の中が徐々に快感に侵略していってしまって、白く塗りつぶされていってしまう。
フェルに抱きしめられて、濃厚なキスをされる。それだけでもう、幸せだった。
「ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ」
「ちゅー……じゅるるるるるるっ♡」
「んぅ……ぅ……♡」
微かな理性が警鐘を鳴らすが、フェルが口を吸う度に快楽で塗りつぶされ、段々と快感を享受するだけの人形に近づいてしまう。
まるでその唇から全て吸われてしまっているようで、理性も気力も羞恥も、じわじわと全て無くなっていく。
いつの間にか、股間はこれ以上になく勃起してしまっていたが、それを恥ずかしがることすら忘れて押しつける。じんわりとした下半身の快感で体が震える。
「……ちゅっ、ちゅー♡」
「んんぅ……んー……♡」
パチッ、パチッ、という音が聞こえる。もう、頭の中で火花が散っているのかもしれない。
そんな思考すら舌に舐めまわされて、飴玉のように溶かされる。思考が快楽だけになっていく。
右脳の奥が震えて、かぁっと白く弾けて、そして腰が震え始めて……
「ぷはっ」
「あっ……」
唐突にキスが終わる。
あの快楽を名残惜しむようにびゅく、びゅくと我慢汁が噴き出す。奥で煮えたぎっていた興奮の波が緩やかに引いていく。
「『認証登録』が完了いたしました」
「……そ、そうだったね」
フェルのその言葉でようやく思い出す。
そうだった、これは認証登録のためにやっていたことだった……
先ほどの快楽の残渣で頭がぼぅっとする。ふとフェルの顔を見上げると、相変わらずの無表情だったが、その視線はどこか熱っぽく、僕の下の方を見つめていた。
呆けながら視線の先を追って……ようやく気が付く。
「……っっ!!」
情けなく染みを付けながら隆起している股間を咄嗟に手で隠す。
羞恥心によって頭が一瞬で沸騰し、そうして赤くなった顔を隠すように、フェルの顔を見ないように、必死に俯く。
恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい
とても美しくて、華麗で、クールな彼女に一方的にキスをされて、こんなに興奮してしまって、しかも射精してしまいそうになった。
その事実が、冷静になった自分の頭に降り注いできて、激しい羞恥に捕らわれてしまう。
そんな僕をよそに、フェルは言葉を続ける。
「『認証登録』によって、ご主人様の詳細なデータを取得いたしました」
「それにより、フェルの体はご主人様用にカスタマイズされ、より良い性活を約束致します」
何か言っている。だけど、僕の頭の中には入ってこない。
だって、フェルのことをチラッと見ただけで、あの唇が目に入っただけで、あの唇に蹂躙されたことが、頭がおかしくなるぐらい激しいキスをされてしまったことが、フラッシュバックしてきて……ビクビクと股間が反応してしまう。
「いかが致しましょうか、ご主人様」
ドキリと心臓が跳ねる。
今日で幾度もやったようなやり取りなのに、ようやく慣れてきたやり取りだったはずなのに、鼓動が早くなってしまう。
恐ろしく冷たくて端正な顔が、こちらをじぃっと見つめて命令を待っている。その無機質な感じが、何を言っても許容してくれるような気がして……
微かに開いている唇が、目に焼き付く。
もし、エッチなことをお願いしたら……
そんな邪な想いが一瞬溢れる。
あの唇でもう一回あのキスをしてほしい。いや、もっと、フェルにエッチなことを……
が、すぐさまその想いに蓋をする。
ダメだ、そんな主従関係を楯に、そんなことをするだなんて……
フェルには感情がある。
エッチなことをお願いしたらしてくれるかもしれないけど……それは良くない。一方的な押し付けになる。
僕は、フェルのことを大事に思っているから。まだたった数日だけだけど、フェルと一緒に家事や勉強をしたり、お茶をしながら色んなことを話したりして、『友達』になれたから。
だから、その信頼関係を一時的な欲望によって壊したくないから、そう思って根源から湧き出てくる欲望に無理やり蓋をする。今にでもガタガタと音を立てて溢れ出そうなソレを押さえつけながら、何とか声を振り絞る。
「ぼ、僕はもう寝るから、フェルも寝ようねっ!」
完全に声が上ずって、挙動不審な叫び。
本当は抱きつきたい、顔を埋めたい、もう一度あのキスをしたい……そんな想いを押し殺してなんとか振り絞った声。
素早くドアに向かって、この場を脱出しようとするが
「かしこまりました、では一緒にベッドまで参りましょう」
「ちょっ……ダメダメ!!」
フェルの予想外の行動に思わず声を荒げる。
フェルと一緒にベッドに入る……なんて想像しただけでおかしくなりそうになる。
あの大きな胸に顔を埋めて、思いきり深呼吸して、そのままフェルに抱きついて、ナニを擦りつけて気持ちよくなりたい……
フェルの大きな体にすっぽり埋まるようにギューって抱きしめられて、そのまま体をまさぐられたい……
そして、あの唇に吸い付かれて……また、あの快感を味わいながらたっぷり気持ちよくなりたい……♡
ぐつぐつと思考の奥から浅ましい欲望が這いずり出てくる。
そんな不埒な願望を抱いてしまう自分に対して嫌悪感を抱くが、その願望のせいで目の前のフェルがとても淫靡な存在に思えてきて、ナニがむくむくと膨れ上がってしまう。
その興奮を悟られないよう何とか隠しつつ、必死に抵抗する。
「な、なんで急に……」
「正式な『認証登録』を完了しました」
「これからは片時も離れずに奉仕するのがフェルの役目です」
「だ、ダメ!僕は、その……一人じゃないと寝れないの!」
「ご安心くださいご主人様、フェルには安眠機能があります」
「ご主人様が体を預けて頂ければ、これ以上にない極上の睡眠を約束いたします」
「そ、そういう話じゃなくて……とにかくダメなものはダメっ!」
「ですが……」
「と、とにかく、今日は一人で寝るっ!」
「フェルはお母さんの部屋のベッド使って寝てね!」
「ご主人様、そのような興奮状態では質の良い睡眠は得られません」
「フェルのリラックス機能によって、一度心を落ち着かせてから――」
「もう寝るからね!おやすみっ!」
ひたすら、もっと一緒に居られるように提案してくるフェルを無下にして、どうにかして一人になろうとする。
あれやこれやと理由を付けてくるフェルは、本気で僕のことを思ってくれているのだろうし……もしかしたら、フェルは僕のことをとても気に入ってくれてるのかもしれない。
でも、フェルには申し訳ないけど、今の僕はそれどころじゃない。もし、フェルの提案に少しでも耳を傾けてしまったら、その甘い誘いに乗ってしまって、僕は欲望を抑えきれなくなる。
性欲の赴くままにフェルに抱きついて、擦りつけて、快楽をひたすら貪ることしか出来なくなってしまう。そんな一方的に性欲処理の道具として使われるのは、フェルも不快に思うだろう。
だから、これも、これからフェルと一緒に過ごすために仕方ないことだ。いい関係を築くためにも、今日の身勝手な振る舞いは許してほしい。
そう思いながら、ドアノブに手をかけ、本日最後の会話を終わらせつつ、チラリとフェルを一瞥すると
「……ご主人様」
恐怖した。
変わらぬ無表情。だけど、いつもより冷たく、そこには不満といった感情が確かに滲み出ていて……そんな彼女が出した初めての反抗の意を感じて、思い出してしまった。
彼女……フェルは僕よりも遥かに凄いことを、圧倒的な上位的存在であることを。今の主従関係の脆さを思い知ってしまい、恐怖した。
それと、フェルの、その眼が、射竦めるような視線が、根源的な恐怖というか、ゾクッとする感覚を掻き立てられて……
そんな底無しの恐怖から逃げるようにドアをくぐって、バタンと音を立てて閉めて、自室へと直行する。
興奮が、恐怖が、入り混じってしまって、とても眠れる状態じゃなかったが、すぐにベッドに潜り込み、布団をぎゅっと体に巻きつけるように抱きしめた。
体が火照っていて、熱がこもり、その熱が頭へと昇っていって、かぁっと熱くなっていく。股間に違和感を覚えて触ってみると、ねとっとした染みを付けながら痛いほど勃起していた。
なぜ、こんなに興奮してしまっているのだろう
正体不明の昂ぶりに困惑する。
フェルのことを、怖い、恐ろしいって思ったはずなのに、収まらないほどガチガチに勃起してしまっている。
そう、フェルはとても強い存在で、やろうと思えば僕のことなんて簡単に押さえつけることが出来て……
そう思うと、この関係がとても不気味に感じてくる。
僕は主人で、フェルは従者のはずだけど……フェルは僕よりも遥かに強い。
そんな主従関係は一般的によくあるだろうけど、それは主人が権力を持っていて従者が従う義理がある時に限る。
僕にそんな権力はあるのだろうか?フェルは僕に従う義理はあるのだろうか?
というか、フェルは何者?
母さんとフェルの関係性は?
フェルは……一体……
ふと、先ほど交わした、『認証登録』を思い出す。
手で顔を挟むだけで拘束できて、キスだけで真っ白に出来ちゃうフェルは、いつでも僕のことなんか好きに出来ちゃうわけで……
そう思うと、恐怖心と、暗い背徳的な興奮がこみ上げてきて、とぷりと我慢汁が溢れ出てしまう。
もしも、フェルに襲われたら……
そんなことを想像してしまう。
フェルに抱きしめられたら、もう身動きすら取れなくなるだろう。
そんな状況で、あのキスをされてしまって、快楽で真っ白にされてしまう。
いや、真っ白にされるどころか、理性も思考も全部、あの唇に吸い尽くされてしまって、そのままただただフェルに抱きしめられることしか出来なくなって、それで腰を震わしてびゅるびゅると射精してしまって……
そんなことになったら、もう、僕は戻れなくなる。そのままフェルに蹂躙されてしまうだけの人生になってしまう。
そんなとても恐ろしくて、それでいて魅力的な結末を想像するだけで、とぷり、とぷり、と我慢汁が次々に溢れてくる。
胸の奥ががきゅぅっと締まって鈍い痛みのような快楽と、脊髄が痙攣するような背徳的な感情で、頭がくらくらしてくる。
性欲の処理をしようかと迷ったけど、それをしてしまうと、完全に堕ちてしまうような予感がして……
ただただ目をつぶって、真っ暗な世界の中、そんな興奮の熱に一人魘されつつ、夜が明けるのをひたすら待った。
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今日の朝はいつも通り、穏やかに始まった。
起きたらすぐにフェルに声をかけられて、心臓が跳ねるような想いをしつつも振り返ったら
「……質の悪い睡眠は、その日の活動に大きな悪影響を及ぼします」
「もし、明日もそのような状態になりましたら、フェルの安眠機能を行使いたします」
という小言を投げかけられただけだった。
ちょっとだけ脅すような文句がありつつも、その無表情からは心配と慈愛の情が読み取れてすこし安心する。
僕のことを想ってくれて、敵意なんて全くない、優しいフェル……
だけど、その『安眠機能』というモノを想像して、とぷり、と腰の奥から漏れ出る感覚がしてしまう。
フェルに添い寝されて、寝付けなかったら抱きしめられるのだろうか。その時に勃起してしまったら、どういう対処をされるのだろうか。
抱きしめられたまま手で扱かれて、抵抗しようと体をくねらせても簡単に抑え込まれて、そのまま勃たなくなるまで搾り取られたり……
昨日までは無かった、背徳的な興奮が、常に纏わりつく。
フェルが掃除しているだけでも、その細くくびれた腰から大きく広がるお尻に目を奪われてしまって、あの大きなお尻にのしかかられてグリグリと押し付けられたいと思ってしまう。
ただ佇んでるだけでも、服を押し上げる豊満な胸に心を捕らわれてしまって、柔らかいであろう感触を想像して興奮してしまう。
一緒に食事をしている時もプルンとした唇に、勉強しているときもスラッとした手に……
もう、フェルの全てに対して欲情してしまう。
どれだけ意識しないように頑張っても、淫らな妄想をしてしまって、ムクムクとナニが大きくなってしまう。
抱きしめられて胸で窒息するぐらい埋められてしまったり、潤っている唇に吸い付かれて深いキスをされてしまったり、細い手指に全身をつつーっと撫でられて悶えさせられてしまったり……
「ご主人様」
ビクリと体が跳ねる。
ついさっきまで、フェルで破廉恥な妄想をしていたから、平常を保てない。
「ど、どうしたの?」
「それはこちらのセリフです」
「先ほどから、心拍数、呼吸数、ともに正常値の範囲を超えています」
突然、フェルは僕の顔を手で挟み込む。
あの時と同じように、ガッチリと固定されてしまう。
真っ直ぐ見つめられる。紫色に透き通っている瞳で視線を合わされる。
心まで見透かされているような、そんな気がしてしまって
「興奮してらっしゃいますね」
「先ほどから、フェルのボディーを眺めては、いかがわしい妄想に耽っていたのでしょう」
呼吸が止まる。
フェルの口から出た言葉は図星を指していて、動揺してしまう。
「胸や尻、といった一般的に欲情しやすい部分以外にも、手や唇といった通常目にするところに淫らな妄想を膨らませて、欲情していましたね」
張りつめた股間に手を添えられる。滑らかな手のひらが、宝物を磨くかのごとく、ゆっくりと怒張を撫で上げる。
たったそれだけの刺激なのに、ひんやりと、腰が空虚になるような、力が入らなくなるような感じがして、みっともなく体を震わしてしまう。
まともに立つことも怪しくなって、フェルに軽く抱きつくような形でしか体を支えられない。
とぷとぷ……
じわぁ……
奥から我慢汁が溢れる。撫で上げられるのに合わせて、ゆっくりと、溢れ出る。
優しすぎて、心地よすぎて、抗えない快楽。力の入れ方すら忘れさせられ、次第に抵抗する意志すら奪われてしまう。
「ご主人様は我慢しすぎる傾向にありますね」
「今も、我慢汁だけをとぷとぷとぷと……」
「うぅ……」
そう言って、染み出した部分に指先をちょんちょんと触り、ねとっとした糸を引かせる。
ズボン越しに鈴口をつっつかれ、その強い刺激にびくびくと反応してしまう。
片手でゆっくりと撫で上げられ、もう片方の手で先っぽを刺激される。
優しい快感と鋭い快感のコンビネーションによって、萎えることなく、ドンドン膨張してしまう。
「ご主人様、これ以上我慢するのでしたら」
「素直になるように、『調教』しなくてはなりません」
ゾクリとするような声色で囁かれる。とても無機質で抑揚のない声だったのに、『調教』という単語だけはねっとりと強調される。
普通の調教じゃないことが分かってしまうせいで、そのブラックボックスの中身を勝手に淫らで被虐的な妄想で埋め尽くしてしまう。
「あと1分以内に我慢をやめなかった場合、『調教』を開始致します」
甘く撫で上げられる。じわじわと、ケーキにクリームを塗るときみたいに滑らかに。
もう、腰に力を入れることが出来ない。気がついたら、フェルに完全に体を預けて為すがままになってしまっていて……動けない。
それでもフェルは、ゆっくりと撫で上げる。脳を蕩けさせるほどの快楽だけど、絶対に射精はできない。そんな絶妙な力加減。
「ふぇ、フェル……もっと動かしてぇ……」
頭は桃色の靄がかかったように鈍く、ただ快楽を貪ることしか考えられない。
腰を振って押し付けたい、もっと気持ちよくなりたい、射精したい、ぎゅって握ってほしい。
そんな欲望で頭がいっぱいになって、恥じることも忘れ、情けなくおねだりしてしまう。
だが
「それでは意味がありません、あくまでご主人様が素直になったかどうか確かめる行為ですので」
そのお願いは拒否されてしまい、また一つ、ゆっくりと撫で上げられ、足腰がまともに動かなくなってしまう。
「や、できないよぉ……」
「ご主人様から腰をへこへこと押しつけて頂ければ、すぐにでも射精することができると思いますが?」
「こ、こしがぬけへ……」
「ズボン越しにメイドの手に撫で上げられるだけで腰が抜けましたか」
「だ、だひゃら、もっとうごかしてぇ……」
「あと20秒です」
「うぁ、まっ、まっへ……」
どれだけお願いしても、全部言いくるめられてしまう。どれだけ言い訳をしても、丁寧に、嘲るように返されて、被虐心を煽られてしまう。
そんなやり取りをしているうちに、タイムリミットが目前に迫っていることを淡々と告げられる。
『調教』という言葉の冷たさが、怖さが、フェルへの少しの不信感を増幅させ、悪い未来を夢想させられる。
はやく射精しないと、じゃないと……そんな焦りに囚われるが
「ご主人様……フェルはご主人様のためにたっぷりと調教プログラムを作成いたしました」
「素直になれるように、フェルに甘えられるように……」
「今後、永遠に続く共同生活を豊かに淫らに過ごせるように、素敵な内容を練り上げました」
「うぁ……」
ぽしょぽしょと耳元で囁かれて、そんな焦りもかき消される。
声が鼓膜を伝わって、そのまま脳に染み入る。甘くて、理性を削り落とす、とても恐ろしい囁き。
素直にさせられる、永遠に淫らに過ごす……洗脳や拘束を含ませたような内容に、破滅的で被虐的な妄想が膨れてしまう。
「や、やだぁ……」
微かな理性が、そんな運命に抗おうと腰を動かそうとするものの、優しく添えられた手に押し付けることすら出来ない。
フェルにしがみついて駄々をこねるような鳴き声を上げるが、フェルはピクリとも動かない。ただただ、その時を……僕を食べるその時間を待っている。
恐怖からか、はたまた興奮からか、心臓が張り裂けんばかりに脈打つ。
「1分が経過しました」
「ぁ……」
無慈悲にも通告される。
「ご主人様……先ほどの『やだ』は、どういうことでしょうか?」
「そ、それはぁ、あっ、あっ……」
手の動きが早くなる。より強く圧迫するように、圧し潰して搾り出すような動きに変化して、精液がこみ上げてくる。
失言を咎めながら、まるで苛立ちをぶつけるように、膨れ上がった股間をすり潰す。
誤解を解かなきゃ、このままだと大変なことに……
理性は警鐘を鳴らすが、ぎゅむっと手のひらで潰される度に、タマから精液がこみ上げてきてしまって、快感に喘いでしまう。
言葉すら上手く紡げない。
「フェルの調教が嫌でしたか?」
「フェルにトロトロにされて甘々生活を送るのが嫌でしたか?」
「フェルが一晩中全ての演算装置を稼働させて作り上げた『ご主人様に素直になるまで甘々搾精調教プロジェクト』をお受けになるのがそんなに嫌でしたか?」
フェルは口早に問い詰めてくる。『嫌でしたか?』と尋ねられる度に、背筋が凍える。
チラリと顔を伺うと、開ききった瞳が真っ直ぐとこちらを捉えていた。
そんな怒気を孕んでいるかのような無表情が恐怖を掻き立てる。いつものような優しさは読み取れず、何をされるか分からない恐怖に……興奮に身を震わせてしまう。
「ち、ちが……うぅぅぅっ♡」
なんとか宥めようと口を開いた瞬間、より一層強く圧し潰されて……
どぷっどぷっどぷっ
どくどくどく……
精液が溢れ出る。ズボンから染み出すほど、大量に、濃い精液を搾り出されてしまう。
裏筋を撫で上げながら圧し潰され、その圧力に反発するかのようにビクビクと脈動するが、それを強引に抑えつけるように更に圧迫されてしまう。
手のひらだけで制圧され、すり潰されて、抵抗することもできずに惨めにイかされてしまう。被虐心がくすぐられる一方的な搾精。
「……ご主人様の動向を加味した上で、演算をし直しました」
「その結果、まずは『徹底搾精捕縛』による、抵抗意志を削ぎ落すのが最適だと判断」
「マゾヒストのご主人様にとっては、天国のような時間になるかと思います」
「や、ち、ちがふ……まぞじゃないよぉ……」
マゾヒスト……被虐趣向であると判断されて、心が跳ねる。
そんな風に判断されちゃったら、フェルに無理やり精液を搾り取られて、快楽で喘がされて、逃げられなくなっちゃう……
だけど、蕩け切った脳では、ろれつの回らない舌で弱々しく否定することしか出来ない。意地を張るような……相手の嗜虐心を煽ってしまうような、形だけの反発。
「フェルのおててに股間を潰されてズボンの染みを広げたご主人様がそうおっしゃいますか?」
「ほら、フェルの太ももにギューっと潰されただけで……勃起いたしましたね」
「うぅぅ……♡」
「ご安心ください、マゾヒストであることはフェルにとって、とても都合のいいので」
「うぁ……」
すべすべの太ももを股間に差し込まれ、膝をグイっとあげられて、体ごと持ち上げられる。
機械の身体のはずなのに、その太ももはむっちりとハリがあって、股間をぐにぃ……っと圧し潰す。
その肉に沈めながら、全方向から圧し潰すような感触。腹部からこみ上げてくるような鈍い快楽によって、射精したばかりにも関わらず、勃起してしまう。
「そうです、これから何回も何十回も搾精されることになるのですから」
「もう出ない……って泣き言を仰っても、こうやって……少し愛撫でされただけで興奮してしまうマゾヒストはとても都合がいいです」
「やぁっ……それ、だめぇっ……♡」
指先を軽く立て、胸を、腹を、つつーっとなぞる。左手は下腹部をぐるぐると慈しむように、右手は微かに隆起した乳首をさりげなく引っ掻いてイジメるように……
さすられた下腹部はじんわりと温かくなる。そのほのかに灯った火が、痺れるような快楽によって、さらに大きく燃え広げられる。
「うおぁ……♡ふぇ、フェルぅ……♡」
下腹部の奥がきゅんきゅんして、腹膜が勝手に収縮して、お尻の奥がぎゅぅっと締めつけられて、全部中心に集まって圧縮されているかのような感覚に悶え、目の前のフェルに甘えた声で助けを求めることしか出来なくなる。
なじられているのに、一方的に善がらされてしまっているのに、フェルが愛おしくてたまらなくなる。
「……こうも快楽に弱いと心配事もあります」
「もし、ご主人様が他の女に強引に言い寄られ、こうやってイジメられてしまって、種を搾られてしまったら……」
「あっあっあっ♡」
ぎゅっぎゅっぎゅっ、とリズミカルに下腹部を押し込まれる。精嚢や膀胱が物理的に刺激され、さらにきゅんきゅんと収縮が加速してしまう……
フェルはそんな僕のことをジトリと見下ろす。まるでやんちゃな子供を心配しつつ見守るような、そんな慈母のような表情……いや、無表情。
「……それは絶対にあってはならないことです」
「プログラム内容に『フェル専用エナジータンク化洗脳』を追加」
「な、なにそれぇ……」
ほんの少しだけ目を細めたかと思うと、『フェル専用エナジータンク化洗脳』という、異常な単語を口にする。
そう、とても悲惨で被虐的で甘美な結末になることがすぐに分かってしまう単語……恐怖と期待で心がパンパンに膨れ上がり、口からそんな声が漏れだす。
「ご安心ください、洗脳と言っても、ご主人様がフェルのことを大好きになるように絆すだけですので」
「ええ、フェルのことが好き好き大好きでたまらなくなって、ずっと抱きついて気持ちよく精液を放出するだけの存在になるだけです」
「ひっ……」
無機質な狂気が籠った囁きに中てられて、反射的に身をすくめてしまう。
フェルの好意は、無数の演算の末に果てしないほど膨れ上がってしまって……僕に少しの拒絶も許さない。
「いかがなさいました?」
「フェルとご主人様は、一緒に永遠を過ごす運命共同体ですよ?」
「ご主人様には、もっともっとフェルのことが好きになってもらわないと困ります」
「そ、その……」
首筋にぞわぞわとした悪寒が走る。重すぎる愛情に圧し潰されて、心が悲鳴を上げてしまっている。
ゾクゾクと、背筋を這い上がり脳をくすぐる感覚が、全身に広がって体が震える。
「もしかして、食料等の心配をしてらっしゃるのですか?」
「ご安心ください、フェルはご主人様の精液が原動力になりますし、ご主人様はフェル特製の体液で永遠に活動を続けることが可能です」
そんな僕の様子を見て、検討違いの返答をする。
この数日間、こんな風にフェルが僕の真意を取り間違えて返すことなんて無かった。
だから、その異常さが際立ってしまって……昨日までの『フェル』じゃないことが分かってしまう。
「ま……たしゅけ……」
歯車が狂ってしまったフェルは、このまま暴走して、本当に僕をエナジータンクにしてしまう。
そう、抱きしめられてひたすら精液を搾られ、唾液で栄養補給されて、そして興奮させるためになじって、また搾精して……そんな退廃的な結末。
ドロドロに溶けた理性を、快楽で砕けた足腰を、何とか持ち直して逃げようとするけど
「想像してみてください……フェル専用のエナジータンクとして永久に搾り取られる幸福を……」
そんな囁きで、意志を、簡単にかき消される。
全てを白く塗りつぶすようなキスを、腰の感覚を奪うほどの手つきを、脳を犯してピンク色に染めてしまう声を、思い出してしまう。
パチッパチッと頭の中でナニカが弾ける。首筋に微弱な電流が走って……体中を痺れさせる。
「恐怖指数、興奮指数、共に向上を確認」
「恐怖の緩和を図り、抱きしめ拘束を行います」
むぎゅっと抱きしめられる。
柔らかくて、ほのかに暖かい胸に顔を埋められる。
フェルの抱きしめる腕がじわりじわりと締め付けてきて、僕の頭はずぶずぶとフェルの胸に沈んでしまう。
「ぎゅーーー……」
頬も、耳も、ゆっくりと谷間に埋まっていく。そして柔らかな胸は顔を取り込むように密着してくる。
わずかに残った隙間から呼吸をすると、甘くて心地よい匂いが鼻腔に入り込む。匂いを吸い込む度に、抵抗する気力がすぅっと消えていって、その匂いがする胸の奥へと自ら頭をグリグリと押し付けてしまう。
「……とてもいい子です、ご主人様」
「そのまま、ゆったりと、体を楽にしてください」
フェルはそう言うと、僕の背中を抱きしめたままゆっくりとしゃがんで、床に押し倒した。
大きな身体にすっぽりと覆われてしまう。顔を谷間に挟まれ、背中を優しく抱かれ、下半身は折りたたまれた両脚の間に囚われる。
もう、逃げられない
押し倒されてしまった。
逆光で暗くなったフェルの顔が、僕の顔を捉えて離さない。
「失礼します」
その言葉と共に、抱き留めていた腕を放し、体を起こして、するりと服を脱ぐ。
まるで透過したかのような不思議な脱ぎ方。白黒の服がフェルの身体から離れ、白磁のように美しい肌があらわになる。
その関節部は機械仕掛けで、黒い歯車のような物がチラリと見える。人間と遜色ない見た目のフェルが、人じゃないとハッキリ分かる部分。
さらにロングスカートもパサリと脱ぎ捨てられ、華麗な裸体があらわになる。水が流れるような自然な曲線を描いた鼠蹊部、ツルっと窪んだおへそ、そこから三角状に狭まっていって、ぴっちりと閉じた割れ目にたどり着く。
「フェルの裸体はいかがでしょうか」
ドキリと心が跳ねる。だけど、あまりにも綺麗で、美しくて、目が離せない。
「メイド服を着ながらの行為と迷いましたが……」
「初めては、フェルの全てを見て頂きたいと思い、誠に勝手ながら脱衣することにいたしました」
フェルが何か言ってるけど、ろくに耳に入ってこない。
とても扇情的な体に視線が釘付けになってしまう。はしたないことをしているのに、そんな羞恥すら忘れてしまうほど欲情してしまって、今からアレに挿れるのだと思うと……
いや、アレに食べられてしまうと思うと、興奮で胸が張り裂けそうになる。
「……もう、フェルのおまんこに夢中ですか」
声が聞こえる。その声と共に、しなやかな指が鼠蹊部を水が流れるかのように這っていく。やがて、指先は頂上に辿り着き、割れ目に沿って二本指をぴっちりと合わせる。
そのまま徐々に指先を広げていって、割れ目をこじ開けていく。
「うぁ……♡」
機械的で滑らかなボディーとは真逆の、生物的でぐちゃぐちゃの中身。ピンク色で、ヒダヒダだらけで……精を搾り取るだけの器官。
その入口は糸を引いており、ぬちゃぁ……と涎を垂らして、餌を待っている化け物のようにも見えた。
「フェルも、このおまんこ……搾精器官を使うのは初めてですが」
「二度と忘れられないほどの、最高の快楽を約束いたします」
「え、まっ……うあああああっ♡」
いきなり、ずぶりと飲み込まれる。滑らかなボディーとは打って変わって、ナカはぐちゅぐちゅで突起物だらけだった。
ナニがぴっちりと閉じた膣を押し入る度に、尿道や亀頭をぞりゅっと擦りあげ、痺れるような快楽に喘がされてしまう。
ゆっくり、ゆっくりとこじ開けるように、挿入っていってしまう。
「ぉお……うぁぁ……ま、まってぇ……うぐぅ……♡」
あまりの快楽に喘がされ、まだ挿入してる途中なのに精液がこみ上げてきて
びゅるっ……♡
びゅるるるるるっ♡
びゅー……♡
射精してしまう。タマの中身を全て出し切るような種付け射精。だけれども、その先は貪欲な胃袋であって
じゅる……
ぶちゅるっ……
じゅるじゅる……♡
餌を一滴残らず吸い出そうと、咀嚼されてしまう。亀頭を揉みつぶし、裏筋をヒダヒダで擦りあげて、尿道に残った精液を出させてくる。
「やぁ……でてる、でてるからぁ……♡」
絶頂中の容赦ない責めに制止の声を上げるけど、フェルはジッと見つめながら、冷酷にゆっくりと腰を下していく。
無表情のまま、快感で悶える様をじっくりと観察されて、羞恥で頭が熱くなると共に、ゾクゾクとした感覚が背中を走る。
「精液を搾り取ることに特化したフェルのおまんこはいかがでしょうか?」
「そ、それはぁ……♡」
「……その蕩けたお顔を見れば、答えなくとも分かります」
「うぅぅ……♡」
「ですが、まだ素直になりきっていませんね」
「射精直後とはいえ、大好きなフェルのおまんこを拒否するなんて、あり得ませんので」
ぱちゅんっ
突然、腰を打ち付けられる。ぴちっと閉じていたナカを無理やりこじ開けてしまって、肉ブラシで全部擦りあげられてしまう。
全方向から余すところなく快感を与えられ、耐え切れずビクビクと震えてしまって自ら肉の渦に飲み込まれてしまって……
「や、やぁああああ♡♡」
どぴゅっ
ぴゅるるるるるっ
びゅるるる……♡
勢いよく、精液を放ってしまう。輸精管を精液が通る度に、頭を真っ白に塗りつぶすほどの快楽に襲われてしまって、視界がチカチカと点滅する。
どぴゅる、と前立腺と尿道を内側から擦りあげながら精液が駆け上り、腰の奥が快感でいっぱいになって、痙攣してしまう。
「二度目の射精を確認」
「このままピストン運動に移行し、連続射精による抵抗力の低下を図るとともに、フェルに屈服射精するのが大好きな専用マゾヒストへと調教いたします」
ぱちゅんっ
その震える下半身を無理やり抑えつけるように、腰を打ち付けられる。体重を思いきりぶつけるプレス。それを柔らかな尻肉が受け止め、むぎゅぅ……と僕の腰の上で圧し潰されて、高い音を奏でる。
それと同時に、ナカで竿をぞりぞりと擦りあげられ、イボイボがカリ首にぷちゅぷちゅと引っかかり……すぐにこみ上げてしまう。
絶頂直後の射精感という体験したことのない感覚に、本能的な恐怖を覚え、何とかお尻に力を入れて我慢しようとするが
ぱちゅんっ、ぱちゅんっ、ぱちゅんっ♡
大きなお尻による無慈悲なプレスが腰の奥に響き、欲望をせき止めている筋肉を、じわりじわりとほぐされ……
びゅるるっ
びゅるるるるるっ♡
腰を突き上げて射精してしまう。中身を全て捧げるように、お尻の奥をきゅぅぅっと締めて絞り出す。
「じぃー……」
ぱちゅんっ、ぱちゅんっ、ぱちゅんっ♡
それでもフェルはプレスをやめない。
真っ直ぐ顔を見つめながら、僕に快楽の楔を深く深く突き刺すように、力強く、ぱちゅんっと腰を打ち付ける。
淡々と、事務的に、容赦なく。
「お……うぁぁ……うぐぐぅ……♡」
ぴゅるっ♡
びゅるるる……♡
射精するごとに、脳が白く染め上げられ、まともな思考が出来なくなっていく。
恐怖も、理性も、全部快楽という真っ白に塗りつぶされて……頭の中が白黒に点滅する。
ぱちゅっぱちゅっぱちゅっ♡
びゅるるるるるっ♡
びゅるる……♡
速くなる。精液を搾り取って……僕の頭を快楽で染め上げる、容赦のないピストン運動。
ずっしりとしたお尻に腰を押し潰されて、ナカでは無数のヒダヒダが生き物のように絡みついて、弱点を的確に擦りあげる。
ぱちゅんっ♡ぱちゅっ♡ぱちゅっ♡
「うぁっ♡うぐっ……うぅぅっ……」
もうとっくに限界を超えているはずなのに、精液は奥から際限なくこみ上げてきて、そんな身体の異常に本能的な恐怖が呼び覚まされる。
これ以上は、もう、おかしくなる……だから、必死に身体に力を入れて、目をつむって快楽に耐えようとする。だが
「ご主人様、目を開けてください」
「フェルのお顔をご覧になってください」
「ご主人様を犯している、フェルの顔をメモリーにしっかり書き込んでください」
懇願するような声色。だけど、その圧力は懇願の域を超えて脅迫に近く、砂の城のような脆さと崖っぷちにいるような危うさを感じさせられる。
目をうっすらと開くと……眼前に広がるフェルの顔。皴一つなく、つやつやで、そのアメシストのような瞳は、真っ直ぐ、じぃーっと、瞬き一つせずに見つめていた。
フェルは僕を捉えて離さない。
「そうです、そのまま」
ぱちゅっぱちゅっ♡
「この顔と快楽を脳に刻み込んでください」
ぱちゅんっぱちゅんっ♡
びゅるっ、びゅるるる♡
「この顔に見つめられるだけで、素直になって、エッチなことしか考えられなくなるよう」
ぱちゅっぱちゅっぱちゅっぱちゅっ♡
びゅるるるる♡
「ご主人様の脳に、永遠に残る痕を焼き付かせます」
「快楽で痕を焼き付け、フェルの顔を見るだけでこの搾精を思い出し、身と心を震わせるように……壊します」
「心に、脳に、記憶に、フェルのことを深く刻んで、ズタズタにして、フェルだけの、フェルの、ご主人様になってください」
ぱちゅんっ♡ぱちゅんっ♡
びゅるっ、びゅるるるっ……♡
「おっ♡うぁっ♡やぁっ♡もう……しんじゃっ♡」
おかしくなる。腰をひたすら打ち付けられて、延々と射精させられて、中身を全て搾り取られてしまう。
記憶も、言葉も、理性も、全部フェルに吸い取られ、空っぽになったところをフェルの異常な感情で埋め尽くされる。
身も心もを圧し潰され、フェル好みの形に成形される。おっきなお尻で下半身をプレスされ、ヒダが詰め込まれたナカでナニを締めつけられ、異常な執着で心を圧し潰されて、矯正されてしまう。
容赦なく、力技で、フェル好みの『ご主人様』に調教されてしまう……♡
ぱちゅんっっ♡♡
「うぉぁっ♡」
びゅーっ♡
びゅるるるっ♡
びゅるるるるるっ♡
一際強く腰を打ち付けられ、喉の奥から嬌声が溢れ、快楽に腰を震わせる。
あまりにも気持ちよくて、力を籠めないとと体がバラバラになりそうで、背筋をピンと反らして腰を突きだそうとするが、フェルのずっしりとしたお尻にグリグリと抑えつけられる。
快楽を逃がすことも許されず、むしろ腰を突き出したせいで最奥に亀頭が届いてしまい、子宮口にぶちゅりとキスをされる。
「……」
「うっ♡も、もうだめぇ……♡もうやめてぇ……♡」
逃げることが出来ない快楽天国。どう悶えても、どう抵抗しても、簡単に抑えつけられて精液を搾られてしまう。
だから、こうやってフェルにお願いしなきゃ、どいてもらわなきゃ、この天国からは抜け出すことが出来なくて……
だけど、フェルはじぃっと無表情で見つめながら、グリグリと腰をグラインドさせてくる。早く出せ、精液を出せ……そんな催促をするように、淡々と。
あのフェルに、見下ろされて、一方的に搾り取られている事実に、被虐的な興奮が湧き上がってきてしまって、あの『エナジータンク化調教』という言葉が脳裏をよぎって、本当にフェルの動力源として無慈悲に搾精され続ける運命を想像しちゃって……
「おぁっ♡やだっ♡やぁだっ♡」
快楽の奔流に飲み込まれないようにもがくものの、フェルによってズタズタにされた脳では、駄々をこねるような言葉しか紡げない。
もう決まった運命だと分かりつつも、こんな、お尻に敷かれておかしくなる快楽に漬けられる一生なんて……♡もう、いやだ♡いやだ♡そんなのいやだ♡
フェルに搾り取られて気持ちいいエナジータンクになりたくないっ♡こんな終わりやだっ、やなのに、気持ちよくなって……♡
「……イけ」
主従が逆転した。
突然の命令。その強い口調……フェルの口から聞いたこともない言葉で命令されてしまって、脳の奥に焼き切れるほどの電流が流れてしまう。
あまりにも強い信号は脊髄さえも痙攣させて、その震えは全身を巡り、我慢しようにも土台ごと震えてしまってるからどうしようもなくて……脳が焼ける感覚と共に、腰の奥か震えて
「や、やぁああああぁ♡♡」
びゅーっ♡
びゅーーっっ♡
びゅるるっっ♡♡
止まらない。止めようがない。精液が尿道を擦る度に強い快楽が走る。脳をバチバチと弾けさせ、焼き切ってしまう。
フェルに付けられた焼き痕は、イってる最中もじくじくと脳を快楽で侵し、壊し、確実に狂わせる。
フェルに屈服することが気持ちいい……♡命令されちゃうのも気持ちいい……♡エナジータンクになりたい……♡もっと搾られたい……♡
そんな破滅的な願望で埋め尽くされる。人としては元に戻れないくらい、徹底的にメモリを書き換えられてしまう。
「過度の快楽と強い言葉によるトラウマ化に成功」
「もう、これがクセになってしまって、まともな性行為で満足することは出来なくなりました」
淡々と事実を告げられる。フェル無しではとても生きていけない身体に調教されてしまったことを。
「うぁぁあ……♡やぁぁ……♡」
「ご主人様は、永久に、精液を搾られるエナジータンクにされてしまうのです」
「性欲を満たすために、自ら、望んで」
もう戻れない。後に戻れない。
そこまで壊されてしまった事実に震えてしまう。後戻りの出来ない恐怖と、フェルに壊された背徳的な快感で……体が暗い悦びで痙攣してしまう。
「た、たしゅけてぇ……♡ふぇるぅ……♡」
前も後ろも分からなくなる。どっちが進みたい向きなのか、何から逃げたいのか、ただ分かるのはフェルが全身を包み込んでいること。
どうすればいいか分からない、気持ち良さでどうにかなりそうでフェルに、フェルにたすけてほしい……♡もっと、たすけて……♡
「……とてもいい傾向です」
「錯乱状態でフェルに頼る、例えフェルがそうした張本人であってもフェルに頼ってしまう」
「これ以上になく、素直なご主人様になってきています」
「ええ、そうです、こうあるべきです」
「ご主人様はずっとフェルだけを頼ってメチャクチャにされてフェルに可愛らしいお声で助けを求めてぐちゃぐちゃにされてその愛おしいお顔を見せ続けるべきです」
「うあぁ……♡」
フェルに早口でまくし立てられる。変わらない表情の内側に秘められていた感情が溢れ出し、独善的で情熱的な言葉を浴びせられる。
この、焼け溶けた鉄のように熱く重くねっとりとした感情は、僕の心を蝕んで……中毒にしてしまう。
心の器が受け入れきれずに悲鳴をあげるこの感覚が、心臓をきゅぅっと締め付けるほどの感情が、クセになってしまって……♡
「もっと、もっとご主人様を調教しないといけません」
「フェル専用エナジータンクになるよう、しっかりと壊さないといけません」
フェルはそう言うと、自らの背中に手を回し、ずるりとナニカを抜き出す。ホースのような細長い器官を手に持ち、見せつける。
「そ、それなぁに……」
フェルの腰から出てきた管は陶器のような白肌と漆黒の関節部が交互に規則正しく並んでいて、するりと長く……
先っぽは不可思議な突起状になっていた。どこかに無理やり嵌め込むような、そんな形状。でも、あの太さの物を入れるとしたら、それは口か……
お尻がキュッと締まる。
わかった、わかってしまった……♡
あれで、お尻の奥にある、この快感を溜め込む器官を直接ごりぃっと抉って……僕をメチャクチャにする気なんだ……♡
内側からも僕の抉って、侵して……♡やだ……♡そんなのこわい……♡
「この尻尾のような器官は、管を通じてフェルの内部の奥深くへと通じています」
「先っぽは可変式になっており……お察しの通り、今回のこの形状はご主人様のお尻の深くにある前立腺を抉るために特化しております」
「よーくご覧ください……前立腺をごりごりとご主人様の尊厳ごと削って、壊して、無くしてしまう悪魔のような形をしていますね」
微かにフェルの口が歪んだ気がした。
「しかも、この器官はフェルが許可しない限り、絶対に取り外せないようになっております」
「つまり、これをご主人様に挿入してしまえば……」
「もう、フェルからは離れられません」
「昨晩のようにフェルの奉仕を拒否しようとしたら、お尻の中のコレがむぎゅっと前立腺を押しつぶし、たちまち腰砕けになってしまいます」
「さらに、フェル特製の特濃媚薬がナカにびゅーびゅーと注ぎ込まれ、絶対に収まらない性的興奮を得てしまって、中毒……いえ、半ば廃人になってしまいます」
「フェルに定期的にお尻を弄られないと満足できず、腰をくねらせておねだりをしてしまう……そんなフェル専用のマゾご主人様に堕ちてしまいます」
恐ろしい口調で脅してくる。コレを挿れられたらどんな目に合うのか、ナニをされるのか、どんな結末が待っているのか……誇張なのか事実なのかは分からないが、おどろおどろしく伝えられる。
だけど、壊れた心が送り出す感情は怖れではなく……とてつもない期待。興奮。幸福。
フェルの愛情で粉々にすり潰されてしまった心は、さらに激しい圧縮を求めてしまう。恐ろしい口上の一つ一つが素晴らしい結末を示唆しているようにしか思えなくなって……
「ふぇ、ふぇるぅ……♡」
「なんでしょうかご主人様、今さらイヤイヤしても絶対に逃れられませんし――」
「しゅ、しゅき……♡」
口から勝手に言葉が漏れ出す。
フェルに快楽で焼かれた脳では、まともに理性が働くわけもなく、素直な言葉が溢れる。
フェルのことがすき、好き、大好き……♡
この快楽調教で植え付けられた恋心なのか、はたまた元から持っていた恋心なのかは定かではないが……フェルへの好意が溢れる。
「だ、だいしゅき、ふぇるすき……♡」
「……ご主人様、いけません」
「しゅき……♡」
「……ご主人様」
一方的に告白してしまう。勝手に漏れ出る、うわ言のような告白。
でも、フェルは僕のことを呼ぶだけで……悲しくなる。強すぎる圧迫を、おかしくなるぐらいの快楽が欲しいのに……
フェルからの愛情がたっぷりほしいのに……♡
「ふぇ、ふぇるも……しゅきって言って……♡」
とても独善的な好意。愛に圧し潰される快感がほしくてひどいことをしてほしくて……♡
がんばって告白してるのに、もっと、フェルも僕をメチャクチャに……
バチっと一際大きな音が聞こえた。
快楽の渦の中に巻き込まれ、夢うつつになっていた状態から少しだけ我に返る。
今の音はフェルの方から聞こえたような……
「……しゅき」
「……へ?」
ジッと固まっていたフェルが口を開く。
その端正な口から漏れ出した言葉は、冷静で、クールな表情とは似ても似つかない言葉で……
「しゅきしゅき愛してますご主人様ですけれども回路を頻繁にショートさせて演算装置をすべてオーバーヒートさせる可愛いお口は早急に塞がないといけません」
「ええ、こんな愛おしくてフェルの思考回路を何回も何回もショートさせる悪いご主人様は徹底的に調教いえ、早急に同化させる必要があります」
「フェル内蔵エナジータンクとして永遠にくっついて、その中身を全て共有し、フェルへの好意を全て公開する義務があります」
「そして、しゅきしゅきだいしゅきなご主人様はその口からしゅきしゅきフェルだいしゅきとしか言えないようにぐちゃぐちゃにするのが必然です」
「フェルにとっての最優先事項です、フェルしゅきしゅき内蔵型ご主人様に加工いたしますご主人様」
言葉の奔流に飲み込まれる。
フェルが内側に押し込めていた感情が、愛情が、執着が、堰を切ったかのように流れ出る。
独善的な欲望まみれで……大好きな僕を加工してしまおう、フェルへの好意しか表せられないように閉じ込めてしまおう、そんな恐ろしい計画を暴露されてしまう。
とても恐ろしい……♡僕をメチャクチャにして快楽でぐちゃぐちゃにしてしまって……♡もう、フェルしか感じられなくなって……♡
「ま、まっ……おぉぉっっ♡♡」
「待ちません」
本能が恐怖を感じて制止の声をあげようとした瞬間、ずぶりとお尻に挿入される。
にゅるんと侵入したソレは、お尻の奥の気持ちいいところをぎゅぅっと握りつぶす。快楽の貯まった球のような器官が抱き潰されて、弾け出す。
体に電撃が走り回り、筋肉が勝手に収縮して、息が吸えなくなる。あまりに強い信号に脳が、焼き切れるほど、真っ白になってぇ……♡
「フェルの尻尾を深く、二度と抜けないほど深く挿入いたしました」
「内側からごりっ……ごりっ……っと前立腺を抉り、射精機能の促進および激しいオーガズムへと導きます」
「さらに、フェル特製の特濃媚薬を直腸から吸収させることで、ご主人様の体でも連続大量射精が可能になるようにいたします」
フェルの尻尾がお尻の中で蠢く。ごりっごりっと気持ちいいところを押しのけながら、徐々に膨張していく。
さらに、ドクドクと脈動して……その先っぽに液体が充填されていくのを感じてしまう。
これが今から僕の中に……♡
「準備が整いました、ご主人様のお尻にびゅーびゅーと中出しして、内側から射精機能をぶっ壊します」
「こ、こわさないでぇ……♡」
「そんなこと言いつつも、お尻できゅぅっとフェルの尻尾を締め付けて離さない時点で、形だけのイヤイヤということは明確ですね」
「フェルが待ちきれませんので出しますね、3、2、1……」
「や、やめぇええええええ♡♡」
どぷっ♡どぷっ♡どぷっ♡
「はい、びゅー、びゅるるるる……」
ドロリとした液体がナカに注ぎ込まれる。僕を壊すその媚薬はじんわりと染み入って、熱くなって……
ドクンッと体が跳ねる。お尻の奥の気持ちいいところが快楽でパンパンに張ってしまって、内側から体を気持ちよく圧し潰されるような感覚に悶えることしか出来なくなる。
快楽の塊で体のナカがいっぱいになってしまって……♡
「お、おぉっ♡」
「あー、とっても可愛いですご主人様、もっとしゅきしゅき言ってください」
「ひゃ……♡まっ……うぉおっ♡♡」
「ご主人様、しゅきしゅき言ってくださらないのですか?」
「しゅ、しゅううあっ♡♡っはぁあああ♡♡」
フェルにおねだりされたように、喉から好意を振り絞ろうとするけど、前立腺や精嚢をひと際強く抉られ、快感で全身が収縮してしまう。
口から嬌声しか出せない、出させてくれない。そんな様子をじぃーっと無機質な瞳で見つめられ、被虐的な興奮が膨れ上がる。
「ご主人様はフェルの純情を弄びました、罰を与えます」
壊れたフェルは僕のことを慮ってくれない。僕の意思を無視して、蔑ろにして、一方的にもてあそぶ。
理不尽に怒りながら、僕を気持ちよくして壊すための口実を、ひたすら探して……♡
「演算の結果、『ラバースーツ抱き込み監禁快楽拷問』が一番妥当な処分と判断」
「拘束を行います」
また聞きなれない単語。ラバースーツ?監禁?快楽拷問?
ナニされるか分からない、こわい、ホントに、フェルは、僕を壊しちゃって……♡
快楽で壊して、バラバラにして、ずっと弄ぶ気なんだ……♡こわい……♡
「しっかり掴まってください、ご主人様」
その声と共にぎゅっと抱きしめられ、持ち上げられる。
いわゆる『だっこ』の状態。でも、普通のだっことは違って、ナニは蜜壺に飲み込まれたままで、お尻には尻尾を刺し込まれていて、さらにフェルのおっぱいに顔を挟まれてしまっていて……
「では、『表皮』の分泌を開始します」
ぶちゅる……
突然、生暖かい感覚が背中に伝わる。
プルプルで、ヌルヌルで、蠢いていって、徐々に背中を這ってお尻や脚、肩にも暖かい感覚が伝わっていく。
「ひゃぁっ♡や、ひぅっ……♡うぅぅっ♡♡」
まるで別の生き物に全身を取り込まれてしまっているような感覚。それに伴うくすぐったい感覚に嬌声を上げて体を震わせることしか出来ない。
フェルの谷間に顔を押し付けて、ぶるぶると快感に体を震わせて……♡機械の肌のはずなのに、脳を蕩けさせるような匂いがする谷間で精一杯呼吸をしながら……♡
「拘束が完了しました、ご主人様」
「え、な、なにこれぇ……!?」
フェルの声によって、惚けていた脳が覚醒するが……認識したのは非情な現実。
ぴっちりとした『表皮』がフェルの体ごと僕を覆いこんでいて、身じろぎ一つ取れなくなってしまっていた。
フェルのすべすべの肌に磔にされ、薄い牢獄の中に閉じ込められてしまって……
「スライム種のショゴスの特性を模倣した、フェルの表皮はいかがでしょうか?」
「魔力量によって特性が変化し、ゲル状の形態から……今のような薄くて丈夫な被膜にもなります」
「うぁ……♡」
ゆさゆさと揺さぶられる。絹のように滑らかな肌の感触が伝わり、言いようのない心地良さで全身が甘く縛られてしまう。
唯一、頭だけが被膜から解放されているが……豊満な胸に視界を阻まれ、フェルの顔を見上げることしか出来ない。
水面から顔を出す魚のように……みっともなく、口を開けて……フェルから与えられる愛に溺れることしか……♡
「今、ご主人様は、フェルの素肌と表皮の間にぴっちりと閉じ込められてしまいました」
「フェルとぴったり密着して、身じろぎ一つできない状況です」
「もはや、同化と言っても過言ではありません」
「ご主人様はフェルに、取り込まれてしまいました」
「自力での脱出は不可能です」
フェルの淡々とした声色が耳の奥に響く。
その言葉の一つ一つが、逃がす気なんて全くないと言外に伝えてきて、右脳がくすぐったくなる。
ゾクゾクと、破滅的で甘美すぎる結末に怖れるように、頭から首筋にかけて電流が這い巡る。
「このまま、永久に、フェルの内蔵エナジータンクとして生き続けるのです」
「いかがでしょうか、ご主人様?」
ピチピチスーツがきゅぅぅ……っと、圧縮するように締め付けてきて、その圧迫感で安心感のようなモノが伝わる。
肌と肌がより一層くっついて、そのままゆっくりとぺちゃんこにされて、その境界線が分からなくなるような不思議な安心感が……♡
ちがう……♡取り込まれて……フェルのパーツにされちゃってるんだ……♡メスのカマキリが番を食べるように僕を取り込んで……♡
「だ、だめ……♡♡たすけてぇ……♡♡」
一緒になりたい……♡でも、こわい……こわいから、たすけてほしい……♡
たすけてフェル……♡だいしゅきだからもっと僕をおしつぶして……♡
同化へ恐怖を和らげるためにフェルに愛情の圧し潰しを求めてしまって、本能的に逃避的な言葉を出してしまう。
それが、感情を爆発させるのには十分すぎるなんて……とっくに分かっていたのに
「……逃避行動を確認」
「や、ちがっ……ちがうぅぅっ♡♡」
バチバチっと白い電流が頭の中で弾ける。
粗い肉ブラシの渦に飲み込まれ、ぞりゅぞりゅと、カリ首や裏筋といった敏感なところを素早く擦りあげられて、許容量を超えた快楽が送り込まれる。
大きく膨張した竿が包み込まれて激しくもみ洗いされてしまって、抗いようのない射精感がこみ上げてきて……
びゅるるるっ♡
びゅるるるるるっ♡
すでに何度も何度も精を搾り取られたせいか、壊れた蛇口のようにびゅるびゅると放出してしまう。
腰が勝手に痙攣してしまうほどの快楽……♡逃げたい、気持ち良すぎて逃げたい……そう思って腰を引こうにも、ぴっちりとした表皮に包み込まれて固定されているから逃げることなんて出来るわけもなくて……
「あっ♡ひゃぁあっ♡や、なにこれぇっ♡」
「フェルはオートマトンですので、通常の生物では不可能な膣の回転運動も可能です」
「つまり、このようにフェルのおまんこに密着固定された状態でも効率的に精液を、びゅー、びゅー、と搾り取ることが出来るということです」
「やっ♡しゃせぇっ……♡とまらっ……♡」
射精している間も貪欲な咀嚼は止まらない。淡々と説明されつつ、顔をジッと覗き込まれて、ナカで肉棒をかき混ぜられる。
知覚の限界を超える速度で擦りあげられつつ、乳搾りするかのように竿の根元から先端に向けてぎゅうぅ……と圧迫され、裏筋を丁寧に舐るような刺激で射精を促進させられて……
まるで無数の生き物に巻き付かれ、我先に精液を奪い合っているかのような、そんな貪欲すぎる搾精運動に抗うことも出来ずに、延々と精を吐き出してしまう。
びゅーっ♡
びゅるるるるるっ♡
びゅる……♡
びゅ……♡
「射精運動の減衰を確認……」
「おっ……♡はぁ……♡」
長い長い射精がようやく収まってきて、体が心地よい疲労感に包まれる。
「ですが、精嚢に精子を隠し持っていますね」
「どうして全てフェルに捧げて頂けないでしょうか?」
「精液の最後の一滴も、この可愛い表情も、愛おしいほど柔らかな身体も、全部、全部フェルの物のはずです」
「フェルとご主人様は一心同体で同一の存在ですので、全部フェルが没収いたします、そして管理して差し上げます」
「それがご主人様の幸福です」
「うぁ……♡」
また、フェルの暴走した愛情の波に飲み込まれてしまう。
このひどい独占欲に満たされた狂った囁きを聞いているだけで、僕もおかしくなるほどフェルを求めることしか考えられなくなって……
ぐりぃっ♡
「おぉあっっ♡」
突然、お尻の中のモノが気持ちいいところをぐりぃっと抉る。
それによって、先ほどの暴力的で一方的な快楽がフラッシュバックしてしまって……期待で体が震える。
「フェルの尻尾による前立腺マッサージはいかがでしょうか?
「このまま吐精措置を行います、隠し持っている精液は一滴残らず没収します」
「きゅぅっと締めて存分に漏らしてください」
「やっ……♡やぁぁっ♡♡」
無慈悲な搾精宣告。このままだと精液どころか、『僕』ごと没収されちゃう……♡
身体をくねらせてささやかな抵抗をするけど、却ってお尻の中のかき混ぜられ、飲み込まれているナニもイボイボに擦りあげられてしまって、気持ち良さで真っ白に塗りつぶされてしまう。
反射的にキュッとお尻に力を入れてしまうが……そのせいで体のナカがパンパンに張りつめるような感じがしてきて……
「お尻をきゅぅっと締めて、射精を我慢しても無駄です」
「むしろ、余計に前立腺をぐりぃっとイジメられて、より射精を……大きなオーガズムの兆候を確認」
「こ、これっ♡へんっ♡いままでとちがぅぅっ♡♡」
射精の開放感とは逆のような……圧縮感。
きゅぅぅ……と前立腺がパンパンに張りつめて、お腹の下が、胸の奥がくすぐったくも中心に集まっていくような不思議な感覚で……
ナニカが来る、と予感することしかできない。
「腰やお腹の奥がキュンキュンと締まって、全身がこわばって、震えているのが分かりますか?」
「やぁっ……♡きょわぃ……♡」
全身の筋肉が異常に硬直して、身体を圧し潰すような、圧縮するような感覚。
快楽の塊が徐々に腰の奥に溜まっていって、それがカチカチに圧縮されて、体に快楽の波が反響する。
キーン……と静かに反響して、全身に微弱な電流が流れる。嵐の前の静けさのような、奇妙な安堵と恐怖に囚われる。
知らない感覚、全身をバチバチを弾けさせる快楽とはまた違った……オスとしての本能が恐怖するような感覚。
「きょわがらないでください」
「本来であれば射精を伴った長時間のオーガズムは迎えることは出来ませんが……」
「フェル特製の媚薬の効果により、射精しても性感が衰えることがなくなったため、このような現象が発生していると思われます」
「それゆえ、射精しつつもメスイキ特有の連続絶頂を体感することが可能です」
「フェルに身を委ね、安心してイキ狂ってください……」
「うぉ……♡やぁ……♡」
「抵抗は無駄です」
「フェルに情けない顔を見せながら……全身を震わせて……」
上からジッと目を合わされる。無機質ながらも紫色に妖しく光る瞳に覗き込まれる。
自分を支配する、全て管理してくれる大好きなフェルの顔を見せつけられて、ゾクゾクとした屈服感がこみ上げる。
それがトリガーとなって……緊張しきった体の限界が、くる、くるっ♡きちゃうっ♡
痙攣が激しくなって、抑えつけられなくなって、フェルの微かに口元が三日月に歪んで……
「……イけ♡」
その短い言葉で、叩き割られる。
我慢を、理性を、自分が、膨大な快楽を支え切れなくなって、粉々に砕けて崩れてしまう。
「ぅぁっっ♡♡♡」
くる、くるっ♡きちゃうっ♡
きゅんきゅんと前立腺が締めあげられて、腹部の底がズーン……と中心に集まってきて、おかしくなる……♡
もう、だめ、だめぇっ♡たすけ
「ーーっっ♡♡」
弾ける。
真っ白い快楽で頭の中を塗りつぶされ、緊張が一気に解かれる。
気持ちいい波が体中を反響して、至る所で共鳴して、快感が増幅されていく。
細胞の一つ一つが、不規則で、不定期的に、ビクンと快楽に震えてしまって、その度に脳内が幸福で埋め尽くされる。
どくっどくっどくっ♡
射精も止まらない。
気持ちよくて、止められなくて、勝手に脈動して漏れ出てしまう。
全身が性感帯のように敏感になってしまった今では、体をぴっちり包んでいる表皮と少し擦れるだけでも、亀頭をザラザラの生地で擦ったかのような痺れる快感に襲われてしまって……♡
「っか……♡っはぁ……♡」
快楽に全身を震わせている間も、トーントーン……とお尻と腰の境目を軽く叩いて、腰の奥へと響かせる。
その振動が尾骨から脊髄に伝わって、快楽の波が、さらに増幅されて脳に伝わって、視界が白く焼き切れる。
肺から空気を吐き出すことしか出来ない。
でも、ツラさは全くない。それどころか、より深い快楽を心の底から求めるようになってしまって……自ら体をよじって、少しでも快楽を貪ろうとしてしまう。
肌からピリピリとした快楽が伝わって……腰を震わしてフェルの搾精器官のより深くへと肉棒を押し込んで、一滴でも多く精液を絞り出して……もっと気持ちよく……♡
「あー、フェルにメチャクチャにされてビクビクと震えているご主人様だいしゅきです、これは危険物です、フェルの中で封印すべきです」
「早速、『フェルしゅきしゅき内蔵型エナジータンクご主人様加工調教』の仕上げに移りましょう」
ぎゅっと抱き上げられる。
「仕上げとして、改めて認証登録をいたします」
「ぅ……ま、また、きしゅ……♡」
認証登録、その言葉を聞くだけで昨晩の記憶がよみがえる。
あのキスをもう一度してくれる……そう思うだけでドクンと心臓が脈打つ。
動悸が激しくなって……たまらない、はやく、キスしてほしい……♡
「そう、きしゅします」
「……ですが、昨晩のソレとは違って、フェル専用エナジータンクとしての認証登録です」
「ぇ、ぁぁ……♡」
「フェルを構成する大切なパーツの一部として、ご主人様を登録してしまいます」
「奉仕すべき大切なご主人様から、フェルの気が赴くままに搾り取られるエナジータンクへと……」
「ご主人様の中枢回路にも、これからの所有者となるフェルの全てを刻み込みます」
「フェルのこの長い舌に触れてしまえば最後、認証登録を開始してしまいます」
チロリと唇から舌がはみ出る。とても蠱惑的な仕草で、愛おしいフェルにさらに恋をしてしまう。
恐ろしいことを言ってる気がしたけど、完全に蕩け切った脳ではどれもこれも素晴らしい誘い文句にしか聞こえなくて……もはや選択肢は一つしかなかった。
「では……どうぞ、ご主人様」
はしたなく口を開けて、舌をながーく突き出してくる。
ピンク色で、肉厚で……口内に侵入して魂ごと啜り取られるような、そんなディープキスをしてくる、あの舌がチロチロと獲物が近寄るのを待っている……♡
快楽で焼き切られた脳では、ひな鳥のように本能に従って愛を求めることしか考えられなくなって、僕もみっともなく舌を突き出して……
ちろ……♡
触れた。生暖かい舌に触れて、フェルとの信号が繋がってしまって……
じゅる……♡
絡め取られる。
僕の舌を辿って、巻き付いてきて、そのまま口の中への侵入を許してしまう。
ちゅう……♡
じゅぷっ……♡
舌がずるずると入り込んで、粘り気のある唾液を流し込まれる。
頭の中で唾液が絡み合う音が響き、舌同士が絡み合う感覚でバチバチと火花が散る。
フェルと繋がっている。
全身隙間なく密着している。お尻の中も、口の中も、ナニも、隙間なく同化してしまった。
その同化した所からは、絶え間なく快感信号が送られてきて、脊髄から脳を熔けさせるほどの電流が流れ込む。
バチバチ……と頭の中が常に弾ける。脊髄が勝手に痙攣して、悦びで、体が震える。
首が、腰が、お腹が、お尻が、脚が、全身が、全部気持ち良くて、ドロドロに溶けてしまっているようで……
これがフェルの一部になるということ
暴力的な快感で『僕』がゆっくりとぺちゃんこにされて、フェルに吸収されちゃう……♡
まともな自我すら保てなくなって、フェルから送られる快楽信号に応じて体を震わせるだけのパーツに……♡
頭の片隅に残っていた理性が、やだっやだっ、と駄々をこねて微かに抵抗するけど
じゅるるっ……♡
じゅぞぞぞぞ♡♡
吸われる。
舌を吸われて、自我を、理性を、抵抗の意思を吸い付くされていってしまって、頭の中が桃色の感情で埋め尽くされる。
ちゅうぅぅ……♡
びゅるるるるるっ♡
こりっこりっ♡
すりすり……♡
舌を深く深く吸われると頭の中で閃光がバチバチと弾けてしまって、その快楽信号が脊髄を通って全身を震わせながら腰に到達して、ナカでひたすら磨き上げられているナニに繋がって、びゅるびゅると射精してしまって、それと共にお尻の中の尻尾がコリコリと前立腺を抉って、下腹部の奥にある快楽の球をパンパンに腫れさせてしまって、その気持ちよさから逃れようと身をよじってしまうとサラサラの表皮とスベスベの肌と擦れてしまってビリビリと痙攣してしまうような瞬発的な快感に襲われて、許容量を超えた快楽が身体に溜まってしまってそれを放電するための大きな絶頂が……またっ、くるっ、きちゃうっ♡
こんなのっ……何回もされたらっもうホントにフェルのエナジータンクになっちゃうっ♡なりたいっ♡はやく、つぶしてっ♡僕の脳をこわしてっ♡フェルでいっぱいにっ♡あっ……♡
ーーっっ♡
……♡♡
…
…
-------------------------------------------------------
…
……
心地よい……
全身があったかくて、気持ち良くて、安心する……
ゆっくり、ゆっくりと思考がまどろみから覚めていって、今は……なにをしていたんだっけ……?
徐々に感覚が呼び覚まされて、横になっていることに気がついて、瞼をゆっくりと開けると
「お目覚めになりましたか、ご主人様」
とても綺麗で、美しい無表情が、こちらを覗き込んでいた。
突然のことに驚き、体をビクリと震わせると共に、記憶がよみがえる。
フェルに欲望がバレて、抱きしめられ、エナジータンクに調教されて、表皮の中に閉じ込められて、快楽で壊されてしまったことを……
でも、今は拘束が解かれていて、いわゆる膝枕の体勢で寝ていた。
「とてもお疲れ様のようでしたので、安眠機能を使用いたしました」
フェルは何事もなかったかのようにそう言う。
表情を一切変えずに、淡々と。記憶の中のような激しい情愛は垣間見えない。
僕の思考も普段通り明確で、後遺症なんてまるでないように思える。
じゃあ……あれは夢?
そんな考えが思いつく。
確かに、非日常的すぎて、とても現実とは思えないほどの行為。
だから、それを確かめるために口を開くけど
「その、フェル……ぅ……♡」
「いかがいたしました?ご主人様」
『フェル』という名前を口にした途端、心が跳ねてしまう。
あの快楽が、調教が、潰れてしまうような愛情がフラッシュバックしてしまって、頭がかぁっと熱くなる。
熱の中に突然放り込まれて、視界がもう愛おしいフェル以外見えなくなってしまって……
「うぁ……♡す、好き……♡」
純粋な好意の言葉が溢れてしまう。心の底から好きという感情に埋め尽くされて、気持ちいい……♡
「『フェルだいしゅきエナジータンク調教』の成果が出ているようですね」
「フェルもご主人様のことが大好きです」
「ぼ、僕も好きっ♡」
あの調教は夢なんかじゃなくて現実、それが分かっただけで途轍もなく幸福で、さらにフェルに好きと言われて、悦びで全身が震える。
もう、身も心も完全にフェルから離れられなくなってしまった。拘束はされていないけど、離れようなんて気は全く起きない。
フェルのことが好きだからずっと一緒に居たい、そんな欲望しかなくなってしまう。
「しゅきですご主人様……ですが、それ以上愛を囁かれるとまた暴走してしまいますので、今だけはお控えください」
「あっ、う、うん、分かった」
そんな愛情表現を少しだけ咎められる。
その無表情からは何か伝えたいことがあるのと、激しい情欲がぐつぐつと煮え始めているのが伺える。
フェルの話をちゃんと聞こうと、溢れ出る好意に何とか蓋をする。
「ご主人様にお見せしたいモノがあります」
フェルはそう言うと、優しく僕の体を起こして立ち上がる。
「こちらへどうぞ」
手を差し伸べてくる。白磁のように艶があって美しい手に見とれながら、その手を握る。
コツコツと二人でゆっくり歩く。まるで夫婦みたいな行為に、気分が高揚する。フェルと一緒にすることなら、こんな些細な動作ですらドキドキとしてしまう。
そんな幸せな感情で胸がいっぱいになりつつ、カーテンで閉め切られた窓へと案内される。
「外をご覧ください」
外……?
一体何があるのだろうか。何かが用意されているのだろうか?
そう思いつつもカーテンを捲りあげると……
「……えっ」
人が襲われていた。
翼を生やした魔物に、尻尾が生えた魔物に、毛が生えた魔物に、青白い肌の魔物に、組み伏せられたり、抱きしめられていたり、脚で踏まれてたり……
白濁にまみれて、粘液でぐちゃぐちゃになって、お互いに絡み合って、男は体を震わせて、女……魔物はそれを抑え込むように体を打ち付けて、更なる快楽を貪ろうとしていて……
以前の僕なら阿鼻叫喚と言い表していただろう。けれども、すでにフェルによってこの行為の素晴らしさを覚え込まされていたので……この光景を天国のように感じてしまった。
「いかがでしょうか」
「人が、あらゆる苦しみや我慢から解放されて、幸せになる様子は……いつ見ても素晴らしいモノです」
フェルは淡々とそう呟く。
まるで、こんな光景を幾度となく見てきたかのような言葉が落ちてくる。
「ずっと、憧れていました」
「造り物であるフェルも、こうして交わり合い、愛を伝えあって、幸せを感じることを」
独白がぽつりぽつりと落ちてくる。ほんの少しだけ悲壮を孕んだような、そんな声が聞こえる。
「ご主人様」
「フェルと一緒に悠久の時を過ごすことを、約束していただけますか?」
そう、ハッキリと言われる。
手は固く握られて、緊張しているのが伝わる。
フェルがどれだけの時間を生きていたのか分からない。
もしかしたら、何百年も存在していて、『愛』に恋焦がれていたのかもしれない。
僕は、そんなフェルに愛情を抱かせてしまったのかもしれない。
この告白はフェルの長年の夢なのかもしれない。
いや、もしかしたら、あの最初の『認証登録』の時点で……
でも、その時の僕は認識がとても甘くて、そんなに重い物だとは思っていなかった。
だから、これは仕切り直しで、改めて約束をしたい。了承を得たい。そんな想いからの行為なのだと思う。
なら、僕はこの想いに答えて……
フェルのことは好きだし、フェルと僕にとって大事な思い出になる一瞬だから、ちゃんと答えないといけない。
そうしないといけないけど……
ズルい
感情がふつふつと湧き上がる。
こんな、名前を呼ぶだけ心が跳ねるぐらいに調教し尽くして、絶対に断れない状態にしてから告白するなんて、ズルい。
僕のことを無理やりメチャクチャにして、フェルのことが大好きなエナジータンクに加工したのに、こんな綺麗な告白をするなんて……
だから、ささやかな仕返し。
固く握られた手を取って、その甲にキスをする。
白い肌にちゅぅっと吸い付いて、軽く噛みつく。そして、そのまま口を放す。
これ以上になくカッコつけて、フェルの記憶にこの一瞬を焼き付けて……
「約束するよ、フェルと共に永遠を過ごすことを」
「だいしゅきだよ……ふぇ、フェル……」
噛んだ。
とても大事なところで噛んでしまった。
羞恥で顔が真っ赤になってしまうのが分かる。
こんな締まらない言葉で、申し訳ないし、恥ずかしいし、フェルにどう顔向けしたらいいか分からなくて……
「……ホントにかわいいですご主人様、ダメです、こんなのズルいです」
「フェルが頑張って理性保っていたのに全て破壊してくるご主人様はお望み通り調教して快楽で壊して差し上げます」
「ちょっ……まっ、あぁ……やめてぇっ♡」
抱きつかれ、体をまさぐられ、また『調教』が始まってしまう。
手はヒンヤリとしているけど、その行為はとても熱っぽくて、執着で溢れていて、心が熔かされていく。
フェルとの熱い永遠が、これから始まる。
「お父さんとお母さん、今日から数日間家を開けるの」
「だから、お留守番よろしくね♪」
「……へ?」
父さんと母さんから呼ばれたかと思ったら、母さんから突然そんなことを言われた。
母さんはニコニコとしており、それに反して父さんは神妙な顔つきで黙っている。
突然の報告にあっけに取られていると
「……不満か?」
父さんがじろりと睨むように視線を合わせて、そう言ってきた。
「いえ、父さんが母さんと出かけるなんて、珍しくて……」
父さんは非常に厳格で典型的な仕事人間だ。
監獄都市国家と呼ばれるこの国において、最も大事な機関である監獄に勤めていて、しかもトップクラスの役職に就いている。
志はとても高く、国の治安を守り、その上で囚人たちを更生させることに尽力を注いでおり、自他共に非常に厳しい。
家のことを完全に放置しているわけじゃないけど、人生の大半は仕事に注いでいる……とはいえ、それは大事な役目を果たすためであり、僕も母さんもそんな父さんを誇りに思っている。
……だから、仕事を放って二人で旅行するなんて思いも寄らなかった。余りに不思議で、唐突で、厳格な父の前にも関わらずそんな言葉が溢れてしまう。
「いや、そのだな……」
「あなた?」
「……っ、まあ、暫くお母さんを放ってたからな」
「家のことを全部任せていたし、労わってやろうと思って――」
「あなた?」
「……っっ!」
「お、お母さんと久々に二人きりになりたいんだっ!だ、だから家を開けるっ!」
父さんが何か話す度に母さんがニコニコしながら問いただし、何故か父さんは余裕がなくなっていって、最終的にはヤケクソのような叫びで締められた。
なぜ父は顔を赤くして切羽詰まっているのだろうか?今日の父さんと母さんは肩が触れ合うほど近寄っているのは何なのだろうか?そもそも、あの父さんがそのような理由で家を開けるだろうか?そして母さんのこの謎の威圧感はどうしたのだろうか?
疑問点しかないこのやり取りに困惑して、「はぁ……」という曖昧な返事をすることしか出来ない。
だが、そんなことはすぐに記憶の彼方に吹き飛んでいった。
「それで、お母さんとお父さんが家に居なくて困ることあるでしょ?」
「ま、まあ、あるけど」
「だから、お手伝いさんを雇ったの」
「へ?」
その言葉と共にガチャリとドアが開かれる。
そこから現れたのは、メイド服姿の女性だった。
メイド服にも関わらず浮き上がっているボディーラインは彼女の体つきの良さを表していて、そしてその身長はまだ子供にすぎない僕よりも遥かに大きく……父さんの身長すら超えていそうだった。
そして、その顔は凜としていて、まさしく美麗という言葉がピッタリだった。キリリとした目元、みずみずしくて引き締まった唇、どれを取っても魅力的な女性。
そんな絶世の美女とも言えよう人物が突然現れ、心臓がドキリと跳ねる。
「初めましてご主人様、『フェルリダメーラ』と申します」
流れるような動きでロングスカートの裾を持ち上げ、頭を下げて優雅に挨拶をする彼女。
その胸部は溢れんばかりに大きく実っていて、重量感を伴って揺れる。ぷるるんと、蠱惑的に揺れる果実に視線が吸い寄せられ、無意識のうちに凝視してしまっていた。
そうしていると、顔を上げた彼女と目が合ってしまった。どこか無機質な瞳に射竦めてられ、罪悪感や羞恥心がこみ上げてきて、すぐさま顔を逸らす。
こんな綺麗な人が急に来たら驚くというか、どうしたら分からないというか……
出会った際の仕草だけで彼女がとても優秀だということは分かる。仕事の面ではまず問題はないだろう。
でも、この冷たい表情を見ていると……仲良くなれるか分からない。取っつきにくそうで、どう接したらいいのか分からない。
だから、母さんにもう少しだけ紹介してもらおうと思ったけど
「じゃ、お母さん達は出かけるから、後はよろしくねー♪」
「ま、待て!こんなの聞いて……うぅっ!」
「ほら、あなた、早く行きましょうね♪」
母さんと父さんは、そんな僕を放って、荷物を持っていそいそと家から出て行ってしまった。残されたのは、突然現れたメイドさんと僕だけ。
「え、えーと……よろしくおねがいします?」
「はい、よろしくお願いします、ご主人様」
そうして、僕と彼女の共同生活が始まった。
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彼女はすごかった。
想像していた通り、仕事はまさに完璧だった。
部屋はいつも以上にキチンと家具が揃えられ、洗濯では昨日僕が汚してしまった服すら新品かと思うぐらいピカピカになり、料理は思わず舌鼓を打ってしまうほど絶品だった。
非の打ち所がない彼女。どんな作業も文句ひとつ言わずに淡々とこなし、疲れた様子を一切見せず、所作が崩れることは殆どなかった。
だけど、そんなことすら些細に思えるほど……彼女はスゴイ秘密を持っていた。
「え、ゴーレムなの!?」
「はい、正確には『オートマトン』ですね」
「私、フェルリダメーラはその中でも――」
オートマトン。彼女が言うにはゴーレムの一種らしくて、複雑な機構や高度な魔術によって動いているとのこと。
その体の中には様々な機能が秘められているらしくて、関節動作が云々、体内のコアが云々、といったように彼女はどこか自慢げに語っていた。
「――といったように、通常のオートマトンよりも高性能なのが私、フェルリダメーラです」
「へー……」
内容の半分以上は理解しきれなかったが、無表情ながら胸を張っている様子を見る限り、彼女は自身の体に誇りを持っているらしい。
にしても、彼女がゴーレムの一種とはとても思えない。僕の知っているゴーレムはもっと泥人形みたいな雑な感じだし、大雑把な仕事しかさせることができない。
「ほ、ホントにゴーレムなの?」
「ええ、ここをご覧になってください、内部構造が垣間見えると思います」
「わぁ……すごい、こんなの見たことない……!」
彼女の言葉を疑うわけじゃないけど、こんな本物の人間のように振舞えて、さらに人間を遥かに上回る器用さを持っているゴーレムが存在するなんて信じられなくて、改めて尋ねてしまう。
彼女はそんな僕に対して、不快感を表すことなく、腕をまくって漆黒の関節部をあらわにする。その奇妙奇天烈な内部構造を目にして、好奇心がくすぐられる。
どんな文書でも見たことない機構、どう動いているのかさっぱり分からない……そんな事実が更に興味を引いて、いつの間にか気恥ずかしさも忘れて間近で観察していた。
こんなスゴイ彼女だけど、実はもう一つスゴイことがある。
「フェルリダメーラはすごいんだね!」
「……はい、分かって頂けたようで何よりです」
彼女には感情がある。人間と間違えるほど……いや、人間と同じ感情を持っている。
無表情で何を考えているのか分かりにくいけど、こうやって僕が褒めると、少し照れくさそうに間を空けてから返事をする。
表情は変わらないし、顔色も変わらないけど、ほんのちょっとだけ声から、動作から、何となく感情が滲み出ている。
そう、彼女は本物の人間と何も違わない。
ゴーレムというのは外見と名前だけで、内面は人間と変わらない。
今もこうやって照れくさそうにした後、視線を宙に漂わせて、ソワソワとして……何か言いたそうだ。
「どうかしたの?」
そうやって声をかけると、こちらに視線を合わしてくる。その瞳の奥で紫色の瞳孔が少し大きく開かれる。
多分、驚いたのだろう。基本的に無表情だから、こうやって気にかけられることに慣れていないのだと思う。
そして、固く結ばれていた口が開かれる。
「……その、おこがましいお願いですが」
「フェル、と呼んで頂けませんか?」
仰々しい前振りの後に来たのは、ささやかなお願い。
ちょっと拍子抜けで、クールな彼女がそんなことでまごまごしていたのだと想像すると、とても可愛い。
「うん!これからもよろしくね、フェル」
もちろん断る理由なんて無いから、快く了承する。
『フェル』、そう彼女を呼ぶと、心なしか頬が上がったような気がした。
無表情だけど、かわいい。
「ありがとうございます、ご主人様」
そんな顔を隠すかのように一礼。感謝の言葉と共に頭を下げる。
フェルとはとても仲良くなれそう
そんな予感と共に、パチッ、パチッとどこかで静電気のような音がなった。
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フェルとの日々はあっという間だった。
あれがしたいな、これがしたいな、と思えば
『ご主人様、クッキーと紅茶を用意いたしました』
『こちらの本をお取りしましょうか』
といったように、まさにベストなタイミングで声をかけてくれる。
それに、フェルは
『はい、実はこちらが開いて、ここから――』
『ここの関節は――』
自身の体について色々と教えてくれる。
元々、機械とかそういうのに興味があった僕からすると、フェルの体そのものが知識の宝庫のようなもので、時間も忘れて熱中してしまう。
見たこともない機構で動いているけどどういう仕組みになっているのかとか、動力源がどうなっていてどのように伝達しているか……なんてことを解説して貰いながら色んなことを勉強した。
あまりにも熱中しすぎて、食事の時ぐらいしか時間を知るタイミングがなくて、気がついた時にはもう陽が暮れてしまっている。
フェルと一緒に他愛ない話をしながら眠くなるまで待って、うとうとしてきたら布団に入って、明日はフェルと何をしようか……なんてことを考えながら眠りに着く。
そんな風に楽しくて、幸せな毎日が続いていた。
今日も楽しかった。
見たこともないお菓子を作ってくれて一緒に食べたり、実際に簡易的な機構を作りながら動き方について教えてもらったり、魔術についての基本的なことも教わった。
どれもこれも本当に楽しくて、一日を終えるのが惜しく思ってしまうほどで、こうして深夜なのに寝ることもせずにぶらぶらと寛いでいる。
明日はどんなことをしようか、そんなことを考えていると
「ご主人様」
フェルに呼ばれた。
多分、夜更かししすぎだって言われるんだろう。
「あ、そうだね、もうこんな時間だから――」
「いえ、そうではなく……ご主人様にご相談があります」
フェルが言うであろうことを予想したつもりだったが、返ってきたのは予想外な言葉。
「相談って、何かあったの?」
相談……フェルがそういった言葉を使うのは初めてだった。だから、何か大事なことを話すのだと分かって、身構える。
「フェルの気持ちを率直に申し上げますと、ご主人様のことをとても慕っております」
「可能であれば、このままずっとご主人様に仕えたいと思っています」
その端正な口から溢れてきたのは、僕への好意。
慕っているし、ずっと仕えたいなんて言われて、気恥ずかしさもあるけど純粋に嬉しくなってしまう。
「えっ、そ、そうなんだ……えへへ」
「ですが、現在はお母様に雇われて、ご主人様に仕えている状況です」
「今のままでは、お母様とお父様がお帰りになさった時点で、フェルとご主人様との契約は切れてしまいます」
「あっ……そうなっちゃうんだ」
だけど、その後に続く言葉で気分が沈んでしまう。
この楽しい日々に終わりが来ると考えるだけで、モヤモヤとした暗い感情に襲われる。
「そうならないために、ご主人様には正式な『マスター』になって頂きたいと思っております」
「正式なマスター?」
「ご主人様が『認証登録』をして頂ければ、ご主人様は正式な『マスター』となって、そのような契約切れは発生しなくなります」
「じゃあ、その『認証登録』をすれば、ずっとフェルと一緒に居られるってこと?」
「その通りです」
話をまとめると、フェルは僕と正式な契約を結びたいらしい。今のままでは母さん達が帰ってきたらフェルはいなくなってしまうけど、この『認証登録』をすれば母さん達が帰ってきた後も契約がずっと続く。
僕はもちろん、フェルとずっと一緒に居たいと思っているし、今すぐにでも『認証登録』をしたいところだけど……家族が増えるようなことだから、流石に母さんと父さんに相談しないとダメだと思う。
「でも、母さんや父さんと相談しないと……」
「ご安心ください、すでにお義母様の許可は取ってあります」
「えっ!?そうなの!?」
「はい、この数日間でご主人様に気に入って頂ければ、正式な契約を結んで良いと伝えられております」
「なるほど……」
その懸念はすぐに氷解した。
この家に来た時点で、母さんとはそういった話をしていたらしい。
何だか都合が良すぎる気もするけど……母さんの了承が得られているのなら、悩むことは何も無い。
「うん、分かった!フェルの正式な『マスター』になるよ!」
気が付いた時には口から言葉が溢れ出ていた。
「……ありがとうございます」
フェルはほんの少しだけ目を細めて、深く一礼をする。
「では、『認証登録』を致しますので、こちらにどうぞ」
「フェルに近寄ればいいの?」
「はい」
「……近寄ったよ?」
「はい」
「……フェル?」
「……ジッとしててください」
しばらく何もされないものだから不思議に思って何度も呼びかける。
すると、何か意を決したかのように一呼吸をして、じりじりと顔を近づけてくるフェル。端正な顔が近づいてきて、思わずみずみずしい唇に目が向いてしまって、ドキリとする。
このまま近づいて何をするんだろうか……とドキドキしながら思っていたら、もう眼前にまで迫ってきていて、唇が触れそうになっていて……
そこでようやく何をされてしまうのか察してしまった。
「え、ちょっと……まっ」
制止の声をあげたものの、遅かった。
「ちゅっ……」
「んっ……」
フェルの唇が重なる。プルプルの唇が僕の唇に吸い付いてきて、生温かな感触に心を奪われてしまう。
ぷちゅ……と静かに、ゆっくりと唇を押しつけられ、フェルとより深く繋がった感じがする。
突然のキスへの驚きの感情はすでに消え失せていて、その心地よい感覚に身を委ねてした……が
「……ちゅる」
舌が入り込む。造り物とは思えないほど、湿っぽくて、肉厚で、長くて、ぬるぬるで、いとも簡単に僕の歯の間から滑り込んでくる。
両手が僕の頬に優しく添えられる。柔らかくて、包み込むような感じなのに、万力で固定されているかのごとく顔を全く動かせない。
舌の動きは徐々に激しくなってきて、そして
「じゅるっ、じゅるるるる、ちゅっ、ちゅっ、じゅるるるるっ」
「んーーっ!!??」
蹂躙が始まった。
綺麗に閉じられていた唇はいつの間にか大きく開いて、僕の唇ごと捕食してしまう。
舌で歯をなぞって、深く突き刺し、そして僕の舌に巻き付くように絡められ、そのまましゃぶられて……
体験したことのない刺激、激しすぎる快感。
ぶちゅりという音とともによだれが垂れる……がフェルはそれを全く気にせず一心不乱に貪ってくる。
「ちゅっ……じゅるっ……ちゅっちゅっ……」
「はむ……ちゅこちゅこ……じゅるるるるるっ」
「れろー……れろっ」
「じゅるっ、ちゅっ……ちゅっ……」
「んーっ、んーっ!」
口内を舐めまわされ、ちゅっちゅっと吸い付いてから音を立てて唾液を吸い取ろうとしてきて、唇を甘噛みするように扱いて……
ようやく唇を離されたと思ったら、舌をつたって唾液を流し込まれ、その行為によって羞恥と興奮が高まってしまって、そしてまたキスが再開される。
もはや一方的な捕食のようなキス、口の中の神経を全て丁寧に一本一本擦りあげられているかのような、処理しきれない刺激によって脳の奥がチカチカと弾ける。まるで射精してしまっている時のような、異常な絶頂感。
このままじゃおかしくなる……壊れちゃう……♡
そうは思うけど、あまりの快楽に心が屈服してしまって、抵抗する気力が湧かない。
頭の中が徐々に快感に侵略していってしまって、白く塗りつぶされていってしまう。
フェルに抱きしめられて、濃厚なキスをされる。それだけでもう、幸せだった。
「ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ」
「ちゅー……じゅるるるるるるっ♡」
「んぅ……ぅ……♡」
微かな理性が警鐘を鳴らすが、フェルが口を吸う度に快楽で塗りつぶされ、段々と快感を享受するだけの人形に近づいてしまう。
まるでその唇から全て吸われてしまっているようで、理性も気力も羞恥も、じわじわと全て無くなっていく。
いつの間にか、股間はこれ以上になく勃起してしまっていたが、それを恥ずかしがることすら忘れて押しつける。じんわりとした下半身の快感で体が震える。
「……ちゅっ、ちゅー♡」
「んんぅ……んー……♡」
パチッ、パチッ、という音が聞こえる。もう、頭の中で火花が散っているのかもしれない。
そんな思考すら舌に舐めまわされて、飴玉のように溶かされる。思考が快楽だけになっていく。
右脳の奥が震えて、かぁっと白く弾けて、そして腰が震え始めて……
「ぷはっ」
「あっ……」
唐突にキスが終わる。
あの快楽を名残惜しむようにびゅく、びゅくと我慢汁が噴き出す。奥で煮えたぎっていた興奮の波が緩やかに引いていく。
「『認証登録』が完了いたしました」
「……そ、そうだったね」
フェルのその言葉でようやく思い出す。
そうだった、これは認証登録のためにやっていたことだった……
先ほどの快楽の残渣で頭がぼぅっとする。ふとフェルの顔を見上げると、相変わらずの無表情だったが、その視線はどこか熱っぽく、僕の下の方を見つめていた。
呆けながら視線の先を追って……ようやく気が付く。
「……っっ!!」
情けなく染みを付けながら隆起している股間を咄嗟に手で隠す。
羞恥心によって頭が一瞬で沸騰し、そうして赤くなった顔を隠すように、フェルの顔を見ないように、必死に俯く。
恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい
とても美しくて、華麗で、クールな彼女に一方的にキスをされて、こんなに興奮してしまって、しかも射精してしまいそうになった。
その事実が、冷静になった自分の頭に降り注いできて、激しい羞恥に捕らわれてしまう。
そんな僕をよそに、フェルは言葉を続ける。
「『認証登録』によって、ご主人様の詳細なデータを取得いたしました」
「それにより、フェルの体はご主人様用にカスタマイズされ、より良い性活を約束致します」
何か言っている。だけど、僕の頭の中には入ってこない。
だって、フェルのことをチラッと見ただけで、あの唇が目に入っただけで、あの唇に蹂躙されたことが、頭がおかしくなるぐらい激しいキスをされてしまったことが、フラッシュバックしてきて……ビクビクと股間が反応してしまう。
「いかが致しましょうか、ご主人様」
ドキリと心臓が跳ねる。
今日で幾度もやったようなやり取りなのに、ようやく慣れてきたやり取りだったはずなのに、鼓動が早くなってしまう。
恐ろしく冷たくて端正な顔が、こちらをじぃっと見つめて命令を待っている。その無機質な感じが、何を言っても許容してくれるような気がして……
微かに開いている唇が、目に焼き付く。
もし、エッチなことをお願いしたら……
そんな邪な想いが一瞬溢れる。
あの唇でもう一回あのキスをしてほしい。いや、もっと、フェルにエッチなことを……
が、すぐさまその想いに蓋をする。
ダメだ、そんな主従関係を楯に、そんなことをするだなんて……
フェルには感情がある。
エッチなことをお願いしたらしてくれるかもしれないけど……それは良くない。一方的な押し付けになる。
僕は、フェルのことを大事に思っているから。まだたった数日だけだけど、フェルと一緒に家事や勉強をしたり、お茶をしながら色んなことを話したりして、『友達』になれたから。
だから、その信頼関係を一時的な欲望によって壊したくないから、そう思って根源から湧き出てくる欲望に無理やり蓋をする。今にでもガタガタと音を立てて溢れ出そうなソレを押さえつけながら、何とか声を振り絞る。
「ぼ、僕はもう寝るから、フェルも寝ようねっ!」
完全に声が上ずって、挙動不審な叫び。
本当は抱きつきたい、顔を埋めたい、もう一度あのキスをしたい……そんな想いを押し殺してなんとか振り絞った声。
素早くドアに向かって、この場を脱出しようとするが
「かしこまりました、では一緒にベッドまで参りましょう」
「ちょっ……ダメダメ!!」
フェルの予想外の行動に思わず声を荒げる。
フェルと一緒にベッドに入る……なんて想像しただけでおかしくなりそうになる。
あの大きな胸に顔を埋めて、思いきり深呼吸して、そのままフェルに抱きついて、ナニを擦りつけて気持ちよくなりたい……
フェルの大きな体にすっぽり埋まるようにギューって抱きしめられて、そのまま体をまさぐられたい……
そして、あの唇に吸い付かれて……また、あの快感を味わいながらたっぷり気持ちよくなりたい……♡
ぐつぐつと思考の奥から浅ましい欲望が這いずり出てくる。
そんな不埒な願望を抱いてしまう自分に対して嫌悪感を抱くが、その願望のせいで目の前のフェルがとても淫靡な存在に思えてきて、ナニがむくむくと膨れ上がってしまう。
その興奮を悟られないよう何とか隠しつつ、必死に抵抗する。
「な、なんで急に……」
「正式な『認証登録』を完了しました」
「これからは片時も離れずに奉仕するのがフェルの役目です」
「だ、ダメ!僕は、その……一人じゃないと寝れないの!」
「ご安心くださいご主人様、フェルには安眠機能があります」
「ご主人様が体を預けて頂ければ、これ以上にない極上の睡眠を約束いたします」
「そ、そういう話じゃなくて……とにかくダメなものはダメっ!」
「ですが……」
「と、とにかく、今日は一人で寝るっ!」
「フェルはお母さんの部屋のベッド使って寝てね!」
「ご主人様、そのような興奮状態では質の良い睡眠は得られません」
「フェルのリラックス機能によって、一度心を落ち着かせてから――」
「もう寝るからね!おやすみっ!」
ひたすら、もっと一緒に居られるように提案してくるフェルを無下にして、どうにかして一人になろうとする。
あれやこれやと理由を付けてくるフェルは、本気で僕のことを思ってくれているのだろうし……もしかしたら、フェルは僕のことをとても気に入ってくれてるのかもしれない。
でも、フェルには申し訳ないけど、今の僕はそれどころじゃない。もし、フェルの提案に少しでも耳を傾けてしまったら、その甘い誘いに乗ってしまって、僕は欲望を抑えきれなくなる。
性欲の赴くままにフェルに抱きついて、擦りつけて、快楽をひたすら貪ることしか出来なくなってしまう。そんな一方的に性欲処理の道具として使われるのは、フェルも不快に思うだろう。
だから、これも、これからフェルと一緒に過ごすために仕方ないことだ。いい関係を築くためにも、今日の身勝手な振る舞いは許してほしい。
そう思いながら、ドアノブに手をかけ、本日最後の会話を終わらせつつ、チラリとフェルを一瞥すると
「……ご主人様」
恐怖した。
変わらぬ無表情。だけど、いつもより冷たく、そこには不満といった感情が確かに滲み出ていて……そんな彼女が出した初めての反抗の意を感じて、思い出してしまった。
彼女……フェルは僕よりも遥かに凄いことを、圧倒的な上位的存在であることを。今の主従関係の脆さを思い知ってしまい、恐怖した。
それと、フェルの、その眼が、射竦めるような視線が、根源的な恐怖というか、ゾクッとする感覚を掻き立てられて……
そんな底無しの恐怖から逃げるようにドアをくぐって、バタンと音を立てて閉めて、自室へと直行する。
興奮が、恐怖が、入り混じってしまって、とても眠れる状態じゃなかったが、すぐにベッドに潜り込み、布団をぎゅっと体に巻きつけるように抱きしめた。
体が火照っていて、熱がこもり、その熱が頭へと昇っていって、かぁっと熱くなっていく。股間に違和感を覚えて触ってみると、ねとっとした染みを付けながら痛いほど勃起していた。
なぜ、こんなに興奮してしまっているのだろう
正体不明の昂ぶりに困惑する。
フェルのことを、怖い、恐ろしいって思ったはずなのに、収まらないほどガチガチに勃起してしまっている。
そう、フェルはとても強い存在で、やろうと思えば僕のことなんて簡単に押さえつけることが出来て……
そう思うと、この関係がとても不気味に感じてくる。
僕は主人で、フェルは従者のはずだけど……フェルは僕よりも遥かに強い。
そんな主従関係は一般的によくあるだろうけど、それは主人が権力を持っていて従者が従う義理がある時に限る。
僕にそんな権力はあるのだろうか?フェルは僕に従う義理はあるのだろうか?
というか、フェルは何者?
母さんとフェルの関係性は?
フェルは……一体……
ふと、先ほど交わした、『認証登録』を思い出す。
手で顔を挟むだけで拘束できて、キスだけで真っ白に出来ちゃうフェルは、いつでも僕のことなんか好きに出来ちゃうわけで……
そう思うと、恐怖心と、暗い背徳的な興奮がこみ上げてきて、とぷりと我慢汁が溢れ出てしまう。
もしも、フェルに襲われたら……
そんなことを想像してしまう。
フェルに抱きしめられたら、もう身動きすら取れなくなるだろう。
そんな状況で、あのキスをされてしまって、快楽で真っ白にされてしまう。
いや、真っ白にされるどころか、理性も思考も全部、あの唇に吸い尽くされてしまって、そのままただただフェルに抱きしめられることしか出来なくなって、それで腰を震わしてびゅるびゅると射精してしまって……
そんなことになったら、もう、僕は戻れなくなる。そのままフェルに蹂躙されてしまうだけの人生になってしまう。
そんなとても恐ろしくて、それでいて魅力的な結末を想像するだけで、とぷり、とぷり、と我慢汁が次々に溢れてくる。
胸の奥ががきゅぅっと締まって鈍い痛みのような快楽と、脊髄が痙攣するような背徳的な感情で、頭がくらくらしてくる。
性欲の処理をしようかと迷ったけど、それをしてしまうと、完全に堕ちてしまうような予感がして……
ただただ目をつぶって、真っ暗な世界の中、そんな興奮の熱に一人魘されつつ、夜が明けるのをひたすら待った。
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今日の朝はいつも通り、穏やかに始まった。
起きたらすぐにフェルに声をかけられて、心臓が跳ねるような想いをしつつも振り返ったら
「……質の悪い睡眠は、その日の活動に大きな悪影響を及ぼします」
「もし、明日もそのような状態になりましたら、フェルの安眠機能を行使いたします」
という小言を投げかけられただけだった。
ちょっとだけ脅すような文句がありつつも、その無表情からは心配と慈愛の情が読み取れてすこし安心する。
僕のことを想ってくれて、敵意なんて全くない、優しいフェル……
だけど、その『安眠機能』というモノを想像して、とぷり、と腰の奥から漏れ出る感覚がしてしまう。
フェルに添い寝されて、寝付けなかったら抱きしめられるのだろうか。その時に勃起してしまったら、どういう対処をされるのだろうか。
抱きしめられたまま手で扱かれて、抵抗しようと体をくねらせても簡単に抑え込まれて、そのまま勃たなくなるまで搾り取られたり……
昨日までは無かった、背徳的な興奮が、常に纏わりつく。
フェルが掃除しているだけでも、その細くくびれた腰から大きく広がるお尻に目を奪われてしまって、あの大きなお尻にのしかかられてグリグリと押し付けられたいと思ってしまう。
ただ佇んでるだけでも、服を押し上げる豊満な胸に心を捕らわれてしまって、柔らかいであろう感触を想像して興奮してしまう。
一緒に食事をしている時もプルンとした唇に、勉強しているときもスラッとした手に……
もう、フェルの全てに対して欲情してしまう。
どれだけ意識しないように頑張っても、淫らな妄想をしてしまって、ムクムクとナニが大きくなってしまう。
抱きしめられて胸で窒息するぐらい埋められてしまったり、潤っている唇に吸い付かれて深いキスをされてしまったり、細い手指に全身をつつーっと撫でられて悶えさせられてしまったり……
「ご主人様」
ビクリと体が跳ねる。
ついさっきまで、フェルで破廉恥な妄想をしていたから、平常を保てない。
「ど、どうしたの?」
「それはこちらのセリフです」
「先ほどから、心拍数、呼吸数、ともに正常値の範囲を超えています」
突然、フェルは僕の顔を手で挟み込む。
あの時と同じように、ガッチリと固定されてしまう。
真っ直ぐ見つめられる。紫色に透き通っている瞳で視線を合わされる。
心まで見透かされているような、そんな気がしてしまって
「興奮してらっしゃいますね」
「先ほどから、フェルのボディーを眺めては、いかがわしい妄想に耽っていたのでしょう」
呼吸が止まる。
フェルの口から出た言葉は図星を指していて、動揺してしまう。
「胸や尻、といった一般的に欲情しやすい部分以外にも、手や唇といった通常目にするところに淫らな妄想を膨らませて、欲情していましたね」
張りつめた股間に手を添えられる。滑らかな手のひらが、宝物を磨くかのごとく、ゆっくりと怒張を撫で上げる。
たったそれだけの刺激なのに、ひんやりと、腰が空虚になるような、力が入らなくなるような感じがして、みっともなく体を震わしてしまう。
まともに立つことも怪しくなって、フェルに軽く抱きつくような形でしか体を支えられない。
とぷとぷ……
じわぁ……
奥から我慢汁が溢れる。撫で上げられるのに合わせて、ゆっくりと、溢れ出る。
優しすぎて、心地よすぎて、抗えない快楽。力の入れ方すら忘れさせられ、次第に抵抗する意志すら奪われてしまう。
「ご主人様は我慢しすぎる傾向にありますね」
「今も、我慢汁だけをとぷとぷとぷと……」
「うぅ……」
そう言って、染み出した部分に指先をちょんちょんと触り、ねとっとした糸を引かせる。
ズボン越しに鈴口をつっつかれ、その強い刺激にびくびくと反応してしまう。
片手でゆっくりと撫で上げられ、もう片方の手で先っぽを刺激される。
優しい快感と鋭い快感のコンビネーションによって、萎えることなく、ドンドン膨張してしまう。
「ご主人様、これ以上我慢するのでしたら」
「素直になるように、『調教』しなくてはなりません」
ゾクリとするような声色で囁かれる。とても無機質で抑揚のない声だったのに、『調教』という単語だけはねっとりと強調される。
普通の調教じゃないことが分かってしまうせいで、そのブラックボックスの中身を勝手に淫らで被虐的な妄想で埋め尽くしてしまう。
「あと1分以内に我慢をやめなかった場合、『調教』を開始致します」
甘く撫で上げられる。じわじわと、ケーキにクリームを塗るときみたいに滑らかに。
もう、腰に力を入れることが出来ない。気がついたら、フェルに完全に体を預けて為すがままになってしまっていて……動けない。
それでもフェルは、ゆっくりと撫で上げる。脳を蕩けさせるほどの快楽だけど、絶対に射精はできない。そんな絶妙な力加減。
「ふぇ、フェル……もっと動かしてぇ……」
頭は桃色の靄がかかったように鈍く、ただ快楽を貪ることしか考えられない。
腰を振って押し付けたい、もっと気持ちよくなりたい、射精したい、ぎゅって握ってほしい。
そんな欲望で頭がいっぱいになって、恥じることも忘れ、情けなくおねだりしてしまう。
だが
「それでは意味がありません、あくまでご主人様が素直になったかどうか確かめる行為ですので」
そのお願いは拒否されてしまい、また一つ、ゆっくりと撫で上げられ、足腰がまともに動かなくなってしまう。
「や、できないよぉ……」
「ご主人様から腰をへこへこと押しつけて頂ければ、すぐにでも射精することができると思いますが?」
「こ、こしがぬけへ……」
「ズボン越しにメイドの手に撫で上げられるだけで腰が抜けましたか」
「だ、だひゃら、もっとうごかしてぇ……」
「あと20秒です」
「うぁ、まっ、まっへ……」
どれだけお願いしても、全部言いくるめられてしまう。どれだけ言い訳をしても、丁寧に、嘲るように返されて、被虐心を煽られてしまう。
そんなやり取りをしているうちに、タイムリミットが目前に迫っていることを淡々と告げられる。
『調教』という言葉の冷たさが、怖さが、フェルへの少しの不信感を増幅させ、悪い未来を夢想させられる。
はやく射精しないと、じゃないと……そんな焦りに囚われるが
「ご主人様……フェルはご主人様のためにたっぷりと調教プログラムを作成いたしました」
「素直になれるように、フェルに甘えられるように……」
「今後、永遠に続く共同生活を豊かに淫らに過ごせるように、素敵な内容を練り上げました」
「うぁ……」
ぽしょぽしょと耳元で囁かれて、そんな焦りもかき消される。
声が鼓膜を伝わって、そのまま脳に染み入る。甘くて、理性を削り落とす、とても恐ろしい囁き。
素直にさせられる、永遠に淫らに過ごす……洗脳や拘束を含ませたような内容に、破滅的で被虐的な妄想が膨れてしまう。
「や、やだぁ……」
微かな理性が、そんな運命に抗おうと腰を動かそうとするものの、優しく添えられた手に押し付けることすら出来ない。
フェルにしがみついて駄々をこねるような鳴き声を上げるが、フェルはピクリとも動かない。ただただ、その時を……僕を食べるその時間を待っている。
恐怖からか、はたまた興奮からか、心臓が張り裂けんばかりに脈打つ。
「1分が経過しました」
「ぁ……」
無慈悲にも通告される。
「ご主人様……先ほどの『やだ』は、どういうことでしょうか?」
「そ、それはぁ、あっ、あっ……」
手の動きが早くなる。より強く圧迫するように、圧し潰して搾り出すような動きに変化して、精液がこみ上げてくる。
失言を咎めながら、まるで苛立ちをぶつけるように、膨れ上がった股間をすり潰す。
誤解を解かなきゃ、このままだと大変なことに……
理性は警鐘を鳴らすが、ぎゅむっと手のひらで潰される度に、タマから精液がこみ上げてきてしまって、快感に喘いでしまう。
言葉すら上手く紡げない。
「フェルの調教が嫌でしたか?」
「フェルにトロトロにされて甘々生活を送るのが嫌でしたか?」
「フェルが一晩中全ての演算装置を稼働させて作り上げた『ご主人様に素直になるまで甘々搾精調教プロジェクト』をお受けになるのがそんなに嫌でしたか?」
フェルは口早に問い詰めてくる。『嫌でしたか?』と尋ねられる度に、背筋が凍える。
チラリと顔を伺うと、開ききった瞳が真っ直ぐとこちらを捉えていた。
そんな怒気を孕んでいるかのような無表情が恐怖を掻き立てる。いつものような優しさは読み取れず、何をされるか分からない恐怖に……興奮に身を震わせてしまう。
「ち、ちが……うぅぅぅっ♡」
なんとか宥めようと口を開いた瞬間、より一層強く圧し潰されて……
どぷっどぷっどぷっ
どくどくどく……
精液が溢れ出る。ズボンから染み出すほど、大量に、濃い精液を搾り出されてしまう。
裏筋を撫で上げながら圧し潰され、その圧力に反発するかのようにビクビクと脈動するが、それを強引に抑えつけるように更に圧迫されてしまう。
手のひらだけで制圧され、すり潰されて、抵抗することもできずに惨めにイかされてしまう。被虐心がくすぐられる一方的な搾精。
「……ご主人様の動向を加味した上で、演算をし直しました」
「その結果、まずは『徹底搾精捕縛』による、抵抗意志を削ぎ落すのが最適だと判断」
「マゾヒストのご主人様にとっては、天国のような時間になるかと思います」
「や、ち、ちがふ……まぞじゃないよぉ……」
マゾヒスト……被虐趣向であると判断されて、心が跳ねる。
そんな風に判断されちゃったら、フェルに無理やり精液を搾り取られて、快楽で喘がされて、逃げられなくなっちゃう……
だけど、蕩け切った脳では、ろれつの回らない舌で弱々しく否定することしか出来ない。意地を張るような……相手の嗜虐心を煽ってしまうような、形だけの反発。
「フェルのおててに股間を潰されてズボンの染みを広げたご主人様がそうおっしゃいますか?」
「ほら、フェルの太ももにギューっと潰されただけで……勃起いたしましたね」
「うぅぅ……♡」
「ご安心ください、マゾヒストであることはフェルにとって、とても都合のいいので」
「うぁ……」
すべすべの太ももを股間に差し込まれ、膝をグイっとあげられて、体ごと持ち上げられる。
機械の身体のはずなのに、その太ももはむっちりとハリがあって、股間をぐにぃ……っと圧し潰す。
その肉に沈めながら、全方向から圧し潰すような感触。腹部からこみ上げてくるような鈍い快楽によって、射精したばかりにも関わらず、勃起してしまう。
「そうです、これから何回も何十回も搾精されることになるのですから」
「もう出ない……って泣き言を仰っても、こうやって……少し愛撫でされただけで興奮してしまうマゾヒストはとても都合がいいです」
「やぁっ……それ、だめぇっ……♡」
指先を軽く立て、胸を、腹を、つつーっとなぞる。左手は下腹部をぐるぐると慈しむように、右手は微かに隆起した乳首をさりげなく引っ掻いてイジメるように……
さすられた下腹部はじんわりと温かくなる。そのほのかに灯った火が、痺れるような快楽によって、さらに大きく燃え広げられる。
「うおぁ……♡ふぇ、フェルぅ……♡」
下腹部の奥がきゅんきゅんして、腹膜が勝手に収縮して、お尻の奥がぎゅぅっと締めつけられて、全部中心に集まって圧縮されているかのような感覚に悶え、目の前のフェルに甘えた声で助けを求めることしか出来なくなる。
なじられているのに、一方的に善がらされてしまっているのに、フェルが愛おしくてたまらなくなる。
「……こうも快楽に弱いと心配事もあります」
「もし、ご主人様が他の女に強引に言い寄られ、こうやってイジメられてしまって、種を搾られてしまったら……」
「あっあっあっ♡」
ぎゅっぎゅっぎゅっ、とリズミカルに下腹部を押し込まれる。精嚢や膀胱が物理的に刺激され、さらにきゅんきゅんと収縮が加速してしまう……
フェルはそんな僕のことをジトリと見下ろす。まるでやんちゃな子供を心配しつつ見守るような、そんな慈母のような表情……いや、無表情。
「……それは絶対にあってはならないことです」
「プログラム内容に『フェル専用エナジータンク化洗脳』を追加」
「な、なにそれぇ……」
ほんの少しだけ目を細めたかと思うと、『フェル専用エナジータンク化洗脳』という、異常な単語を口にする。
そう、とても悲惨で被虐的で甘美な結末になることがすぐに分かってしまう単語……恐怖と期待で心がパンパンに膨れ上がり、口からそんな声が漏れだす。
「ご安心ください、洗脳と言っても、ご主人様がフェルのことを大好きになるように絆すだけですので」
「ええ、フェルのことが好き好き大好きでたまらなくなって、ずっと抱きついて気持ちよく精液を放出するだけの存在になるだけです」
「ひっ……」
無機質な狂気が籠った囁きに中てられて、反射的に身をすくめてしまう。
フェルの好意は、無数の演算の末に果てしないほど膨れ上がってしまって……僕に少しの拒絶も許さない。
「いかがなさいました?」
「フェルとご主人様は、一緒に永遠を過ごす運命共同体ですよ?」
「ご主人様には、もっともっとフェルのことが好きになってもらわないと困ります」
「そ、その……」
首筋にぞわぞわとした悪寒が走る。重すぎる愛情に圧し潰されて、心が悲鳴を上げてしまっている。
ゾクゾクと、背筋を這い上がり脳をくすぐる感覚が、全身に広がって体が震える。
「もしかして、食料等の心配をしてらっしゃるのですか?」
「ご安心ください、フェルはご主人様の精液が原動力になりますし、ご主人様はフェル特製の体液で永遠に活動を続けることが可能です」
そんな僕の様子を見て、検討違いの返答をする。
この数日間、こんな風にフェルが僕の真意を取り間違えて返すことなんて無かった。
だから、その異常さが際立ってしまって……昨日までの『フェル』じゃないことが分かってしまう。
「ま……たしゅけ……」
歯車が狂ってしまったフェルは、このまま暴走して、本当に僕をエナジータンクにしてしまう。
そう、抱きしめられてひたすら精液を搾られ、唾液で栄養補給されて、そして興奮させるためになじって、また搾精して……そんな退廃的な結末。
ドロドロに溶けた理性を、快楽で砕けた足腰を、何とか持ち直して逃げようとするけど
「想像してみてください……フェル専用のエナジータンクとして永久に搾り取られる幸福を……」
そんな囁きで、意志を、簡単にかき消される。
全てを白く塗りつぶすようなキスを、腰の感覚を奪うほどの手つきを、脳を犯してピンク色に染めてしまう声を、思い出してしまう。
パチッパチッと頭の中でナニカが弾ける。首筋に微弱な電流が走って……体中を痺れさせる。
「恐怖指数、興奮指数、共に向上を確認」
「恐怖の緩和を図り、抱きしめ拘束を行います」
むぎゅっと抱きしめられる。
柔らかくて、ほのかに暖かい胸に顔を埋められる。
フェルの抱きしめる腕がじわりじわりと締め付けてきて、僕の頭はずぶずぶとフェルの胸に沈んでしまう。
「ぎゅーーー……」
頬も、耳も、ゆっくりと谷間に埋まっていく。そして柔らかな胸は顔を取り込むように密着してくる。
わずかに残った隙間から呼吸をすると、甘くて心地よい匂いが鼻腔に入り込む。匂いを吸い込む度に、抵抗する気力がすぅっと消えていって、その匂いがする胸の奥へと自ら頭をグリグリと押し付けてしまう。
「……とてもいい子です、ご主人様」
「そのまま、ゆったりと、体を楽にしてください」
フェルはそう言うと、僕の背中を抱きしめたままゆっくりとしゃがんで、床に押し倒した。
大きな身体にすっぽりと覆われてしまう。顔を谷間に挟まれ、背中を優しく抱かれ、下半身は折りたたまれた両脚の間に囚われる。
もう、逃げられない
押し倒されてしまった。
逆光で暗くなったフェルの顔が、僕の顔を捉えて離さない。
「失礼します」
その言葉と共に、抱き留めていた腕を放し、体を起こして、するりと服を脱ぐ。
まるで透過したかのような不思議な脱ぎ方。白黒の服がフェルの身体から離れ、白磁のように美しい肌があらわになる。
その関節部は機械仕掛けで、黒い歯車のような物がチラリと見える。人間と遜色ない見た目のフェルが、人じゃないとハッキリ分かる部分。
さらにロングスカートもパサリと脱ぎ捨てられ、華麗な裸体があらわになる。水が流れるような自然な曲線を描いた鼠蹊部、ツルっと窪んだおへそ、そこから三角状に狭まっていって、ぴっちりと閉じた割れ目にたどり着く。
「フェルの裸体はいかがでしょうか」
ドキリと心が跳ねる。だけど、あまりにも綺麗で、美しくて、目が離せない。
「メイド服を着ながらの行為と迷いましたが……」
「初めては、フェルの全てを見て頂きたいと思い、誠に勝手ながら脱衣することにいたしました」
フェルが何か言ってるけど、ろくに耳に入ってこない。
とても扇情的な体に視線が釘付けになってしまう。はしたないことをしているのに、そんな羞恥すら忘れてしまうほど欲情してしまって、今からアレに挿れるのだと思うと……
いや、アレに食べられてしまうと思うと、興奮で胸が張り裂けそうになる。
「……もう、フェルのおまんこに夢中ですか」
声が聞こえる。その声と共に、しなやかな指が鼠蹊部を水が流れるかのように這っていく。やがて、指先は頂上に辿り着き、割れ目に沿って二本指をぴっちりと合わせる。
そのまま徐々に指先を広げていって、割れ目をこじ開けていく。
「うぁ……♡」
機械的で滑らかなボディーとは真逆の、生物的でぐちゃぐちゃの中身。ピンク色で、ヒダヒダだらけで……精を搾り取るだけの器官。
その入口は糸を引いており、ぬちゃぁ……と涎を垂らして、餌を待っている化け物のようにも見えた。
「フェルも、このおまんこ……搾精器官を使うのは初めてですが」
「二度と忘れられないほどの、最高の快楽を約束いたします」
「え、まっ……うあああああっ♡」
いきなり、ずぶりと飲み込まれる。滑らかなボディーとは打って変わって、ナカはぐちゅぐちゅで突起物だらけだった。
ナニがぴっちりと閉じた膣を押し入る度に、尿道や亀頭をぞりゅっと擦りあげ、痺れるような快楽に喘がされてしまう。
ゆっくり、ゆっくりとこじ開けるように、挿入っていってしまう。
「ぉお……うぁぁ……ま、まってぇ……うぐぅ……♡」
あまりの快楽に喘がされ、まだ挿入してる途中なのに精液がこみ上げてきて
びゅるっ……♡
びゅるるるるるっ♡
びゅー……♡
射精してしまう。タマの中身を全て出し切るような種付け射精。だけれども、その先は貪欲な胃袋であって
じゅる……
ぶちゅるっ……
じゅるじゅる……♡
餌を一滴残らず吸い出そうと、咀嚼されてしまう。亀頭を揉みつぶし、裏筋をヒダヒダで擦りあげて、尿道に残った精液を出させてくる。
「やぁ……でてる、でてるからぁ……♡」
絶頂中の容赦ない責めに制止の声を上げるけど、フェルはジッと見つめながら、冷酷にゆっくりと腰を下していく。
無表情のまま、快感で悶える様をじっくりと観察されて、羞恥で頭が熱くなると共に、ゾクゾクとした感覚が背中を走る。
「精液を搾り取ることに特化したフェルのおまんこはいかがでしょうか?」
「そ、それはぁ……♡」
「……その蕩けたお顔を見れば、答えなくとも分かります」
「うぅぅ……♡」
「ですが、まだ素直になりきっていませんね」
「射精直後とはいえ、大好きなフェルのおまんこを拒否するなんて、あり得ませんので」
ぱちゅんっ
突然、腰を打ち付けられる。ぴちっと閉じていたナカを無理やりこじ開けてしまって、肉ブラシで全部擦りあげられてしまう。
全方向から余すところなく快感を与えられ、耐え切れずビクビクと震えてしまって自ら肉の渦に飲み込まれてしまって……
「や、やぁああああ♡♡」
どぴゅっ
ぴゅるるるるるっ
びゅるるる……♡
勢いよく、精液を放ってしまう。輸精管を精液が通る度に、頭を真っ白に塗りつぶすほどの快楽に襲われてしまって、視界がチカチカと点滅する。
どぴゅる、と前立腺と尿道を内側から擦りあげながら精液が駆け上り、腰の奥が快感でいっぱいになって、痙攣してしまう。
「二度目の射精を確認」
「このままピストン運動に移行し、連続射精による抵抗力の低下を図るとともに、フェルに屈服射精するのが大好きな専用マゾヒストへと調教いたします」
ぱちゅんっ
その震える下半身を無理やり抑えつけるように、腰を打ち付けられる。体重を思いきりぶつけるプレス。それを柔らかな尻肉が受け止め、むぎゅぅ……と僕の腰の上で圧し潰されて、高い音を奏でる。
それと同時に、ナカで竿をぞりぞりと擦りあげられ、イボイボがカリ首にぷちゅぷちゅと引っかかり……すぐにこみ上げてしまう。
絶頂直後の射精感という体験したことのない感覚に、本能的な恐怖を覚え、何とかお尻に力を入れて我慢しようとするが
ぱちゅんっ、ぱちゅんっ、ぱちゅんっ♡
大きなお尻による無慈悲なプレスが腰の奥に響き、欲望をせき止めている筋肉を、じわりじわりとほぐされ……
びゅるるっ
びゅるるるるるっ♡
腰を突き上げて射精してしまう。中身を全て捧げるように、お尻の奥をきゅぅぅっと締めて絞り出す。
「じぃー……」
ぱちゅんっ、ぱちゅんっ、ぱちゅんっ♡
それでもフェルはプレスをやめない。
真っ直ぐ顔を見つめながら、僕に快楽の楔を深く深く突き刺すように、力強く、ぱちゅんっと腰を打ち付ける。
淡々と、事務的に、容赦なく。
「お……うぁぁ……うぐぐぅ……♡」
ぴゅるっ♡
びゅるるる……♡
射精するごとに、脳が白く染め上げられ、まともな思考が出来なくなっていく。
恐怖も、理性も、全部快楽という真っ白に塗りつぶされて……頭の中が白黒に点滅する。
ぱちゅっぱちゅっぱちゅっ♡
びゅるるるるるっ♡
びゅるる……♡
速くなる。精液を搾り取って……僕の頭を快楽で染め上げる、容赦のないピストン運動。
ずっしりとしたお尻に腰を押し潰されて、ナカでは無数のヒダヒダが生き物のように絡みついて、弱点を的確に擦りあげる。
ぱちゅんっ♡ぱちゅっ♡ぱちゅっ♡
「うぁっ♡うぐっ……うぅぅっ……」
もうとっくに限界を超えているはずなのに、精液は奥から際限なくこみ上げてきて、そんな身体の異常に本能的な恐怖が呼び覚まされる。
これ以上は、もう、おかしくなる……だから、必死に身体に力を入れて、目をつむって快楽に耐えようとする。だが
「ご主人様、目を開けてください」
「フェルのお顔をご覧になってください」
「ご主人様を犯している、フェルの顔をメモリーにしっかり書き込んでください」
懇願するような声色。だけど、その圧力は懇願の域を超えて脅迫に近く、砂の城のような脆さと崖っぷちにいるような危うさを感じさせられる。
目をうっすらと開くと……眼前に広がるフェルの顔。皴一つなく、つやつやで、そのアメシストのような瞳は、真っ直ぐ、じぃーっと、瞬き一つせずに見つめていた。
フェルは僕を捉えて離さない。
「そうです、そのまま」
ぱちゅっぱちゅっ♡
「この顔と快楽を脳に刻み込んでください」
ぱちゅんっぱちゅんっ♡
びゅるっ、びゅるるる♡
「この顔に見つめられるだけで、素直になって、エッチなことしか考えられなくなるよう」
ぱちゅっぱちゅっぱちゅっぱちゅっ♡
びゅるるるる♡
「ご主人様の脳に、永遠に残る痕を焼き付かせます」
「快楽で痕を焼き付け、フェルの顔を見るだけでこの搾精を思い出し、身と心を震わせるように……壊します」
「心に、脳に、記憶に、フェルのことを深く刻んで、ズタズタにして、フェルだけの、フェルの、ご主人様になってください」
ぱちゅんっ♡ぱちゅんっ♡
びゅるっ、びゅるるるっ……♡
「おっ♡うぁっ♡やぁっ♡もう……しんじゃっ♡」
おかしくなる。腰をひたすら打ち付けられて、延々と射精させられて、中身を全て搾り取られてしまう。
記憶も、言葉も、理性も、全部フェルに吸い取られ、空っぽになったところをフェルの異常な感情で埋め尽くされる。
身も心もを圧し潰され、フェル好みの形に成形される。おっきなお尻で下半身をプレスされ、ヒダが詰め込まれたナカでナニを締めつけられ、異常な執着で心を圧し潰されて、矯正されてしまう。
容赦なく、力技で、フェル好みの『ご主人様』に調教されてしまう……♡
ぱちゅんっっ♡♡
「うぉぁっ♡」
びゅーっ♡
びゅるるるっ♡
びゅるるるるるっ♡
一際強く腰を打ち付けられ、喉の奥から嬌声が溢れ、快楽に腰を震わせる。
あまりにも気持ちよくて、力を籠めないとと体がバラバラになりそうで、背筋をピンと反らして腰を突きだそうとするが、フェルのずっしりとしたお尻にグリグリと抑えつけられる。
快楽を逃がすことも許されず、むしろ腰を突き出したせいで最奥に亀頭が届いてしまい、子宮口にぶちゅりとキスをされる。
「……」
「うっ♡も、もうだめぇ……♡もうやめてぇ……♡」
逃げることが出来ない快楽天国。どう悶えても、どう抵抗しても、簡単に抑えつけられて精液を搾られてしまう。
だから、こうやってフェルにお願いしなきゃ、どいてもらわなきゃ、この天国からは抜け出すことが出来なくて……
だけど、フェルはじぃっと無表情で見つめながら、グリグリと腰をグラインドさせてくる。早く出せ、精液を出せ……そんな催促をするように、淡々と。
あのフェルに、見下ろされて、一方的に搾り取られている事実に、被虐的な興奮が湧き上がってきてしまって、あの『エナジータンク化調教』という言葉が脳裏をよぎって、本当にフェルの動力源として無慈悲に搾精され続ける運命を想像しちゃって……
「おぁっ♡やだっ♡やぁだっ♡」
快楽の奔流に飲み込まれないようにもがくものの、フェルによってズタズタにされた脳では、駄々をこねるような言葉しか紡げない。
もう決まった運命だと分かりつつも、こんな、お尻に敷かれておかしくなる快楽に漬けられる一生なんて……♡もう、いやだ♡いやだ♡そんなのいやだ♡
フェルに搾り取られて気持ちいいエナジータンクになりたくないっ♡こんな終わりやだっ、やなのに、気持ちよくなって……♡
「……イけ」
主従が逆転した。
突然の命令。その強い口調……フェルの口から聞いたこともない言葉で命令されてしまって、脳の奥に焼き切れるほどの電流が流れてしまう。
あまりにも強い信号は脊髄さえも痙攣させて、その震えは全身を巡り、我慢しようにも土台ごと震えてしまってるからどうしようもなくて……脳が焼ける感覚と共に、腰の奥か震えて
「や、やぁああああぁ♡♡」
びゅーっ♡
びゅーーっっ♡
びゅるるっっ♡♡
止まらない。止めようがない。精液が尿道を擦る度に強い快楽が走る。脳をバチバチと弾けさせ、焼き切ってしまう。
フェルに付けられた焼き痕は、イってる最中もじくじくと脳を快楽で侵し、壊し、確実に狂わせる。
フェルに屈服することが気持ちいい……♡命令されちゃうのも気持ちいい……♡エナジータンクになりたい……♡もっと搾られたい……♡
そんな破滅的な願望で埋め尽くされる。人としては元に戻れないくらい、徹底的にメモリを書き換えられてしまう。
「過度の快楽と強い言葉によるトラウマ化に成功」
「もう、これがクセになってしまって、まともな性行為で満足することは出来なくなりました」
淡々と事実を告げられる。フェル無しではとても生きていけない身体に調教されてしまったことを。
「うぁぁあ……♡やぁぁ……♡」
「ご主人様は、永久に、精液を搾られるエナジータンクにされてしまうのです」
「性欲を満たすために、自ら、望んで」
もう戻れない。後に戻れない。
そこまで壊されてしまった事実に震えてしまう。後戻りの出来ない恐怖と、フェルに壊された背徳的な快感で……体が暗い悦びで痙攣してしまう。
「た、たしゅけてぇ……♡ふぇるぅ……♡」
前も後ろも分からなくなる。どっちが進みたい向きなのか、何から逃げたいのか、ただ分かるのはフェルが全身を包み込んでいること。
どうすればいいか分からない、気持ち良さでどうにかなりそうでフェルに、フェルにたすけてほしい……♡もっと、たすけて……♡
「……とてもいい傾向です」
「錯乱状態でフェルに頼る、例えフェルがそうした張本人であってもフェルに頼ってしまう」
「これ以上になく、素直なご主人様になってきています」
「ええ、そうです、こうあるべきです」
「ご主人様はずっとフェルだけを頼ってメチャクチャにされてフェルに可愛らしいお声で助けを求めてぐちゃぐちゃにされてその愛おしいお顔を見せ続けるべきです」
「うあぁ……♡」
フェルに早口でまくし立てられる。変わらない表情の内側に秘められていた感情が溢れ出し、独善的で情熱的な言葉を浴びせられる。
この、焼け溶けた鉄のように熱く重くねっとりとした感情は、僕の心を蝕んで……中毒にしてしまう。
心の器が受け入れきれずに悲鳴をあげるこの感覚が、心臓をきゅぅっと締め付けるほどの感情が、クセになってしまって……♡
「もっと、もっとご主人様を調教しないといけません」
「フェル専用エナジータンクになるよう、しっかりと壊さないといけません」
フェルはそう言うと、自らの背中に手を回し、ずるりとナニカを抜き出す。ホースのような細長い器官を手に持ち、見せつける。
「そ、それなぁに……」
フェルの腰から出てきた管は陶器のような白肌と漆黒の関節部が交互に規則正しく並んでいて、するりと長く……
先っぽは不可思議な突起状になっていた。どこかに無理やり嵌め込むような、そんな形状。でも、あの太さの物を入れるとしたら、それは口か……
お尻がキュッと締まる。
わかった、わかってしまった……♡
あれで、お尻の奥にある、この快感を溜め込む器官を直接ごりぃっと抉って……僕をメチャクチャにする気なんだ……♡
内側からも僕の抉って、侵して……♡やだ……♡そんなのこわい……♡
「この尻尾のような器官は、管を通じてフェルの内部の奥深くへと通じています」
「先っぽは可変式になっており……お察しの通り、今回のこの形状はご主人様のお尻の深くにある前立腺を抉るために特化しております」
「よーくご覧ください……前立腺をごりごりとご主人様の尊厳ごと削って、壊して、無くしてしまう悪魔のような形をしていますね」
微かにフェルの口が歪んだ気がした。
「しかも、この器官はフェルが許可しない限り、絶対に取り外せないようになっております」
「つまり、これをご主人様に挿入してしまえば……」
「もう、フェルからは離れられません」
「昨晩のようにフェルの奉仕を拒否しようとしたら、お尻の中のコレがむぎゅっと前立腺を押しつぶし、たちまち腰砕けになってしまいます」
「さらに、フェル特製の特濃媚薬がナカにびゅーびゅーと注ぎ込まれ、絶対に収まらない性的興奮を得てしまって、中毒……いえ、半ば廃人になってしまいます」
「フェルに定期的にお尻を弄られないと満足できず、腰をくねらせておねだりをしてしまう……そんなフェル専用のマゾご主人様に堕ちてしまいます」
恐ろしい口調で脅してくる。コレを挿れられたらどんな目に合うのか、ナニをされるのか、どんな結末が待っているのか……誇張なのか事実なのかは分からないが、おどろおどろしく伝えられる。
だけど、壊れた心が送り出す感情は怖れではなく……とてつもない期待。興奮。幸福。
フェルの愛情で粉々にすり潰されてしまった心は、さらに激しい圧縮を求めてしまう。恐ろしい口上の一つ一つが素晴らしい結末を示唆しているようにしか思えなくなって……
「ふぇ、ふぇるぅ……♡」
「なんでしょうかご主人様、今さらイヤイヤしても絶対に逃れられませんし――」
「しゅ、しゅき……♡」
口から勝手に言葉が漏れ出す。
フェルに快楽で焼かれた脳では、まともに理性が働くわけもなく、素直な言葉が溢れる。
フェルのことがすき、好き、大好き……♡
この快楽調教で植え付けられた恋心なのか、はたまた元から持っていた恋心なのかは定かではないが……フェルへの好意が溢れる。
「だ、だいしゅき、ふぇるすき……♡」
「……ご主人様、いけません」
「しゅき……♡」
「……ご主人様」
一方的に告白してしまう。勝手に漏れ出る、うわ言のような告白。
でも、フェルは僕のことを呼ぶだけで……悲しくなる。強すぎる圧迫を、おかしくなるぐらいの快楽が欲しいのに……
フェルからの愛情がたっぷりほしいのに……♡
「ふぇ、ふぇるも……しゅきって言って……♡」
とても独善的な好意。愛に圧し潰される快感がほしくてひどいことをしてほしくて……♡
がんばって告白してるのに、もっと、フェルも僕をメチャクチャに……
バチっと一際大きな音が聞こえた。
快楽の渦の中に巻き込まれ、夢うつつになっていた状態から少しだけ我に返る。
今の音はフェルの方から聞こえたような……
「……しゅき」
「……へ?」
ジッと固まっていたフェルが口を開く。
その端正な口から漏れ出した言葉は、冷静で、クールな表情とは似ても似つかない言葉で……
「しゅきしゅき愛してますご主人様ですけれども回路を頻繁にショートさせて演算装置をすべてオーバーヒートさせる可愛いお口は早急に塞がないといけません」
「ええ、こんな愛おしくてフェルの思考回路を何回も何回もショートさせる悪いご主人様は徹底的に調教いえ、早急に同化させる必要があります」
「フェル内蔵エナジータンクとして永遠にくっついて、その中身を全て共有し、フェルへの好意を全て公開する義務があります」
「そして、しゅきしゅきだいしゅきなご主人様はその口からしゅきしゅきフェルだいしゅきとしか言えないようにぐちゃぐちゃにするのが必然です」
「フェルにとっての最優先事項です、フェルしゅきしゅき内蔵型ご主人様に加工いたしますご主人様」
言葉の奔流に飲み込まれる。
フェルが内側に押し込めていた感情が、愛情が、執着が、堰を切ったかのように流れ出る。
独善的な欲望まみれで……大好きな僕を加工してしまおう、フェルへの好意しか表せられないように閉じ込めてしまおう、そんな恐ろしい計画を暴露されてしまう。
とても恐ろしい……♡僕をメチャクチャにして快楽でぐちゃぐちゃにしてしまって……♡もう、フェルしか感じられなくなって……♡
「ま、まっ……おぉぉっっ♡♡」
「待ちません」
本能が恐怖を感じて制止の声をあげようとした瞬間、ずぶりとお尻に挿入される。
にゅるんと侵入したソレは、お尻の奥の気持ちいいところをぎゅぅっと握りつぶす。快楽の貯まった球のような器官が抱き潰されて、弾け出す。
体に電撃が走り回り、筋肉が勝手に収縮して、息が吸えなくなる。あまりに強い信号に脳が、焼き切れるほど、真っ白になってぇ……♡
「フェルの尻尾を深く、二度と抜けないほど深く挿入いたしました」
「内側からごりっ……ごりっ……っと前立腺を抉り、射精機能の促進および激しいオーガズムへと導きます」
「さらに、フェル特製の特濃媚薬を直腸から吸収させることで、ご主人様の体でも連続大量射精が可能になるようにいたします」
フェルの尻尾がお尻の中で蠢く。ごりっごりっと気持ちいいところを押しのけながら、徐々に膨張していく。
さらに、ドクドクと脈動して……その先っぽに液体が充填されていくのを感じてしまう。
これが今から僕の中に……♡
「準備が整いました、ご主人様のお尻にびゅーびゅーと中出しして、内側から射精機能をぶっ壊します」
「こ、こわさないでぇ……♡」
「そんなこと言いつつも、お尻できゅぅっとフェルの尻尾を締め付けて離さない時点で、形だけのイヤイヤということは明確ですね」
「フェルが待ちきれませんので出しますね、3、2、1……」
「や、やめぇええええええ♡♡」
どぷっ♡どぷっ♡どぷっ♡
「はい、びゅー、びゅるるるる……」
ドロリとした液体がナカに注ぎ込まれる。僕を壊すその媚薬はじんわりと染み入って、熱くなって……
ドクンッと体が跳ねる。お尻の奥の気持ちいいところが快楽でパンパンに張ってしまって、内側から体を気持ちよく圧し潰されるような感覚に悶えることしか出来なくなる。
快楽の塊で体のナカがいっぱいになってしまって……♡
「お、おぉっ♡」
「あー、とっても可愛いですご主人様、もっとしゅきしゅき言ってください」
「ひゃ……♡まっ……うぉおっ♡♡」
「ご主人様、しゅきしゅき言ってくださらないのですか?」
「しゅ、しゅううあっ♡♡っはぁあああ♡♡」
フェルにおねだりされたように、喉から好意を振り絞ろうとするけど、前立腺や精嚢をひと際強く抉られ、快感で全身が収縮してしまう。
口から嬌声しか出せない、出させてくれない。そんな様子をじぃーっと無機質な瞳で見つめられ、被虐的な興奮が膨れ上がる。
「ご主人様はフェルの純情を弄びました、罰を与えます」
壊れたフェルは僕のことを慮ってくれない。僕の意思を無視して、蔑ろにして、一方的にもてあそぶ。
理不尽に怒りながら、僕を気持ちよくして壊すための口実を、ひたすら探して……♡
「演算の結果、『ラバースーツ抱き込み監禁快楽拷問』が一番妥当な処分と判断」
「拘束を行います」
また聞きなれない単語。ラバースーツ?監禁?快楽拷問?
ナニされるか分からない、こわい、ホントに、フェルは、僕を壊しちゃって……♡
快楽で壊して、バラバラにして、ずっと弄ぶ気なんだ……♡こわい……♡
「しっかり掴まってください、ご主人様」
その声と共にぎゅっと抱きしめられ、持ち上げられる。
いわゆる『だっこ』の状態。でも、普通のだっことは違って、ナニは蜜壺に飲み込まれたままで、お尻には尻尾を刺し込まれていて、さらにフェルのおっぱいに顔を挟まれてしまっていて……
「では、『表皮』の分泌を開始します」
ぶちゅる……
突然、生暖かい感覚が背中に伝わる。
プルプルで、ヌルヌルで、蠢いていって、徐々に背中を這ってお尻や脚、肩にも暖かい感覚が伝わっていく。
「ひゃぁっ♡や、ひぅっ……♡うぅぅっ♡♡」
まるで別の生き物に全身を取り込まれてしまっているような感覚。それに伴うくすぐったい感覚に嬌声を上げて体を震わせることしか出来ない。
フェルの谷間に顔を押し付けて、ぶるぶると快感に体を震わせて……♡機械の肌のはずなのに、脳を蕩けさせるような匂いがする谷間で精一杯呼吸をしながら……♡
「拘束が完了しました、ご主人様」
「え、な、なにこれぇ……!?」
フェルの声によって、惚けていた脳が覚醒するが……認識したのは非情な現実。
ぴっちりとした『表皮』がフェルの体ごと僕を覆いこんでいて、身じろぎ一つ取れなくなってしまっていた。
フェルのすべすべの肌に磔にされ、薄い牢獄の中に閉じ込められてしまって……
「スライム種のショゴスの特性を模倣した、フェルの表皮はいかがでしょうか?」
「魔力量によって特性が変化し、ゲル状の形態から……今のような薄くて丈夫な被膜にもなります」
「うぁ……♡」
ゆさゆさと揺さぶられる。絹のように滑らかな肌の感触が伝わり、言いようのない心地良さで全身が甘く縛られてしまう。
唯一、頭だけが被膜から解放されているが……豊満な胸に視界を阻まれ、フェルの顔を見上げることしか出来ない。
水面から顔を出す魚のように……みっともなく、口を開けて……フェルから与えられる愛に溺れることしか……♡
「今、ご主人様は、フェルの素肌と表皮の間にぴっちりと閉じ込められてしまいました」
「フェルとぴったり密着して、身じろぎ一つできない状況です」
「もはや、同化と言っても過言ではありません」
「ご主人様はフェルに、取り込まれてしまいました」
「自力での脱出は不可能です」
フェルの淡々とした声色が耳の奥に響く。
その言葉の一つ一つが、逃がす気なんて全くないと言外に伝えてきて、右脳がくすぐったくなる。
ゾクゾクと、破滅的で甘美すぎる結末に怖れるように、頭から首筋にかけて電流が這い巡る。
「このまま、永久に、フェルの内蔵エナジータンクとして生き続けるのです」
「いかがでしょうか、ご主人様?」
ピチピチスーツがきゅぅぅ……っと、圧縮するように締め付けてきて、その圧迫感で安心感のようなモノが伝わる。
肌と肌がより一層くっついて、そのままゆっくりとぺちゃんこにされて、その境界線が分からなくなるような不思議な安心感が……♡
ちがう……♡取り込まれて……フェルのパーツにされちゃってるんだ……♡メスのカマキリが番を食べるように僕を取り込んで……♡
「だ、だめ……♡♡たすけてぇ……♡♡」
一緒になりたい……♡でも、こわい……こわいから、たすけてほしい……♡
たすけてフェル……♡だいしゅきだからもっと僕をおしつぶして……♡
同化へ恐怖を和らげるためにフェルに愛情の圧し潰しを求めてしまって、本能的に逃避的な言葉を出してしまう。
それが、感情を爆発させるのには十分すぎるなんて……とっくに分かっていたのに
「……逃避行動を確認」
「や、ちがっ……ちがうぅぅっ♡♡」
バチバチっと白い電流が頭の中で弾ける。
粗い肉ブラシの渦に飲み込まれ、ぞりゅぞりゅと、カリ首や裏筋といった敏感なところを素早く擦りあげられて、許容量を超えた快楽が送り込まれる。
大きく膨張した竿が包み込まれて激しくもみ洗いされてしまって、抗いようのない射精感がこみ上げてきて……
びゅるるるっ♡
びゅるるるるるっ♡
すでに何度も何度も精を搾り取られたせいか、壊れた蛇口のようにびゅるびゅると放出してしまう。
腰が勝手に痙攣してしまうほどの快楽……♡逃げたい、気持ち良すぎて逃げたい……そう思って腰を引こうにも、ぴっちりとした表皮に包み込まれて固定されているから逃げることなんて出来るわけもなくて……
「あっ♡ひゃぁあっ♡や、なにこれぇっ♡」
「フェルはオートマトンですので、通常の生物では不可能な膣の回転運動も可能です」
「つまり、このようにフェルのおまんこに密着固定された状態でも効率的に精液を、びゅー、びゅー、と搾り取ることが出来るということです」
「やっ♡しゃせぇっ……♡とまらっ……♡」
射精している間も貪欲な咀嚼は止まらない。淡々と説明されつつ、顔をジッと覗き込まれて、ナカで肉棒をかき混ぜられる。
知覚の限界を超える速度で擦りあげられつつ、乳搾りするかのように竿の根元から先端に向けてぎゅうぅ……と圧迫され、裏筋を丁寧に舐るような刺激で射精を促進させられて……
まるで無数の生き物に巻き付かれ、我先に精液を奪い合っているかのような、そんな貪欲すぎる搾精運動に抗うことも出来ずに、延々と精を吐き出してしまう。
びゅーっ♡
びゅるるるるるっ♡
びゅる……♡
びゅ……♡
「射精運動の減衰を確認……」
「おっ……♡はぁ……♡」
長い長い射精がようやく収まってきて、体が心地よい疲労感に包まれる。
「ですが、精嚢に精子を隠し持っていますね」
「どうして全てフェルに捧げて頂けないでしょうか?」
「精液の最後の一滴も、この可愛い表情も、愛おしいほど柔らかな身体も、全部、全部フェルの物のはずです」
「フェルとご主人様は一心同体で同一の存在ですので、全部フェルが没収いたします、そして管理して差し上げます」
「それがご主人様の幸福です」
「うぁ……♡」
また、フェルの暴走した愛情の波に飲み込まれてしまう。
このひどい独占欲に満たされた狂った囁きを聞いているだけで、僕もおかしくなるほどフェルを求めることしか考えられなくなって……
ぐりぃっ♡
「おぉあっっ♡」
突然、お尻の中のモノが気持ちいいところをぐりぃっと抉る。
それによって、先ほどの暴力的で一方的な快楽がフラッシュバックしてしまって……期待で体が震える。
「フェルの尻尾による前立腺マッサージはいかがでしょうか?
「このまま吐精措置を行います、隠し持っている精液は一滴残らず没収します」
「きゅぅっと締めて存分に漏らしてください」
「やっ……♡やぁぁっ♡♡」
無慈悲な搾精宣告。このままだと精液どころか、『僕』ごと没収されちゃう……♡
身体をくねらせてささやかな抵抗をするけど、却ってお尻の中のかき混ぜられ、飲み込まれているナニもイボイボに擦りあげられてしまって、気持ち良さで真っ白に塗りつぶされてしまう。
反射的にキュッとお尻に力を入れてしまうが……そのせいで体のナカがパンパンに張りつめるような感じがしてきて……
「お尻をきゅぅっと締めて、射精を我慢しても無駄です」
「むしろ、余計に前立腺をぐりぃっとイジメられて、より射精を……大きなオーガズムの兆候を確認」
「こ、これっ♡へんっ♡いままでとちがぅぅっ♡♡」
射精の開放感とは逆のような……圧縮感。
きゅぅぅ……と前立腺がパンパンに張りつめて、お腹の下が、胸の奥がくすぐったくも中心に集まっていくような不思議な感覚で……
ナニカが来る、と予感することしかできない。
「腰やお腹の奥がキュンキュンと締まって、全身がこわばって、震えているのが分かりますか?」
「やぁっ……♡きょわぃ……♡」
全身の筋肉が異常に硬直して、身体を圧し潰すような、圧縮するような感覚。
快楽の塊が徐々に腰の奥に溜まっていって、それがカチカチに圧縮されて、体に快楽の波が反響する。
キーン……と静かに反響して、全身に微弱な電流が流れる。嵐の前の静けさのような、奇妙な安堵と恐怖に囚われる。
知らない感覚、全身をバチバチを弾けさせる快楽とはまた違った……オスとしての本能が恐怖するような感覚。
「きょわがらないでください」
「本来であれば射精を伴った長時間のオーガズムは迎えることは出来ませんが……」
「フェル特製の媚薬の効果により、射精しても性感が衰えることがなくなったため、このような現象が発生していると思われます」
「それゆえ、射精しつつもメスイキ特有の連続絶頂を体感することが可能です」
「フェルに身を委ね、安心してイキ狂ってください……」
「うぉ……♡やぁ……♡」
「抵抗は無駄です」
「フェルに情けない顔を見せながら……全身を震わせて……」
上からジッと目を合わされる。無機質ながらも紫色に妖しく光る瞳に覗き込まれる。
自分を支配する、全て管理してくれる大好きなフェルの顔を見せつけられて、ゾクゾクとした屈服感がこみ上げる。
それがトリガーとなって……緊張しきった体の限界が、くる、くるっ♡きちゃうっ♡
痙攣が激しくなって、抑えつけられなくなって、フェルの微かに口元が三日月に歪んで……
「……イけ♡」
その短い言葉で、叩き割られる。
我慢を、理性を、自分が、膨大な快楽を支え切れなくなって、粉々に砕けて崩れてしまう。
「ぅぁっっ♡♡♡」
くる、くるっ♡きちゃうっ♡
きゅんきゅんと前立腺が締めあげられて、腹部の底がズーン……と中心に集まってきて、おかしくなる……♡
もう、だめ、だめぇっ♡たすけ
「ーーっっ♡♡」
弾ける。
真っ白い快楽で頭の中を塗りつぶされ、緊張が一気に解かれる。
気持ちいい波が体中を反響して、至る所で共鳴して、快感が増幅されていく。
細胞の一つ一つが、不規則で、不定期的に、ビクンと快楽に震えてしまって、その度に脳内が幸福で埋め尽くされる。
どくっどくっどくっ♡
射精も止まらない。
気持ちよくて、止められなくて、勝手に脈動して漏れ出てしまう。
全身が性感帯のように敏感になってしまった今では、体をぴっちり包んでいる表皮と少し擦れるだけでも、亀頭をザラザラの生地で擦ったかのような痺れる快感に襲われてしまって……♡
「っか……♡っはぁ……♡」
快楽に全身を震わせている間も、トーントーン……とお尻と腰の境目を軽く叩いて、腰の奥へと響かせる。
その振動が尾骨から脊髄に伝わって、快楽の波が、さらに増幅されて脳に伝わって、視界が白く焼き切れる。
肺から空気を吐き出すことしか出来ない。
でも、ツラさは全くない。それどころか、より深い快楽を心の底から求めるようになってしまって……自ら体をよじって、少しでも快楽を貪ろうとしてしまう。
肌からピリピリとした快楽が伝わって……腰を震わしてフェルの搾精器官のより深くへと肉棒を押し込んで、一滴でも多く精液を絞り出して……もっと気持ちよく……♡
「あー、フェルにメチャクチャにされてビクビクと震えているご主人様だいしゅきです、これは危険物です、フェルの中で封印すべきです」
「早速、『フェルしゅきしゅき内蔵型エナジータンクご主人様加工調教』の仕上げに移りましょう」
ぎゅっと抱き上げられる。
「仕上げとして、改めて認証登録をいたします」
「ぅ……ま、また、きしゅ……♡」
認証登録、その言葉を聞くだけで昨晩の記憶がよみがえる。
あのキスをもう一度してくれる……そう思うだけでドクンと心臓が脈打つ。
動悸が激しくなって……たまらない、はやく、キスしてほしい……♡
「そう、きしゅします」
「……ですが、昨晩のソレとは違って、フェル専用エナジータンクとしての認証登録です」
「ぇ、ぁぁ……♡」
「フェルを構成する大切なパーツの一部として、ご主人様を登録してしまいます」
「奉仕すべき大切なご主人様から、フェルの気が赴くままに搾り取られるエナジータンクへと……」
「ご主人様の中枢回路にも、これからの所有者となるフェルの全てを刻み込みます」
「フェルのこの長い舌に触れてしまえば最後、認証登録を開始してしまいます」
チロリと唇から舌がはみ出る。とても蠱惑的な仕草で、愛おしいフェルにさらに恋をしてしまう。
恐ろしいことを言ってる気がしたけど、完全に蕩け切った脳ではどれもこれも素晴らしい誘い文句にしか聞こえなくて……もはや選択肢は一つしかなかった。
「では……どうぞ、ご主人様」
はしたなく口を開けて、舌をながーく突き出してくる。
ピンク色で、肉厚で……口内に侵入して魂ごと啜り取られるような、そんなディープキスをしてくる、あの舌がチロチロと獲物が近寄るのを待っている……♡
快楽で焼き切られた脳では、ひな鳥のように本能に従って愛を求めることしか考えられなくなって、僕もみっともなく舌を突き出して……
ちろ……♡
触れた。生暖かい舌に触れて、フェルとの信号が繋がってしまって……
じゅる……♡
絡め取られる。
僕の舌を辿って、巻き付いてきて、そのまま口の中への侵入を許してしまう。
ちゅう……♡
じゅぷっ……♡
舌がずるずると入り込んで、粘り気のある唾液を流し込まれる。
頭の中で唾液が絡み合う音が響き、舌同士が絡み合う感覚でバチバチと火花が散る。
フェルと繋がっている。
全身隙間なく密着している。お尻の中も、口の中も、ナニも、隙間なく同化してしまった。
その同化した所からは、絶え間なく快感信号が送られてきて、脊髄から脳を熔けさせるほどの電流が流れ込む。
バチバチ……と頭の中が常に弾ける。脊髄が勝手に痙攣して、悦びで、体が震える。
首が、腰が、お腹が、お尻が、脚が、全身が、全部気持ち良くて、ドロドロに溶けてしまっているようで……
これがフェルの一部になるということ
暴力的な快感で『僕』がゆっくりとぺちゃんこにされて、フェルに吸収されちゃう……♡
まともな自我すら保てなくなって、フェルから送られる快楽信号に応じて体を震わせるだけのパーツに……♡
頭の片隅に残っていた理性が、やだっやだっ、と駄々をこねて微かに抵抗するけど
じゅるるっ……♡
じゅぞぞぞぞ♡♡
吸われる。
舌を吸われて、自我を、理性を、抵抗の意思を吸い付くされていってしまって、頭の中が桃色の感情で埋め尽くされる。
ちゅうぅぅ……♡
びゅるるるるるっ♡
こりっこりっ♡
すりすり……♡
舌を深く深く吸われると頭の中で閃光がバチバチと弾けてしまって、その快楽信号が脊髄を通って全身を震わせながら腰に到達して、ナカでひたすら磨き上げられているナニに繋がって、びゅるびゅると射精してしまって、それと共にお尻の中の尻尾がコリコリと前立腺を抉って、下腹部の奥にある快楽の球をパンパンに腫れさせてしまって、その気持ちよさから逃れようと身をよじってしまうとサラサラの表皮とスベスベの肌と擦れてしまってビリビリと痙攣してしまうような瞬発的な快感に襲われて、許容量を超えた快楽が身体に溜まってしまってそれを放電するための大きな絶頂が……またっ、くるっ、きちゃうっ♡
こんなのっ……何回もされたらっもうホントにフェルのエナジータンクになっちゃうっ♡なりたいっ♡はやく、つぶしてっ♡僕の脳をこわしてっ♡フェルでいっぱいにっ♡あっ……♡
ーーっっ♡
……♡♡
…
…
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…
……
心地よい……
全身があったかくて、気持ち良くて、安心する……
ゆっくり、ゆっくりと思考がまどろみから覚めていって、今は……なにをしていたんだっけ……?
徐々に感覚が呼び覚まされて、横になっていることに気がついて、瞼をゆっくりと開けると
「お目覚めになりましたか、ご主人様」
とても綺麗で、美しい無表情が、こちらを覗き込んでいた。
突然のことに驚き、体をビクリと震わせると共に、記憶がよみがえる。
フェルに欲望がバレて、抱きしめられ、エナジータンクに調教されて、表皮の中に閉じ込められて、快楽で壊されてしまったことを……
でも、今は拘束が解かれていて、いわゆる膝枕の体勢で寝ていた。
「とてもお疲れ様のようでしたので、安眠機能を使用いたしました」
フェルは何事もなかったかのようにそう言う。
表情を一切変えずに、淡々と。記憶の中のような激しい情愛は垣間見えない。
僕の思考も普段通り明確で、後遺症なんてまるでないように思える。
じゃあ……あれは夢?
そんな考えが思いつく。
確かに、非日常的すぎて、とても現実とは思えないほどの行為。
だから、それを確かめるために口を開くけど
「その、フェル……ぅ……♡」
「いかがいたしました?ご主人様」
『フェル』という名前を口にした途端、心が跳ねてしまう。
あの快楽が、調教が、潰れてしまうような愛情がフラッシュバックしてしまって、頭がかぁっと熱くなる。
熱の中に突然放り込まれて、視界がもう愛おしいフェル以外見えなくなってしまって……
「うぁ……♡す、好き……♡」
純粋な好意の言葉が溢れてしまう。心の底から好きという感情に埋め尽くされて、気持ちいい……♡
「『フェルだいしゅきエナジータンク調教』の成果が出ているようですね」
「フェルもご主人様のことが大好きです」
「ぼ、僕も好きっ♡」
あの調教は夢なんかじゃなくて現実、それが分かっただけで途轍もなく幸福で、さらにフェルに好きと言われて、悦びで全身が震える。
もう、身も心も完全にフェルから離れられなくなってしまった。拘束はされていないけど、離れようなんて気は全く起きない。
フェルのことが好きだからずっと一緒に居たい、そんな欲望しかなくなってしまう。
「しゅきですご主人様……ですが、それ以上愛を囁かれるとまた暴走してしまいますので、今だけはお控えください」
「あっ、う、うん、分かった」
そんな愛情表現を少しだけ咎められる。
その無表情からは何か伝えたいことがあるのと、激しい情欲がぐつぐつと煮え始めているのが伺える。
フェルの話をちゃんと聞こうと、溢れ出る好意に何とか蓋をする。
「ご主人様にお見せしたいモノがあります」
フェルはそう言うと、優しく僕の体を起こして立ち上がる。
「こちらへどうぞ」
手を差し伸べてくる。白磁のように艶があって美しい手に見とれながら、その手を握る。
コツコツと二人でゆっくり歩く。まるで夫婦みたいな行為に、気分が高揚する。フェルと一緒にすることなら、こんな些細な動作ですらドキドキとしてしまう。
そんな幸せな感情で胸がいっぱいになりつつ、カーテンで閉め切られた窓へと案内される。
「外をご覧ください」
外……?
一体何があるのだろうか。何かが用意されているのだろうか?
そう思いつつもカーテンを捲りあげると……
「……えっ」
人が襲われていた。
翼を生やした魔物に、尻尾が生えた魔物に、毛が生えた魔物に、青白い肌の魔物に、組み伏せられたり、抱きしめられていたり、脚で踏まれてたり……
白濁にまみれて、粘液でぐちゃぐちゃになって、お互いに絡み合って、男は体を震わせて、女……魔物はそれを抑え込むように体を打ち付けて、更なる快楽を貪ろうとしていて……
以前の僕なら阿鼻叫喚と言い表していただろう。けれども、すでにフェルによってこの行為の素晴らしさを覚え込まされていたので……この光景を天国のように感じてしまった。
「いかがでしょうか」
「人が、あらゆる苦しみや我慢から解放されて、幸せになる様子は……いつ見ても素晴らしいモノです」
フェルは淡々とそう呟く。
まるで、こんな光景を幾度となく見てきたかのような言葉が落ちてくる。
「ずっと、憧れていました」
「造り物であるフェルも、こうして交わり合い、愛を伝えあって、幸せを感じることを」
独白がぽつりぽつりと落ちてくる。ほんの少しだけ悲壮を孕んだような、そんな声が聞こえる。
「ご主人様」
「フェルと一緒に悠久の時を過ごすことを、約束していただけますか?」
そう、ハッキリと言われる。
手は固く握られて、緊張しているのが伝わる。
フェルがどれだけの時間を生きていたのか分からない。
もしかしたら、何百年も存在していて、『愛』に恋焦がれていたのかもしれない。
僕は、そんなフェルに愛情を抱かせてしまったのかもしれない。
この告白はフェルの長年の夢なのかもしれない。
いや、もしかしたら、あの最初の『認証登録』の時点で……
でも、その時の僕は認識がとても甘くて、そんなに重い物だとは思っていなかった。
だから、これは仕切り直しで、改めて約束をしたい。了承を得たい。そんな想いからの行為なのだと思う。
なら、僕はこの想いに答えて……
フェルのことは好きだし、フェルと僕にとって大事な思い出になる一瞬だから、ちゃんと答えないといけない。
そうしないといけないけど……
ズルい
感情がふつふつと湧き上がる。
こんな、名前を呼ぶだけ心が跳ねるぐらいに調教し尽くして、絶対に断れない状態にしてから告白するなんて、ズルい。
僕のことを無理やりメチャクチャにして、フェルのことが大好きなエナジータンクに加工したのに、こんな綺麗な告白をするなんて……
だから、ささやかな仕返し。
固く握られた手を取って、その甲にキスをする。
白い肌にちゅぅっと吸い付いて、軽く噛みつく。そして、そのまま口を放す。
これ以上になくカッコつけて、フェルの記憶にこの一瞬を焼き付けて……
「約束するよ、フェルと共に永遠を過ごすことを」
「だいしゅきだよ……ふぇ、フェル……」
噛んだ。
とても大事なところで噛んでしまった。
羞恥で顔が真っ赤になってしまうのが分かる。
こんな締まらない言葉で、申し訳ないし、恥ずかしいし、フェルにどう顔向けしたらいいか分からなくて……
「……ホントにかわいいですご主人様、ダメです、こんなのズルいです」
「フェルが頑張って理性保っていたのに全て破壊してくるご主人様はお望み通り調教して快楽で壊して差し上げます」
「ちょっ……まっ、あぁ……やめてぇっ♡」
抱きつかれ、体をまさぐられ、また『調教』が始まってしまう。
手はヒンヤリとしているけど、その行為はとても熱っぽくて、執着で溢れていて、心が熔かされていく。
フェルとの熱い永遠が、これから始まる。
21/05/03 12:49更新 / よね、