読切小説
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捨てる神あれば…あふたー×4
やあどうも、毎度お馴染み一文字です。

「よっと…。」

ポチャン

ん?何をしてるのかって?
いやね、最近家の財政がキツいから釣りして食材を確保してるんですよ。宵達も例に漏れず着いてきてます。
一応待ってなさいとは言ったんですがね、半泣きで言い寄られちゃ断りようがないってもんですよ。
っつーか宵達の泣き顔見て断れるやつが居たらそいつはある意味神。

「ごしゅじんしゃま〜。」
「ん〜?」

胡座の中に座っていた宵が体をよじ登りながら話しかけてきた。

「どした?」
「ひまにゃ〜。あそんでほしいにゃ〜。」
「釣りは忍耐、我慢しなさい。」
「む〜…。」

宵は可愛らしく頬を膨らませると、勢いよくあっしの顔に飛び付いてきた。

「むうっ!?」

うっひょ〜、ふもっふふもっふ。
…って、前見えませんがな。晩御飯獲れなくなるぞ?

「あ〜そ〜ぶ〜にゃ〜!」
「…ご飯無しでいいなら遊んであげよう。」
「それもや〜…。」
「我儘は許しません、どっちかだけ。」
「む〜…。」

そりゃあ、あっしだって遊んでやりたいけどね。何分晩飯懸かってますからね、厳しくもなります。

「…で、どっちにする?」
「…ごはん。」
「じゃあ、降りなさい。」
「は〜い…。」

宵の返事と共に、視界が一気に開ける。再び胡座の中に戻った宵は不機嫌そうに頬を膨らませて浮きを睨めつけていた。
…あれ、トウは何処だ?まさか落ちてるなんて事無いよな…。

「トウー?」
「はいニャー。」

声がした方向に向いてみると、トウはクーラーボックスの上に乗って海の中を除き込んでいた。
…よかった。

「トウ、こっちに来なさい。」
「?はいニャ。」

トウがクーラーボックスを降りて此方に走ってきた。

「どうしたニャ?ご主人。」
「いや、別に…。」
「?」

きょとんとしているトウを片手で抱き上げ、宵がいない方の足の上に乗せてやる。
…何ですか、別にいいじゃないですか。心配なんですよ、悪いかこんちくしょう。

「ご主人の足の上♪」

ポチャン!

「ごしゅじんしゃま、まんまるしずんだにゃ!」
「おう!!」

リールを巻き上げ、竿を振り上げる。その瞬間、竿を伝ってかなりの重みが腕にかかった。

「お、大物っぽいな!宵、トウ、一旦降りて!!」
「「はいにゃ!」」

宵逹が足から降りると同時に立ち上がり、魚の引きに竿を合わせる。
この引き…チヌかキビレか!

「二人とも、今夜は塩焼きな!!」
「「にゃ〜!」」

ザバァッ!!

釣り上げてみるとそれは…。

「ボラかよ…。」
「「?」」

食おうとしてもあまり美味しくないデカボラだったそうな…。
でも食えない訳ではないので取り敢えずシメてクーラーボックスにぶち込んでおく。

「…さ、次釣るぞ〜。」
「「は〜い。」」

さっきのテンションはいずこやら、完全に不機嫌な顔をして再び胡座をかいた。



この後、夜までねばったが釣れたのは三日分程度だったという…。
11/12/05 23:14更新 / 二文字(携帯版一文字)

■作者メッセージ
魚オンリーで一週間耐えきれるかな…。
しかも釣れた三割はボラだし…。嗚呼、無常…。

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