第二夜
―――――― レスカティエ
「あたしはね、おかしいと思うわよ?」
「あ?何が?」
サッテライナーの乗り場に向かう途中、リンがアカネにぽそりと呟いた。
「だって、だってよ?あたしはあのデルエラ様にインタビューするって此処に来たのよ?」
「いや、だからやったじゃん。インタビュー。」
「ええ。そこに関しては文句はないわ。現に楽しかったし。でもね、いくら何でも人を騙してまで企画をする必要は無いんじゃないかしら?」
「…いやいや、さっきのリンの驚きっぷりは必要なものだよ。…今後に置いても」
「え?そ、そう?…ま、まあ面白そうだし、付き合ってあげるわ。」
「…くっくっ。」
ほんのりと頬を染めるリンを横目に、声を押し殺して笑うアカネ。
「…あ、多分凄い驚いてるあたしを見て笑ってる視聴者に一言あるわ。」
「何ですか?」
「全部見ないと石化させるわよ。」
「視聴者を脅さないで下さい。」
「そろそろ着くぞ〜。」
「え?何処に?」
「本屋」
「今から本屋で何買うのよ!?」
「時刻表」
「んなもん最初に買っときなさいよ!!」
―――――― 数分後
「…ある?」
「あぁ〜ありましたサッテライナー!出発時刻…午後7時」
今しがた買ったばかりの時刻表を除き込み、サッテライナーの出発時刻を調べるリンとミカゲ。
ミカゲが出発時刻を呟くと、アカネは近くにあった時計を見上げた。
「ぶはははははは!今から3時間!?」
「で、着くのは?」
「午前7時」
「ぶはははははは!!」
べろんべろんに酔っ払ったアカオニの爆笑する声が、夕方前のレスカティエに響き渡った。
―――――― 3時間後
真っ暗な夜空の中、それぞれの家路に着こうと馬車に乗る魔物やその伴侶を背にミカゲがカメラを回した。
「さあ、我々は今から西ナバール地方はシム・シティへ。」
「ね、もう来ちゃってるものシム・シティ行きのサッテライナー…。」
「…で、何でもこのサッテライナー。シム・シティに着くのが明日の朝7時になると…。」
「12時間もこの馬車に乗るのよねぇ…。」
時折後ろに佇む地獄への特急をチラチラと見ながら完全に意気消沈している二人の間に、ニヤニヤと見つめていたアカネの声が割って入ってきた。
「あのねぇ、言い忘れてたんだけどシム・シティには温泉があるのさ。」
「え?本当?」
「本当本当。」
「…なら、まだ嬉しいな。」
「ね、それ魅力。」
「でしょ?」
「お話中すいませんが、そろそろ時間なんで乗りましょうか。」
いけしゃあしゃあと乗車を促すカラステングをリン達は思いっ切り睨み付け、馬車のスロープに足を掛けた。
「…何であんな目出したのよ。」
「…私に訊くな。」
――――――
「…出ちゃったわね。」
「…思ったより、揺れるなぁ…。」
ガタガタと揺れ続ける馬車の中、リンとエリザは既に顔色が悪くなっていた。
「…今、時間を確認した所30分も経ってないんだが…。」
「どうしたのよ?」
「弱音吐いてもいい?」
「いやいや、いくら何でも早いわ。…っていうか、アンタに弱音を吐かれちゃあたしは合わせる顔がないわよ。あたしは騙されて来てるんだから。」
「いや、だって違う方向へ行くとは思って無かったから…。」
「フフフフッ…。いや、だからエリザが3なんて出すからでしょ?1、2、4と良い目だったじゃない。」
「いやn」
ガタン!
エリザがリンに反論しようとしたその時、馬車が石に躓いたのか大きく揺れた。それと同時に、二人の顔色も一段と悪くなった。さながらゾンビといったところか。
「…揺れるなぁ。」
「ほんと、何であんな目を出したのよ…。」
「すまん…。」
もう只々謝る事しか出来なくなってしまったエリザ。その様子を黙々と録っていたミカゲも隣にいる酔っ払いアカオニから漂う酒の臭いで何気にヤバかったのはまた別の話。
「あたしはね、おかしいと思うわよ?」
「あ?何が?」
サッテライナーの乗り場に向かう途中、リンがアカネにぽそりと呟いた。
「だって、だってよ?あたしはあのデルエラ様にインタビューするって此処に来たのよ?」
「いや、だからやったじゃん。インタビュー。」
「ええ。そこに関しては文句はないわ。現に楽しかったし。でもね、いくら何でも人を騙してまで企画をする必要は無いんじゃないかしら?」
「…いやいや、さっきのリンの驚きっぷりは必要なものだよ。…今後に置いても」
「え?そ、そう?…ま、まあ面白そうだし、付き合ってあげるわ。」
「…くっくっ。」
ほんのりと頬を染めるリンを横目に、声を押し殺して笑うアカネ。
「…あ、多分凄い驚いてるあたしを見て笑ってる視聴者に一言あるわ。」
「何ですか?」
「全部見ないと石化させるわよ。」
「視聴者を脅さないで下さい。」
「そろそろ着くぞ〜。」
「え?何処に?」
「本屋」
「今から本屋で何買うのよ!?」
「時刻表」
「んなもん最初に買っときなさいよ!!」
―――――― 数分後
「…ある?」
「あぁ〜ありましたサッテライナー!出発時刻…午後7時」
今しがた買ったばかりの時刻表を除き込み、サッテライナーの出発時刻を調べるリンとミカゲ。
ミカゲが出発時刻を呟くと、アカネは近くにあった時計を見上げた。
「ぶはははははは!今から3時間!?」
「で、着くのは?」
「午前7時」
「ぶはははははは!!」
べろんべろんに酔っ払ったアカオニの爆笑する声が、夕方前のレスカティエに響き渡った。
―――――― 3時間後
真っ暗な夜空の中、それぞれの家路に着こうと馬車に乗る魔物やその伴侶を背にミカゲがカメラを回した。
「さあ、我々は今から西ナバール地方はシム・シティへ。」
「ね、もう来ちゃってるものシム・シティ行きのサッテライナー…。」
「…で、何でもこのサッテライナー。シム・シティに着くのが明日の朝7時になると…。」
「12時間もこの馬車に乗るのよねぇ…。」
時折後ろに佇む地獄への特急をチラチラと見ながら完全に意気消沈している二人の間に、ニヤニヤと見つめていたアカネの声が割って入ってきた。
「あのねぇ、言い忘れてたんだけどシム・シティには温泉があるのさ。」
「え?本当?」
「本当本当。」
「…なら、まだ嬉しいな。」
「ね、それ魅力。」
「でしょ?」
「お話中すいませんが、そろそろ時間なんで乗りましょうか。」
いけしゃあしゃあと乗車を促すカラステングをリン達は思いっ切り睨み付け、馬車のスロープに足を掛けた。
「…何であんな目出したのよ。」
「…私に訊くな。」
――――――
「…出ちゃったわね。」
「…思ったより、揺れるなぁ…。」
ガタガタと揺れ続ける馬車の中、リンとエリザは既に顔色が悪くなっていた。
「…今、時間を確認した所30分も経ってないんだが…。」
「どうしたのよ?」
「弱音吐いてもいい?」
「いやいや、いくら何でも早いわ。…っていうか、アンタに弱音を吐かれちゃあたしは合わせる顔がないわよ。あたしは騙されて来てるんだから。」
「いや、だって違う方向へ行くとは思って無かったから…。」
「フフフフッ…。いや、だからエリザが3なんて出すからでしょ?1、2、4と良い目だったじゃない。」
「いやn」
ガタン!
エリザがリンに反論しようとしたその時、馬車が石に躓いたのか大きく揺れた。それと同時に、二人の顔色も一段と悪くなった。さながらゾンビといったところか。
「…揺れるなぁ。」
「ほんと、何であんな目を出したのよ…。」
「すまん…。」
もう只々謝る事しか出来なくなってしまったエリザ。その様子を黙々と録っていたミカゲも隣にいる酔っ払いアカオニから漂う酒の臭いで何気にヤバかったのはまた別の話。
12/08/01 17:58更新 / 二文字(携帯版一文字)
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