連載小説
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…………え、何処此処?
―――――― 魔王城東塔 魔法実験行使部署 署長室


「ば、バフォ様〜!た、大変!!大変ですぅ〜!!」

木製のドアが勢いよく開け放たれ、驚きと焦りで顔を青くした魔女が転がり込むように入ってきた。

「な、何じゃ急に。」

部屋に一つしかない机で眼鏡を掛けて書き仕事をしていたバフォメットが突然の乱入に驚きながら書類から目を上げた。

「現在実験中の、あ…あの『魔法』が暴走しました!!」
「な…何じゃとぉ!?」
「と、とにかく早く来てくださ〜い!!」
「わ、分かった!」

魔女の報告に目を丸くしたバフォメットが椅子から立ち上がり、魔女と共に慌ただしく署長室を後にした。


―――――― 魔王城 地下


「…………え、何処此処?」

夕餉を食ってる最中に突然の足元からの眩しい発光から数秒、光が弱まると共に見えたのは愛しい愛猫や馴染みある仕事道具がある我が家の居間ではなく、真っ暗でジメジメしたどっかの遺跡の石室みたいな部屋だった。ポケットに入れていたライターを灯して周りを見渡してみると、地獄の鬼が使いそうな舌を抜く為のペンチみたいなアレとかアイアンメイデンとか棘の付いた金棒とか焼印を押すための鉄とかが陳列されており、明らかに穏やかな雰囲気ではない。あ、三角木馬。

「………………。」

…ち、ちょっと待て。落ち着こう、落ち着いて今ある状況を整理しよう。

会社から帰宅→愛猫に餌→飯食う→足元光る→拷問部屋的な部屋にいる(イマココ

……………………。いかん、余計訳分からんがなってきただに。取り敢えずこっから出よう。持ってた筈の茶碗も無いし何か臭いし。

「よいしょっと…。」

甃から立ち上がり、部屋の奥にあるであろうドアを探す。

「!」

運良く直進した先にドアがあったのでノブっぽい鉄の輪を掴んで思いっ切り引いてみる。が、鍵が掛かっているらしくびくともしない。
引いて駄目なら押してみた。

「ふん…っ!」

駄目でした。
…畜生、とことんついてねぇ…。かくなる上は…。
ズボンの右ポケットからドライバーを取り出し、蝶番を探す。
…お、あったあった。よし、外s…………釘式かよ。
折角見えた光明もボルトもかくやという速さで逃げて行ったようだ。しかし諦めてはいけない。諦めたらそこで試合終了だと安西先生もおっしゃっておられる。だから諦めない。…しかしまぁ、打つ手が無いのも事実、一体どうしたものか…。

コツ…コツ…。

「!!」

ヤバい、誰か来る!?…こんな部屋に用のある人物だ…。マトモな筈が無い。今現在あっしの人生でも三本の指に入る危険な状態。どうする…!?どうするよあっし…!?

ガチャ…。

キェアアアアア!!ヒライタァアアアア!!
Σ(OwO;)


――――――


「ふんふーん♪今日は何であの人を虐めてあげようかしら♪」

開いたドアの向こうから、褐色肌にボンテージっぽい服着た白髪のボンキュッボンな色っぽいお姉さんが部屋に入ってきた。
え?あっしが何処に居るかって?…ドアの裏だよ。咄嗟にドアの左側の壁に忍者のように張りついて隠れたんだよ。じゃあ何で入ってきた人物の特徴が分かったって?ドアと壁の隙間から入ってくる瞬間が見えたんだよ。
つーか何、虐めるって。悦ぶの?『あの人』とやらは悦ぶの?マゾなの?ドMなの?我々の業界ではご褒美ですなの?
いやいや、他人の性癖気にするよりまず先に己が逃げる事が先決だ。つーか此処どこ。

「〜♪」

そっとドアから首だけ出して女性の方を見ると、女性は楽しそうに鼻歌なんか歌いながら木箱の中をガサゴソと何かを探していた。
…逃げるなら今しかないな。
ドアからゆっくり音を立てないように、かつ褐色の女性を常に視界に入れながら表へ回り込む。さらに慎重に足音を鳴らさないように一歩一歩階段を上がっていく。

「…ふぅ。」

何とか事なきを得tヴウゥウウウーーーーー!!
…え?

『地下通路ヨリ侵入者!地下通路ヨリ侵入者!!付近ノ番兵、及ビ魔導師ハ速ヤカニ捕獲セヨ!!』

え?し、侵入…者?それってまさか…あっし?
12/06/15 07:59更新 / 二文字(携帯版一文字)
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■作者メッセージ
ほのぼのつってもやっぱり最初は少しカオス(笑)

暇潰しに適当に書いていきますので、そんなに出来は気にしないで下さいwww

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