さくらのきせつ
ひらひらと。
ひらひらと。
桜並木の道で、花びらが風に吹かれてくるくると回っていました。
ここはとある学校。
卒業式の看板が立てられた校門には、たくさんの生徒たちが名残惜しそうに集まっていました。半分くらいは人間で、もう半分は魔物娘──羽を持っていたり、動物の尻尾を生やしていたり、他の人よりもえっちなことに好奇心があったりする──ともかく人間が大好きな女の子たちでした。
同じ学校を卒業したといって、付き合いがなくなる訳ではありません。これから同じところに進学したり、仲の良い友人なら連絡を取り合ったり、中出し孕まセックスをしたのでご両親に挨拶にいったりと、そうした繋がりがこれからも続くことでしょう。
だとしても、卒業という区切りを迎えることはちょっぴり少し寂しく、物悲しさを伴うことに変わりありません。これまでのことを懐かしさと共に、これからのことを希望とほんの少しの寂しさと共に語り合うのでした。あるいは睦言だったかもしれませんが。
ひらひらと。
ひらひらと。
桜の花びらを舞い散らせながら、ドリアードさんはそんな様子を愛おしそうに眺めていました。体育館裏で青姦してるカップルも、しっかりと。
ドリアードさんは思いました。季節が巡っても、長い歳月を経ても、人の子の営みは変わらないと。彼らはまだ若く、生きる力に溢れていて、それ故に互いにぶつかり合うこともあるのだと。
例えばそこのメドゥーサちゃん。彼女は蛇の髪の毛を擬態してツインテロールにしていたのですが、とある男子生徒にからかわれてしまったのだとか。じっくり『話し合い』をして理解してもらったようですが、いまだに諍いは絶えないのだとか。あっほら、からかった男子生徒もとい現恋人にまたツンデレムーブをしてる。
あっちでは後輩オークちゃんたちに囲まれてるハイオーク先輩がいますね。腕っぷしが強く、頼れるスケバン的な存在で慕われている彼女ですが、実は甘やかされるのが好きだそうで。三者面談の進路指導で『パパのお嫁さんになる』と言い放ち、養父と娘の関係が終わるこの瞬間を今や今やと待ち望んでいたようです。どんな風に押し倒されるのかを考えていたら下着もぐっしょり。メスの匂いが漂ってそうですが、もうヤってるカップルがいるのでバレてませんね、案外。
ひらひらと。
ひらひらと。
そんな時間もいつの間にか過ぎ去るものです。一人、また一人とさよならをして、夕暮れ時になるころにはすっかり閑散としていました。
下校のチャイムが鳴り響き、少ししてから校門から男の人が出てきました。あっちで盛っている番いは肛門も使うのでしょうか、嬌声の調子が遠慮のないものに変わりました。
「「おつかれさま」」
ドリアードさんは男性をお出迎えして、男性もドリアードさんをねぎらいました。二人はどちらからともなく、お互いの体を絡め合うのでした。
「今年も頑張りましたね、あなた」
「きみこそ本当におつかれさま、素敵な仕事だったよ」
男性は学校の用務員をしていました。並木の手入れをしていたら、木に宿る精霊──ドリアードさんと出会ったのです。それからなんやかんやあって二人は結ばれ、こうして子供たちを見守るお仕事に就いたのでした。なんやかんやはなんやかんやです。具体的には体育館裏を指します。
「寂しくなりますね」
ドリアードさんの気持ちに寄り添うように、男性は頷きました。元気で、生意気で、時々問題を起こす生徒たちでしたが、それでもいざ彼らがいなくなると、やはり心に隙間が出来たようでした。血こそ繋がっていませんが、息子や娘のように想っていたのかもしれません。
「出会いがあれば別れもある、いつまでもずっと一緒と言う訳にはいかないさ」
「あら? 私たちの前でそんなことを言ってしまっていいのかしら?」
「そうならないように努力するってことだよ」
あらまあうふふ、期待していますわと。ドリアードさんは頬を染めながら木のうろを広げると、男性を迎え入れるのでした。
§
それから少し月日が経って。
ひらひらと。
ひらひらと。
桜並木の道で、花びらが風に吹かれてくるくると回っていました。
ここはとある学校。
入学式の看板が立てられた校門には、たくさんの生徒たちが集まっていました。半分くらいは人間で、もう半分は魔物娘──羽を持っていたり、動物の尻尾を生やしていたり、他の人よりもえっちなことに好奇心があったりする──ともかく人間が大好きな女の子たちでした。
ある生徒はこれからの学校生活への期待に目を輝かせ、ある生徒はみんなと仲良く出来るかとちょっぴり不安気な様子をしていて、ある魔物娘はさっそく好みの男の子がいないか目を光らせていました。
桜の花びらを舞い散らせながら、ドリアードさんはそんな様子を愛おしそうに眺めていました。その足元には一つの若い芽が芽生えていました。今はまだ小さくか細い命ですが、これからすくすくと育ち、やがて大きな木に育つでしょう。並木道に並ぶ、大切な娘たちのように。
いつか散ってしまうとしても、育んできたものは受け継がれていくと。これから新たな出会いが待っている子供たちを祝福するように、ドリアードさんたちは精一杯に咲き誇るのでした。
ひらひらと。
ひらひらと。
桜の花びらは、流れる風に流されることなく、地につくその時までその身を躍らせるのでした。
ひらひらと。
桜並木の道で、花びらが風に吹かれてくるくると回っていました。
ここはとある学校。
卒業式の看板が立てられた校門には、たくさんの生徒たちが名残惜しそうに集まっていました。半分くらいは人間で、もう半分は魔物娘──羽を持っていたり、動物の尻尾を生やしていたり、他の人よりもえっちなことに好奇心があったりする──ともかく人間が大好きな女の子たちでした。
同じ学校を卒業したといって、付き合いがなくなる訳ではありません。これから同じところに進学したり、仲の良い友人なら連絡を取り合ったり、中出し孕まセックスをしたのでご両親に挨拶にいったりと、そうした繋がりがこれからも続くことでしょう。
だとしても、卒業という区切りを迎えることはちょっぴり少し寂しく、物悲しさを伴うことに変わりありません。これまでのことを懐かしさと共に、これからのことを希望とほんの少しの寂しさと共に語り合うのでした。あるいは睦言だったかもしれませんが。
ひらひらと。
ひらひらと。
桜の花びらを舞い散らせながら、ドリアードさんはそんな様子を愛おしそうに眺めていました。体育館裏で青姦してるカップルも、しっかりと。
ドリアードさんは思いました。季節が巡っても、長い歳月を経ても、人の子の営みは変わらないと。彼らはまだ若く、生きる力に溢れていて、それ故に互いにぶつかり合うこともあるのだと。
例えばそこのメドゥーサちゃん。彼女は蛇の髪の毛を擬態してツインテロールにしていたのですが、とある男子生徒にからかわれてしまったのだとか。じっくり『話し合い』をして理解してもらったようですが、いまだに諍いは絶えないのだとか。あっほら、からかった男子生徒もとい現恋人にまたツンデレムーブをしてる。
あっちでは後輩オークちゃんたちに囲まれてるハイオーク先輩がいますね。腕っぷしが強く、頼れるスケバン的な存在で慕われている彼女ですが、実は甘やかされるのが好きだそうで。三者面談の進路指導で『パパのお嫁さんになる』と言い放ち、養父と娘の関係が終わるこの瞬間を今や今やと待ち望んでいたようです。どんな風に押し倒されるのかを考えていたら下着もぐっしょり。メスの匂いが漂ってそうですが、もうヤってるカップルがいるのでバレてませんね、案外。
ひらひらと。
ひらひらと。
そんな時間もいつの間にか過ぎ去るものです。一人、また一人とさよならをして、夕暮れ時になるころにはすっかり閑散としていました。
下校のチャイムが鳴り響き、少ししてから校門から男の人が出てきました。あっちで盛っている番いは肛門も使うのでしょうか、嬌声の調子が遠慮のないものに変わりました。
「「おつかれさま」」
ドリアードさんは男性をお出迎えして、男性もドリアードさんをねぎらいました。二人はどちらからともなく、お互いの体を絡め合うのでした。
「今年も頑張りましたね、あなた」
「きみこそ本当におつかれさま、素敵な仕事だったよ」
男性は学校の用務員をしていました。並木の手入れをしていたら、木に宿る精霊──ドリアードさんと出会ったのです。それからなんやかんやあって二人は結ばれ、こうして子供たちを見守るお仕事に就いたのでした。なんやかんやはなんやかんやです。具体的には体育館裏を指します。
「寂しくなりますね」
ドリアードさんの気持ちに寄り添うように、男性は頷きました。元気で、生意気で、時々問題を起こす生徒たちでしたが、それでもいざ彼らがいなくなると、やはり心に隙間が出来たようでした。血こそ繋がっていませんが、息子や娘のように想っていたのかもしれません。
「出会いがあれば別れもある、いつまでもずっと一緒と言う訳にはいかないさ」
「あら? 私たちの前でそんなことを言ってしまっていいのかしら?」
「そうならないように努力するってことだよ」
あらまあうふふ、期待していますわと。ドリアードさんは頬を染めながら木のうろを広げると、男性を迎え入れるのでした。
§
それから少し月日が経って。
ひらひらと。
ひらひらと。
桜並木の道で、花びらが風に吹かれてくるくると回っていました。
ここはとある学校。
入学式の看板が立てられた校門には、たくさんの生徒たちが集まっていました。半分くらいは人間で、もう半分は魔物娘──羽を持っていたり、動物の尻尾を生やしていたり、他の人よりもえっちなことに好奇心があったりする──ともかく人間が大好きな女の子たちでした。
ある生徒はこれからの学校生活への期待に目を輝かせ、ある生徒はみんなと仲良く出来るかとちょっぴり不安気な様子をしていて、ある魔物娘はさっそく好みの男の子がいないか目を光らせていました。
桜の花びらを舞い散らせながら、ドリアードさんはそんな様子を愛おしそうに眺めていました。その足元には一つの若い芽が芽生えていました。今はまだ小さくか細い命ですが、これからすくすくと育ち、やがて大きな木に育つでしょう。並木道に並ぶ、大切な娘たちのように。
いつか散ってしまうとしても、育んできたものは受け継がれていくと。これから新たな出会いが待っている子供たちを祝福するように、ドリアードさんたちは精一杯に咲き誇るのでした。
ひらひらと。
ひらひらと。
桜の花びらは、流れる風に流されることなく、地につくその時までその身を躍らせるのでした。
25/04/17 19:13更新 / ナナシ