第七話 街に行こうか
皆さんこんばんは、皐です
突然ですが皆さんは甘いものはお好きですか?
ちなみに私は大好きです
よく意外がられていましたが、そんなに変なのでしょうか
美味しいものは美味しい
ただそう言っているだけなのになぁ・・・・
〜夕食の時間 食堂〜
「そうだ皐、明日の午後に二人で街に行かないか?」
「町?そんなのあんの?」
夕食の時間にエナがそう言ってきた
「ああ、距離は少し離れているがな。カラカマというところだ」
「ふ〜ん」
「この世界に慣れるためにもいろいろ見てきた方がいいだろう」
「ん〜、じゃあ行こうかな」
「では明日の魔法訓練の後にでも行こうか」
「りょーかい」
街か・・偏見とかじゃないけどテレビで見る砂漠の町って治安悪そうなんだよな〜
ちょびっと不安
「なになに?二人でお買い物ニャ?」
話していたらパーナが入ってきた
「当たり前だがお前は普通通りに見張りだ」
「え〜、私も行きたいニャ〜」
「ダメだ。お前はいつも余計な物を買ってくる」
「今度は買わニャいよ〜」
「ダ・メ・だ」
確かにパーナが余計な物を買ってくる様子が容易に想像できる気がする
「パーナどんまい」
「行〜き〜た〜い〜ニャ〜」
ダレているが俺にはどうすることもできません
「そんじゃ、ごちそうさまでした」
二人より早く夕食を食べ終えたので、一足先に部屋に戻ろう
俺は食堂を後にした
俺が去った後、こんな会話がされていたとか
「エナってば“二人っきり”で“街でデート”なんてベタだニャ〜」
「なッ!ななな何を言い出すんだ!いきなり!」
顔を真っ赤にして声を大きくするエナ
「隠さなくたっていいって〜いいニャ〜恋する乙女は」
「だっ!誰が恋する乙女だ!」
「だってあんなに楽しそうに話してるんだし〜エナってば昨日から機嫌いいニャ」
「そんなことは断じてない!!」
「必死に否定してるところが怪しいニャ〜♪」
おちょくるように話すパーナ
そうしているうちにパーナも夕食を食べ終えたようだ
「ごちそうさまニャ。エナ、明日はがんばってニャ〜♪」
「だから違うと言っているだろう!!」
「ニャハハハ〜、怒った怒った〜♪」
ピューっと音がするような勢いでパーナは急いで逃げた
「まったく!違うって言っているのに!
でも・・・デート・・・二人っきり・・・
いや待て!だから違うって!!」
〜翌日〜
朝食を食べ終わり、朝の耳揉みが終わった後、
昨日と同じように魔法訓練をした
エナ曰く、一日程度では素質はわからないとのこと
でも昨日のあれじゃあなぁ・・・・
結局昨日よりも火の玉が出ている時間が少し延びたぐらいで
大きさや外見はやっぱり線香花火だった
・・・・泣いていいですか?
「そう気を落とすな。まだまだ二日目ではないか」
「そうだけどさ・・・やっぱ悲しくなるよ・・・」
俺だってなあ!ドラ○エみたいにメ○とか撃ちたいよ!
でもメ○じゃないじゃん!線香花火じゃん!!
「さて、そろそろ街に行くか」
「そういえば徒歩で行くの?」
正直砂漠を歩くとか思い出すだけでげんなりするのですが
「いや、私の転移魔法で」
本気で泣きたくなりました
〜砂漠の街 カラカマ〜
昨日はちょびっと不安だったが、来てみるといい街であることがわかった
まずテレビで見たようなところではなく、きちんと整備されているし
小さな都市のような感じで賑わっている
外が砂漠なんて思えないほど住みやすそうだ
「なんかかなり想像と違うな〜」
「なんだ、石作りの整備の行き届いていない街かと思ったか?」
「少し・・・」
「数十年前まではそのようだったらしいが、ここの長が変わってからこのような住みやすい街になったそうだ」
とりあえずエナに街を案内されながら散策することになった
「それであれが〜〜で、あっちにあるのが・・・・・・」
道中、人間の商人に混じって魔物も数多くいて、
中には小学生ぐらいのツノの生えた魔物が人を多く集めていた
確かあれは・・・ゴブリンだっけ?
「さて、だいたいは回ったな。私は買い物をしてくるから自由に回っていてくれ」
「回れって言ったって、こんなんじゃ俺迷いそうなんだけど・・・」
「心配ない。これを持っていてくれ」
そう言ってエナは青いガラス玉みたいなものを渡してきた
「何コレ?」
「簡単に言うとお前がそれを持って入れば、私に居場所がわかる魔法具だ」
要するに発信機みたいなもん?
「あと何か買いたかったらこれで買うといい」
エナが皮袋を渡してきた
振るとジャラジャラと音がする
・・・これってお金?
「いいのか?こんなの貰っちゃって」
「別に構わん。ささやかなお祝いだと思えばいい」
「それじゃあ、お言葉に甘えて・・・・」
「うむ、それとこれも渡しておく」
次は小さな袋を渡された
「昨日のうちに作っておいた。これからは肌身離さず持っていてくれ」
「これはなんなの?」
「まあ、お守りみたいな物だ。あまり中身は見るな」
「ふ〜ん。なんで中身は見ちゃダメなんだ?」
「袋を開けたら強烈な呪いが放たれるが、それでもいいなら・・・」
「すみません、絶対に開けません」
火の玉といい転移魔法といい、嫌な予感しかしない
「(と言っても他の魔物が寄って来ないように私の尻尾の毛を入れただけだがな・・・)」
エナと一度別れて街の店を回ることにした
さて何か買う物はあるかな
〜食品店 オータル〜
とりあえず目の前にあった店に入る
どうやら食料品を扱う店のようだ
「・・・・いらっしゃいませ」
横から聞いたことのある声が聞こえたと思ったら、一昨日会ったギルタブリルだった
「あ、どうもこんにちは。一昨日ぶりです」
「・・・一昨日の男・・よく生きてたね・・・」
「ええまあ、どうにか」
なんか戦地に行った人に言うような言葉が聞こえたが
確かに下手したらやられてたかも(性的な意味で)
「それで今日は何を買いに来たの?」
「いや、適当に散策してるだけなんで特にこれと言ったものは・・・」
「・・・そう、何か欲しい物があったら言って。何かの縁だし少しまけてあげる・・・」
ああ、やっぱこの人優しいな〜
将来の旦那さんは幸せ者だよ
そう思いながら店に陳列されている品を見る
元の世界のスーパーみたい
特にアイスとかの種類が豊富だった
やっぱ暑いからかな?
隣になにかピンク色のものが大量に陳列してる棚があったけど気のせいだろう
そうして回っている時に粉物の棚に来たら何故かクッキーが思い浮かんだ
そういえばしばらく食べてない
「久しぶりに作ろうかな〜」
別の店でクッキー自体を買えば済むが、せっかくまけてくれるらしいので
その厚意を無視したくはない
あと、手作りならピラミッドの皆にも作れるし
「え〜っと、薄力粉にバター、牛乳に砂糖。・・・あとはヨーグルトも入れるか」
以上の品をさっきのギルタブリルに渡す
お金の単位はエナからすでに教わっている
「・・・乳製品ならもっと美味しいやつが売っているところがある・・・」
「え、いいですよ。ここで買いますから」
「でも品質がいいし、味も格別・・・」
う〜ん、そこまで言うなら・・・ねぇ?
「わかりました。じゃあ薄力粉と砂糖をください」
「毎度あり・・・その店は三つ隣ね・・・」
品物を買って教えられた店に行く
さっきの店より少し小さい感じだ
個人経営の店っぽい
〜乳製品の専門店 カウベル〜
「うわっ、すご・・・」
店に入ると乳製品ばっかり
牛乳はもちろん、チーズやバター、ヨーグルトがところ狭しと並べられている
「おう、いらっしゃい。何をお探しで?」
店員らしきガタイのいい男の人がいた
「え〜と、牛乳とバターとヨーグルトを」
「ハイよ。種類は?」
「しゅ、種類?」
異世界の乳製品の種類なんて知らんよ・・・
「すみません、種類とかわかんないです。なにぶんこの世界に来たばっかなので・・・」
「この世界に来たばっか?おめえさんは異世界人かい?」
「ええ、そうです。」
なんか異世界人って自然に言っちゃった
そしてそれが普通に通じる世界
本当に異世界人って他にもいるんだ・・・
「ほ〜う。いつからこの世界に?」
「一昨日です。いまはピラミッドで居候してます」
「大変だなぁ〜俺の知り合いにも異世界人がいるんだが・・・けっこう文化が違うらしいな」
「まあ確かに元の世界では出会い頭に呪いやら魔法を放つ人はいませんでしたね」
「・・・ホントに大変なんだな」
わかってくれますかおじさん
なんだかこの街の人たちとは上手くやっていけそう
「・・・よし!そんな兄ちゃんにはちょっくらサービスしてやらぁ!」
「え、まじですか!」
なんとありがたい本日二度目のサービス
「なーに、今日の夜はいつもより激しくヤればいいだけさ!」
・・・・・・うん、せっかくの厚意を無駄にしちゃイカンよね
例え何か昼間には聞かないようなことが聞こえても
「さて、牛乳とバターとヨーグルトだっけ?」
「はい、そうです。なんでもいいんで」
「そんじゃあウチのオススメのヤツを半額で売ってやるぜ!」
オススメ品を半額とは・・・大丈夫なのかな?
「はいよ。ウチの店のは全部嫁さんのミルクからできてっから味は保証するぜ!」
「ってことは奥さんはホルスタウロス?」
たしかミノタウロスの亜種で、温厚な魔物・・・だっけ
「一昨日来たばっかなのに魔物の種類がわかんのか?」
「暗記は得意なんで・・・」
学校でも暗記科目 だけ は得意だったしね
数学とかはアウトだったけど
「そうかい。まあ悪い世界じゃねえからゆっくり慣れっていってくれや」
「はい。どうもありがとうございました」
礼を言って店を後にする
店を出た後、closeの札が見えた気がするけど、俺は何も知りません
その後は呪具の店を見たりした
魔力を上げるものとかないかな〜と思ってね
しかし売っているのはアッチ系のものばかり
人生そう簡単にはいかないもんだ
「皐、遅くなった」
「ああ、エナか」
店を出たところでエナと合流
「少し掘り出しものがあってな、それを買っていた」
「ふ〜ん」
「ところで、それは何か買ったのか」
「うん、いろいろとね」
そうしてエナが食料を買ってきたのでお出かけは終了
また機会があったら行きたいな
〜食堂 キッチン〜
さて皆さん、これから第一回 皐によるお料理講座が始まりま〜す
用意するのは
バター
砂糖(バターの半分よりも少し多め)
薄力粉(バターの約1.5倍)
牛乳(適量)
ヨーグルト(これはお好みで)
まずはバターを少し溶かします
火の魔法があると便利ですが、火力が強いといけないので注意
かと言って私のような線香花火でも論外です
・・・自分で言って悲しくなりました
バターがいい感じに溶けてきたら砂糖を入れて混ぜます
全体に砂糖が混ざるようにしっかりと混ぜてください
それが終わりましたら、薄力粉も混ぜます
かさかさな時は牛乳やヨーグルトを入れましょう
耳たぶぐらいの硬さになったらOKです
「なんだかいいにおいがするニャ〜」
おっと、パーナさんがやってきました
「サツキニャに作ってんの〜?」
「お菓子だけど?」
「サツキお菓子作れるニャ!?」
「うん、少しだけ」
「おいしそうなにおいニャ〜♪パクッ」
あ、クッキーの生地そのまんま食べた
「うげっ、まずいニャ!」
「当たり前だ。火通してないんだから」
皆さんも注意しましょう。本当にまずいですから
・・・え?食べたことあるのかですって?
以前、一回作ってる途中に少しだけ・・・
「うえ〜、これっておいしくニャるの?」
「このお菓子のこと知らない?」
「お菓子自体あんまし食べないニャ」
なんか意外。
「仕事があるし、街も遠いからニャ〜」
「なるほどね。納得した」
それならキチンとしたものを作らなきゃな
え〜、次はこの生地を伸ばしてから地下室に布をかぶせて二時間放置します
〜二時間経過〜
さて二時間が経ちました
あの後することがないのでパーナをなぞなぞでいじったり
自室で魔法の訓練をしてました
さて放置していたクッキーの生地が半分ほどお別れしてますが
おそらくはマミーたちがつまみ食いをしたのでしょう
ですがご安心を。こんなこともあろうかと別の生地も作っておきました
こちらは物陰にこっそり置いていたのでマミーたちの襲撃を逃れたようです
この生地をお好みの形に切ります
今回はシンプルに長方形にしましょう
この生地をオーブンで、と言いたいところですが
オーブンがないので釜戸っぽいもので代用しましょう
とりあえず釜戸の温度なんて知らないのでフィーリングで焼きます
本当は20〜30分が望ましいのですが、わからないんだから仕方ない
表面が焼けてきたので一枚取り出します
・・・うん、これでいいかな
完成です!
いい感じにできました
まずはエナに味を聞いてみよう
「エナ〜ちょっといいか〜?」
「どうかしたか、皐」
「ちょっと差し入れ。味の感想とか聞きたいんだけど」
そう言ってクッキーを渡す
「これは・・・菓子か?まさかお前が作ったのか?」
「街に行ったら作りたくなってな」
「ふむ、いいにおいだな。おいしそうだ」
クッキーを食べるエナ
どうだろう、口に合うかな?
「・・・!これはおいしいな!」
「まじで?よかった〜」
しばらく作ってないから不安だったけど、口に合ったようだ
「そうだ、この菓子をパーナにも食べさせてやってくれないか?」
「大丈夫、ちゃんと多めに作ったから」
「それはよかった。あいつはこういうのが好きなのにあまり食べられていないからな」
「へ〜、パーナの好きなものとか知ってたんだ」
「まあ、一番付き合いが長いからな」
このあとエナと一緒にパーナの部屋に行って、クッキーを食べさせたが
パーナが作ったクッキーをほとんど平らげてしまってエナに怒られたのは別の話
「パーナ!まだ私は少ししか食べてないんだぞ!!」
「ギニャー!だっておいしかったんだもん〜!」
今日もピラミッドは平和です
突然ですが皆さんは甘いものはお好きですか?
ちなみに私は大好きです
よく意外がられていましたが、そんなに変なのでしょうか
美味しいものは美味しい
ただそう言っているだけなのになぁ・・・・
〜夕食の時間 食堂〜
「そうだ皐、明日の午後に二人で街に行かないか?」
「町?そんなのあんの?」
夕食の時間にエナがそう言ってきた
「ああ、距離は少し離れているがな。カラカマというところだ」
「ふ〜ん」
「この世界に慣れるためにもいろいろ見てきた方がいいだろう」
「ん〜、じゃあ行こうかな」
「では明日の魔法訓練の後にでも行こうか」
「りょーかい」
街か・・偏見とかじゃないけどテレビで見る砂漠の町って治安悪そうなんだよな〜
ちょびっと不安
「なになに?二人でお買い物ニャ?」
話していたらパーナが入ってきた
「当たり前だがお前は普通通りに見張りだ」
「え〜、私も行きたいニャ〜」
「ダメだ。お前はいつも余計な物を買ってくる」
「今度は買わニャいよ〜」
「ダ・メ・だ」
確かにパーナが余計な物を買ってくる様子が容易に想像できる気がする
「パーナどんまい」
「行〜き〜た〜い〜ニャ〜」
ダレているが俺にはどうすることもできません
「そんじゃ、ごちそうさまでした」
二人より早く夕食を食べ終えたので、一足先に部屋に戻ろう
俺は食堂を後にした
俺が去った後、こんな会話がされていたとか
「エナってば“二人っきり”で“街でデート”なんてベタだニャ〜」
「なッ!ななな何を言い出すんだ!いきなり!」
顔を真っ赤にして声を大きくするエナ
「隠さなくたっていいって〜いいニャ〜恋する乙女は」
「だっ!誰が恋する乙女だ!」
「だってあんなに楽しそうに話してるんだし〜エナってば昨日から機嫌いいニャ」
「そんなことは断じてない!!」
「必死に否定してるところが怪しいニャ〜♪」
おちょくるように話すパーナ
そうしているうちにパーナも夕食を食べ終えたようだ
「ごちそうさまニャ。エナ、明日はがんばってニャ〜♪」
「だから違うと言っているだろう!!」
「ニャハハハ〜、怒った怒った〜♪」
ピューっと音がするような勢いでパーナは急いで逃げた
「まったく!違うって言っているのに!
でも・・・デート・・・二人っきり・・・
いや待て!だから違うって!!」
〜翌日〜
朝食を食べ終わり、朝の耳揉みが終わった後、
昨日と同じように魔法訓練をした
エナ曰く、一日程度では素質はわからないとのこと
でも昨日のあれじゃあなぁ・・・・
結局昨日よりも火の玉が出ている時間が少し延びたぐらいで
大きさや外見はやっぱり線香花火だった
・・・・泣いていいですか?
「そう気を落とすな。まだまだ二日目ではないか」
「そうだけどさ・・・やっぱ悲しくなるよ・・・」
俺だってなあ!ドラ○エみたいにメ○とか撃ちたいよ!
でもメ○じゃないじゃん!線香花火じゃん!!
「さて、そろそろ街に行くか」
「そういえば徒歩で行くの?」
正直砂漠を歩くとか思い出すだけでげんなりするのですが
「いや、私の転移魔法で」
本気で泣きたくなりました
〜砂漠の街 カラカマ〜
昨日はちょびっと不安だったが、来てみるといい街であることがわかった
まずテレビで見たようなところではなく、きちんと整備されているし
小さな都市のような感じで賑わっている
外が砂漠なんて思えないほど住みやすそうだ
「なんかかなり想像と違うな〜」
「なんだ、石作りの整備の行き届いていない街かと思ったか?」
「少し・・・」
「数十年前まではそのようだったらしいが、ここの長が変わってからこのような住みやすい街になったそうだ」
とりあえずエナに街を案内されながら散策することになった
「それであれが〜〜で、あっちにあるのが・・・・・・」
道中、人間の商人に混じって魔物も数多くいて、
中には小学生ぐらいのツノの生えた魔物が人を多く集めていた
確かあれは・・・ゴブリンだっけ?
「さて、だいたいは回ったな。私は買い物をしてくるから自由に回っていてくれ」
「回れって言ったって、こんなんじゃ俺迷いそうなんだけど・・・」
「心配ない。これを持っていてくれ」
そう言ってエナは青いガラス玉みたいなものを渡してきた
「何コレ?」
「簡単に言うとお前がそれを持って入れば、私に居場所がわかる魔法具だ」
要するに発信機みたいなもん?
「あと何か買いたかったらこれで買うといい」
エナが皮袋を渡してきた
振るとジャラジャラと音がする
・・・これってお金?
「いいのか?こんなの貰っちゃって」
「別に構わん。ささやかなお祝いだと思えばいい」
「それじゃあ、お言葉に甘えて・・・・」
「うむ、それとこれも渡しておく」
次は小さな袋を渡された
「昨日のうちに作っておいた。これからは肌身離さず持っていてくれ」
「これはなんなの?」
「まあ、お守りみたいな物だ。あまり中身は見るな」
「ふ〜ん。なんで中身は見ちゃダメなんだ?」
「袋を開けたら強烈な呪いが放たれるが、それでもいいなら・・・」
「すみません、絶対に開けません」
火の玉といい転移魔法といい、嫌な予感しかしない
「(と言っても他の魔物が寄って来ないように私の尻尾の毛を入れただけだがな・・・)」
エナと一度別れて街の店を回ることにした
さて何か買う物はあるかな
〜食品店 オータル〜
とりあえず目の前にあった店に入る
どうやら食料品を扱う店のようだ
「・・・・いらっしゃいませ」
横から聞いたことのある声が聞こえたと思ったら、一昨日会ったギルタブリルだった
「あ、どうもこんにちは。一昨日ぶりです」
「・・・一昨日の男・・よく生きてたね・・・」
「ええまあ、どうにか」
なんか戦地に行った人に言うような言葉が聞こえたが
確かに下手したらやられてたかも(性的な意味で)
「それで今日は何を買いに来たの?」
「いや、適当に散策してるだけなんで特にこれと言ったものは・・・」
「・・・そう、何か欲しい物があったら言って。何かの縁だし少しまけてあげる・・・」
ああ、やっぱこの人優しいな〜
将来の旦那さんは幸せ者だよ
そう思いながら店に陳列されている品を見る
元の世界のスーパーみたい
特にアイスとかの種類が豊富だった
やっぱ暑いからかな?
隣になにかピンク色のものが大量に陳列してる棚があったけど気のせいだろう
そうして回っている時に粉物の棚に来たら何故かクッキーが思い浮かんだ
そういえばしばらく食べてない
「久しぶりに作ろうかな〜」
別の店でクッキー自体を買えば済むが、せっかくまけてくれるらしいので
その厚意を無視したくはない
あと、手作りならピラミッドの皆にも作れるし
「え〜っと、薄力粉にバター、牛乳に砂糖。・・・あとはヨーグルトも入れるか」
以上の品をさっきのギルタブリルに渡す
お金の単位はエナからすでに教わっている
「・・・乳製品ならもっと美味しいやつが売っているところがある・・・」
「え、いいですよ。ここで買いますから」
「でも品質がいいし、味も格別・・・」
う〜ん、そこまで言うなら・・・ねぇ?
「わかりました。じゃあ薄力粉と砂糖をください」
「毎度あり・・・その店は三つ隣ね・・・」
品物を買って教えられた店に行く
さっきの店より少し小さい感じだ
個人経営の店っぽい
〜乳製品の専門店 カウベル〜
「うわっ、すご・・・」
店に入ると乳製品ばっかり
牛乳はもちろん、チーズやバター、ヨーグルトがところ狭しと並べられている
「おう、いらっしゃい。何をお探しで?」
店員らしきガタイのいい男の人がいた
「え〜と、牛乳とバターとヨーグルトを」
「ハイよ。種類は?」
「しゅ、種類?」
異世界の乳製品の種類なんて知らんよ・・・
「すみません、種類とかわかんないです。なにぶんこの世界に来たばっかなので・・・」
「この世界に来たばっか?おめえさんは異世界人かい?」
「ええ、そうです。」
なんか異世界人って自然に言っちゃった
そしてそれが普通に通じる世界
本当に異世界人って他にもいるんだ・・・
「ほ〜う。いつからこの世界に?」
「一昨日です。いまはピラミッドで居候してます」
「大変だなぁ〜俺の知り合いにも異世界人がいるんだが・・・けっこう文化が違うらしいな」
「まあ確かに元の世界では出会い頭に呪いやら魔法を放つ人はいませんでしたね」
「・・・ホントに大変なんだな」
わかってくれますかおじさん
なんだかこの街の人たちとは上手くやっていけそう
「・・・よし!そんな兄ちゃんにはちょっくらサービスしてやらぁ!」
「え、まじですか!」
なんとありがたい本日二度目のサービス
「なーに、今日の夜はいつもより激しくヤればいいだけさ!」
・・・・・・うん、せっかくの厚意を無駄にしちゃイカンよね
例え何か昼間には聞かないようなことが聞こえても
「さて、牛乳とバターとヨーグルトだっけ?」
「はい、そうです。なんでもいいんで」
「そんじゃあウチのオススメのヤツを半額で売ってやるぜ!」
オススメ品を半額とは・・・大丈夫なのかな?
「はいよ。ウチの店のは全部嫁さんのミルクからできてっから味は保証するぜ!」
「ってことは奥さんはホルスタウロス?」
たしかミノタウロスの亜種で、温厚な魔物・・・だっけ
「一昨日来たばっかなのに魔物の種類がわかんのか?」
「暗記は得意なんで・・・」
学校でも暗記科目 だけ は得意だったしね
数学とかはアウトだったけど
「そうかい。まあ悪い世界じゃねえからゆっくり慣れっていってくれや」
「はい。どうもありがとうございました」
礼を言って店を後にする
店を出た後、closeの札が見えた気がするけど、俺は何も知りません
その後は呪具の店を見たりした
魔力を上げるものとかないかな〜と思ってね
しかし売っているのはアッチ系のものばかり
人生そう簡単にはいかないもんだ
「皐、遅くなった」
「ああ、エナか」
店を出たところでエナと合流
「少し掘り出しものがあってな、それを買っていた」
「ふ〜ん」
「ところで、それは何か買ったのか」
「うん、いろいろとね」
そうしてエナが食料を買ってきたのでお出かけは終了
また機会があったら行きたいな
〜食堂 キッチン〜
さて皆さん、これから第一回 皐によるお料理講座が始まりま〜す
用意するのは
バター
砂糖(バターの半分よりも少し多め)
薄力粉(バターの約1.5倍)
牛乳(適量)
ヨーグルト(これはお好みで)
まずはバターを少し溶かします
火の魔法があると便利ですが、火力が強いといけないので注意
かと言って私のような線香花火でも論外です
・・・自分で言って悲しくなりました
バターがいい感じに溶けてきたら砂糖を入れて混ぜます
全体に砂糖が混ざるようにしっかりと混ぜてください
それが終わりましたら、薄力粉も混ぜます
かさかさな時は牛乳やヨーグルトを入れましょう
耳たぶぐらいの硬さになったらOKです
「なんだかいいにおいがするニャ〜」
おっと、パーナさんがやってきました
「サツキニャに作ってんの〜?」
「お菓子だけど?」
「サツキお菓子作れるニャ!?」
「うん、少しだけ」
「おいしそうなにおいニャ〜♪パクッ」
あ、クッキーの生地そのまんま食べた
「うげっ、まずいニャ!」
「当たり前だ。火通してないんだから」
皆さんも注意しましょう。本当にまずいですから
・・・え?食べたことあるのかですって?
以前、一回作ってる途中に少しだけ・・・
「うえ〜、これっておいしくニャるの?」
「このお菓子のこと知らない?」
「お菓子自体あんまし食べないニャ」
なんか意外。
「仕事があるし、街も遠いからニャ〜」
「なるほどね。納得した」
それならキチンとしたものを作らなきゃな
え〜、次はこの生地を伸ばしてから地下室に布をかぶせて二時間放置します
〜二時間経過〜
さて二時間が経ちました
あの後することがないのでパーナをなぞなぞでいじったり
自室で魔法の訓練をしてました
さて放置していたクッキーの生地が半分ほどお別れしてますが
おそらくはマミーたちがつまみ食いをしたのでしょう
ですがご安心を。こんなこともあろうかと別の生地も作っておきました
こちらは物陰にこっそり置いていたのでマミーたちの襲撃を逃れたようです
この生地をお好みの形に切ります
今回はシンプルに長方形にしましょう
この生地をオーブンで、と言いたいところですが
オーブンがないので釜戸っぽいもので代用しましょう
とりあえず釜戸の温度なんて知らないのでフィーリングで焼きます
本当は20〜30分が望ましいのですが、わからないんだから仕方ない
表面が焼けてきたので一枚取り出します
・・・うん、これでいいかな
完成です!
いい感じにできました
まずはエナに味を聞いてみよう
「エナ〜ちょっといいか〜?」
「どうかしたか、皐」
「ちょっと差し入れ。味の感想とか聞きたいんだけど」
そう言ってクッキーを渡す
「これは・・・菓子か?まさかお前が作ったのか?」
「街に行ったら作りたくなってな」
「ふむ、いいにおいだな。おいしそうだ」
クッキーを食べるエナ
どうだろう、口に合うかな?
「・・・!これはおいしいな!」
「まじで?よかった〜」
しばらく作ってないから不安だったけど、口に合ったようだ
「そうだ、この菓子をパーナにも食べさせてやってくれないか?」
「大丈夫、ちゃんと多めに作ったから」
「それはよかった。あいつはこういうのが好きなのにあまり食べられていないからな」
「へ〜、パーナの好きなものとか知ってたんだ」
「まあ、一番付き合いが長いからな」
このあとエナと一緒にパーナの部屋に行って、クッキーを食べさせたが
パーナが作ったクッキーをほとんど平らげてしまってエナに怒られたのは別の話
「パーナ!まだ私は少ししか食べてないんだぞ!!」
「ギニャー!だっておいしかったんだもん〜!」
今日もピラミッドは平和です
12/08/24 17:57更新 / 野良猫
戻る
次へ