追い駆ける牛と逃げる赤
俺がランニングを毎朝の日課にするようになったのは、中二になってからの事だ。
最初のきっかけは、身体測定の時に俺の体重が学年の平均を上回っていたので、痩せる為に運動しようと思ったなどという、極めて単純なものだった。近所にちょうどいい河原があったというのも、それを後押しする理由にはなったのだが。
初めてのランニングは気力が持たずに十分と経たずに家に帰って、冷蔵庫のお茶をがぶがぶ飲んだ。こんな事を繰り返すなんて、と想像するだけで気が滅入って止めてしまおうかと思った。
けれど、そんな重たい身体を身体測定の結果の用紙の数値だけを頼りに奮い立たせて二日、三日と続ける。一週間も経過すると、そんな気持ちはどこかへ吹き飛んでしまっていた。
見えてこなかった景色が段々と見えてくるようになっていた。
それは例えば、朝焼けを反射して光る川とか、あえてアスファルトの歩道を外れた時の芝の生えた土とそれを踏む足の裏の感触とか、反対側の岸で犬の散歩をしている女性とか。
今まで味わったことのない新しいものを発見するのが楽しくなっていて、気がつけばそれは俺にとって欠かせない日課になっていた。
それから何年も経って、いい年した大学生になった今でも毎朝走ることを止めていないのは、そういう経緯があったからである。
だが、ここ最近はその日課を止めた方がいいのかなぁ、などと考えることが増えた。
その理由というのは、別に俺が運動を嫌いになったとか、怪我や病気で続けるのが難しくなったとか、そんなものではない。
「そこの赤い人〜〜!!待ってくだしゃ〜〜〜〜い!!」
馴染みとなったランニングコースを走る俺の背後から聞こえてくる、舌っ足らずな叫び声が原因だ。
またか……と溜息をつくのもいい加減めんどくさいので、無視して呼吸を乱さないように手と足をテンポ良く動かす作業に努めた。
「はぁ、はぁ……なんで無視するんでしゅか赤い人〜〜!!こっち向いてくだしゃ〜〜い!!」
振り向かないようにしつつ念の為辺りを確認してみるが、赤い服を羽織っているような人間は、何年も使用している運動用の赤いジャージを着用している(ちなみに、三着ある同じものを毎日着回している)俺以外に周りにはいない。
つまり、件の叫び声が指し示しているのは間違いなく俺であるのだ。そんなことはわかりきったことではあるのだが、今度こそ肩を落とさずにはいられなかった。
問題なのは赤い人が誰のことを指すのか、ということではなくて、俺が今どの辺を走っているかということだった。
反対側の岸に、野球場があった。それだけでも、長年走ってきた俺には自分がどのぐらい走ってきたのかがわかってしまう。きちっと計ったことはないのだが、大体3~40分というところだろうか。
……つまり、何が言いたいかってことであるのだが。
「……げ」
そのまま走り続けているとすぐに、折り返し地点の目印として使っていた鉄製の柵が道を塞ぐ景色が、心配通り見えてきた。
つまり、そこから先に道はないのだから、俺は来た道を引き返すしかない。
ここまで走るのには結構な距離があった。その内に大人しく諦めてくれるかと期待していたのだが、後ろからは細やかな息づかいが聞こえてくる。
「はっ……はっ……待って、くだしゃ……」
その声が、否応なしに俺にわかりやすい現実を教えてくれた。
……はぁ。流石に無視し続けるのは無理があったか……
そんなことを思いつつも足を動かしていると、柵の近くまで辿り着くのにそう時間がかからなかった。
「はぁ、はぁ……ふぅ」
足を止めると、流石にどっと疲れが押し寄せてきた。倒れそうになった両足を、手で支えるが、全身から流れる汗だけは止めようもない。そこに風が吹いて、汗のしたたる身体は一気に冷やされてしまった。ここが橋の下で日陰になっているということもあって、夏場だというのにぶるり、と身体を振るわせてしまった。
けど……その感覚が、気持ちいい。
半分とはいえ、コースを走りきるというのには、毎日のことといえども確かに充足感があった。
けれど、これでもまだ半分しか走っていないことには違いないのだ。
休憩なんていらない。さぁ、コースを引き返そう。そして、この気分をもう一度……
「よ、ようやく追いつきましたよ、赤い人……」
……などという現実逃避はさておいて、俺は本日初めて後ろから追いかけてくる声の方を振り向く。
振り向いた先にいたのは、どう見ても唯の人間ではない少女だった。
真っ先に目を引くのは、ふさふさの毛で覆われた足だろう。それだけなら、一万歩譲ってそういう服なのだろうという解釈もできるのだが、足の部分にある、光沢を放つ蹄がその可能性を否定する。あんなデザインの靴なんか中々お目にかかれる代物ではないだろうし、あったとしてもそれをわざわざ履いて走ってきたりはしないだろう。
……てゆうか、あの足でよくこんな距離走ってきたな。
まぁそんな感想はどうでもいいとして。
それ以外にも頭から生えている耳とねじれた角とか、背中の後ろで力なく垂れ下がった、先端に茶色の毛が集中した細くて白い紐のようなもの___一言で表すと尻尾、とか。
人間に牛の特徴を混ぜたような女の子、ミノタウロスが、疲れ切った表情でそこにいた。
この現代において、魔物娘はそう珍しいものではない。
だから、追いかけてきた少女が人間でない、そのこと自体はそうそう驚くようなことではない。
だから、問題はそこではない。
「ふっふっふ〜……まさか、こんなところに行き止まりがあるなんて思いましぇんでしたよ!!でしゅが、ここまでみたいでしゅね!!さぁ、観念してくだしゃい赤い人!!大人しくわたしに犯されるのでしゅ!!」
ビシィッ!!と自分のことを指差す少女を、俺は違う意味で観念しながら見下ろしていた。
そう、平均的な男性程度の身長しかない俺が、たくましい体つきを持つ種族であるミノタウロスのことを、見下ろしていた。
あどけない顔立ちと、幼稚園児ぐらいしかない身長でこちらを見上げる少女のことを。(だからこの場合、幼女と言った方が的確かもしれんが、変態みたいで嫌だ)
……そんな少女が俺に向かって犯してやる、などと言うのは、酷くシュールだった。
この子との出会いは、遡ること一週間前なのだが、俺は少女の名前すら知らないし、向こうだってそんなものだろう。
というのも、走っている俺を「そこの赤い人〜〜!!」と今と全く変わらない呼び方で引き止めた挙げ句、「あなたのこと、犯させてくだしゃい!!」なんて魔物娘に言われてしまえば、逃げるしか選択肢はなかったからだ。
ん?大人しく襲われてしまえばいいのに?
いくら俺がこれまで魔物娘に襲われる機会どころか彼女ができたことすら全くない人生を送ってきたからと言っても、こんな小さな女の子を相手にその……色々とやってしまうのは、まずいだろう。いくら魔物娘がタフとは言っても、流石に俺にだって良心の呵責がある。
だからといって魔物娘が説得に応じるようには思えなかったので、黙って背を向けて逃げ出すことにした。
初日は走っている内にいつの間にか声が聞こえなくなっていたので安心していたのだが、その次の日も、更に次の日もミノタウロスの女の子はやってきた。
走るのを止めるなりコースを変えるなり、いくらでも手段は取れただろうが、日課を止めるのも、長い間走り続けてきたコースを変えるのも嫌だったので、意地を張ってスルーし続けた。
その結果、こうして鬼ごっこを毎日のように繰り広げることになった訳で。
……だが、昨日までは辿り着くよりもあちらのスタミナが切れる方が先だったので、この子がこうして折り返し地点までやってくるのは、初めてのことだ。
まぁ、この子だって一緒に走ってきたから体力ぐらいつくか……一週間でというのは早過ぎる気がするけど。
さて、これからどうしようかと考えようとしたのだが、少女はそんな暇を与えてはくれなかった。
「覚悟するのでしゅ〜〜!!」
嬉しそうな叫び声をあげて、少女が俺に突進してくる。
どこにそんなスタミナが残っていたのか、そのスピードは俺の走りよりも遙かに速くて、俺はその突進を避けることができなかった。
なので、代わりに手を伸ばして頭を掴んだ。
「んにゃっ!?な、何するのでしゅか赤い人!?この、このっ!!」
突進してきた少女は、頭を掴まれようとも必死に俺に向かって手を伸ばすのだが、当然それは俺に届くこともなく空振りに終わる。
「ふん、ふんっ!!あ、あれ、なんでこんな近くにいるのに届かないんでしゅかぁ!?」
頭を掴む手を払いのけるとか少しも考えずに頑張って俺に向かって手を伸ばすその姿は、傍から見ている分には和む光景であろう。
俺としてもまだまだ見ていたいのだが……いかんいかん。
どんなに目の前の少女が無邪気そうに見えても、貞操の危機には変わりないのだ。
「…えっと、そろそろ俺のことは諦めてくれないか?」
なるべく優しく、諭すような調子で俺が言うと、何故か少女は目を見開いた。
……ん?なんか変なこと言ったか俺?
反応に困っていると、予想の斜め上を行く返事が返ってきた。
「しゃ、喋った……赤い人が喋ったのでしゅ!?」
……そういや、初日からこの子に口を聞いたことなかったか。
「あぁ、よかったでしゅ……わたし、てっきり赤い人は何か原因があって喋れない人なのかと思ってたんでしゅよ……」
しかも、そのせいで見当違いな心配までさせてしまったようである。
「いや、そんなわけないから……と、いうかそもそも何で俺なんだ?君の言う通り、返事すらろくにしてくれない奴なんかより、もっといい男はいるんじゃないの?」
「赤い人の代わりなんかいましぇん!!毎日毎日わたしのおうちの近くの河原を走っている男の人は、赤い人だけでしゅ!!」
かねてからの疑問をぶつけると、ムキになって反論してきた。
というより、近所の河原ってことは……なるほど。なんで俺が毎日ランニングしているのを知っているのかと思ったら、そういうことか。
「それに、赤い人見てるとなんだか体が熱くなって、早起きするのもちっとも辛くないのでしゅ!!赤い人だけなんでしゅよ、こんな風になるの……」
……聞いているだけでは熱い愛の言葉に聞こえるかもしれないが、多分それは俺が文字通り『赤い人』だからだ。
ミノタウロスという種族は普段は凶暴ではないのだが、赤い物を見ると興奮して男を乱暴に犯し倒すという変わった特徴がある。
つまり、本人はおそらく自覚していないのだが、この子は俺が赤いジャージを着ているから興奮して追い掛けてきているのであって、別に俺のどこを好き、とかそういう話ではないのだろう。
「でしゅから、これは運命なのでしゅ!!きっとわたしと赤い人の間には、固く結ばれた運命の赤い糸があるのでしゅよ!!」
もう俺はとっくに頭から手を離しているのだが、よほど自分の話に夢中になっているのか、少女が襲いかかろうという様子はない。
結論。この子、やっぱり話が通じそうにない。
あ、でも赤い糸なら確かに俺達の間にあるか。ジャージという服の繊維として使われている、物理的な赤い糸なら。
「追い掛け続けてもう一週間になりましゅ……ここまで、追い掛けるのには辛いこともたくさんありましたでしゅ……でしゅが!!それを乗り越えることこそが、赤い人がわたしにくれた試練なんだと思ってずっと……」
「そうかそうか、それじゃ」
「うえぇ!?」
熱弁を振るう少女の隣を、ダッシュして駆け抜けた。
……勿論、こんな小さな女の子を放置することに罪悪感がないわけではないが、ここまでついてこれたのだからまぁ、帰るぐらいはできるだろう。
これ以上話していると、俺がまずいことになる。
そう判断しての行動だったのだが、俺はこの子を見くびっていた。
「い、行かないでくだしゃい赤い人〜〜!!」
その声に振り向いて一瞬止まってしまったのがまずかった。
焦っていたのだろう、少女が俺に向かって飛びかかってきていた。少女の反応がよほど早かったのか、手を伸ばせば届くような距離だった。
けれど、小さい彼女がジャンプしたところで、俺の胸に飛び込めるような高さまで跳べるわけがない。
だから、彼女の精一杯伸ばした小さい手は、俺のジャージのズボンのよりにもよって一番上を掴む。
重力に従って地面にぶつかった少女と一緒に、俺のズボンがパンツを巻き込んで一気に引きずり下ろされた。
「ひゃぅっ!?」
「のぁっ!?」
更に運の悪いことに、逃げようとしていた俺は足を自らのズボンに引っかけ、正面から地面へと倒れ込むことになった。
「痛っつー……」
うつぶせで倒れた身体を、両手を使って起こして、体勢を整える。
その直後、俺は自分の行動の迂闊さに気づかずにはいられなかった。
ズボンを掴んだまま、顔を赤くしているのは、俺の赤いジャージを見続けて立派に興奮したミノタウロス。
その視線の先には、わざわざ自分で体勢を整え仰向けになったことで見せつける羽目になった、俺の露出した下半身とそこに付いているもの。
……今までで一番速く、抵抗することはできなかった。
「……いっただっきまーしゅ♥♥」
ミノタウロスは、まるで好物のお菓子を与えられたかのように喜んで、俺の一物を口の中へと咥え込んだ。
「ちょ待っ、うぁっ!?」
少女の舌は、ただ舐めるだけではなかった。
全体を味わうようにゆっくり舐め回したかと思えば亀頭に集中したり、縦一直線になめくじのように這わせたり。攻めることを意識して緩急をつけた動きで、俺の息子を口内で弄ぶ。
魔物娘に襲われた経験どころか、女性と特別な関係を持ったことすらない俺には、それは強力すぎる刺激で、情けない声が漏れた。
「あ……おっひふなっへひまひふぁ……♥ひもひいいでひゅか、あひゃいひひょ?」
(あ……おっきくなってきました……♥気持ちいいでしゅか、赤い人?)
俺自身を咥えながら言う少女の台詞はまともに発音されていなかったが、言いたいことはすぐにわかった。
「ど、どこでこんな技術、覚えて……」
「おひゃーひゃんひゃ、おひょーひゃんひ、やっへはのへひゅ。おひょーひゃん、ほっへほふぉふぉほふへひはへひゅよ」
(お母さんが、お父さんに、やってたのでしゅ。お父さん、とっても喜んでいたでしゅよ)
……娘の前で何をやってるんですか、顔も知らないお母さん。
そう言ってやりたかったが、絶え間なく送られてくる快楽は、それ以上まともに喋ることすらも許しちゃくれなかった。
第一……そんなことよりも……!!
我ながら情けないのだが、もう既に俺の愚息は欲望をぶちまける準備をしようとしていた。
や、やばい……!!このままだと、俺はこの子に……!!
「あふぁいひほ、ふぉろふぉろふぇんふぁいでひゅか?はやいふぇひゅへぇ」
(赤い人、そろそろ限界でしゅか?早いでしゅねぇ)
「だ、駄目だ……早く、やめ……!!」
「ふぁいふょーふへふよ、ふゅふゅはふひひへふぁふぇまふゅはら♪」
(大丈夫でしゅよ、すぐ楽にしてあげましゅから♪)
笑顔でむしろ不安が増すようなことを言うが、少女は口の中に含んでいたものから口を離した。
一瞬、俺の言葉を聞き入れてくれたものだと思ったが、当然少女にそんな気はなかった。
口に含むのではなく、キスをするように短く先端に唇をつけると、尿道の入り口をそっと舐めた。
「……っ!!」
その未知の快楽に耐えきれず、俺の肉棒は勢いよく白い子種を吐き出した。
それは小さな口の中に収まりきる量ではなく、口を離した少女の顔へ飲み干せなかった分が浴びせられていく。
「赤い人……いっぱい出してくれましたね……♥♥」
嫌がる様子は一切なかった。
むしろ嬉しそうに、顔面を男の欲望で白く汚された少女は恍惚の笑顔を浮かべていた。
顔についたそれさえも指で拭き取ると、指についた砂糖を取ろうとするかのように舐めとった。
あぁ……もう、駄目だ。
むくり、と仰向けになっていた自分の上体を起こす。
目の前の幼女が何かを言おうとする前に、肩を押さえて地面へと押し倒した。
「おい……子供のくせに、随分調子に乗ってくれたなぁ……」
「あ、赤い人……?」
ただでさえ削られていた体力を射精の反動で削られて、思考する力が俺には殆ど残っていなかった。
そんな状態の俺に、あんな痴態を見せられてしまったら……もう……!!
「悪い子には、お仕置きしなくちゃなぁ……!!」
我慢できるわけ、ないだろう!!
幼女が上半身に着ていた薄手のシャツに手をかけて、仮に破けようと構わないぐらいの力で一気に引き剥がした。
一枚しか着ていなかったために、必然的に彼女の素肌が露わになる。
そこには、白く滑らかで、触ろうとすれば指を軽く弾いてしまうのではないとすら思える柔らかさを持つ肌と、膨らみとすらも呼べないような薄い胸の先にある、綺麗な桃色をした突起……
俺は右手を伸ばして、自分より二回りも小さい幼女の胸を手の中でわし掴みにした。
「あひゃっ!?ら、乱暴にしないでくだしゃ、ひゃうぅ!!」
ミノタウロスの幼女は泣きそうな顔でこちらを見上げるが、それさえも俺にとっては興奮をより増長させる材料にしかならなかった。
全く……本当に俺好みのいい女だな、畜生。
初めて会った時からずっとずっと、我慢していた。
こんないたいけな愛すべき幼女を、俺の汚れた欲望で汚してはならないと思って、倫理観やら道徳やらで必死に自分を押さえ込んだ。
無視を決め込んだのは、一度話しかけてしまえば、自分のことを求めてくれる彼女に対してきっと歯止めが効かなくなりそうだったから。
それに、汗を掻きながらも頑張って俺についてこようとするその姿を見て、だらしなく頬を緩めている顔なんか、見せたくなかった。
くそ、最近はランニングから帰る度にこの子の顔を思い出して、慰めて自分を静めていたっていうのに……!!
妄想の中では決して味わえない感触を、手の平で余すことなく味わう。
露わになった胸はシャツ越しに想像した大きさより大きくて、マシュマロのように柔らかかった。
けれど、その先端だけは別だった。手の平の中で俺の手を押し返すかのように存在を主張していて、そこに触れた部分だけくすぐられるかのようだった。
「あ、あふ、ひゃふぅ…♥♥」
経験のない拙い動きでも、俺の身体の下で、幼女は切なげな吐息を漏らす。
だが俺は、それだけのことでは最早満足などできなかった。
空いている左側の胸に口を軽くつけて、桃色の突起を舐めた。
「あひゃぅ!?」
軽く舐めただけなのに、手で触れた時よりも大きな声だった。その反応が面白くて、母親に甘える赤子のようにその乳房を味わった。
吸い付いて、突起の周りを優しく舐めて。口の中の柔らかい物は、しゃぶる度に舌に合わせてその形を変えた。その間も、右手の動きは当然緩めない。
「あっ♥わたし、ホルスタウロスじゃ、ないでしゅぅ♥そんなとこしゃぶっても、何も出て来ましぇんよぉ♥」
母乳が飲みたいからじゃない、君だからやっているんだ。
ミノタウロスの幼女の叫びにそう返してやりたかったが、答える手間も惜しかったので無視をして愛撫を続けた。
その時、自分の逸物が、乱れた幼女の肢体と口の中に広がる肌の柔らかい感触でとっくに元気を取り戻したことに気がついたのは、たまたま使っていない左手が触れたからだった。
そうだ……俺だけが下半身を見せるなんて、不公平だ……!!
「はぁ……はぁ……ひゃ、ひゃれ……?」
唇と手を離すと、ぎゅっと目をつぶっていた幼女が恐る恐る目を開ける。
止めてくれたと思ったのだろう。だが、幼女が目を開けた頃には既に、俺の両腕は彼女のショーツへと伸びていた。
尻尾があっても履きやすいようにと、お尻の部分に穴を空ける工夫が施されたそれは、容易く引きずり下ろされる。
薄い桃色の秘裂が、俺の眼前に晒された。
その入り口は、ここまでずっと走って来たためにかいた汗とは別の粘り気のある液体で、ぐっしょりと濡れそぼっていた。
それは、たった今剥ぎ取ったばかりの衣服も同様で、リボンの柄が描かれた小さなパンツは一部分の色だけが濃く、布の割に重みがあった。
俺みたいな初心者の貪るような愛撫でもちゃんと彼女を悦ばせていたという事実は余計に俺の劣情を駆り立てる。目を離せずに秘裂を凝視する俺の息は、自然と荒々しくなっていった。
「……いいでしゅよ」
その幼い声音は、晒し者になった自らの秘部を隠そうともしない、目の前の女の子のもの。
さっきまで為す術もなくされるがままにされていたにも関わらず、その表情に苦痛の色は一切なかった。
「ずっと、待ってたでしゅ。……来て、くだしゃい」
両手を差し出して、女の子は優しく微笑んだ。
そのあどけない笑顔は、人間をただの獣にするには充分な破壊力があった。
仰向けになっている幼女の小さな秘裂へと、躊躇いなく腰を落とす。
臨戦態勢になっていた俺の肉棒は、一気に奥へと入り込んでいった。
「あ、ひゃぁぁぁぁ!!」
プチ、と何かを千切るような感覚を自身の先端から感じると、俺達を繋いでいる箇所に赤い液体が滲む。
多分、膜が破れたのだろう。痛いのではないだろうか、と心配するような余裕は俺にはなかった。
見た目通りに狭い膣内は、俺をきつく締めつけ続けていた。締めつける、と言っても握りしめるようなものではなく、狭い為に触れ合っている箇所全てが同じ強さで中の肉壁に擦りつけられているのだ。まるで、無数の舌が俺の竿を舐め続けているかのようだった。
こらえるだけでも精一杯で、何かを考えることはできなくなっていた。それでも身体は正直で、より多くの快楽を求めようとして腰を落とそうとする。
「あっ、あぁっ、ひゃぅぅ♥赤い人ぉ、赤い人ぉ♥」
幼女の口はただ、壊れたレコードのように俺を呼ぶ。けれど、そうやって呼ばれた時に、心の底から湧き出てきたのは理不尽な怒り。今まで自分の方から無視していたのに、目の前のミノタウロスが自分の名前を知らないことが何故かこの時は無性に許せなかった。
「俺は、赤い人なんて名前じゃ、ない……」
「……はひゅ?」
「慎太郎(しんたろう)だ!!ちゃんと、そうやって呼べ!!」
叫ぶと同時に、ぐいっと腰を落とす。ちょうど先端が、子宮口へと勢いよくぶつかった。
「あひゃぅぅぅぅぅ♥シンタロー、シンタロー♥」
悲鳴にも近い絶叫をあげて、幼女の口は俺の名前を紡ぎ出す。
ただ、今にも叫びだしそうなのは、俺の方も変わらなかった。
ただでさえ、ギリギリのところでこらえていたものを一気に突き入れ、子宮口に触れさえしたのだ。当然、一度に与えられる快楽は倍どころでは済まず、膣内でビクリと俺の逸物が震えた。再び吐き出してしまうまで、そう時間はないのだろう。
「はぁ……はぁ……!!」
「シンタロー、わたし、もう……そろそろイッちゃう、でしゅぅ……♥♥」
「俺も…そろそろ、やばい……!!」
息を荒くして、彼女より早く達してしまうことだけはないようにと必死でこらえていたのだが、どうやらお互いに似たような状態だったらしい。
そして、先に限界が訪れたのは、小さなミノタウロスの方だった。
「あ……ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ♥♥」
一際高い声で幼女が叫ぶとその身体が痙攣し、きゅうっと膣内が突然締めつけられる。
その刺激に俺が耐えられる訳がなく、俺の肉棒は彼女の中へと欲望を叩きつけた。
「ふわぁぁぁ♥しゅごいでしゅ、しゅごいでしゅぅ♥シンタローの熱いのが、わたしの中に入ってきましゅぅ♥」
小さな内部は俺を逃がさないように締めつけを緩めることはなかったが、それでも全てをその中に収めることはできなかった。二回目にも関わらず一回目以上に肉棒から吐き出された白濁液は、結合部から少しずつ外へと漏れていった。
そして、全てを吐き出した俺に訪れるのは脱力感と、ようやく戻ってきた……理性で……
「はぁ……とても、よかったでしゅ……♥♥」
目の前には、いつも俺を追い掛けてきた少女の、衣服を全て剥がされたあられもない姿。
そして、その上には、いたいけな少女に覆い被さって性行為にいそしんだ、ズボンをパンツごと降ろした状態で彼女と一つになった俺。
冷静になって、この状況を考えて見ると、重大な事に気がついた。
……この状況、誰かに見られたらやばいんじゃね?
い、いや!!今はまだ早朝だし、ここまで走ってて追い抜いた人はいなかったしここは橋の下だし!!だから、一刻も早くこれを抜いてしまえば何の問題もないはずだ!!
「あれ……?もう終わりでしゅか……?」
引き抜こうと腰を上げると、名残惜しそうに少女は言った。
もちろん俺だってそれは一緒なのだが、今はそんなことを言っている場合ではない。
地面に手をかけて、腰を引く。が、抜こうとすればやはりどうしても中に擦れてしまうので、中々上手に抜くことができない。くそ、やっぱり擦れる感触は気持ちいい……じゃねぇ!!
慣れない作業に苦戦しながら、気持ちを切り替える為に何となく河原の方へと視線を向けた。
その瞬間、身体がフリーズした。
「…………」
「…………」
……メロウとサハギンという二匹の魔物が、川の中から頭だけを出してこっちを見ていた。
「やば、ばれた!?それじゃお二人さん、お幸せに!!」
「…………」
俺と視線が合った瞬間にメロウの方は即座に下流へと泳いで逃げ出し、サハギンは無言で川の中へとぽちゃん、と沈んでいった。
…………おい。サハギンはともかく、メロウって確か海に住んでるんじゃなかったのか。
そんなことを思ったのだが、言うべき相手はもう去ってしまったので口にすることはできず、溜息を吐き出すしかできなかった。
その後、何とか俺の息子を抜き取って、少女に服を着させ直した。
乱暴に扱ってしまった少女の服であったが、破れてはいなかったのが幸いだった。
ジャージのズボンとパンツも元の位置に戻したので、今の俺達は限りなくランニングをスタートした時の状態に戻っていた。
まぁ…………スタートする前と決定的に違うところがあるんだが。
「シンタロー♪」
少女はその小さな体で、俺の腰より少し下のところに抱きつく。
その頭を撫でてやると、俺の顔を見上げて照れが混じった表情で笑った。
「今日、帰ったらお母しゃんとお父しゃんにシンタローを紹介するのでしゅ。一緒についてきてくだしゃい、シンタロー♪」
「はぁ…わかったよ」
目撃者がいる以上、どうせ今日のことは遅かれ早かれ近所に広まってしまうのだろう。
だったら、もう俺は自分を偽る必要なんてない。この子のことが大好きだと、胸を張って言ってしまえばいいのだ。親には何か言われるかもしれないけれど、いざとなったら反抗するぐらいの腹は決めていた。
なんというか……もう、なるようになれだ。
「……そういえば、聞きたいことあるんだけど」
「なんでしゅか?これからの家族計画のお話でしゅか?それならどしどし聞いちゃってくだしゃい!!」
……ここ一週間で身につけたスルースキルをフル活用した。逃げててよかった。
「……君の名前、なんだっけ?」
「あれ、わたし言ってなかったでしゅか?わたしは美音(みね)っていいましゅ!!」
そうだ。俺は、このぐらい簡単なことさえもこの少女―――ミネのことを知らなかったのだ。
だけれど、何も知らないのは同じだったくせに、前を走り続ける俺のことを、ミネはその小さな体でずっと追い掛けてくれた。
「じゃあ、ミネ。帰りはミネが前を走って、家まで案内して欲しいんだけど」
「はいでしゅ!!さぁシンタロー、行くでしゅよー!!」
だから今度は、俺がミネのことを追い掛ける番、だよな。
元気一杯に走り出すミネの後ろに、俺も続いて走り出す。
とりあえず、ミネの両親になんて言うべきか、走りながら考えるか……
逃げる俺を捕まえたのは、赤を追って駆け続けた牛。
俺の心さえも捕らえてしまった彼女からは、これからもきっと逃げられない。
最初のきっかけは、身体測定の時に俺の体重が学年の平均を上回っていたので、痩せる為に運動しようと思ったなどという、極めて単純なものだった。近所にちょうどいい河原があったというのも、それを後押しする理由にはなったのだが。
初めてのランニングは気力が持たずに十分と経たずに家に帰って、冷蔵庫のお茶をがぶがぶ飲んだ。こんな事を繰り返すなんて、と想像するだけで気が滅入って止めてしまおうかと思った。
けれど、そんな重たい身体を身体測定の結果の用紙の数値だけを頼りに奮い立たせて二日、三日と続ける。一週間も経過すると、そんな気持ちはどこかへ吹き飛んでしまっていた。
見えてこなかった景色が段々と見えてくるようになっていた。
それは例えば、朝焼けを反射して光る川とか、あえてアスファルトの歩道を外れた時の芝の生えた土とそれを踏む足の裏の感触とか、反対側の岸で犬の散歩をしている女性とか。
今まで味わったことのない新しいものを発見するのが楽しくなっていて、気がつけばそれは俺にとって欠かせない日課になっていた。
それから何年も経って、いい年した大学生になった今でも毎朝走ることを止めていないのは、そういう経緯があったからである。
だが、ここ最近はその日課を止めた方がいいのかなぁ、などと考えることが増えた。
その理由というのは、別に俺が運動を嫌いになったとか、怪我や病気で続けるのが難しくなったとか、そんなものではない。
「そこの赤い人〜〜!!待ってくだしゃ〜〜〜〜い!!」
馴染みとなったランニングコースを走る俺の背後から聞こえてくる、舌っ足らずな叫び声が原因だ。
またか……と溜息をつくのもいい加減めんどくさいので、無視して呼吸を乱さないように手と足をテンポ良く動かす作業に努めた。
「はぁ、はぁ……なんで無視するんでしゅか赤い人〜〜!!こっち向いてくだしゃ〜〜い!!」
振り向かないようにしつつ念の為辺りを確認してみるが、赤い服を羽織っているような人間は、何年も使用している運動用の赤いジャージを着用している(ちなみに、三着ある同じものを毎日着回している)俺以外に周りにはいない。
つまり、件の叫び声が指し示しているのは間違いなく俺であるのだ。そんなことはわかりきったことではあるのだが、今度こそ肩を落とさずにはいられなかった。
問題なのは赤い人が誰のことを指すのか、ということではなくて、俺が今どの辺を走っているかということだった。
反対側の岸に、野球場があった。それだけでも、長年走ってきた俺には自分がどのぐらい走ってきたのかがわかってしまう。きちっと計ったことはないのだが、大体3~40分というところだろうか。
……つまり、何が言いたいかってことであるのだが。
「……げ」
そのまま走り続けているとすぐに、折り返し地点の目印として使っていた鉄製の柵が道を塞ぐ景色が、心配通り見えてきた。
つまり、そこから先に道はないのだから、俺は来た道を引き返すしかない。
ここまで走るのには結構な距離があった。その内に大人しく諦めてくれるかと期待していたのだが、後ろからは細やかな息づかいが聞こえてくる。
「はっ……はっ……待って、くだしゃ……」
その声が、否応なしに俺にわかりやすい現実を教えてくれた。
……はぁ。流石に無視し続けるのは無理があったか……
そんなことを思いつつも足を動かしていると、柵の近くまで辿り着くのにそう時間がかからなかった。
「はぁ、はぁ……ふぅ」
足を止めると、流石にどっと疲れが押し寄せてきた。倒れそうになった両足を、手で支えるが、全身から流れる汗だけは止めようもない。そこに風が吹いて、汗のしたたる身体は一気に冷やされてしまった。ここが橋の下で日陰になっているということもあって、夏場だというのにぶるり、と身体を振るわせてしまった。
けど……その感覚が、気持ちいい。
半分とはいえ、コースを走りきるというのには、毎日のことといえども確かに充足感があった。
けれど、これでもまだ半分しか走っていないことには違いないのだ。
休憩なんていらない。さぁ、コースを引き返そう。そして、この気分をもう一度……
「よ、ようやく追いつきましたよ、赤い人……」
……などという現実逃避はさておいて、俺は本日初めて後ろから追いかけてくる声の方を振り向く。
振り向いた先にいたのは、どう見ても唯の人間ではない少女だった。
真っ先に目を引くのは、ふさふさの毛で覆われた足だろう。それだけなら、一万歩譲ってそういう服なのだろうという解釈もできるのだが、足の部分にある、光沢を放つ蹄がその可能性を否定する。あんなデザインの靴なんか中々お目にかかれる代物ではないだろうし、あったとしてもそれをわざわざ履いて走ってきたりはしないだろう。
……てゆうか、あの足でよくこんな距離走ってきたな。
まぁそんな感想はどうでもいいとして。
それ以外にも頭から生えている耳とねじれた角とか、背中の後ろで力なく垂れ下がった、先端に茶色の毛が集中した細くて白い紐のようなもの___一言で表すと尻尾、とか。
人間に牛の特徴を混ぜたような女の子、ミノタウロスが、疲れ切った表情でそこにいた。
この現代において、魔物娘はそう珍しいものではない。
だから、追いかけてきた少女が人間でない、そのこと自体はそうそう驚くようなことではない。
だから、問題はそこではない。
「ふっふっふ〜……まさか、こんなところに行き止まりがあるなんて思いましぇんでしたよ!!でしゅが、ここまでみたいでしゅね!!さぁ、観念してくだしゃい赤い人!!大人しくわたしに犯されるのでしゅ!!」
ビシィッ!!と自分のことを指差す少女を、俺は違う意味で観念しながら見下ろしていた。
そう、平均的な男性程度の身長しかない俺が、たくましい体つきを持つ種族であるミノタウロスのことを、見下ろしていた。
あどけない顔立ちと、幼稚園児ぐらいしかない身長でこちらを見上げる少女のことを。(だからこの場合、幼女と言った方が的確かもしれんが、変態みたいで嫌だ)
……そんな少女が俺に向かって犯してやる、などと言うのは、酷くシュールだった。
この子との出会いは、遡ること一週間前なのだが、俺は少女の名前すら知らないし、向こうだってそんなものだろう。
というのも、走っている俺を「そこの赤い人〜〜!!」と今と全く変わらない呼び方で引き止めた挙げ句、「あなたのこと、犯させてくだしゃい!!」なんて魔物娘に言われてしまえば、逃げるしか選択肢はなかったからだ。
ん?大人しく襲われてしまえばいいのに?
いくら俺がこれまで魔物娘に襲われる機会どころか彼女ができたことすら全くない人生を送ってきたからと言っても、こんな小さな女の子を相手にその……色々とやってしまうのは、まずいだろう。いくら魔物娘がタフとは言っても、流石に俺にだって良心の呵責がある。
だからといって魔物娘が説得に応じるようには思えなかったので、黙って背を向けて逃げ出すことにした。
初日は走っている内にいつの間にか声が聞こえなくなっていたので安心していたのだが、その次の日も、更に次の日もミノタウロスの女の子はやってきた。
走るのを止めるなりコースを変えるなり、いくらでも手段は取れただろうが、日課を止めるのも、長い間走り続けてきたコースを変えるのも嫌だったので、意地を張ってスルーし続けた。
その結果、こうして鬼ごっこを毎日のように繰り広げることになった訳で。
……だが、昨日までは辿り着くよりもあちらのスタミナが切れる方が先だったので、この子がこうして折り返し地点までやってくるのは、初めてのことだ。
まぁ、この子だって一緒に走ってきたから体力ぐらいつくか……一週間でというのは早過ぎる気がするけど。
さて、これからどうしようかと考えようとしたのだが、少女はそんな暇を与えてはくれなかった。
「覚悟するのでしゅ〜〜!!」
嬉しそうな叫び声をあげて、少女が俺に突進してくる。
どこにそんなスタミナが残っていたのか、そのスピードは俺の走りよりも遙かに速くて、俺はその突進を避けることができなかった。
なので、代わりに手を伸ばして頭を掴んだ。
「んにゃっ!?な、何するのでしゅか赤い人!?この、このっ!!」
突進してきた少女は、頭を掴まれようとも必死に俺に向かって手を伸ばすのだが、当然それは俺に届くこともなく空振りに終わる。
「ふん、ふんっ!!あ、あれ、なんでこんな近くにいるのに届かないんでしゅかぁ!?」
頭を掴む手を払いのけるとか少しも考えずに頑張って俺に向かって手を伸ばすその姿は、傍から見ている分には和む光景であろう。
俺としてもまだまだ見ていたいのだが……いかんいかん。
どんなに目の前の少女が無邪気そうに見えても、貞操の危機には変わりないのだ。
「…えっと、そろそろ俺のことは諦めてくれないか?」
なるべく優しく、諭すような調子で俺が言うと、何故か少女は目を見開いた。
……ん?なんか変なこと言ったか俺?
反応に困っていると、予想の斜め上を行く返事が返ってきた。
「しゃ、喋った……赤い人が喋ったのでしゅ!?」
……そういや、初日からこの子に口を聞いたことなかったか。
「あぁ、よかったでしゅ……わたし、てっきり赤い人は何か原因があって喋れない人なのかと思ってたんでしゅよ……」
しかも、そのせいで見当違いな心配までさせてしまったようである。
「いや、そんなわけないから……と、いうかそもそも何で俺なんだ?君の言う通り、返事すらろくにしてくれない奴なんかより、もっといい男はいるんじゃないの?」
「赤い人の代わりなんかいましぇん!!毎日毎日わたしのおうちの近くの河原を走っている男の人は、赤い人だけでしゅ!!」
かねてからの疑問をぶつけると、ムキになって反論してきた。
というより、近所の河原ってことは……なるほど。なんで俺が毎日ランニングしているのを知っているのかと思ったら、そういうことか。
「それに、赤い人見てるとなんだか体が熱くなって、早起きするのもちっとも辛くないのでしゅ!!赤い人だけなんでしゅよ、こんな風になるの……」
……聞いているだけでは熱い愛の言葉に聞こえるかもしれないが、多分それは俺が文字通り『赤い人』だからだ。
ミノタウロスという種族は普段は凶暴ではないのだが、赤い物を見ると興奮して男を乱暴に犯し倒すという変わった特徴がある。
つまり、本人はおそらく自覚していないのだが、この子は俺が赤いジャージを着ているから興奮して追い掛けてきているのであって、別に俺のどこを好き、とかそういう話ではないのだろう。
「でしゅから、これは運命なのでしゅ!!きっとわたしと赤い人の間には、固く結ばれた運命の赤い糸があるのでしゅよ!!」
もう俺はとっくに頭から手を離しているのだが、よほど自分の話に夢中になっているのか、少女が襲いかかろうという様子はない。
結論。この子、やっぱり話が通じそうにない。
あ、でも赤い糸なら確かに俺達の間にあるか。ジャージという服の繊維として使われている、物理的な赤い糸なら。
「追い掛け続けてもう一週間になりましゅ……ここまで、追い掛けるのには辛いこともたくさんありましたでしゅ……でしゅが!!それを乗り越えることこそが、赤い人がわたしにくれた試練なんだと思ってずっと……」
「そうかそうか、それじゃ」
「うえぇ!?」
熱弁を振るう少女の隣を、ダッシュして駆け抜けた。
……勿論、こんな小さな女の子を放置することに罪悪感がないわけではないが、ここまでついてこれたのだからまぁ、帰るぐらいはできるだろう。
これ以上話していると、俺がまずいことになる。
そう判断しての行動だったのだが、俺はこの子を見くびっていた。
「い、行かないでくだしゃい赤い人〜〜!!」
その声に振り向いて一瞬止まってしまったのがまずかった。
焦っていたのだろう、少女が俺に向かって飛びかかってきていた。少女の反応がよほど早かったのか、手を伸ばせば届くような距離だった。
けれど、小さい彼女がジャンプしたところで、俺の胸に飛び込めるような高さまで跳べるわけがない。
だから、彼女の精一杯伸ばした小さい手は、俺のジャージのズボンのよりにもよって一番上を掴む。
重力に従って地面にぶつかった少女と一緒に、俺のズボンがパンツを巻き込んで一気に引きずり下ろされた。
「ひゃぅっ!?」
「のぁっ!?」
更に運の悪いことに、逃げようとしていた俺は足を自らのズボンに引っかけ、正面から地面へと倒れ込むことになった。
「痛っつー……」
うつぶせで倒れた身体を、両手を使って起こして、体勢を整える。
その直後、俺は自分の行動の迂闊さに気づかずにはいられなかった。
ズボンを掴んだまま、顔を赤くしているのは、俺の赤いジャージを見続けて立派に興奮したミノタウロス。
その視線の先には、わざわざ自分で体勢を整え仰向けになったことで見せつける羽目になった、俺の露出した下半身とそこに付いているもの。
……今までで一番速く、抵抗することはできなかった。
「……いっただっきまーしゅ♥♥」
ミノタウロスは、まるで好物のお菓子を与えられたかのように喜んで、俺の一物を口の中へと咥え込んだ。
「ちょ待っ、うぁっ!?」
少女の舌は、ただ舐めるだけではなかった。
全体を味わうようにゆっくり舐め回したかと思えば亀頭に集中したり、縦一直線になめくじのように這わせたり。攻めることを意識して緩急をつけた動きで、俺の息子を口内で弄ぶ。
魔物娘に襲われた経験どころか、女性と特別な関係を持ったことすらない俺には、それは強力すぎる刺激で、情けない声が漏れた。
「あ……おっひふなっへひまひふぁ……♥ひもひいいでひゅか、あひゃいひひょ?」
(あ……おっきくなってきました……♥気持ちいいでしゅか、赤い人?)
俺自身を咥えながら言う少女の台詞はまともに発音されていなかったが、言いたいことはすぐにわかった。
「ど、どこでこんな技術、覚えて……」
「おひゃーひゃんひゃ、おひょーひゃんひ、やっへはのへひゅ。おひょーひゃん、ほっへほふぉふぉほふへひはへひゅよ」
(お母さんが、お父さんに、やってたのでしゅ。お父さん、とっても喜んでいたでしゅよ)
……娘の前で何をやってるんですか、顔も知らないお母さん。
そう言ってやりたかったが、絶え間なく送られてくる快楽は、それ以上まともに喋ることすらも許しちゃくれなかった。
第一……そんなことよりも……!!
我ながら情けないのだが、もう既に俺の愚息は欲望をぶちまける準備をしようとしていた。
や、やばい……!!このままだと、俺はこの子に……!!
「あふぁいひほ、ふぉろふぉろふぇんふぁいでひゅか?はやいふぇひゅへぇ」
(赤い人、そろそろ限界でしゅか?早いでしゅねぇ)
「だ、駄目だ……早く、やめ……!!」
「ふぁいふょーふへふよ、ふゅふゅはふひひへふぁふぇまふゅはら♪」
(大丈夫でしゅよ、すぐ楽にしてあげましゅから♪)
笑顔でむしろ不安が増すようなことを言うが、少女は口の中に含んでいたものから口を離した。
一瞬、俺の言葉を聞き入れてくれたものだと思ったが、当然少女にそんな気はなかった。
口に含むのではなく、キスをするように短く先端に唇をつけると、尿道の入り口をそっと舐めた。
「……っ!!」
その未知の快楽に耐えきれず、俺の肉棒は勢いよく白い子種を吐き出した。
それは小さな口の中に収まりきる量ではなく、口を離した少女の顔へ飲み干せなかった分が浴びせられていく。
「赤い人……いっぱい出してくれましたね……♥♥」
嫌がる様子は一切なかった。
むしろ嬉しそうに、顔面を男の欲望で白く汚された少女は恍惚の笑顔を浮かべていた。
顔についたそれさえも指で拭き取ると、指についた砂糖を取ろうとするかのように舐めとった。
あぁ……もう、駄目だ。
むくり、と仰向けになっていた自分の上体を起こす。
目の前の幼女が何かを言おうとする前に、肩を押さえて地面へと押し倒した。
「おい……子供のくせに、随分調子に乗ってくれたなぁ……」
「あ、赤い人……?」
ただでさえ削られていた体力を射精の反動で削られて、思考する力が俺には殆ど残っていなかった。
そんな状態の俺に、あんな痴態を見せられてしまったら……もう……!!
「悪い子には、お仕置きしなくちゃなぁ……!!」
我慢できるわけ、ないだろう!!
幼女が上半身に着ていた薄手のシャツに手をかけて、仮に破けようと構わないぐらいの力で一気に引き剥がした。
一枚しか着ていなかったために、必然的に彼女の素肌が露わになる。
そこには、白く滑らかで、触ろうとすれば指を軽く弾いてしまうのではないとすら思える柔らかさを持つ肌と、膨らみとすらも呼べないような薄い胸の先にある、綺麗な桃色をした突起……
俺は右手を伸ばして、自分より二回りも小さい幼女の胸を手の中でわし掴みにした。
「あひゃっ!?ら、乱暴にしないでくだしゃ、ひゃうぅ!!」
ミノタウロスの幼女は泣きそうな顔でこちらを見上げるが、それさえも俺にとっては興奮をより増長させる材料にしかならなかった。
全く……本当に俺好みのいい女だな、畜生。
初めて会った時からずっとずっと、我慢していた。
こんないたいけな愛すべき幼女を、俺の汚れた欲望で汚してはならないと思って、倫理観やら道徳やらで必死に自分を押さえ込んだ。
無視を決め込んだのは、一度話しかけてしまえば、自分のことを求めてくれる彼女に対してきっと歯止めが効かなくなりそうだったから。
それに、汗を掻きながらも頑張って俺についてこようとするその姿を見て、だらしなく頬を緩めている顔なんか、見せたくなかった。
くそ、最近はランニングから帰る度にこの子の顔を思い出して、慰めて自分を静めていたっていうのに……!!
妄想の中では決して味わえない感触を、手の平で余すことなく味わう。
露わになった胸はシャツ越しに想像した大きさより大きくて、マシュマロのように柔らかかった。
けれど、その先端だけは別だった。手の平の中で俺の手を押し返すかのように存在を主張していて、そこに触れた部分だけくすぐられるかのようだった。
「あ、あふ、ひゃふぅ…♥♥」
経験のない拙い動きでも、俺の身体の下で、幼女は切なげな吐息を漏らす。
だが俺は、それだけのことでは最早満足などできなかった。
空いている左側の胸に口を軽くつけて、桃色の突起を舐めた。
「あひゃぅ!?」
軽く舐めただけなのに、手で触れた時よりも大きな声だった。その反応が面白くて、母親に甘える赤子のようにその乳房を味わった。
吸い付いて、突起の周りを優しく舐めて。口の中の柔らかい物は、しゃぶる度に舌に合わせてその形を変えた。その間も、右手の動きは当然緩めない。
「あっ♥わたし、ホルスタウロスじゃ、ないでしゅぅ♥そんなとこしゃぶっても、何も出て来ましぇんよぉ♥」
母乳が飲みたいからじゃない、君だからやっているんだ。
ミノタウロスの幼女の叫びにそう返してやりたかったが、答える手間も惜しかったので無視をして愛撫を続けた。
その時、自分の逸物が、乱れた幼女の肢体と口の中に広がる肌の柔らかい感触でとっくに元気を取り戻したことに気がついたのは、たまたま使っていない左手が触れたからだった。
そうだ……俺だけが下半身を見せるなんて、不公平だ……!!
「はぁ……はぁ……ひゃ、ひゃれ……?」
唇と手を離すと、ぎゅっと目をつぶっていた幼女が恐る恐る目を開ける。
止めてくれたと思ったのだろう。だが、幼女が目を開けた頃には既に、俺の両腕は彼女のショーツへと伸びていた。
尻尾があっても履きやすいようにと、お尻の部分に穴を空ける工夫が施されたそれは、容易く引きずり下ろされる。
薄い桃色の秘裂が、俺の眼前に晒された。
その入り口は、ここまでずっと走って来たためにかいた汗とは別の粘り気のある液体で、ぐっしょりと濡れそぼっていた。
それは、たった今剥ぎ取ったばかりの衣服も同様で、リボンの柄が描かれた小さなパンツは一部分の色だけが濃く、布の割に重みがあった。
俺みたいな初心者の貪るような愛撫でもちゃんと彼女を悦ばせていたという事実は余計に俺の劣情を駆り立てる。目を離せずに秘裂を凝視する俺の息は、自然と荒々しくなっていった。
「……いいでしゅよ」
その幼い声音は、晒し者になった自らの秘部を隠そうともしない、目の前の女の子のもの。
さっきまで為す術もなくされるがままにされていたにも関わらず、その表情に苦痛の色は一切なかった。
「ずっと、待ってたでしゅ。……来て、くだしゃい」
両手を差し出して、女の子は優しく微笑んだ。
そのあどけない笑顔は、人間をただの獣にするには充分な破壊力があった。
仰向けになっている幼女の小さな秘裂へと、躊躇いなく腰を落とす。
臨戦態勢になっていた俺の肉棒は、一気に奥へと入り込んでいった。
「あ、ひゃぁぁぁぁ!!」
プチ、と何かを千切るような感覚を自身の先端から感じると、俺達を繋いでいる箇所に赤い液体が滲む。
多分、膜が破れたのだろう。痛いのではないだろうか、と心配するような余裕は俺にはなかった。
見た目通りに狭い膣内は、俺をきつく締めつけ続けていた。締めつける、と言っても握りしめるようなものではなく、狭い為に触れ合っている箇所全てが同じ強さで中の肉壁に擦りつけられているのだ。まるで、無数の舌が俺の竿を舐め続けているかのようだった。
こらえるだけでも精一杯で、何かを考えることはできなくなっていた。それでも身体は正直で、より多くの快楽を求めようとして腰を落とそうとする。
「あっ、あぁっ、ひゃぅぅ♥赤い人ぉ、赤い人ぉ♥」
幼女の口はただ、壊れたレコードのように俺を呼ぶ。けれど、そうやって呼ばれた時に、心の底から湧き出てきたのは理不尽な怒り。今まで自分の方から無視していたのに、目の前のミノタウロスが自分の名前を知らないことが何故かこの時は無性に許せなかった。
「俺は、赤い人なんて名前じゃ、ない……」
「……はひゅ?」
「慎太郎(しんたろう)だ!!ちゃんと、そうやって呼べ!!」
叫ぶと同時に、ぐいっと腰を落とす。ちょうど先端が、子宮口へと勢いよくぶつかった。
「あひゃぅぅぅぅぅ♥シンタロー、シンタロー♥」
悲鳴にも近い絶叫をあげて、幼女の口は俺の名前を紡ぎ出す。
ただ、今にも叫びだしそうなのは、俺の方も変わらなかった。
ただでさえ、ギリギリのところでこらえていたものを一気に突き入れ、子宮口に触れさえしたのだ。当然、一度に与えられる快楽は倍どころでは済まず、膣内でビクリと俺の逸物が震えた。再び吐き出してしまうまで、そう時間はないのだろう。
「はぁ……はぁ……!!」
「シンタロー、わたし、もう……そろそろイッちゃう、でしゅぅ……♥♥」
「俺も…そろそろ、やばい……!!」
息を荒くして、彼女より早く達してしまうことだけはないようにと必死でこらえていたのだが、どうやらお互いに似たような状態だったらしい。
そして、先に限界が訪れたのは、小さなミノタウロスの方だった。
「あ……ふぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ♥♥」
一際高い声で幼女が叫ぶとその身体が痙攣し、きゅうっと膣内が突然締めつけられる。
その刺激に俺が耐えられる訳がなく、俺の肉棒は彼女の中へと欲望を叩きつけた。
「ふわぁぁぁ♥しゅごいでしゅ、しゅごいでしゅぅ♥シンタローの熱いのが、わたしの中に入ってきましゅぅ♥」
小さな内部は俺を逃がさないように締めつけを緩めることはなかったが、それでも全てをその中に収めることはできなかった。二回目にも関わらず一回目以上に肉棒から吐き出された白濁液は、結合部から少しずつ外へと漏れていった。
そして、全てを吐き出した俺に訪れるのは脱力感と、ようやく戻ってきた……理性で……
「はぁ……とても、よかったでしゅ……♥♥」
目の前には、いつも俺を追い掛けてきた少女の、衣服を全て剥がされたあられもない姿。
そして、その上には、いたいけな少女に覆い被さって性行為にいそしんだ、ズボンをパンツごと降ろした状態で彼女と一つになった俺。
冷静になって、この状況を考えて見ると、重大な事に気がついた。
……この状況、誰かに見られたらやばいんじゃね?
い、いや!!今はまだ早朝だし、ここまで走ってて追い抜いた人はいなかったしここは橋の下だし!!だから、一刻も早くこれを抜いてしまえば何の問題もないはずだ!!
「あれ……?もう終わりでしゅか……?」
引き抜こうと腰を上げると、名残惜しそうに少女は言った。
もちろん俺だってそれは一緒なのだが、今はそんなことを言っている場合ではない。
地面に手をかけて、腰を引く。が、抜こうとすればやはりどうしても中に擦れてしまうので、中々上手に抜くことができない。くそ、やっぱり擦れる感触は気持ちいい……じゃねぇ!!
慣れない作業に苦戦しながら、気持ちを切り替える為に何となく河原の方へと視線を向けた。
その瞬間、身体がフリーズした。
「…………」
「…………」
……メロウとサハギンという二匹の魔物が、川の中から頭だけを出してこっちを見ていた。
「やば、ばれた!?それじゃお二人さん、お幸せに!!」
「…………」
俺と視線が合った瞬間にメロウの方は即座に下流へと泳いで逃げ出し、サハギンは無言で川の中へとぽちゃん、と沈んでいった。
…………おい。サハギンはともかく、メロウって確か海に住んでるんじゃなかったのか。
そんなことを思ったのだが、言うべき相手はもう去ってしまったので口にすることはできず、溜息を吐き出すしかできなかった。
その後、何とか俺の息子を抜き取って、少女に服を着させ直した。
乱暴に扱ってしまった少女の服であったが、破れてはいなかったのが幸いだった。
ジャージのズボンとパンツも元の位置に戻したので、今の俺達は限りなくランニングをスタートした時の状態に戻っていた。
まぁ…………スタートする前と決定的に違うところがあるんだが。
「シンタロー♪」
少女はその小さな体で、俺の腰より少し下のところに抱きつく。
その頭を撫でてやると、俺の顔を見上げて照れが混じった表情で笑った。
「今日、帰ったらお母しゃんとお父しゃんにシンタローを紹介するのでしゅ。一緒についてきてくだしゃい、シンタロー♪」
「はぁ…わかったよ」
目撃者がいる以上、どうせ今日のことは遅かれ早かれ近所に広まってしまうのだろう。
だったら、もう俺は自分を偽る必要なんてない。この子のことが大好きだと、胸を張って言ってしまえばいいのだ。親には何か言われるかもしれないけれど、いざとなったら反抗するぐらいの腹は決めていた。
なんというか……もう、なるようになれだ。
「……そういえば、聞きたいことあるんだけど」
「なんでしゅか?これからの家族計画のお話でしゅか?それならどしどし聞いちゃってくだしゃい!!」
……ここ一週間で身につけたスルースキルをフル活用した。逃げててよかった。
「……君の名前、なんだっけ?」
「あれ、わたし言ってなかったでしゅか?わたしは美音(みね)っていいましゅ!!」
そうだ。俺は、このぐらい簡単なことさえもこの少女―――ミネのことを知らなかったのだ。
だけれど、何も知らないのは同じだったくせに、前を走り続ける俺のことを、ミネはその小さな体でずっと追い掛けてくれた。
「じゃあ、ミネ。帰りはミネが前を走って、家まで案内して欲しいんだけど」
「はいでしゅ!!さぁシンタロー、行くでしゅよー!!」
だから今度は、俺がミネのことを追い掛ける番、だよな。
元気一杯に走り出すミネの後ろに、俺も続いて走り出す。
とりあえず、ミネの両親になんて言うべきか、走りながら考えるか……
逃げる俺を捕まえたのは、赤を追って駆け続けた牛。
俺の心さえも捕らえてしまった彼女からは、これからもきっと逃げられない。
12/07/06 18:39更新 / たんがん