連載小説
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その日の始まり
「新しい定期便のルートができました。」

俺がその飛空艇に乗った理由はそれだった。

俺以外にも乗った客は何人かいるようだ。

特に楽しむわけでもなく、ただ行って帰る旅行くらいに思ってた。

あの集団で羽ばたく音を聞くまでは・・・




「親方!」

「いままでありがとうございました!」

「拾ってくれた恩は一生忘れません!」

そういいきった後、外で彼が連れ去られていく音がした。

「・・・」

飛空艇がブラックハーピーに襲われてる最中、船の船長は無言だった。



出艇したあと山をいくつか超えた後、いきなりブラックハーピーの集団に船が襲われ甲板に出ていた客はすべて船内に逃げ、入れ替わるように船員が甲板へ応戦しに行った。

あの船員の最後の言葉を聞いたのはそのあとだ。

そしてその直後だろうか、

「親方!もう持ちません!」

「・・・仕方ないか」

「お客さん方、これからこの飛空艇は不時着します、大変揺れますのでなにかにつかまっててください。」

飛空艇が白い煙を上げながら山頂にゆっくり落ちて行った



山頂になんとか不時着できたようだが、

「・・・直せそうか?」

「動力機関の損傷がひどすぎてこれではもう船は・・・」

「そうか・・・」

そういって顔を伏せた後少し間をおいて船長が、

「お客さん方、この飛空艇はこれ以上飛ぶことはできません。」

「ですので目的地まではいけませんが、近くの村までは責任もって届けます。」

そういって船内に非常用のものを取りに行った。

とてもつらそうな顔をして。



船員のほとんどをブラックハーピー達にさらわれ

結局生き残ったのは俺と、

女の写真が入ったペンダントを持った奴と、

どっかの貴族のご子息っぽい奴と、

そいつを守る騎士のような奴と、

その騎士と一緒にいる雇われ戦士系の奴と、

中華服っぽい赤い服を着た奴と、

見た目は完全に子供の船医と、

さっきからずっと船長の横にいる船員と、

そして落とされた飛空艇の船長、

男9人・・・か、

山頂から男9人で山下りなんて・・・シャレにもならないな




それにしても誰だよ!こんな危ないルート作った奴は!

ルート開拓はいいんだが、安全性は確保してほしい。

そんなことを心の中で叫んだ後、今後の事について考えていた。

まあただブラックハーピーに落とされて今の現状だから考えることも少なかったが、

今までの人生、特に面白みのない俺にとっては多少面白みのあるハプニング程度。

結局はただの事故、俺はその時そんな考えでしかなかった。








『飛空艇が落ちて男が9人になった』






12/01/27 10:30更新 / LCND
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■作者メッセージ
初連載です

不定期更新になると思いますのでお暇なときに見てくださるとありがたいです

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