捨てる神あれば… あふたー×いっぱい
えー…。梅雨も明け、本格的な夏を迎えましたが皆様いかがお過ごしでしょうか。一文字です。
まぁ、住所が4km程変わった我が家はと言うと……。
「あっぢぃー……。」
「あづいに゛ゃ……。」
「に゛ゃー…。」
三人揃って畳のある和室で寝っ転がって絶賛茹だり中です。あ゛ー…夏祭りと花火大会の準備しなきゃだけど…。
「この暑さだからなぁー…。」
出来れば外に出たくない。このままクーラーでも付けてダレていたい。つか娘達よ。
「お前ら、暑いなら離れろよ…。」
「嫌ニャ…。」
「やーに゛ゃー…。」
何だっていつも引っ付いて来るんだ……。あーー……扇風機付けてんのに全然効いてねぇ…。まぁ、社があるのが山間部なのが唯一の救いか。日陰多いし。
「あ、おチビちゃん大丈夫かニャ?」
「……見に行くか。」
「うにゃー……。」
俺の腹に凭れていた頭を離し、黄土地に茶色の縞柄のネコマタ…トウが立ち上がる。
この二年で、トウは本当に見違える程お姉さんになった。……精神的な意味で。身体の方は…まぁ、お察し下さい。
「今何か失礼な事考えなかったニャ?」
「気の所為じゃないか?」
未だ腹の上に乗るちっこい黒ネコマタ…宵を抱き上げて床に降ろし、トウに倣って立ち上がる。宵は何故かあれ以来殆ど成長していない。いや、猫形態の時はちゃんと大きくなってるんだけどね?人型の時の姿や口調とかは二年前のまま。魔物って成長止まるもんなのか?や、まぁ別に良いんだけどさ。
「?ごしゅじんしゃま?」
「何でもない。」
宵のフワフワな頭をくしゃくしゃと撫でて誤魔化しつつ、隣の部屋への襖に手を掛ける。音を立てないようにゆっくりと襖を開けると、中にはタオルケットが敷かれており、まだ小さな幼児がそれに包まれて眠っていた。
「…大丈夫みたいニャね。」
「だな。…汗、かいてないかな。」
「きもちよさそうにゃー。」
まぁ昼飯までまだ時間はあるし、もう少し寝かしといてやるか。あ、この子は色々あって去年引き取った親戚の子。まぁ、何があったかはちょっと話が重くなるから話せないけれど。因みに歳は三歳半。
「ご主人、お昼は何かニャ?」
「素麺。」
「またかニャ!?毎日毎日素麺ばっかりニャ!!もう飽きたニャー!!」
「よいはそーめんすきにゃー。」
トウよ、文句なら実家とご近所さんに言ってくれ。まだ後二十束パックのやつが六箱も残ってるんだから。使わにゃ勿体無いし、中には手製まであるから尚食わねばと思っちゃうし。
「まぁまぁ、今日はシーチキン使って良いから。」
「ご主人!早くご飯作ろうニャ!!」
……相変わらず現金な奴だ。自分の好物が食えると分かったらコレである。しかし素麺は茹でれば一瞬で出来てしまう。故に急ぐ必要はない。
「まぁまぁ、そんなに急かすなって。」
「何言ってるニャ!『時は金なり』って言うニャ!だからちゃっちゃと作って素麺食べようニャ!!」
トウちゃん、普段寝てばっかの君には『猫に小判』だよ…。
「本音は?」
「シーチキン食べたいっ!」
ですよねー。うん、知ってた。…はぁ、まぁいいか。どっちにせよ花火大会の準備の為に境内と近くの道に区分け線書かなきゃだし。
「ん、じゃあチビさん起こしてやってくれ。その間にあっしは素麺茹でとくから。」
「はいニャ!」
元気の良い返事を一つ返すと、トウは小走りでチビさんの寝ている部屋へと向かっていった。…甘やかし過ぎかねぇ?
「ごしゅじんしゃま〜、よいもおてつだいしたいにゃ〜。」
「ん?んー…。」
気持ちは有難いが、流石にマジもんの猫の手を借りるような工程は素麺にはない。本来ならトウと一緒にチビさん起こしに行って欲しいが、宵は起こし方に躊躇いがないから駄目だし。かと言って皿運んでもらうのは怖いし…。うーむ…。
「ね〜ね〜、おてつだい〜。」
「んー…。あ、じゃあ」
「やぁーっほぉーぅ!!おっ邪魔ー!!」
某配管工じみた絶叫みたいな大声が玄関から響く。
「…おし、あのバカとっちめて来て。」
「にゃ〜!」
丁度相変わらず事前連絡もなしに人んちに特攻かまして来る阿保が来たので、処理を任せる事にした。
ーーーーーー
「いただきます。」
「「「「いただきます(ニャ!)(にゃ〜)(…)(!!)」」」」
早々に素麺と付け合わせが完成し、一気に賑やかになった食卓を囲む。トウと宵はシーチキンましまし、チビさんはつゆ薄め、バカ健は山葵と葱と胡瓜大量。
「何故うちの者でもねぇお前が一番付け合わせ取ってんだよ。」
「…そこにメシがあるから?」
「締め出すぞお前コラ。」
遠慮なんか彼方に投げ捨ててきた旧友の物言いに辟易しながら、向かいに座るチビさんの方をチラリと見る。すると、チビさんはつゆに落ちていく細い素麺と悪戦苦闘していた。和むわぁ…。
「箸が難しいなら、フォークあるからな?」
「え、あ、あい。」
対して此方は年齢に似合わず遠慮がちだ。これでも治った方だ、最初はもっと酷かった。
「まぁこの猫達の時もビビったけど、チビっ子を引き取るってのは正直引いたわぁ。」
「あ?何でだよ。」
「攫って来たのかと思って。」
「ふんっ!」
「しょうどしま!!」
あまりと言えばあまりな言葉に、思わず張り手炸裂。ヤス健は大きく体勢を崩して転がっていった。
「にしてもご主人、何でコイツにアタシらの事喋ったニャ?」
「え?バカだから。」
「……。」
即答すると、凄い目でトウが此方を見て来た。まぁ実際の理由は少し違うが、一言で表すとそうなるのだ。だからトウ、その目止めてお父ちゃん新しい扉開きたくない。
「ま、まぁご主人の事だから何かしら考えてるだろうけどニャ…。」
「俺がバカなのは否定してくれないの?」
「だって事実ニャし。」
「酷っ!!」
会社勤めの時よりほんの少し騒がしくなった、そんな毎日。
まぁ、住所が4km程変わった我が家はと言うと……。
「あっぢぃー……。」
「あづいに゛ゃ……。」
「に゛ゃー…。」
三人揃って畳のある和室で寝っ転がって絶賛茹だり中です。あ゛ー…夏祭りと花火大会の準備しなきゃだけど…。
「この暑さだからなぁー…。」
出来れば外に出たくない。このままクーラーでも付けてダレていたい。つか娘達よ。
「お前ら、暑いなら離れろよ…。」
「嫌ニャ…。」
「やーに゛ゃー…。」
何だっていつも引っ付いて来るんだ……。あーー……扇風機付けてんのに全然効いてねぇ…。まぁ、社があるのが山間部なのが唯一の救いか。日陰多いし。
「あ、おチビちゃん大丈夫かニャ?」
「……見に行くか。」
「うにゃー……。」
俺の腹に凭れていた頭を離し、黄土地に茶色の縞柄のネコマタ…トウが立ち上がる。
この二年で、トウは本当に見違える程お姉さんになった。……精神的な意味で。身体の方は…まぁ、お察し下さい。
「今何か失礼な事考えなかったニャ?」
「気の所為じゃないか?」
未だ腹の上に乗るちっこい黒ネコマタ…宵を抱き上げて床に降ろし、トウに倣って立ち上がる。宵は何故かあれ以来殆ど成長していない。いや、猫形態の時はちゃんと大きくなってるんだけどね?人型の時の姿や口調とかは二年前のまま。魔物って成長止まるもんなのか?や、まぁ別に良いんだけどさ。
「?ごしゅじんしゃま?」
「何でもない。」
宵のフワフワな頭をくしゃくしゃと撫でて誤魔化しつつ、隣の部屋への襖に手を掛ける。音を立てないようにゆっくりと襖を開けると、中にはタオルケットが敷かれており、まだ小さな幼児がそれに包まれて眠っていた。
「…大丈夫みたいニャね。」
「だな。…汗、かいてないかな。」
「きもちよさそうにゃー。」
まぁ昼飯までまだ時間はあるし、もう少し寝かしといてやるか。あ、この子は色々あって去年引き取った親戚の子。まぁ、何があったかはちょっと話が重くなるから話せないけれど。因みに歳は三歳半。
「ご主人、お昼は何かニャ?」
「素麺。」
「またかニャ!?毎日毎日素麺ばっかりニャ!!もう飽きたニャー!!」
「よいはそーめんすきにゃー。」
トウよ、文句なら実家とご近所さんに言ってくれ。まだ後二十束パックのやつが六箱も残ってるんだから。使わにゃ勿体無いし、中には手製まであるから尚食わねばと思っちゃうし。
「まぁまぁ、今日はシーチキン使って良いから。」
「ご主人!早くご飯作ろうニャ!!」
……相変わらず現金な奴だ。自分の好物が食えると分かったらコレである。しかし素麺は茹でれば一瞬で出来てしまう。故に急ぐ必要はない。
「まぁまぁ、そんなに急かすなって。」
「何言ってるニャ!『時は金なり』って言うニャ!だからちゃっちゃと作って素麺食べようニャ!!」
トウちゃん、普段寝てばっかの君には『猫に小判』だよ…。
「本音は?」
「シーチキン食べたいっ!」
ですよねー。うん、知ってた。…はぁ、まぁいいか。どっちにせよ花火大会の準備の為に境内と近くの道に区分け線書かなきゃだし。
「ん、じゃあチビさん起こしてやってくれ。その間にあっしは素麺茹でとくから。」
「はいニャ!」
元気の良い返事を一つ返すと、トウは小走りでチビさんの寝ている部屋へと向かっていった。…甘やかし過ぎかねぇ?
「ごしゅじんしゃま〜、よいもおてつだいしたいにゃ〜。」
「ん?んー…。」
気持ちは有難いが、流石にマジもんの猫の手を借りるような工程は素麺にはない。本来ならトウと一緒にチビさん起こしに行って欲しいが、宵は起こし方に躊躇いがないから駄目だし。かと言って皿運んでもらうのは怖いし…。うーむ…。
「ね〜ね〜、おてつだい〜。」
「んー…。あ、じゃあ」
「やぁーっほぉーぅ!!おっ邪魔ー!!」
某配管工じみた絶叫みたいな大声が玄関から響く。
「…おし、あのバカとっちめて来て。」
「にゃ〜!」
丁度相変わらず事前連絡もなしに人んちに特攻かまして来る阿保が来たので、処理を任せる事にした。
ーーーーーー
「いただきます。」
「「「「いただきます(ニャ!)(にゃ〜)(…)(!!)」」」」
早々に素麺と付け合わせが完成し、一気に賑やかになった食卓を囲む。トウと宵はシーチキンましまし、チビさんはつゆ薄め、バカ健は山葵と葱と胡瓜大量。
「何故うちの者でもねぇお前が一番付け合わせ取ってんだよ。」
「…そこにメシがあるから?」
「締め出すぞお前コラ。」
遠慮なんか彼方に投げ捨ててきた旧友の物言いに辟易しながら、向かいに座るチビさんの方をチラリと見る。すると、チビさんはつゆに落ちていく細い素麺と悪戦苦闘していた。和むわぁ…。
「箸が難しいなら、フォークあるからな?」
「え、あ、あい。」
対して此方は年齢に似合わず遠慮がちだ。これでも治った方だ、最初はもっと酷かった。
「まぁこの猫達の時もビビったけど、チビっ子を引き取るってのは正直引いたわぁ。」
「あ?何でだよ。」
「攫って来たのかと思って。」
「ふんっ!」
「しょうどしま!!」
あまりと言えばあまりな言葉に、思わず張り手炸裂。ヤス健は大きく体勢を崩して転がっていった。
「にしてもご主人、何でコイツにアタシらの事喋ったニャ?」
「え?バカだから。」
「……。」
即答すると、凄い目でトウが此方を見て来た。まぁ実際の理由は少し違うが、一言で表すとそうなるのだ。だからトウ、その目止めてお父ちゃん新しい扉開きたくない。
「ま、まぁご主人の事だから何かしら考えてるだろうけどニャ…。」
「俺がバカなのは否定してくれないの?」
「だって事実ニャし。」
「酷っ!!」
会社勤めの時よりほんの少し騒がしくなった、そんな毎日。
15/07/30 14:08更新 / 一文字@目指せ月3