13話 カミーユの訓練*剣術編*
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
さっき依頼を受けたと言ってからのこの沈黙。
もう既に軽く5分ほど、襖を挟んで立ったまま状態で固まっていた。
「・・・なぁイナミ、さっきから一体何を」
部屋の中から、黒い鎧を来た長い白髪の女性がゆっくりと顔を出してきた。
あれ、この女の人・・・。
「あ・・・」
そうだ、思い出した!俺が食われかけた(性的な意味で)時に助けてくれた人じゃないか!
「おや、君は・・・。そうか、依頼を受けたんだな?」
「え、あ、ハイ・・・」
どぎまぎとした空気の中、何事も無いかのように黒い鎧の女性が話しかけてきた。
この人が魔王軍の騎士団長か・・・。
確かに、威厳のあるすっきりとした顔立ちに丈夫そうな漆黒の鎧。どことなく気品もある姿は騎士団長のソレなのであろう。
「すまないな・・・。ラドンに言い包められてしまって・・・。」
「え!?」
イナミ様が驚いた様子で女性のいる後ろを向いた。
「それ本当なの、カミーユ!?」
「あ、ああ・・・」
「・・・・・・はぁ」
イナミ様は呆れたように肩を落としてため息をつく。
「またあの人は・・・」
「え・・・またって・・・?」
聞いてるそばから嫌な予感がするが思い切って訊ねてみた。
「ラドンさんはね、根っからの戦闘好きなのよ・・・」
「・・・はい?」
「他の人の戦ってる姿を見るのが楽しいらしくて、討伐とか戦闘依頼を差し向けちゃうのよ・・・」
今明かされた、衝撃の事実。
・・・通りで、この依頼を断るのを目で封印してたわけだよ!
「・・・ラドンは、今はああでも全盛期であった先代魔王の時代は相当の実力者だったそうだ」
「・・・はぁ」
「・・・」
開いた口が塞がらないとはこの事だ。
ちらりと横を見ると、クノーも知らなかったようだ。俺と同じように口をポカンと開け、唖然としている。
「ともかく」
「・・・?」
今度は何を言って俺の心を折ろうってんだ?
「依頼を受けてしまったのなら仕方が無い。エルデへ向かうまでの三日、私が鍛えてやろう。私の名はカミーユ。改めてよろしくな。」
「あ、自分スグロと申しますって・・・へ?」
「それしか無いわねぇ・・・」
「善は急げだ。そうと決まれば訓練を開始するぞ。イナミ、暫らくこの小僧預かるからな」
「・・・仕方ないわ」
・・・え?今なんて?
ツカツカと近付いてくる魔王軍騎士団長。俺の腕を掴むと、社の外へと連れ出そうとする。
「ちょちょちょ、待ってください!カミーユ・・・さん!」
「・・・何だ?」
カミーユが足を止めてさも不思議そうに此方を見る。
「く、訓練って一体何ですか!?」
「ラドンから聞いていないのか?」
「初耳ですよ!」
「そうか・・・まあいい。とにかく訓練開始だ」
「だからー!」
結局そのまま腕を取られ、イナミ様の社を後にした。
―――――――――――
「行っちゃったわねぇ・・・」
「嵐みたいな人だな・・・」
カミーユとスグロが去って行った後、二人はそう呟いた。
―――――――――――
――――とある広場
「ふむ・・・ここがいいな」
「うわっ!?」
「きゃん!?」
いきなり止まられたのでカミーユの硬い鎧に顔面をぶつけてしまった。
その拍子にカミーユも少し体制を崩してしまったらしく、よろめく。
「ごめんごめん・・・。でも、いきなり止まるなんて」
そう言いながら鎧から顔を離す。
しかし返事が無い。・・・もしかして、怒った?
「本当、悪かったって・・・」
「全く、驚いて首が落ちてしまったではないか」
・・・はい?
信じられない言葉に、思わず顔を上げる。
普通ならあの長い白髪が顔にかかる筈がかからない。
崩れていた体制を直し、首をを見てみてもあるはずのソレは無く。
「ぎゃああああああああああ!?」
「な、なんだ急に!」
「く、首が!首がああああ!?」
何か足元から声が聞こえるけど関係ない!
どどどどどうしよう!俺、人一人殺しちまった!?嫌でもぶつかっただけで首が落ちるとか思ってなくてくぁlp@:せ・。;ふじこ:l;
「落ち着け!」
「アナロぐっ!?」
カミーユ(体)の放った斜め45度チョップが俺の頭頂部に直撃する!
スグロは62のダメージを受けたっ!
あまりの痛みにスグロは悶絶している!
「〜〜〜ーーっ!」
「あ、すまん・・・」
どうやら、カミーユは自分が鎧を着けていることを忘れていたようだ。
大事な事なので頼むから忘れないで頂きたい。
「全く・・・私は死んでなどいない、ほらな」
「あ、ホントだ・・・」
そう言ってカミーユ(体)は落ちた首を拾い上げ挿げ直す。
デュ・・・デュラハンだったんですか・・・。
「何だ、ジロジロと見て・・・」
「いや、何となく・・・」
「・・・?変な奴だな・・・。とにかく訓練開始だ。スグロ、武器は何か持っているのか?」
「武器?・・・えーと・・・このナイフくらいだな・・・」
ポケットからスズから貰ったナイフを取り出す。
小柄だが切れ味は確かなもので、木の幹に簡単に突き刺さったりする。
「ほほう、そのナイフ・・・」
「スズから貰ったんだ」
「だろうな、そこまで良い物はなかなか無い。・・・で」
「で?」
「ナイフはどこまで使えるんだ?」
カミーユが唐突に訊ねてきた。
どこまでって・・・昨日初めて使ったんだけどなぁ・・・。
「とりあえず、攻撃を受け流せるくらいかな・・・」
「よし、なら私の攻撃をいなしてみろ」
「は?」
「いくぞ!」
「えっ・・・ちょっ、うわぁ!?」
カミーユは剣を鞘から抜き取るや否や振り上げ、こちらに思い切り振り下ろしてきた!
慌てて真後ろに飛び退る。
危ねぇ・・・一瞬でも反応が遅れてたら頭かち割れてたぞ・・・。
「な、何すんだよ!当たったら危ねぇじゃねぇか!」
「ふむ・・・。反応は良い。だが、私は攻撃をいなせと言ったはずだ、もう一度行くぞ!」
話聞いてないし!
カミーユはもう一度剣を構えるとダンと地面を蹴り、俺が飛び退って作った間をたった一歩で縮めて今度は横に剣を薙いで来た。
「うわっ!?」
物凄い速度で振られたカミーユの剣をナイフの刃ではなく腹で受け止める。
それと同時にナイフを持った左腕を重い衝撃が襲った。
その一撃だけで左手に痺れが生じ、思わずナイフを落としそうになる。
「っつー・・・!」
ナイフを右手に持ち替え、痺れた左手を休ませる。
なんつー力してんだよ・・・流石は騎士団長ってことか・・・。
「何だ、もう手が痺れたのか?」
「いや、まだナイフって慣れてないし・・・」
「慣れていない?貴様はさっきある程度使いこなせると・・・」
「攻撃を受け流せるって言っただけだから!」
そう突っ込んでいると、カミーユの後ろから何かを背中に担いだサイが走ってくるのが見えた。
どうしたんだろう?
「おいスグロ、貴様訓練の最中にどこを見て」
「サイー?どうしたんだー?」
「サイ?」
俺の声につられて、カミーユが後ろを振り返る。
サイはすぐに此方まで走ってきた。
「ハァ・・・ハァ・・・」
結構な距離を走ってきたのか、サイは肩で息をしていた。
「サイ、大丈夫か?」
「・・・・・・」
サイは息を整えると、小さく頷いた。そして背中に担いでいた何かを取り出した。
それは刃の部分が包帯で包まれた大きな鎌。
際はそれを無言で俺に渡してきた。
「・・・これ」
「え?」
「・・・スグロのために・・・作った」
「え!?」
「良かったじゃないか、サイクロプスの作る武器は一級品だぞ?」
横にいたカミーユが物珍しそうに、サイの持っている鎌を見た。
「・・・いいの?」
「・・・・・・」
サイは黙って、しかし力強く頷いた。
「ありがとう」
「・・・・・・」
お礼を言うと、サイは嬉しそうに微笑んだ。
屈託の無いその笑顔に、思わず顔が赤くなる。
「さて、しっかりとした武器も手に入った。訓練を再開しよう」
「あ、ああ」
「・・・頑張って」
「おう!」
鎌を受け取り、威勢良く返事をしてカミーユと再び距離を取る。
包帯を取り終えると、そこには無駄な装飾も無い黒曜石のような黒。そして太陽の光を反射して美しく輝く刃が顔を出した。
カミーユの言う通り、誰が見てもこれは紛れも無く一級品だ。
「では、行くぞ?」
「ああ」
「はぁああああっ!」
俺の返事を合図にカミーユはまた地面を蹴って踏み込む。
迎え討とうと鎌を構えるが、前には既にカミーユの姿は無い、
まさかと思って視点を少し落とすと、思った通りカミーユは姿勢を低くして俺の懐まで来ていた。
「貰ったっ!」
カミーユが俺の首元目掛けて鋭い突きを放った。
・・・予想通り。
鎌の柄を右に振り、剣にぶつけて切っ先を逸らす。
そしてそのまま鎌を少し回転させ、刃を自分の腰の横まで持っていき、反す。
すると、丁度カミーユが後一歩でも動けば腹か胸に刺さる位置になった。
それを察知したのか、カミーユが止まった。
「先程とは全然動きが違うな・・・」
突きを放った体勢のまま、カミーユが呟いた。
「そりゃあ、得意武器ですから」
「・・・そうか」
そう言うとカミーユは体勢を起こし、剣を鞘に収めた。
「・・・この腕なら、剣に関して私が教える事は無い」
「え・・・」
正直な話、さっきの一撃をかわせたのはまぐれに等しい。
もし、カミーユが本気だったなら、とてもじゃないが太刀打ち出来ないだろう。
「・・・では、次に移ろう」
「・・・次?」
「・・・・・・」
「・・・・・・」
さっき依頼を受けたと言ってからのこの沈黙。
もう既に軽く5分ほど、襖を挟んで立ったまま状態で固まっていた。
「・・・なぁイナミ、さっきから一体何を」
部屋の中から、黒い鎧を来た長い白髪の女性がゆっくりと顔を出してきた。
あれ、この女の人・・・。
「あ・・・」
そうだ、思い出した!俺が食われかけた(性的な意味で)時に助けてくれた人じゃないか!
「おや、君は・・・。そうか、依頼を受けたんだな?」
「え、あ、ハイ・・・」
どぎまぎとした空気の中、何事も無いかのように黒い鎧の女性が話しかけてきた。
この人が魔王軍の騎士団長か・・・。
確かに、威厳のあるすっきりとした顔立ちに丈夫そうな漆黒の鎧。どことなく気品もある姿は騎士団長のソレなのであろう。
「すまないな・・・。ラドンに言い包められてしまって・・・。」
「え!?」
イナミ様が驚いた様子で女性のいる後ろを向いた。
「それ本当なの、カミーユ!?」
「あ、ああ・・・」
「・・・・・・はぁ」
イナミ様は呆れたように肩を落としてため息をつく。
「またあの人は・・・」
「え・・・またって・・・?」
聞いてるそばから嫌な予感がするが思い切って訊ねてみた。
「ラドンさんはね、根っからの戦闘好きなのよ・・・」
「・・・はい?」
「他の人の戦ってる姿を見るのが楽しいらしくて、討伐とか戦闘依頼を差し向けちゃうのよ・・・」
今明かされた、衝撃の事実。
・・・通りで、この依頼を断るのを目で封印してたわけだよ!
「・・・ラドンは、今はああでも全盛期であった先代魔王の時代は相当の実力者だったそうだ」
「・・・はぁ」
「・・・」
開いた口が塞がらないとはこの事だ。
ちらりと横を見ると、クノーも知らなかったようだ。俺と同じように口をポカンと開け、唖然としている。
「ともかく」
「・・・?」
今度は何を言って俺の心を折ろうってんだ?
「依頼を受けてしまったのなら仕方が無い。エルデへ向かうまでの三日、私が鍛えてやろう。私の名はカミーユ。改めてよろしくな。」
「あ、自分スグロと申しますって・・・へ?」
「それしか無いわねぇ・・・」
「善は急げだ。そうと決まれば訓練を開始するぞ。イナミ、暫らくこの小僧預かるからな」
「・・・仕方ないわ」
・・・え?今なんて?
ツカツカと近付いてくる魔王軍騎士団長。俺の腕を掴むと、社の外へと連れ出そうとする。
「ちょちょちょ、待ってください!カミーユ・・・さん!」
「・・・何だ?」
カミーユが足を止めてさも不思議そうに此方を見る。
「く、訓練って一体何ですか!?」
「ラドンから聞いていないのか?」
「初耳ですよ!」
「そうか・・・まあいい。とにかく訓練開始だ」
「だからー!」
結局そのまま腕を取られ、イナミ様の社を後にした。
―――――――――――
「行っちゃったわねぇ・・・」
「嵐みたいな人だな・・・」
カミーユとスグロが去って行った後、二人はそう呟いた。
―――――――――――
――――とある広場
「ふむ・・・ここがいいな」
「うわっ!?」
「きゃん!?」
いきなり止まられたのでカミーユの硬い鎧に顔面をぶつけてしまった。
その拍子にカミーユも少し体制を崩してしまったらしく、よろめく。
「ごめんごめん・・・。でも、いきなり止まるなんて」
そう言いながら鎧から顔を離す。
しかし返事が無い。・・・もしかして、怒った?
「本当、悪かったって・・・」
「全く、驚いて首が落ちてしまったではないか」
・・・はい?
信じられない言葉に、思わず顔を上げる。
普通ならあの長い白髪が顔にかかる筈がかからない。
崩れていた体制を直し、首をを見てみてもあるはずのソレは無く。
「ぎゃああああああああああ!?」
「な、なんだ急に!」
「く、首が!首がああああ!?」
何か足元から声が聞こえるけど関係ない!
どどどどどうしよう!俺、人一人殺しちまった!?嫌でもぶつかっただけで首が落ちるとか思ってなくてくぁlp@:せ・。;ふじこ:l;
「落ち着け!」
「アナロぐっ!?」
カミーユ(体)の放った斜め45度チョップが俺の頭頂部に直撃する!
スグロは62のダメージを受けたっ!
あまりの痛みにスグロは悶絶している!
「〜〜〜ーーっ!」
「あ、すまん・・・」
どうやら、カミーユは自分が鎧を着けていることを忘れていたようだ。
大事な事なので頼むから忘れないで頂きたい。
「全く・・・私は死んでなどいない、ほらな」
「あ、ホントだ・・・」
そう言ってカミーユ(体)は落ちた首を拾い上げ挿げ直す。
デュ・・・デュラハンだったんですか・・・。
「何だ、ジロジロと見て・・・」
「いや、何となく・・・」
「・・・?変な奴だな・・・。とにかく訓練開始だ。スグロ、武器は何か持っているのか?」
「武器?・・・えーと・・・このナイフくらいだな・・・」
ポケットからスズから貰ったナイフを取り出す。
小柄だが切れ味は確かなもので、木の幹に簡単に突き刺さったりする。
「ほほう、そのナイフ・・・」
「スズから貰ったんだ」
「だろうな、そこまで良い物はなかなか無い。・・・で」
「で?」
「ナイフはどこまで使えるんだ?」
カミーユが唐突に訊ねてきた。
どこまでって・・・昨日初めて使ったんだけどなぁ・・・。
「とりあえず、攻撃を受け流せるくらいかな・・・」
「よし、なら私の攻撃をいなしてみろ」
「は?」
「いくぞ!」
「えっ・・・ちょっ、うわぁ!?」
カミーユは剣を鞘から抜き取るや否や振り上げ、こちらに思い切り振り下ろしてきた!
慌てて真後ろに飛び退る。
危ねぇ・・・一瞬でも反応が遅れてたら頭かち割れてたぞ・・・。
「な、何すんだよ!当たったら危ねぇじゃねぇか!」
「ふむ・・・。反応は良い。だが、私は攻撃をいなせと言ったはずだ、もう一度行くぞ!」
話聞いてないし!
カミーユはもう一度剣を構えるとダンと地面を蹴り、俺が飛び退って作った間をたった一歩で縮めて今度は横に剣を薙いで来た。
「うわっ!?」
物凄い速度で振られたカミーユの剣をナイフの刃ではなく腹で受け止める。
それと同時にナイフを持った左腕を重い衝撃が襲った。
その一撃だけで左手に痺れが生じ、思わずナイフを落としそうになる。
「っつー・・・!」
ナイフを右手に持ち替え、痺れた左手を休ませる。
なんつー力してんだよ・・・流石は騎士団長ってことか・・・。
「何だ、もう手が痺れたのか?」
「いや、まだナイフって慣れてないし・・・」
「慣れていない?貴様はさっきある程度使いこなせると・・・」
「攻撃を受け流せるって言っただけだから!」
そう突っ込んでいると、カミーユの後ろから何かを背中に担いだサイが走ってくるのが見えた。
どうしたんだろう?
「おいスグロ、貴様訓練の最中にどこを見て」
「サイー?どうしたんだー?」
「サイ?」
俺の声につられて、カミーユが後ろを振り返る。
サイはすぐに此方まで走ってきた。
「ハァ・・・ハァ・・・」
結構な距離を走ってきたのか、サイは肩で息をしていた。
「サイ、大丈夫か?」
「・・・・・・」
サイは息を整えると、小さく頷いた。そして背中に担いでいた何かを取り出した。
それは刃の部分が包帯で包まれた大きな鎌。
際はそれを無言で俺に渡してきた。
「・・・これ」
「え?」
「・・・スグロのために・・・作った」
「え!?」
「良かったじゃないか、サイクロプスの作る武器は一級品だぞ?」
横にいたカミーユが物珍しそうに、サイの持っている鎌を見た。
「・・・いいの?」
「・・・・・・」
サイは黙って、しかし力強く頷いた。
「ありがとう」
「・・・・・・」
お礼を言うと、サイは嬉しそうに微笑んだ。
屈託の無いその笑顔に、思わず顔が赤くなる。
「さて、しっかりとした武器も手に入った。訓練を再開しよう」
「あ、ああ」
「・・・頑張って」
「おう!」
鎌を受け取り、威勢良く返事をしてカミーユと再び距離を取る。
包帯を取り終えると、そこには無駄な装飾も無い黒曜石のような黒。そして太陽の光を反射して美しく輝く刃が顔を出した。
カミーユの言う通り、誰が見てもこれは紛れも無く一級品だ。
「では、行くぞ?」
「ああ」
「はぁああああっ!」
俺の返事を合図にカミーユはまた地面を蹴って踏み込む。
迎え討とうと鎌を構えるが、前には既にカミーユの姿は無い、
まさかと思って視点を少し落とすと、思った通りカミーユは姿勢を低くして俺の懐まで来ていた。
「貰ったっ!」
カミーユが俺の首元目掛けて鋭い突きを放った。
・・・予想通り。
鎌の柄を右に振り、剣にぶつけて切っ先を逸らす。
そしてそのまま鎌を少し回転させ、刃を自分の腰の横まで持っていき、反す。
すると、丁度カミーユが後一歩でも動けば腹か胸に刺さる位置になった。
それを察知したのか、カミーユが止まった。
「先程とは全然動きが違うな・・・」
突きを放った体勢のまま、カミーユが呟いた。
「そりゃあ、得意武器ですから」
「・・・そうか」
そう言うとカミーユは体勢を起こし、剣を鞘に収めた。
「・・・この腕なら、剣に関して私が教える事は無い」
「え・・・」
正直な話、さっきの一撃をかわせたのはまぐれに等しい。
もし、カミーユが本気だったなら、とてもじゃないが太刀打ち出来ないだろう。
「・・・では、次に移ろう」
「・・・次?」
11/08/05 14:26更新 / 一文字@目指せ月3
戻る
次へ