連載小説
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第五話 怪我の功名 後編

「…お前、一体。」

俺が先ほど立っていた場所には大きなこん棒が振り落とされ地面は轟音を上げ歪んだ。
そのこん棒の持ち主は俺を睨み付けた後、軽々と獲物を構えなおした。

「…リーダーをどこへやったんだ?!」
「ルカ、何をそんなに…?」
「あたしは見たぞ?リーダーが急に光りだして消えていくのを…どこにやったんだ?!」

そう言って彼女はこん棒を薙ぎ払った。
俺はなんとか身を屈め避ける事が出来たが後ろの象牙の椅子は粉々に砕けてしまった。
プリン…怒らないでくれよ?

「待て!話を聞け、プリンは−」
「喰らえっ!!」
「うおっ!」

なんとか説得しようとするがルカは聞く耳持たずこん棒を振り回した。
部屋の家具やら備品が瓦礫にへと変わっていく。
このまま騒ぎになって集まられるのも厄介だ、話して理解してくれるといいが…。

「分かった!プリンの場所を教える、だから落ち着け。」
「!…ホントか?!どこだ?」

ルカは振り回していた腕を止めて耳を傾けてきた。
構えている彼女と向き合いながら、俺はゆっくりと話し始める。

「いいか、プリンは…。」
「プリンは?」
「魔王のところへ送った。」
「!?」

ルカは俺の言葉に驚いたように目を見開いた。
なんとか伝わったようだ、これで大人しく…。

「き、貴様ぁっ!!」
「おうっ?!」

彼女は怒りでぶるぶると震えた後、怒声を上げ俺にこん棒を振り落とそうとした。
俺はこん棒を掴んでなんとか阻止する。

「よくも…プリン様を…!」
「お前話を聞いてなかったのか?!」
「魔王のところへ送ったなんてキザな言い方して…絶対に許さないっ!」
「何を勘違いして…!」

そうか!今魔王は死んでいる事になっているんだった、魔王の所へ送ったなんていえば「地獄に送った」って言っているようなもんだ。
しかし普通そんな解釈するか?
そこまで単純だとは思わなかったぞ?!

「この…離せぇぇ!」
「ぐっ…。」

彼女の強力とも思える押し込みに俺は苦しくも押されていた。
額から汗が止め処なく流れ落ち、腕ももう悲鳴を上げている。
くそっ、今日ほど不運を呪った事はないぞ?

「くっ、このっ!」
「あんっ!」

彼女の隙を突いて俺は横へとすり抜けた。
押さえられていた力が急に解放され、彼女は前のめりに転んでしまう。
俺は仰向けに倒れている彼女の首を掴み締め付ける“フリ”をした、殺気を込めた目で彼女を睨み付ける。

「…これ以上暴れるなら首の骨をへし折るぞ?」
「…!」

もちろん俺はそんなこと出来るはずがない、云わばこれは分の悪い賭けだ。
ここで彼女が暴れればすべてが終わる、頼む…聞いてくれ。

「…っ。」

彼女は無言のまま俺を睨んでいたが諦めたかのように身体の力を抜いた。
俺は心の中でそっと胸を撫で下ろし、話を続けた。

「いいか?まずお前はとんでもない誤解をしている、何か分かるか?」
「…?」
「それを先にハッキリさせておく、良く聞けよ?」
「う…うん。」

ルカは俺の言葉にキョトンとしながらこちらを見ていた、俺は力強く彼女に伝える。

「魔王は生きている。」
「…へ?」





「なぁんだ、それならもっと早く言って欲しかったよ。」
「…言う前に暴れだしたのは誰だ?」
「ははは…ごめん。」

なんとかルカに事情を話し誤解を解くことが出来た。
今は暢気に笑ってはいるがそんなことで叩きのめされたらこっちも堪ったものではない。
単純というのは意外と恐ろしい事なのかもしれない。

「でもさ、それならどうして私に反撃してこなかったの?」
「どうしてって…。」
「その話だと…あんたならあたしくらい軽くチョイチョイッて倒せたんじゃないの?」
「それは…そうだが。」

実際の所はそうだ、俺が彼女を“殺す気で”戦ったのなら訳もなかっただろう、だが俺は…。

「俺は…なるべくお前たちを傷つけたくない。」
「えっ?」
「魔物とはいえ…誰かが傷つくのは見たくないからな。」
「…。」

俺の言葉にルカは黙って俯いてしまった。
俺の考えに甘いと罵っているのだろうか?それともそんなに柔じゃないと怒っているのだろうか?

「やっぱり…。」
「?」

俺はそう考えていたが実際はどちらも違った。

「やっぱり諦めきれないっ!!」
「うわっ?!」

ルカはいきなり俺のほうに飛びかかってきて簡単に俺を押し倒してしまった。
息が荒く頬も紅潮してしまっている、いくらなんでも忙しなくないか?

「リーダーが気に入ったから諦めようかと思ったけど、あたし…やっぱりアレスが好き!」
「今日会った奴に言う台詞じゃないぞ?!」
「今までいろんな奴を襲ってきたけどあんたみたいな男はいなかったよ?」
「それは光栄だが…。」
「ねぇお願い、あたしをアレスの嫁にして?なんでもしてあげるから。」
「待て待て待て!まずお前は俺の事を知らないし、俺もルカのことはまだ良く知らないんだぞ?」
「アレスの事なら大体分かるよ?それにあたしの事ならこれから知っていけばいいじゃない?」
「そんな強引な…。」
「どの道私たちを求めて旅してるんでしょ?別にいいじゃん!それとも…やっぱり魅力ないかな…?」
「い、いや…そんな事は−」
「決まりね♪じゃあ早速…。」
「おい!」

ルカはそう言うと嬉しそうに俺のズボンを脱がし始めた。

「お前、なにしてんだ?」
「見てわかんない?夜の営みをしてるの♪」
「…最初からそれが目当てだったんだろ?」
「そんな事ないよ?ちゃんとアレスは好き。でも〜、やっぱりやる事はしとかないとね♪」
「お前な…。」

そう言いながらも竿をしごく彼女の姿に俺は簡単に息を荒くし興奮した。
プリンのときもそうだが段々と彼女達への興奮が強くなっている気がする。
サキュバスだけかと思っていたが彼女達と交わり続けると自然と魔力が体内に蓄積されていくようだ。
そろそろ何とかしないと俺もインキュバスになってしまう。

「手当てしてたときから思ってたけどやっぱり逞しいね〜、こんなに立派なの久しぶりだよ、おくちに入りきらないや♪」

ルカは肉棒を咥えながら上目遣いで俺に語りかける。
話しながらも彼女は手と口を休める事なく、しごき続けた。
まずい…そんなにされたら意識が…。

「ふふん?そんなにあたしのお口気持ち良いんだ?そろそろ挿れて−」

ルカが口を離すと同時に俺は彼女に覆いかぶさっていた。
息を荒くし強引に彼女の服を脱がす。

「きゃ…、大丈夫、そんなにがっつかなくてもちゃんと挿れてあげるから…。」

そう言ってルカは股下から覗く俺の肉棒を見た、明らかに先程より大きくなっている。
それを見たルカは少しギョッとした。

「ちょ、ちょっと!そんなに大きいのあたしのに入るわけ…。」

もはや俺に言葉は届かなかった、ただただ…彼女達を求めるだけの獣へと変わり果てている。

「いや…もっと、ゆっくり…ああぁっ!!!」

彼女の蜜壷に俺の肉棒を根元までねじ込んだ。
彼女の身体は大きく跳ね上がり挿入しただけでイッてしまった。
そんな事も気にせず俺は彼女の蜜壷へと叩き込む。

「いや…満たされてる、アレスのでお腹んなかいっぱいになってるっ!」

俺は無我夢中になって腰を振り続けた。
ルカも快楽には逆らえず俺の身体を強く抱きしめた。

「ひぁ!だめっ…こわれる、あたしの、あん!、こわれちゃう!」
「ははっ…もっと…もっとだ!」

自分でも何言ってるのか理解できないほど興奮し、必死で彼女を求めた。
彼女の淫乱に歪む顔を見て堪らなくなり彼女の唇を奪う。

「んんっ…んぶぅ、んんんーっ!!」

俺は淫らに重なり合い快楽を貪った。
二人ともが自ら腰を振り続けいやらしい水の音が響く。
彼女の幼い身体と締まる蜜壷に絶頂を迎えようとしていた。

「いや、イク、イッちゃう…だめぇっ!!」

俺は一際激しく突き、彼女の奥に子種を注ぎ込んだ。

「ふわぁ…おしっこ…とまんにゃいよ…。」

あまりの快楽に彼女は挿れたまま失禁してしまった。
ルカは恥ずかしくなり顔を手で隠したが、その彼女の思いとは裏腹に蜜壷からは勢い良く尿が流れ出ていた。




「アレス…大丈夫?」
「…ああ。」

それから正気に戻った俺は思い悩んでいた。
ルカが心配そうにこちらを伺ってる、彼女を不安にさせるのは悪い事だがこっちもそれどころではない。
あんな事は今まで一度もなかった、多少興奮する事はあってもあそこまで豹変するのは初めてだ。
このままではインキュバスへと変わった事さえも気にならなくなるだろう。
だとするとこれからの旅が難しくなる、ヴェン…まだ薬は出来ないのか?

「ごめん、あたしが無理やり交尾しちゃったせいで…。」
「いや、そうじゃない。元々こうなるようになっていたんだよ、そのために薬を作ってもらうはずなんだが…。」
「どうしてそこまでインキュバスになるのが嫌なの?そうなった方が色々と楽なのに。」
「魔物と共存できる事を証明するためには俺は人間でなければならないからだ。」
「なんで?インキュバスって人間と変わりないよ?」
「それは魔物からすればだろ?人間からすれば魔物と変わりないからだ、そんな奴が魔物と共存できるって言ったって説得力に欠けるからな。」
「なるほど…アレスはそこまで考えているんだ?」
「一様な…魔王が上手い事対策を考えてくれればその必要は無くなるんだがな。」

そのために俺は彼女達に求婚し魔王のところへと送っている。
このことが無駄ではないと俺は信じて彼女達に恋をする。
だが全てが終わった後…俺は彼女達に何をしてやれるのだろうか?
…いや、それは全てが終わってから考えよう。
俺にはまだまだ時間があるからな。

「じゃあさ、魔王に薬の事は聞けないの?」
「聞けることは聞けるが…。」
「せめてどれくらいになるかぐらいは聞いておいたほうがいいんじゃない?長くなりそうなら少し休憩してさ。」
「それもそうだな…。」

俺はルカの提案に賛同し早速ヴェンに連絡を取った。

「ヴェン、聞きたいことが…。」
「アレスッ!」
「うわっ!な、何だ一体?!」

急に大声を上げられたせいで頭に響いてしまった。
頭を抑えているとルカが心配して駆け寄ってくれた、ルカには会話が聞こえないから心配して当然だが。

「何だ、じゃないぞ?!連絡はこないし急にプリン…だったか?が送られてくるし、おかげで作業していた私の上に落ちてきたんだぞ?!」
「そ…そうだったのか。」

そういえばあの時は連絡無しに送ってしまっていたな、気が動転していたかもしれないし
忘れていただけかもしれない。

「ヴェン…すまなかったな。」
「いや、それはもういいんだ、私が言いたいのはせめて連絡だけはして欲しいんだ。」
「連絡だけ?まるで帰りを待つ母親みたいな言い方だな?」
「私もだが…彼女達がとても心配してな…。」
「彼女達が…?」
「ああ、皆平静を保ってはいるが、内心はすごく不安なのだろう。」
「…。」

彼女達が心配してると聞いて俺は連絡しなかった事をひどく後悔した。
心配させまいと伝えなかったのが余計に彼女達を不安にさせていたようだ。
彼女達も魔物とはいえ妻なのだ、夫を心配するのは当然かもしれない。

「それはそうと…聞きたいこととは?」
「あぁ、お前に頼んでいた薬のことなんだが…。」
「おお、それなんだがついさっき完成したぞ。」
「ほ、本当か?!」

今日初めての幸運な出来事かもしれない、これで豹変する事もなくサキュバスなどの種族に逃げる必要も無くなる、旅が大分楽になりそうだ。

「良かった!早速使いたいんだが。」
「い、今使うのか?まだテストが済んでないんだが…。」
「いいから早く送ってくれ!それどころじゃ無くなっているんだよ。」
「わ、わかった。今から送ろう…彼女達を送るようにして念じてみてくれ。」
「…こうか?」

念じてみると目の前の地面が急に光りだし、そこには瓶詰めにされた緑色の液体が現れた。
手にとって見ると透けた様に綺麗なエメラルドグリーンをしている。

「これが…インキュバスにならない為の薬か?」
「それだけじゃないぞ?彼女達の魔力の中和以外にもフェロモンや誘惑などの症状もある程度抑える事が出来る、君が自ら望まない限りは大丈夫だ。」
「つまり…媚薬や暗示にも掛かりにくくなるんだな?」
「そういうことだ、彼女達の中にも魔法やフェロモンで誘惑する者もいるから改良してみたんだ、必ず役に立つと思う。」
「ヴェン、お前には何と言ったら良いか…。」
「礼を言うほどのものじゃない、それだけのことを君が成し遂げようとしているんだ、時間が掛かってすまなかった。」
「いや、丁度良かったよ。後…もう少ししたら一人送るから用意しておいてくれ。」

わかったとヴェンが返事したのを聞き交信を切った。
それから札を取ろうとするとルカが急に声を上げた。

「ちょっと待って!魔王に送る前にしたい事があるの。」
「したい事?…一体なんだ?」

俺がそう聞くとルカは神妙な顔で説明し始めた。
なんでもリーダーや自分がいなくなったのを皆に伝えないといけないらしい、「皆が心配するといけないから」と言ってすぐさま部屋を出て行ってしまった。
「大丈夫大丈夫〜♪」とか言って何も言わず行ったプリンとは大違いだ、ルカの方がリーダーに向いているのではないか?
そんな失礼な事を考えながらも俺は部屋を出る事にした。

貰った瓶詰めの薬をなおそうとして俺はとんでもない事に今更ながら気づいた。

「鞄が…無い。」




頭を抱えながら廊下を歩く。
ルカは皆に伝え終わったようで先に玄関で待っていると他のゴブリンから伝えられた。
時折会う他のゴブリン達も友達のように俺に接してくれた。
大半は「どこから来た?」「何してるの?」「リーダーはどうだった?」「ルカの交尾は良かった?」などと質問攻めにされてしまった。
だが俺は正直それどころではなかった。

「やはり…崖から落ちたときに落としてしまったんだろう。」

どうして今まで気づかなかったんだろうと俺は後悔していた。
あの森にもう一度入り、草の根分けて鞄を探すとなるとかなり骨が折れそうだ。
諦めようにも鞄には旅の資金も入っているし何より女将さんからくれた大事な鞄だ、それだけは出来ない。
そう考えると自然とため息が出てしまう。

「仕方ない…ルカに頼んで探すのを手伝ってもらおう。」

何人かで探せばなんとか見つかるかもしれない、一人で探すのよりはずっとマシだ。
だがその後の彼女達の“代償”を考えると…。

「干からびないと良いな…。」

そう思って玄関に着いた時だった。

「?」

ルカが誰かと話している、口調からして親しい間柄のようだが…。

「あ、アレスっ!」

ルカが俺に気づきこちらに駆け寄ってきた。

「ちょっとお願いがあるんだけど…。」
「お願い?なんだ?」
「あたしの友達がさ、人を探してるらしくて手伝って欲しいって頼まれちゃったんだけど…送るのもう少し後にしてもらってもいい?」
「それは別に構わない、本当は俺もそれを言おうと思ってな。」
「へ?そうなの?」
「ああ、俺も少し探し物が出来てな。ついでに俺もその尋ね人を探そう。」
「ほんとに?!良かった〜、でも何を探してるの?」
「ああ、大きい鞄だ。…旅を続けるのに必要でな。」
「鞄?…ひょっとして…あんなの?」

ルカが指を刺す所にはまぎれも無く俺の鞄があった。

「そ、それだ!良く見つけ…。」

言おうとして止まった。
その鞄は誰かが大事そうに抱えていたからだ。
自然と目が上に行き、持ち主と眼が合った。

「あ。」
「あ…。」

同時に言葉を漏らし、それ以上は出なかった。
驚愕、感動、二人にさまざまな感情が入り乱れる。
なぜなら鞄を持ってきたルカの友達は…、

「お前はあの時の…。」

昨日の晩、森の中で追い回され崖から落ちたときに手を差し伸べてくれたあのサキュバスだったからだ。

「あ…あっ…。」

彼女の手から鞄が落ちた。
見ると彼女は目を潤ませて力なく手を伸ばし、こちらへゆっくりと歩いてきた。
まるで迷子になった子供を見つけた母親のような状況。
俺が「どうした?」と聞こうとした時だった。

「生きてたぁーっ!!」
「あばっ!?」

急に彼女は俺に飛び掛り泣きながら押し倒してきた。
今日はやけに押し倒される日らしい。

「生きててくれた…死んじゃったかと思った、私が殺したかと思った…ほんとに…よかったよぉーっ!!」
「んぐ、んむうっ!んぐぐーっ!」

彼女は叫びながら俺に胸を押し付けて強く抱きしめた。
彼女の豊満な胸のせいで俺の顔はすっかり包まれてしまい、息が出来ないほどだった。
後ろで二人がきょとんとしている。

「えーっと…知り合い?」
「知り合い…だと思う。」

付き添いのサキュバスは難しそうに答える。
ルカは首を傾げるばかりだった。



「ふーん、なるほどね〜。」

事情を聞いたルカがうんうんと頷いた。
何とか泣きつく彼女を引き剥がした後、俺達は一旦ルカの部屋へと行き、二人の話を聞いた。
彼女達の話によると俺が崖から落ちた後、二人は大慌てで辺りを探索したそうだ。
特に手を差し伸べてくれた方のサキュバスは半泣きになりながらも必死で俺を探してくれたらしく、そのときに鞄を見つけたらしい。
そしてやむなく友達のルカの手を借りるためにここへ尋ねてきたというわけだ。

そして当の本人は今、俺の腕にしがみ付いて離れようとはしない。
羽をパタパタと動かして尻尾も俺の身体を撫でるように動かしている。
心なしか嬉しそうだ。
それを見ているルカの目が妙に怖かった。

「もぅ…探すのを苦労したんだからね?」
「正直助かったよ…、でもなんでそんなに俺の事を探してくれたんだ?」
「だってこのままじゃ私たちが殺したみたいになるし、違うとしてもなんか後味悪くなるじゃない?それに妹が『絶対探すのっ!』て聞かないから。」
「だってあの時助けられなかったし…それに。」
「それに?」
「貴方の瞳…素敵だったから。」
「瞳…、どれどれ?」

三人が一斉に俺の目を見た、流石に恥ずかしくなり目を逸らすが三人にすごまれて元に戻すしかなかった。

「う〜ん、確かに赤色の良い目をしてるけど…。」
「そうじゃなくて、私を見る目が素敵だったの。」
「どんな目よそれって?」
「今までの人間って恐怖だとか憎しみだとか嫌悪みたいな感情が篭ってたじゃない?でもね、この人は違うの…私を一人の女性として見る目だった。」
「あ、それ分かる。あたしも交尾してるときにそんな目をされたよ?」
「それは身体目当ての目だから愛されてるわけでは無いけどね?」
「…それどういう意味?」
「言葉どおりの意味だけど?」

二人の間で火花が散るのが見えた気がした。
なんとかこの場を変えようとルカに話を振ることにする。

「そ、そうだルカ、そろそろお前を送らないといけないな?」
「…あたしがいると邪魔なの?」
「そ、そういうわけじゃない!!ただ…ヴェンを待たせるのも悪いと思ってな。」
「ふ〜ん?まあいいや、それじゃお願い。」
「わ、分かった。」

俺はポケットからケースを取り出して一枚の札を取った。
ヴェンの事を強く念じるとルカの身体から光が溢れ出した。

「これって…転送魔法の光?」

すぐさま光が弾け、ルカはヴェンの元へと旅立った。
そこには俺とサキュバスの二人が残っている。

「さて、これからどこへ行こうかね…。」

俺が部屋から出ようとすると二人はいきなり腕を組んできた。
まるで俺が出て行くのを止めるかのように。

「な、なんだ?」

俺が聞くと二人は妖艶に笑う。

「ふふ、分かってるくせに?」
「こんな美人が誘ってるのに何もしないのはちょっと失礼じゃない?」

二人はふふふっ、と笑い俺の腕に胸を当ててきた、その柔らかな感触に俺は少し恥ずかしくなり肩が縮こまった。

「たしかアレスは妻になってくれるような人を探してるんだったっけ?」
「まぁ、そうだが…えっと…?」
「私はセラ、そっちが貴方を助けようとしたサラよ?」
「さっき妹とか呼んでいたが…二人は姉妹なのか?」
「そ、私がお姉ちゃんなんだけど…妹を妻にしてやれない?」
「…なんでまた?」
「サラってサキュバスの癖に男の子にあんまり興味を示さないの、食事として絡む事はあるけどそれだけなんだよね、お姉ちゃんは心配で心配で…。」
「お姉ちゃん、私そんなこと聞いた事無いけど?」
「そうだった?…でもアレスだけにはすごく懐いてるのよね、私もこんな嬉しそうなサラを見るのは初めてなの、だから…お・願・い・♪」

耳元で囁かれ俺は身体がビクッと跳ね上がるのが分かった。
早めに薬を飲んでいた方が身のためかもしれない。
不意に横からサラが話しかけてきた、わざとらしい上目遣いで。

「私じゃ…だめ?」
「そ、そんなことはない!お前は充分魅力的だし申し分ない。ただ…その言葉は本来なら俺が言うべきだ。」
「あら、どうして?」
「あの時俺を助けようとしたときだが、月明かりに照らされたお前は…その…。」
「?」
「綺麗…だったから…。」
「!…。」

言葉の意味を知り、サラは頬を真っ赤にして俯いてしまった。
それを見てセラは意地悪そうにわざとらしいため息を吐く。

「やれやれ、お姉ちゃんが付け入る隙は無しか…、じゃあ了承も得た事だし早速…。」
「あ、ちょっと待った。」

二人が同時に口づけをしようとしたとき、俺は急いでポケットに入れていた瓶詰めの薬を取り出し、一気に飲み干した。
緑色だけに青りんごの味がした…気がした。

「なにそれ?」
「ちょっとした予防薬さ、もう大丈夫だ。」

身体から渦々しい欲が消えていくのが分かった、これでしばらくは大丈夫だろう。
それを機に二人の顔が近づいてくる。

「じゃあ、楽しみましょうか…。」
「ふふ、気持ちよくしてね♪」

そうして俺達はゆっくりと服を脱がしていった。




「あぁんっ!良いの、もっと突いてぇ?下からいっぱい突いて!!」
「ふふふ、サラがこんなに乱れるなんて…んっ…初めて見た♪」

サラは俺の上に跨り肉棒を身体で咥え上下に腰を振っている。
セラのほうは俺の口に蜜壷を擦り付けている、そこに俺は淫らに舌で出し入れをした。

「気持ち良いの、こんなの初めて…ひゃんっ!」
「んくっ!…舌が、ヌルヌル入って、んぁあ!!」

さすが好色のサキュバスといったところか、性に関しては疲れ知らずだ。
薬が無かったら今頃…虜にされていただろうな。
だが今の俺はそんなに大人しくないぞ?

「ひあっ!!きゅ…急に、激しくっ、ああぁ!」
「いや?!、指入れちゃ…駄目!掻き回さないでよぉっ!」

二人は淫らな声を上げ、快楽を貪るようにキスをした。
女同士など気にもせずセラは妹のサラの胸を弄る。

「いやぁ!胸は駄目っ!今…あんっ!胸をされたら…!!」
「いいよっ?二人で…一緒に…!」

二人の腰の動きがいっそう激しくなり、遂に。

「「んあぁっ!!」」

二人の身体が同時に跳ね、セラの蜜壷から潮が吹き出た。
俺の顔は愛液まみれになったが、不思議と嫌な気持ちはしなかった。
舐めてみるとより一層興奮が高まり、身体が熱くなるのを感じた。
そして横で倒れて肩で息をするサラが目に入った、いやらしく蜜壷から愛液を出しながら。
サラはふと俺が傍に立っているのに気づき、股下から反り立っている一物を見た。

「え…さっきより大きく。」
「お前らだけイクのはずるいと思わないか?」
「いや…そんなの入れられたらおかしく…。」

そうして彼女の淫らな蜜壷へと肉棒を突き挿れた。
中はぬるぬると愛液で溢れ、根元まで入れたとき全体でキュッと締まるのがわかった。

「ああっ、また入ってきた…さっきより、ひぐ…大きい。」
「う、すごいな…。」

そうしてまた俺は腰を強く振り、彼女の身体に快楽を刻んでゆく。

「だめ…もう無理、壊れる…こわれちゃうのぉ…!」

そう言いながらもサラの顔は淫靡に満ち、俺の身体を足と尻尾で引き寄せている。

「ねぇ、ぎゅって、ぎゅってして?お願い…。」
「…。」

途端に彼女が愛おしくなり強く抱きしめ、口づけをした。
いつの間にか後ろからセラが抱きついてきて俺に胸を押し付けてきた。

「私ほっといてなに二人で楽しんでるのぉ?混ぜてよ?」

そう言ってセラはサラのお尻にへと手を掛け、もう一つの穴に指を入れた。

「んむぅ!んぐぐぅっ!!!!」
「うわ…そんないきなり?!」

急に彼女の締りが強くなり不意を突かれ一気に射精してしまった。
彼女は大きく反り上がりどくどくと彼女の中に精子が注ぎ込まれる。

「ぷはぁ!!あぁ、はぁ…私も…でるぅ…!」

肉棒を抜いた途端、彼女は潮を勢い良く吹いた。
その蜜壷からは愛液とともに白濁液が混じっていた。





「お姉ちゃん…本当に良いの?」

ヴェンに連絡しケースから札を取り出そうとしたとき、行くのはサラだけで良いと姉のセラが言った。
サラは心配そうに見ているがセラは彼女に微笑みかけた。

「私が行っても仕方ないし…せっかく妹が決めた旦那様だもの、私の事はいいから幸せになってね?」
「…お姉ちゃん。」
「大丈夫!私はサラに負けないぐらい良い男捕まえてやるから、そのときは皆で楽しみましょ♪」
「…うん!」

色々と言いたい事はあったがまあよしとしよう。
俺は最終確認を取ると札を手に取りヴェンを念じた。
次第にサラの身体から光があふれ出す。
最後に彼女は俺に微笑みかけてこう言った。

「アレス、愛してる!」

…そうして彼女は旅立って行った。

「行っちゃったね…。」
「ああ。」

俺は鞄を手に持ち踵を返そうとしたとき、背中に柔らかい感触が当たった。
この感触は…まさか。

「まさかこのままで済むと思っているのかしら?」

振り向くとセラは頬を紅潮させ、息を荒くしていた。
…額から汗が吹き出る。

「いや、お前旦那探しはどうしたんだ?」
「それはちゃんとするけど〜、それまでの繋ぎって必要だと思わない?」
「いや俺はサラの…。」
「誰かの“もの”ってなんとなくそそられるのよね〜。しかも妹の旦那さんってだけですごく興奮する♪」
「お前…悪魔だろ。」


そうしてまた彼女と何度も交尾してしまった。
またヴェンに薬を送ってもらおう…。

11/08/28 07:01更新 / ひげ親父
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■作者メッセージ
第五話、なんとか完成いたしました。
ここで皆様に感謝の言葉を。
皆様、この『魔物娘のためなら死ねる』を読んで頂き、ありがとうございます!
初の小説ながらも、1万再生と17票という結果にひげ親父はリアルな話、立ち眩みをしてしまいました;;
プレッシャーに弱いひげ親父です…。だらしねぃな?!
ですが、皆様の暖かいコメントや厳しい指摘、そして何より…応援してくださった同じ小説を書く皆様のおかげで達成できたと感じております。
これからも皆様の大切な時間を台無しにしないよう、精進して続きを書こうと思います。
勿論、皆様の作品も拝見させてもらって参考にし、共感できたらと思います。

彼女達のいい作品が出来る事を願って…。

ここまで見ていただいて、ありがとうございます!!

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