連載小説
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第一部 眠る竜
瞼に暖かな光が当たる
肌に感じる日の光がいつもより暖かいような気がする

「んみゅ…」

眠たいからもう少しだけ…



あれ?
私は一体いつから眠っていたんだろう?
ついさっき昼寝を始めた気もする
でも
ずっとずっと眠っている気もする
……
まぁ、いっか
でも…
あんまり眠ってばかりいると、また■▲■ちゃんに怒られちゃう…
あれ?
誰に怒られるんだっけ?
考えようとしたら頭が痛くなった

「むぅ…」

やっぱりもう少し眠ろう
私はしっぽを抱きかかえるようにして……
あれ?
なんだか邪魔なものがしっぽと体の間に…
なんだろう
むにむにしてる
目を開けて確認しようかな?
でも眠たいし
眩しいし…
むにむに

「んふぅ〜」

なんだか、それをむにむにしてると気持ちよくなってきた
柔らかい
すべすべしてる
ぷにぷにしてる
ん?
なんかとがったところがある
私はそれを確かめるようにそこをつまんでみた

「ひゃふぅぅ!?!?」

――ばっ

私は突然自分の身に感じた刺激に驚いて飛び起きた

「何?なにぃ?」

――ばっ、ばっ

私が辺りを見回すと

――ぶるんぷるん

私の胸が何かに引っ張られるような感じがした

「ふぇ?」

自分の胸を見下ろす
前足のあいだに

「ふぇ?なにこれ?」

褐色のすべすべした、半円くらいのまあるいのが2つ

「あれ?私にくっついてる?」

よく見たら、私の胸にそれはくっついていた

「あれ?私の体、なんだか…変?」

真っ黒いウロコとわさわさした黒い体毛に覆われた前足
大きな爪が先っちょに5本
そこはいつもと同じ
でも…
体の方
なんだかすべすべしてて、ぷにぷにしてて
胸にくっついたまるいのとよく似ている感じ
あれ?
私は後ろ足にも違和感を感じて首をまわ…

「あででっ!…!?」

首が回らない?
ちがう
なんだか短くなってる
私は体ごと後ろを向こうとして

「あれ?あ、こら、逃げるな。私のおしり!」

おしりの方を見ようとすると体まで一緒に回って

――ぐるぐる

「むぅぅぅぅ!」

――ぐるぐる

「あはは〜。まてぇ〜〜」

――ぐるぐる

あれ?
なんで楽しくなってるんだよぅ
なれない姿勢で動いたら、なんだか疲れた

――ぺたん

私は座って、体を起こした

「あれ?」

前足、地面から離れて
体、まっすぐに
でも、不思議と辛くない
ううん
さっき4本足で立ってた時よりもむしろ楽なくらい
あれ?

「私の後ろ足…?」

後ろ足がなんだか変
前足に比べてずいぶんと長くなってて
膝から先は昔と似てる
黒いウロコと体毛、そして大きな爪
でも、形が少し違う
そして、膝から上
胸にあるまあるいのと同じような…

「私の体…ぷにぷにになってる?」

ぷにぷにで、すべすべで、細くて、柔らかそうで、こげ茶色の肌
それに、なんだかずいぶんと小さい気がする

「むぅ〜」

そういえば、こんな体の生き物を見たことがある

「あ!そうだ!」

人間だ
人間っていう生き物に似てるんだ
昔■▲■ちゃんが教えてくれた
人間はよくぶかくて、いじきたない、あわれな生き物だ って
“よくぶかくていじきたなくてあわれ”って、なんだろう?
なんだかよくわからないけど面白そうだなって思ったのを思い出した

「あれ?誰に教えてもらったんだっけ?」

誰かとても大切な人だった気がする
あれ?
そもそも私は、

「誰だったっけ?」

あれ?
そういえば、ここもどこだろう?

私はあたりを見回そうと立ち上がった

「ふぇ!?」

――ぐんっ

突然視界が高くなって

「ふぇ!?な、なに? …ハッ!すごい!私、後ろ足だけで立ってる!」

ぐへへ
私ったら、また一つ成長したね
自分のさいのうがおそろしいぜ(キラン)

ところで、“さいのう”ってなんだろう?
また■▲■ちゃんに聞かなくちゃ
あれ?
そういえば、誰だっけ?

――ビタン、ビタン

しっぽが無意識に地面を叩いていた

「あ、よかったぁ〜。しっぽはもとのまんまだ〜」

しっぽを体の前に回す
黒い体毛に覆われたふさふさのしっぽ
私のお気に入り

――バサバサ

「あ、翼も」

――ぐるぐる

「あれ?見えない」

――ぐるぐる

私は翼を見ようと振り向いたら翼も逃げて、それを追いかけたらつばさも逃げて

――ぐるぐる
――ぐるぐるぐるぐる

「あはははは〜まてぇ〜〜〜〜」

――ぐるぐるぐるぐる

「きゅ〜」

――バタン

私はクラクラして倒れ込んだ
あはは〜
世界が回ってるぞ〜

――くんくん

「あれ?」

世界に変な“臭い”が漂ってる
昔はしなかった“臭い”
それが私の体に染み込んでる
これのせいで私の体は変わってしまったのだろうか?
そんな気がする
でも

――ふにふに

私は自分の胸についているまあるいのを触ってみた
柔らかい
お尻もなんだかまあるくなってる

――ふにふに

やわらかい
それに

「ふえぇ〜。なんかきもちいぃ〜」

この体、嫌いじゃない
昔の体もお気に入りだったけど、こっちも柔らかくてすべすべしてて、それになんだかきもちいい

〜もっと気持ちよくなりたいな

少し、そう思った
とたん

「ふへぇ!?!?」

――ビクンビクン

突然、胸とお尻の柔らかいのがもっともっと気持ちよくなって

――ムクムク

胸のまあるいのが大きくなった

「うへぇ〜…」

私はそれをぽかんと見ていた

――ぽよん

大きくなったそれは、さっきよりもまるくなって

――さわさわ
――ふにふに
――じぃん

「ふぉ〜…」

私の前足で掴みきれないくらいの大きさ
でも、さっきよりもずっと気持ちよくなって
ふへへ

「私ってばまたひとつせいちょうしてしまったぜ(キラン)」

――ぽよんぽよん

おしりの柔らかいのも少しだけ大きくなったみたい

――さわさわ
――ぷにぷに
――じぃん

「ふぉぉ…」

こっちもきもちいい
少し胸のと違う感じ
でも、きもちいい

――くんくん

「ハっ」

その時私はひらめいた
世界に漂ってる“臭い”
それと私の周りに漂ってる私の“臭い”
それが混ざり合って、私の体に入ってきてる

そうか、こうやったら…

「ん…」

私は体の周囲に漂っている私の“臭い”に語りかけ、世界の“臭い”を操る

――ぞわわ

体の底の方から、しびれるみたいな
体の隅々まで広がって…

「……」

――さわ

「っ!?」

――ビクンビクン

「ふ、ふへぇ〜〜」

すごい
さっきまでと比べものにならないくらい
胸とお尻だけじゃない
体の柔らかいところ、全部すごくきもちよくなる

――くちゅ

「ふえ?」

とつぜん、後ろ足の付け根から、濡れたような音がして
思わず私はそこにふれ…

「ふきゅんっ!?」

――ビクビク

目の前がチカチカして何もわからなくなる

――とろ〜

また足の付け根から何かがたれてきて
しばらくして
さっきのがすっごく、すっごく気持ちよかったんだってわかった

――くちゅちゅ

「むふっ!?」

――ビクビク

「ふへぇ〜」

私はそのきもちよさにハマって、何度も何度も触り続けた









「ぐへぇ〜。もうだめぇ〜」

すっごくきもちよかった
立ち上がろうとしても、後ろ足に力が入らない
体中汗でベトベト
後ろ足の付け根から出てくる汗はもっともっと出てきて
もうお尻の下はベトベトだ
膨らんでしまった胸もおしりも、足の付け根のそこも、すっごくすっごくきもちよかった
ううん
もう全身すごくきもちいい
こうしてぼぉ〜っとしてるだけで風が吹くたび、じんわりきもちよくて

「ハッ!!?」

そこで私は気がついた
こんな体じゃ敵にすぐにやられちゃう
だって触っただけでこんなにきもちいいんだもの
きっと、痛いのはもっと痛くなって、動けなくなっちゃう

「どうしよう…」

私は世界の“臭い”に呼びかけて、体をもとに戻そうとした
でも、今度は私の“臭い”がさっきほど空気に混じっていかない

「あわわ…どうしよう…」

私は私の“臭い”の混ざった世界の“臭い”に力を込める
すると…

――わさわさ

「ふきゅん!?」

――わさわさ

体の特に弱いところ
後ろ足の付け根と、胸
そこにしっぽや手足と同じ黒いウロコや体毛が生えてきた
あ、少しだけまだ変化できた
このまま全部…

私はさらに力を込める
胸の少し上と、胸とお腹の間のあたりにふわふわの体毛が生えてくる

「あ、私の“臭い”がどんどん弱くなっちゃう…」

もう少し…
今度はウロコが膝下から太ももの外側までを覆うように生えてきて…

「ああぁ…」

そこまで生えたところで止まってしまった
私の周りに漂っていた余分な“臭い”は私の体の中に収まってしまい、世界の“臭い”に触れなくなってしまった

「むぅ…。まぁ、いっか」

さっきよりはずいぶんとマシ
それに

――わさわさ

胸のまるいのの周りに生えた体毛に触れる

「むふ〜。ふかふか〜」

体毛の生えてなかったさっきまでの肌とは違う、フカフカとした柔らかさ

「この体、イイ(・∀・)!」

こうして私の体は私のお気に入りの体になった
立ち上がって体を見下ろしてみる
昔みたいな大きくて強い身体はすっかりなくなってしまっていた
でも、とっても軽いし、動きやすい
後ろ足だけで立ち上がって、飛び跳ねることだって出来ちゃう

「あはは〜。ぐふふ〜」

――ぴょーんぴょーん
――パタパタ
――バッ
――くるくる〜

「すごいすご〜い」

私は楽しくて
しばらくの間、駆け回った




それから色々と観察してみてわかった
もう、体を変えることは出来ないけど、今生えてる鱗や体毛は、体の中の力をそこに集中させれば、ある程度消すことも生やすこともできるみたい
でも、それ以上は生やすことができなかった
それに、感じすぎちゃうのも、もう治らないみたい
少し後悔…
でも、少し( ̄― ̄)ニヤリ

「む〜。でも、これ、少し邪魔だなぁ」

胸のまあるいの
大きくて重いし、下が見えにくくて転んじゃいそう
でも

――もふもふ
――ふにふに

体毛で覆われたそれは触るとわさわさでふかふかでむにむにできもちいい

「あれ?何か忘れてるような……」

あれ?なんだっけ?
自分の体で遊ん出る場合じゃなかったような

「あうぅ…考えてたら頭が痛くなっちゃったよぅ…。寝よう…」






















――そして1年の月日が流れた






瞼に暖かな光が当たる
肌に感じる日の光がいつもより暖かいような気がする

「んみゅ…」

眠たいからもう少しだけ…



あれ?
私は一体いつから眠っていたんだろう?
ついさっき昼寝を始めた気もする
でも
ずっとずっと眠っている気もする
……
まぁ、いっか
でも…
あんまり眠ってばかりいると、また■▲■ちゃんに怒られちゃう…
あれ?
誰に怒られるんだっけ?
考えようとしたら頭が痛くなった

「むぅ…」

やっぱりもう少し眠ろう
私はしっぽを抱きかかえるようにして……
あれ?
なんだか邪魔なものがしっぽと体の間に…
なんだろう
むにむにしてる
目を開けて確認しようかな?
でも眠たいし
眩しいし…
むにむに

「ハっ!?」

この感覚、前にも確か感じたことがある!!
…ような気もするようなしないような
むぅ〜〜

「あうぅ…考えてたら頭が痛くなっちゃったよぅ…。寝よう…」



















――                   第一部 完                ――














瞼に暖かな光が当たる
肌に感じる日の光がいつもより暖かいような気がする

「んみゅ…」

眠たいからもう少しだけ…



あれ?
私は一体いつから眠っていたんだろう?
ついさっき昼寝を始めた気もする
でも
ずっとずっと眠っている気もする
……
まぁ、いっか
でも…
あんまり眠ってばかりいると、また■▲■ちゃんに怒られちゃう…
あれ?
誰に怒られるんだっけ?
考えようとしたら頭が痛くなった

「むぅ…」

やっぱりもう少し眠ろう















――ちなみに、その繰り返しとやらは今何回目だ?
――今回で3482回目に該当する
――さんぜんよんひゃくはちじゅうに…3482回目ってなんだ?こいつは一体何をやっているんだ?
――それだけの回数、こいつは同じことを繰り返してきたっていうのか!?
――必ずしもそうとは言えない 3482回中、物語がかすかだが進展したパターンが1379回目と3123回目の2回ある
――そしてその内容は魔王の魔力による身体変化の認識と、自己の体から漏れ出した強大な魔力を用いた身体変化の
――いや、もう いい…  助けて■▲■さぁ〜〜〜ん!!(無限ループって怖くね?)














瞼に暖かな光が当たる
肌に感じる日の光がいつもより暖かいような気がする

「んみゅ…」

眠たいからもう少しだけ…


『早く起きろ!馬鹿者!』

「ふぇ!?誰!?誰!?」

あれ?夢?
誰だろう
とても懐かしい声
ゆっくりと体を起こす

――ゆさ

胸に変な感覚を感じる

「あれ?」

私の体、なんだか変
あれ?
私、前にもこんなこと……

「ハッ!」

そうだ!
私ってば思い出しちゃったぞ
思い出したもんね〜
世界にあふれてる変な“臭い”のせいで身体こんなになっちゃってて
私の力も使って今の身体になったんだ
ぐへへへ〜
すごい!すごいぞ!
信じられないくらい頭が回ってるぜぇ!
今の私なら空も飛べる気がする!

「あ… もとから飛べるんだった…」

あれ?そういえばここはどこだろう?
私は辺りを見回した

「ここ、…どこだろう?」

真っ白な壁に囲まれた部屋
天井はガラス張りになっていて、光が差し込んでいる

「あれ?なにかおかしぃ…?」

体に降り注ぐ光に触れる

「この光…偽物だ…」

この部屋に降り注ぐお日様の光
真っ青に広がるように見える空
そしてこの白い壁
全部がぜんぶ、本物の“感じ”が全然しない

そう思った瞬間…



“この悪魔め!!”
              “魔竜を封じ込めろ”
        “お前のせいで、俺の家族は!!”
                            “空を落とした罪深き竜よ”
       「■▲■ちゃん!どこ!?助けてよぉぉ!」
    “時の果てるまで、眠るがいい”



不意に、頭の中に蘇る
人間たちの罵声、呪詛、怨嗟

「そうか…私、悪いドラゴンだから、ふういんされちゃったんだった」

…………

「てへへ。まいったなぁ…」

――ほろ

涙が 流れた
何年ぶりの涙かな?
何十年?何千年?
もうわからない

「…もう一度眠ろう」

そうだ
もう一度眠ろう
そして嫌なことは全部忘れて
楽しかった時の夢を見るんだ
名前も思い出せない、大切な人との思い出を
もうすぐ、きっと顔も思い出せなくなってしまう
きっと、いつか、私はそうやって空っぽになってしまうんだ
でも、そしたらもう、辛いことも思い出せなくなる
ただただ
空っぽの夢に落ちていけばいいんだ
それなら簡単
嫌なこと、大切なこと
たくさんたくさん忘れてしまって、何も思い出せないダメな私だけど
きっと、そうやって消えてしまうことは簡単にできるんだ
次に目覚めたときはきっと
今よりも、もっと軽くなって…

「……おやすみ…なさい…」









12/06/20 22:41更新 / ひつじ
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■作者メッセージ
皆様お久しぶりです

さて、本編に関してですが
無限ループって怖くね?
ゴールド・E・鎮魂歌 怖くね?

さて、のっけから趣味全開です
女体改造さいこぉぉぉ!!!ひゃっほぉぉぉ!!
さて、ここで色々と疑問も浮かんでいることでしょうからお答えします
Q、なんで体を好き勝手いじってんのこの子?
A,封印された時はまだ魔王の影響がない時代だったので竜の姿でした
でも、封印されているうちに、姿が変わって、それまでの身体(竜の)に血液のように循環していた彼女の魔力は、眠っている間に突然体が縮んだものだから、本人も、そしてその体も認識できずに、体外へと流れて行ってしまっていたわけです。
しかし、そこは彼女を封印するための空間。
魔王の魔力や、その他はでは入出来ても、彼女の魔力は出ていくことができません。そうして長い間に空間内に多まりにたまった魔力と魔王の魔力が混ざり合い、目覚めた彼女は自分の魔力がブレンドされた魔王の魔力を使って、自分の思うように体を作り変えたわけですね、ご都合主義
かくして彼女は黒髪褐色低身長巨乳で敏感肌なエロバディを手に入れたわけですね、俺得!

タイトルが(仮)となっているのは、まだちゃんとしたタイトルが思い浮かんでないからです
何かいいのが思いつかないんですよね
ちなみに主人公は1部のディアn・・・えっと、この子と、2部から登場するエリオ(人間男)のダブル主人公の予定です
あ、ちなみにこのお話は「竜の子」の外伝的なお話です
でも、本編見てなくても楽しめるお話です
まぁ、どこまで連載続くかわからんけどさ・・・
では、また次のお話で会いましょう

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