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第三部 4話 ハーレムの真相
――ピキ

――ピキキ

音がする
まるで卵の殻が割れるような
光が差し込んでくる
真っ暗な世界に
私は光に向かって手を伸ばす

――ギギギギ

――ピキ









「くびぃぃぃぃぃぃぃ!!!!?????」

俺は驚いて飛び起きた
って、あれ?
俺はどうして寝ていたんだ?
なんだかすごく怖いことがあった気がするが…
あれ?ここはどこだ?
白いシーツ、そしてカーテンで仕切られたベッド
俺の部屋ではないようだ

「あらぁ?目が覚めたぁ?」

そう言ってカーテンから顔を覗かせたのは見知らぬ美人だった

「あなたは……っ!!」

俺は言いかけて言葉を飲んでしまった

「ふふふぅ〜。初日から気絶だなんて気合が入ってるわねぇ」

――たゆ〜ん

な、なんだ?あれは…

――ぽよよ〜ん

「あれぇ?どうしたのかなぁ?」

間延びした声が呼びかけてくる
しかし俺はそれどころではなかった

――ぷるるんっ

「ん〜?だいじょうぶぅ?」

どうやら俺が黙り込んでいるので声の主は心配してくれているようだった
やばい
早く何か答えなければ

「い…」
「いぃ〜?」

しかし俺の意識はそれにとらわれてしまい、言葉がまとまらない
そして、俺の口から出た言葉は

いいおっぱいですね!(`・ω・´)キリ」←いい声

心からの言葉だった
だ、だってしかたないだろう!?
ゆったりとした雰囲気の癒し系美女に

――ゆっさゆっさ

まるで癒し成分を詰め込んだかのような巨大なおっぱい
しかもあの揺れ方
並の柔らかさではない
さすがにあの柔らかさに大きさだ
少しうつむきがちにはなってしまっているが
しかし垂れているというわけではけっしてない
ヤバい
触りたい
触ればきっと俺はかつてない新触感に出会えるはずだ
しかし、彼女はその恰好から察するに看護兵
そんな…
な…
なな、ナースで巨乳だとぉぉ〜〜!?

許せるっ!

「ん〜?」

俺の言葉を聞き柔軟おっぱいさんは疑問符を浮かべた
その時になって俺は初めて、しまったと思った
おそらくは俺を助けてくれた相手に向かって何を言ってるんだ?
で、でもあのおっぱいだし…
しかしあのおっぱいは…
だっておっぱいだもんな…
俺がそのおっぱいに悪戦苦闘していると

「ふふふぅ〜。ありがとねぇ。うれしいわぁ」

意外な好感触だった

「さわってみるぅ?」

俺はk
「はい!喜んで!!」

考えるよりも早く返事を返していた
そして答えてしまってから気が付いた
こ、これは…

――たゆぅん

まさか、罠だったりするのでは!?

――ゆさぁん

だってこんな状況
普通に考えて美味しすぎる

――ぼよん
――ふわわ〜ん

………
……
俺は罠にだって平気で飛び込んでいくような男なんだぜ!!

「うふふぅ〜。きてぇ」
「エリオ、いっきま〜す!」

――ぽむ

「はうっ」

触った瞬間
声を上げていたのは俺の方だった

――むにぃ〜

な、なんだこれはぁ!?

――ふわわぁん

すごい、すごいぞぉぉぉ!!!
沈む
指が沈んでいくではないか!

「あぁ〜ん。うれしいわぁ」

ははははは
見ろ
彼女も喜んでいるではないか!
つまり俺こそが正義!
勝てる、この勝負勝てるぞ!
ふはははははははっ!
勝利はわがt

「失礼します!エリオット隊長はいかが……」

医務室であろうその部屋へ入ってきたのは見覚えのある鎧おっぱいだった

「…………」
「な………」

俺は文字通り乳繰り合っている現場を他の女性に目撃されてしまった

「…………(ぷるぷる)」

鎧おっぱいさんが小刻みに震え始めた
あれ?
気のせいかな?
こんな現場を俺は前も見たことがある気がする…

――ポォォォォォ!

――スポーン

「あ…とんだ……」

俺の口からは、素直な感想が漏れた

――バタン

俺は、意識を手放すその瞬間まで
おっぱいから手を放すことはなかった




次に目を覚ました時、目の前にいたのはあの鎧おっぱいさんだった

「――と、いうわけであります」
「え?じゃあその首、元から外れるようになってるの!?」
「と、申しますか…その…。は、恥ずかしながら自分は未熟者であります故、興奮するとつい、首が飛んでしまうのであります!」

『つい』首が飛ぶのか…
最近の子は何とも恐ろしいものだ
って、
そういう魔物なのか
デュラハンねぇ…
そういえば聞いたこともあるような気もしないではない
まぁ、どちらにせよ
恥ずかしくて『つい』やっちゃうのか
そう考えると少しかわいいなぁ……
俺の脳裏に彼女の首が飛ぶ光景が思い浮かぶ
………
いや、やっぱりそうでもないかなぁ…

「ふふ。隊長さぁん。もう大丈夫ぅ?」

そう言ってトレーに飲み物を持った柔軟おっぱいさんがやってきた

「はい。もう大丈夫です。ご迷惑をおかけしました」
「い、いえ。これは自分の失態であります!」
「はは。そんなことないよ。気にしないで」

俺は頭を下げるアリステラ副隊長に言った

「いえ、隊長にはどうお詫びしていいk…ぅわっと!」

そう言ってもう一度頭を下げようとしたら、彼女の首が危うく落ちそうになった
ふ、不安定だなぁ…

「ふふふぅ〜。元気いっぱいねぇ。ほら、隊長さんも、これ飲んで元気になってねぇ」

そう言って柔軟おっぱいさんは俺にミルクを手渡してくれた

「あ。ありがとうございます」

俺はそれを口に運ぶ……

「っ!」

なんだこれは…

「う、うまいぞぉぉぉぉ!!」

そのミルクは、今までに飲んだことのないようなうまさだった
濃厚でいて、まるで果実のようにさわやかな後味
それにこの甘さ
それでいて乳製品特有のまろやかさ
なんだこれは!?
このミルクならどんな牛乳嫌いでも飲める
いくらだって飲めてしまう!

「そぉ〜?ふふふふぅ〜。ありがとぉ。頑張って搾ったかいがあったわぁ」
「ありがとうございました」
「いえいえぇ。そのミルクには栄養たぁ〜っぷりだから、すぐに気分も良くなるわぁ」

そういわれれば、二度の気絶で頭がぼぅっとしてたのがすっかり良くなっていた
しかし『絞った』か、
この兵舎は裏で牛でも飼っているのだろうか?

「はっ!エリオット隊長!申し遅れました」
「え?」

突然アリステラが立ち上がり言った

「みなが隊長の就任のあいさつを待っております。ご気分の方はどうでしょうか?」
「うん。もうすっかり。ごめんね、きm…えっと、もう大丈夫だよ」

うっかり「君みたいな美人を見て気絶なんてしちゃって」と言おうとして思いとどまった
まさか褒めると首が飛ぶ人類がこの世にいるなんて…

「では、みなに知らせてまいります。隊長は準備をして演習場までお越しください。ではっ!」

そう言って凛と彼女は去って行った
就任あいさつか
そうか、今日は初日だもんな
まいったなぁ
何も考えてなかった

「もう大丈夫ぅ?」
「はい。俺も失礼します」
「うん。また気分が悪くなったらいつでも来てねぇ〜」

そう言ってほほ笑む柔乳さん
あ、そういえば

「そういえば、あなたのお名前は?」
「わたしぃ〜?わたしはねぇ、ラクシアぁ。よろしくねぇ」
「はい。また寄せてもらいますね」
「うん〜。いつでも待ってるわぁ」

そう言って手を振る柔乳さん改め、ラクシアさん

――ファサ

その彼女の背後に白と黒のツートンカラーの尻尾が見えた
彼女も魔物なのだろう
あの尻尾、ミノタウロスかな?
それにしてはずいぶんとおっとりした人だった
ここにはいろんな魔物がいるなぁ
そんなことを考えながら、俺は医務室を後にして、演習場に向かった

                   












(エリオットがラクシアルートから離脱しました)





俺は昨日シズルさんに教わっていた演習場の場所にたどり着いた
とはいっても、兵舎のすぐ裏だったしすぐに分かったけど
ふむ〜
広い演習場だけど
王都に比べたら何もないなぁ
訓練人形も射撃場もない
やっぱりそういうところは田舎なんだなぁ

「あ。エリオット隊長。いらっしゃいましたか」

そう言ってアリステラが駆け寄ってくる

大丈夫なんだろうけど、なんか彼女が動くだけで首が落ちるんじゃないかって心配になっちゃうなぁ

「ごめんね、待たせちゃって」
「いえ、先ほど全員の招集が終わったところです」
「へぇ。みんないるんだ」
「はい…。最近はたるんだ兵が多くて困ります」
「はは。いいじゃないの。どうせ平和なんだし」
「よくありません。ここは国境に面する街。いつ敵軍に攻撃されてもおかしくないんですよ!?」
「って言っても同盟中なんでしょ?」
「確かに形の上では…そうですが。しかし隣国は反魔物派で有名なウィルズランド王国です…。城主様も『あれは同盟じゃなくただの休戦協定みたいなもんだ』とおっしゃっていました」
「心配性だなぁ。同盟に加盟しているのは他にもいくつかあるらしいし、もしそのウィルズランドがうちに攻撃なんてしてきたら他の国も黙っちゃいないって。そのための同盟協定なんだからさ」
「ですが、我々は守備隊として、いつでも戦える備えをですね」
「ん〜。まぁそうだね。ふむ…。まぁ、とにかく。今はみんなに挨拶することが先だね」
「ハッ!? そ、そうでした。申し訳ありません」
「はは。いいよ。そんなに固くならなくても。あ、そうだ。アリステラのこと、アリスって呼んでいいかな?」
「え?!そ、そんな…な、なんか可愛いすぎて…は、恥ずかしいです…」

――プシュー

ハッ!?
首の継ぎ目から微かに煙が!?

「じゃ、じゃあさ、ステラっていうのは?」
「そ、そうですね…それなら…」

――シュ…

ほ…
どうやら鎮火したみたいだ…
ステラには言葉を選ばないといけないなぁ…

「さ、行こうかステラ」
「はい」










                 (エリオットがアリステラルートから離脱しました)



「――というわけで、俺が今日からみんなの隊長になっちゃった。よろしくね」

軽く挨拶
しかし緊張したなぁ
さすがに50人近い兵を目の前にするといい言葉も思い浮かばないものだ

――ざわ ざわ

ん〜
さすがに少し軽すぎたかな?
整列した兵たちからざわめきが上がる

「えっと…」

俺は兵たちを落ちつけようと口を開いた、その時だった

「ねぇ〜。隊長サンは童貞なの〜?」

突然兵士の中から卑猥な質問が飛んできた

「え?違うけど?」

俺は思わず素直に答えてしまっていた

――ざわざわざわ
――ざわざわ
――くすす
――…次の…は……いけるね…
――ざわざわ

そんな俺の返答に何故か兵たちのざわつきが大きくなる

あれ?
俺、なんかまずいこと言ったかな?

俺が悩んでいると

「こら!お前たち!隊長を困らせるな!」

ステラが凛とした声で喝を入れた

「「「は〜い」」」

どこか不満そうな声が兵達から上がる

う〜ん
兵のみんながステラみたいに真面目ってわけじゃないのか…
まぁ、いいや

「え〜っと。みんなごめんね。僕のあいさつは以上だから、今日はもう訓練に戻って良いよ。明日から俺もみんなと一緒に頑張るから、よろしくね」






と、まぁこんな感じで俺の就任のあいさつは終わった


事件はその夜に起こった









「で、にゃ〜。こいつったらその男の家で下半身裸で…」

頬をピンクに染めたワーキャットさんがマタタビ酒を片手に上機嫌で話す

「だぁ〜っはっは!そいつはおもしれぇなぁ!おい!お前!ちょっと今それ再現してみ!なっ?」

鎧姿の綺麗なお姉さんが豪快に笑いながら後輩らしき人間の女の子の首を腕で捕まえる
…ん?あの鎧の隙間から見えるおっぱい…どこかで見たことが?…

「で、できるわけないでしょ!ちょ、副隊長!酒臭っ!」

そんな女戦士さんを全力で引きはがそうともがく女の子
そうか、あの鎧おっぱいさんは副隊長なのか…ステラと同じだなぁ〜そう言えばどことなく似てるし…
あれ?
副隊長って1人しかいなかったような…

「あ、あははは〜」

俺は自分の部屋で宴会を開く10人近い女の子たちのほほえましくも危なっかしい姿を見ていた
……
あれ?
おかしいなぁ…
ここ、俺の部屋なのに…
なんで俺はこんなにギュウギュウ積めで女の子に囲まれながら

――ぼよん

お酒を飲まされて

――むにぃん

「おらぁ!隊長ももっと飲もうぜ!」
「あ、ありがと…」

――ゆっさ

俺の部屋なのに…

――ぷるん

……
うん
いろいろなおっぱi
もとい、たくさんの女の子に囲まれてお酒が飲めるなんて男の夢だよね
例えここが兵舎で
俺の部屋で
俺は隊長で
この子たちは俺の部下なのに

「今夜は無礼講だぜ〜〜!」

無礼講な感じになってても
問題ないよね


って…

「そんなわけないし!」

落ち着けエリオット!
だめだ
いくら隊員たちと仲良くなるためだからって、流石にこのだらけ具合は良くない気がする
だって、俺達は一応守備隊のはずだもの!

「ちょっと、みんな?いくらなんでもここでそんな…」
「うっせぇよ!隊長のくせに生意気だぜ!ぎゃははは」

(どがっ!)

「うぎゃっ!?」

豪快な女戦士さんが俺に向かって首を投げてきた

「いたたたた…」

俺は自分の足元に転がった首をゆっくりと持ち上げて、額を摩った

思いのほか硬い首だなぁ…
ちょっと、いくらなんでも首を…
………
首を!?

「く、くびぃぃぃぃぃぃ!?!?」

俺は自分の手にした首を見て驚愕の声を上げた

「あひゃひゃひゃひゃ。隊長の驚き顔は何度見ても最高だぜ!」

そう言って首は楽しそうに笑うとピンク色の煙に包まれてふわふわと持ち主の所へ飛んで行った

「あ、あわわ…」

俺はその場で腰を抜かした

「「「ぎゃははははははは」」」

そんな俺の様子を見て女の子たちは大爆笑する

「くっく…まだまだ反応が青いのぅ」

慌てる俺の隣から低めの冷静なロリボイスが聞こえた
見れば隣でロリが酒盗をつまみにきついお酒をちびちびとやっていた

「………しぶいですね」
「ほっほ。若いもんはこいつ(酒)の楽しみ方をわかっとらんのぅ」

……このドワーフさんは間違いなく俺よりもずいぶんと年上だ

「あの…。もしかしてなんですけど…前の隊長さんも…」

俺は少しばかりロリを見て心が落ち着いたので(たぶん普通とは違う意味で)
尋ねてみることにした

「おう。そうじゃのう。お前の前任者はお前よりも使命感に熱い男じゃったが、小娘どもがほれ、毎日このようにやっておったら、胃を悪くしてのぅ…。くっく。所詮はまだまだ若造よ…」
「そ、ソウデスカ…」

なんとなくわかってきた…
全てが順風満帆に見えていた左遷生活
しかし
所詮は“左遷”
ここに飛ばされたのはやはりそれなりの理由があるのだ…

「あ!隊長!いったよぉ〜!」
「キャハハハハハハ!」

(ガンッ!)

「いってぇ!」

俺は後頭部にぶつかった高笑いするステラ(?)の首を持ち上げ

「はぁ…」

ため息とともに力なく投げ返した

明日からどうしようか…


12/12/22 23:26更新 / ひつじ
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■作者メッセージ
やっとタイトルが決まりました
dragonfly
きっとトンボとマジョ子さんの初々しい物語に…

え?なに?
Dragon sky?
え、どう言う意味?
竜?空?


さて、お話の方は…

エリオさんがいともたやすくフラグを折りました
さすがエリオさんだ!
俺たちにできないことを平然とやってのける!そこに痺れる憧れる!

しかし、その2つのルートの内、片方はいくつかバッドエンドが用意されていたのです
実はナイス判断
堅物真面目キャラ×お酒→ダメ、ゼッタイ

俺はラクシアルートで間違いなく1周目を終える自信がある…

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