第一車両「ドロドロトレイン」
俺は朝に弱い。
そんな俺がゲームのために夜更かししたら、寝坊するのは当然のことだ。
実家暮らしなら親が起こしてくれるが、数ヶ月前から仕事のため独り暮らし。だから起こしてくれる人などいない。
独り暮らしの家は寂しいものである。起こしてくれる人もいなければ朝食を作ってくれる人もいない。
俺は空腹に耐えながらも駅に自転車を走らせる。改札を抜けると電車の着く音が聞こえた。
これを逃せば遅刻は確定。
やばい……ゲームで遅刻したなど誰が言えるか!
俺はエスカレーターを二段飛ばしで駆け上がる。
隣でゆっくりと諦めた風に歩いているサラリーマンの姿があったが、俺は諦めない。
ホームに出る。電車は警報音を鳴らし、ドアは今まさに閉まろうとしていた。
「待ってくれぇぇ!」
俺は叫びながら、閉まりかかるドアに身体を滑り込ませた。混雑していなかったので、誰にもぶつからずに入ることができた。
本当にギリギリ。全くのギリギリ。コンマ一秒遅れていたら挟まれていたというくらいギリギリだった。
ふぅと俺は息をついて。
ついて気づく。
「んん?」
視線。獲物を見る鋭い視線。サキュバスやラミアやらハーピィなど、色々な魔物娘たちの妖しい光を宿した視線。
それが全て俺に突き刺さっていた。
気圧されて俺は後ずさろうとするけれども、後ろはドアである。下がれるはずがない。
俺はふとドアにあるステッカー見る。
《魔物娘専用車両》
「……嘘、だろ?」
『駆け込み乗車は危険ですのでご遠慮下さい』
俺の絶望を嘲笑うかのように車掌のアナウンスが流れる。
本当に、何故、昨日深夜までゲームしたんだろ。
昨日の俺を殴ってやりたい気分だった。
しかし、そんな後悔も先に立たず。今はこの現状をどうにかするべきだ。早くこの車両から脱出しないと。魔物娘専用車両がどんなところかは聞いている。
入れば必ず犯される。
単純だがそれが逆に恐ろしい。
単純であることはすなわち例外がないということ。
他に語るべきことがないということ。
あ……ってことはそれって――
「うっ、」
逃げようと動いたところで俺の脚に絡まる、なにか。
見ればそれは青い粘液状の姿をしたスライムだった。俺の脚を、形取った腕で絡めてこちらを見上げていたのである。
スライムは15、6歳であろう幼い顔つきに相応しくない、妖艶な笑みを浮かべて舌舐めずりした。
「逃げられると思いますかぁ?おにぃさん」
――そう、逃げ切れた話がないということ。
「や、やめ、だ、誰か助け」
「あー、今日はついに青子ちゃんかぁ」
「やっぱ入口待機は基本よね」
「朝イチで張らないとダメかなぁ」
誰も助ける気などなかった。
クスクスニヤニヤと熱っぽい視線で俺を見ている。
俺がもう絶望しか残ってないと立ち尽くしていると、
「ねぇ、おにぃさん……あたしとエッチなこと、しよ?」
ドロドロとスライムの少女が、俺の身体を這い上がってくる。心地いい冷たい水の感触が俺の抵抗力を奪っていくようだった。
「い、いやだ、来るな、俺は」
「クスクス、でもぉ、おにぃさんはぁ、この電車に乗っちゃったんだよ?だからぁ、あたしにぃヤられるしかないんだよぉ?」
「い、いやだ!」
精一杯身体を捩らせて、スライムから逃れようとする。しかし、無駄だった。
流動体のスライムを弾こうとしても彼女の身体は俺に接着したように絡み付き、離れてはくれない。いや、それどころかもがけばもがくほどスライムが俺の身体を包み込んでいき、服の中へと侵入していく。
「おにぃさんの服、脱がしちゃうね」
「やめろ!」
俺はスライムが絡み付くのも無視して隣の車両へ向けて歩こうとする。しかし、スライムのドロドロの身体を踏んでしまい、足をとられ滑ってしまう。
「うわっ」
「おっとっと……えへへ、つーかまーえた」
俺が転んだ先はスライムの青い粘液の中。ゼリーのような柔らかくも弾力性のあるスライムが俺を受け止め、幸いにしてか俺はどこも身体を打たなかった。
しかし、完全にスライムに捕まってしまったのである。
「もう逃げられないよ、おにぃさん」
俺の身体はスライムの上となり、地面と足が離れてしまっていた。そう、もう歩くことすらできない。ただもがくことしかできないのである。
「さあ、脱ぎ脱ぎしましょーね」
「うぅ……」
スライムの青い身体が俺の身体を這い回り、器用に服を脱がせていく。もしも、スライムが透明なら、服が独りでに脱げていくみたいだ。
なんて、悠長なことを考えている場合か!
このままじゃ、俺は真っ裸に!
しかも、こんな電車の中で。周りに人(魔物娘)がいるのに。
「っ!」
それを意識すると急激に羞恥心が高まってきた。
見られている。
俺は皆に見られている。
リクルートスーツを着たカラステング。
露出度の高い服を着たサキュバス。
白衣の裾が床についている幼い魔女。
朝帰りなのか眠たげなワーシープ。
などなど。色々な魔物娘が、しかし同じ熱っぽい妖艶な視線を俺に注いでいた。
「あはっ!おにぃさん、もうこんなですよ?」
「はっ?……っ!」
俺のスラックスはずり下ろされ、俺の逸物がピンっと恥ずかしげもなく、白昼堂々と晒される。逸物はスライムの身体を泳ぎ、冷たくも心地よい感覚に晒された。
「み、見ないでくれ……」
そう、俺は懇願するけれども。
「もうビンビンね、美味しそう」
「いいなぁ、私もレロレロしたいなぁ」
「オチンチンあんなにおっ勃てて、スライムの中気持ちいいのかしらね」
「もしかして見られておっきくしたんじゃない?」
「露出狂なんだ」
「見られて喜ぶ変態なんだ」
「オチンポ勃起させて感じちゃう変態なんだ」
「変態」
「へんたい」
「ヘンタイ」
そんな言葉が俺に投げ返される。
淫乱な、それでいて、お前も同じなのだと言いたげな笑みで。
違う。俺は変態なんかじゃ。
こんな状況になったのは脱がしたこのスライムの責任なんだ。
俺は変態なんかじゃない……。
見られて喜ぶなんて、嬉しいなんて、感じるなんて。俺は違う。これはなにかの間違いなんだ。逸物が大きくなったのもなにか別の原因があって、俺に非なんかなんて。そうだよ。俺は悪くない。俺は悪くなんか……。
「俺は……」
訳がわからない。思考がうまく働かない。俺は悪くない。悪くないはずだ。だけど、
「おにぃさんは、あたしで感じたんですよね?」
不意に、混乱する俺に問いかける声。
もはや俺の首から下をすっぽりと包み込んでしまったスライムが、俺の顔を覗き込んでいた。
「おにぃさんは、あたしの身体が気持ちよくてオチンチンおっきくしちゃったんですよね?」
……スライムの身体。
「ああ……」
心地いい。
裸になった俺の身体全身を包むトロトロプルプルのスライムの青い身体。肌に爽やかな冷たさが絡み付いて、俺に冷静さを取り戻させてくれる。そのお陰で、俺は心地よさを意識することができた。
スライムさんの身体はまるで冷えたローションの中を泳いでいるような、だけど、それでいてどこか温もりを感じられる心地よさ。脇の下から陰嚢の裏まで、俺の身体隅々にまで彼女の身体が行き渡っている。微かにスライムさんの身体は流動し、俺の肌を撫でてくる。慈しむかのような優しい肌触り。
包み、撫で、守る。
まるで母親の胎内にいるのかのようだ。
「………ぁ………」
なんだろう。なんで、だろう。逃げないとって思ってたのに。今は逃げる必要がないと思ってしまう。このままずっと、こうしてスライムさんに浸かっていたいと、包まれていたいと思ってしまう。なんで。
「ねぇ、おにぃさん」
「あ、」
「あたし、もう、我慢、できないなぁ。だから、ね?おにぃさんの逞しくてビンビンのオチンチン。あたしのドロドロの身体でシュッシュッってしちゃっていいかな?」
「お、れは……」
スライムさんに俺の逸物をシゴいてもらう?
この心地いい身体の中で?
ああ、してほしい。やってほしい。気持ちよくなりたい。精液を出したい。
でもダメだ。会社にも行かないといけないし、こんな公衆の面前で。色んな人に見られているのに、そんなこと。
「大丈夫だよ。すぐに、なにも考えられなくなるくらい気持ちよくしてあげるから」
「えっ……っ!?」
その瞬間、逸物に優しく触れていたスライムの身体の部分が、急激に俺の逸物を締めた。ゼリーからこんにゃくに変わったかのような固さだ。だけど、彼女の身体はニュルニュルのローションそのもののようなもので、気持ちよくはあれど痛みなどはない。
「ほーら、シコシコシコシコ」
「あああ、あああああ」
声に合わせて、俺の逸物が上下にシゴかれる。カリ首を引っかけていくようなシゴきと、亀頭をズリズリと擦られる刺激が俺の逸物を襲った。
それはもう手やオナホでやるオナニーとは比べ物にならない。いや、人間のセックスとも比べるべくもなかった。
「あああああああ、あああぁ」
目の前がが真っ白に染まっていく。
ダメだ、もう我慢ができない。
「タマタマ揉み揉みー」
「ぅああぁ……」
グチャグチャに陰嚢が揉みしだかれる。精液を出せ出せと命令してくる。
「キュッとしてシコシコシコシコシコシコシコシコ」
締め付けてシゴき、締め付けてシゴく。
上下左右に、斜め前後ろと縦横無尽に攻めあげた。
「あはは、イッちゃえー」
トドメと言わんばかりに、俺の逸物をキュッと締め付ける。
そして解放した。
「ぅああああああああああああ!」
脳みそを焦がす快楽が俺に襲いかかる。目の前が真っ白になり、そして、逸物から真っ白な欲望を吐き出した。
ドプドプドプドプドプドプドプドプドプ!!
鈴口からドロドロしたものが放出していく感覚。
それをさらに搾り取ろうと、逸物を揉みしだく感覚。
理性を削り取っていく魔性の快楽に、俺は溺れていくしかなかった。
俺の身体がスライムから解放され、その場に尻餅をつく。
「どうですか、おにぃさん。気持ちよかったですかぁ?気持ちよかったですよねぇ?」
俺は寝転ばないよう腕で身体を支えて、スライムさんを見上げる。
人の形を取ったスライムさんは胸を持ち上げるように腕組みしながら、僕を蕩ける目で見つめていた。
「あたしも。あたしも気持ちよかったですよ。ほら、おにぃさんの精液があたしの身体にいっぱい。精液があたしの身体の中を泳いでます。あたしの身体をおにぃさんの精液が犯してるんですよ」
ぷかぷか。ふよふよ。こぽこぽ。
そんな擬音語が似合いそうな感じで、俺の精液がスライムさんの身体を漂っていた。
いまなお、スライムさんを犯している。そう言われて興奮しないわけがなかった。欲望を吐き出して萎えかけた俺の逸物は、絶頂の瞬間のときのようにその怒張を晒した。
あはは、とスライムさんは心底嬉しそうに笑う。その笑みは扇情的で、俺を誘っているかのようで、俺の残り僅かな理性を蝕んでいく。
『夕凪駅ー。夕凪駅でーございます』
「あ……」
ここは、俺の降りなければいけない駅だ。
俺の表情で意味するところに気づいたのか、スライムさんはますます笑みを深めると、不意に踵を返した。
そして、隣の車両への扉に手をつき、尻をこちらに突き出したのだ。泡立ったドロドロの液体を垂らした卑猥なオマンコをこちらに向けて。
まるで獣のように犯してくれと言わんばかりに。
同時に俺の横で扉が開く。
「……………………」
逃げるなら今のうちだった。今はどこも拘束されていない。落ちている服を拾い上げて電車を出れば逃げ切れる。追われなどしないだろうし、もう無理矢理犯されることもない。だから、逃げよう。逃げるんだ。早く。会社に遅刻するぞ。今ならまだ間に合う。魔物娘に犯されていたと言えば、言い訳も立つだろう。ほら、逃げるんだ。
『扉が閉まります。ご注意ください』
よし、逃げ、
「……あたしを犯して」
「……………………」
俺は飛び出した。
横に?
違う。
どこに?
前に。
スライムさんの方に。
後ろで扉が重々しく閉まる音がする。しかし、もうどうでもよかった。
今は。ただ今はこのスライムさんと交わることしか考えられなかった。
「スライムさん!スライムさん!」
ジュブッ。ズンッ!
「あんっ!急にぃ!」
俺はスライムさんのプルプルな尻を掴むと、いきり立った俺の逸物を、スライムさんのオマンコへと突きいれた。
まるで吸い込まれるように逸物はすんなりとオマンコに収まる。しかし、膣内はギュウギュウと俺の逸物を締め付けていき、抜かせないように吸い続ける。その快楽に腰を抜かしそうになるも耐えきり、腰を動かし始めた。
「ああんっ、激しぃぃ!おにぃさん、激しいっ!」
「スライムさんのオマンコ最高だ!ゼリーみたいなのに、オマンコのヒダヒダみたいなのが絡み付いてきて、ジュルッジュルッて俺のチンポシゴいてっ」
獣のごとく。獣のごとく。ただ乱暴に振り、スライムさんを犯す。パンパンと腰を打ち付ける度にスライムさんの身体が飛沫となって辺りに飛んでいく。
「ああああああ!気持ちいい!人間なんか比べ物にならないっ」
「あっは!おにぃさんケダモノみたい!ケダモノおにぃさんだぁ!」
ニヤニヤとそれはもう嬉しそうにスライムさんは笑う。そうだ、俺はケダモノだ。もうスライムさんを犯すことしか、スライムさんとセックスすることしか考えられない。
「いいん、あんっ、ですか?仕事行か、なくて、ああんっ!」
「仕事なんかっ!どうでも!いい!スライムさんとセックスしたい!ずっとしたい!ずっとしてたいんだ!」
「あん!さらに大きく……あはは、嬉しい。もっと。もっともっともっともっと、あたしを犯して!ケダモノみたいになって犯して!奴隷みたいに犯して!朝も昼も晩も寝ても覚めても犯しまくってえぇぇぇ!」
「くぁ、締まりがきつく……」
「ふふ、キスしよっ?」
不意に腰を反らしてこちらを向き、唇を突き出してくる。俺は間髪いれずその唇を奪った。
「んちゅ、ぐちゅるぐちゅうぅぅぅ、ちるるるるる!」
「はぁ、ぶちゅ!ちゅ、れろれろれろれろ、ちゅるる、ぐちゅぐちゅにゅちゅ」
貪る。まるで喰い合うかのように俺たちは唇を貪りあった。唾液を奪い合い、舌を吸い合い、互いを飲み込み合う。甘く蕩けてしまいそうな快楽。下はうるさく激しく動き合い、上に静かに激しく動いていた。
スライムさんの甘い身体の味は俺の逸物をさらに剛直させていく。同時に比例するかのように快楽が増していった。
キスをしながら俺は逸物を突きいれる。ただ入れるだけじゃない。ゴリゴリとスライムマンコを抉っていくような挿入だ。
「プハッ!おにぃさんのオチンチンあたしの奥に来てるっ!ああんっ!あんあんあんっ!いっぱ、おにぃさんであたし、いっぱいぃぃぃぃぃ!」
パンパンパンパンパンパンパンパンッ!
「ぅあああ、まるで、スクリューみたいに膣内が渦巻いて、やばい、ダメだ、もうイク……」
「あはっ!来て!あたしの、あんっ、膣内にいっぱいおにぃさんのぉ、精液出しまくってえぇぇぇぇ!」
「うぁああああああああああああああ!」
ドプドプドプドプドプドプドプドプドプ!
ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク!
「あー、あー、出て、るぅ、おにぃさんの精液ぃ、いっぱい、出てるぅぅ」
だらしなく舌を突きだし、白目を向けて、スライムさんは放心する。あまりの快楽に身体が追い付いていないらしい。俺も腰が抜けて倒れてしまいそうなくらい強烈な快楽に襲われていた。今にも意識が飛びそうなくらいだ。
でも。
「っ!?おにぃしゃん、あんっ、らめぇ、今敏感にゃのぉ!」
「もっともっともッともっともっとも。スライムさんがほしい。じゅるるるるる」
「あひゃぁあ、あらひの身体吸っちゃらめぇ!食べちゃらめぇ!気持ちいーかりゃあ!頭おかしくなっひゃうかりゃあ!」
「ゴクゴク、ぷはぁ、あああ、おいしい、甘い、スライムさんスライムさんスライムさん。スライムさんの膣内熱くてドロドロで溶けちゃいそうなくらい気持ちいいよ。もっともっと」
パンパンパンパンパンパンパンパンパン!
「あひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!オチンチン気持ちいいにょおぉぉぉぉぉ!」
「またイク!イクから!スライムさんの中にぶちまけるから!う、ああああああ!」
ドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!
「あっひゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!ザーメン!ザーメンザーメンザーメンんんんん!キタァァァァァ!」
スライムさんは絶頂とともに腰を思いきり反らせたかと思うと、今度は床に倒れて完全に力尽きてしまった。
「あひゃぁあ、おにぃさんの、ザーメン……あらひの身体ぁ、白く、染められてりゅよおお」
俺はそんなスライムさんに覆い被さると、また腰を振り始める。俺はもう自分で自分を止めることができなかった。
端から見たら、俺がスライムさんを犯しているように見えたかもしれない。
でもそれは違う。
犯されているのは俺だ。
スライムさんの快楽の身体に俺は完全に犯されきっているのだ。
スライムさんの身体に溺れきってしまっているのだ。
俺にはもう逃げ場はない。
まるで底無し沼のごとく、スライムさんの快楽に溺れ沈んでいくだけだ。
「あひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!もっろぉ、もっろぉ、ザーメンちょうらいぃぃぃぃぃぃ!あらひの膣内にぶちまけてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
[完]
そんな俺がゲームのために夜更かししたら、寝坊するのは当然のことだ。
実家暮らしなら親が起こしてくれるが、数ヶ月前から仕事のため独り暮らし。だから起こしてくれる人などいない。
独り暮らしの家は寂しいものである。起こしてくれる人もいなければ朝食を作ってくれる人もいない。
俺は空腹に耐えながらも駅に自転車を走らせる。改札を抜けると電車の着く音が聞こえた。
これを逃せば遅刻は確定。
やばい……ゲームで遅刻したなど誰が言えるか!
俺はエスカレーターを二段飛ばしで駆け上がる。
隣でゆっくりと諦めた風に歩いているサラリーマンの姿があったが、俺は諦めない。
ホームに出る。電車は警報音を鳴らし、ドアは今まさに閉まろうとしていた。
「待ってくれぇぇ!」
俺は叫びながら、閉まりかかるドアに身体を滑り込ませた。混雑していなかったので、誰にもぶつからずに入ることができた。
本当にギリギリ。全くのギリギリ。コンマ一秒遅れていたら挟まれていたというくらいギリギリだった。
ふぅと俺は息をついて。
ついて気づく。
「んん?」
視線。獲物を見る鋭い視線。サキュバスやラミアやらハーピィなど、色々な魔物娘たちの妖しい光を宿した視線。
それが全て俺に突き刺さっていた。
気圧されて俺は後ずさろうとするけれども、後ろはドアである。下がれるはずがない。
俺はふとドアにあるステッカー見る。
《魔物娘専用車両》
「……嘘、だろ?」
『駆け込み乗車は危険ですのでご遠慮下さい』
俺の絶望を嘲笑うかのように車掌のアナウンスが流れる。
本当に、何故、昨日深夜までゲームしたんだろ。
昨日の俺を殴ってやりたい気分だった。
しかし、そんな後悔も先に立たず。今はこの現状をどうにかするべきだ。早くこの車両から脱出しないと。魔物娘専用車両がどんなところかは聞いている。
入れば必ず犯される。
単純だがそれが逆に恐ろしい。
単純であることはすなわち例外がないということ。
他に語るべきことがないということ。
あ……ってことはそれって――
「うっ、」
逃げようと動いたところで俺の脚に絡まる、なにか。
見ればそれは青い粘液状の姿をしたスライムだった。俺の脚を、形取った腕で絡めてこちらを見上げていたのである。
スライムは15、6歳であろう幼い顔つきに相応しくない、妖艶な笑みを浮かべて舌舐めずりした。
「逃げられると思いますかぁ?おにぃさん」
――そう、逃げ切れた話がないということ。
「や、やめ、だ、誰か助け」
「あー、今日はついに青子ちゃんかぁ」
「やっぱ入口待機は基本よね」
「朝イチで張らないとダメかなぁ」
誰も助ける気などなかった。
クスクスニヤニヤと熱っぽい視線で俺を見ている。
俺がもう絶望しか残ってないと立ち尽くしていると、
「ねぇ、おにぃさん……あたしとエッチなこと、しよ?」
ドロドロとスライムの少女が、俺の身体を這い上がってくる。心地いい冷たい水の感触が俺の抵抗力を奪っていくようだった。
「い、いやだ、来るな、俺は」
「クスクス、でもぉ、おにぃさんはぁ、この電車に乗っちゃったんだよ?だからぁ、あたしにぃヤられるしかないんだよぉ?」
「い、いやだ!」
精一杯身体を捩らせて、スライムから逃れようとする。しかし、無駄だった。
流動体のスライムを弾こうとしても彼女の身体は俺に接着したように絡み付き、離れてはくれない。いや、それどころかもがけばもがくほどスライムが俺の身体を包み込んでいき、服の中へと侵入していく。
「おにぃさんの服、脱がしちゃうね」
「やめろ!」
俺はスライムが絡み付くのも無視して隣の車両へ向けて歩こうとする。しかし、スライムのドロドロの身体を踏んでしまい、足をとられ滑ってしまう。
「うわっ」
「おっとっと……えへへ、つーかまーえた」
俺が転んだ先はスライムの青い粘液の中。ゼリーのような柔らかくも弾力性のあるスライムが俺を受け止め、幸いにしてか俺はどこも身体を打たなかった。
しかし、完全にスライムに捕まってしまったのである。
「もう逃げられないよ、おにぃさん」
俺の身体はスライムの上となり、地面と足が離れてしまっていた。そう、もう歩くことすらできない。ただもがくことしかできないのである。
「さあ、脱ぎ脱ぎしましょーね」
「うぅ……」
スライムの青い身体が俺の身体を這い回り、器用に服を脱がせていく。もしも、スライムが透明なら、服が独りでに脱げていくみたいだ。
なんて、悠長なことを考えている場合か!
このままじゃ、俺は真っ裸に!
しかも、こんな電車の中で。周りに人(魔物娘)がいるのに。
「っ!」
それを意識すると急激に羞恥心が高まってきた。
見られている。
俺は皆に見られている。
リクルートスーツを着たカラステング。
露出度の高い服を着たサキュバス。
白衣の裾が床についている幼い魔女。
朝帰りなのか眠たげなワーシープ。
などなど。色々な魔物娘が、しかし同じ熱っぽい妖艶な視線を俺に注いでいた。
「あはっ!おにぃさん、もうこんなですよ?」
「はっ?……っ!」
俺のスラックスはずり下ろされ、俺の逸物がピンっと恥ずかしげもなく、白昼堂々と晒される。逸物はスライムの身体を泳ぎ、冷たくも心地よい感覚に晒された。
「み、見ないでくれ……」
そう、俺は懇願するけれども。
「もうビンビンね、美味しそう」
「いいなぁ、私もレロレロしたいなぁ」
「オチンチンあんなにおっ勃てて、スライムの中気持ちいいのかしらね」
「もしかして見られておっきくしたんじゃない?」
「露出狂なんだ」
「見られて喜ぶ変態なんだ」
「オチンポ勃起させて感じちゃう変態なんだ」
「変態」
「へんたい」
「ヘンタイ」
そんな言葉が俺に投げ返される。
淫乱な、それでいて、お前も同じなのだと言いたげな笑みで。
違う。俺は変態なんかじゃ。
こんな状況になったのは脱がしたこのスライムの責任なんだ。
俺は変態なんかじゃない……。
見られて喜ぶなんて、嬉しいなんて、感じるなんて。俺は違う。これはなにかの間違いなんだ。逸物が大きくなったのもなにか別の原因があって、俺に非なんかなんて。そうだよ。俺は悪くない。俺は悪くなんか……。
「俺は……」
訳がわからない。思考がうまく働かない。俺は悪くない。悪くないはずだ。だけど、
「おにぃさんは、あたしで感じたんですよね?」
不意に、混乱する俺に問いかける声。
もはや俺の首から下をすっぽりと包み込んでしまったスライムが、俺の顔を覗き込んでいた。
「おにぃさんは、あたしの身体が気持ちよくてオチンチンおっきくしちゃったんですよね?」
……スライムの身体。
「ああ……」
心地いい。
裸になった俺の身体全身を包むトロトロプルプルのスライムの青い身体。肌に爽やかな冷たさが絡み付いて、俺に冷静さを取り戻させてくれる。そのお陰で、俺は心地よさを意識することができた。
スライムさんの身体はまるで冷えたローションの中を泳いでいるような、だけど、それでいてどこか温もりを感じられる心地よさ。脇の下から陰嚢の裏まで、俺の身体隅々にまで彼女の身体が行き渡っている。微かにスライムさんの身体は流動し、俺の肌を撫でてくる。慈しむかのような優しい肌触り。
包み、撫で、守る。
まるで母親の胎内にいるのかのようだ。
「………ぁ………」
なんだろう。なんで、だろう。逃げないとって思ってたのに。今は逃げる必要がないと思ってしまう。このままずっと、こうしてスライムさんに浸かっていたいと、包まれていたいと思ってしまう。なんで。
「ねぇ、おにぃさん」
「あ、」
「あたし、もう、我慢、できないなぁ。だから、ね?おにぃさんの逞しくてビンビンのオチンチン。あたしのドロドロの身体でシュッシュッってしちゃっていいかな?」
「お、れは……」
スライムさんに俺の逸物をシゴいてもらう?
この心地いい身体の中で?
ああ、してほしい。やってほしい。気持ちよくなりたい。精液を出したい。
でもダメだ。会社にも行かないといけないし、こんな公衆の面前で。色んな人に見られているのに、そんなこと。
「大丈夫だよ。すぐに、なにも考えられなくなるくらい気持ちよくしてあげるから」
「えっ……っ!?」
その瞬間、逸物に優しく触れていたスライムの身体の部分が、急激に俺の逸物を締めた。ゼリーからこんにゃくに変わったかのような固さだ。だけど、彼女の身体はニュルニュルのローションそのもののようなもので、気持ちよくはあれど痛みなどはない。
「ほーら、シコシコシコシコ」
「あああ、あああああ」
声に合わせて、俺の逸物が上下にシゴかれる。カリ首を引っかけていくようなシゴきと、亀頭をズリズリと擦られる刺激が俺の逸物を襲った。
それはもう手やオナホでやるオナニーとは比べ物にならない。いや、人間のセックスとも比べるべくもなかった。
「あああああああ、あああぁ」
目の前がが真っ白に染まっていく。
ダメだ、もう我慢ができない。
「タマタマ揉み揉みー」
「ぅああぁ……」
グチャグチャに陰嚢が揉みしだかれる。精液を出せ出せと命令してくる。
「キュッとしてシコシコシコシコシコシコシコシコ」
締め付けてシゴき、締め付けてシゴく。
上下左右に、斜め前後ろと縦横無尽に攻めあげた。
「あはは、イッちゃえー」
トドメと言わんばかりに、俺の逸物をキュッと締め付ける。
そして解放した。
「ぅああああああああああああ!」
脳みそを焦がす快楽が俺に襲いかかる。目の前が真っ白になり、そして、逸物から真っ白な欲望を吐き出した。
ドプドプドプドプドプドプドプドプドプ!!
鈴口からドロドロしたものが放出していく感覚。
それをさらに搾り取ろうと、逸物を揉みしだく感覚。
理性を削り取っていく魔性の快楽に、俺は溺れていくしかなかった。
俺の身体がスライムから解放され、その場に尻餅をつく。
「どうですか、おにぃさん。気持ちよかったですかぁ?気持ちよかったですよねぇ?」
俺は寝転ばないよう腕で身体を支えて、スライムさんを見上げる。
人の形を取ったスライムさんは胸を持ち上げるように腕組みしながら、僕を蕩ける目で見つめていた。
「あたしも。あたしも気持ちよかったですよ。ほら、おにぃさんの精液があたしの身体にいっぱい。精液があたしの身体の中を泳いでます。あたしの身体をおにぃさんの精液が犯してるんですよ」
ぷかぷか。ふよふよ。こぽこぽ。
そんな擬音語が似合いそうな感じで、俺の精液がスライムさんの身体を漂っていた。
いまなお、スライムさんを犯している。そう言われて興奮しないわけがなかった。欲望を吐き出して萎えかけた俺の逸物は、絶頂の瞬間のときのようにその怒張を晒した。
あはは、とスライムさんは心底嬉しそうに笑う。その笑みは扇情的で、俺を誘っているかのようで、俺の残り僅かな理性を蝕んでいく。
『夕凪駅ー。夕凪駅でーございます』
「あ……」
ここは、俺の降りなければいけない駅だ。
俺の表情で意味するところに気づいたのか、スライムさんはますます笑みを深めると、不意に踵を返した。
そして、隣の車両への扉に手をつき、尻をこちらに突き出したのだ。泡立ったドロドロの液体を垂らした卑猥なオマンコをこちらに向けて。
まるで獣のように犯してくれと言わんばかりに。
同時に俺の横で扉が開く。
「……………………」
逃げるなら今のうちだった。今はどこも拘束されていない。落ちている服を拾い上げて電車を出れば逃げ切れる。追われなどしないだろうし、もう無理矢理犯されることもない。だから、逃げよう。逃げるんだ。早く。会社に遅刻するぞ。今ならまだ間に合う。魔物娘に犯されていたと言えば、言い訳も立つだろう。ほら、逃げるんだ。
『扉が閉まります。ご注意ください』
よし、逃げ、
「……あたしを犯して」
「……………………」
俺は飛び出した。
横に?
違う。
どこに?
前に。
スライムさんの方に。
後ろで扉が重々しく閉まる音がする。しかし、もうどうでもよかった。
今は。ただ今はこのスライムさんと交わることしか考えられなかった。
「スライムさん!スライムさん!」
ジュブッ。ズンッ!
「あんっ!急にぃ!」
俺はスライムさんのプルプルな尻を掴むと、いきり立った俺の逸物を、スライムさんのオマンコへと突きいれた。
まるで吸い込まれるように逸物はすんなりとオマンコに収まる。しかし、膣内はギュウギュウと俺の逸物を締め付けていき、抜かせないように吸い続ける。その快楽に腰を抜かしそうになるも耐えきり、腰を動かし始めた。
「ああんっ、激しぃぃ!おにぃさん、激しいっ!」
「スライムさんのオマンコ最高だ!ゼリーみたいなのに、オマンコのヒダヒダみたいなのが絡み付いてきて、ジュルッジュルッて俺のチンポシゴいてっ」
獣のごとく。獣のごとく。ただ乱暴に振り、スライムさんを犯す。パンパンと腰を打ち付ける度にスライムさんの身体が飛沫となって辺りに飛んでいく。
「ああああああ!気持ちいい!人間なんか比べ物にならないっ」
「あっは!おにぃさんケダモノみたい!ケダモノおにぃさんだぁ!」
ニヤニヤとそれはもう嬉しそうにスライムさんは笑う。そうだ、俺はケダモノだ。もうスライムさんを犯すことしか、スライムさんとセックスすることしか考えられない。
「いいん、あんっ、ですか?仕事行か、なくて、ああんっ!」
「仕事なんかっ!どうでも!いい!スライムさんとセックスしたい!ずっとしたい!ずっとしてたいんだ!」
「あん!さらに大きく……あはは、嬉しい。もっと。もっともっともっともっと、あたしを犯して!ケダモノみたいになって犯して!奴隷みたいに犯して!朝も昼も晩も寝ても覚めても犯しまくってえぇぇぇ!」
「くぁ、締まりがきつく……」
「ふふ、キスしよっ?」
不意に腰を反らしてこちらを向き、唇を突き出してくる。俺は間髪いれずその唇を奪った。
「んちゅ、ぐちゅるぐちゅうぅぅぅ、ちるるるるる!」
「はぁ、ぶちゅ!ちゅ、れろれろれろれろ、ちゅるる、ぐちゅぐちゅにゅちゅ」
貪る。まるで喰い合うかのように俺たちは唇を貪りあった。唾液を奪い合い、舌を吸い合い、互いを飲み込み合う。甘く蕩けてしまいそうな快楽。下はうるさく激しく動き合い、上に静かに激しく動いていた。
スライムさんの甘い身体の味は俺の逸物をさらに剛直させていく。同時に比例するかのように快楽が増していった。
キスをしながら俺は逸物を突きいれる。ただ入れるだけじゃない。ゴリゴリとスライムマンコを抉っていくような挿入だ。
「プハッ!おにぃさんのオチンチンあたしの奥に来てるっ!ああんっ!あんあんあんっ!いっぱ、おにぃさんであたし、いっぱいぃぃぃぃぃ!」
パンパンパンパンパンパンパンパンッ!
「ぅあああ、まるで、スクリューみたいに膣内が渦巻いて、やばい、ダメだ、もうイク……」
「あはっ!来て!あたしの、あんっ、膣内にいっぱいおにぃさんのぉ、精液出しまくってえぇぇぇぇ!」
「うぁああああああああああああああ!」
ドプドプドプドプドプドプドプドプドプ!
ゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴクゴク!
「あー、あー、出て、るぅ、おにぃさんの精液ぃ、いっぱい、出てるぅぅ」
だらしなく舌を突きだし、白目を向けて、スライムさんは放心する。あまりの快楽に身体が追い付いていないらしい。俺も腰が抜けて倒れてしまいそうなくらい強烈な快楽に襲われていた。今にも意識が飛びそうなくらいだ。
でも。
「っ!?おにぃしゃん、あんっ、らめぇ、今敏感にゃのぉ!」
「もっともっともッともっともっとも。スライムさんがほしい。じゅるるるるる」
「あひゃぁあ、あらひの身体吸っちゃらめぇ!食べちゃらめぇ!気持ちいーかりゃあ!頭おかしくなっひゃうかりゃあ!」
「ゴクゴク、ぷはぁ、あああ、おいしい、甘い、スライムさんスライムさんスライムさん。スライムさんの膣内熱くてドロドロで溶けちゃいそうなくらい気持ちいいよ。もっともっと」
パンパンパンパンパンパンパンパンパン!
「あひぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!オチンチン気持ちいいにょおぉぉぉぉぉ!」
「またイク!イクから!スライムさんの中にぶちまけるから!う、ああああああ!」
ドピュドピュドピュドピュドピュドピュドピュ!
「あっひゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!ザーメン!ザーメンザーメンザーメンんんんん!キタァァァァァ!」
スライムさんは絶頂とともに腰を思いきり反らせたかと思うと、今度は床に倒れて完全に力尽きてしまった。
「あひゃぁあ、おにぃさんの、ザーメン……あらひの身体ぁ、白く、染められてりゅよおお」
俺はそんなスライムさんに覆い被さると、また腰を振り始める。俺はもう自分で自分を止めることができなかった。
端から見たら、俺がスライムさんを犯しているように見えたかもしれない。
でもそれは違う。
犯されているのは俺だ。
スライムさんの快楽の身体に俺は完全に犯されきっているのだ。
スライムさんの身体に溺れきってしまっているのだ。
俺にはもう逃げ場はない。
まるで底無し沼のごとく、スライムさんの快楽に溺れ沈んでいくだけだ。
「あひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!もっろぉ、もっろぉ、ザーメンちょうらいぃぃぃぃぃぃ!あらひの膣内にぶちまけてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
[完]
13/03/25 20:39更新 / ヤンデレラ
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