そのにじゅうに
これまでのあらすじ
〜〜血は繋がってなくとも実の姉のように慕っていたサーシャ姉と
人前で繋がってたら血なまぐさい戦の気配が漂ってきた〜〜
――現状のおさらいをしよう。
我々が用意できた頭数は、自警団が少し、治安維持のために常駐している
兵士も少し、近隣から召集した魔物の群れがそこそこ。
青天の霹靂のため唐突にかき集めたにしては上々だ。
そして敵の有する兵数だが、大雑把に比較すると、こっちが1ならあっちは8くらい。
話にならない。焼け石どころか溶岩に水だ。
以前にミミルから聞いたのだが、戦術というのは彼我の戦力差が
数倍までなら有効だが、十倍以上になると、奇策を用いてなおかつ
運が味方しないと効き目がないらしい。
逆に言うなら、それだけの兵数があれば戦術など必要ないということだ。
これがゲームなら有無を言わず遊戯盤をひっくり返したくなる。
だが、しかし。
数の上では圧倒的に不利だが、魔物は個体の能力が人間とは
べらぼうに違うので戦力差はそれほどつかないとは思う。死者はバンバン出るだろうが。
つまり、俺が奮闘しないと敵味方問わず墓標が増えまくるというわけなのだが、
だからといって『勇者喰いが一晩でやってくれました』では
教団や反魔物系国家からこの街がレスカティエのアキレス腱だと勘違いされかねない。
そこまでして守る必要があるのか、あるいは、そこまでしないと
守れないくらい脆いのか。どっちに解釈されようが先行きはまずいの一言だ。
重要拠点にせよ手薄な場所にせよ、まずはここを落として
弱体化させるか橋頭堡にするかといったプランが立案されるのは自明であり、ひいては
絶えずこの街が戦火に晒されることとなる。それは後味が悪い。
なので、俺がサポートに回り、地元の連中に華を持たせるのがベストなのだが
そんなにうまくいけば誰も苦労はしない。でもやらないと非常にまずい。
手元の羊皮紙に書かれている内容もそれを如実に現している。
〜〜主なる神とその信徒たちに牙を剥く強大な魔物ランキング
一位『世界の大敵』魔王(サキュバス)
二位『ブラックシープ・ロード』ワルプルギス(バフォメット)
三位『忌まわしき貪欲』勇者喰い(インキュバス)
四位『黒の宝珠』マルネ・マリエスティア(ダークマター)
五位『魔界第四皇女』デルエラ(リリム)
六位『不死姫』ローデリア・コキュートス(ヴァンパイア)
七位『眠れる金色』狂凛(妖狐)
八位『真紅の破滅』クロスフィン(ドラゴン)
九位『ハイエロファント』トリアルム・フォッグ(ダークプリースト)
十位『神出鬼没の呪歌』ピュミリエ(セイレーン)〜〜
恐れていた事態がとうとう現実のものとなった。
吐き気や目まいがしてくる。
この胃が痛くなる内容を見たとき思わず二度見どころか三度見してしまった。
浮き沈みがきわめて激しいランキングとはいえインキュバスが
三位にまで食い込むなど異例中の異例だ。理由は……言うまでもない。
デルエラと共にレスカティエを落としたということになっているのが最大の原因である。
(だから、そういった前科のないデルエラ父もとい最強勇者の名前は
このトップテンにはあがらない。魔王城の奥でデルエラ母とよろしくヤってるだけだからな)
むろん、俺がその後に色々やらかしたのも含まれているが、そんなものは些細なことだ。
かつてのレスカティエの上層部がじっくりコトコト時間をかけて
神の威を借る抑圧というお膳立てをしていたのをデルエラが景気よく弾けさせたのが全て悪い。
「助けて先生、俺が息をしてないの!」とか言いたくなる。
成り行き上、マリナ達やデルエラの特性を吸収していなければ
とっくに絶息していただろう修羅場も何度かくぐったがそれも本を正せばあいつらが悪い。
『勇者喰いなんて魔物は存在してなくて、ちんぽ大好きな魔物に変貌した
教国の勇者たちの意中の男性がたまたまかぶっただけ』だといい加減に認めろ教団。
こんなセックスアンドバイオレンスすぎる生活もう嫌なんだよ俺は。
前者はまあいいとしても後者を頼むから削除してくれ。
「……ちゃ」
「おにー………きて…」
「おにーちゃんこっちに戻ってきてー」「リターンしてー」
はっ。
いかんいかん、また自分の内部に潜り込んで
現実をシャットアウトしていた。今はそんな悠長な場合じゃないぞ。
俺は悪夢の記された羊皮紙を上着の内ポケットにしまうと
かぶりを振ってから酒ビンの中身をぐいっとラッパ飲みして気分を切り替えた。
そう、しっかりと目の前の焼け野原を見据えて戦後処理しなくてはならぬ。
ランキング八位が偶然にも旦那とこの街に来ていて、そいつが
前魔王時代の巨大な形態になって炎を吐きまくったという
誰も予想してなかった事態から目をそらしてはならぬ。
魔力が込められていた炎のため死ぬことはないが
バーベキュー状態で苦痛にのた打ち回る哀れな教団兵は面白いので見なくてはならぬ。
「あうう…」「うぐぐっ、ううっ……」「………………」
地面に転がる生焼けお肉の群れから悲痛な呻きがひっきりなしに聞こえてくる。
「死ななきゃよし」
人型に戻った真っ赤な鱗のドラゴンが自分の意見に頷いた。
死んだほうがましの間違いじゃないのか。この性格なら八位も納得だと俺も頷いた。
「これはちょっと、か、かわいそうじゃないかな…」
赤ドラの伴侶らしき気の弱そうな青年がおどおどしながらそう言うが、
「我らに刃を向けたのが悪い。なので同情の余地は鼠の子の毛先ほどもない。以上」
反論は受け付けないといった口調で即座に封殺された。
完全に尻にしかれている。
「まるで蛇に睨まれた蛙みたいだね、あの二人」
「忠犬の言うとおりだな」
「また余計なことを言いましたね?」
サーシャ姉は、俺と俺の腕にかじりついたプリメーラを見ると
すべてを把握してため息をついた。
「間に合わなかったとはいえ、足が速い戦闘向きの魔物たちを率いて
必死に駆けつけてくれたんですから、感謝の言葉くらいかけてあげたらどうです?」
「それもそうか」
まだ噛みつきを離さない凶悪な狼と共に
俺はそこらの茂みをかきわけ消えていった。
〜〜〜〜〜〜
「ただいま」
「ら、ららいまぁ」
サーシャ姉は、衣服の胸元部分をはだけさせた俺と俺にしがみつく上の空のプリメーラを見ると
すべてを把握して熱っぽくため息をついた。
「か、感謝のセーエキ、たっぷり子宮にかけられちゃったぁ…あはぁ……」
「そうそう、それでいいんですよ。
彼の愛と感謝を注いでもらって、よかったですね」
「いいの?」
「当たり前でしょう。何が問題だと言うのです?」
セックスが関わると途端に寛容になるサーシャ姉であった。
「…ところで、かつての姿に戻ってひと暴れした我を、汝は
ねぎらったり感謝したりはせんのか?ん?そこのところはどうなのだ?」
横目でこちらを眺めていた赤ドラが困惑する伴侶を茂みにひきずっていく。
「そ、そんな、外でなんてちょっと」
「我は一向にかまわぬ」
「君はかまわなくても僕はかまうんだけど……」
その言葉には諦めが大盛りで含まれていた。まあ野外プレイもそう悪くないし頑張れ。
その後、王都のほうで活躍しすぎて疲れたマリナが
飛行中にミミル特製の栄養剤をがぶ飲みしながらこの街へ夕方ころに着陸した。
魔術に長けた種族ならば長距離の転移魔法も使えるのだが
初見の場所にはさすがに行けないらしく、今宵とミミルはフランツィスカ様と共にお留守番。
教官はというと残り半分の残党を追撃に向かっているらしい。
今宵はともかくとして、あの二人は多分この混乱に乗じてミリュスやウィットと連携しつつ
あちこちに諜報の種を蒔いているはずだ。
特にミミルは抜け目ないからな。この機を逃すはずがない。
芽が出るには時間がかかるだろうが、焦らず慌てず気長に待つとしよう。
今はやらねばならないことがある。
「ねえ、はやくぅ……。
あなたの出す栄養剤、白くでどろどろのえっちなお薬を、ここにちょうだぁい……」
この街の中心にある、酔っ払いが配色したような教会の裏手で
俺はマリナの生尻を目にしていた。
これからすることに期待しているのか、尻のすぐ上に生えている尻尾が
くねくねと蠢いている。なんだか犬のそれみたいだ。
「お前まで野外でやらなくてもよかろうに…」
「だぁめ、私もするの。プリメーラだけ感謝されるのずるいもん」
ぬちぃ…
「あぁ………」
ぬぶりゅぅっ!
「んっあぁああああぁーーーーー!
あっああっ、これこれがいいっホントにいいもごおおぉ!?」
裏手に回って人目を遠ざけた意味がなくなりかねないほどの
叫びをあげるマリナの口内に触手を突っ込んで声を封じ、俺は、
生き物のように吸いついて離れない魔性の膣の感触に没頭することにしたのだった――
〜〜血は繋がってなくとも実の姉のように慕っていたサーシャ姉と
人前で繋がってたら血なまぐさい戦の気配が漂ってきた〜〜
――現状のおさらいをしよう。
我々が用意できた頭数は、自警団が少し、治安維持のために常駐している
兵士も少し、近隣から召集した魔物の群れがそこそこ。
青天の霹靂のため唐突にかき集めたにしては上々だ。
そして敵の有する兵数だが、大雑把に比較すると、こっちが1ならあっちは8くらい。
話にならない。焼け石どころか溶岩に水だ。
以前にミミルから聞いたのだが、戦術というのは彼我の戦力差が
数倍までなら有効だが、十倍以上になると、奇策を用いてなおかつ
運が味方しないと効き目がないらしい。
逆に言うなら、それだけの兵数があれば戦術など必要ないということだ。
これがゲームなら有無を言わず遊戯盤をひっくり返したくなる。
だが、しかし。
数の上では圧倒的に不利だが、魔物は個体の能力が人間とは
べらぼうに違うので戦力差はそれほどつかないとは思う。死者はバンバン出るだろうが。
つまり、俺が奮闘しないと敵味方問わず墓標が増えまくるというわけなのだが、
だからといって『勇者喰いが一晩でやってくれました』では
教団や反魔物系国家からこの街がレスカティエのアキレス腱だと勘違いされかねない。
そこまでして守る必要があるのか、あるいは、そこまでしないと
守れないくらい脆いのか。どっちに解釈されようが先行きはまずいの一言だ。
重要拠点にせよ手薄な場所にせよ、まずはここを落として
弱体化させるか橋頭堡にするかといったプランが立案されるのは自明であり、ひいては
絶えずこの街が戦火に晒されることとなる。それは後味が悪い。
なので、俺がサポートに回り、地元の連中に華を持たせるのがベストなのだが
そんなにうまくいけば誰も苦労はしない。でもやらないと非常にまずい。
手元の羊皮紙に書かれている内容もそれを如実に現している。
〜〜主なる神とその信徒たちに牙を剥く強大な魔物ランキング
一位『世界の大敵』魔王(サキュバス)
二位『ブラックシープ・ロード』ワルプルギス(バフォメット)
三位『忌まわしき貪欲』勇者喰い(インキュバス)
四位『黒の宝珠』マルネ・マリエスティア(ダークマター)
五位『魔界第四皇女』デルエラ(リリム)
六位『不死姫』ローデリア・コキュートス(ヴァンパイア)
七位『眠れる金色』狂凛(妖狐)
八位『真紅の破滅』クロスフィン(ドラゴン)
九位『ハイエロファント』トリアルム・フォッグ(ダークプリースト)
十位『神出鬼没の呪歌』ピュミリエ(セイレーン)〜〜
恐れていた事態がとうとう現実のものとなった。
吐き気や目まいがしてくる。
この胃が痛くなる内容を見たとき思わず二度見どころか三度見してしまった。
浮き沈みがきわめて激しいランキングとはいえインキュバスが
三位にまで食い込むなど異例中の異例だ。理由は……言うまでもない。
デルエラと共にレスカティエを落としたということになっているのが最大の原因である。
(だから、そういった前科のないデルエラ父もとい最強勇者の名前は
このトップテンにはあがらない。魔王城の奥でデルエラ母とよろしくヤってるだけだからな)
むろん、俺がその後に色々やらかしたのも含まれているが、そんなものは些細なことだ。
かつてのレスカティエの上層部がじっくりコトコト時間をかけて
神の威を借る抑圧というお膳立てをしていたのをデルエラが景気よく弾けさせたのが全て悪い。
「助けて先生、俺が息をしてないの!」とか言いたくなる。
成り行き上、マリナ達やデルエラの特性を吸収していなければ
とっくに絶息していただろう修羅場も何度かくぐったがそれも本を正せばあいつらが悪い。
『勇者喰いなんて魔物は存在してなくて、ちんぽ大好きな魔物に変貌した
教国の勇者たちの意中の男性がたまたまかぶっただけ』だといい加減に認めろ教団。
こんなセックスアンドバイオレンスすぎる生活もう嫌なんだよ俺は。
前者はまあいいとしても後者を頼むから削除してくれ。
「……ちゃ」
「おにー………きて…」
「おにーちゃんこっちに戻ってきてー」「リターンしてー」
はっ。
いかんいかん、また自分の内部に潜り込んで
現実をシャットアウトしていた。今はそんな悠長な場合じゃないぞ。
俺は悪夢の記された羊皮紙を上着の内ポケットにしまうと
かぶりを振ってから酒ビンの中身をぐいっとラッパ飲みして気分を切り替えた。
そう、しっかりと目の前の焼け野原を見据えて戦後処理しなくてはならぬ。
ランキング八位が偶然にも旦那とこの街に来ていて、そいつが
前魔王時代の巨大な形態になって炎を吐きまくったという
誰も予想してなかった事態から目をそらしてはならぬ。
魔力が込められていた炎のため死ぬことはないが
バーベキュー状態で苦痛にのた打ち回る哀れな教団兵は面白いので見なくてはならぬ。
「あうう…」「うぐぐっ、ううっ……」「………………」
地面に転がる生焼けお肉の群れから悲痛な呻きがひっきりなしに聞こえてくる。
「死ななきゃよし」
人型に戻った真っ赤な鱗のドラゴンが自分の意見に頷いた。
死んだほうがましの間違いじゃないのか。この性格なら八位も納得だと俺も頷いた。
「これはちょっと、か、かわいそうじゃないかな…」
赤ドラの伴侶らしき気の弱そうな青年がおどおどしながらそう言うが、
「我らに刃を向けたのが悪い。なので同情の余地は鼠の子の毛先ほどもない。以上」
反論は受け付けないといった口調で即座に封殺された。
完全に尻にしかれている。
「まるで蛇に睨まれた蛙みたいだね、あの二人」
「忠犬の言うとおりだな」
「また余計なことを言いましたね?」
サーシャ姉は、俺と俺の腕にかじりついたプリメーラを見ると
すべてを把握してため息をついた。
「間に合わなかったとはいえ、足が速い戦闘向きの魔物たちを率いて
必死に駆けつけてくれたんですから、感謝の言葉くらいかけてあげたらどうです?」
「それもそうか」
まだ噛みつきを離さない凶悪な狼と共に
俺はそこらの茂みをかきわけ消えていった。
〜〜〜〜〜〜
「ただいま」
「ら、ららいまぁ」
サーシャ姉は、衣服の胸元部分をはだけさせた俺と俺にしがみつく上の空のプリメーラを見ると
すべてを把握して熱っぽくため息をついた。
「か、感謝のセーエキ、たっぷり子宮にかけられちゃったぁ…あはぁ……」
「そうそう、それでいいんですよ。
彼の愛と感謝を注いでもらって、よかったですね」
「いいの?」
「当たり前でしょう。何が問題だと言うのです?」
セックスが関わると途端に寛容になるサーシャ姉であった。
「…ところで、かつての姿に戻ってひと暴れした我を、汝は
ねぎらったり感謝したりはせんのか?ん?そこのところはどうなのだ?」
横目でこちらを眺めていた赤ドラが困惑する伴侶を茂みにひきずっていく。
「そ、そんな、外でなんてちょっと」
「我は一向にかまわぬ」
「君はかまわなくても僕はかまうんだけど……」
その言葉には諦めが大盛りで含まれていた。まあ野外プレイもそう悪くないし頑張れ。
その後、王都のほうで活躍しすぎて疲れたマリナが
飛行中にミミル特製の栄養剤をがぶ飲みしながらこの街へ夕方ころに着陸した。
魔術に長けた種族ならば長距離の転移魔法も使えるのだが
初見の場所にはさすがに行けないらしく、今宵とミミルはフランツィスカ様と共にお留守番。
教官はというと残り半分の残党を追撃に向かっているらしい。
今宵はともかくとして、あの二人は多分この混乱に乗じてミリュスやウィットと連携しつつ
あちこちに諜報の種を蒔いているはずだ。
特にミミルは抜け目ないからな。この機を逃すはずがない。
芽が出るには時間がかかるだろうが、焦らず慌てず気長に待つとしよう。
今はやらねばならないことがある。
「ねえ、はやくぅ……。
あなたの出す栄養剤、白くでどろどろのえっちなお薬を、ここにちょうだぁい……」
この街の中心にある、酔っ払いが配色したような教会の裏手で
俺はマリナの生尻を目にしていた。
これからすることに期待しているのか、尻のすぐ上に生えている尻尾が
くねくねと蠢いている。なんだか犬のそれみたいだ。
「お前まで野外でやらなくてもよかろうに…」
「だぁめ、私もするの。プリメーラだけ感謝されるのずるいもん」
ぬちぃ…
「あぁ………」
ぬぶりゅぅっ!
「んっあぁああああぁーーーーー!
あっああっ、これこれがいいっホントにいいもごおおぉ!?」
裏手に回って人目を遠ざけた意味がなくなりかねないほどの
叫びをあげるマリナの口内に触手を突っ込んで声を封じ、俺は、
生き物のように吸いついて離れない魔性の膣の感触に没頭することにしたのだった――
12/12/16 22:00更新 / だれか
戻る
次へ