そのじゅうなな
〜〜〜あいまい人物紹介〜〜〜
堕落の乙女達=おお、おもいおもい。
デルエラ=休火山。
あなた=ロリもペドもショタもいけるという恐るべき主人公。
あらゆる魔物の特性を有する。必殺技は盛りだくさん。
ミリュス=ショタ。性転換した兄貴と結婚するというタブー山盛りな人生を歩む。
特に語られてはいないが、一応この子も『喰らい犯す』ことができる。
氷の魔力を自在に使いこなす。必殺技はエターナルフォースブリザード。
ミリュス姉=弟のちんこなしでは生きていけないアルプ。サオありタマなし。
元勇者だけあって並のアルプより遥かに強い。
ウィット=主人公をかくまったらお礼にプライスレスな贈り物をもらった。
そしたら雇い主がぐちゃぐちゃにデレた。
トラップ系の魔力を用いるのを得意とする受け身タイプ。必殺技はダイヤの9。
ウィットの雇い主=ヴァンパイア。大好物は従者のこってりザーメンがけホットケーキ。
デレがあるのにツンはどうしたんだって?そんなもの、ウチにはないよ……
ウィットの雇い主の家の居候=ダンピール。
ツンを取りにいったら逆に自分がツンを根こそぎ取られたカマセ。
〜〜〜〜〜〜
暇さえあれば嫁達とセックスセックスな爛れた人生を歩んでいる俺。
普通のインキュバスなら、とっくの昔に
坂道を転がり落ちるように堕落して快楽の沼にドボン、そのまま沈んで
抜け出せなくなっているのだが、厳しい世間の荒波に揉まれて培われた強靭な精神と
なんか凄いことになってる肉体のおかげで、どうにかセーフライン内にいる。
そのせいかデルエラに『世界の歪みが生んだ異端児』とまで
言われてしまっている有様だが、あながち間違いでもないと思う今日この頃。
(元をただせばその歪みを作り出したのはあいつの親なんだが)
なので『親の因果が子に報い』というコンセプトの元、デルエラに
今回のいたずらを仕掛けようと思う。
用意するものはデルエラの偽者。
当然ながら売ってるわけもないし自然に見つかるものでもない。
つまり自作することになる。以前にデルエラと一悶着あったときに
あいつの魔力特性などは吸収ずみなので、その点は問題ない。
となると後はデルエラ(偽)の材料なのだが、実は既に入手している。
〜〜〜〜〜〜
デルエラ「…魔力塊をくれないか、ですって?なんで?」
あなた「実は嫁達が、あのガーデニングの住人たちが
玉座の間まで来たりしないよう、バリケードを作ってくれというんでな」
デルエラ「木や鉄で作ればいいでしょ」
あなた「それだとどうにもいまいち不安らしい」
デルエラ「別に私のじゃなくて、あなたの魔力塊じゃ駄目なの?」
あなた「俺の魔力の影響を受けてああなった可能性があるからなぁ。
その俺の魔力塊で作ってもたいして効果はないんじゃないかと」
デルエラ「……まあ、いいわ。悪用しないでよ」
あなた「どうやってだ」
デルエラ「貴方は予想だにしないことをやらかすから不安なのよ」
あなた「へいへい」
〜〜〜〜〜〜
その通りだったな。俺は嫌がらせに命を賭ける男だ。
デルエラに一泡どころか百泡くらい吹かせたいという熱意と執念。
それが無事に実り、今ここにデルエラ(偽)が誕生した。
頭のてっぺんからつま先にいたるまで、ほぼ全てを俺の魔力塊で作成。
そして、心臓にあたる核パーツをデルエラの魔力塊で作り、偽者の全身に
本物の魔力を循環させることで擬似的な生命力オーラの気配まで再現した芸術品だ。
念のため、密かに手に入れておいた本物の髪の毛を
核パーツに溶かし込んである。どれだけ優れた魔術師や
魔術に長けた魔物でも、ここまでやればおいそれと見抜けまい。
この短期間でここまで高い完成度で仕上げることができたのも、ひとえに
過去の経験があったからだろう。
……あれは結局、俺の大ポカでしくじってしまったが……まあいい。
で、これをどう使うと面白いかだが。
『つまらないことに私を使うのは勘弁してほしいわね』
「!??」
喋る、こいつ喋るぞ!
『うふふ、しゃべるから驚いた?言っておくけど、しゃぶったりもできるわよ。
私を高性能に創りすぎたわね、貴方』
「笑ったり、ジョークを理解し使用することまでできるのか……」
『そうよ。私はただの偽者ではなく、いわば、新たなデルエラなの』
いやどっちにしてもただの魔力塊だろ。
『本物をからかうために私に何かさせる気らしいけど、それをするかどうかは
私の胸先三寸なのであしからず』
「ふむ、創造主である俺のプランを値踏みするか。よかろう」
「――という感じで」
『面白いわね。彼女が地団駄を踏む姿が見えるようだわ』
「では作戦開始といこうか」
『ラジャー!』
デルエラ(偽)がビシッと敬礼した。本物よりノリがいいなこいつ。
………………
『あら、い、いいところに来たわね、ウィルマリナ』
「デルエラ様、どうかなさったんですか?
お尻の辺りを抑えて…………まさか、ギックリ腰……とか?」
『認めたくないけど、そのまさかよ』
「む、無理して動かないでください。私がおぶりますから」
『すまないわねぇ』
「いいんですよ、これくらい。デルエラ様は私の大恩人ですから」
『ちょっと甘すぎかしら』
「そうですか?これでいい塩梅の甘さだと思ったんですけど」
『若い子たちにはこれくらい甘いほうが問題ないわよ。
ただ、私みたいな古株には少し手加減してくれた甘さのほうがありがたいわ』
「なに言ってるんですか、まだまだ若いじゃないですか」
『褒め言葉でも嬉しいわね』
「あはは、デルエラ様ったらもぉ〜〜」
『うふふふ』
「……珍しいですね。デルエラ様がこんな場所にいるなんて」
『こういう屋根の上が日なたぼっこするにはうってつけでしょ?』
「その発言、年寄り臭くないですか?」
『年寄りだもの』
「その容姿で?」
『外見は変わらなくとも、中身はそれなりに年輪を刻んでいくものよ』
「そういうものですかね……」
『ところで、もしかして貴女も暇なの?
だったら、悪いけど、肩でもひとつ揉んでほしいのだけど…』
「あちゃー、ヤブヘビだったー」
………………
『作戦は順調に進んでいるわよ。この調子なら
一ヶ月とたたずにレスカティエの住民は本物をご老体扱いするわね』
「実に手際がいいな」
『うふふ、私を誰だと思っているのかしら?』
本物とそれほど違わぬ態度をとるようになってきたな。
「くっくっく、この『ババア無理すんな作戦』もいよいよ大詰めか。
最後の一撃への下ごしらえも完了しつつあるぞ」
五日後に、近隣のとある親魔物国家からの文書を携えた使者が
この国にやってくるのだが、本物にバレないようにこっそりその使者と
杖をもった偽者が会談することで作戦はフィナーレを迎えるのだ。
デルエラの呼び名が『レスカティエの暴走馬車』から
『レスカティエのご老体』に変わる日もそう遠くはないだろう。
実に楽しみだ。
「ところで、補給はあまりハデにやらないでくれよ」
『言われるまでも無いわね』
このフェイクリリムだが、出来がよすぎるため、親魔物系の店で売っているような、
ゴーレムなどが集めてきた精から作られる栄養剤ではなく、人間から
直に搾り取った精を摂取しないと活動に支障をきたすのである。
つまり定期的にちんこ咥えこまないと停止するわけだ。
『ここからかなり離れたところにある反魔物よりの街で
適当に漁ってるわ。とっかえひっかえしないで、口の堅い者達を厳選して
吸ってるからバレることもないと思う』
「ならいいが」
よくなかった。
『あのイタズラ小僧はどこに行ったの!!!!!』
ぐったりしている偽者の首根っこを掴みながら
大股でノシノシと玉座の間にやってきた、全身鎧型魔力塊で武装した
デルエラが放った最初の一言、それが王城を丸ごと震わせたこの怒声だったらしい。
らしい、というのはその時もう俺は高飛びしていて
後から嫁達に聞いたからである。
デルエラ(偽)が選んだ連中は確かに口が堅く、魔物に理解を示していた。
快楽に溺れたともいえるがそれはどっちでもいい話だ。
だが、理解がいきすぎて、デルエラ(偽)にはまり込んでしまい
まさか故郷を捨ててレスカティエにまでやってくるとは思わなかった。
本物はこの国を落とした一件で素性も容姿も
一般にまで知れ渡ってるために、ここに行き着くのも容易だったというわけだ。
そして彼らの来訪はすなわち、好色だが一途という魔物娘でありながら
デルエラが何人もの男性と関係を持っていたという結論に繋がる。
実の両親である魔王夫妻の信念と愛欲を盲目的に信仰している彼女が
そんな逆ハーレムを形成してるとなれば大スキャンダルだ。
たわいもない悪戯のつもりが大惨事になった。
だが、デルエラにとって幸いなことに偽者にたぶらかされた連中は
揃いも揃って頑丈に口が堅かったため、一部の者をのぞいて
このことが漏れることはなかった。
たまたまデルエラに一目惚れした連中がやって来て
彼女に「ごめんなさい」された後、他の魔物たちが傷心を癒してあげて
そのままゴールインした。
という形でうまく落としたのである。亀の甲より年の功か。
しかし俺はそれどころではない。
怒髪天モードのデルエラの怒りが冷めるまで雲隠れしなくてはならぬ。
「――ってことになったんだよ。いやぁ困った困った」
「今すぐここから立ち去ってくれません?巻き添えくうの嫌ですし」
俺からおおまかな経緯を聞いたウィットが必死に懇願し、彼の左右に座っていた
二人の魔物娘が目を見開き大口を開けて絶句していた。
「ここに立てこもろうかと思ったが駄目か」
「思案するまでもなくノーですよ」
「以前は匿ってくれたのに」
「あの時と今回では危険度が段違いじゃないですか。
餞別にお酒いっぱい用意しましたから、これ持ってどっか行って下さいよ」
「すまんな」
「幸運を祈っておきます。気休めにしかならないでしょうが」
…………しかし、事態はさらに悪化していた。
俺がウィットの主人の屋敷にいた頃、レスカティエで当初の悪戯が判明し、
さらに火に油が注がれていたのである。
堕落の乙女達=おお、おもいおもい。
デルエラ=休火山。
あなた=ロリもペドもショタもいけるという恐るべき主人公。
あらゆる魔物の特性を有する。必殺技は盛りだくさん。
ミリュス=ショタ。性転換した兄貴と結婚するというタブー山盛りな人生を歩む。
特に語られてはいないが、一応この子も『喰らい犯す』ことができる。
氷の魔力を自在に使いこなす。必殺技はエターナルフォースブリザード。
ミリュス姉=弟のちんこなしでは生きていけないアルプ。サオありタマなし。
元勇者だけあって並のアルプより遥かに強い。
ウィット=主人公をかくまったらお礼にプライスレスな贈り物をもらった。
そしたら雇い主がぐちゃぐちゃにデレた。
トラップ系の魔力を用いるのを得意とする受け身タイプ。必殺技はダイヤの9。
ウィットの雇い主=ヴァンパイア。大好物は従者のこってりザーメンがけホットケーキ。
デレがあるのにツンはどうしたんだって?そんなもの、ウチにはないよ……
ウィットの雇い主の家の居候=ダンピール。
ツンを取りにいったら逆に自分がツンを根こそぎ取られたカマセ。
〜〜〜〜〜〜
暇さえあれば嫁達とセックスセックスな爛れた人生を歩んでいる俺。
普通のインキュバスなら、とっくの昔に
坂道を転がり落ちるように堕落して快楽の沼にドボン、そのまま沈んで
抜け出せなくなっているのだが、厳しい世間の荒波に揉まれて培われた強靭な精神と
なんか凄いことになってる肉体のおかげで、どうにかセーフライン内にいる。
そのせいかデルエラに『世界の歪みが生んだ異端児』とまで
言われてしまっている有様だが、あながち間違いでもないと思う今日この頃。
(元をただせばその歪みを作り出したのはあいつの親なんだが)
なので『親の因果が子に報い』というコンセプトの元、デルエラに
今回のいたずらを仕掛けようと思う。
用意するものはデルエラの偽者。
当然ながら売ってるわけもないし自然に見つかるものでもない。
つまり自作することになる。以前にデルエラと一悶着あったときに
あいつの魔力特性などは吸収ずみなので、その点は問題ない。
となると後はデルエラ(偽)の材料なのだが、実は既に入手している。
〜〜〜〜〜〜
デルエラ「…魔力塊をくれないか、ですって?なんで?」
あなた「実は嫁達が、あのガーデニングの住人たちが
玉座の間まで来たりしないよう、バリケードを作ってくれというんでな」
デルエラ「木や鉄で作ればいいでしょ」
あなた「それだとどうにもいまいち不安らしい」
デルエラ「別に私のじゃなくて、あなたの魔力塊じゃ駄目なの?」
あなた「俺の魔力の影響を受けてああなった可能性があるからなぁ。
その俺の魔力塊で作ってもたいして効果はないんじゃないかと」
デルエラ「……まあ、いいわ。悪用しないでよ」
あなた「どうやってだ」
デルエラ「貴方は予想だにしないことをやらかすから不安なのよ」
あなた「へいへい」
〜〜〜〜〜〜
その通りだったな。俺は嫌がらせに命を賭ける男だ。
デルエラに一泡どころか百泡くらい吹かせたいという熱意と執念。
それが無事に実り、今ここにデルエラ(偽)が誕生した。
頭のてっぺんからつま先にいたるまで、ほぼ全てを俺の魔力塊で作成。
そして、心臓にあたる核パーツをデルエラの魔力塊で作り、偽者の全身に
本物の魔力を循環させることで擬似的な生命力オーラの気配まで再現した芸術品だ。
念のため、密かに手に入れておいた本物の髪の毛を
核パーツに溶かし込んである。どれだけ優れた魔術師や
魔術に長けた魔物でも、ここまでやればおいそれと見抜けまい。
この短期間でここまで高い完成度で仕上げることができたのも、ひとえに
過去の経験があったからだろう。
……あれは結局、俺の大ポカでしくじってしまったが……まあいい。
で、これをどう使うと面白いかだが。
『つまらないことに私を使うのは勘弁してほしいわね』
「!??」
喋る、こいつ喋るぞ!
『うふふ、しゃべるから驚いた?言っておくけど、しゃぶったりもできるわよ。
私を高性能に創りすぎたわね、貴方』
「笑ったり、ジョークを理解し使用することまでできるのか……」
『そうよ。私はただの偽者ではなく、いわば、新たなデルエラなの』
いやどっちにしてもただの魔力塊だろ。
『本物をからかうために私に何かさせる気らしいけど、それをするかどうかは
私の胸先三寸なのであしからず』
「ふむ、創造主である俺のプランを値踏みするか。よかろう」
「――という感じで」
『面白いわね。彼女が地団駄を踏む姿が見えるようだわ』
「では作戦開始といこうか」
『ラジャー!』
デルエラ(偽)がビシッと敬礼した。本物よりノリがいいなこいつ。
………………
『あら、い、いいところに来たわね、ウィルマリナ』
「デルエラ様、どうかなさったんですか?
お尻の辺りを抑えて…………まさか、ギックリ腰……とか?」
『認めたくないけど、そのまさかよ』
「む、無理して動かないでください。私がおぶりますから」
『すまないわねぇ』
「いいんですよ、これくらい。デルエラ様は私の大恩人ですから」
『ちょっと甘すぎかしら』
「そうですか?これでいい塩梅の甘さだと思ったんですけど」
『若い子たちにはこれくらい甘いほうが問題ないわよ。
ただ、私みたいな古株には少し手加減してくれた甘さのほうがありがたいわ』
「なに言ってるんですか、まだまだ若いじゃないですか」
『褒め言葉でも嬉しいわね』
「あはは、デルエラ様ったらもぉ〜〜」
『うふふふ』
「……珍しいですね。デルエラ様がこんな場所にいるなんて」
『こういう屋根の上が日なたぼっこするにはうってつけでしょ?』
「その発言、年寄り臭くないですか?」
『年寄りだもの』
「その容姿で?」
『外見は変わらなくとも、中身はそれなりに年輪を刻んでいくものよ』
「そういうものですかね……」
『ところで、もしかして貴女も暇なの?
だったら、悪いけど、肩でもひとつ揉んでほしいのだけど…』
「あちゃー、ヤブヘビだったー」
………………
『作戦は順調に進んでいるわよ。この調子なら
一ヶ月とたたずにレスカティエの住民は本物をご老体扱いするわね』
「実に手際がいいな」
『うふふ、私を誰だと思っているのかしら?』
本物とそれほど違わぬ態度をとるようになってきたな。
「くっくっく、この『ババア無理すんな作戦』もいよいよ大詰めか。
最後の一撃への下ごしらえも完了しつつあるぞ」
五日後に、近隣のとある親魔物国家からの文書を携えた使者が
この国にやってくるのだが、本物にバレないようにこっそりその使者と
杖をもった偽者が会談することで作戦はフィナーレを迎えるのだ。
デルエラの呼び名が『レスカティエの暴走馬車』から
『レスカティエのご老体』に変わる日もそう遠くはないだろう。
実に楽しみだ。
「ところで、補給はあまりハデにやらないでくれよ」
『言われるまでも無いわね』
このフェイクリリムだが、出来がよすぎるため、親魔物系の店で売っているような、
ゴーレムなどが集めてきた精から作られる栄養剤ではなく、人間から
直に搾り取った精を摂取しないと活動に支障をきたすのである。
つまり定期的にちんこ咥えこまないと停止するわけだ。
『ここからかなり離れたところにある反魔物よりの街で
適当に漁ってるわ。とっかえひっかえしないで、口の堅い者達を厳選して
吸ってるからバレることもないと思う』
「ならいいが」
よくなかった。
『あのイタズラ小僧はどこに行ったの!!!!!』
ぐったりしている偽者の首根っこを掴みながら
大股でノシノシと玉座の間にやってきた、全身鎧型魔力塊で武装した
デルエラが放った最初の一言、それが王城を丸ごと震わせたこの怒声だったらしい。
らしい、というのはその時もう俺は高飛びしていて
後から嫁達に聞いたからである。
デルエラ(偽)が選んだ連中は確かに口が堅く、魔物に理解を示していた。
快楽に溺れたともいえるがそれはどっちでもいい話だ。
だが、理解がいきすぎて、デルエラ(偽)にはまり込んでしまい
まさか故郷を捨ててレスカティエにまでやってくるとは思わなかった。
本物はこの国を落とした一件で素性も容姿も
一般にまで知れ渡ってるために、ここに行き着くのも容易だったというわけだ。
そして彼らの来訪はすなわち、好色だが一途という魔物娘でありながら
デルエラが何人もの男性と関係を持っていたという結論に繋がる。
実の両親である魔王夫妻の信念と愛欲を盲目的に信仰している彼女が
そんな逆ハーレムを形成してるとなれば大スキャンダルだ。
たわいもない悪戯のつもりが大惨事になった。
だが、デルエラにとって幸いなことに偽者にたぶらかされた連中は
揃いも揃って頑丈に口が堅かったため、一部の者をのぞいて
このことが漏れることはなかった。
たまたまデルエラに一目惚れした連中がやって来て
彼女に「ごめんなさい」された後、他の魔物たちが傷心を癒してあげて
そのままゴールインした。
という形でうまく落としたのである。亀の甲より年の功か。
しかし俺はそれどころではない。
怒髪天モードのデルエラの怒りが冷めるまで雲隠れしなくてはならぬ。
「――ってことになったんだよ。いやぁ困った困った」
「今すぐここから立ち去ってくれません?巻き添えくうの嫌ですし」
俺からおおまかな経緯を聞いたウィットが必死に懇願し、彼の左右に座っていた
二人の魔物娘が目を見開き大口を開けて絶句していた。
「ここに立てこもろうかと思ったが駄目か」
「思案するまでもなくノーですよ」
「以前は匿ってくれたのに」
「あの時と今回では危険度が段違いじゃないですか。
餞別にお酒いっぱい用意しましたから、これ持ってどっか行って下さいよ」
「すまんな」
「幸運を祈っておきます。気休めにしかならないでしょうが」
…………しかし、事態はさらに悪化していた。
俺がウィットの主人の屋敷にいた頃、レスカティエで当初の悪戯が判明し、
さらに火に油が注がれていたのである。
12/08/29 17:45更新 / だれか
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