〜〜〜主要キャラクター能力値とかそんな感じ〜〜〜
勇者『冬馬刻美』
・レベル２０、ＨＰ１６４、ＭＰ１２４
・主な特技＝魔剣創造、輝光、斬撃の群れ、分身

勇者『冬馬龍華』
・レベル２１、ＨＰ１８８、ＭＰ８６
・主な特技＝魔剣創造、輝光、火霊の集結

盗賊『青山勝』
・レベル９、ＨＰ５４、ＭＰ２４
主な特技＝忍び足

狩人『フローシュア・フレンデル』
・レベル１５、ＨＰ９９、ＭＰ５８
主な特技＝魔弓創造、鋭い雨

支配者『井上白楽』
・レベル３０、ＨＰ３３２、ＭＰ２０７
主な特技＝魔剣創造、輝光、斬撃の群れ、縮地、火霊の暴虐、『……』
〜〜〜〜〜〜


俺が逃げ込んだこの廃工場だが、実は、何を隠そう俺の秘密基地である。
家族は知ってるのでそれほど秘密でもないが。

元々は、トーチャンが何を思ったか占いの報酬の代わりにもらうことにした
土地のおまけでついてきた物件なのだが、どうにも使い道ないので
放置されていたのを、俺がもらって今では第二の自宅にしているのだ。
招かれざる客への対応として、兄貴に教えてもらった符術で
それなりに人払いと建物補強の結界も張ってある。
『発電』『清水』『灯火』などの、ルーン文字を刻まれた魔法石も
用意したので、これでもなかなか快適な住居だったりするのだ。

そこで決戦が始まろうとしていた。

…だが、夕暮れ時ならそれなりに雰囲気も出ようが、今はまだ午前中なので
外も中も明るいため、なんだか昔みたいに勇者と魔王ごっこしてる気分である。
今も昔も魔王役は俺なのが気に入らないが。
「姉さん、昨日の相談通り、シロのファーストキスは僕がもらうからね」
「刻美、お前こそあいつの童貞はオレがいただくのを忘れるなよ」
なに勝手に決めてるというか、なに勝手にキスもセックスもしたことないって
決めつけてんだよてめーら。気に入らなすぎるぞ。

いやまあ事実だけどさ……だからなおのこと気に入らなくてムカツクわー。

こうなったら手加減なんてしてやらん。
「お前ら、取らぬ狸のなんとやら……って知ってるか？」
ふりかかる火の粉どころか淫獄の魔炎を払うため、俺は二刀を構えた。


戦闘の口火を切ったのは刻美だった。

「てやああああああっ！！」

掛け声とともに魔剣で前方をなぎ払うと、魔剣から
いくつもの魔力の刃が放たれて俺めがけ飛来してくる。『斬撃の群れ』だ。
これも使えるようになったのかよ。
「ううむ、ここは迎撃しとくか…………よっと！」
俺も『宵闇』を振るって同等の数の斬撃を飛ばし、一つ残らず迎撃した。
したのだが……
「押し切れはしたがそこまでか。かなり修行したようだな」
予想では、激突して威力やスピードが落ちてもそのまま突き進んで
牽制くらいにはなるものと思っていたんだが、まさか刻美にまで届かないとは。
勇者を名乗れるようになったというのも頷ける。

「はあっ！！」

続いて頭上から龍華が降ってきた。
俺の左肩から、一直線に、腰まで切り裂くような一撃とともに。
魔法武器だから決して死には至らないが、それでも
戦闘不能になるレベルのダメージとなるのは間違いない。当たればだが。
（ちなみに、通常の武器や素手でも、聖なる力や、精、魔力、念などといった力を
まとわせたり籠めたりすれば、どれだけ致命的な傷や打撃を与えても
対象を殺したりはしない。
そして全ての魔物は生まれつきそういった超常の加減ができるらしい）

ガキイィン！

「遅い」
余裕を持って俺は頭上に『真紅』をかかげ、その縦一文字をガードした。
「タイミングを合わせるのが苦手なのは相変わらずか。
刻美のやつは正確にお前に合わせられるってのに、全く……」
「う、うっさい！
人や魔物には得手不得手ってものがあるんだよ！」
「それはわかるが、そういう言葉を免罪符にしてないか？」
「してるね」
きわどい衣装のメガネっ子が同意してきた。
「こら刻美ぃ！
お前どっちの味方してるんだ！」
それをおっぱい男装が非難する。
「姉さん、僕は別にシロの味方したわけじゃないよ。彼の指摘に納得しただけさ」
「うぐぐ……」
このまま俺をそっちのけで姉妹喧嘩してくれないかな。

「…い、いいや、この件は後回しにしよう。
オレ達が揉めることでシロのやつが漁夫の利を得ても困るし」
「だね」

なっ、龍華が引いただと……！

せ、成長している！
どんなくだらない喧嘩でも、必ずラストは自分が殴って終わらないと
気がすまないこいつが自分から口論を中断してくるとか、これを
成長といわないで何を成長というんだ！？
「いつまでもお前に守られていた頃のオレ達だと思ったか？
言っておくがな、オレ達二人は中学の三年間ずっと、魔剣部のデュラハンの先輩に
しごかれてきたんだぞ！」
「うん、厳しかったよね、アーニア先輩のしごきは……」
なぜか自慢げなドヤ顔の龍華に、渋い顔をした刻美が、今度は同意した。
「お前らはビシビシしごかれたほうがいいんだよ。
後先考えないお前らの保護者やるのは、俺ももう勘弁してほしいからな。
過去にどれだけ尻拭いしてきたと思ってんだ」


〜〜〜〜〜〜
『な、なんだよこの木！？
くそっ、はなせ、放せって！放せって言ってんだろおっ！
へ、変なところ触るなこらああああっ！』

『に、兄さんを放せっ！
このっ、たかが植物のくせに………うひゃっ！？ぼ、僕にまで！？
や、やめろっ！ひゃああっ！？』

ズシャアアアアッ！

『『うわあああああっ！？』』

『な、なんだ、なんでいきなり木が裂け……あっ！？』

『シ、シロくん！？』

『…探したぞ二人とも！こんな危ない森で何やってんだお前らは！
案の定、お化けツタなんかに捕まりやがって！』

『………はあぁ……た、助かったぁ……』

『やっぱり、シロくんってすごいなぁ………』

『…おい、人の話を聞いてんのか。
剣どころかナイフくらいしか作り出せないくせに、なんでこうお前らは
無茶をするかな』

『うっ………ご、ごめん』

『ごめんね……』

『まあ、反省したならいいさ。んじゃ帰るぞ』
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「だけどさ、綾葉さんの逆鱗を触るなんて無茶言い出したのは
僕らじゃなくてシロだよね」
「ああ、あれは洒落にならなかったよな。
結局、シロの兄さんが犠牲になったわけだし」
そんなこともあったな。
「あれは、まあ、いいんだよ。元々あの二人はいい感じだったし。
俺達はそれをちょっと後押ししたに過ぎないってことだ」
苦しい言い訳だが、あながち間違ってないのでよしとしよう。


「なんか昔を思い出してしんみりしたけど、ここからは本気でいくぞ」
こちらが格上とはいえ、二対一は厄介なので、まずは刻美から
仕留めることに決め、俺は、さっきまで逃げていたときに多様してた
短距離高速移動――縮地――を使って、間合いを一瞬で詰めた。
「くっ！」
刻美が俺の攻撃を受け止めようと魔剣で防御の構えをとる。

「俺の一撃、果たして満足に防げるかな！」

俺は刻美の魔剣めがけ、手加減など一ミリもない本気の一撃をかました。
「うあっ！？」
女らしい黄色い声をあげて刻美がひるみ、武器こそ放さなかったものの
大きく体勢を崩す。もらった！

「……なんだとっ！」

体勢を崩したのではない。
そのまま一回転して俺に反撃を……！狙いは…足か！
「そうきたか…！」
しかし防ぐ時間的余裕はある。
俺はコンクリの床に魔剣を突きたて、移動力を奪う脛への斬りつけを
凌ごうとしたのだが、刻美はゆるやかにまた一回転し……？
……攻撃ではない…なんのつもりだ？

刻美の姿が、数体に別れた。

「分身か！」
「その通りさ！」

攻撃ではなく、分身を作るための魔力の『溜め』のために
わざとらしく回転していたとはな。
俺が足への攻撃を察知して防ぐことや、その予想が外れたあと
様子見をすることまですでに読んでいたのか。
「…こざかしい！！」
俺は襲いかかってくる親友の紛い物を、次から次へと切り捨てた。
本体に比べて実力が劣る分身たちが両断されては
靄のようにはかなく散っていく。
「くくっ、まだまだいくよ」
てっくり分身にまぎれて渾身の一撃を喰らわせてくるかと思ったが
別にそんなこともなく、刻美はまたしても分身を作り出してきた。
そして、俺がまたそれらを切り裂くと、懲りずに再び分身を……

…………これは、時間稼ぎか？

「刻美、もういいぞ！」
「了解！」

俺はハッとして龍華のほうを見た。
すさまじい火の精霊力が龍華の『真紅』に集中し、みなぎっている。
あれは……『火霊の集結』！
自分か、自分の武器、あるいは自分が契約を交わした精霊などの
属性の力を一点に集めて、増幅し、絶大な破壊力を生じさせる技だ。
あれなら力量の違う相手である俺にも大ダメージを与えられる。

まずい！

「オレ達の作戦勝ちってやつさ！
ぬうう…………くらええええええええええええええっっ！！」
槍投げのように龍華は身体をねじるようにそらすと、
気合の声をあげながら魔剣を前へ突き出し、灼熱の奔流を俺へ迸らせた。

「こんな簡単な陽動に引っかかるとはな！」
俺は自嘲すると、『輝光』を発動し、あらゆる攻撃を防ぐ
魔力の防壁を作り出して龍華の繰り出す爆炎を防ごうとした。


ドグゥオオオオオオオォンッ！！


極太のレーザーのような炎の砲撃が、俺の前にそびえ立つ
輝く守護壁に衝突し、激しく熱気と衝撃と轟音をまきちらした。
「ぐっ、なんのこれしき！凌げないこともないぞ！」
これほどの威力を溜め込んで放ったとなれば、龍華の消耗もかなりのはずだ。
つまり、一人倒したのとさほど変わらない状況ということになる。
勝ちは見えた。そう、これで――
「――ゲームセットだっ！」
踊るように半回転して、後ろから俺に斬りかかろうとした
刻美の胴を『真紅』の刃で切り裂く！

パシュウッ

腹部にぱっくりと傷が開いた刻美が、そのまま宙に散った。
「え？」
俺はついマヌケな声を出して、唖然としてしまった。
「まさか、これも分身………ハッ！？」
背後を向いていた身体を無理にねじって上半身だけでも
なんとか前に向けた俺の目に映ったのは、
燃え上がる炎を突き破って出てきた刻美がこちらに『宵闇』を！
これはまずい！
『……』を使えば回避できるがうわ速いやっぱ禁じ手だしやばい…！


どすっ


鈍い音が俺の胸からした。

「かはっ………」
胸を貫かれた痛みとダメージに足元がふらつき、魔剣を杖代わりにして
俺はなんとか立ってはいたが、流石にこれはキツイ。
「…ううっ」
しかし、それはあの火炎地獄を強引に突っ切った刻美も同様で、
武器を持つことも困難になったのか、俺の胸に『宵闇』を残したまま
冷たい床に膝をついてしまった。
「はあっ、はっ、はあぁ……」
龍華も同じく床に手をついて苦しげに呼吸している。
もしかして、こんなの刺さってるのに、俺が一番元気なのか？

「ま、まだまだ…！」
「僕達は、この程度じゃ諦めないんだから…！」
どうしよう。


「…さ、さあ、インターバルはこのくらいにして……つ、続けよう、よ」
「そうだ、オレ達の思いは、はあぁっ、全然揺らいでないぞっ……」
「あー、その、いいよもう」

「「え？」」

「だから、負けでいいって。格上が格下に
これだけでかいダメージ食らわされたら、負けみたいなもんだろ。
お前らの勝ちだよ」
俺は胸に刺さったままの『宵闇』を引き抜くと、二人に敗北を認めた。

うわ……今の今まで死にかけって感じだったのに
なんだその生き生きとした顔は。生命力が裏返ったのか？


………………


「んちゅ〜〜っ、ちゅ、ちゅ、ちゅうっ、んむっ、ん〜〜〜〜。
んぷっ、ああ、おいしいっ。シロの唾液甘いよおっ、んっ、んちゅるるっ」

秘密基地の二階にある一室を改装して作った寝室。
そこに置いてあるベッドの上で、俺はさっきからずっと
刻美にファーストキスを貪られていた。
正確にはわからないが、少なくとも二十分は経過してるはずだ。
……ファーストキスってこんな長々とやるもんなのか？
「ねえ、なんでこんな甘いの？唾液の代わりに蜜でも分泌してるの？
んっ、あ、甘くて、甘くて甘くておかしくなりそう……ちゅっ、ちゅちゅっ」
アルラウネか俺は。
「こ、こっちも甘いぞっ。
こぼれてきたとろっとろの先走りが、れろっ、生臭くて、んっ、あはあっ。
じゅるっ、じゅっじゅっじゅっ、んっぽんっぽ……」
俺の股間に顔をうずめ、一心不乱に俺のサオをくわえこんでる龍華も
そんなことを言ってきた。糖尿病の不安がちょっと脳裏をよぎるが
俺も刻美の唾液を甘いと感じているので問題ないはずだ。
きっと魔物と人間ってのはお互いがスイーツみたいなものなんだろう。
「ぷは……なんだか凄い後ろめたいことをしてる気分だ」
一息つくために唇を引き離す。

あー自己嫌悪しそうだ。
子供の頃に別れた親友二人と数年ぶりに再会したその日に
お互いの体の味を楽しむとか普通じゃない話だよなコレ。
『おまえらどうかしてるぞ』と後ろ指刺されても、文句言えん。

「後ろめたさなんて、どうでもいいよ。
………………ねえ、シロ。本当はね、僕はこうやって
君といやらしいことをしたかったんだ。男だった時からね」
なんだと。
「君のことを思って自分を慰めたことも、一度や二度じゃない。
中学に入ってからは、毎日のように、君に犯される妄想をしながら
おちんちんやお尻をいじってたんだよ……」
知性派ぶってて中身は痴性派だったのか。なんだそれ。
「オレもそうだよ」
そんな気はしたがやはりお前もか。
「魔剣部に入ったのも、お前に追いつきたいのと、お前のために
身体を張りたかったからなんだ。
男のオレじゃお前を気持ちよくしてやれないから、
強くなって、そういう形でお前に尽くしたかったんだ」
こっちはドＭ属性かよ。
「けど、この体になって、そんな悩みなんて
もう消し飛んだけどな。んふふ」
「夢みたいだよね。シロと愛し愛されるなんて」
なんで現実になっちゃったのかなー。
「シロは……嫌、かな？」
「嫌じゃない…よな？」
叱られた子犬のように不安げな顔で、ダブル淫魔が本音を聞いてくる。
「嫌とかではなく、ただただ困惑してるわけだが」
「きゃはっ！やったぁ！
嫌じゃないんだ、うわあ嬉しいなあ！」
「やっぱりシロはオレ達を受け入れてくれると思ったよ！
シロ、シロッ、シロおおぉ〜〜〜〜〜〜！」
満面の笑みで、刻美は俺の頬に、龍華は俺のペニスに頬擦りしてきた。
ところで解釈おかしい。その喜び方なんか違うぞ。
「朝に一番搾りを飲ませてもらって、昼に子宮を汚してもらって、
晩にお尻に注いでもらって、夜にたっぷり出してもらえる……
……僕、幸せすぎてどうにかなっちゃうよぉ……」
「シロに支配してもらえる。シロに嬲ってもらえる。
シロに飼ってもらえる…………んっふっふっ。
もうオレ笑いが止まらないなぁ。そうだ首輪買ってもらわないと」

魂がどっか行ってるな。戻すか。
……うりゃ。


くちゅっ

「ひぃんっ！」
「きゃううっ！」
俺の悪戯によって二人は幸せの国から帰還し、素っ頓狂な声をあげた。
太ももがベタベタになるくらい濡れている女性器に
指を軽く入れてやっただけなのだが、まるで電気でも流されたかのように
裸体を跳ねさせてこちらを恨めしそうに睨んできた。
それにしても、こんなに気持ちいい感触なんだな、まんこって。
「お、おいっ。指を入れるなら、先に、言って、くれよっ」
「ううっ……ふ、不意打ちは……だ、駄目っ…」
「え、もっとしてほしいって？」

くちゅくちゅぬっちゅちゅっ

ぴっちりと閉まった肉の道をかき回すと、面白いように二人が乱れた。
「ああああっ、あっ、あああ〜〜〜〜〜〜〜〜！
指だめっ、それ駄目ぇ。おっ、オレ、オレっ変になるよおおお！
シロの指だけでイッちゃう、イカされちゃうよおっ！」
「うっ、きゃううううぅ！
そんなにくちゅくちゅされたらぁ！あっ、あきゅううううっ！
僕もう無理っ。飛ぶっ、僕がどっかに飛んじゃうっ。ううううううう！！」
二人の中が、侵入者である俺の指を
震えながら強く柔らかく締めつけてきた。
「気にせず絶頂するがいいさ」
俺は締め付けられている両方の指を――くっ、と、曲げた。
「ひぎっ……オ、オレ、オレぇ……！」
「ぼっ、僕っ、あっ、あっ、あ……！」
クライマックスだな。

『イッ………イックううううぅーーーーーーーーーっ！』

おおハモッたハモッた。


「んじゃ、俺もけっこう昂ぶってきてるからさ、遠慮なく
童貞喪失させてもらうぜ」
俺は仰向けの龍華にのしかかりながら、そう言ってやった。

■作者メッセージ
麗しき友情ですね。