連載小説
[TOP][目次]
少女のキセル/影のオルガン
少女のキセル

うた:方舟暴走自動人形合唱団


洛外で 僕は出会った
くずれた ボロ牛車の下で
みかけは みすぼらしいけど
それはとても 不思議な少女

ふ ふるべ ゆらと ふるべ
ぬらりと笑えば 胸は踊るよ
ふ ふるべ ゆらと ふるべ
進めよ 踊れよ 百鬼夜行だ


月と星の飾りをつけた
少女のキセルが夜をふりまく
ムカデやイタチやオニたちがぞろぞろ
提灯おばけに 灯りがともる

ふ ふるべ ゆらと ふるべ
一反木綿の 空中散歩だ
ふ ふるべ ゆらと ふるべ
思わず少女の手を握る


少年を見つめる 百鬼の花形
少女は浮かべる 不気味な笑顔
その時だ 陰陽師の
指先が 閃く

ふ ふるべ ゆらと ふるべ
たちまち砕ける 少女のキセル
ふ ふるべ ゆらと ふるべ
闇はかき消え 百鬼も散る


あわれ少女は 夜から夜へ
無くしたキセルを 求めて歩く
もしもどこかで彼女に会ったら
伝えておくれよ
キセルのありかを

ふ ふるべ ゆらと ふるべ
伝えておくれよ 
キセルのありかを
ふ ふるべ ゆらと ふるべ
僕が作った 月夜のキセル
 

* * * * * * * * *


影のオルガン

作詞作曲:水底尋子
歌:メリッサ・ロックマン


指を影にひたせば
心までもわかる
ルリル リルラ ルリルラ
包むような黒さ


影色の少女が オルガンまわしてる
ルリル リルラ ルリルラ
電柱の影で

ほら雨の中 足を止めれば
きこえてくる

(間奏)


すてられて泣いている 男たちのために
恋にやぶれた人を なぐさめるために

たとえ月のない 闇のなかでも
きっときこえる

ルリル リルラ ルリルラ
わたしはここにいるよ
ルリル リルラ ルリルラ
きみのすぐそばに


* * * * * * * * *


解説

『少女のキセル』
この歌にはふたつのバージョンがあり、方舟暴走自動人形合唱団のものは二作目。
一作目はジパングに住む一般市民の投稿作品だったが、映像および音声がMHKには残っておらず、投稿者にも現在連絡がつかないため詳細不明。当時を知る人によると「銀色の髪の少女が映った映像」であるらしく、映像や音声の記録を持っている方はぜひMHKにご一報ください。

『影のオルガン』
水底尋子にとって5曲目のまもののうた。歌っているメリッサ・ロックマンはスタイル抜群のケット・シーで、この曲の前年にMHKで放送されたサラマンダーを主役にした冒険活劇『ラマンダ・ジョーンズ』ではヒロイン的キャラクターとして出演した。


─────────────────────────


おまけ

ある男
「つぼンシー君、次の曲書けたよ」
壺をはいたリャナンシー
「次の“替え歌”が出来たんですね」
男「最近のつぼンシー君キツイや」

つ「ほほう、『影のオルガン』ですか・・・。ということは、あの曲ですね!」
男「わかるのかつぼンシー君」
つ「もちろん! 実は私、あの歌大好きなんですよ」
男「へえそうだったのか。俺は『まっ〇ら森のうた』を聴くために買ったアルバムで初めて知ったよ」
つ「え?」
男「ん?」

つ「ああ、でも『まっ〇ら森』はいろんなアルバムに入ってるからそういうこともありますよね。私は『キャベツUF〇』からあの作曲者のファンなんですよ」
男「ん?」
つ「え?」

・・・

男「あのさ、つぼンシー君が言ってるのってあの歌のことだよね。寂しげな曲調の――」
つ「もちろんですよ、あの明るい曲調だけど夕暮れの寂しさを感じさせる――」

男「谷山〇子の『空〇オカリナ』」
つ「工藤〇子の『風〇オルガン』」

男・つ「「・・・」」

つ「いやいやいやおかしいでしょう。タイトルにオルガンって入ってるんだから『風のオ〇ガン』でしょ一文字違いだし常識的に考えて」
男「いやいやいやつぼンシー君さっき自分で“替え歌”だって言ったじゃん。替え歌なんだから出てくる楽器そのままだったらおかしいじゃん。それもう替え歌じゃなくてパクリじゃん」
つ「この連載は元からパクリですよ」
男「(ムカッ)あーそーですか。やーいパクリ作家のリャナンシー」
つ「(イラッ)なに開き直ってるんですか」
男「そんなに好きならつぼンシー君が書けばいーじゃん。『風〇オカリナ』でさー」
つ「わ、私は陶芸系つbゲッフンリャナンシーですから・・・」
男「あーやっぱりつぼンシー君はリャナンシーじゃなくて、壺をはいたロリっ子ダークエルフなんだー」
つ「だっだ誰がロリっ子ダークエルフですか!」
男「だってエルフ耳だし、肌も黒いし」
つ「リリャ、リャナンシーは皆エルフ耳だし、うちの地方じゃ肌の色は皆こんなんですよっ!ホントですっ!」
男「じゃー問題ないじゃん。リャナンシーなら創作活動は一通りできるんでしょ(偏見)」
つ「で、できらァ!

トテトテトテ、バタン!(扉を閉める音)

男「楽しみだなー期待しちゃうなー」

(一時間後)

男(ちょっと言い過ぎたかな・・・)

(二時間後)

男「あ、あのつぼンシーさん? そろそろ休憩にしませんか? 晩御飯も出来てますし・・・」
『・・・』
男「あれ、あの、つぼンシーさん?」
『・・・』
男「ちょ、ちょっと、大丈夫? 開けるよ、いいね!?」

ガチャッ、ヨロヨロ

つ「・・・で、できた、よ・・・」
男「つぼンシー君!? そんな、たった二時間でこんなにやつれて!」
つ「ちょっと、慣れない事したから、疲れちゃっ、た・・・ガクッ」
男「つ、つぼンシーくーん!!」

 * * *

影のオルガン(風〇オルガンver)

作詞作曲:坪間 仁子


黒いスカート なびかせて
路地の向こうへ 曲がっていく
黒く長い 影を残して
ひとり 奏でる
影のオルガン

なみだの影 空笑いの影
枯れ葉のささやき 渡り鳥の巣跡

箱の中に眠らせて
みんな みんな 歌になれ

早く行かなきゃ 追いかけなきゃ
影の少女
影のオルガン


夕暮れひとり ビルの影
広場で影を集めてた
黒い髪が 重くゆれた
ひとり 奏でる
影のオルガン

出会いの影 別れの影
あふれる喜び 胸ひきさく痛み

みんな箱に眠らせて
次の歌になる日まで

早く行かなきゃ 追いかけなきゃ
影の少女
影のオルガン

 * * *

〜そのあと〜
男「ズズッ」
つ「ズzあちちっ!」
男「落ち着いた?」
つ「はい・・・」
男「ゴメン、まさかあんなことになるとは。もう二度と、陶芸系リャナンシーに文章書けなんて言わないよ・・・」
つ「ソ、ソウデスネー」
男「短時間でこんなにやせ細って・・・胸なんてまるでまないブヘッ!?」
17/05/30 23:06更新 / なげっぱなしヘルマン
戻る 次へ

■作者メッセージ
元ネタ
「ピエロ〇トランペット」(1965・1978)
調べたら出自が「トレ〇カモミロ」と同じくイタリアの『ゼッキーノ・ドーロ』という児童音楽のコンクールの入賞曲を邦訳したものだそうで。(トレロは1968の、ピエロは1965の入賞曲)
他にも「黒猫〇タンゴ」とか「ち〇っこカウボーイ」なんかもそうらしいですよダンナ!
なお解説にある投稿作品というのは嘘ですが、1965版の音源と映像がN〇Kにないのは本当のようなので、誰か持ってたら教えてあげて下さい。

「空〇オカリナ」(1996)
某まっ〇ら森のうたを聞きたくて買ったアルバムに入っていた曲。出会いっていろいろですね。

「風〇オルガン」(1987)
上の歌を書いたあと、「曲名にオルガンって入ってる曲はあるのかな?ないよね?」と検索したらあった曲。出会いっていろいろですね!


なげっぱなしQ&A
Q:なんで出て来る魔物が全部ロリっ子なの?
A:子供向け番組の主要人物が全部子供なのはよくあることです他意はない。

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33