☆サバンナの大草原に生きる〜野性味溢れる狩人の連携プレイ〜
ここは、ヤガイプレー国立公園。
魔界で最大の面積を誇る国立公園だ。
気候は雨季と乾季があるサバナ気候で、今は乾季である。
辺り一面に黄色の強い黄緑色の草が広がる中にバオバブやアカシアなどの熱と乾燥に強い樹木がまばらに生え、水場や池にはガゼルやシマウマなどの野生動物が水を求めて集まっている。
そこへ、一頭のサイが近づいてきた。鋭く巨大な一本角と、紺色で白い縞模様のある鎧のような皮膚が特徴のそれは、大きさは人間界のゾウと同じくらいかそれより一回り大きく、まるで大岩に足が生えて歩いているようだ。
ブアオォォォッ!
サイが吠えると、水場にいた動物たちが驚いて蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
邪魔者を蹴散らしたサイは、ドスドスと足音を立ててお目当ての水場の方に歩いてゆき、水のほとりまでいくと足を止め頭を下げ、水を飲もうとする。
ブスッ!
サイの尻にどこからともなく矢が飛んできて刺さった!
何事かとサイが後ろを向くと、そこには矢を構えたケンタウロスが2人いた。
そのケンタウロスは、我々が知るものとは違い、馬の下半身が白黒の縞模様で、ふさ毛が尻尾は毛の先にあるシマウマの体をしている。
ブフゥン・・・ブフォアアアッーーーーー!!!!
サイは痛みの元凶である二人を睨むと、不機嫌に鼻を鳴らし、土ぼこりを上げて突進した!
「姉さん!来ます!」
「ああ!」
どうやらこの二人は姉妹のようだ。
ズドドドドドオッ!!!
二人はサイが自分達に向かって突進してくるのを察知し、普通のケンタウロスよりも機敏な動きで二手に別れて回避する。
「フッ!」「ハァッ!」
ケンタウロスの姉妹は両側からサイを挟み撃ちにして矢を放つ。
サイの両脇腹に矢が一本、二本、三本、四本、と刺さっていく。
ブムオアアァァァァッ!!!
自分が挟み撃ちにされている事を悟ったサイはケンタウロスの妹の方に向かって突進する!
「私がこちらへ誘導するので、姉さんは後ろからできる限り矢を撃ってこいつを弱らせてください!」
「わかった!」
パンッ!パンッ!
姉ケンタウロスの持つ弓から二本の矢が放たれ、サイの背と尻に刺さる。
サイはそんなことはおかまいなしに妹ケンタウロスに向かって突進する。
「皆さん!お願いします!」
「おう!俺っちにまかせときな!」
「オラ達の出番か!」
妹ケンタウロスの声を聞いた二人の魔物娘がはりきりだした。
一人は、黒曜石でできた大きめのナイフを持ち、頭に鳥の羽の装飾を付け、胸と腰に藁でできたミノを巻いたオーク。だが、彼女は通常のオークと違い体はぽっちゃりしておらず、引き締まった細マッチョである。
もう一人は、自分と同じくらいもある巨大な棍棒を持ち、首に動物のキバの首飾りを付け、動物、おそらくライオンのような大型ネコ科動物の皮でできたビキニアーマーを付けたミノタウロス。
頭のツノは家畜のウシではなく、バッファロー、和名でいうアフリカスイギュウのもので、体格は普通のミノタウロスより頭一つ分大きい。
「さーて、まずは俺っちが相手だぜ!それぇーい!」
陽気な声を上げてオークがサイ向かってサイをも超えるスピードで突進していき、サイの肩を切り裂く。
ウォォォォォォォンッ!
肩を切り裂かれた痛みでサイが怯んで苦悶の声を上げた。
「こっちだよ〜!ノロマちゃん!」
怒り狂ったサイは背を向けて逃げるオークにさっきよりも速度を上げて突進するが、それでもオークの早さには及ばない。
「よ〜し、ここまでくりゃあ……!」
ズドドドドドドドドッ!!!!
ウォォォォーーーー!!!!
突然オークが走るのをやめる。
これを好機と判断したサイは全力で突進してカタをつけようとした!
「あーらよっと!」
オークがサイの突進をギリギリのところで回避した。
サイは止まりきれずそのまま突進を続け、
ズガドン!!!!
オオオオオオオオオ!?
前に掘られた落とし穴に沈んだ。
「いよっしゃー!いつでも俺っちの落とし穴は完璧だぜぇ〜!」
サイが落とし穴に落ちるのを見たオークがナイフを放り出し手を叩いてはしゃぎ出す。
サイは穴の中でもがき、ようやく上半身と前足を穴の淵に乗り出して脱出しようとするが、
「今だぜぇー!バロア!」
「どうりゃああああああ〜〜〜〜!」
バロアと呼ばれたミノタウロスが両手で棍棒を振り上げて跳び上がり、もがくサイの頭に降り下ろした!
ゴグシャァァァァァッ!!!!
オォ・・・ォォォ・・・ォ・・
頭を棍棒で凄まじい勢いで殴られたサイはしばらく白目をむき、手足を痙攣させていたが、やがて脳天、鼻の穴、口から血を流して絶命した。頭のツノに至っては根本から折れてしまっている。
「…………。」
先程はしゃいだ勢いでぶん投げてしまったナイフを取りに行って戻ってきたオークが、落とし穴の淵に力なく上半身を乗せるサイの鼻面を恐る恐るナイフの先でつっついて確認する。
「よし、死んでるな……」
オークはサイが絶命していることを確認すると
「おーい!みんなー!やったぞー!」
サイの前でオークが周りの者に大声で呼び掛けた。
「お〜、終わったべか〜」
「今日は大物ね、姉さん。」
「そうだな。ゼレア、初めての狩りにしてはよくやったな。」
「ありがとう。この調子で頑張って私もラブゼ姉さんみたいな立派な狩人になるわ!」
「ははっ、そうか。」
暢気な笑顔でミノタウロスが、姉妹で会話を交わしながらケンタウロスがオークの元へ行く。
「いや〜!よくやってくれた!こんなに大きい獲物が仕留められたのもみんなのお陰だよ!いつもありがとうな!感謝してもしきれねぇぜ!」
「いやいや、ワボさんの的確な作戦があるからこそオラたちはいつも上手く獲物が取れるだ。」
「感謝してもしきれないのはこちらも同じです!狩りが初めての私でも安全に獲物の中でも危険なサイに立ち回れるような作戦を考えてくださって本当にありがとうございます!」
「私もお前と長い付き合いになるが、お前の指示はいつも的確で信用できるな。そして、私の妹に狩りを一から十まで教えてくれたことには本当に恩に着る。」
三人から感謝の言葉を貰ったワボと呼ばれたオークは、わざとらしくガハハと笑った。
「おいおい、そんなに褒められたら俺っち照れちゃうぜ!……さてと、おーい!お前たちー!出てきていいぞー!」
ワボが大きな草むらとその近くのアカシアの木に向かって呼び掛けると、その中から大勢の若い男たちが、木の上からは魔物と人間の子供たちがぞろぞろと出てきた。
「いつも通り獲物の解体頼んだぜ!ついでにチビたちにも解体のやり方を教えてやってくれ!」
男たちはワボに向かって頷くと、サイの方へ歩いてゆき、ある者は刃物を取り出してサイの肉を切り分けていき、またある者は子供たちを連れて刃物の使い方を教えている。
男に小さい刃物を渡された人間の男の子が真剣な顔でサイから小さな肉塊を
切り出し、自慢げに切り取った肉を皆に見せびらかした。
「後は今日は婿探しから帰ってきた連中のためのごちそう作りだな。」
ワボが腕を組んで頷きながら言った。
彼女らのように大草原の村で暮らす魔物娘は、大人になったばかりの若い魔物娘の村人を一年に一回、一ヶ月間婿探しの旅へ出す掟がある。
それはかなり厳しいものになるが、若者たちはその事を真摯に受け入れて村を出る。
厳しい旅の果てに、夫を見つけ帰ってくる者、夫を見つけられなかったとしても旅で得た経験と発見によって前より強くなって帰ってくる者。
そんな彼女らを暖かく迎え入れて祝福する。今日はそんなめでたくて大切な
日なのである。彼女たちが張り切るのも当然だ。
「何にするべかのぉ〜、丸焼きもいいけど、生肉をかじるのもいいべ〜。あとそれから……」
運び出されていく肉を見て、バロアが目を輝かせて、口を開けて涎を垂らす。
「まったく、バロアはいつも食うことしか考えてないな。」
「そ、そんなことないべよ!たまには別のこと考えるべよ!ほら……えーっと……今、腹減っているからどんなモン食えば腹膨れるか考えてるだ!」
「それは食べることじゃないですか!」
アハハハハハ……
狩人たちの笑い声が夕暮れの草原に響き渡った。
オマケ でかいサイのイメージ図(大きさ比較用のサキュバス(1.6m)付き)
魔界で最大の面積を誇る国立公園だ。
気候は雨季と乾季があるサバナ気候で、今は乾季である。
辺り一面に黄色の強い黄緑色の草が広がる中にバオバブやアカシアなどの熱と乾燥に強い樹木がまばらに生え、水場や池にはガゼルやシマウマなどの野生動物が水を求めて集まっている。
そこへ、一頭のサイが近づいてきた。鋭く巨大な一本角と、紺色で白い縞模様のある鎧のような皮膚が特徴のそれは、大きさは人間界のゾウと同じくらいかそれより一回り大きく、まるで大岩に足が生えて歩いているようだ。
ブアオォォォッ!
サイが吠えると、水場にいた動物たちが驚いて蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
邪魔者を蹴散らしたサイは、ドスドスと足音を立ててお目当ての水場の方に歩いてゆき、水のほとりまでいくと足を止め頭を下げ、水を飲もうとする。
ブスッ!
サイの尻にどこからともなく矢が飛んできて刺さった!
何事かとサイが後ろを向くと、そこには矢を構えたケンタウロスが2人いた。
そのケンタウロスは、我々が知るものとは違い、馬の下半身が白黒の縞模様で、ふさ毛が尻尾は毛の先にあるシマウマの体をしている。
ブフゥン・・・ブフォアアアッーーーーー!!!!
サイは痛みの元凶である二人を睨むと、不機嫌に鼻を鳴らし、土ぼこりを上げて突進した!
「姉さん!来ます!」
「ああ!」
どうやらこの二人は姉妹のようだ。
ズドドドドドオッ!!!
二人はサイが自分達に向かって突進してくるのを察知し、普通のケンタウロスよりも機敏な動きで二手に別れて回避する。
「フッ!」「ハァッ!」
ケンタウロスの姉妹は両側からサイを挟み撃ちにして矢を放つ。
サイの両脇腹に矢が一本、二本、三本、四本、と刺さっていく。
ブムオアアァァァァッ!!!
自分が挟み撃ちにされている事を悟ったサイはケンタウロスの妹の方に向かって突進する!
「私がこちらへ誘導するので、姉さんは後ろからできる限り矢を撃ってこいつを弱らせてください!」
「わかった!」
パンッ!パンッ!
姉ケンタウロスの持つ弓から二本の矢が放たれ、サイの背と尻に刺さる。
サイはそんなことはおかまいなしに妹ケンタウロスに向かって突進する。
「皆さん!お願いします!」
「おう!俺っちにまかせときな!」
「オラ達の出番か!」
妹ケンタウロスの声を聞いた二人の魔物娘がはりきりだした。
一人は、黒曜石でできた大きめのナイフを持ち、頭に鳥の羽の装飾を付け、胸と腰に藁でできたミノを巻いたオーク。だが、彼女は通常のオークと違い体はぽっちゃりしておらず、引き締まった細マッチョである。
もう一人は、自分と同じくらいもある巨大な棍棒を持ち、首に動物のキバの首飾りを付け、動物、おそらくライオンのような大型ネコ科動物の皮でできたビキニアーマーを付けたミノタウロス。
頭のツノは家畜のウシではなく、バッファロー、和名でいうアフリカスイギュウのもので、体格は普通のミノタウロスより頭一つ分大きい。
「さーて、まずは俺っちが相手だぜ!それぇーい!」
陽気な声を上げてオークがサイ向かってサイをも超えるスピードで突進していき、サイの肩を切り裂く。
ウォォォォォォォンッ!
肩を切り裂かれた痛みでサイが怯んで苦悶の声を上げた。
「こっちだよ〜!ノロマちゃん!」
怒り狂ったサイは背を向けて逃げるオークにさっきよりも速度を上げて突進するが、それでもオークの早さには及ばない。
「よ〜し、ここまでくりゃあ……!」
ズドドドドドドドドッ!!!!
ウォォォォーーーー!!!!
突然オークが走るのをやめる。
これを好機と判断したサイは全力で突進してカタをつけようとした!
「あーらよっと!」
オークがサイの突進をギリギリのところで回避した。
サイは止まりきれずそのまま突進を続け、
ズガドン!!!!
オオオオオオオオオ!?
前に掘られた落とし穴に沈んだ。
「いよっしゃー!いつでも俺っちの落とし穴は完璧だぜぇ〜!」
サイが落とし穴に落ちるのを見たオークがナイフを放り出し手を叩いてはしゃぎ出す。
サイは穴の中でもがき、ようやく上半身と前足を穴の淵に乗り出して脱出しようとするが、
「今だぜぇー!バロア!」
「どうりゃああああああ〜〜〜〜!」
バロアと呼ばれたミノタウロスが両手で棍棒を振り上げて跳び上がり、もがくサイの頭に降り下ろした!
ゴグシャァァァァァッ!!!!
オォ・・・ォォォ・・・ォ・・
頭を棍棒で凄まじい勢いで殴られたサイはしばらく白目をむき、手足を痙攣させていたが、やがて脳天、鼻の穴、口から血を流して絶命した。頭のツノに至っては根本から折れてしまっている。
「…………。」
先程はしゃいだ勢いでぶん投げてしまったナイフを取りに行って戻ってきたオークが、落とし穴の淵に力なく上半身を乗せるサイの鼻面を恐る恐るナイフの先でつっついて確認する。
「よし、死んでるな……」
オークはサイが絶命していることを確認すると
「おーい!みんなー!やったぞー!」
サイの前でオークが周りの者に大声で呼び掛けた。
「お〜、終わったべか〜」
「今日は大物ね、姉さん。」
「そうだな。ゼレア、初めての狩りにしてはよくやったな。」
「ありがとう。この調子で頑張って私もラブゼ姉さんみたいな立派な狩人になるわ!」
「ははっ、そうか。」
暢気な笑顔でミノタウロスが、姉妹で会話を交わしながらケンタウロスがオークの元へ行く。
「いや〜!よくやってくれた!こんなに大きい獲物が仕留められたのもみんなのお陰だよ!いつもありがとうな!感謝してもしきれねぇぜ!」
「いやいや、ワボさんの的確な作戦があるからこそオラたちはいつも上手く獲物が取れるだ。」
「感謝してもしきれないのはこちらも同じです!狩りが初めての私でも安全に獲物の中でも危険なサイに立ち回れるような作戦を考えてくださって本当にありがとうございます!」
「私もお前と長い付き合いになるが、お前の指示はいつも的確で信用できるな。そして、私の妹に狩りを一から十まで教えてくれたことには本当に恩に着る。」
三人から感謝の言葉を貰ったワボと呼ばれたオークは、わざとらしくガハハと笑った。
「おいおい、そんなに褒められたら俺っち照れちゃうぜ!……さてと、おーい!お前たちー!出てきていいぞー!」
ワボが大きな草むらとその近くのアカシアの木に向かって呼び掛けると、その中から大勢の若い男たちが、木の上からは魔物と人間の子供たちがぞろぞろと出てきた。
「いつも通り獲物の解体頼んだぜ!ついでにチビたちにも解体のやり方を教えてやってくれ!」
男たちはワボに向かって頷くと、サイの方へ歩いてゆき、ある者は刃物を取り出してサイの肉を切り分けていき、またある者は子供たちを連れて刃物の使い方を教えている。
男に小さい刃物を渡された人間の男の子が真剣な顔でサイから小さな肉塊を
切り出し、自慢げに切り取った肉を皆に見せびらかした。
「後は今日は婿探しから帰ってきた連中のためのごちそう作りだな。」
ワボが腕を組んで頷きながら言った。
彼女らのように大草原の村で暮らす魔物娘は、大人になったばかりの若い魔物娘の村人を一年に一回、一ヶ月間婿探しの旅へ出す掟がある。
それはかなり厳しいものになるが、若者たちはその事を真摯に受け入れて村を出る。
厳しい旅の果てに、夫を見つけ帰ってくる者、夫を見つけられなかったとしても旅で得た経験と発見によって前より強くなって帰ってくる者。
そんな彼女らを暖かく迎え入れて祝福する。今日はそんなめでたくて大切な
日なのである。彼女たちが張り切るのも当然だ。
「何にするべかのぉ〜、丸焼きもいいけど、生肉をかじるのもいいべ〜。あとそれから……」
運び出されていく肉を見て、バロアが目を輝かせて、口を開けて涎を垂らす。
「まったく、バロアはいつも食うことしか考えてないな。」
「そ、そんなことないべよ!たまには別のこと考えるべよ!ほら……えーっと……今、腹減っているからどんなモン食えば腹膨れるか考えてるだ!」
「それは食べることじゃないですか!」
アハハハハハ……
狩人たちの笑い声が夕暮れの草原に響き渡った。
オマケ でかいサイのイメージ図(大きさ比較用のサキュバス(1.6m)付き)
19/02/22 10:43更新 / 消毒マンドリル
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