シナリオ1・・・友好ならざる森の人
『じっとしててもしょうがないから、周りの探索を始める。食料なんかがあるかもだしな・・・あ、ちなみにスマホは?』
スマートフォンは完全にブラックアウトしています。電池切れなのか、故障しているのかはわかりません。道具もない為修理もできません。
『OK、探索を始める』
ふむ、ではPL、幸運ロールをお願いします。
[ダイス目→18]
[幸運→30]
[成功!]
成功ですか。それでは・・・
ミハイルは周りの探索を始めた。草をかき分けて進み、木を見上げ実がついてないかと探し続ける。しばらく探すと、赤い実をつけた木を見つけることができた。木はあまり高くなく、たくさん実っている実からはほんのりと甘い匂いがする。パッと見とその匂いからりんごのようである。
「・・・こんなところにりんごの木があるなんて・・・大丈夫か?」
『GM、これは本当にりんごなのか、食べても大丈夫か調べようはないのか?』
ん〜・・・ないですね。食べるか食べないかはPLに任せます。
『ちなみに俺のキャラの空腹度合いは?』
ふむ・・・では幸運ロールをしてください。
[ダイス目→35]
[幸運→30]
[失敗・・・]
『げっ・・・』
ミハイルは昼ご飯も食べておらず、実を前にしてお腹が鳴るほどの空腹であった。
「うぅ・・・腹が減ってしょうがない。りんごっぽいし、食べても大丈夫だろう」
『少々不安なんだが・・・躊躇いもせずに実に手を伸ばしてもいでかぶりつこうとする』
その時である。ミハイルの持っていた実に真横から何かが勢いよくぶつかり、そのまま実は直線上にある木に張り付いた。
『お、意外な展開・・・えーと・・・』
「えっ!?なんだ!?」
『と、言いながら実の方を見る』
ミハイルが木に張り付いた、いや、刺さった実を見ると、素早くて見えなかった『何か』とは矢であった。矢は実の中心を貫き、木に刺さっていた。
「・・・矢?だ、誰が?」
『そう言いつつ、矢が飛んできた方向を見るぞ』
矢の飛来した方を見ると、そこには弓を持って草をかき分けてミハイルに近づいてくる女性がいた。
綺麗な薄緑色の長髪に、周りの草木の緑と薄緑を織り交ぜた色合いをした袖なしのミニスカドレス。膝上までの透明じみた白ニーハイに木製らしきローヒールサンダルを履いている。
スタイルはあまり凹凸がない控えめボディだが、顔なんかはミハイルが見たことある中でも指折りの美人であった。しかし、ルビー色の瞳をしたつり目とへの文字になった口、溢れ出るオーラから明らかに怒りが見てとれた。
ひとつ、人と違うところをあげるなら、離れたミハイルから見てもわかるほど、彼女の耳が長く尖っているところだった。
「森の深部ではないとはいえ、私達エルフの森の植物に手を出そうなんていい度胸してるわね、ニンゲン」
不機嫌さたっぷりの声色で言う彼女の目はミハイルを見据えて細くなり、加えて彼女の右手は腰に携えた矢筒に伸びていた。
「は?え、えるふ??」
『何言ってるんだこいつ、って顔しながら首を傾げる・・・かな』
「まさかエルフを知らないなんて言うんじゃないでしょうね・・・私、嘘は嫌いなのよ、ニンゲン」
ミハイルの態度に彼女は不満なのか、矢筒から素早く矢を取り出すとミハイルに向かって矢をつがえて弓を引き絞った。
「今すぐここから出ていくか、私に眉間を打ち抜かれるか、選びなさい」
『げっ・・・MG!言いくるめロールをしたいんだが!?』
許可します。1d100で、言いくるめの値以下なら成功とします。
[ダイス目→50]
[言いくるめ→50]
[成功!]
『あっぶね!?ロールプレイ入るぞ!』
では言いくるめロール、どうぞ
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくれ!出られるなら出たいが、森からの出方がわからないんだ!おまけに腹も減ってるんだ・・・アンタが誰なのかは知らないが、ひとつくらい食ってからでも構わないだろう!?」
『とりあえず手を出して女性を制止しながら矢継ぎ早に喋る。必死さをアピールする感じで』
ミハイルの必死な返答に不満たっぷりだった彼女は訝しげに片方の眉を吊り上げ、引き絞った弓をゆっくり下げた。
「出方がわからない?森に迷ったってこと?」
「迷ったというのか・・・なんか、とある場所で幼女がなんか言ったら床が光って、その光が消えたら気づいたら森の中に倒れてて・・・」
『頭を掻きながら不安そうに呟くように言って同情を引く・・・引ければの話だが』
それを聞いた彼女は、不満そうな顔はそのままに弓から矢を外して思いっきりためたあとに溜息を吐いた。
「よくわからないけど、迷ったんでしょう?全く・・・迷うくらいなら最初から森に入らなければいいのよ、ニンゲン」
「いやだから自主的に入ったわけでは・・・」
「は?」
彼女は言い訳するミハイルにいい印象はないようだ。今の「は?」もめんどくさいという気持ちより怒りが感じ取れる。
PL、これ以上彼女に口答えするなら彼女の機嫌に対する幸運ロールか、話術的な意味で言いくるめロールを。
「あ、いや、ナンデモナイデス」
『荒波を立てぬように素直に従います』
「いいわ。私も森を出るところから、連れてってあげる・・・あ、それと。その赤い実、ニンゲンは痺れ毒になるから食べないことをオススメするわよ」
『げっ、やっぱ危なかったのか・・・』
「えっ・・・あ、あぁ・・・わかった」
未だに不満げな様子な彼女だが、赤い実の危険性を教えてくれた上で、森を出るためにミハイルを案内し始めてくれた。ミハイルは彼女の後ろをついて行ってこのまま森を出るか、彼女の不意をついて逃げるかのどちらかかだが、どうする?
『いや、エルフ相手に森の中で逃げるとか無理だろ。素直についていくよ』
わかりました。では少し場面が飛びます。
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言動からエルフであると推測される彼女について行ったミハイルは森を抜け、目の前に広がる広大な野原を見回していた。前はもちろん、右を見ても左を見ても一面の緑で埋め尽くされており、その広さを測れるような目立つ建物なんかどこにもない。
森から伸びている道はまっすぐ、右、左の三手にわかれている。まっすぐの道は地平線に続いており、右の道の先には小さく山が見えます。左の道の遠くには別の森らしい緑が見えています。
後ろを見れば先程までいた森があり、野原から吹く風に揺られて時折ざわざわと音を立てていた。
自分が住んでいた街、いや、国全土を思い返してみてもこんな広い自然に満ちた土地があっただろうか。ミハイルはここが自分の知っている土地ではないことを嫌でも思い知った。
「・・・ここはどこなんだ」
『軽く絶望じみた声で、頭を抱えながら言うぜ』
しかしそんなミハイルを、更なる苦難が襲う。
『はい?』
そんなミハイルに向き直った彼女は、ミハイルにこう言うのだ。
「さぁ、森を出るまでは案内したわよ。今度はあなたの番。私を近くの街まで案内しなさい」
『・・・マジかよ・・・とりあえず口をあけてポカーンとする』
まるで鳩が豆鉄砲を食らったような顔をするミハイルに、エルフの女性はキョトンとする。
「どうしたのよ?森から出れたんだから、自分のいた街までは帰れるでしょ?」
「いや、その理論はおかしい。というか俺の話を聞いてなかったのか!?気づいたら森の中にいたんだってば!」
「・・・?何言ってるの?」
『あ、ダメだこれ。しっかりしてると思ったら案外残念な子だったパターンだこれ・・・反論してもダメな気がするから頭を抱えて溜息をつくぞ』
頭を抱え、絶望に溜息をつくミハイルだったが、目の前にいるエルフは未だにキョトンとして頭の上にクエスチョンマークを浮かべている。
「・・・OK、とりあえずここでじっとしててもしょうがない・・・歩くとしようか」
「やっと案外する気になったのね?初めからそうすればいいのに」
「・・・とりあえず名前を聞いてなかった。これから一緒に行くんだし、教えてくれ。俺はミハイル、ミハイル・ウィルだ」
『そう言いつつ、握手を求めて手を出す』
「・・・ニンゲンと握手するつもりはないわ。私はリリ・ルゥよ。覚えときなさい、ニンゲン」
つんとした態度で、リリと名乗る女性はぷいっとそっぽを向いてしまう。
『いちいち癇に障る女だな・・・』
「・・・まぁ、とりあえず、よろしく」
ここから、何処とも名前も知らない街を求めて、ミハイルはリリを連れて歩き始めるのだった。
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・・・はてさて、大変な事になりましたね
とりあえずミハイルには前に進むしかないようです。
とりあえず森から出ている道があります。まっすぐ、右、左、どれも特徴はなく、看板なんかもない、不親切な分かれ道です。
まっすぐの道は平原へ。
右の道は山へ。
左の道は別の森へ。
ミハイルが遠目で見た限りではそれぞれ別の地へ続いているようです。
さぁ、PL(読者様方)、どの方向へ行きますか?
1、平原へ。広くて見回しやすい地なら、誰か見つけられるかもしれない。
2、山へ。山の麓に村や町があるかも、あと、山の上からなにか見えるかも。
3、森へ。森から森へ道が続いているならその先もなにかしらあるだろう。
それでは、また次のシナリオで・・・
15/02/22 05:36更新 / ganota-Ez8
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