連載小説
[TOP]
黒騎士〜史実と真実と・・・〜
第零章:歴史としての“黒騎士”

それは、英雄だった。

民を守り、強大な敵に立ち向かうその姿はまさしく英雄だった。

それは、好敵手だった。

どのような敵にも、正々堂々果たし合うその姿はまさしく好敵手にふさわしかった。

それは、怨敵だった。

無慈悲に仲間を斬り殺された者にとって、それはまさしく怨敵だった。

それは、恐怖だった。

たった一騎で戦場を支配するその姿は、まさしく恐怖の象徴だった。

それは、裏切り者だった。

魔に産まれ人に生き、そのどちらも討ったそれは、まさしく裏切り者だった。

しかし、ただしくそれを知る者はおらず、それもまたただしく理解されようとしなかった。だから、今から語られる物語はそれの真意を伝えるものとは限らない。だが、何かを感じ、これを読まんとする者は、それの、黒騎士の思いの一端を知ることとなると保証しよう。

――歴史学者 アンドリュー・グロウ『黒き聖騎士の追憶』
第一章、後の歴史家の語る“正史”11/11/05 22:35

TOP | 感想 | メール登録 | RSS

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33