二人のバイトの職場
「貞春君、今日はもうあがってくれ。あと、明日からは来なくていいよ」
・・・はい?
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・・・はぁ・・・
・・・どうすっかなぁ・・・
『君、少し前に、不良グループとトラブルがあったそうじゃないか。しかも結構大事の。残念だけど、そんな君をここで働かせるのはちょっと・・・』
くそっ、誰がチクりやがったんだ・・・
・・・しかし、バイトなくなったら、生活費どうすりゃいいんだ・・・
・・・真闇になんて言おう・・・
「ありゃ?貞春?」
・・・成竜か・・・
「ど、どうしたんだよ?そんな暗い表情して?」
・・・実はな・・・
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(事情説明中)
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「えぇ・・・マジかよ・・・」
マジ。で、新しいバイト探さなきゃなって考えてたら、ちょうど憂さ晴らしに適した殴りやすそうな顔が・・・
「やめろ!殴ろうとすんな!」
冗談だよ・・・二割くらい。
「八割マジ!?」
はぁぁ・・・どうするかなぁ・・・
「まぁ、数ヶ月くらいは真闇ちゃんのバイトで賄えるだろ?」
うーん・・・は?
「へ?」
待て。『真闇のバイト』?
「・・・え?聞いてないのか?」
なんっにも。
「まったく?」
あぁ。
「そ、そうだったのk・・・待て。なぜ怒ってるんだ?」
・・・お前は知ってたのに、黙ってたんだな?お前は。
「えぇっ!?いや、ほら、お前の誕生日の時にチラッと言ったじゃん!?バイトしてたって!」
してた、だろうが。過去形だろうが。辞めたと思うだろうが!
「いやそれはお前の早とちりやめて殴らないでひでぶっ!!」
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・・・ここか?
「あぁ、ここ」
『メイド喫茶、パーラー』
・・・嘘かましてんじゃないだろうな?
「ノー。ワタシ、ウソツイテナイ」
なぜに片言。まぁいい、入るぞ。
「え?なんで?」
真闇を辞めさせるためだ!あいつをこんなとこで働かせられるか!
「でもそうすると収入0んなるぞ?」
『ピタッ』
「あ、止まった」
・・・
「いいじゃねぇか、バイトくらい。真闇ちゃんだって頑張ってるんだぜ?」
・・・・・・
「しかも今じゃ真闇ちゃんはこの店の目玉らしいんだぜ?」
・・・・・・・・・・・・
「可愛いし、対応も丁寧。ちょっとドジなのがアクセントらしくてな。真闇ちゃんにチップまがいなもんを渡すやつも少なくな」
よし、突入。
「なんでだよ!?」
そんな可愛い真闇の姿をどこの輩ともわからん野郎に見せれるかッ!
「しまった!?俺の発言が火に油だった!?あ、おい!待て・・・」
『カランカラ〜ン♪』
「あ、いらっしゃいませ!メイド喫茶パーラーに、よう、こ・・・そ」
・・・・・・
「さ、さささ、貞春っ!?」
・・・・・・・・・・・・
「いや、あのっ、これはね、あの・・・」
我が生涯に一片の悔いなし!グハッ!
「きゃーっ!?貞春っ!?店長!店長ぉーっ!」
「あーぁ・・・だから待てっつったのに・・・」
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店に入った瞬間、フリフリピンクなメイド服着た真闇の笑顔にやられた。後悔はしてない。満足だ。
「中途半端にネタになぞった発言すんな」
「お、お水です」
あ、真闇。ちょっとバイトについて詳しく・・・ウッ
「ちょ、貞春!また鼻血!?」
「めんどくっせぇーな!ここまで来ると!」
「・・・まーやん。あっちのお客様、お願い」
「あ、あーちゃん。ごめんね?いらっしゃいませー!」
うぐ・・・天河か・・・お前もバイトしてるのか?
「うん。ここの店長さん、魔物に理解のあるヒトだから」
そうなのか・・・成竜、にやけ顏やめないと蹴るぞ、弁慶。
「ひどっ!?」
で、天河。その店長に会いてぇんだが・・・
「ヘェェェイ!呼んだかい、ボーイ?」
うおぉっ!?
『バキィッ!』
「おまっ!?店長さん殴るやつあるか!!」
て、店長ぉ?この褐色筋肉ダルマが・・・?
「ぐふぅ・・・なかなかナイスな右ストレートだ、貞春クン。まーやんチャンの言ってた通りだ・・・」
す、すんません・・・ちょっとびびった・・・
「いいんだよ。ヒドイ人は、私を見るだけで『寄るな変態!』って言うからねぇ。まったく、私は『紳士』だと言うに!」
だったら服代えろよ・・・だれが筋肉ダルマのメイド服喜ぶんだよ・・・
「マイワイフだが?」
奥さんの趣味かよ!!
「さぁて、貞春クン。まーやんチャンについて話があるんだねぇ?」
・・・鋭いな。
「君のことはまーやんチャンから聞いている。『きっと貞春は、私のバイトを知ったら、反対すると思うから黙ってて欲しい』って言われたから、内密にしてたんだが・・・」
(・・・バラしたの、ダーリン?)
(・・・ごめん)
(・・・帰ったらお仕置き)
(ソレダケハゴカンベンヲ)
・・・まぁ、まずは真闇と相談だな。なんでバイトしてるのか聞きてぇ。もし買いたいもんがあるなら、俺が稼いで・・・
「いや、違うぞ。いや?近からず、遠からずか?」
・・・はぃ?アンタ、知ってんのか?
「あぁ、まーやんチャンは・・・」
『ガッチャァン!』
「こんなマッズイコーヒー飲めるかぃっ!」
・・・なんだ?
「また奴ら絡みか・・・」
奴ら?
「あの、ご、ごめんなさ・・・」
「謝ってすんだら警察いらんわワレェ!」
『パチィン!』
「いたっ!」
!!!
「あ!」
「まーやん!」
「おい!そこの!ウチのメイドに手を出すとはどういうことだ!」
「あぁん?店長はテメェか?ここのサービスはいったいどうなっt」
テメェ真闇ハタキやがったなゴルァァァァァァァッ!
「ぐぼっ!?」
『ボスゥッ!』
「うわっ!?貞春!?」
「・・・見事なボディブロ」
「お、おぇ・・・」
いつまで寝てんだぁっ!
『ドガッ!バキッ!ドガッ!』
「うずくまる相手に踏みつけ三連続!?」
「・・・しかも頭狙い」
「や、やめ・・・」
ぶ ち こ ろ す !
『ドゥーン・・・』
『ガシッ!』
『ドガッ、ドガガッ、ドガガガガガガガガッ!!!』
『パキィーン!』
真闇に手を出す奴は死ねッ!
「瞬◯殺!?」
「背中に『真闇』って文字が・・・」
オイコラ、まだやんのか?あぁ?
「ひっ、ひぃっ!お、お助けぇっ!」
『カランカラン♪』
「あーチャン。塩撒いとけ」
「はい、店長」
真闇!大丈夫か!怪我ないか!?
「だ、大丈夫だよ。ちょっと頬が痛いけど・・・」
さっきのやつ追って右手の指へし折ってくる。
「いいってばそんなの!」
「やめとけ貞春。変にこじらせて、バイト見つけにくくなってもしらねぇぞ」
ばっ!こら!
「え?あ、そういえば貞春、バイト・・・は?」
あ!いや、あの・・・
「・・・?」
・・・首吊ってくる。
「なんで!?」
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「えぇっ!?貞春、クビになっちゃったの!?」
す、すまん・・・
「謝らなくていいよ・・・私、バイト頑張るから!」
いや!それは・・・俺の男としてのプライドが・・・
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!?」
だ、だがなぁ・・・
「貞春のやつ、意固地になりやがって・・・」
「・・・ねぇ、店長」
「うむ。貞春クン。ひとつ提案だ」
はい?
「店長?」
「実は、ウチを潰そうとするとこがあってな。さっきのような奴は、そこの下っ端っぽいんだ。要はここにはあんな奴がちょこちょこ来る。私はちょっと人を殴れない事情があってな・・・どうだろう?用心棒的な意味で、ウチに雇われないか?」
・・・えぇ?
「いいんですか!?」
「うむ。あの容赦ない暴力は目を見張るものがあった。やりすぎない程度にやってくれるならかまわない」
(あれでやりすぎじゃないのか?)
(ダーリン、しーっ)
・・・俺はかまわねぇっすけど、それで店の評判は・・・
「なに。元からここに来る客は馴染みの客ばかりで、あーいう輩にも構わず来てくれる。第一、趣味だからな、コレ。が、あーいう輩をのさばらせるのは好かん」
・・・ はぁ・・・
「気が進まなそうだな。あ、給金はこれぐらいだぞ?日給でだ」
ふーん・・・んん!?
・・・一桁、間違えてねぇか?
「ん?安いか?」
いやいやいやいや・・・
「あとだなぁ・・・うちに就職すれば・・・」
(仕事中、可愛いまーやんチャンを見てられるぞ?)
よろしくお願いします。
「貞春!?」
「即効で決めやがった!?」
「・・・よかったね」
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・・・ところで真闇。なんでバイト続けてたんだ?
「えっ、えーと・・・言わなきゃダメ?」
ダメ。
「・・・あの、その・・・」
うん。
「・・・私たちの・・・結婚、資金・・・」
・・・
「・・・////」
グボァッ!
「貞春!?」
11/09/30 14:35更新 / ganota_Mk2
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