連載小説
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三日目、午後
[学生購買園]


「いらっさ〜い♪」


飯を食い、3コマ始まりに学生購買園のアカネさんの店に行くと、すでにちゃっかりアカネさんがさっきの笑顔で店にいた。

「あの食堂の雑踏の中、よく抜けれましたね」

「従業員用の入り口使わしてもろてん。さ、なにするん?」

もう買ってもらえることが確定しているからか、アカネさんは上機嫌だった。

「えーと・・・俺、職業がリーベルなんすけど、リボルバーのマトモなオススメはありますか?」

「そんな強調せんでもオススメするわ。てか、賊徒かいな。うち、あんさんはガンナーかなとか思ってたわ」

「そりゃなんで」

「ひとつ、さっきリボルバー見てたから。
ふたつ、人間の男は戦士職業好きやから。
みっつ、睨みつけだけで人殺せそう。ヤーさんみたいな目しとるがな」

「ふたつめも大概ですが、みっつめはおかしいでしょ。いい加減怒りますよ・・・?」

「たはは、冗談やて・・・いや、ホンマ冗談やて。本気で睨まんといて。ホンマ怖いて」

・・・ったく・・・人が気にしてることをぐさぐさ突いてきて・・・

「んでな?ウチのオススメは『ヴィンギナー』か『アーミーラック』や。『スリーアイズ』なんかやと反動大きくて狙いつけにくいし、『ミニマムボーイ』は威力小さいし弾の無駄や。限られた選択肢の中で、バンバン弾撃つんが好きなんやったら『ヴィンギナー』、一発当ててデカく行きたいんなら『アーミーラック』や」

「・・・マトモな接客できるんじゃないんですか」

「ぶぅ。失礼やな。ウチはいつでもマトモやで」

・・・おかしいな。フォンおじさんの話ではジパングの人は慎ましく、お淑やかな女性ばかりだと聞いたんだがな・・・
うーん・・・しかし、昨日の実践で、命中率は悪いからな・・・あと、ちょっとした夢があるし・・・

「・・・だったら、ヴィンギナーください。2丁」

「あら?ホンマ?よっしゃ!ちょこっとまけて250Gにしたる!」

「え?マジですか?」

「マジやで。昼飯もウチのおかんの店で食うてくれなからな。こんくらいのサービスせな」

そう言いながら、アカネ先輩は店頭に飾ってあったヴィンギナーを綺麗に拭き、革のホルダーに入れてくれた。

「ほな、これやで。毎度、大きに♪」

「ありがとうございます」

俺は金を支払い、銃を受け取った。

「あ、ついでに防具ありますか?」

「防具?すまんなぁ、ウチは武器しか扱こうてないねん」

ありゃ・・・なら他を探すしかないかな。

「あ、オススメの防具店なら紹介したんで。そこの店は安くてえぇ品扱こうとる」

そう言うアカネさんの指先は、アカネさんの斜め前の店を示していた。

「ありがとうございます。さっそく当たってみます」

「・・・ちょい待ち。値切りできる、えぇ文句教えたる。耳、貸し」

む。そう聞いたら聞くしかない。俺はアカネさんの口元に耳を近づけた。

「・・・うちが『クロアンミツ』って言ってたって、言い」

「・・・くろ?」

『ふぅっ』

うぅおわっ!?

「耳に息吹きかけられると、ぞわっとするやろ?」

「なんで今したんですか!?」

くそ・・・まぁ、とりあえず防具見てみるか・・・

「すいません」

「・・・いらっしゃい」

防具の店にはサイクロプスの女の子がむすっとした表情で座っていた。胸の名札には『マーナ・インスペリアル』と書いてあった。

「・・・あの、防具、見せてくれませんか?」

「・・・勝手に、見ればいい」

・・・おい。接客する気ねぇのか?こっちは見てるけど全く喋ろうとしやがらねぇ。
仕方ない・・・言われた通り、品を見るとしよう・・・


『店舗名:マーナの店』
『盗賊系防具一覧↓』

『レザーベスト
超基本の防具。ただの気休めという話も・・・
値段:50G』

『アイアンベスト
レザーベストのあちこちに鉄板を貼りつけたもの。重い。
値段:100G』

『マジックベスト
レザーベストに対魔法性能を付与したもの。物理には弱い。
値段:100G』

『マジアンベスト
アイアンベストに対魔法性能を付与したもの。一応万能型。
値段:200G』


む・・・武器より高くはないが・・・さっきちょっと買いすぎたな・・・普通の値引き交渉は・・・


ーーーーーーーーーーーーー
[値引き交渉、難度15]
[話術点 10、失敗・・・]
ーーーーーーーーーーーーー


「あの・・・」

「・・・値引き、お断り」

・・・ですよねー・・・
くっ。だったらアカネさんから聞いた文句を利用しよう・・・うまく行けばいいが・・・


ーーーーーーーーーーーー
[値引き交渉2、難度20]
[アカネの文句を使った]
[無条件成功!]
ーーーーーーーーーーーー


「あの・・・」

「・・・なに?」

「あっちの、アカネ先輩が『くろあんみつ』って言ってたんですが・・・」



『ガタッ』

「っ!?・・・ちょっと、ここにいて」



・・・へ?お?マーナさんが慌ててアカネ先輩の元へ向かった・・・


「はい、いらっさい。何の用や?」

「・・・『黒餡蜜』がどうしたの?」

「鈍いなぁ、『黒餡蜜の団子』をあげるゆうとんねん」

「・・・ホント?」

「うん。あの子に防具安ぅく売ったったらな」

・・・あんまりハッキリ聞こえないんだが、なんかアカネさんが交渉してくれてるのかな?

「・・・10Gにつき、1本」

「あかん。100Gにつき1本や」

「・・・20G」

「90G」

「・・・40G」

「ん〜・・・80G」

「・・・60G!」

「・・・毎度♪」

あ、アカネさんがニカッと笑った。交渉成立?あ、マーナさんが帰ってきた。

「・・・マジアンベスト、20Gで売ったげる」

「・・・はっ!!??

え?なに?どゆこと!?
あ、なんかマーナさんが無言でマジアンベストを包み始めた!?

「いやっ、あの、さすがに10分の1で買うのは罪悪感が・・・」

「・・・気にしない。黒餡蜜の団子3本食べれるなら、よし」

な、なに?クロアンミツって、なんなんだ???

「・・・はい、20G」

「・・・はい・・・」

すっごい申し訳なく思いながら、俺はマジアンベストを受け取った・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「な?値引きでけたやろ?」

できすぎだよ!一体なんですか!?クロアンミツって言っただけなのに!?」

「WうちWが、黒餡蜜ゆうたっていうのがミソやねんて。気にせんとき。金は天下の回りものっちゅうやろ?」

・・・なんなんだろ、一体・・・

「とぉこぉろぉでぇ・・・あんさん、だーいじなもん買い忘れとるでぇ?」

・・・アカネさんがニヤニヤ笑いながら俺に言ってきた。なんだ?

「あんさん、弾のない鉄砲で、どないして撃つねん?」

「・・・あ」

しまった・・・忘れてた・・・って、なんかもうアカネさんが小さなポーチ持ってる・・・

「こちらのポーチ、32口径弾が60発、マーキング用の紙と筆記具、さらに非常用試作閃光爆弾を入れた、賊徒用のポーチ。こちら、180Gで売るで」

・・・ちょっと待て。

「・・・色々、図りましたね?」

「必要具は揃えなあかんやろぉ〜?」

値引きさせる算段をつけたのも、その分でこれを買わせるためか・・・

「・・・ください」

「毎度ありぃ〜♪」

すんごいがめついっつうか、ずる賢いっつうか・・・えらい先輩と知り合ってしまったなぁ・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

[学生購買園]

・・・まだ時間があるな・・・どうするかなぁ・・・

「なんや、まだ行かんの、アンタ?」

「今行っても授業までまだ時間がありますよ」

「ほな、ウチの話し相手になってや。お客さんおらんから暇やねん」

「・・・いつもこんなんなんですか、ここ?」

学生購買園にはほとんど客はいなかった。ちらほらと店を見てる人はいるが。

「んとな、放課後は結構人おるで。授業の合間にくる奴は大概ヒマ潰しで来とって、大概なーんも買わんで帰ってく。ま、冷やかしも店の賑わいやからえぇけどな」

「へー・・・」

「冷やかして物買わへん・・・ひやしいなぁ。なんてな!」

・・・は???

「・・・卑しい(貧しいという意味)とかけてんねんで?」

「わかりません」

「・・・ぶぅ」

この人、不機嫌になると頬膨らます癖があるな・・・

「そういや、マーナ先輩とはお知り合いなんですか?」

ふと、マーナさんの方を見た。マーナさんはボーッとしていて、接客のやる気は全く見られない。

「知り合いもなにも、この武器作ったん、マーナやで?」

・・・・・・は?

「なんですって?」

「せやから、ウチが売っとる武器、マーナ主導で作ったんやて」

・・・・・・

作った本人の前で勝手に値引きすんなよ!!

「えぇやん。本人はあんまり利益追求しとらんし」

「じゃなんで売ってんの!?」

「ウチらの技能のためや」

・・・はい?

「ウチは話術、マーナは鍛治職を伸ばしたいねんけど、べらべらしゃべってるだけじゃ話術は上達せんし、マーナやってただ闇雲に作るだけじゃ成長せぇへん。そこで、ウチは武器を売らせてもろて、お客さんとの交渉で話術の勉強。クレームや要望をウチが聞いて、マーナに伝えて作り直すことでマーナは鍛治の勉強、っちゅうわけや」

・・・へぇ、なるほど。

「分かったか?」

「はい・・・あれ?じゃあ何でマーナさんが防具屋を?」

「マーナも一応話術の勉強。まぁ・・・身についてるかどうかは・・・見ての通りや」

・・・あぁ。なるほど・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「おっと?そろそろ授業ちゃうん?」

「あ、ほんとだ」

時計を見ると、すでに授業10分前を示していた。

「それじゃ、ありがとうございました」

「また来てな〜。友達連れて来たらもっとサービスするで♥」

ウィンクするアカネさんを置いて、俺は地理学科の授業に向かった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

[ヌァビル先生のピラミッドダンジョン]
(ダンジョンLevel 3)


「・・・どうしてこうなった」

授業開始から20分後。俺は片手にランタン、片手にヴィンギナーを持って石壁に囲まれた暗い通路をひとりで進んでいた。


〜〜〜〜〜授業開始時の回想〜〜〜〜〜

『今日は転移門を使って場所を移動し、実際にマッピングを行ってもらう。場所は昔、私が作ったダンジョンである。一時間マッピング作業を行ったのち、元の転移門のあった場所に帰還すること。
ただし、湧き潰し(モンスターや魔物が発生しないようにすること)はしてない。つまり、マッピング中、野性生物や魔物がいる可能性がある。気をつけろ』

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「ふざけんなよ・・・こちとら戦闘授業なんかほとんど受けてないんだぜ・・・」

ついつい悪態を吐きながら、ゆっくり暗い通路を進む。
どうやらこのダンジョンは四角い枠の中に色々狭い道が入り組んでいるような構造らしい。始まった場所はその枠の隅だったので、ぐるっと一周回った後に、今、入り組んでいる道を進んでいるのだ。

「あ、分かれ道か」

ふと、直線と左曲がりの分かれ道があった。

「えーと、とりあえずマッピング・・・」

ヌァビル先生の授業で、マッピングするのは分かれ道に出会ってからで良いという感じだった。俺はランタンの灯りの下に紙に自分の通った通路を書き込んでいく。

「えーと、こっから直線で、ここで右に曲がって・・・」

その時・・・


ーーーーーーーーーーーーー
[なにかの物音?、難度 5]
[察知点 10、成功!]
ーーーーーーーーーーーーー


・・・俺は、なにかの物音を聞いた。

『ずり・・・ずり・・・』

「・・・なんだ?」

左曲がりの奥からなにか引きずるような音がする。

俺は、ランタンを翳してそちらを見た。


〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜

[戦闘開始!!!]

ーーーーーーーーーーーーーー
[モンスター判定、難度 10]
[知識点 15+4、成功!]
ーーーーーーーーーーーーーー

マミーが現れた!』

マミー「あ〜、オトコだ〜」

ベルン「ぐっ!?マミー!?」


〜〜俊敏点〜〜
1:ベルン、15
2:マミー、5
〜〜〜〜〜〜〜


〜〜〜〜〜〜
[ターン1]
〜〜〜〜〜〜

[ベルンの行動]

ベルンはヴィンギナーを片手で構えた!

『ガゥーン!ガゥーン!ガゥーン!』

3発すべて外した!

ベルン「ちょ!?片手で外しすぎだろ、俺!?」


[マミーの行動]

マミーの攻撃が届かない!
マミーはベルンに近づいた!

「オトコ〜捕まえる〜」


〜〜〜〜〜〜
[ターン2]
〜〜〜〜〜〜

[ベルンの行動]

ベルンはランタンを置き、ヴィンギナーを両手で構えた!

『ガゥーン!ガゥーン!ガゥーン!』

3発命中!
20*3=60ダメージ!

ベルン「よし!当たった!」

(注:この世界のリボルバーに使われる弾は、相手にダメージを与えますが、貫通するとかグロいことにならないよう魔法コーティングされています。細けえこたぁいいんだよ!)


[マミーの行動]

マミーはベルンに近づいた!

「オトコ〜♥」

マミーはベルンに抱きつき、押し倒そうと試みた!

ベルン「うわっ!くそ、離れろっ!」

ミス!ベルンに突き飛ばされた!

マミー「やぁ〜、嫌がらないでぇ〜」


〜〜〜〜〜〜
[ターン3]
〜〜〜〜〜〜

[ベルンの行動]

「やべっ!?弾切れた!?」

ベルンはヴィンギナーをリロードした!
(残り予備弾数:42)
暗闇により、ランタンから離れられない!


[マミーの行動]

「おとなしくしてぇ〜」

マミーはベルンに抱きつき、押し倒そうとした!

ベルン「だぁっ!くそ、は、な、れ、ろっつの!」

ミス!マミーはベルンに蹴り飛ばされた!

マミー「あぅっ、いたいぃ・・・けど、気持ちいぃ♥」

ベルン「変態か、こいつ!?」


〜〜〜〜〜〜
[ターン4]
〜〜〜〜〜〜

[ベルンの行動]

ベルン「この距離なら!」

ベルンはヴィンギナーを両手に持った!
ベルンは二丁拳銃で乱射した!

『ガゥーン!ガゥーン!ガゥーン!』
『ガゥーン!ガゥーン!ガゥーン!』

5発命中!
20*5=100ダメージ!


マミーは倒れた!


ベルン「やったか!?」


[マミーの行動]

マミー「・・・う〜ん、いたいよぉ!」

種族スキル『再復活』により、目を覚ました!
倒れたまま、ベルンの足を掴んで引っ張った!

ベルン「うおわっ!?」

ベルンは足を取られてこけてしまった!
マミーはベルンの上に馬乗りになる!

マミー「えへへぇ、捕まえたぁ♥」

ベルン「うっ、くそっ!」


〜〜〜〜〜〜
[ターン5]
〜〜〜〜〜〜

[ベルンの行動]

ベルン(・・・まてよ?たしかマミーって・・・よし!)

ベルンは腰にあったダガーを振るった!

『ビリィッ!』

マミー「・・・ほぇ?」

マミーの包帯が破れ、腹部が露出した!

ベルン「こんのっ!」

ベルンはマミーの腹部を荒々しく撫でた!

『ビクビクッ!』

マミー「あひぃぃぃっ♥!?」

マミーは30の快楽を得た!


[マミーの行動]

マミーは快楽を受けて動けない!


〜〜〜〜〜〜
[ターン6]
〜〜〜〜〜〜

[ベルンの行動]

ベルンは続けてマミーの腹を撫でた!

『ビクビクッ!』

マミー「あ、あぁぁぁっ♥」

マミーは30の快楽を得た!


[マミーの行動]

マミーはイキかけていて動けない!


〜〜〜〜〜〜
[ターン7]
〜〜〜〜〜〜

[ベルンの行動]

さらにベルンはマミーの腹を揉んだ!

『ビクビクッ!』

マミー「あ、ひっ♥」

マミーは40の快楽を得た!

快楽が100を超えた!

マミー「あっ、あっ、あっ♥
いっくぅぅぅぅぅぅぅっ♥♥♥」

マミーは絶頂した!




[ベルンは勝利した!!]

[包帯の切れ端]を手に入れた。
[魔物の愛液]を手に入れた?

〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜・〜〜〜


・・・なんぞこれ・・・

「へぅ〜・・・♥」

か、勝ったって判定になるのかこれ?てか、馬乗りされた部分がなんかベタベタするんだが・・・これ、アレなのか?アレなのか、これ?

「と、とりあえず進もう・・・」

俺は、分かれ道を直線ルートを選んで進んだ。


『コツ、コツ・・・』

『・・・ずる、にちゃ、ずる、べちゃ・・・』


・・・なんか背後から引きずる音と水音がするんですけど?
振り返ってみると・・・



「待ってぇ♥ご主人様ぁ♥」



「誰がご主人様だっ!!」

股からポタポタと何かを垂らしたさっきのマミーがゆっくり追いかけて来ていた。俺はマミーが追いつけない速度でマミーを置いてけぼりにして通路を進んで行った。


「あぁ〜ん、ご主人様ぁ・・・」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「・・・ふむ、生徒の9割が見事マッピングして帰還か。優秀だな。よし、では、解散」


・・・マッピングを終えて転移門で帰ると、ヌァビル先生の点呼により、『帰って来た』生徒は解散となった。帰って来てない奴は・・・どうなったんだろうな・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


・・・さて、少し疲れたけど、どうしようかな・・・久しぶりに街に行こうかな・・・



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

[学園付属都市『テトラチュード』]


で、街に来たわけだが、今回は迷わねぇ。
なんたってマッピング道具持ってきたからな!転移門からの街の道々をマッピングしておくぜ!

・・・周りから見たら怪しい人かもしんないけどな・・・

さぁて。どこに行こうかな♪



「このアマァ!ふざけてんのか!」



・・・なんだなんだ?いきなりすげぇ怒号が聞こえたぞ?

「テメェ、俺らのアニキにぶつかっといて『ごめんなさい』の一言もないんかい!!」

「魔物やからって舐めとんやないぞゴラァッ!」

・・・どこにでもいるんだなぁ、あぁいう不良。てか、相手は女の人じゃねぇか。三人がかりでみっともない。
女の人はジパングの着物を着て、長い銀髪に青白い肌・・・青白い?あ、雪女か?魔物って、そういうことか。

とと、ボーッと解釈してる場合じゃねぇ。助けてやらないと。

「・・・あんたら、やめろよ。大の男が三人もたかってみっともない」

俺は黙ったままの雪女さんと男三人の間に割って入った。

「んだテメェゴラァッ!?」

「邪魔すんなやワレ!」

もう明らかにチンピラって感じのやつ二人に、肌がこんがり焼けた巨漢がひとり。どうやら巨漢がリーダー格らしい。

「みっともないっつってんだよ。なにがあったか知らねぇが、女ひとりを三人で脅すなんてなに考えてんだ」

「テメェには関係ないだろうが!」

『ブォンッ!』

あぶなっ!?巨漢のストレートが迫って来た。俺が避けると雪女さんに当たりそうだったから、雪女さんを抱えるようにしてふたりで避ける。

「っ、あぶねぇだろ!この人に当たったらどうすんだよ!」

「ハナから殴る気なんだよ、こっちはよぉ!」

こいつら、ホントに容赦ないな・・・俺は腰のリボルバーにゆっくり手を・・・



「ダメよ」



「・・・え?」

ホルスターにかけた手に、冷たい雪女さんの手が重ねられた。



「こんなクソの役にも立たへんジャリどものために、そんなチャカなんて抜いたらだめよ。弾がもったいないじゃない」
(ジャリ・・・ガキと同意義
チャカ・・・拳銃のこと)



・・・・・・え?

「・・・い、今、なんて??」

「あら、そこのジャリどもの声聞いて、耳が悪くなっちゃった?ジャリどもにチャカ使うてしもたら、弾がもったいないと言ったの」

・・・・・・いや、うん、内容がわからないわけじゃないんだ。わかるから問題なんだ。
・・・この雪女さん、口悪くねぇ?

「こ、このクソアマ、なんて言い草しやがる!」

とか言ってる間にチンピラがこっちに殴りかかってきた!?



「・・・ギャーギャーうっさいのよ、ジャリどもが」



『ヒュオンッ!』

・・・?
今、なにかが風を切った音が・・・

『ドサッ』

・・・あれ?
・・・チンピラが倒れた?

「く、クソアマ!?そんなカタナ、どっから出しやがった!?」

・・・カタナ?

横の雪女さんを見ると、半透明の・・・いや、『氷のカタナ』を握っていた。

「私は雪女ですからね。これくらいの芸当は出来るのよ。切れ味は悪いけど・・・貴方たちを気絶させるくらいのことはできるわよ・・・こうやってね・・・」

そう言った雪女さんが一歩踏み出し、目に見えぬほどの早さでカタナが振られた。

「がっ・・・」

俺は殴った音を聞いたのだろうか?あっという間にもうひとりのチンピラが倒れ、巨漢が取り残された。

「ぐっ・・・」

「どうするの?私は貴方の首を思いっきり殴って、首から下を動かなくしてもいいのよ?」

・・・こ、こえぇ・・・

「・・・お、女に舐められて黙ってられるか!」

巨漢が拳を振り上げ、思いっきり振り下ろした!

「あぶなっ!」

つい俺は叫んだが・・・



「雪花流、『霧雪』」



『パシィ・・・ィン』

・・・何かが割れる音が聞こえ、目の前に氷の欠片が散った。

「・・・ぐぉ・・・お・・・」

拳が雪女さんの頭をスレスレでかすり、そのまま巨漢の身体がゆっくり雪女さんの横に倒れた。

「・・・あ・・・」

倒れた巨漢をよく見ると、首、肩、右腕に赤いミミズ腫れがあった。
・・・まさか・・・一瞬でこの三箇所を叩いたのか・・・?

「・・・見苦しいところを見せちゃったね」

その声につい俺はビクリと身体を震わせ、雪女さんの顔を見た。

「もう、そんな怖がらないでよ。私だってこんな喧嘩したくないんだから・・・あ」

雪女さんの『あ』に辺りを見回すと、人だかりができていた。

「う・・・キミ!逃げるよ!」

「え?あ、はい!」

俺は雪女さんと共に人だかりの間を割って逃げた・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「ふぅ・・・派手にやっちゃったなぁ・・・」


雪女さんとしばらく走った後、俺たちは転移門前にいた。

「ごめんね?変なことに巻き込んじゃって」

「いや、俺から首を突っ込んだんですから、そこは気にしなくていいですよ」

「そっか・・・ねぇ、キミ、新入生?」

「え?はい」

すると、雪女さんはニコリと笑い、俺の腰を指差した。

「テトラチュードではね、冒険者の武器所持は禁止されてるの。気をつけなさいね」

「・・・マジすか」

「マジ」

「・・・ありがとうございます」

「うん、うん。素直でよろしい」

雪女さんが笑いながら、俺の頭を撫でた・・・ちべてぇ。

「それじゃ、私は迷子になってるであろうルームメイトをさがすから。バイバイ、新入生くん」

「あ、はい・・・」

雪女さんが手を振りながら歩いていった。

・・・出来れば次は会いたくねぇな・・・なんかの弾みで怒らせたらこえぇ・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


夕食はロックとさっさと食った。サティアに鉢合わせないようにして、急いで食べた・・・せめて、せめてもう一日クッションを置こう・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

・・・明日の朝(8時〜10時30分)はどうするか・・・

1、寮で二度寝する
2、学校をぶらつく
3、図書館に行く
4、学生購買園へ冷やかしに
5、食堂でゆっくりする
6、街へ行く

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[ベルン・トリニティ]

[ステータス]
体力 25
魔力 10
筋力 15
知識 15[■■□]
俊敏 15[■□□]
精神 15
運勢 8
容貌 15
話術 10
器用 10[■■]→11
察知 10[■□]
隠密 5[□]
[スキル]
種族[人間]:成長限界が魔物の1/2となる。
物知り:知識点に4ポイントボーナス
(ボーナスは今表示されてる値に加えられます)
表情[恐喝]:精神点が話し相手より高いと話術に10ポイントダウンボーナス
解錠スキル Lv1
片手銃スキル Lv1
マッピングスキル Lv1<new>

[追記事項]
地理学科:初等レベル
(一回の授業で知識・器用の習熟度が上がる)

12/04/21 07:06更新 / ganota_Mk2
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■作者メッセージ
[分福 茜]

[ステータス]
体力 20
魔力 5
筋力 10
知識 30
俊敏 15
精神 18
運勢 12
容貌 18
話術 30
器用 20
察知 10
隠密 10

[現在専攻職業]
シーフ(盗賊)

[スキル]
所属[刑部狸]:話術点が高い
商売上手:売り手の時、売値価格が良くなる
値切り上手:買い手の時、買値価格が良くなる


[マーナ・インスペリアル]

[ステータス]
体力 35
魔力 10
筋力 30
知識 20
俊敏 20
精神 12
運勢 10
容貌 18
話術 10(ー5)
器用 30
察知 10
鍛治 30

[現在専攻学科]
ウォーリア(戦士)

[スキル]
所属[サイクロプス]:体力・筋力・鍛治が高い
無口・無愛想:話術点に5ポイントダウンボーナス



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『ロック・サンドラ』

[プロフィール]
種族:人間
身長:170cm
体型:やや筋肉質
趣味:ナンパ、女の子口説き、エロ本収集
好きな食べ物:女の子が作ったもの
嫌いな食べ物:野郎が作ったもの

[生い立ち]
親がウィルベル郊外で木こりをしており、ウィルベルの小学校に通った際に、よく喧嘩に巻き込まれていたベルンを助け、友人として出会う。小学校からイケメンとして女の子にちやほやされていたが、中学、高校から調子に乗ってナンパ魔になった。しかし、その目的が完全エロ目的なため、なかなか成功しない。幼い妹がおり、その妹にちょっとしたトラウマがあるため、ロリを極度に嫌う。しかし、なぜか子供に好かれやすい。

[性格]
お調子者でナンパ魔と聞いて、彼をチャラい男と思い込む者も多いが、何より大切にするのが友であるベルンであり、仲間に対する思いやりが強く、義理堅い一面がある。彼の前で友の悪口を言えば、泣いて許しをこうまで許さない。しかし、女の子相手にはチャラい。

[入学動機]
女の子とイチャイチャできるから。
と、言っているが、実はベルンが仲間はずれになりやしないか心配で、両親に土下座までして入学した。ベルンは事実を知らない。

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