三日目、午前(水曜日)
[もふもふ亭]
今日は朝飯どうしようかな・・・
「ベルン、お前、今日なに食う?」
「そうだな・・・サンドイッチセットとかあったよな」
「俺は美人の稲荷さんが出してくれる稲荷定食にするぜ。美人の稲荷さんが出してくれる稲荷定食な」
「なんで二回言ったんだよ」
「大切なことだからだ(キリッ」
アホくさ。
ロックが稲荷さんに鼻の下伸ばしてる間に、俺はサンドイッチセットをもらって席を探す。さって、どこがいいk
「おーい、ベルンくん。こっちこっちー!」
「ばっ!ベーゼ、呼ばなくていいわよ!」
・・・う、わ、ぁ・・・
「ほらほら〜。どうせロックくんとふたり寂しく食べるんでしょ?アタシたちと食べよって!」
「いや、あの・・・」
ベーゼにぐいぐいと腕を引かれ、サティアの座る席へと連れていかれる。・・・う、ぐ・・・
「?・・・どうしたの?」
「い、いや、なんもない・・・」
申し訳なさとアレが勃っちまいそうでサティアを真っ直ぐ見れない・・・くそ、どうするか・・・
「おーい、ベルン、席取ったk」
来た!ロック来た!これで(サティアの)照準が奴にぶれる!
「おぉっと寮に忘れもんして来た!取ってくるぜ!!!」
オイこらロックこの野郎サティアたちを見てから踵を返しやがっただろオイこらロックぅぅぅっ!!!
「・・・なにあいつ?」
「いいじゃん、いいじゃん。それよりベルンくん、座りなよ」
「・・・お、おう」
もう腹はくくった。俺はサティアとベーゼの席に座った。
「今日はサンドイッチ?」
「おぅ」
「ベルンくんってさ、結構小食だよね」
「そうだな」
「ベルンったら、小さい頃からそんなに食べない奴でさ。男の子たちの中で身長は普通なのに体重が少なくて、パパさんとママさんが心配してたのよ?ねぇ?」
「おぅ」
「だったらサティアがお弁当作ってあげたら?」
「そうだな」
「ばばば・・・バカ!ベーゼってばなに言って・・・というかベルンもなに言ってんの!?」
「・・・え?あ、うん・・・」
やべ、超テキトーに返事返してたらなんかおかしい発言しちまったか?
「おやおやおやぁ?ベルンくん、ポロリと出たのは本音かい?」
ニヤニヤしながらベーゼが言う・・・あ、やべ、これ、『ごめん、聞いてなかった』って言えないパターンだ。どうしよう・・・
「え、あ、うん・・・まぁ、そうだな」
「くぁwせrftgyふじこlpッ!?」
とりあえず肯定しときゃ大丈夫・・・あれ?
「ばっ・・・ばっ・・・この・・・スケコマシーーーーーーッ!!!」
『バキィッ!』
「ぐぼぁっ!?」
「ちょ!?」
サティアの尻尾のなぎ払いアタックが俺を吹き飛ばし、隣の席に突っ込んだ・・・
「わたっ、私のお弁当が食べたいなんてそんな・・・バカ!バカバカバカ!!」
「いや、ちょ、サティア!落ち着いて!そんな恥ずかしがってかぶり振ってる場合じゃないから!ベルンくん、席に突っ込んで気絶してるから!」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
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[保健室]
・・・目が覚めると、保健室で。
「ハァハァ・・・」
・・・保健室のDプリーストの先生が俺の股間を覗きこんでた。頬を赤くして鼻息荒くして。
「・・・なにしてんすか」
「あら、おはよう。もう少し寝ててもよかったのに・・・そしたら・・・じゅるり」
ナイス俺。もう少し寝てたらなんかされてた。だいたい想像できるけど、なんかされてた。
「じゃ、俺、行きますんで・・・」
「大丈夫?立てる?お姉さんに抱きついて立ち上がってもいいのよ?」
「遠慮しときます」
俺はやけに誘惑してくるDプリーストの先生を押しのけ、少し痛む頭を押さえながら保健室を出た。
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「・・・暇だな」
またぼっちになっちまった俺は、ふらふらと学校を歩き回っていた。なにか面白い施設はないもんかな・・・
「・・・ん?なんだ?」
ふと先の方で、たくさんの学生がいろんなものを運んでいた。
「・・・中庭か?」
俺は、その人たちが向かっているであろう、中庭に向かった。
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[中庭、学生購買園]
「・・・なんじゃこりゃ?」
中庭に来てみると、入学式の日に来た中庭とは一風変わっていた。
お祭りの屋台の並びのように、ズラッと店が並び、そこでちょこちょこと客が品を見ている。
もちろん、屋台レベルだから店のひとつひとつは小さく、まぁまぁ広い中庭に10店舗くらい構えられていた。しかし、気になったのは店の人だ。
どうみても、客も『店主』も学生なのだ。
「なんなんだこりゃ?」
俺の知らないイベントかなにかかな・・・誰かに聞こうかな・・・
ふと、誰も客のいないひとつの屋台に目が止まった。
「あの、すいません」
「はい、いらっさい」
対応したのは、ニカッと笑う刑部狸の学生だった。胸部分に『二回生、アカネ・ブンブク』という学生証が止められている。
「あの、この店の並びはなんなんですか?みんな学生みたいですけど・・・」
「なんや、あんさん、新入生?」
アカネさんが小首を傾げる。俺は黙って頷いた。
「ここは、『学生購買園』ゆうてな。二回生以上の人や魔物が店長になって、お店を開けるんや。中等鍛治学科や中等錬金学科とかを履修してることが条件で、鍛治師なら鍛治の材料や自分が作った武器、錬金術師なら錬金した薬なんかを売っていいんやで」
へぇ、なるほど・・・ん?
「てことは・・・これ、貴女が作ったんですか?」
俺はアカネさんの屋台を見回す。所狭しと並べられた武器がある。ショートソードやダガーに始まり、弓矢や斧、ジパングの『カタナ』やリボルバーまである。
「ちゃうちゃう。作ったんはウチの友人や。サイクロプスやドワーフの友人や。ただ、学生購買園の中では、屈指の武具店であることは誇れるで」
・・・マジか。
「すごいんですね」
「すごいやろ?さすがはウチが勧めたことはあるで!」
・・・うんうん頷いてるけど、すごいのは作った本人たちだけどなぁ・・・
「あ、褒めたからって、まけへんよ?」
「いや、そういう目的で言ったんじゃないんですけどね?」
がめついなぁ・・・
「じゃ、なんか買ってって」
「・・・はい?」
「情報料や。タダなわけあらへんやろ」
うわ。マジか。表情ひとつ変えずにサラリと言ったよこの人。
うーん・・・無視して行くのもなんだしな・・・とりあえず、リボルバーあたりを見てみるか・・・
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『店舗名:アカネの店』
『ノーマルリボルバー系一覧↓』
『ミニマムコック(22口径)
小さく、持ち運びに便利。威力は低い。5連式。
(発砲必要筋力5、連射数5)
値段:50G』
『ヴィンギナー(32口径)
普通のリボルバー。威力・装填数も平均的。6連式。
(発砲必要筋力10、連射数3)
値段:150G』
『アーミーラック(38口径)
ヴィンギナーの威力向上を図ったもの。連射性能が低下した。6連式。
(発砲必要筋力13、連射数2)
値段:250G』
『スリーアイズ(44口径)
威力を高めたリボルバー。3連式になり連射性能は低下したが、一発の威力は高い。
(発砲必要筋力16、連射数1)
値段:350G』
『ライフブレイカー(50口径)
人間が扱える最高レベルの威力を持つ銃。撃って当てるのに一苦労。まさかの1連式。
(発砲必要筋力19、連射数1)
値段:500G』
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・・・これ、高いのか安いのかわからん・・・どうなんだ?
「あんさんにはヴィンギナーがオススメやで」
「そうなんですか?」
「あんさん、新入生、『ビーギナー』、なんつってなぁ!」
・・・・・・
「・・・・・・」
・・・・・・えーと・・・・・・
「・・・ビギナーと、ヴィンギナーをかけて・・・」
「解説しなくていいです」
「・・・ぶぅ」
頬膨らまされても・・・
「ま、学科問わず、緊急用の近接武器は、持っといたほうがええよ。やから、オススメはダガーや」
いきなり真面目になった・・・なんかやりにくいな・・・
「なら、ダガーください」
「なんや一番安いの、買うんかいな。しけてんのぅ」
「あんたがオススメしたんだろうが!?」
「冗談やて!はい、お勘定。10Gや」
・・・ったく・・・財布から金を取り出し、ダガーと引き換えにアカネさんに渡した。
「まいどあり〜♪冒険学習の前にはウチんとこ来ぃや。ちぃっとはまけたるで」
「本当ですか?」
「10000Gお買い上げにつき1Gまけたる」
「おい!?」
「冗談やて!あははは!」
・・・なんか散々アカネさんに振り回された気がする・・・少ししかいなかったのに疲れた・・・
「ほんじゃ、授業きばりや〜♪」
「はいはい、ありがとうございます」
俺はさっさとその場を離れた・・・
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さて、新しい授業だな・・・
・・・地理学科って、まさか地図を覚えたりするんじゃなかろーな・・・
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「皆さん、こんにちは。地理学科を担当する『ヌァビル』です」
授業の講師はアヌビスの先生だった・・・ヌァビルって聞かねぇ名前だな・・・
「私は元々、古代遺跡の多いイージップ地域にピラミッド迷宮を構え、統括し、王の秘宝を守っていた番人です・・・要は、冒険者の敵であったわけです。
しかし、泥棒対策は泥棒が立てやすいというように、ダンジョンの設計をした私の教えは、皆さんがダンジョンをめぐる際に役に立ちます。具体的には、マップの作成、隠し部屋や罠の設置場所の推測、ダンジョンのだいたいの構造の予想などを身につけてもらいます。分かりましたか?」
へぇ・・・ダンジョン作成者が教師とはすごいな・・・リーフ先生といい、校長先生って、肩書きを気にしないんだなぁ。
「・・・質問がないようですので、さっさと授業に移らせていただきます。配布されたプリントの1ページ目を開いてください」
この授業は毎回プリントらしい。教科書を忘れることないから楽だな。
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・・・
・・・・・・
「・・・ということで、ダンジョンの構造は・・・で・・・なので・・・」
うん。楽じゃねぇ!この授業!
最初の要約だけなら中身が楽そうに思えたんだが、ところがどっこい。
先生がベラベラ喋る内容が意味わからん。なんか建築構造論だの人の精神行動論だのよくわからん論理を言われてもちっとも頭に入ってこねぇ・・・
俺の周りの奴らもみんな頭が?マークか、寝てるかの二択だ。
・・・信じられるか?開始30分で脱落者(寝落ち)半数だぜ?
「ここで、先の精神論から推定される侵入者の行動は・・・や・・・なので、ダンジョン主としては・・・や・・・を配置したり・・・や・・・を・・・」
・・・やべぇ・・・頭痛くなってきた・・・
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・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
「・・・以上、午前の講義を終了します」
・・・つ、か、れ、た・・・
聞いてるだけでこんなにも披露する講義ってそうそうない気がする・・・
「午後はマッピングの実践授業を行う。各員、『マッピング用の紙』『筆記用具』『武器や防具』を忘れぬように。以上」
・・・なに?
・・・・・・武器?
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[もふもふ亭]
ロックの奴はまだ来てないらしいな・・・先に食っちまうか。
今日は・・・そうだ、この前ロックが食ってた刑部たぬたぬのソバ屋の定食にしようかな。
「すいません」
「はいはい、いらっさい♪」
・・・あれ?
「・・・アカネ先輩?」
「おろ?朝にダガー(10G)を買ったゴロツキ青年じゃないか」
「誰がゴロツキだ」
目つきだけで人を判断すんなっつの。
「冗談やて!怒りな、怒りな。ほら、笑顔、にーっ♪」
「笑って済ましたくないんですがね・・・てか、食堂でバイトですか?」
「ちゃうちゃう。ここ、うちのおかんとおとんがやっとんねん。ウチはただ働きや」
「こら茜!サボっとらんと、はよう注文とり!」
後ろからもうひとりの刑部狸(母親?)がアカネさんの頭を小突いた。
「なんや、可愛い後輩と喋るくらい許してぇな、おかん。ちょうどお客はこの子しかおらんねんから」
「すぐようさんお客さん来るから、はよしいや」
「むぅ・・・べー。で、後輩くん、なににすんねん?」
母親さんに舌を出したあと、にかっと笑ったアカネさんが注文を聞いてきた。
「えー・・・じゃ、かけソバ定食」
「なんや、ケチくさいな。昼飯くらい高いの食いや」
「俺は貧乏学生なんです・・・あ、午後ってアカネ先輩の店開いてるんですか?」
「ん、開いとるよ?」
なら、武器はアカネさんの店で買うかな。
「次の実践授業で使う武器を買いに行きますんで、もしよかったら見繕ってくださいよ」
「へ?ホンマかいな?えぇで!」
「・・・ダジャレはいらないですからね?」
「・・・ぶぅ」
だから頬膨らまされても困りますって。
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昼休みの後は武器買いに行って・・・どうするかな?
(時間が短いため、選択肢が限られます)
1、学校をぶらつく
2、図書館で本を読む
3、学生購買園を見て回る
実践授業が終わったら・・・
(時間が短いため、以下略)
A、寮へ帰る
B、食堂へ行く
C、街へ出かける
(1ーAのように感想に2つ書いてください)
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[ベルン・トリニティ]
[ステータス]
体力 25
魔力 10
筋力 15
知識 15[■□□]
俊敏 15[■□□]
精神 15
運勢 8
容貌 15
話術 10
器用 10[■□]
察知 10[■□]
隠密 5[□]
[スキル]
種族[人間]:成長限界が魔物の1/2となる。
物知り:知識点に4ポイントボーナス
(ボーナスは今表示されてる値に加えられます)
表情[恐喝]:精神点が話し相手より高いと話術に10ポイントダウンボーナス
解錠スキル Lv1
片手銃スキル Lv1
12/03/28 22:50更新 / ganota_Mk2
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