二日目、午後(ちょっと微エロ?あり)
・・・しくった。実践授業のことを忘れてた・・・
いや、授業自体があることは覚えてたんだが・・・
「・・・さっきはよくも逃げてくれやがったなぁ?」
こいつだよ。
ファローが実践授業のある射撃訓練室の入り口前で仁王立ちしてやがるよ。
「さぁ、ここでタイマン張ってもらおうか!」
「待て。待ってくれ。俺はな、マトモな戦闘学科受けてないんだ。おそらくお前はガンナーだろ?格闘家学科のお前と俺じゃ、俺が絶対的に不利だ。だから、俺の負けでいいから、タイマンは張りたくない」
「・・・む・・・」
・・・お、ファローが考え始めたぞ?これは丸く収まってくれるか?
「・・・分かった。タイマンはやめてやるよ」
おぉ、やっt
「なら、実践授業で勝負だッ!」
・・・はい?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「よし、集まったな。これより、『軽銃器学科』の実践授業を始める。今回の実践授業では学校から支給されたリボルバー『ヴィンギナー』を使用し、両手撃ちを教える。装填数は6発、最大射程距離は50m、マトモなダメージを与えられる射程距離は最大20mである。では、まずは両手撃ちである。20m先の的を狙い、各自射撃訓練を開始!装填された全ての弾を発射した者は、リボルバーを机に置くこと!」
レッサーサキュバスの軍服先生が叫ぶ。
俺たち生徒は横一列に並ばされ、目の前には机があってリボルバーがあり、遠くには円形の的があった。
「あんな遠くにまで弾って届くんだな・・・」
ポツリと俺がそう漏らすと・・・
『ガゥーンッ!』
「うぉっ!?」
いきなり左で発砲音。
つい左を見ると、ファローがニヤリとしていた。
「どっちがより真ん中に近い場所に当てるか、勝負しようじゃないか。これなら公平だろ?」
・・・なるほどね・・・ま、やり合うわけではないからいいか・・・って。
「・・・なぁ、いいのか、その勝負で」
「あぁん?どういう意味だ?」
「いや・・・」
俺は、ファローが狙った的を指差して言った。
「・・・あんたの撃った弾、見事に的に当たってないんだが」
「・・・え?」
ファローがばっと首をまわして的を見る。
・・・的に穴が空いてなかった。
「なんだとぉぉぉぉぉぉっ!?」
・・・そんな難しいのかね、的に当てるの?
リボルバーを手に取り、片手でしっかりと持ち、もう片手で支えて・・・引き金を引く!
『ガゥーンッ!』
・・・ありゃ?
「ぎゃはははは!お前も外してるじゃねぇか!」
「う、うるせぇ・・・」
あ、あたらねぇ・・・見事に的はサラピン状態だ。
「まずはオレ様が当ててやるよ!」
「俺だって負けねぇぞ!」
こうなりゃ勝負なんか関係ねぇ!なんとかして当てねぇと!
俺は再度リボルバーを構え直し、リボルバーの引き金を引いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・・・ほんの数分後。
「・・・あなた達、一発も当たらなかったの?」
『はい、すいません』
俺とファローが先生に呆れられていた。
ちなみに他の生徒たちはリロード練習に取りかかり、リロードを終えた者は再度射撃訓練を行っていた。
「・・・まったく。二人とも、まずはリロードをしなさい」
「はい・・・」
俺はシリンダー(弾を入れる筒部分)を開け、エジェクターロッド(薬莢を排出するための棒)を押し、薬莢を出した。
『パキン』
・・・あ?
「げ・・・」
横をみると、ファローのリボルバーのエジェクターロッドが折れていた。
「・・・はぁ」
先生がため息を吐く。
「い、いや、オレは普通に押しただけ・・・」
「力の込め方が粗い。エジェクターロッドは折れやすいのだ。気をつけなさい」
「・・・はい・・・」
ファローが怒られてる間、俺はさっさとシリンダーに弾を込めた。
『カチャン』
「よし・・・先生、リロードできました」
「うむ・・・では、交代で撃ち方の指導を行う。まずは君、撃ちなさい」
・・・ん?交代?
・・・なんか引っかかるが、とりあえず机の前に行き、リボルバーを構えた。
「待て。君は構えた際に身体の向きが正面である上に銃の位置が身体の真ん中だから、視認してる命中点と実際の命中点が違うのだ。身体の向きを傾け、利き腕を伸ばし、反利き腕を利き腕を下から支えるようにしなさい」
え?お?利き腕を伸ばす?で、反利き腕を下から支える?こ、こうかな・・・
・・・お、サイトの見え方が変わった。
『ガゥーンッ!』
『バスッ!』
「おぉっ!」
当たった!しかも結構いい位置!
「よし、次はミノタウロス。彼から拳銃をもらいなさい」
『・・・へ?』
俺とファローがハモった。しかし、先生は平喘としている。
「ほら、さっさとヴィンギナーを渡しなさい」
「・・・は、はぁ・・・」
「チッ、てめえの銃でやんのかよ」
俺はファローにリボルバーを渡す。ファローは悪態をつきながらもさっきの俺と同じように構えた。
「ふむ、姿勢はいい。撃ってみよ」
「へへっ、ド真ん中に当ててやるぜ!」
『ガゥーンッ!』
『バスッ!』
・・・あらら。
「・・・あっれぇ?」
「撃つ直前に集中力を切らすな馬鹿者!」
ファローの放った弾は俺の弾より外側に穴を開けてしまった。
「チキショウ!次はド真ん中に当ててやる!」
もう一度ファローが構えて、リボルバーを放った。
「はぁ・・・君、あのミノタウロスと共に撃ち方を勉強するように。私は別の生徒を見なければならない」
「は、はぁ・・・」
先生はさっさと他の生徒のもとへ歩いて行ってしまった。俺がファローに視線を戻すと、未だ的は外側ばかり穴が空いていた。
「う〜・・・くそぅ・・・」
「あー、あのよ、お前は姿勢がいいけど、引き金を引く際に手首が曲がってんじゃね?」
横からファローの手首を握ってやった。
「わっ・・・!?」
「こう・・・なんつーかな、お前、他の指にも力入れすぎて、引き金を引く時にぐっと握った瞬間に力込めすぎて銃の本体が傾いてごばぁっ!?」
おもっくそファローの裏拳をくらってしまった。しかもリボルバー持った方。てか殴られる理由なくね!?
「おっ、オレ様に気安くさわんじゃねーよ!バーカ!////」
・・・なんで顔真っ赤なんだ?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「・・・全員、整列!」
・・・途中からファローがほぼ独占してリボルバーを握っていたため、俺はあまり撃たなかったが・・・成績は上々だった。
「全員、本日は両手撃ちをしてもらったが、各々感覚は掴めたと思う。しかし、片手撃ちをする場合はもっと有効射程距離が短くなる。リボルバーならばだいたい5mである。そのことを頭にいれておくように。来週はリボルバーの片手撃ちに挑戦してもらう。
では、そこのミノタウロス以外、解散!」
「・・・ちぃ・・・」
・・・ファローのみ、成績悪すぎで残された。真ん中近くに一発も入らなかった。
「て、てめえ、覚えてろ!次に会ったときはタイマンはっ・・・」
「ミノタウロス!早くこっちへ来なさい!」
「・・・はい、すいません・・・」
俺に悪態をついたあと、しょんぼりして先生の元へ行っていた・・・なんか可哀想だな・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[学園図書館]
さて、ロックもサティアも4コマあるらしいし、暇んなったなー・・・
よし、図書館に行って本でも漁ろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・・・で、図書館に来たんだが。
「うっ・・・くっ・・・」
魔術書物の棚で、つま先で立ち上がりながらぷるぷる足を震わせて必死に棚の一番上の書物を取ろうとしているエルフの子を見つけた。
ほっとくわけにもいかんし、とりあえず本をとってやろう。俺ならギリギリ届く。
『ひょいっ』
「あ・・・?」
「はい。どうz」
「さっ、触らないで!変態!!」
・・・え?
「あ。あの・・・?」
「やめて!近づかないで!犯されるぅっ!」
『ざわ・・・ざわ・・・』
え、ちょ、ま!?なに?なんなんだよ!?俺は本を取ってやっただけだぞ!?本読んでた奴らまで集まって来やがった!?
「ちょっと?君?一体なにしたの?」
はっ!?図書館の人が来てくれた!
「いや、俺は・・・」
「この不良が私を助けたフリをして犯そうとしてきたの!!」
「違ぇよ!無茶苦茶言うな!」
なんなんだこのエルフ!?俺を痴漢扱いするようなこと言いやがって!
「・・・あー?君?ちょっと図書館から出て学生警護センターまで行こうか?」
そして疑われる俺。
(学生警護センターは学園でのトラブルを管轄する機関、要は警察代わり)
「いや!違いますって!俺はそんなつもりなかったんですって!!第一、俺は本を取ってあげただけだ!」
「しかし火のないとこにはなんとやらと言うじゃないか。本を取ってあげた際になにかしたんじゃないか?」
「そんなことないです!!」
「とりあえず、警護センターまで行こう」
だ、ダメだ・・・完全に俺がなんかやった前提で話を進めてやがる・・・だ、誰か!助けてくれぇ・・・
「・・・何かあったのかしら?」
「お姉様!」
・・・お姉様?
「お姉様!あの男が私に痴漢を働こうとしたんです!」
「・・・はぁ、またなの『シルク』?ホントに?」
「本当です!きっと、あの男が取った本を私が受け取ったら、あの男、私を本棚の影に連れ込んで・・・」
エルフの子がダークエルフの人になんか話してる・・・ヤバい、向こうの味方が増えちまうのか!?
「はぁ・・・シルク、また貴女の妄想で人を痴漢扱いしないの。迷惑でしょう?」
・・・お?
「いいえ、お姉様!そんなことないですわ!」
「少し黙ってなさい。すいません、妹の過剰反応だと思いますので、その方は何もしてません」
「え?あの、貴女は・・・」
「ダークエルフの『カンバス・メライア』ですわ。この子は妹の『シルク・メライア』。その方は知りませんけど、うちの妹、魔物には珍しい『男性恐怖症』を患ってますの。いや・・・恐怖症というより、『妄想癖』かもしれませんけど・・・とりあえず、90%、その方は無実ですわ」
・・・残り10%くらいは疑われてもしょうがねぇか。うん、こんな見た目だしな、ははは・・・
「そうですか・・・わかりました。ただ、なにかトラブルがあれば、学生警護センターへ行ってください」
「えぇ、もちろん。この方が本当にどうしようもない痴漢、青姦フェチで、うちの妹に(バキューン!)や(ピチューン)なことをしようとしてたなら(ガゥーン!)して(バリバリバリィ)してから(チーン)を(デデーン)してからお送りしますわ」
おい。このダークエルフ、すげぇ怖いこと言い始めてるんですが?
「それでは、失礼します」
「ご迷惑おかけして、すいませんでした」
ダークエルフの・・・カンバスさん?がお辞儀して、図書館の人が去ると、カンバスさんは今度は俺とエルフ・・・シルクさんの方に向き直った。
「さて・・・事情説明のため、外に行きましょ。ここだと、読書してる方々に迷惑だわ」
カンバスさんがにっこり笑うが・・・俺の話を信用してくれるんだろうか・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「全面的にシルクが悪いわ」
よかった。信用してくれた。
「そんな!お姉様!」
「そんなもあんなもこんなもないわ。貴女が勝手に妄想して叫び散らしただけじゃないの。どうせ、『この本を誰か取ってくれないかな。あ、でも男の人だったら、見返りにあんなことやこんなことをされちゃうかも』とか考えてる最中にベルンくんが本を取ったんでしょ?」
「そそそそんなことあらりません!」
うっわー。わかりやすー。シルク、すんごい動揺してるよ。
あ、ちなみに、今俺たちは図書館外にある喫茶店にいる。こんなんまであるとか、学園内で十分数年間すごせるだろ・・・
で、喫茶店でお互いの紹介は済ませといた。ダークエルフのカンバスさんは二回生。ミルキィ先輩と同学年というわけだ。エルフのシルクは俺と同じ一回生、つーか新入生だ。
「ごめんね、ベルンくん。うちの妹が騒ぎ散らして迷惑かけて」
「いいんですよ、誤解さえ解ければこっちとしては何の問題もありませんし」
「妹に代わって、なにか謝罪がしたいわ。なにかないかしら?」
「いやいや、いいですよ」
・・・下手な要求すると、シルクがまた叫び始めそうだしな・・・
「うーん・・・あ、じゃあ、冒険講習の際に、呼んでくれたら力になるわ。私、『エレメンタラー』だから、前衛、後衛、どちらでもいけるわよ」
『職業:エレメンタラー(精霊使い)
魔術師学科を特化した魔術師専攻学科から派生する職業。
固有スキル『精霊召喚』によりウンディーネやイグニスなどの精霊を呼び出し、様々な恩恵を受けることができる。
距離を問わず活躍できるが、魔力素質が高くないとそもそも学科を受けられない。
評価レベル
近距離戦闘 ★★★★
遠距離戦闘 ★★★★
サポート面 ★★★』
『注:魔力素質について。
この世界では、魔法についての素質が生まれながらに決まっている。魔力素質が高いほど魔力が高く、高度な魔法が使える。装備品で強化することはできるが、限度がある。
魔法レベル 0・・・魔力がほとんどない、もしくは全くなく、そもそも魔法が使えない。(該当者:ロック、フェラン、ファロー、リーフ先生)
魔法レベル 1・・・魔力が少しあり、下級魔法なら使用可能。(該当者:ベルン、ミルキィ、ラトラ)
魔法レベル2・・・魔力がある程度あり、中級魔法が使える。(該当者:サティア)
魔法レベル3・・・魔力がみなぎっており、上級魔法を使用できる。(該当者:クラリア、ベーゼ、シルク)
魔法レベル4・・・魔力が有り余るほどあり、ほぼすべての魔法を難なく使用でき、さらに今では難しくなった魔物を呼び出す召喚魔法が使える。(該当者:カンバス、ファ先生)
魔法レベル5・・・魔王レベル。もはや到達することさえ難しい。(該当者:???)』
・・・ん?
「あの、冒険講習でって、どういう・・・?」
「お、お姉様!?こんな男にお姉様の時間を割くなど・・・」
「黙ってなさい、シルク。貴女のお尻を拭ってあげてるのよ?口だしする権利は与えません」
「・・・はい」
あ、シルクがしょぼんってなった。姉妹の上下関係はしっかりしてるようだな。
「で、ベルンくん。冒険講習でってのは、文字通りよ。実はね、冒険講習は回生をまたいだパーティを作ってもいいの。ま、一回生のやる冒険講習なんて難度が低いからだいたいの上回生は嫌がるし、先生からの評価もあまり良くないけどね」
なるほど・・・ま、喜んで組んでくれる人なんてそうそういな・・・
『ベルンく〜ん♥』
・・・脳内でひとり思いついたけど、除外しよう。うん。申し訳ないから。
「ありがとうございます。気持ちだけ受け取っておきます」
「あらそう?・・・あ、ちなみにシルクは『ハンター』だから、こっちなら同回生として誘いやすいでしょ?」
『職業:ハンター(狩人)
弓矢による遠距離戦が可能な戦士学科。
遠距離武器を装備すると近距離が疎かになりがちなデメリットを固有スキル『装備早換え』により素早く武器を持ち替え、近距離にも対応できるようになっている。また、魔術学科を取れば魔法の矢が、錬金学科をとれば毒矢を使用できる。
ただ、所持できる近距離武器が制限され、弓矢は銃器より威力が低いというどっちつかずな性能を持つ。
評価レベル
近距離戦闘 ★★★
遠距離戦闘 ★★★
サポート面 ★★』
「ちょ、お姉様!?」
「いい機会よ、シルク。ベルンくんと一緒に冒険して、その過剰妄想癖を治す努力をしなさい」
・・・なんか、俺の都合無視で話が進むけど、ま、いいか・・・
「じゃ、じゃあ、俺はこれで・・・図書館で読みたい本があったので・・・」
「あ、待って」
「はい?なんですか、カンバスさ」
『ちゅっ♥』
・・・はぃ?
「お詫びのキス♥頬っぺたで我慢してね?それじゃ、ごきげんよう♥」
「・・・え!?ちょ!?お姉様!?今、なにをなさったんです!?お姉様ぁっ!?」
・・・へ???え???
・・・このあと、図書館で本を読んだけど、全く頭に入ってこなかった・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[もふもふ亭]
「・・・おい」
・・・・・・
「・・・おい、ベルン」
・・・・・・
「・・・おいこら、不良」
「誰が不良だよ」
『ずびしっ!』
目の前で可愛い狸がプリントされた刑部ソバ(もふもふ亭内の『刑部たぬたぬのソバ屋』のメニュー)をすするロックの額に拳を入れた。
「んごぁっ・・・こ、これには素早く反応すんのかよ・・・」
「うっせぇ。で、なんだよ?」
「なんだよもクソもねぇよ。お前、全く食ってねぇじゃねぇか」
あ・・・そうか、食ってなかった。
「どうしたんだよ?腹でも痛いのか?」
「いや・・・ちょっと衝撃的なことがあってさ・・・」
「どんなんだよ?」
「えっとな・・・」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
授業・図書館での出来事を話し中
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「なんだとぉぉぉっ!?褐色美人のお姉様に頬っぺチューしてもらっただとぉっ!?」
「声でけぇようるせぇよ・・・」
しかもそこかよ・・・そこはついでで言ったろうが。
「ま、精神的にちょっと疲れたんだよ」
「お前・・・まったくそんな桃色イベントがない俺に当てつけか?」
「・・・学科でしつこく女友達を作ろうとしてドン引きされてるんだろ?・・・いや、そんな『こいつ、何故わかったんだ?』みたいな顔すんなよ。高校からそうだったろうが」
・・・今日の夕食は特になにもなく、ロックとバカ話しながら過ごした・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[ガーゴイル寮 312]
・・・で、飯を食って部屋でゆっくりしてた時・・・
「ベルン!大浴場行こうぜ!」
ちょっと外に出ていたロックが部屋に入った途端、大声で叫んだ。
「は?」
「寮にはひとつ、大浴場が備えられてんだって!行こうぜ!」
「お前、そんな綺麗好きだっけ?」
俺らは風呂は食後にささっと入るのが普通なので、すでに部屋にあった風呂で入ったんだが。
「バッカ!そうじゃねぇよ!なんでこの寮の大浴場行くんだよ!」
「・・・は?」
嫌な予感がしながらも、聞き返した。すると、ロックはニヤリとした。
「女子寮の大浴場だよ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[アルラウネ寮、外]
なんで来たんだろう、俺・・・
「調べによると、寮の大浴場の位置はみんな同じで、外の景色が見えるよう、ガラス張りになってんだってさ」
「お前、勉強の予習とかしないくせに、こういうことは準備いいのな」
「男のロマンだからな(キリッ」
・・・こいつと友達なのが、一瞬分かった。
え?覗きは男のロマンだろ?
「こっちだ」
「おう」
俺たちは、自分の服とかが汚れるのを気にせず、ゆっくり匍匐前進して行った。
ーーーーーーーーーーーーー
[???、難度10]
[ベルン察知点10、成功!]
ーーーーーーーーーーーーー
「・・・待て!」
俺は先を行くロックの服の裾を掴んだ。
「なんだよ?まさか今から帰るなんて・・・」
「違う!それ、それ!」
「それ?」
ロックが俺の指差した方を見た。
その先には、何かの蔦がピンと張ってあった。
「これ・・・なんだ?」
「たぶん、トラップだと思う。引っかかったらバレるだろ」
「なるほど・・・あぶねぇあぶねぇ・・・」
俺たちは蔦を避け、またじりじりと進んで行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(唐突ですが、ここから作者視点となります。ご注意ください)
[アルラウネ寮、大浴場]
「あぁ、気持ちい〜♪」
大浴場の広い浴槽。外が見えるガラスを前にして、サティアが顔を緩ませて浸かっていた。
浴槽に浸かっているのは胸から下である。なんとサティアの大きな双乳はその北半球がぷかりと浮かび、あとちょこっとでピンクのアレが見えそうになりそうだった。
「気持ちいいねぇ〜♪」
その横にはベーゼが浸かっており、湯船の中の段々になっているところに座り、頭だけが覗いていた。
「・・・ベーゼってさ、意外と綺麗好きだよね」
「・・・なにそれ?ベルゼブブは不潔好きっていうこと?あいにく、自分の身は綺麗にしておきたいのは女の子として当たり前じゃないか」
「じゃあ、部屋片付けてよ」
「断る(キリッ」
「・・・はぁ」
サティアがため息をついて身体を前に屈めると、浮いていた胸も沈んでいった。垂れているわけではないようだ。
「・・・じ〜〜っ」
ふとベーゼがサティアのその胸を見つめた。
「・・・なに?」
「サティアのそれさ、メデューサとしてでもなく、でっかいよね。サイズなによ?」
「な、なんでそんなん気にすんのよ?」
「いいじゃん、教えてよ」
「やーよ」
「ふ〜ん・・・なら実力行使だ!」
『むにゅん♪』
いきなり、ベーゼが持ち前のスピードでサティアの後ろに回り込み、その巨乳をした側から揉み上げた。
「・・・へ?ぁ、きゃあぁぁぁっ!?////」
一瞬なにが起きたか分からなかったのか、それともフリーズしたのか、サティアは一拍ほど置いてから、大きな叫び声を上げ、ぶんぶんと身体を揺すった。
「ばっ!ベーゼ!離して!やぁめぇてぇぇぇぇっ!」
「ん〜・・・これは、D?いや・・・まさかのEか?」
「やぁんもぉっ!////」
激しくサティアが身体を振るうも、ベーゼはがっちりと掴み、揉んでサイズを手探りで確かめる。
「い、い、か、げ、ん、にっ!」
『ザバァッ!』
「お?」
「しろぉっ!」
『だっ、ぱーーん!!』
とうとうキレたサティアが立ち上がり、ベーゼを思いっきり背負い投げした。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ!」
身体を立たせたサティアは、ガラスを正面にして、上半身どころか、ワレメさえ見えるくらい立ち上がっていた。
「たははは・・・ごめんごめん。ちょっと調子乗った」
「もうっ!帰る!」
「あ、ごめんってば、サティアぁ〜!」
怒ってヘソを曲げたサティアを追いかけて、ベーゼとサティアは大浴場を出て行った・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここからベルン視点へ)
[ガーゴイル寮 312]
「・・・」
「・・・」
俺とロックは、帰ってなにも話さずにベッドに入り、灯りを消して寝ていた。
「・・・ベルン」
「・・・なんだよ」
ロックが口を開いた。俺も眠れてなかったので、口を開いた。
「・・・でかかったな」
「・・・あぁ、でかかった」
「ピンクだったな」
「色白だったな」
「アレまで見ちまったな」
「・・・あぁ・・・」
その後、ふたりで沈黙。
「・・・なぁ、ベルン」
「なんだよ?」
「オナってい「やめろ。」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
明日は・・・2コマからか。
飯の後(8時〜10時30分)、どうしようかな?
1、一旦寮に帰る
2、学校を散策する
3、図書館で本を漁る
4、食堂へ行く
5、街へ出かける
いや、授業自体があることは覚えてたんだが・・・
「・・・さっきはよくも逃げてくれやがったなぁ?」
こいつだよ。
ファローが実践授業のある射撃訓練室の入り口前で仁王立ちしてやがるよ。
「さぁ、ここでタイマン張ってもらおうか!」
「待て。待ってくれ。俺はな、マトモな戦闘学科受けてないんだ。おそらくお前はガンナーだろ?格闘家学科のお前と俺じゃ、俺が絶対的に不利だ。だから、俺の負けでいいから、タイマンは張りたくない」
「・・・む・・・」
・・・お、ファローが考え始めたぞ?これは丸く収まってくれるか?
「・・・分かった。タイマンはやめてやるよ」
おぉ、やっt
「なら、実践授業で勝負だッ!」
・・・はい?
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「よし、集まったな。これより、『軽銃器学科』の実践授業を始める。今回の実践授業では学校から支給されたリボルバー『ヴィンギナー』を使用し、両手撃ちを教える。装填数は6発、最大射程距離は50m、マトモなダメージを与えられる射程距離は最大20mである。では、まずは両手撃ちである。20m先の的を狙い、各自射撃訓練を開始!装填された全ての弾を発射した者は、リボルバーを机に置くこと!」
レッサーサキュバスの軍服先生が叫ぶ。
俺たち生徒は横一列に並ばされ、目の前には机があってリボルバーがあり、遠くには円形の的があった。
「あんな遠くにまで弾って届くんだな・・・」
ポツリと俺がそう漏らすと・・・
『ガゥーンッ!』
「うぉっ!?」
いきなり左で発砲音。
つい左を見ると、ファローがニヤリとしていた。
「どっちがより真ん中に近い場所に当てるか、勝負しようじゃないか。これなら公平だろ?」
・・・なるほどね・・・ま、やり合うわけではないからいいか・・・って。
「・・・なぁ、いいのか、その勝負で」
「あぁん?どういう意味だ?」
「いや・・・」
俺は、ファローが狙った的を指差して言った。
「・・・あんたの撃った弾、見事に的に当たってないんだが」
「・・・え?」
ファローがばっと首をまわして的を見る。
・・・的に穴が空いてなかった。
「なんだとぉぉぉぉぉぉっ!?」
・・・そんな難しいのかね、的に当てるの?
リボルバーを手に取り、片手でしっかりと持ち、もう片手で支えて・・・引き金を引く!
『ガゥーンッ!』
・・・ありゃ?
「ぎゃはははは!お前も外してるじゃねぇか!」
「う、うるせぇ・・・」
あ、あたらねぇ・・・見事に的はサラピン状態だ。
「まずはオレ様が当ててやるよ!」
「俺だって負けねぇぞ!」
こうなりゃ勝負なんか関係ねぇ!なんとかして当てねぇと!
俺は再度リボルバーを構え直し、リボルバーの引き金を引いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・・・ほんの数分後。
「・・・あなた達、一発も当たらなかったの?」
『はい、すいません』
俺とファローが先生に呆れられていた。
ちなみに他の生徒たちはリロード練習に取りかかり、リロードを終えた者は再度射撃訓練を行っていた。
「・・・まったく。二人とも、まずはリロードをしなさい」
「はい・・・」
俺はシリンダー(弾を入れる筒部分)を開け、エジェクターロッド(薬莢を排出するための棒)を押し、薬莢を出した。
『パキン』
・・・あ?
「げ・・・」
横をみると、ファローのリボルバーのエジェクターロッドが折れていた。
「・・・はぁ」
先生がため息を吐く。
「い、いや、オレは普通に押しただけ・・・」
「力の込め方が粗い。エジェクターロッドは折れやすいのだ。気をつけなさい」
「・・・はい・・・」
ファローが怒られてる間、俺はさっさとシリンダーに弾を込めた。
『カチャン』
「よし・・・先生、リロードできました」
「うむ・・・では、交代で撃ち方の指導を行う。まずは君、撃ちなさい」
・・・ん?交代?
・・・なんか引っかかるが、とりあえず机の前に行き、リボルバーを構えた。
「待て。君は構えた際に身体の向きが正面である上に銃の位置が身体の真ん中だから、視認してる命中点と実際の命中点が違うのだ。身体の向きを傾け、利き腕を伸ばし、反利き腕を利き腕を下から支えるようにしなさい」
え?お?利き腕を伸ばす?で、反利き腕を下から支える?こ、こうかな・・・
・・・お、サイトの見え方が変わった。
『ガゥーンッ!』
『バスッ!』
「おぉっ!」
当たった!しかも結構いい位置!
「よし、次はミノタウロス。彼から拳銃をもらいなさい」
『・・・へ?』
俺とファローがハモった。しかし、先生は平喘としている。
「ほら、さっさとヴィンギナーを渡しなさい」
「・・・は、はぁ・・・」
「チッ、てめえの銃でやんのかよ」
俺はファローにリボルバーを渡す。ファローは悪態をつきながらもさっきの俺と同じように構えた。
「ふむ、姿勢はいい。撃ってみよ」
「へへっ、ド真ん中に当ててやるぜ!」
『ガゥーンッ!』
『バスッ!』
・・・あらら。
「・・・あっれぇ?」
「撃つ直前に集中力を切らすな馬鹿者!」
ファローの放った弾は俺の弾より外側に穴を開けてしまった。
「チキショウ!次はド真ん中に当ててやる!」
もう一度ファローが構えて、リボルバーを放った。
「はぁ・・・君、あのミノタウロスと共に撃ち方を勉強するように。私は別の生徒を見なければならない」
「は、はぁ・・・」
先生はさっさと他の生徒のもとへ歩いて行ってしまった。俺がファローに視線を戻すと、未だ的は外側ばかり穴が空いていた。
「う〜・・・くそぅ・・・」
「あー、あのよ、お前は姿勢がいいけど、引き金を引く際に手首が曲がってんじゃね?」
横からファローの手首を握ってやった。
「わっ・・・!?」
「こう・・・なんつーかな、お前、他の指にも力入れすぎて、引き金を引く時にぐっと握った瞬間に力込めすぎて銃の本体が傾いてごばぁっ!?」
おもっくそファローの裏拳をくらってしまった。しかもリボルバー持った方。てか殴られる理由なくね!?
「おっ、オレ様に気安くさわんじゃねーよ!バーカ!////」
・・・なんで顔真っ赤なんだ?
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「・・・全員、整列!」
・・・途中からファローがほぼ独占してリボルバーを握っていたため、俺はあまり撃たなかったが・・・成績は上々だった。
「全員、本日は両手撃ちをしてもらったが、各々感覚は掴めたと思う。しかし、片手撃ちをする場合はもっと有効射程距離が短くなる。リボルバーならばだいたい5mである。そのことを頭にいれておくように。来週はリボルバーの片手撃ちに挑戦してもらう。
では、そこのミノタウロス以外、解散!」
「・・・ちぃ・・・」
・・・ファローのみ、成績悪すぎで残された。真ん中近くに一発も入らなかった。
「て、てめえ、覚えてろ!次に会ったときはタイマンはっ・・・」
「ミノタウロス!早くこっちへ来なさい!」
「・・・はい、すいません・・・」
俺に悪態をついたあと、しょんぼりして先生の元へ行っていた・・・なんか可哀想だな・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[学園図書館]
さて、ロックもサティアも4コマあるらしいし、暇んなったなー・・・
よし、図書館に行って本でも漁ろう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
・・・で、図書館に来たんだが。
「うっ・・・くっ・・・」
魔術書物の棚で、つま先で立ち上がりながらぷるぷる足を震わせて必死に棚の一番上の書物を取ろうとしているエルフの子を見つけた。
ほっとくわけにもいかんし、とりあえず本をとってやろう。俺ならギリギリ届く。
『ひょいっ』
「あ・・・?」
「はい。どうz」
「さっ、触らないで!変態!!」
・・・え?
「あ。あの・・・?」
「やめて!近づかないで!犯されるぅっ!」
『ざわ・・・ざわ・・・』
え、ちょ、ま!?なに?なんなんだよ!?俺は本を取ってやっただけだぞ!?本読んでた奴らまで集まって来やがった!?
「ちょっと?君?一体なにしたの?」
はっ!?図書館の人が来てくれた!
「いや、俺は・・・」
「この不良が私を助けたフリをして犯そうとしてきたの!!」
「違ぇよ!無茶苦茶言うな!」
なんなんだこのエルフ!?俺を痴漢扱いするようなこと言いやがって!
「・・・あー?君?ちょっと図書館から出て学生警護センターまで行こうか?」
そして疑われる俺。
(学生警護センターは学園でのトラブルを管轄する機関、要は警察代わり)
「いや!違いますって!俺はそんなつもりなかったんですって!!第一、俺は本を取ってあげただけだ!」
「しかし火のないとこにはなんとやらと言うじゃないか。本を取ってあげた際になにかしたんじゃないか?」
「そんなことないです!!」
「とりあえず、警護センターまで行こう」
だ、ダメだ・・・完全に俺がなんかやった前提で話を進めてやがる・・・だ、誰か!助けてくれぇ・・・
「・・・何かあったのかしら?」
「お姉様!」
・・・お姉様?
「お姉様!あの男が私に痴漢を働こうとしたんです!」
「・・・はぁ、またなの『シルク』?ホントに?」
「本当です!きっと、あの男が取った本を私が受け取ったら、あの男、私を本棚の影に連れ込んで・・・」
エルフの子がダークエルフの人になんか話してる・・・ヤバい、向こうの味方が増えちまうのか!?
「はぁ・・・シルク、また貴女の妄想で人を痴漢扱いしないの。迷惑でしょう?」
・・・お?
「いいえ、お姉様!そんなことないですわ!」
「少し黙ってなさい。すいません、妹の過剰反応だと思いますので、その方は何もしてません」
「え?あの、貴女は・・・」
「ダークエルフの『カンバス・メライア』ですわ。この子は妹の『シルク・メライア』。その方は知りませんけど、うちの妹、魔物には珍しい『男性恐怖症』を患ってますの。いや・・・恐怖症というより、『妄想癖』かもしれませんけど・・・とりあえず、90%、その方は無実ですわ」
・・・残り10%くらいは疑われてもしょうがねぇか。うん、こんな見た目だしな、ははは・・・
「そうですか・・・わかりました。ただ、なにかトラブルがあれば、学生警護センターへ行ってください」
「えぇ、もちろん。この方が本当にどうしようもない痴漢、青姦フェチで、うちの妹に(バキューン!)や(ピチューン)なことをしようとしてたなら(ガゥーン!)して(バリバリバリィ)してから(チーン)を(デデーン)してからお送りしますわ」
おい。このダークエルフ、すげぇ怖いこと言い始めてるんですが?
「それでは、失礼します」
「ご迷惑おかけして、すいませんでした」
ダークエルフの・・・カンバスさん?がお辞儀して、図書館の人が去ると、カンバスさんは今度は俺とエルフ・・・シルクさんの方に向き直った。
「さて・・・事情説明のため、外に行きましょ。ここだと、読書してる方々に迷惑だわ」
カンバスさんがにっこり笑うが・・・俺の話を信用してくれるんだろうか・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「全面的にシルクが悪いわ」
よかった。信用してくれた。
「そんな!お姉様!」
「そんなもあんなもこんなもないわ。貴女が勝手に妄想して叫び散らしただけじゃないの。どうせ、『この本を誰か取ってくれないかな。あ、でも男の人だったら、見返りにあんなことやこんなことをされちゃうかも』とか考えてる最中にベルンくんが本を取ったんでしょ?」
「そそそそんなことあらりません!」
うっわー。わかりやすー。シルク、すんごい動揺してるよ。
あ、ちなみに、今俺たちは図書館外にある喫茶店にいる。こんなんまであるとか、学園内で十分数年間すごせるだろ・・・
で、喫茶店でお互いの紹介は済ませといた。ダークエルフのカンバスさんは二回生。ミルキィ先輩と同学年というわけだ。エルフのシルクは俺と同じ一回生、つーか新入生だ。
「ごめんね、ベルンくん。うちの妹が騒ぎ散らして迷惑かけて」
「いいんですよ、誤解さえ解ければこっちとしては何の問題もありませんし」
「妹に代わって、なにか謝罪がしたいわ。なにかないかしら?」
「いやいや、いいですよ」
・・・下手な要求すると、シルクがまた叫び始めそうだしな・・・
「うーん・・・あ、じゃあ、冒険講習の際に、呼んでくれたら力になるわ。私、『エレメンタラー』だから、前衛、後衛、どちらでもいけるわよ」
『職業:エレメンタラー(精霊使い)
魔術師学科を特化した魔術師専攻学科から派生する職業。
固有スキル『精霊召喚』によりウンディーネやイグニスなどの精霊を呼び出し、様々な恩恵を受けることができる。
距離を問わず活躍できるが、魔力素質が高くないとそもそも学科を受けられない。
評価レベル
近距離戦闘 ★★★★
遠距離戦闘 ★★★★
サポート面 ★★★』
『注:魔力素質について。
この世界では、魔法についての素質が生まれながらに決まっている。魔力素質が高いほど魔力が高く、高度な魔法が使える。装備品で強化することはできるが、限度がある。
魔法レベル 0・・・魔力がほとんどない、もしくは全くなく、そもそも魔法が使えない。(該当者:ロック、フェラン、ファロー、リーフ先生)
魔法レベル 1・・・魔力が少しあり、下級魔法なら使用可能。(該当者:ベルン、ミルキィ、ラトラ)
魔法レベル2・・・魔力がある程度あり、中級魔法が使える。(該当者:サティア)
魔法レベル3・・・魔力がみなぎっており、上級魔法を使用できる。(該当者:クラリア、ベーゼ、シルク)
魔法レベル4・・・魔力が有り余るほどあり、ほぼすべての魔法を難なく使用でき、さらに今では難しくなった魔物を呼び出す召喚魔法が使える。(該当者:カンバス、ファ先生)
魔法レベル5・・・魔王レベル。もはや到達することさえ難しい。(該当者:???)』
・・・ん?
「あの、冒険講習でって、どういう・・・?」
「お、お姉様!?こんな男にお姉様の時間を割くなど・・・」
「黙ってなさい、シルク。貴女のお尻を拭ってあげてるのよ?口だしする権利は与えません」
「・・・はい」
あ、シルクがしょぼんってなった。姉妹の上下関係はしっかりしてるようだな。
「で、ベルンくん。冒険講習でってのは、文字通りよ。実はね、冒険講習は回生をまたいだパーティを作ってもいいの。ま、一回生のやる冒険講習なんて難度が低いからだいたいの上回生は嫌がるし、先生からの評価もあまり良くないけどね」
なるほど・・・ま、喜んで組んでくれる人なんてそうそういな・・・
『ベルンく〜ん♥』
・・・脳内でひとり思いついたけど、除外しよう。うん。申し訳ないから。
「ありがとうございます。気持ちだけ受け取っておきます」
「あらそう?・・・あ、ちなみにシルクは『ハンター』だから、こっちなら同回生として誘いやすいでしょ?」
『職業:ハンター(狩人)
弓矢による遠距離戦が可能な戦士学科。
遠距離武器を装備すると近距離が疎かになりがちなデメリットを固有スキル『装備早換え』により素早く武器を持ち替え、近距離にも対応できるようになっている。また、魔術学科を取れば魔法の矢が、錬金学科をとれば毒矢を使用できる。
ただ、所持できる近距離武器が制限され、弓矢は銃器より威力が低いというどっちつかずな性能を持つ。
評価レベル
近距離戦闘 ★★★
遠距離戦闘 ★★★
サポート面 ★★』
「ちょ、お姉様!?」
「いい機会よ、シルク。ベルンくんと一緒に冒険して、その過剰妄想癖を治す努力をしなさい」
・・・なんか、俺の都合無視で話が進むけど、ま、いいか・・・
「じゃ、じゃあ、俺はこれで・・・図書館で読みたい本があったので・・・」
「あ、待って」
「はい?なんですか、カンバスさ」
『ちゅっ♥』
・・・はぃ?
「お詫びのキス♥頬っぺたで我慢してね?それじゃ、ごきげんよう♥」
「・・・え!?ちょ!?お姉様!?今、なにをなさったんです!?お姉様ぁっ!?」
・・・へ???え???
・・・このあと、図書館で本を読んだけど、全く頭に入ってこなかった・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[もふもふ亭]
「・・・おい」
・・・・・・
「・・・おい、ベルン」
・・・・・・
「・・・おいこら、不良」
「誰が不良だよ」
『ずびしっ!』
目の前で可愛い狸がプリントされた刑部ソバ(もふもふ亭内の『刑部たぬたぬのソバ屋』のメニュー)をすするロックの額に拳を入れた。
「んごぁっ・・・こ、これには素早く反応すんのかよ・・・」
「うっせぇ。で、なんだよ?」
「なんだよもクソもねぇよ。お前、全く食ってねぇじゃねぇか」
あ・・・そうか、食ってなかった。
「どうしたんだよ?腹でも痛いのか?」
「いや・・・ちょっと衝撃的なことがあってさ・・・」
「どんなんだよ?」
「えっとな・・・」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
授業・図書館での出来事を話し中
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「なんだとぉぉぉっ!?褐色美人のお姉様に頬っぺチューしてもらっただとぉっ!?」
「声でけぇようるせぇよ・・・」
しかもそこかよ・・・そこはついでで言ったろうが。
「ま、精神的にちょっと疲れたんだよ」
「お前・・・まったくそんな桃色イベントがない俺に当てつけか?」
「・・・学科でしつこく女友達を作ろうとしてドン引きされてるんだろ?・・・いや、そんな『こいつ、何故わかったんだ?』みたいな顔すんなよ。高校からそうだったろうが」
・・・今日の夕食は特になにもなく、ロックとバカ話しながら過ごした・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[ガーゴイル寮 312]
・・・で、飯を食って部屋でゆっくりしてた時・・・
「ベルン!大浴場行こうぜ!」
ちょっと外に出ていたロックが部屋に入った途端、大声で叫んだ。
「は?」
「寮にはひとつ、大浴場が備えられてんだって!行こうぜ!」
「お前、そんな綺麗好きだっけ?」
俺らは風呂は食後にささっと入るのが普通なので、すでに部屋にあった風呂で入ったんだが。
「バッカ!そうじゃねぇよ!なんでこの寮の大浴場行くんだよ!」
「・・・は?」
嫌な予感がしながらも、聞き返した。すると、ロックはニヤリとした。
「女子寮の大浴場だよ!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[アルラウネ寮、外]
なんで来たんだろう、俺・・・
「調べによると、寮の大浴場の位置はみんな同じで、外の景色が見えるよう、ガラス張りになってんだってさ」
「お前、勉強の予習とかしないくせに、こういうことは準備いいのな」
「男のロマンだからな(キリッ」
・・・こいつと友達なのが、一瞬分かった。
え?覗きは男のロマンだろ?
「こっちだ」
「おう」
俺たちは、自分の服とかが汚れるのを気にせず、ゆっくり匍匐前進して行った。
ーーーーーーーーーーーーー
[???、難度10]
[ベルン察知点10、成功!]
ーーーーーーーーーーーーー
「・・・待て!」
俺は先を行くロックの服の裾を掴んだ。
「なんだよ?まさか今から帰るなんて・・・」
「違う!それ、それ!」
「それ?」
ロックが俺の指差した方を見た。
その先には、何かの蔦がピンと張ってあった。
「これ・・・なんだ?」
「たぶん、トラップだと思う。引っかかったらバレるだろ」
「なるほど・・・あぶねぇあぶねぇ・・・」
俺たちは蔦を避け、またじりじりと進んで行った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(唐突ですが、ここから作者視点となります。ご注意ください)
[アルラウネ寮、大浴場]
「あぁ、気持ちい〜♪」
大浴場の広い浴槽。外が見えるガラスを前にして、サティアが顔を緩ませて浸かっていた。
浴槽に浸かっているのは胸から下である。なんとサティアの大きな双乳はその北半球がぷかりと浮かび、あとちょこっとでピンクのアレが見えそうになりそうだった。
「気持ちいいねぇ〜♪」
その横にはベーゼが浸かっており、湯船の中の段々になっているところに座り、頭だけが覗いていた。
「・・・ベーゼってさ、意外と綺麗好きだよね」
「・・・なにそれ?ベルゼブブは不潔好きっていうこと?あいにく、自分の身は綺麗にしておきたいのは女の子として当たり前じゃないか」
「じゃあ、部屋片付けてよ」
「断る(キリッ」
「・・・はぁ」
サティアがため息をついて身体を前に屈めると、浮いていた胸も沈んでいった。垂れているわけではないようだ。
「・・・じ〜〜っ」
ふとベーゼがサティアのその胸を見つめた。
「・・・なに?」
「サティアのそれさ、メデューサとしてでもなく、でっかいよね。サイズなによ?」
「な、なんでそんなん気にすんのよ?」
「いいじゃん、教えてよ」
「やーよ」
「ふ〜ん・・・なら実力行使だ!」
『むにゅん♪』
いきなり、ベーゼが持ち前のスピードでサティアの後ろに回り込み、その巨乳をした側から揉み上げた。
「・・・へ?ぁ、きゃあぁぁぁっ!?////」
一瞬なにが起きたか分からなかったのか、それともフリーズしたのか、サティアは一拍ほど置いてから、大きな叫び声を上げ、ぶんぶんと身体を揺すった。
「ばっ!ベーゼ!離して!やぁめぇてぇぇぇぇっ!」
「ん〜・・・これは、D?いや・・・まさかのEか?」
「やぁんもぉっ!////」
激しくサティアが身体を振るうも、ベーゼはがっちりと掴み、揉んでサイズを手探りで確かめる。
「い、い、か、げ、ん、にっ!」
『ザバァッ!』
「お?」
「しろぉっ!」
『だっ、ぱーーん!!』
とうとうキレたサティアが立ち上がり、ベーゼを思いっきり背負い投げした。
「はぁっ、はぁっ、はぁっ!」
身体を立たせたサティアは、ガラスを正面にして、上半身どころか、ワレメさえ見えるくらい立ち上がっていた。
「たははは・・・ごめんごめん。ちょっと調子乗った」
「もうっ!帰る!」
「あ、ごめんってば、サティアぁ〜!」
怒ってヘソを曲げたサティアを追いかけて、ベーゼとサティアは大浴場を出て行った・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
(ここからベルン視点へ)
[ガーゴイル寮 312]
「・・・」
「・・・」
俺とロックは、帰ってなにも話さずにベッドに入り、灯りを消して寝ていた。
「・・・ベルン」
「・・・なんだよ」
ロックが口を開いた。俺も眠れてなかったので、口を開いた。
「・・・でかかったな」
「・・・あぁ、でかかった」
「ピンクだったな」
「色白だったな」
「アレまで見ちまったな」
「・・・あぁ・・・」
その後、ふたりで沈黙。
「・・・なぁ、ベルン」
「なんだよ?」
「オナってい「やめろ。」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
明日は・・・2コマからか。
飯の後(8時〜10時30分)、どうしようかな?
1、一旦寮に帰る
2、学校を散策する
3、図書館で本を漁る
4、食堂へ行く
5、街へ出かける
12/03/24 14:06更新 / ganota_Mk2
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