読切小説
[TOP]
とある会社の下克上!?

宵ノ宮市。

住民の8割がフォックス種魔物(要は妖狐や稲荷や時々狐憑き)というこの市街の一角に、とある会社があった。

「おい。この物品搬送データ、明日までに整理してくれ」

「分かりました」

「社長、5番、お電話です」

「ん・・・はい。華田コーポレーションです」

華田(はなだ)コーポレーション。
会社の規模は小さく、社員も少ないが、様々な会社と取引をしており、『取引会社は東はアメリカ、西はイギリス』という噂まであるほどの活動域を持つ会社である。
ここは、社長と事務員がいる事務室である。

「・・・あぁ、はい、その件はですね。私の会社からの資料を見ていただきたいのですが・・・」

今、電話を取っているのが、社長『華田 明菜』。
人間であり、この父から譲り受けた華田コーポレーションをここまで盛り上げた張本人だ。
縁ありメガネに後ろで縛った髪、キチッと決まったスーツ。ザ・キャリアウーマンと言っても過言ではないその容姿に見合った以上の仕事処理能力で会社を引っ張っている。

『PLLLL・・・PLLLL・・・』(電話発信音)

「はい、お電話ありがとうございます。華田コーポレーションです。あ、ライゼン社の方ですか?いつもありがとうございます。」

また新たにかかってきた電話を取ったのは、この会社の電話嬢『新山 葉月』(にいやま はづき)。宵ノ宮の外から通っている稲荷で、その器量と美しい声色、見た者10人中8人9人の人が振り返る美貌に、会社内の男から慕われている。

『カタカタカタカタカタ・・・』

「・・・よし、終わりぃっ♪えーと、次は〜・・・これだ♪」

『カチッ、カタカタカタカタカタ・・・』

素早いタッチでキーボードから軽快な音を鳴らしているのは『藍川 彩奈』(あいかわ あやな)。こちらは妖狐で、少し男勝りで明るい性格と絶えない笑顔、注目の的になりがちな、妖狐の仲間内でも大きい胸から社内の男からの人気は高い。

この二人が、社内の人気女性トップ2であった。

さて、彼女らのいる部署には、去年入ったばっかりの新人社員がいた。

「『白崎』!この書類のデータ、間違ってるぞ!やり直しとけ!」

「はい!すんません!」

「白崎くん!それやるついでに、明日の会議に使うデータ、整理しといてくれ!データはこのUSBにあるから!」

「はい!わかりました!」

『白崎 勇人』(しらさき ゆうと)。
見た目はまだ幼さが残る童顔で、身長も低め。スーツ姿について、カッコいいよりも可愛いが先に頭に浮かぶ容姿である。
去年大学を卒業後、華田コーポレーションに入社した彼は、今や男性社員のいい使いっ走りだった。しかし彼は嫌な顔ひとつせず、元気な声で返事をして仕事を真面目にやっていた。

一年を経て信頼できる同僚や先輩を得て、やっと会社に馴染み始めていた。



・・・そんな彼に、入社当時から三人の女性たちがアプローチをかけていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


夕方になり、華田コーポレーションも就業となった後。

「ん、くぁぁっ・・・終わったぁ・・・」

椅子に座っていた勇人が大きく伸びをした。

「お疲れ様、白崎」

「ッ!?しゃ、社長!?」

その時、白崎の肩をポンと叩いたのが、社長の華田だった。白崎は慌てて椅子から立ち上がった。

「最近、頑張っているわね」

「い、いや。まだまだです・・・失敗も多いですし・・・」

「そこは慣れよ。早く慣れないといけないのは事実だけど、努力の姿勢は認めないとね」

「あ、ありがとうございます・・・」

照れながら頭を掻いて白崎がお辞儀をする。華田はひとつ咳払いをしてから話を続けた。

「えー・・・それでだな、お前をねぎらって、今から飲みにでも・・・」


「白崎ィーッ!飲みにいこぉーっ!」


ところが。いきなり横から入ってきた藍川が会話をぶちぎった。

「うぇっ!?藍川先輩!?」

「ほらほらぁ♪さっさと行こう♪」

「あ・・・」

藍川がベタベタと白崎にくっつきながら言う。華田は手を宙に泳がし、戸惑っていた。


「やめなさい!彩奈さん!白崎くんが困ってるでしょう!」


さらに、そこに今度は新山が介入した。白崎に絡む藍川に食ってかかった。

「なによ・・・またいい子ぶって・・・」

「貴女の行動に慎みがなさすぎるんです!」

「本当は葉月も白崎にいちゃつきたいくせに・・・」

「貴女のような節操のない付き合いはしません!」

いつのまにか新山と藍川の言い争いとなり、白崎と華田が蚊帳の外になっていた。


「第一、貴女は毎日毎日飲みに誘って・・・時々白崎くんが遅刻するのは貴女が無理やり飲ませてるからでしょう!」

「む・・・そんなこと言うなら、葉月は変に高い店に連れて行って、しかも奢ってよ・・・白崎がいつも申し訳なく思ってるじゃないか!」

「関係ないでしょう!だいたい貴女はねぇ!」

「なによぉ!?」


「あ・・・えと・・・僕、今日は帰ります・・・お疲れ様でした・・・」

「・・・そうしなさい」

売り言葉に買い言葉でヒートアップする口喧嘩に引いた白崎は、華田に一言言ってから事務室を後にした。

「・・・新山、藍川」

「・・・はい?」
「・・・なんでしょう?」

「・・・白崎ならもう帰ったわよ」

『え!!?』(二人)

結局、二人はしょんぼりと尾を垂らして帰り、華田もため息を吐いた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


[藍川宅]


「はぁ・・・今日は失敗したなぁ・・・」

藍川は自宅のアパートで、シャツとパンツ一丁でビール片手にぼーっとしていた。大きな胸に押し上げられたシャツと谷間の間には結構な隙間がぱふんぱふん(←咳払い)。

「は〜ぁ・・・しょうがないじゃん・・・酒が入らないと会話が続かないのよぅ・・・」

もうお分かりになるだろうが、藍川は白崎が好きなのだ。
いつも明るくふるまっている彼女だが、白崎とふたりでとある会社にミーティングに行った時、行き帰りの車の中でいつも通りにできず、彼女は白崎と二人きりだと上がってしまうことを自覚したのだ。
それでも彼女は白崎とふたりきりで話がしたいために、飲みに連れて行こうとするのだ。

「うぅ〜・・・葉月に邪魔されなければぁ・・・」

新しいビールをまた開け、喉を鳴らしてビールを飲む。

「うぅ・・・白崎は鈍感で帰っちゃうし・・・どうしたらいい雰囲気に持ってけるのかなぁ・・・」

そのきょぬーで誘惑すればぼいんぼいん(←咳払いだってば)。


結局、藍川は今日はひとり酒をして、床についた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


[新山宅]


「ふぅ・・・まったく、藍川さんはすぐ調子に乗るわね・・・」

新山はやっと自宅のワンルームマンションに着き、鍵を開けた。
そして、部屋の灯りを灯した瞬間。


「ただいま、白崎く〜ん♪」


・・・うわぁ・・・

いや、ごめんなさい。いや、でもね?

・・・・・・うわぁ・・・・・・

新山の部屋は、なんと白崎グッズでいっぱいだった!

ポスター、カレンダーは当たり前、コップや布団などの日用品、極めつけには表裏差分ありの抱き枕!
おそらす全て自作であろうものが、部屋を埋め尽くしていた。

新山はスーツを脱ぎ、シャツを脱ぎ、下着のみになると布団の上にある抱き枕を抱いて頬ずりを始めた。

「はぁぁ〜♪癒されるぅ〜♪白崎くんhshs♪白崎くんhshs♪」

・・・おぉぅ・・・ふぇんたいだ・・・
器量がよく、社員の注目を集める彼女がこんな女だと知ったらみんなどう反応するんだろうか・・・苦笑いでは済まない気がする・・・

「はぁ・・・この熱い愛情を、どうやって彼に伝えたらいいんでしょう・・・」

伝えない方がいい気がする。

「早くしないと、彩奈さんに寝取られてしまうかも・・・なんとかしなきゃ!待っててね、私の白崎くん!」

逃げて!白崎超逃げて!


・・・結局、新山は、白崎抱き枕を抱いたまま寝てしまった・・・風呂入る間を惜しんで抱き枕に抱きつくなよ・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


[宵ノ宮、夜の繁華街]


『ガラガラガラ!』

「ありがとうございましたーっ!」

とある居酒屋からふらふらと千鳥足で出て来たのは、華田だった。

「ひっく・・・うぅ・・・ちくしょう・・・あひつらは気安く誘えれいいよなぁ!ひっく・・・」

相手もいないのに愚痴を垂れるべろんべろんの酔っ払い状態。彼女は普段からこんなに飲むわけではない。華田はどうやらえらい心傷を負ったようだ。

「ひっく・・・今日は、今日こそは、白崎を誘っれ・・・いちゃいちゃしようろひたのにぃ〜〜〜っ!」

・・・なんと。華田までフラグが立っていたのか。今日は思いきって誘いをかけたようだ。

「ひっく・・・れもなぁ、わらひが誘っれも、白崎来るかあやひかったひなぁ・・・わらひみたいなブサイクとひまと飲んでも楽ひくないよなぁ・・・」

・・・華田の発言を覆すようだが、華田は実はまだ28歳であるし、酔っぱらったその姿は独身男が見れば生唾ものの妖艶な雰囲気を醸し出している。要は美人だ。ブサイクも年増も当てはまらない。どうやら自己評価がだいぶ低いようだ。

「うぅ〜〜・・・」

酔っ払ったまま、華田は繁華街を歩いてゆく・・・

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

知らず知らずのうちに、華田は繁華街から離れ、とある白塗りの壁を背に座り込み、すぅすぅと寝息をたてて眠っていた。

「すぅ、すぅ・・・」

「もし?もし?こんなとこにいたら風邪をひきますよ?」

その時、一人の妖狐が華田の肩を揺らした。

「んんぅ・・・ふぁ?」

「あの、ここにいては風邪をひきますよ。お帰りになった方が・・・なんなら、ウチの者に言って、車を出させますが・・・」

「んぁ・・・結構れす。お騒がせしましら・・・」

「あ、ちょっと・・・」

服も整えることなく立ち上がった華田はまだ酒の抜けてないふらふら歩きで白壁を伝って、妖狐の元を去ろうとした。



その時。



ーー …カラ、だ… ーー



「・・・ふぇ?」

華田が、わずかに目覚めた理性が捉えた声の方、白壁を向くと・・・



ーー …見ぃ〜ツケた♪… ーー



手をついていた白壁の中から、『青い半透明の妖狐の子供』がぬるりと現れた!

「・・・えっ!?」

「カラだぁ♪貸しテぇ♪」

そして妖狐の子供は、白壁についた華田の腕と華田の胸に手をつけた!


『ドクンッ!』


「ひぎっ!?」

その瞬間、華田の心臓が大きく跳ね、身体中を電撃のように快感が走り回った。

「ちょっ!?やめなさい!」

「やぁダァ〜♪気持ちよくナリタぁい♪」

『ずぶぶぶ・・・』

華田の後ろから先ほどの妖狐が叫ぶが、子供妖狐はなんと、その腕や身体を華田の身体に『埋め始めた』!

「かっ・・・ひっ♥」

子供妖狐が身体を埋めるほど華田に快楽が与えられる。
華田は、今まで自分が慰めてきたものと段違いの快楽の波状攻撃に、涙や涎を垂らし、足をガクガク震わせる。スカートの前が濡れ始め、ボタボタと愛液が垂れ始めた。

「ひとツに、なーろォ♪」

「やめなさっ・・・」


『つぷん♪』


「〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ♥♥」

そんな水音にも似た音を立て、子供妖狐が華田の身体に入り切ると、華田は声も聞こえない叫びをあげ、どさりと倒れこんだ。

「あぁっ!だ、大丈夫・・・なわけないわよね!あぁもう!姉さん!姉さぁぁぁん!またお母さんの『狐火』が人に憑いちゃったぁぁぁっ!」

妖狐が慌てて角を曲がって白壁の向こう側に回り込み、玄関から中に入って行った。



玄関の名札には、『古里瀬』と書かれていた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

[一週間後・・・]


「くぅっ、あぁ・・・」


夜。他の社員たちが帰った中、白崎は未だ残り、残業に勤しんでいた。
昼間、またつまらないミスをしてしまった彼はそれを修正するため、ひとりで残業することになったのだ。
新山や藍川が手伝おうとしたが、これくらいはひとりでやって、仕事を覚えたいという説得により、彼女らはしぶしぶ帰って行った。

「・・・社長が入院してもう一週間か」

華田の入院は、小さな騒動になった。
華田を中心に回っていたに近いこの会社は、数日前まで混乱に陥っていたが、新山や藍川、他の有能な部下たちがなんとか軌道修正させ、平常運転に戻っていた。

「・・・社長、はやく治ればいいなぁ・・・あ、はやく続きをしないと・・・」

それでも心優しい白崎は、華田の心配をしていた。



『ガチャ』



その時、事務室の扉が開いた。

「あれ?どちらさま・・・えっ!?」

そこにいたのは・・・



「・・・なんだ、白崎、まだ残っていたのか」



「しゃ、社長!?」

今現在入院中のはずの、華田がいた。

「社長、お身体は・・・」

「ん、大丈夫だ。ちょっと仕事の進行具合を見に来ただけだ」

「そ、そうですか・・・じゃ、じゃあ、僕は残った仕事を終わらせます」

「うむ、頑張れ・・・ふふふ♪」

「ッ!?」

その時、白崎はふとした華田の笑顔にドキッとした。

(しゃ、社長ってあんな笑顔したっけ・・・?)

ドキドキと心臓がなりながらも、どこかしらの違和感を抑え込みながら白崎はデスクへと戻った。

「えーと・・・これは・・・」

『カタ、カタカタ・・・』

「・・・・・・(ニヤリ」

白崎がまた仕事に集中しはじめたてころで、華田がゆっくり後ろから近づき、白崎の背に軽くのしかかるように身体を乗せた。

「うぃっ!?しゃ、社長・・・?」

「うむ、お前がなにをしているのか気になってな・・・♪」


『もにゅん♪』


結構な弾力のある『何か』が、白崎の頭から首にかけて後ろから圧迫する。

「しゃ、社長・・・あの、当たってます・・・」

「ん?なんだって?」

「だから・・・その・・・」

白崎はどう言えばいいのかわからずあたふたしていた。



「・・・胸なら、当てているんだぞ♪



「え・・・?社長・・・う、うわっ!?」


『ガチャァン!』


驚いて華田の方を向いた瞬間、白崎は華田に押し倒されてしまった。白崎が触っていた無線キーボードとともに白崎の携帯が落ちる。

「しゃ、社長・・・?」

「ふふふ・・・お前が残業していてナイスタイミングだぞ♪お前を独占できるからな♪」

今のふたりの体勢は、驚いて抵抗せず白崎が床に腕と足を投げ出し、その腰の上に華田が座り込み、さらにもたれかかって白崎の胸板に柔らかい自分の胸を押しつけていた。さらに腰をぐりぐりとこする様に動かす。

「う、うぁ・・・社長、こ、腰が・・・」

「こんなムードなんだ、下の名前で呼べ。ここまで来て、据え膳食わぬは男の恥、だぞ♪」

「あ・・・明菜・・・さん・・・」

「くすっ♪いい子だ、勇人♪」

華田が妖艶に舌舐めずりをし、ゆっくりその唇を白崎に近づけ・・・






「白崎ぃーっ♪手伝いにきてやったzおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!?なにやってんですか社長!!?」



その時!事務室の扉を開けて藍川が乱入してきた!!

「あ、藍川先輩!?」

「チィッ!邪魔が来た!」

「うっ!?この妖気・・・社長!狐火に取り憑かれてますね!?」

「き、狐火?・・・うぶっ!?」

狐火という聞いたことないワードに白崎が首を傾げたが、その瞬間、華田が白崎の頭を自分の胸元に抱き込んだ。

「あぁそうですよ!私は狐憑きになりました!適性持ちで妖狐一歩手前だ!そして自分の気持ちに正直になりました!だから白崎は譲らん!帰れ!」

「いやいやいや!それで真っ正直に帰るわけないでしょう!私だって白崎が好きなんです!譲れませんよ!」

華田が白崎の頭を、藍川が白崎の腕を掴み、ふたりで睨み合いを始めてしまった。

(あわわ・・・ど、どうしよう・・・)

そう思う白崎に、さらなる『追い討ち』が入ってきた!






「白崎くーん♪夜食を作ってきましたyきゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?貴女たち私の白崎くんに何をしてるんですかっ!!!」


『誰の白崎だってぇ!?』(華田&藍川)


「私こと、新山 葉月の白崎くんよ!(キリッ」


( °□°)(←白崎)

さらに乱入してきた新山が白崎の腰を掴み、三人で口論を始めた。

「だいたい何故社長がいらっしゃるんですか!?貴女は入院中のはずでしょう!お帰り下さい!あと、手伝いかなんかで好感度アップ狙いの卑怯な彩奈さんは問答無用で帰りなさい!私は白崎くんと夜食を食べてイチャイチャするから!」

「断る!お前らのおかげでマトモにアプローチできなかった私がやっとチャンスを手に入れたんだ!これは神様が、狐火が招き入れた機会だ!誰が帰るか!貴様らこそ帰れ!貴様らだったら男は引く手数多だろうが!ひとりくらい誘惑したらホイホイだろうが!」

「妖狐は男だったら誰でもいいとか偏見持たないでもらえますかねぇ!私だって不器用なりに白崎を誘ってきたんです!ていうか葉月も、なに夜食作ってきて『本当は君を心配してるのよ』アピールしてんだよ!卑怯なのはそっちだ!」

ギャーギャー叫び散らす三人に挟まれた白崎は、三人に目を移しながら色々考えていた。

(え?え?つ、つまり・・・僕は三人に好かれてたってこと・・・?いや!それより、今はどうすればいいんだろう・・・だ、誰かひとりを選ぶなんてできないし・・・け、喧嘩が終わるまで待つ・・・?で、でも、なかなか止みそうにないし・・・はっ!?警備員さん!?もしくは警察に仲介してもらう!?)

おそるおそる自由なもう片方の手でゆっくり落ちた携帯をとり、ゆっくりと110をプッシュ・・・



『ガッ!』



「あ・・・」

「・・・白崎くん?なんで『110』が表示されてるんですか?」

『べきり』

にっこりと笑った新山が白崎の手から携帯を取り上げ、『逆方向に』携帯を曲げた。

「・・・これではラチがあきません。白崎くんも警察を呼ぼうとする始末ですし」

「そうだな・・・手っ取り早く終わる方法を取ろう・・・」

「いいですね・・・魔物流儀でいいですよね?社長?」

三人が白崎に向かって笑いかけた瞬間、白崎は身体に感じた悪寒に身震いをした。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「あむっ♥れろぉっ♥ちゅるるるっ♥」
(ねちゃ、ぺちゃ♪)

「んっ♥じゅるるっ♥じゅぞっ、じゅぞぞっ♥」
(にっちゃ、にっちゃ♪)

「レロッ♥ちゅぅっ♥かりっ♥」
(ふさふさ、ふさふさ♪)


服を剥がれた白崎の裸体に、三人の女が群がっていた。
華田は白崎の唇にむしゃぶりつき、舌を舐め、唾液をすすって白崎の呼吸も構わぬくらいディープなキスを。
藍川は白崎の股間に顔をうずめ、さらに三人のうち最も熟れた巨乳によるパイズリフェラを。
新山は白崎の乳首を舐め、すすり、甘噛みし、さらに尻尾でもうひとつの乳首を愛撫。
三人による責めで、白崎の股間のモノはもうバッキバキに勃ちきっており、逆にまだ出していないことに男として賞賛ものであるような気さえする。

「んっ・・・ぷはぁっ♥白崎ぃ・・・お前普段に見合わず立派なモノ隠し持ってやがって・・・♥」

「素晴らしいわ♥流石は白崎くん♥もう、アレから匂うオスの匂いに私、クラクラしそう♥」

藍川と新山がうっとりと白崎の愚息を眺める。しかし、華田はそれにも構わず白崎とのキスを続行していた。

「んちゅぅ♥ジュルッ♥ずるるるるっ♥じゅぞぞぞっ♥」

「・・・社長ったら、あんな下品な音立てて・・・う、羨ましい・・・あぁ、私、ポジション決めでグーを出していれば、あの白崎くんの唇にキスを・・・」

「ふふふ・・・じゃあ、順番決めに勝った私が、一番最初をもらうよ♥」

「次は私ですからね!早くなさい!」

どうやら、ジャンケンによる勝ち抜きにより、

藍川→パイズリフェラ&童貞GET
華田→ファーストキス&最後
新山→乳首責め&2番目

ということになっているようだ。

「あぁ、白崎の童貞、もらっちゃうからな♥」

もうすでに股が汁でボタボタに濡れていた藍川の秘裂は、軽く上から当てってゆっくり藍川が腰を下ろしていくだけで、美味しそうに白崎のを咥え込んでいった。

「〜〜〜っ!〜〜〜〜〜〜っ!!」

「くぁぁっ♥な、膣内でビクビク脈打ってる♥くっ、ふぅぅぅっ♥」

キスにより声を出せない白崎が目をぎゅっとつむり、腰に力を入れる。まだ精液を出していないが、大きく跳ねた愚息を感じた藍川も、快感で腰が抜けそうになるのをぐっと口を噛みしめて耐える。

「あっ、ふぅぅ・・・♥だめ、う、動け、ないぃぃぃ♥」

しかし、その耐えたのも意味なく、藍川は腰が抜けて動けなくなってしまった。

「〜〜〜っ・・・っ!」

その時、白崎が急に腰を跳ね上げ、藍川を持ち上げるくらい膣奥を突き上げた。

「かふっ!?あ、しらさき、やめっ♥」

「ッ、ッ、ッ!」

どうやら藍川が動けなくなったことで、生殺しになった白崎が暴走し、必死に快楽を得ようと躍起になって腰を振っているようだ。思いやりもないやたらめったらな突き上げだが、藍川は動けない腰を余計に震わし、涙を流して快楽を悦ぶ。

「あっ♥うっ♥も、もうらめ・・・あっ、あぁぁぁぁぁぁぁっ♥♥」

みこすり半ほどで、藍川が絶頂を迎える。ぎゅぅっと搾り取るように膣内が収縮し、白崎のモノを刺激する。

「ーーーーーーっ!!!」

その瞬間、白崎の我慢も限界を迎えた。

『ドクンッ!びゅくっ、びゅくくくっ!』

「あぁぁぁぁぁぁぁっ♥イグッ♥まだイグゥッ♥♥」

精液の衝撃で藍川の頭はフラッシュし、激しい痙攣ののち、力なくくたりと倒れこんだ。

「まぁ♥白崎くんったら♥これなら私相手にも頑張ってくれますね♥」

ニコニコ笑う新山が力ない藍川をひっぺがし、未だ固さを保つ白崎のイチモツに手を添えた。

「あぁ、すごい匂い♥ホントは舐めとってあげたいけど、もう私も我慢の限界♥いきなりだけど、がっつくようでごめんね、白崎くん♥」

ものごっつい荒さの呼吸をしながら、新山は手を添えて照準を定め、一気に腰を落とし、いきなり奥まで挿入させた。

「ーーーーーーっ!?」

「くはぁぁっ♥こ、これが白崎くんの・・・すごい♥想像よりも逞しくて固くて・・・あぁっ、腰が疼くぅ♥」

新山は藍川と打って変わり、腰にスウィングをかけながらピストンを行って白崎に満足してもらおうとしているのか、熱く激しいセックスを始めた。

「いいっ♥いぃぃっ♥白崎くんのおち◯ぽ、すごく気持ちいいっ♥あぁっ、もっと、もっと新山のおま◯こを突いてぇっ♥」

普段、社員の注目を集める彼女がこのように淫語乱発してる様を感じ、白崎も自然と腰が動き始め、ふたりの肉と肉の衝突音が大きくなる。

「あぁっ♥エッチな音たってるぅ♥もっと、もっとぉ♥」

「〜〜〜、ぷはっ!くぁっ!新山さっ、も、無理っ!」

とうとうキスから脱出した白崎の言葉は、限界を伝えるものだった。

『ビクンッ!びゅるっ!びゅるるるっ!』

「くぁぁぁっ♥出てるぅ♥白崎の精液♥私の、膣内にぃぃぃっ♥」

一度目と違わぬ勢いででた精液は新山の子宮を叩き、新山は身体を反らして快楽に打ち震える。結局、出し切ったと同時に新山が後ろに倒れこみ、白崎のモノが抜けた。

『ふにゃん・・・』

「くっ・・・予想通り、やはり私とやる前に枯れてしまったか・・・?」

「ぜぇ・・・ぜぇ・・・み、みず・・・」

白崎のモノはもう力なくへにゃり、華田は自分と白崎の唾液でべったべたになった口を拭きながら悔しがる。

「ん?水?えーと・・・あ、ほら。これを飲め」

「あ・・・んぐっ、んぐっ、んぐっ・・・」

その時、華田は『新山が持ってきた水筒』を手渡した。白崎は相当喉が乾いていたのか、それをラッパ飲みし始めた。

「ふにゃあ♥・・・ん?あっ!!?ちょ、白崎くん!それ一気に飲んだらダメ!!」

「へ?」

蕩けていた新山が急に起き上がって叫んだ。白崎の代わりに華田がきょとんとすると・・・



「・・・うっ、がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!



いきなり目を血走らせた白崎が華田に襲いかかり、両手を掴んで押し倒した!

「え!?ちょ、白崎!?」

「ふーっ!ふーっ!か、身体が、熱い・・・こ、興奮が止まらない・・・もう、我慢できないっ!!!」

見ると、白崎の股間のものはすでに勃起、いや、さっきより2倍近い太さと長さになり、血管が浮き出てビキビキと痙攣していた。

「ちょ、ちょ・・・ま、待て白崎・・・そ、そんな凶悪なものをいきなり私に挿れる気か・・・ち、違うよな?」

「・・・社長!お許しください!」

そう言った白崎は、勢いをつけて華田のワレメに凶悪化した愚息を叩き込んだ!

「いぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ♥」

瞬間、華田は白目をむいて悲鳴を上げた。しかし、その悲鳴は痛みによるものではなかった。狐憑きになり、入院中にずっと魔力不足だった彼女は、そんな痛みを伴うわずかな快楽さえ、脳髄を焦がす快楽の業火となっていたのだ。

「あぁっ!気持ちいい!社長の膣内!きゅんきゅん締めつけてきますよ!」

「あがっ♥うぎぃっ♥痛いっ♥ぎもぢいぃっ♥いだぎもぢいぃぃぃっ♥♥」

ゴンゴンという音さえ響く強烈なピストンに華田は悶えながらも、しっかり足で白崎の腰にしがみつき、必死に白崎のモノを離すまいとしていた。

「ちょ、ちょっと・・・葉月!?あの水筒の中身、何だったのよ!?」

「え、えと・・・こう、夜食を食べたらムラムラッときて、襲われて既成事実作ろうとして・・・アルラウネの蜜に、ジャイアントアントのフェロモン剤とマタンゴの胞子薬、ホルスタウルスの乳をブレンドしたもので・・・小さなカップ1杯で強力な興奮・強精作用を持つんだけど・・・」

「・・・ちょっと待ってよ。あの水筒、中身、空っぽいんだけど・・・?」

「し、白崎くん、全部一気飲みしちゃったから・・・」

バチンバチンとセックスにしては大きすぎる音をBGMに、藍川と新山の血の気が引いていく。

「ぐぉぉぉぉぉぉっ!で、出るぅぅあぁぁぁぁぁぁっ!!!」

『ドボッ!ジョババババババ!!!』

「ぎぃぃぃぃっ♥おなが、ふぐらむぅぅぅ♥は、はらむっ♥しらざぎの子供、はらむぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっ♥♥♥」

射精の音とは思えぬ音とともに吐き出された大量の精液は、巨根と化した白崎の男根で栓をされて行き場がなくなり、なんと華田の腹を膨らませ、まるで妊婦ような腹にしてしまった。

「ふぅーっ、ふぅーっ・・・」

「はっ、はひっ♥はひぃぃぃ♥」

白崎が失神してしまった華田から離れると、まるで蛇口から水が出るかのように精液が溢れ、オフィスの床を汚す。



「・・・まだ、足りない・・・」



ぐるんっと首を回し、白崎が藍川と新山を捉えた。

『ひぃっ!?』

藍川と新山はお互い抱き合い、ひきつった顔でガタガタ震える。



「藍川さん?新山さん?次は、貴女たちですよ?」
(にやぁっ)



『きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!』






その夜、3人(不幸にも?華田も途中から復帰)は朝までぶっ通しで白崎に犯され続け、疲れ果てた4人が精液まみれで寝ているのを朝一に来た男性社員に見つかり、盛大な「なんじゃこりゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」がオフィスに響いた。


12/02/15 17:53更新 / ganota_Mk2

■作者メッセージ

[数ヶ月後]


「・・・ただいま〜」


『おかえり、アナタ〜〜♪』


宵ノ宮市のとある高級マンション。
その一室に、白崎は居を構えることになった。

「夕飯にしますか?」

意外に料理が得意な藍川と。

「それともお風呂?」

献身的すぎるくらいの新山と。

「それともぉ・・・」

そのふたりを押しのけるくらい色っぽくなった狐憑きの華田と。


『私たち?♥』


『全員』と結婚して。
(宵ノ宮市では、重婚が許可されている)


「・・・4Pで(キリッ」

『きゃーっ♥』


ちなみに、白崎は一晩でインキュバス化した。もげろ。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

jackry様より、『宵ノ宮市』の設定をお借りしました!感謝!

TOP | 感想 | RSS | メール登録

まろやか投稿小説ぐれーと Ver2.33