連載小説
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14日夕方『新キャラってことは、こーゆーことだ』
とある部屋に、カオスはいた。
不貞腐れた顔をして、椅子に座っている。回転式の椅子であったため、子供がやるようにくるくる回っている。

カオスは改めて部屋を見回した。
自分が気絶してる間に連れて来られたこの部屋は、一見すると会議室のようだ。カーテンが窓全面にかけられていて、暗い。
また、扉口、窓、排気口に至るまで、誰でも分かるくらいはっきりと、強力な魔術結界が施されていた。

「・・・チッ」

『ガラッ』

カオスが舌打ちした瞬間、扉口の魔術結界が消え、一人入って来た。そいつが扉を閉めた瞬間、すぐに魔術結界が再始動する。
カオスはしばらくそいつをジロジロ見た後、ニヤリと笑う。

「・・・テメェ、歳食ったなァ。『勇者サマ』」

「・・・勇者の称号は捨てた。今はとある学校の校長だよ」

入って来たのは、リクラスト校長だった。カーテンを引き払い、明るい日光を部屋に取り入れる。

「改めて挨拶がいるかね?」

「いらねェよ。さっさと本題に入ろうぜェ。こんな窮屈な部屋に閉じこもってるのは性に合わねェ」

「ハッハッハッ。こんな状況でも昔のままのテンションだな」

校長は、椅子を持ってきてカオスの前に座る。カオスはというと、ふざけて椅子をくるくる回したままだ。

「では、まずは確認事項だ。君は誰だ?」

「どこからどこまで言えばいいんですかねェー?」

「君が自慢したいとこまでかな」

校長が言うと、カオスは椅子の回転を止め、ニンマリ笑って応えた。



「元第七天使長ォ、堕天した後、前魔王四天王に配属され、『貪欲』の二つ名をいただきましてェー、自分の欲望のままに暴れまわった堕天使『貪欲のカオス』ですゥー、『勇者インドラン』様ァー♪」



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前魔王の代、魔王の下には四天王がいた。四天王には一人一人、その者に見合った称号が与えられた。

『破壊』の称号。
人の作った建築物や財産、今まで積み上げてきた物を崩すことに喜びを見出す者につけられた。
元四天王『バルフォス』の後釜であり、前人魔大戦で大戦果をあげた『ファ・イープァ』につけられた。

『剣魔』の称号。
一騎討ち・乱戦問わず、人斬りを得意とし、名を聞けば敵が逃げ出す実力を持った者につけられた。
現在は魔王親衛隊隊長の、リザードマンにつけられていた称号である。

『墓王』の称号。
魔王でも管理の難しい不死族の管理・統率を担い、教会軍を内部から苦しめた者に、魔王と同列と認められた証。
この称号をもらったのはワイトであるとされているが、前魔王の代交代直前、突然人間を殺すことをやめ、どこかに不死者の国を作って身を隠したことから称号を剥奪されたと記録がある。

そして、最後にもうひとつ、『強欲』の称号があった。
人間から宝物を巻き上げ、すべて己が富とすることを欲したドラゴン族の長が、魔王から承った称号であった。

しかし、このドラゴン族の長を、殺めた者がいた。
それが、第七天使長として、人類の味方として降臨した『カオス』であった。
主神に『禁術』を与えられ、ドラゴン族と人間の戦いを引率し、勝利に導いた。

しかし、人類の、引いては主神の誤算はここからであった。
カオスは、その戦いで、自分の黒い欲望を見つけてしまった。弱者が泣き、自分の絶対優位を嗤う、そんな悦びを。

そしてカオスは魔王に直に殴り込み、あろうことか、自ら配下を願ったのだ。

黒いニヤつきの欲望を見た魔王は、『強欲』より強く、業の深い『貪欲』の称号を、カオスに与えたのだった・・・

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「あの時のお前は、人からしたら底なしの恐怖だった。弱者をいたぶり、生かさず殺さずを長引かせて遊んでいた。天使のやることじゃあない、あれは悪魔だ、と言われていたな」

「んで、主神のジジィがキレて、『魂縛りの指輪』とォ、第六天使長だった『アイツ』を送り込んできた訳だ」

「そして私たち、勇者一行と『彼』はお前と対決し、結果・・・」

「オレ様は指輪に封印、封印が簡単に解けないようにィ、『アイツ』も自ら一緒に封印されてェ、そしてテメェはめでたく英雄様々だったわけだァ」

「その言われ方は不服だがね・・・亡くなった戦友たちに、今も申し訳ないと思うよ」

「でェ?その殺した張本人は死刑なんですかねェ?」

まるで他人事のように笑いながら話すカオスに、校長は優しく笑った。


「答えはノーだ。君には条件付きではあるが、この学校に住んでもらう。基本自由で構わないよ」


校長の答えに、カオスは笑いを止めて首を傾げた。

「・・・平和ボケで頭煮えたか?」

「いや。魔王様からの命令だよ」

そう言うと、校長はすでに封の切られた封筒をポケットから取り出し、カオスに渡した。カオスは封筒を指でつまんで受け取り、外身を眺めたり透かして中身を見たりしていたが、中身に紙があるだけで何もないとわかると余計に首を傾げ、中身の折りたたまれた紙を取り出して読み始めた。



『拝啓、愛しのダーリンへ♥

指輪のことを聞きました。あれは主神が作ったものだし、数もないので、詳しいことは分かりません。でも、なにかしらの救いを作りたがる主神のことだから、きっと封印を解くカギがあるはずです。
手始めに、そのボウヤに魔力を与えてみてください。もちろん、やり方はボウヤが気持ち良くなる方法で♥それがダメなら、また手紙をよこします。ウチのサバト研究員付きで。
で、もしも上手く行って、カオスちゃんと天使ちゃんが出てきた時。
とにかく天使ちゃんを確保お願いね。きっとこの世界を見たら、怒りとか色んなモノで発狂して、本当に人やら魔物をヤっちゃうでしょうから。物理的に。
で、カオスちゃんについて。あの子には、罪滅ぼしをしてもらいたいの。流石に今までの行為を丸々許すわけにはいかないから。そこで、カオスちゃんには4つの条件付きで、生きてもらいます。

1、人も魔物も殺さないこと
2、リクラスト学園の管理区画から無断で出ないこと
3、『召喚の指輪』の被召喚側をつけること
4、今までとは別の楽しみを見つけること

これでお願いね。あ、ちなみに多分、今のダーリンならカオスちゃんとガチンコできると思うわ。
色々押し付けることになったけど、ごめんね?なにかあったらすぐお手紙ください。待ってるから♥

P.S:ダーリン大好き♥ガレッタと喧嘩したら私のとこに来てね♥』



そして、手紙を読み終えたカオスは、今にも吐きそうな顔をしていた。

「カオスちゃんて・・・ダーリンて・・・今の魔王て、アイツだろォ?前の魔王に可愛がられてたリリムのバb」

「それ以上いけない」

カオスの口を手で覆ってしゃべるのを妨げた校長は、手紙を回収して指輪を取り出した。

「これが『召喚の指輪』だ。まぁ、名前の通りだ。これをつけたら、これとセットの指輪をつけた側から呼び出されたら無条件で召喚される」

それを聞いたカオスは、途端にニンマリと笑った。

「やァっとテメェらの狙いが分かったぜェ。テメェら難癖つけて、オレ様にベルンとまだ封印されてる『アイツ』の見張りをしろってんだろ?」

「・・・・・・」

カオスの問いかけに校長は難しい顔を一瞬する。

「なァんかあると思ったぜ・・・アイツが出てきた時、オレ様の封印もきっと解けるだろうから、有力な戦力にしようって腹づもりなんだろォ?」

「・・・まったく、君はいらんところで頭が回るな」

「『罪滅ぼしで済むんですか!やったー!』みてぇな反応して、テメェらの手の上で遊ばれんのは絶対ヤダからなァ。オレ様は他人を弄ぶのは大好きだけどよォ、遊ばれんのは大ッ嫌いだからなァ。ギャハハハ!」

可愛いダークエンジェルの見た目に合わない下卑た笑いをするカオスを、校長はギロリと睨んだ。



「・・・では、聞こう。俺や魔王様の手の上で遊ばれることをOKするイエスか、今この場で俺の復讐によって殴られるノーか・・・選べ。カオス」



その目は、ベルンに向けた睨みとは違う。怒りよりも濃い怨嗟に塗れ、視線の先の人物を睨み殺しかねない恐怖をはらんでいた。

「ギャハハハ。オレ様を脅すのかい、大層な校長センセーだねェ」

「真面目に答えろ」

そんな目に動じず、カオスはヘラヘラ笑う。さらに睨みを強め、静かに怒気を表す校長に、カオスがさらにニンマリと笑う。

「ん〜・・・まぁ、ありがた〜くその提案を飲んでもいいけどなァ〜・・・校長センセーにひとつ注文があるんだよなァ〜」

「・・・なに?」

「条件の『新しい楽しみを見つける』ために必要なんだよなァ〜・・・注文聞いてくれるかなァ〜?」

ニヤニヤ笑うカオスに眉をピクピクさせながら、校長が口を開いた。

「・・・私ができることならなんとかしよう」

ニヤニヤ笑ったカオスが、その注文を口にした。



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元魔王軍四天王ぉぉぉっ!!?


「やかましい。いきなり叫ぶな」

別の教室にて、ベルンがリーフから事情説明を受けており、カオスの正体を知った第一声がそれだった。

「ちょ!な!は!?えっ!?くぁwせdrftgyふじこlp!?」

「人語を喋れ。ベルン・トリニティ」

自分の腕から出てきたであろうダークエンジェルが、とても恐ろしいモノだったことに頭の理解が追いついてないベルンは奇声を発し、リーフはそのベルンの動揺に苛立った声で落ち着くよう言う。

「今、あのダークエンジェルと校長が対談しているが、基本彼女は我が校で管理することとなる。まだ封印が解けてない以上、お前と引き剥がすのは不安要素が残るからだ」

「そ、そうなんですか・・・」

「・・・それにしても、こんな早く封印が解けるとはな。学生の本分を差し置き、男の本分を優先していたようだな」

リーフの冷ややかな視線に、ベルンは冷や汗をかいて目を背けることしかできなかった。

「・・・リーフ先生、ベルンくんに説明は終わったかね?」

「おーじゃましまーす♪」

その時、教室にカオスを連れた校長が部屋に入ってきた。

「・・・校長先生、その危険因子との話はついたのですか?」

「え?あー、うん、まぁ・・・わはははは・・・」

力無く笑う校長に、リーフが眉をひそめる。
その間に、カオスはヘラヘラ笑いながらベルンに近寄った。

「よーう。しばらく世話になったなァ」

「う、うるさい!こっちはひどい迷惑だったんだ!同じ学校内にいるからって、仲良くする気はないぞ!」

「そう言うなよォ。まだしばらく世話になるんだし、第一、これから同じ学び舎の生徒なんだからよォ

「・・・へ?」
「・・・は?」
「・・・アウチ・・・」

瞬間、部屋の空気が凍った。

「・・・・・・おい、そこの危険因子。今、なんと言った?」



「お、リーフ先生ェ。どうも、特別新入生の『カオス』ですゥ。これからよろしくお願いしますゥ。ギャハハハ!」



カオスの笑い声の後、しばらくしてからリーフが校長に詰め寄った。

「校長先生、事情の説明を迅速に手短かに的確にお願いします」

「え、えーとだね・・・『条件伝えた』、『駄々こねた』、『入学したいと言ってきた』、『しぶしぶ了解した』・・・OK?」

「事情は分かりました、校長先生。バカですか貴方は

リーフは校長に詰め寄り、校長は気まずそうに目を逸らし続けていた。

「貴方の種族は問わない、人間だろうが魔物だろうが関係なく門戸を広く開ける姿勢は素晴らしいとは思います。だが全世界レベルの問題児を生徒にするっておかしいとは思わないのか

「いや、あの・・・ほら、ファ先生とか、バルフォスくんがいるじゃないか」

抑止抗力があるからいいってものじゃないんですよ。問題が発生した際の私の苦労を考えてくれましたか?

「いや、まぁ、だいぶ自重するようには言い聞かせたから、大丈夫だ・・・ろう」

小さく校長が言った語尾にリーフは額に青筋をたてながらも、なんとか言葉を飲み込んだ。

「・・・まぁ、貴方もいることですし、なんとかなるd」

「・・・あの、それなんだがね」

「・・・なにか?」

「ベルンくんのことで、前々から手紙ではなく魔王様に直にお話しするとしていてね?」

「・・・」

「こんな早く封印解けると思わなくて、今週、魔王様に謁見する予定を立ててしまったのだ。その間・・・生徒会で面倒見れないか?」

「・・・いつ発つんです?」

今晩

「・・・はっはっはっ」

リーフが笑い、一瞬で素面に戻って言った。


お土産は胃薬でお願いします


「・・・すまん」

ちなみにその様子を、ベルンは青ざめて、カオスは笑い転げて見ていた。

13/09/28 12:37更新 / ganota_Mk2
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■作者メッセージ
ということで、またロリ生徒が増えたよ!!
やったねロック!ロリが増えたよ!


ロック「おい待てなんで俺!!?」


さて、選択肢でござい。

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冒険学習も終え、色々問題も増えたけど自由な一週間を手に入れたベルン。
翌日の火曜日、ベルンはどうする?

1、自室でくつろぐ
(誰か訪ねてくる可能性有り
orマミーと一日過ごす)

2、学校内を久しぶりに探索
(誰かに会う可能性有り
and施設を発見する可能性有り)

3、街に出かける
(誰かに会う可能性有り
and新たな店を発見する可能性有り)

4、誰かと会う
(連絡先を知ってる人を呼び出す)
(連絡先を知ってる人:
ロック
ネフィア
クラリア
ラトラ
ミルキィ
成美
ムート)

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選択肢4のみ、(4ーロック)みたいな回答でお願いします。1〜3の場合、ダイスの神様によってイベント進行。

なお、1〜4では、4の選択肢が多いけれど、指名された人の投票数が拮抗した場合
(総投票数が5票で、
1が1票、
4が4票。
だけど、クラリア2票、ムート2票の時)
、もう一度アンケートとります。



次回は番外編だよ!

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