番外編『14日午前のとある人々たち』
最初は評価に不満を持ったさ。
まだ未熟な生徒である俺にバフォメットの魔法を止めろって?無茶いうなってんだ。
『罰として・・・用事を手伝うこと』
だから話も馬耳東風のつもりで聞き流してたんだが、罰として出されたことに耳を疑った。
『一週間の休みを潰されて不満か?言っておくが、怠慢は成績評価に響くと心得ておけ』
だから聞き返したのさ。あぁ聞き返したさ。罰が罰に聞こえなかったんだからな。
『なに?聞いてなかった?全く・・・わかった、もう一度言うぞ』
だから、あの教師の言葉に、今度は感謝しか持たなかったさ。
『緋夜 天月。罰として、クロエに任せた用事を手伝うこと。来週は休暇週間である。しっかりみっちり打ち込むこと。以上』
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[魔熱の森林]
(Level 30)
魔界のとある地域、薄暗く日の光が十分に差し込まないにも関わらず、一年を通して湿度が高く、じめじめした暑さを持つ森林地帯が、この魔熱の森林である。
「暑いね〜、天月くぅん・・・」
その森林の中で足元おぼつかず歩くクロエが、汗を拭きながら呻くように言った。
「大丈夫ですか、会長。足元、注意してください」
薄暗い足元を照らすランタンを持って先を行く天月は、始終クロエを気にかけ、注意しながら歩いていた。その顔に汗は少なく、爽やかな微笑をたたえていた。
「天月くん、あんまり汗かいてないね」
「ジパングでは『心頭滅却すれば火もまた涼し』と言いまして、己が精神を鍛えれば、暑さも気にならなくなるんですよ」
「へぇ〜・・・私は無理ぃ・・・」
クロエが汗を拭き、ついでに服の襟元をぱたぱたと引っ張って仰いだ。
瞬間、天月の眉毛がピクリと動いた。
(会長ぉぉぉぉぉいぃぃぃぃぃぃえぇぇぇあぁぁぁっ!!!汗かいてただでさえ会長の魅力が上がっているのに暑いからって襟元を引っ張ったら拙者との身長差から先輩の下着がチラ見えしているんですがなんですかそれは天然なんですかそれともまさか拙者を誘ってるんですかていうか黒の下着とか妖艶すぎやしませんか拙者先輩はもっと明るい色の可愛らしい下着かと思っておりました否今の下着の方が愛らしいというか拙者の理性を一刀両断するには素ん晴らしい破壊力を持っておりましてそんな下着で迫られたら拙者武士としてのすべてを脱ぎ捨てて暴漢のように貴女を貪り尽くし・・・いかんいかんいかん!!!冷静になれ緋夜天月!!ここは心頭滅却、心を無にして我を抑え込むのだ・・・ッッッ!!!)
(天月、心の声。この間2秒)
天月は痙攣する眉毛をなんとか抑え込み、クロエに手を差し伸べた。
「さぁ、先輩、行きましょう。目的地はまだ先ですよ?」
「・・・天月くん?ちょっと、休も?のぼせて、鼻血出てるよ?」
ハッとした天月が自分の鼻を触って手のひらを見ると、見事に自分の鼻血で手が染まっていた。
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「大丈夫?天月くん?」
「・・・情けない」
二人は大木に背を預けており、天月は鼻を抑え、クロエは天月を手短かにあった大きな葉っぱで扇いでいた。
「のぼせてしまうくらい、我慢しなくていいんだよ?」
「・・・はい」
(九割九分九厘、原因は会長なんですが)
やっと鼻血が止まってきたころ、ふとクロエがソワソワしだし、立ち上がった。
「天月くん。ちょ、ちょ〜っと私、あっち行ってくるから、休んでて?」
「え?いや、ついていきま・・・」
「だめ!休んでて!絶対だよ!絶対だからね!!!」
いきなり声を荒げて走っていってしまったクロエにポカンとしながら、天月は座ったままだった。
「・・・な、なんなんだ?」
首を傾げた天月だったが・・・
「・・・きゃ〜・・・」
「会長ッ!?」
しばらくして微かに聞こえた叫び声に天月はすぐさま駆け出した。
声のした方向へ走ると、クロエが尻餅をつき、ベルゼブブに迫られていた。
「いいじゃない、ちょっとくらいさぁ〜同じ魔物じゃんか〜」
「いっ、いやだよ!」
「なにしてやがんだこの蝿畜生がっ!」
女性に対しあるまじき発言とともに、天月はベルゼブブに飛び膝蹴りをかました!
「んげぶっ!?うげっ、彼氏つき!?」
「肯定したいが涙を飲みつつまだ彼氏ではないと言っておく!!」
「チィッ、久しぶりの上質な食事だと思ったのに!」
捨て台詞を残し、ベルゼブブは羽を使って素早く去ってしまった。すると天月はふぅと一息吐いてからクロエに向き直った。
「会長、お怪我はありまs」
その時。
天月は、クロエの背後から来たので、気づいてなかったのだ。
「・・・せ、ん、か・・・」(天月)
「・・・・・・あ、あぅ・・・」(クロエ)
クロエは、黒いフリルのない無地のパンツを脱いでいた。
そして。
『・・・チョロ、チョロロロロロ・・・』
恥ずかしくても、もう待てなかったのか。
はたまた安心して力が緩んだのか。
クロエの股から、黄金色の聖水が。
「・・・・・・・・・( °Д°)」
「・・・・・・・・・(;ω; )」
天月は、いろいろと頭がフリーズしてしまったが故か、顔を真っ青にしたまま、視線を外せなかった。クロエは恥ずかしさで顔を真っ赤にしながら、涙を流して硬直していて・・・
『チョロ・・・ちょろっ・・・』
その音が止まると、クロエは涙を拭き、丁寧に股を拭いてからパンツを履き、自分のカバンを漁り出した。
「・・・あの、会長・・・その、俺、そんなつもりではなくてですね・・・」
ガサゴソとカバンを漁ったクロエは、二つの道具を取り出した。
「いやっ!ちょ、会長!あの、それは!!!」
涙目のクロエが握っていたのは、呪術の杖と、怪しく目を光らせた頭蓋骨だった。
『ゲハハハハ!残念!オ嬢サンハテメェヲ許サネェヨウダゼ、コノアブノーマル助平坊主!!』
骸骨がカラカラと喋り、笑って、口から炎を吐き出した。
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『呪術』
この世界には、オーソドックスな『魔術』、アンデッドを生み出す『死霊術』、聖霊を駆使した『聖霊術』、そして『呪術』というものがある。
『魔術』や『聖霊術』は魔法陣やルーン文字、聖霊そのものを媒介にするのに対し、『死霊術』や『呪術』は魂と呼ばれる、人、魔物が種族性別年齢問わず持つエネルギー体を物に定着させるものだ。
ここで、『死霊術』を施工した瞬間に対象は『魔物』になるために、今の世界では、人間を性的に襲うメスとなる。
さて、『呪術』においては、施工したそのものに意思が宿る。しかし、その意思が宿ったものは『魔物』になるわけではない。
この意思が宿ったものは、それこそが『呪術媒体』となる。呪術師は、これと呪術を施工するための引き金になる杖を併用して呪術を施工する。
たとえば、『炎を出す』という呪術をやる場合、杖から指令を出し、呪術媒体の中の魂からエネルギーを変換し、炎として出す、というプロセスを行うのだ。現代で言い換えると、リモコンが杖、テレビが呪術媒体。リモコンの電池が操作主の魔力で、テレビの電源が魂、呪術そのものがテレビの映像である。
魔術における詠唱が必要ないこと、また、魂にエネルギーが貯蓄されてることから消費魔力が少ないことが利点だが、そもそも魂を封じる技術が激難・封じるのに必要な魔力が激高なこと、魂のエネルギーがないと呪術不可能なこと、最後に、人や魔物の魂を封じ込むことも可能なことから、危険極まりない術とされており、リクラスト学園やサバト協会などの厳しい審査の後に交付される免許・数ヶ月ごとの監査がなくては使用できない。(リクラスト学園生徒は特別措置。卒業後は免許・監査が必要)なお、免許があっても人・魔物の魂を魔術媒体に封じ込むのは禁忌である。
以上、この世界での呪術に対する解説である。
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「会長〜・・・許してくださいよ〜・・・」
さて、天月は頭がアフロ、顔は焦げ焦げ、服も襟元が焦げてる状態で、ぷりぷり怒るクロエの後ろをついていた。
「ぷんっ!」
『ゲハハハハ!諦メナ、坊主!お嬢サンハ珍シク本気ギレダゼ?』
クロエが頬を膨らませてそっぽを向くと、クロエが未だに手に持ってる骸骨がカラカラと笑う。
この骸骨はクロエの魔術媒体であり、中身は野良獣の魂である。クロエが死にかけの身体からひっぺがしたもので、決してクロエが殺害して手に入れたものではない。ちなみに本人(獣?)は餓死しかけていたようで、死ぬような空腹感がなくなり、しかも喋ることができるようになり、逆に満足して媒体となっている。
「会長ぉ〜・・・」
「ぷーんっ!」
『マッ、旅ノ恥ハナントヤラダナ!ゲハハハハッ!!』
天月の一週間の手伝いは、まだ始まったばかりである・・・
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一方、ロックはどうなっているかと言うと。
「・・・あら、陽性だわ♥」
「・・・へ?」
保健室の、『インキュバス変化検査』にて。
「見事にインキュバスに変化してるわね♥進行度はもう人間やめてるレベルね♥昨日ヤったの?だったらそれが引き金ね♥」
「わはははは!やっと我の魔力レベルも半分ほどに戻ったわ!!」
「おめでとうございます、旦那様〜♥」
「・・・・・・・・・え"・・・・・・」
新しい一週間と共に、新しい『人魔生』を迎えたことを知った。
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[ステータス変化!!]
『ロック・サンドラ』
種族:人間・♂・炎
⇒インキュバス・♂・炎
(性行為でステータスUP)
職業:騎士(ナイト)
⇒騎士(ナイト)兼、魔物使い
ステータス:
体力 30(B)
魔力 20(C)→30(B)
(↑昨晩はお楽しみでしたね&種族変化効果)
筋力 20(C)→25(C)
知識 10(D)
俊敏 17(D)→23(C)
精神 20(C)
運勢 10(D)→5(E)
容貌 15(D)
話術 10(D)
器用 15(D)
察知 5(E)
鍛治 10(D)
スキル:
『お気楽』:精神点に+5
『ナンパ師』:女性相手の時、話術点にー5
『鍛治 Level2』:
刃こぼれした武器・破損した防具を直せる
『大剣 Level1』:
命中率 60%、武装破壊15%
NEW
『Lolicom Level0』:
ばっふぉい。
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[ステータス UP!]
[バルフォス呪い、緩和!]
[バルフォス魔力 45→50]
[ワクス魔力 63→65]
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さらに別所では。
「ご主人様は〜、私を留守番にして〜、ドワーフの方と〜、冒険に行きましたよ〜?」
『なんですってぇぇぇぇぇぇっ!?』
お約束の三人が、男子寮の部屋前で絶叫していた。
13/07/15 15:38更新 / ganota_Mk2
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