右も左もロリだらけ!真闇達の夏旅行(中編)
さて、やっと砂浜に繰り出した貞春たち。それぞれさっそく楽しみ始めた。
「茜さん!それっ!」
「きゃっ♥やったなぁ♥」
(こうしてムードを上げてあとで・・・ぐふふふふ・・・)
甲と茜は浜辺で水をかけあって遊んでいた。その様子に、まだお兄様のいないロリたちは羨ましそうに見ていた。(茜は下心満載だったが)
「よいしょ、よいしょ」
「しっかり全身埋めてくれよ」
真闇は貞春を砂で埋めていた。真闇の手が小さいためになかなか埋まらないが、貞春は真闇が一生懸命やってる姿をニヤニヤしながら見ていた。
「・・・兄者、泳がぬのか?」
「俺は泳がん。お前を見ている方がいい」
「・・・そう言ってくれるのはいいが、仕事道具片手はなんじゃのぅ・・・」
ギーヤはパラソルの下で椅子に寝そべり、魔女たちをはべらせていた。(魔女たちはお兄様がいないのでギーヤの側にいる)
斗真はそれを見て、どこから出したかカンバスに下書きをしていた。ここまで来て仕事か、こいつは。
「・・・ダーリン♥」
「・・・ははは(げっそり」
天河と成竜はシートを引いて休んでいた。もちろん(?)天河はツヤツヤしており、成竜はげそりとなっていた。
そんなとき、海水浴場に設置されたスピーカーから、大きな音声が流れた。
『サバトの皆様〜っ!海水浴、楽しんでますか〜っ?』
「・・・なんだ?」
「??」
やっと胸と腹が埋まった貞春が首を傾げると、真闇が手を止めた。
『そろそろ、サバト夏休み恒例運動大会を行いまーす!』
「おぅ、そろそろか。早いの」
「・・・」
「・・・なんだろ?」
「運動会って言ってるけど・・・」
ギーヤがジュースを飲みながら言う。その姿を見ながら、斗真はペンを走らせる。
天河と成竜は頭に?マークを浮かべていた。
『お兄様と魔物とペアで出場し、ビーチバレーで闘いましょう!参加は自由です!』
「なんだぁ・・・だったらこのまま遊ぼうぜ、甲くん」
「いいの?」
「あーいうイベントはめんどくせー」
茜は不参加の意思を示していた。
が。次の言葉にふたりの目が輝いた。
『優勝者には毎年恒例、今晩宿泊のホテルの部屋がVIPルームになりまーす!ルームサービス許可、ムード満載の最上階の展望ルームでラブラブしましょう!!』
『なにぃーーーーーーっ!?』
(貞春、茜)
貞春はせっかく積み重ねた砂を崩して起き上がり、茜は目をマジにしてスピーカーを振り返った。
「ふぇっ!?貞春!?」
「こうしちゃいられねぇッ!真闇、出るぞ!」
「え?え?」
「あーたんは・・・いく?」
「・・・やだ。ダーリンとくっついてる」
「そか」
意気揚々と歩く貞春の後ろを真闇があわあわしながらついていく。成竜と天河は、天河の意思により、貞春たちを見送った。
「甲くん!出よう!」
「え?あ、うん・・・」
(ムード満載の部屋で甲くんとふたりきり・・・いけるっ!今晩はいけるぞ!ぐふ、ぐふふふふふ・・・)
茜が手を引く形で、甲たちもついてゆく。茜は顔が歪んだ笑顔になっていた。
こうして、貞春・真闇、茜・甲ペアが参加を決意した。
「・・・俺らも出るのか?」
「いや、万が一ワシが勝ったらいかんから、出場できん・・・出たかったのか?兄者?」
「いや、いい。というか、奴らは出場できるのか?」
「ロリは許す」
「その基準で正しいのか?」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
[真闇・貞春チーム]
真闇たちの最初の対戦相手は、ピクシー(子供サイズに巨大化)と褐色肌の男のペアだった。
「ご主人様!バッチリ勝ちましょうね!」
「おう!」
褐色肌の男は、チラリと真闇たちを見た。
「貞春・・・ごめんね、足引っ張りそう・・・」
「気にすんな。ネットだってちょい低めだし、真闇は頑張ってトスあげてくれりゃいいんだよ」
「う、うん・・・」
(一回戦はドッペルゲンガー相手か・・・あんまり強くなさそうだし、こりゃ楽に勝てそうだな)
「それじゃ、始めてくださ〜い!」
ピーッというホイッスルの音が鳴り、最初のサーブは真闇となった。
「え、え〜い!」
『ぺし〜ん』
弱弱しい音がなり、ゆるい放物線を描いてボールがなんとか相手コートへ行った。
「ご主人様ぁ!トス!」
「おぅ!」
ピクシーが簡単にトスを上げ、褐色男がネット前でスパイクを叩き込んだ。
「せやっ!」
『バシンッ!』
「いたっ!?」
なんとか受け止めた真闇が、『痛い』という悲鳴を上げた。
「・・・痛い・・・?」
瞬間、貞春の身体に黒い焔が宿った。
「・・・真闇に痛い思いをさせたのは・・・テメェかぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
真闇がはね上げてしまったボールに、貞春が高速ジャンプをして追いついた。その眼光は、褐色男を捉えていた。
「・・・え?」
「死にさらせやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
『ズドンッッッ!!!』
まるでボーリングの球が地面に落ちたかのような音をたて、褐色男の顔にバレーボールがめり込み、褐色男は後頭部から砂浜に突っ込んだ。
「ご主人様ぁぁぁぁぁぁっ!?」
ピクシーが慌てて駆け寄るが、褐色男は鼻血を垂らし、ピクピク痙攣を起こしていた。
「真闇を傷つけた罰だ!」
「貞春のバカッ!」
「なんで!?」
[真闇・貞春チーム、
相手の気絶により不戦勝]
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[茜・甲チーム]
天河たちの初戦相手はゴブリンと筋肉マッチョのコンビだった。
「いっくでー♪」
「やってやるぜ!」
「私、ビーチバレー初めてなんだよなー」
「え・・・茜さん、ルール分かってます?」
「だ、大丈夫だよ!任せて!」
「それじゃ、始めてくださ〜い!」
ホイッスルがなり、サーブは茜となった。
「いくぜっ!」
茜が、ボールを上に放った。
『ドンッ!バリッ!チュゥーーーンッ!』
「・・・へ?」
みっつの音が重なり、ボディビルダーが目をパチクリさせた。
ドンッ、は茜のサーブ音。
バリッ、はネットに穴が開く音。
チュゥーン、は豪速のバレーボールがボディビルダーの耳をかする音である。
「あ、茜さん!ボールはネットを貫いちゃダメだよ!」
「へ?そうなの?」
「サーブはネットを越えるように放物線状に打たないと!ていうか全力で打っちゃダメ!相手が取れるように打たないと!」
「え?相手をつぶすように打てばいいんじゃねぇの?」
「違うよ!?誰に聞いたのそんなルール!?」
「・・・あ、兄やん・・・」
「・・・なんだ・・・」
「・・・降参、せぇへん?」
「・・・しようか」
[茜・甲チーム、
相手の降参により不戦勝]
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「あいつらビーチバレーしてねぇし!!!」
真闇、茜の両方のチームの試合を見て、成竜が大声でツッコんだ。
「参加許可、早まったかのう・・・」
「すまん。愚弟が遠慮ないやつで・・・」
ギーヤが頭を抱える横で、斗真がガチに謝っていた。
「・・・さだちんはともかく、茜ちゃんはもはや脅迫レベル・・・」
「うわ、次当たるチームがみんな降参していくぜ・・・試合ぶちこわしじゃねぇか・・・」
成竜の言うとおり、真闇チームはともかく(真闇にボールを当てなきゃいいので)、問答無用で死にそうな茜の豪速球を恐れ、茜チームは降参で無条件に上がっていった。
対する真闇チームは、真闇に球が行かなくなった分、貞春がワンマンな働きをし、なんとか勝ち進んで行き、そして・・・
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[決勝戦]
[真闇・貞春チーム]VS[茜・甲チーム]
「決勝までいきやがったあの二組!!?」
成竜のツッコミをバックに、4人がコートに入った。
「茜たちが相手か・・・ガチでやれるな」
「えっ・・・貞春本気じゃなかったの!?」
「パワーの意味で」
貞春はやる気まんまんで手をパキポキ言わせている。真闇は止めるべきか、しかしここまで来た貞春を叱っていいものか迷っていた。
「貞春の野郎が相手か・・・」
「あ、茜さん?もうルール大丈夫だよね?」
(他の試合がやってる間、ずっとルール教えたけど、大丈夫かなぁ・・・)
「大丈夫だよ!任せて!」
(甲くんに見惚れてなんっにも覚えてないけど、とりあえず全力でやらなきゃいいんだよ・・・な?)
対する甲は茜がちゃんとルールを理解してくれたのか激しく不安でわたわたしている。どうやら努力はわずかに実ったようだが。
「え〜・・・ぶるぶる・・・そ、それでは最終決戦、始めてくださ〜い・・・」
流れ球のことを気にしてか、審判の魔女がぶるぶる震えながらホイッスルを吹いた。
「茜くらえオラァッ!」
『ドガァッ!』
「んぎゃっ!?」
開幕いきなり、貞春のフルパワーサーブが茜の顔面に激突した。
「テ、メッ!貞春ゥ!顔面狙いやがったな!?」
「反則取られなきゃいいんだよバーカ!」
「ッ・・・甲くん、トォス!」
「え、あ、わっ!?」
茜の顔面からバウンドしたボールをなんとか高く弾き上げた甲。その高く上がったボールに、茜は高くジャンプし打ち落とすようにパンチを加えた。
「お返しだァッ!」
『ドガァッ!』
「ぐぉほっ!?」
怒りのパンチ+重力による超豪速球は貞春の肩に直撃し、また天高くバウンドした。
「へっへぇ〜んだ!バーカバーカ!」
「いっつ・・・あんのガキィ!真闇!上げてくれ!」
「わっわっわ・・・えーい!」
ぺしん、と空気の抜けるような音とともに真闇が落ちてきたボールをトスした瞬間、貞春がダッシュジャンプで勢いを殺さずにネット前でボールを叩き込んだ。
「オォラァッ!」
「やらせるかァッ!」
ギリギリラインを狙って叩き込んだ貞春だったが、茜の足がボールを蹴り上げ、また高い放物線を描いて甲の元へ。
「茜さん!」
「だァらっしゃァッ!」
甲が適当な高さに上げなおすと、茜はオーバーヘッドキックでネットすれすれを狙い、真闇たちのコートへ蹴り飛ばした。
「落とすかよ!」
しかし、落下点を予測した貞春が素早くカバー。アッパーカットでボールを殴り上げた。
「真闇!頼む!」
「え、えいっ!」
高く上がったボールを真闇が上げ、また貞春が茜側のコートへ。
また茜が弾き、甲がトス、茜がアタック。
貞春が弾き、真闇がトス、貞春がアタック・・・
この押収が、しばらく続いた。
「あ、あいつら・・・バレーボールに近いバレーボールをしてやがる・・・しかもラリーすげぇ続く・・・」
「貞春と茜ちゃんのボールの上げ方やアタックのやり方がパンチだったりキックだったりで、喧嘩チックだがな・・・」
もはや最初は『試合になるのかこれ?』と呆れていた観客たちも、ラリーの続く、バレーボールではないけどバレーボールに近しいバレーボールのようなバレーボールを、真剣に観ていた。
そして勝負の行方は、茜の一打により動いた。
「うぉりゃあぁぁっ!」
もはや貞春に狙って打ったボールだったが、力の入ったパンチの軌道がズレ、ボールは大きくミスショットになってしまった。
「なっ!?」(貞春)
「あれは・・・セーフか!?」(甲)
そのミスショットだが、ラインギリギリセーフの場所に向かって飛んでゆく。貞春の足を使っては、もう届きそうにない。
「やった!結果オーライ!」
瞬時に茜がそう判断し、ガッツポーズをしたが。
「ッ・・・えーいっ!」
『ずざざーっ!』
なんと、蚊帳の外にあった真闇がヘッドスライディングをして手を伸ばし、なんとかボールを貞春の方へ飛ばした!
「にゃにぃーーーっ!?」(茜)
「貞春!お願い!」(真闇)
「おっしゃ任せ…」(貞春)
しかし、貞春がそのボールをアタックしようとした瞬間・・・
『・・・ぱらり』
「あ。」(成竜)
「・・・あ」(天河)
「あ?」(斗真)
「あっ・・・」(ギーヤ)
「えっ!?」(甲)
「はっ!?甲くん見ちゃダメっ!!!」(茜)
「・・・え?」(貞春)
「・・・ふぇ?」(真闇)
真闇がヘッドスライディングした反動か、真闇が半身を起こした瞬間。
真闇の黒ビキニの上が。胸を隠していた水着が。
ポロリした。
そこには綺麗な、両手ですっぽり隠れてしまいそうな慎ましやかな、わずかに膨らんだ双山があり、登頂には綺麗なピンク色があった。
『・・・おぉっ・・・』
『ぽすっ。』
ポロリのわずか数秒後。
観客の男たちの、頬が緩んだ声が上がり、貞春がアタックしそこねたビーチボールが地面に落ちた瞬間。
「・・・っ!きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「今、真闇のハダカ見た奴ァどいつだグォラァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
真闇が顔を真っ赤にし、前を隠して大きく叫び声を上げた後、鼻血をだばだば流した貞春が観客の男たちを片っ端から殴り飛ばし始めた!
「きゃあぁぁぁっ!きゃあぁぁぁっ!!きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
「お、おいコラ真闇、落ち着けって!」
「貞春さぁん!ダメですって!落ち着いてください!」
「忘れろっ!思い出すな!おいこらテメェら頭寄越せ!殴って忘れさせてやる!!!」
茜は慌てて泣き叫ぶ真闇をなだめ、甲は暴走する貞春を止めようとする。
「お、俺たちも行かなきゃ!」
「・・・うん!」
成竜と天河が慌てて貞春の元へ行こうとした。
しかし、ふたりの肩を、斗真が掴んだ。
「待て。ふたりとも」
「な、なんでっ!?」
「・・・うちの嫁がお怒りだ」
「・・・へ?」
「・・・ここまで大暴れするとは・・・不慮の事故とは言え、兄者の弟殿とは言え・・・流石に赦さんッ!!」
見るとギーヤの手元で電気がバチバチと音を立ててスパークし、ギーヤのこめかみに青筋があった。
「・・・少し反省せいっ!!!『ライトニング・ボルト』ォォォ!!!」
ギーヤが振りかぶった腕を振り下ろすと、暴れる貞春にのみ、激しい雷が落ちた!
『バリバリバリバリッ!ズゴォォッン!』
「あばばばばばばばばばっ!?」
雷にうたれた貞春は、ブスブスと煙を上げながら、バタリと砂浜に倒れた。
「あ・・・ぅ・・・ぉ・・・ぁ・・・」(貞春)
「反省せい!愚か者めがっ!」(ギーヤ)
(・・・うわぁ・・・)(その他一同)
結局、ビーチバレー大会は、貞春の反則負けとなり、茜・甲チームの暫定優勝となった。
次回、後編へ、続く。
12/08/29 18:37更新 / ganota_Mk2
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