宵闇の自由研究
「おーい、ハルちゃーーん！」
気持ちのいい青空に響くその声と共に草原に薄めの影が落ちた。ハルちゃんと呼ばれる島沢ハルトを含む少年達がそれに気付き空を見上げると、陽光を遮る小さな点が翼のをはためかせてこちらに向かってきていた。点はあっという間に翼と鉤爪をもつ人型の魔物へと姿を変え、華麗に草原へと着地を果たす。
「遅いよイリス」
少年の一人が憤慨した。
「だってみんな今日に限って場所を変えるんだもん！ハルちゃんは森で遊ぶとしか言わないし」
「ご、ごめんねイリス。ちょっと･･･っていうかすっかり忘れてて、ｱﾊﾊ･･･」
ハルトがバツが悪そうに頭を掻きながら謝罪の言葉を述べる。実に申し訳なさそうにみえる仕草だった。イリスはその様子を見るとやれやれといった様子で小さく溜め息をついた。
「ハルトっていっつもそうだよな。いつもは結構しっかりしてるくせに肝心なところがすっぽ抜けるんだ。この間なんて･･･」
「なんだっていいよ。さっさと始めようぜ、日が暮れちゃうよ」
少年の一人が文句を垂れ流していると、別の少年がそれを遮りながら言った。
「そうだよ。で、誰が鬼をやるの？」
また別の少年が集まっている皆を見渡しながら言った。
「イリスに決まってるだろ。一番遅れてきたんだから鬼、いつもそうしてるじゃん」
すかさず先ほどの少年が答える。その意見に少年たちはだれも異論を述べなかったが、聞いてもいない場所を必死で探し回った挙句無条件に鬼にされてはたまらないとイリスが抗議の声をあげた。
「ちょっと！私はこの場所を知らなかったんだよ！？遅れて当たり前じゃない」
イリスの言葉にハルトはふたたびバツが悪そうに俯く。それに気付いたイリスはハッとしたように口をつぐんだが、もう遅かった。
「じゃあイリスが遅れたのはハルトのせいだから、ハルトが鬼な！」
「あ、うん･･･いいよ」
当然そういった意見が湧き出てくる。ハルトもそれを拒否できる立場ではなく、甘んじてそれを受け入れた。
「よーし！みんな行けー！！」
一人の少年の合図でハルトとイリスを除く全員が四方八歩へ散らばりその身を隠した。ここは森、隠れ場所などそれこそ木の数だけある。少年達の姿は数秒と持たずにまるで見えなくなってしまった。
「イリス、どうしたの？隠れないとみんなを探せないじゃないか」
「うん･･･その、ハルちゃん、ごめんね？」
「別に気にしないでよ、伝え忘れた僕が悪いのは確かだし。それに僕、鬼って得意なんだぞ」
「あっ･･･そうだった」
イリスはそういうとハルトに背を向けて森の中を走り出した。ルールとして彼女は飛行を禁止されている、大空を長時間滞空でもされてしまえば、見つける手段が何もなくなってしまうからだ。だがイリスは少年達と同じようにすぐに姿を消さなかった。途中で立ち止まり、彼女はハルトの方を振り返る。
「イリス？」
「ハルちゃん･･･。その、かくれんぼが終わったらね･･･」
「う、うん」
「終わったら、みんないなくなるまで･･･森で待っててくれない？」
「え？なんでまた･･･」
「そのとき言うから･･･！」
そう言うとイリスは再び走り出す。今度は少年達と同じように瞬く間に姿を消してしまった。
「ハルトを鬼にした僕がバカだった」
最初に見つかり、そしてその提案をした少年が呟いた。
あれから十数分、ハルトはたったそれだけの時間で隠れた全員をものの見事に見つけ出したのだ。ハルトが成り行きで鬼を任せられるのは何も今回に限ったことではなかった。しっかりもので優しく、しかしやや気が弱くてどこか間が抜けている彼は時折何かしらヘマをしてその部分を突かれて鬼の役を押し付けられることがあった。何度も何度も捜し物を続けるたびに、いつしか彼の探索能力は誰よりも向上していき、彼の目から逃れられるものは一人もいなくなってしまった。
「はぁ〜、やっぱりハルちゃん強い〜！」
「じゃあ次は君が鬼だからね！」
ハルトが最初に見つけた少年に向かって、勝ち誇った笑顔でそう言った。
「ちぇ〜･･･」
「いいじゃん、ハルトって見つけるのは上手でも隠れるのはヘッタクソだもんな！」
「そうだよな、ハルトが最初に見つけた奴が鬼になって、そいつがハルトを最初に見つけての繰り返しだもん」
「うるさいやい！」
少年達から大きな笑い声を上がった。
その後もかくれんぼが続けられたが、鬼の順番はその予言通りハルトと彼が最初に見つけた者が交代が続いた。もっともそれすらいつものことであり、誰からもワンパターンに対する不平不満が上がることはなかった。
６回戦を終えてふと空を見上げると、空の色は青から橙に変わっていた。そのことに気付いた途端、少年達の顔に思い出したように疲れの色が浮かび上がった。
「うわ、もうこんな時間だったのか！」
「もう帰ろ？流石に疲れちゃった」
「またねー！」
ある者は疲れ故に歩き、ある者は空腹から家で待つであろう夕食を求めてそれぞれの家路につきはじめ、夕日に照らされた森に静寂が戻った。木々が持つ爽やかさが太陽と共に消えて行き、代わりに不気味さが徐々に森を包み込んでいく。森林特有の雰囲気の移り変わりの中で、ハルトとイリスは少年達の姿が消え去るのをじっと待っていた。
「それで、どうしたのイリス？」
「･･･」
誰もいなくなったのを確認してハルトが切り出した。
みんないなくなるまでと言ったからには恐らく誰にも聞かれたくない話なのだろう。当然それくらいの察しはついた。
しかし人の気配が無くなってもイリスはその問いに答えず黙っていた。あの天真爛漫を地で行くイリスが静まり返っているという事実にハルトは少なからず違和感を覚えたが、それに忠実に従い彼女を質問攻めにするほどハルトは無粋で礼儀知らずでは無かった。
言いにくいことなんだろう。
ハルトがそう感じ、待つことにした。既に日は落ちているが心配は要らない。ならイリスなら一飛びで森を抜けられる。かつて森に慣れていない自分が道に迷い帰路を失ったとき、助けてくれたのはいつも彼女だったから、ハルトはそう確信できた。それにいくら今は慣れたとはいえ夜の森を抜けられるほど土地勘があるわけでもない。帰りはもう彼女に任せるほかはないのだ。
ハルトがそんなことを考えてるうちに、イリスがようやく口を開いた。
「あのねっ･･･！」
イリスが勢い良くハルトに向き直ると、その顔は真っ赤に染まっていた。ハルトは思わずビクッと仰け反ってしまった。
夕暮れから今までの間に一瞬で風邪をひいて一瞬で熱が出たんだろうか。
そんな突拍子も無い考えが出るほどハルトは驚愕した。彼女とは家も斜向かい同士で何度も顔を突き合わせてきたが、こんな表情を見たのはハルトも初めてだった。
「こんなこと、ハルちゃんにしか頼めないからさ･･･」
「な、何？僕に出来ることなら―」
ハルトの答えを聞いてイリスは意を決してハルトにその頼みを打ち明けた。
「ハルトの･･･ちんちん･･･見せてくれない･･･？」
耳を疑うという言葉は知っていたが、それを実践したのはハルトは初めてだった。
「な･･･な･･･なに･･･ッ！なに言ってんのイリス―」
そう怒鳴りかけたハルトにイリスが慌てて飛び掛り、両腕の羽で彼の口を塞いだ。
この静けさだ、少しでも声が大きければ簡単に響き渡ってしまうだろう。もしそれを誰かに聞かれでもしたら二人はたちまち見つかってしまう。もう子供が森で遊ぶような時間ではない、後に待っているのは両親からの大目玉のみだ。
「し、静かにしてよハルちゃん！誰かに聞こえたらどうするの･･･」
「もがもが」
ハルトはイリスを振り払おうと大暴れするが、イリスの言葉で我に返り落ち着きを取り戻す。とはいえ流石に頼まれ事が事なので冷静になれたわけでは全くないのだが。イリスはハルトの動きが止まるのを確認すると、口を覆う羽を避けて彼の反応を待った。
「イリス、いきなりどうしたの」
「だって、見たこと、ないんだもん」
イリスの顔は更に赤みを帯びていた。ハルトは自分の中でイリスのイメージが音を立てて崩れ行くのを感じた。
違う、あまりに違いすぎる。ハルトを文字通りの鷲掴みにして、「大空は気分がいいよ！」とだけ言って無理矢理天高く運び上げた彼女も、草むらから尾羽をはみ出し、いつも真っ先に見つけられる彼女も、そこにはいない。
「･･･わかったよ」
彼女に潜在する魅力にあてられたのか、ハルトはためらいつつも承諾してしまった。しかしハルトは「でも」と続ける。
「イリスのも見せてよ、女の子って･･･ついてないんでしょ？」
「いいよ、私だけじゃ不公平だもんね･･･」
ハルトとイリスは立ち上がり、それぞれ自分のズボンに手をかけたところで動きを止めた。心臓は弾けんばかりに鼓動し、二人の耳には自身が刻むそのリズミカルかつ重厚な音だけが響いていた。
「せーの、で行くからね！自分だけ下げないとかナシだからね！！」
「わ、分かってるよ！」
二人は互いに目で合図をすると、小さな声で叫ぶ。
「「せーの･･･」」
少しでも恥ずかしさを押さえるために、二人はほぼ一瞬でズボンを脱いだ。同時に互いに露になった下半身を見やり、そして同じ言葉を口にした。
「「うわ、変なの･･･」
二人の心を満たす羞恥心は跡形もなく消え去った。
いままで見たことのないモノがそこにある、自分とは全く違う別のモノがその事実は子供が持つ膨大な好奇心を奮い立たせるのに十分すぎる役割を果たした。
ハルトは幼く小柄な外見とは裏腹に、まだ大いにあどけなさが残るものの、皮はちゃんと向けておりピンク色の亀頭が顔を覗かせていた。
イリスはといえば年相応の見た目で、月明かりを浴びて艶を出す肌にくっきりと一本の筋が走っているだけで、そのほか余計なものは何も見つからなかった。
「ほ、ほんとにちんちん無いんだ･･･」
「あの、あんまり見ないでよ」
「何言ってんだ、イリスは思いっきり見てるくせに」
「うっ･･･」
イリスの視線はハルトが持つ小さな分身に釘付けになっていた。そしてそれはハルトも同じことだった。二人共ただ男女で体の構造が違うということしか知らず、何が違うのか、どう違うのかなど全く知らず、知る術も皆無だった。
「ねぇ･･･触ってみていい？」
それは純粋なる好奇心か、あるいは彼女に秘められた魔物、そして生き物としての本能故にか、イリスはそう尋ねハルトの返事も聞かずに腕を伸ばした。
興奮したイリスが手加減無しにそれを掴むと、翼から飛び出た爪が食い込む。ハルトは激痛に呻き声をあげた。
「うぐああっっ！イリス！爪爪ッ！」
「うわ！ご、ごめんハルちゃん！」
イリスは慌てて手を離した。流血こそしていないものの、イリスの爪の痕がくっきりと残ってしまった。
「いたた、気をつけてよ･･･」
「うん、ごめんね･･･」
今度は爪が触れてしまわないように、羽の部分だけでゆっくりと触り始める。指と違って感触が鈍くはあるが、ぷにぷにと押しては押し戻される不思議な感覚にイリスは再び興奮を覚えた。イリスしばらくの間夢中になって触り続けていたが、ハルトのそれが剛直へと姿を変えるにつれて柔らかさは消えて熱と硬さが顕著に感じられるようになってきた。
「なんかカチカチになったよ？それにすっごく熱いし･･･」
「い、イリス！それ以上やると･･･！」
「ええ？もうちょっとだけいいじゃん」
「ダメだってば！」
ハルトの制止をイリスは全く聞き入れず、新たな感触を引き続き楽しみ始めた。羽で撫で、こねくりまわし、浮き出た血管の一本一本をなぞる。理性を捨てたイリスの翻弄にもはやハルトは制止の言葉さえ発せず、甘んじてそれを受け入れることしか出来なくなっていた。そしてイリスがその硬さを再度確かめるために両腕の羽で強くハルトを握り締めたとき、遂に爆発が起きた。
「うっ、うわあぁ･･･」
「ひゃっ！？な、なにこれなにこれ！？！？」
そんなことになるとは露ほども考えずに間近で観察をしていたイリスに、ハルトが放った白濁する液体が直撃した。目の前にある剛直と同じく強い熱を放つ液体が、イリスの顔を荒々しく、しかし妙に扇情的に汚す。
「ハルちゃん･･･？これ･･･なに？」
「だからやめろっていったのに･･･」
ハルトは酷く疲れたようにへたりこみ、その剛直、否、剛直だったものはその役目を全うしたかのように硬度を失い、徐々に元の姿に戻りつつあった。
イリスはハルトから放たれた白濁液を羽で絡めてまじまじと見つめる。見かけ上は確かに液体だが、ねばついていてややまとまりがある、実に不思議なものだった。そして独特の匂いがイリスの鼻腔を強く刺激した。
「なんか、いい匂いする･･･///」
「えっ、何か言った？」
「ッ！なんでもない！」
「ふーん･･･ねぇ、それよりさ」
ハルトはイリスの筋を見つめて唾を飲んだ。
「イリスのも触らせてよ」
イリスは上気した顔と蕩けた目でハルトを見つめた後、「いいよ」とだけ返しゆっくりと脚を開いた。ハルトの目の前にイリスの秘所が広がる、ハルトはまた自分の股間が大きく成長するのを感じた。
ハルトが恐る恐るその恥丘に手を伸ばす。先ほどイリスが自分に対して行ったように、心の赴くまま指を押し付け、陰唇をつまむ。その度にイリスが小さく喘ぎ声を上げるが、そんなものはハルトの耳には一切届いてはいない。
そのとき不意に、ハルトの指がが割れ目に入り込んだ。
「んぅッ･･･！」
「痛かった！？」
一際大きな声に、ハルトは慌てて手を離した。自分がされたときのように、イリスにも耐え難い痛みが襲い掛かったのだろうか。
しかしハルトの予想は大きく外れていた。イリスは痛みに悶えてなどおらず、それどころか先ほどよりもリラックスしているようにさえ見えた。
「ハルちゃん･･･もっと触っていいよ･･･」
「う、うん」
ハルトが再びイリスの秘所を弄りだす。慎重に、慎重にと心がけてはいるが、次第にハルトの手の動きが激しくなっていく。それに比例しイリスの喘ぎ声も大きさを増していき、息も荒くなっていた。イリスは自分の口を押さえ必死で声を抑えようとするが、止められずに羽から漏れ出すくぐもった嬌声と息遣いが、物音一つしない森の中に妖しく響き渡る。
ハルトは先ほどの心がけなどどこへやら。いつのまに指を割れ目に付き入れ中の感触を確かめていた。先ほどまで触っていた肌とはまるで違う触感がそこにあった。指が一本しか入らないほど狭く、ぬめった襞のある壁で覆われていおり、入れた指が溶けてしまうかのような強い熱で満たされていた。指を動かすと、その壁が一斉に指に食らい付く。ハルトその謎の感覚に夢中だった。
「は、ハルちゃ･･･！んぁ！･･･ふっ！」
「･････････！」
イリスがハルトを呼びかけたことにより、彼はハッとして指を引き抜いた。その指を見てみると、自分がイリスの顔にぶちまけたもののようにねばついた、しかし色は全く透明な液体で濡れていた。
「イリス･･･そこ、すごく濡れてるね」
「い、言わないでよ･･･。あっ！別におもらしとじゃないよ！」
「うん、それは見ればわかるけど･･･」
イリスの恥丘を見ると、指を引き抜いたときに溢れ出たであろうその液体で濡れていた。ハルトはそれとは別に、イリスに起きたある異変に気がつく。
妙なものを見つけるとすぐに手を伸ばす、それが子供というものだ。
「あれ？イリス、これなに？」
「あっ、ハルちゃんそこは･･･！」
イリスの秘所から小さな突起がはみ出ていた。イリスがハルトを止める前に、ハルトの手がそこをつまみあげていた。
「ッ！！」
「イ、イリス！？」
その瞬間イリスが体を強張らせた。尋常でない様子にハルトは驚く。
「やっぱり痛かったんじゃ･･･」
ハルトの問いかけにイリスは首を振って答えた。
「痛くないの？」
イリスの首が今度は縦に振れる。
「じゃあ･･･もっと触っていい？」
また縦に振れた。
それを確認するとハルトはまた小さな突起をつまむ。するとまたイリスの体が強張った。ハルトは突起の全貌を確かめるため、どうにかうまく引き出せないかと画策する。摘み上げるだけでなく、押し上げたり、あるいはその周囲を広げて突起だけを露出させたり。あれやこれやと試すハルトの行動の全てが、イリスに強い快感をもたらす。
「ハ、ハルちゃ･･･ハルちゃんッ！」
「イリス？」
「それ以上はぁ･･･！」
イリスがそう声を振り絞って発したその訴えをハルトは一蹴した。
「･･･僕がそう言ったときイリスはやめなかったよね？」
「えっ･･･」
「だからお返しだよ、僕だってやめるもんか」
「やっ、だっ、ダメ！ハルちゃん！ダメだってぇ！」
イリスの必死の叫びもハルトは意に介さなかった。今度は好奇心ではなく、ただの悪戯心から手を動かす。必然、動きはさらに激しくなりイリスが受ける快感もどんどん高みへ昇っていった。
「ハルちゃん！ハルちゃん･･･！」
「ふふふ、僕はやめないよイリス･･･！？」
突然、イリスはハルトを抱え込む。
「！ハルちゃん･･･！も、もうホントに･･･！私･･･んあっ！あっ！あっ･･･！･･････――――ッッ！！！」
イリスはハルトを強く抱き締めながら絶頂した。体はガクガクと痙攣し、だらしなく開いた口からは舌をはみ出させ、涙や涎が止め処なく流れ続ける。ハルトは今まで弄っていたイリスの秘所が脈動するのを目の当たりにした。力強く弾けるそれは、何か足りないものを求めているようにも思えた。長く長くそれは続き、やがて快楽の波が引いた頃、イリスはハルトを抱えたまま倒れこんだ。
「ハ･･･ハルちゃんの･･･馬鹿」
そう一言だけ言ってしまうと、イリスは力尽きそのまま深い眠りに落ちた。そしてイリスの羽毛に包まれたハルトも、その温かさから睡魔に襲われる。
今は真夜中、子供がはしゃぐには遅すぎる時間だった。
翌朝、ハルトイリス両名は恐ろしいものを目の当たりにすることとなった。それは怪物でも、魔物の排除を目的とする教団過激派でもない。
深く深く愛し合った末に二人をこの世に送り出した、ハルトとイリス生みの親本人である。二人は朝日を背に受け目の前に立つ巨大な四つの影を見て恐れおののきながら身を寄せ合っている。一晩帰らなかった上に、下半身丸出しで抱き合いながら眠っていたのだ。どれほどの叱責や折檻があろうと文句が見える身分ではない。影の一つが口を開くと、二人は同時に歯を食いしばり覚悟を決めた。
しかし、その覚悟は一切必要がなかった。
「こんな所で寝てたのか。ダメだぞ、あんまり夜遅く遊んじゃ」
「「え･･･？」」
「ほら、お腹空いてるでしょう？帰って朝ごはんにしましょ」
ハルトとイリスは乱れた衣服を正されると、それぞれの親に手を引かれて立ち上がる。あまりに予想外過ぎた言葉に二人は一気に心を手放し、何故叱らないのか、何故そうもにこやかなのか聞くことすら出来ずにいた。それ故ハルトとイリスの母親が実に嬉しそうにこんな会話をしていたことを、二人が知るはずもなかった。
「嶋沢さん。もし私達が親戚になったら、その時はまたよろしくお願いしますね」
「あらあら。もしなどと言わずに是非なってくださいな。」
数日後、イリスはハルトと共に再び夜の森に残っていた。
「イリス･･･。確かにこの間は何故か怒られずに済んだけどさ、調子に乗りすぎだよ･･･」
ハルトが窘めるが、イリスはそんなことはお構いなしだった。「いつものイリスに戻ったか」とハルトは心の中で呟いた。
「ハルちゃん･･･。あのね、あの後お母さんから聞いたんだ･･･。」
「何を？」
イリスがハルトに抱きついた。羽をハルトの背中にまわし、つま先から胸まで密着するように。
「こうやってくっついて、一緒に気持ちよくなる方法があるんだって･･･。」
気持ちのいい青空に響くその声と共に草原に薄めの影が落ちた。ハルちゃんと呼ばれる島沢ハルトを含む少年達がそれに気付き空を見上げると、陽光を遮る小さな点が翼のをはためかせてこちらに向かってきていた。点はあっという間に翼と鉤爪をもつ人型の魔物へと姿を変え、華麗に草原へと着地を果たす。
「遅いよイリス」
少年の一人が憤慨した。
「だってみんな今日に限って場所を変えるんだもん！ハルちゃんは森で遊ぶとしか言わないし」
「ご、ごめんねイリス。ちょっと･･･っていうかすっかり忘れてて、ｱﾊﾊ･･･」
ハルトがバツが悪そうに頭を掻きながら謝罪の言葉を述べる。実に申し訳なさそうにみえる仕草だった。イリスはその様子を見るとやれやれといった様子で小さく溜め息をついた。
「ハルトっていっつもそうだよな。いつもは結構しっかりしてるくせに肝心なところがすっぽ抜けるんだ。この間なんて･･･」
「なんだっていいよ。さっさと始めようぜ、日が暮れちゃうよ」
少年の一人が文句を垂れ流していると、別の少年がそれを遮りながら言った。
「そうだよ。で、誰が鬼をやるの？」
また別の少年が集まっている皆を見渡しながら言った。
「イリスに決まってるだろ。一番遅れてきたんだから鬼、いつもそうしてるじゃん」
すかさず先ほどの少年が答える。その意見に少年たちはだれも異論を述べなかったが、聞いてもいない場所を必死で探し回った挙句無条件に鬼にされてはたまらないとイリスが抗議の声をあげた。
「ちょっと！私はこの場所を知らなかったんだよ！？遅れて当たり前じゃない」
イリスの言葉にハルトはふたたびバツが悪そうに俯く。それに気付いたイリスはハッとしたように口をつぐんだが、もう遅かった。
「じゃあイリスが遅れたのはハルトのせいだから、ハルトが鬼な！」
「あ、うん･･･いいよ」
当然そういった意見が湧き出てくる。ハルトもそれを拒否できる立場ではなく、甘んじてそれを受け入れた。
「よーし！みんな行けー！！」
一人の少年の合図でハルトとイリスを除く全員が四方八歩へ散らばりその身を隠した。ここは森、隠れ場所などそれこそ木の数だけある。少年達の姿は数秒と持たずにまるで見えなくなってしまった。
「イリス、どうしたの？隠れないとみんなを探せないじゃないか」
「うん･･･その、ハルちゃん、ごめんね？」
「別に気にしないでよ、伝え忘れた僕が悪いのは確かだし。それに僕、鬼って得意なんだぞ」
「あっ･･･そうだった」
イリスはそういうとハルトに背を向けて森の中を走り出した。ルールとして彼女は飛行を禁止されている、大空を長時間滞空でもされてしまえば、見つける手段が何もなくなってしまうからだ。だがイリスは少年達と同じようにすぐに姿を消さなかった。途中で立ち止まり、彼女はハルトの方を振り返る。
「イリス？」
「ハルちゃん･･･。その、かくれんぼが終わったらね･･･」
「う、うん」
「終わったら、みんないなくなるまで･･･森で待っててくれない？」
「え？なんでまた･･･」
「そのとき言うから･･･！」
そう言うとイリスは再び走り出す。今度は少年達と同じように瞬く間に姿を消してしまった。
「ハルトを鬼にした僕がバカだった」
最初に見つかり、そしてその提案をした少年が呟いた。
あれから十数分、ハルトはたったそれだけの時間で隠れた全員をものの見事に見つけ出したのだ。ハルトが成り行きで鬼を任せられるのは何も今回に限ったことではなかった。しっかりもので優しく、しかしやや気が弱くてどこか間が抜けている彼は時折何かしらヘマをしてその部分を突かれて鬼の役を押し付けられることがあった。何度も何度も捜し物を続けるたびに、いつしか彼の探索能力は誰よりも向上していき、彼の目から逃れられるものは一人もいなくなってしまった。
「はぁ〜、やっぱりハルちゃん強い〜！」
「じゃあ次は君が鬼だからね！」
ハルトが最初に見つけた少年に向かって、勝ち誇った笑顔でそう言った。
「ちぇ〜･･･」
「いいじゃん、ハルトって見つけるのは上手でも隠れるのはヘッタクソだもんな！」
「そうだよな、ハルトが最初に見つけた奴が鬼になって、そいつがハルトを最初に見つけての繰り返しだもん」
「うるさいやい！」
少年達から大きな笑い声を上がった。
その後もかくれんぼが続けられたが、鬼の順番はその予言通りハルトと彼が最初に見つけた者が交代が続いた。もっともそれすらいつものことであり、誰からもワンパターンに対する不平不満が上がることはなかった。
６回戦を終えてふと空を見上げると、空の色は青から橙に変わっていた。そのことに気付いた途端、少年達の顔に思い出したように疲れの色が浮かび上がった。
「うわ、もうこんな時間だったのか！」
「もう帰ろ？流石に疲れちゃった」
「またねー！」
ある者は疲れ故に歩き、ある者は空腹から家で待つであろう夕食を求めてそれぞれの家路につきはじめ、夕日に照らされた森に静寂が戻った。木々が持つ爽やかさが太陽と共に消えて行き、代わりに不気味さが徐々に森を包み込んでいく。森林特有の雰囲気の移り変わりの中で、ハルトとイリスは少年達の姿が消え去るのをじっと待っていた。
「それで、どうしたのイリス？」
「･･･」
誰もいなくなったのを確認してハルトが切り出した。
みんないなくなるまでと言ったからには恐らく誰にも聞かれたくない話なのだろう。当然それくらいの察しはついた。
しかし人の気配が無くなってもイリスはその問いに答えず黙っていた。あの天真爛漫を地で行くイリスが静まり返っているという事実にハルトは少なからず違和感を覚えたが、それに忠実に従い彼女を質問攻めにするほどハルトは無粋で礼儀知らずでは無かった。
言いにくいことなんだろう。
ハルトがそう感じ、待つことにした。既に日は落ちているが心配は要らない。ならイリスなら一飛びで森を抜けられる。かつて森に慣れていない自分が道に迷い帰路を失ったとき、助けてくれたのはいつも彼女だったから、ハルトはそう確信できた。それにいくら今は慣れたとはいえ夜の森を抜けられるほど土地勘があるわけでもない。帰りはもう彼女に任せるほかはないのだ。
ハルトがそんなことを考えてるうちに、イリスがようやく口を開いた。
「あのねっ･･･！」
イリスが勢い良くハルトに向き直ると、その顔は真っ赤に染まっていた。ハルトは思わずビクッと仰け反ってしまった。
夕暮れから今までの間に一瞬で風邪をひいて一瞬で熱が出たんだろうか。
そんな突拍子も無い考えが出るほどハルトは驚愕した。彼女とは家も斜向かい同士で何度も顔を突き合わせてきたが、こんな表情を見たのはハルトも初めてだった。
「こんなこと、ハルちゃんにしか頼めないからさ･･･」
「な、何？僕に出来ることなら―」
ハルトの答えを聞いてイリスは意を決してハルトにその頼みを打ち明けた。
「ハルトの･･･ちんちん･･･見せてくれない･･･？」
耳を疑うという言葉は知っていたが、それを実践したのはハルトは初めてだった。
「な･･･な･･･なに･･･ッ！なに言ってんのイリス―」
そう怒鳴りかけたハルトにイリスが慌てて飛び掛り、両腕の羽で彼の口を塞いだ。
この静けさだ、少しでも声が大きければ簡単に響き渡ってしまうだろう。もしそれを誰かに聞かれでもしたら二人はたちまち見つかってしまう。もう子供が森で遊ぶような時間ではない、後に待っているのは両親からの大目玉のみだ。
「し、静かにしてよハルちゃん！誰かに聞こえたらどうするの･･･」
「もがもが」
ハルトはイリスを振り払おうと大暴れするが、イリスの言葉で我に返り落ち着きを取り戻す。とはいえ流石に頼まれ事が事なので冷静になれたわけでは全くないのだが。イリスはハルトの動きが止まるのを確認すると、口を覆う羽を避けて彼の反応を待った。
「イリス、いきなりどうしたの」
「だって、見たこと、ないんだもん」
イリスの顔は更に赤みを帯びていた。ハルトは自分の中でイリスのイメージが音を立てて崩れ行くのを感じた。
違う、あまりに違いすぎる。ハルトを文字通りの鷲掴みにして、「大空は気分がいいよ！」とだけ言って無理矢理天高く運び上げた彼女も、草むらから尾羽をはみ出し、いつも真っ先に見つけられる彼女も、そこにはいない。
「･･･わかったよ」
彼女に潜在する魅力にあてられたのか、ハルトはためらいつつも承諾してしまった。しかしハルトは「でも」と続ける。
「イリスのも見せてよ、女の子って･･･ついてないんでしょ？」
「いいよ、私だけじゃ不公平だもんね･･･」
ハルトとイリスは立ち上がり、それぞれ自分のズボンに手をかけたところで動きを止めた。心臓は弾けんばかりに鼓動し、二人の耳には自身が刻むそのリズミカルかつ重厚な音だけが響いていた。
「せーの、で行くからね！自分だけ下げないとかナシだからね！！」
「わ、分かってるよ！」
二人は互いに目で合図をすると、小さな声で叫ぶ。
「「せーの･･･」」
少しでも恥ずかしさを押さえるために、二人はほぼ一瞬でズボンを脱いだ。同時に互いに露になった下半身を見やり、そして同じ言葉を口にした。
「「うわ、変なの･･･」
二人の心を満たす羞恥心は跡形もなく消え去った。
いままで見たことのないモノがそこにある、自分とは全く違う別のモノがその事実は子供が持つ膨大な好奇心を奮い立たせるのに十分すぎる役割を果たした。
ハルトは幼く小柄な外見とは裏腹に、まだ大いにあどけなさが残るものの、皮はちゃんと向けておりピンク色の亀頭が顔を覗かせていた。
イリスはといえば年相応の見た目で、月明かりを浴びて艶を出す肌にくっきりと一本の筋が走っているだけで、そのほか余計なものは何も見つからなかった。
「ほ、ほんとにちんちん無いんだ･･･」
「あの、あんまり見ないでよ」
「何言ってんだ、イリスは思いっきり見てるくせに」
「うっ･･･」
イリスの視線はハルトが持つ小さな分身に釘付けになっていた。そしてそれはハルトも同じことだった。二人共ただ男女で体の構造が違うということしか知らず、何が違うのか、どう違うのかなど全く知らず、知る術も皆無だった。
「ねぇ･･･触ってみていい？」
それは純粋なる好奇心か、あるいは彼女に秘められた魔物、そして生き物としての本能故にか、イリスはそう尋ねハルトの返事も聞かずに腕を伸ばした。
興奮したイリスが手加減無しにそれを掴むと、翼から飛び出た爪が食い込む。ハルトは激痛に呻き声をあげた。
「うぐああっっ！イリス！爪爪ッ！」
「うわ！ご、ごめんハルちゃん！」
イリスは慌てて手を離した。流血こそしていないものの、イリスの爪の痕がくっきりと残ってしまった。
「いたた、気をつけてよ･･･」
「うん、ごめんね･･･」
今度は爪が触れてしまわないように、羽の部分だけでゆっくりと触り始める。指と違って感触が鈍くはあるが、ぷにぷにと押しては押し戻される不思議な感覚にイリスは再び興奮を覚えた。イリスしばらくの間夢中になって触り続けていたが、ハルトのそれが剛直へと姿を変えるにつれて柔らかさは消えて熱と硬さが顕著に感じられるようになってきた。
「なんかカチカチになったよ？それにすっごく熱いし･･･」
「い、イリス！それ以上やると･･･！」
「ええ？もうちょっとだけいいじゃん」
「ダメだってば！」
ハルトの制止をイリスは全く聞き入れず、新たな感触を引き続き楽しみ始めた。羽で撫で、こねくりまわし、浮き出た血管の一本一本をなぞる。理性を捨てたイリスの翻弄にもはやハルトは制止の言葉さえ発せず、甘んじてそれを受け入れることしか出来なくなっていた。そしてイリスがその硬さを再度確かめるために両腕の羽で強くハルトを握り締めたとき、遂に爆発が起きた。
「うっ、うわあぁ･･･」
「ひゃっ！？な、なにこれなにこれ！？！？」
そんなことになるとは露ほども考えずに間近で観察をしていたイリスに、ハルトが放った白濁する液体が直撃した。目の前にある剛直と同じく強い熱を放つ液体が、イリスの顔を荒々しく、しかし妙に扇情的に汚す。
「ハルちゃん･･･？これ･･･なに？」
「だからやめろっていったのに･･･」
ハルトは酷く疲れたようにへたりこみ、その剛直、否、剛直だったものはその役目を全うしたかのように硬度を失い、徐々に元の姿に戻りつつあった。
イリスはハルトから放たれた白濁液を羽で絡めてまじまじと見つめる。見かけ上は確かに液体だが、ねばついていてややまとまりがある、実に不思議なものだった。そして独特の匂いがイリスの鼻腔を強く刺激した。
「なんか、いい匂いする･･･///」
「えっ、何か言った？」
「ッ！なんでもない！」
「ふーん･･･ねぇ、それよりさ」
ハルトはイリスの筋を見つめて唾を飲んだ。
「イリスのも触らせてよ」
イリスは上気した顔と蕩けた目でハルトを見つめた後、「いいよ」とだけ返しゆっくりと脚を開いた。ハルトの目の前にイリスの秘所が広がる、ハルトはまた自分の股間が大きく成長するのを感じた。
ハルトが恐る恐るその恥丘に手を伸ばす。先ほどイリスが自分に対して行ったように、心の赴くまま指を押し付け、陰唇をつまむ。その度にイリスが小さく喘ぎ声を上げるが、そんなものはハルトの耳には一切届いてはいない。
そのとき不意に、ハルトの指がが割れ目に入り込んだ。
「んぅッ･･･！」
「痛かった！？」
一際大きな声に、ハルトは慌てて手を離した。自分がされたときのように、イリスにも耐え難い痛みが襲い掛かったのだろうか。
しかしハルトの予想は大きく外れていた。イリスは痛みに悶えてなどおらず、それどころか先ほどよりもリラックスしているようにさえ見えた。
「ハルちゃん･･･もっと触っていいよ･･･」
「う、うん」
ハルトが再びイリスの秘所を弄りだす。慎重に、慎重にと心がけてはいるが、次第にハルトの手の動きが激しくなっていく。それに比例しイリスの喘ぎ声も大きさを増していき、息も荒くなっていた。イリスは自分の口を押さえ必死で声を抑えようとするが、止められずに羽から漏れ出すくぐもった嬌声と息遣いが、物音一つしない森の中に妖しく響き渡る。
ハルトは先ほどの心がけなどどこへやら。いつのまに指を割れ目に付き入れ中の感触を確かめていた。先ほどまで触っていた肌とはまるで違う触感がそこにあった。指が一本しか入らないほど狭く、ぬめった襞のある壁で覆われていおり、入れた指が溶けてしまうかのような強い熱で満たされていた。指を動かすと、その壁が一斉に指に食らい付く。ハルトその謎の感覚に夢中だった。
「は、ハルちゃ･･･！んぁ！･･･ふっ！」
「･････････！」
イリスがハルトを呼びかけたことにより、彼はハッとして指を引き抜いた。その指を見てみると、自分がイリスの顔にぶちまけたもののようにねばついた、しかし色は全く透明な液体で濡れていた。
「イリス･･･そこ、すごく濡れてるね」
「い、言わないでよ･･･。あっ！別におもらしとじゃないよ！」
「うん、それは見ればわかるけど･･･」
イリスの恥丘を見ると、指を引き抜いたときに溢れ出たであろうその液体で濡れていた。ハルトはそれとは別に、イリスに起きたある異変に気がつく。
妙なものを見つけるとすぐに手を伸ばす、それが子供というものだ。
「あれ？イリス、これなに？」
「あっ、ハルちゃんそこは･･･！」
イリスの秘所から小さな突起がはみ出ていた。イリスがハルトを止める前に、ハルトの手がそこをつまみあげていた。
「ッ！！」
「イ、イリス！？」
その瞬間イリスが体を強張らせた。尋常でない様子にハルトは驚く。
「やっぱり痛かったんじゃ･･･」
ハルトの問いかけにイリスは首を振って答えた。
「痛くないの？」
イリスの首が今度は縦に振れる。
「じゃあ･･･もっと触っていい？」
また縦に振れた。
それを確認するとハルトはまた小さな突起をつまむ。するとまたイリスの体が強張った。ハルトは突起の全貌を確かめるため、どうにかうまく引き出せないかと画策する。摘み上げるだけでなく、押し上げたり、あるいはその周囲を広げて突起だけを露出させたり。あれやこれやと試すハルトの行動の全てが、イリスに強い快感をもたらす。
「ハ、ハルちゃ･･･ハルちゃんッ！」
「イリス？」
「それ以上はぁ･･･！」
イリスがそう声を振り絞って発したその訴えをハルトは一蹴した。
「･･･僕がそう言ったときイリスはやめなかったよね？」
「えっ･･･」
「だからお返しだよ、僕だってやめるもんか」
「やっ、だっ、ダメ！ハルちゃん！ダメだってぇ！」
イリスの必死の叫びもハルトは意に介さなかった。今度は好奇心ではなく、ただの悪戯心から手を動かす。必然、動きはさらに激しくなりイリスが受ける快感もどんどん高みへ昇っていった。
「ハルちゃん！ハルちゃん･･･！」
「ふふふ、僕はやめないよイリス･･･！？」
突然、イリスはハルトを抱え込む。
「！ハルちゃん･･･！も、もうホントに･･･！私･･･んあっ！あっ！あっ･･･！･･････――――ッッ！！！」
イリスはハルトを強く抱き締めながら絶頂した。体はガクガクと痙攣し、だらしなく開いた口からは舌をはみ出させ、涙や涎が止め処なく流れ続ける。ハルトは今まで弄っていたイリスの秘所が脈動するのを目の当たりにした。力強く弾けるそれは、何か足りないものを求めているようにも思えた。長く長くそれは続き、やがて快楽の波が引いた頃、イリスはハルトを抱えたまま倒れこんだ。
「ハ･･･ハルちゃんの･･･馬鹿」
そう一言だけ言ってしまうと、イリスは力尽きそのまま深い眠りに落ちた。そしてイリスの羽毛に包まれたハルトも、その温かさから睡魔に襲われる。
今は真夜中、子供がはしゃぐには遅すぎる時間だった。
翌朝、ハルトイリス両名は恐ろしいものを目の当たりにすることとなった。それは怪物でも、魔物の排除を目的とする教団過激派でもない。
深く深く愛し合った末に二人をこの世に送り出した、ハルトとイリス生みの親本人である。二人は朝日を背に受け目の前に立つ巨大な四つの影を見て恐れおののきながら身を寄せ合っている。一晩帰らなかった上に、下半身丸出しで抱き合いながら眠っていたのだ。どれほどの叱責や折檻があろうと文句が見える身分ではない。影の一つが口を開くと、二人は同時に歯を食いしばり覚悟を決めた。
しかし、その覚悟は一切必要がなかった。
「こんな所で寝てたのか。ダメだぞ、あんまり夜遅く遊んじゃ」
「「え･･･？」」
「ほら、お腹空いてるでしょう？帰って朝ごはんにしましょ」
ハルトとイリスは乱れた衣服を正されると、それぞれの親に手を引かれて立ち上がる。あまりに予想外過ぎた言葉に二人は一気に心を手放し、何故叱らないのか、何故そうもにこやかなのか聞くことすら出来ずにいた。それ故ハルトとイリスの母親が実に嬉しそうにこんな会話をしていたことを、二人が知るはずもなかった。
「嶋沢さん。もし私達が親戚になったら、その時はまたよろしくお願いしますね」
「あらあら。もしなどと言わずに是非なってくださいな。」
数日後、イリスはハルトと共に再び夜の森に残っていた。
「イリス･･･。確かにこの間は何故か怒られずに済んだけどさ、調子に乗りすぎだよ･･･」
ハルトが窘めるが、イリスはそんなことはお構いなしだった。「いつものイリスに戻ったか」とハルトは心の中で呟いた。
「ハルちゃん･･･。あのね、あの後お母さんから聞いたんだ･･･。」
「何を？」
イリスがハルトに抱きついた。羽をハルトの背中にまわし、つま先から胸まで密着するように。
「こうやってくっついて、一緒に気持ちよくなる方法があるんだって･･･。」
14/05/26 17:17更新 / fvo