お百度参り
僕は、ちっちゃい子が好きだ…………性的な意味で。
ってああ! 石を投げないで!!
だってだって、ちっぱいも乳臭いやわらかーい肌も熱いくらいのぬくもりも、
無邪気な笑顔も素直に好意を表してくれるとこも、
一途で純粋なところも、
何も考えていなさそうで意外と考えてたりするとこも
みな素晴らしいじゃないか!
ぜーはーぜーはー……まあいい、本題に入ろう。
先日、友人のひとりが、稲荷さんが祭られている社に、お百度参りを敢行した。
雨の日も夏の暑い盛りも関係無しに、だ。
願いごとは、「嫁に来てくれ」ただひとつ。
大好きだった遊郭通いとか、ひとり遊びまで我慢しての願掛けだったと、先日本人から聞いた。
そして、お百度参りを達成した夜、奴はこんな夢を見たらしい。
「おい」
「ん? ……あ」
『…………』
「何故、神主の姿をしたキツネ頭の……大男なんだ……」
「んだよ、悪いか?」
「悪いわ! 俺は……『嫁に来てくれ』と、願を掛けたはずだったのに……」
「お前が来てた社の神使な、俺と相棒のつがいなんだわ。 こっちが俺の嫁」
「こんばんわ」
「あ、こんばんわ……って、巫女さん銀狐…だと…? ……しかも、その腹は……」
「うふふ、二人めなんです。 あと三月くらいでしょうか」
「…………で? これみよがしに寄り添われると、血涙で溺れ死にそうなんですが」
「あー、別に夫婦仲を自慢しに来たわけじゃねえぞ……一応な」
「一応かよ」
「そうそう、実は、うちの人の妹が……。
あなたのお参りする姿の一途さに惹かれて、是非お嫁にもらってほしいって」
「……はい? このおっさんギツネの、妹さん?」
「誰がおっさんだコラ、俺はまだ百歳にもなってねーぞ」
「人間基準では二十歳前くらいなんですけどねぇ……」
「……しかし、この人の……いもう、と…………」
「何でそこで落ち込むんだよ、膝を突くな倒れ込むな、ざーとらしくうつぶせになるんじゃねえ。
……たく、あいつもこいつのどこにホレたんだか……オイ、ツラ見せてやれ、この馬鹿に」
「…………こんばんわ」
「……どうも。 って、隠れられた……」
「どう? かわいいでしょ、私の義妹。 血は繋がってませんけど、私と同じ銀狐なんですよ」
「はい……でも……。 このちっちゃさは犯罪なのでは……?」
「……わたしは、今年で還暦ですが」
「お、出て来た……じゃなくて。 人間から見ると、十歳くらいにしか見えんなぁ」
「わたしは、もう、あなたの子供を生める身体です……末永く、可愛がってくださいな」
「で、でも子供相手だと色々まむ゛ぅ!?」
「ま、諦めてもらってやってくれや。 ……妹を幸せにしなかったら祟るからな、兄として」
「……!」
「姪の顔を、できるだけ早く見せてくださいね。
……まあ、この口づけの一途さや、せがれ殿の元気の良さを見れば、
心配はいらないようですけれど……ふふふ」
……そんなこんなで、そいつはロリっこ稲荷を嫁にもらった。
光の当たり具合で銀色に見える黒髪の、物静かな美少女だった。
おまけに、主婦としても、彼女は上玉だったらしい。
彼女が奴の家に来てから、見違えるほど家の中がきれいになってたし、
遊びに行った時にごちそうしてくれた稲荷寿司もおいしかったし、
何より時折奴に向ける発情した視線がけしからげふんげふん。
僕が奴の家を出た途端、幼げな甘い声や、荒い息遣いが聞こえて来た事は忘れたい。
数日後、僕も、同じ事をした。
もとい、稲荷が奉られている社に、お百度参り。
ひとり遊びをすっぱりやめて――女郎さん? 無理それ怖い――、ひたすらに、
「嫁に来てくれ」と。
残暑にも負けず、秋雨にも負けず、雪にも負けず。
ついでに「何をトチ狂ったんだろう、あのロリコン」などという、誹謗中傷にも負けず。
そして今朝、百度目のお参りが終わった。
ああ、寒いしねむい……
「…………」
「……こんばんわ」
「こんばんわ……えーと……どちらさまですか?
あなたみたいに、垂れ目で泣き黒子できょぬーのお稲荷さまとは、
お目にかかった覚えはないのですが」
「『お嫁に来てください』とお願いされて、早三月余り。
嵐が来ようが雪が降ろうがお構いなしに、来てくださるなんて……。
こんなに情熱的な殿方は、この百五十年、ついぞわたしの前には現れてくれませんでしたわ。
よろこんで、あなたのものになりましょう。 んー……」
「ってすとーっぷ!
頬を染めないで目をつぶらないで唇を尖らせないで手を僕の顔から離してくださいぃ!!」
「え? わたしじゃご不満?」
「……あなたに、妹さんはいらっしゃらないんですか?」
「姉ならおりますけれど……あなたが通っていた社の稲荷です。
ちなみに、義兄との間に設けた、三人の娘も」
「な、ならその三人の子たちと会わせてください!
全員と会った上で、誰と一緒になるか判断を……」
「でも、下の二人はすでに近所の子達と夫婦約束を交わしてますし、
上の一人は先日嫁いだ先で、一人目の子を孕んだばかりですけど」
「売約済み…だと…」
「それに、わたしは……あなたの一途さ――と、
イイ声で啼いてくれそうなところ……うへへへへ……――に、
その…………ぽっ」
「って、顔を赤らめないで抱きついてこないで無駄にデカい胸を押しつけないで内股をこすりつけないでぇぇぇ!」
「まあ、無駄にデカいとは心外な。
そんなヒドい事を言うお口は、この胸に押しつけて塞いじゃいましょう」
「むむむむむむむ〜!」
「……さてと、おとなしくなったところで…………自慢の二つ尾でごそごそと……。
ふふ……やっぱり、元気になってるわ…………」
「むぐ!」
「尻尾でくるんでこしこしと、ぬるぬる溢れる先走り。
百日ぶりの当て掻きに、早速果てそうぶーるぶる。
間髪入れず力込め、ぐいぐいシゴく亀の首、
たまらず噴き出す子種汁、もったいないとぺろぺろり……」
「はあ、はあ……」
「……ふふ、若い子っていいわぁ……。
こんなにいっぱい、濃くてねばねばしたのを出してくれたのに、
まだおへそまで反り返っちゃってる……ちゅ」
「あひっ……くそっ! 鎮まれ!! 僕の分身!!
こんな発情したおばはんに、貞操を奪われちゃ駄目だああ!!!!」
「……おばはん呼ばわりとはご挨拶ね、
わたしはまだ、人間で言えばギリギリ二十代なんだけど」
「人間の女性は……フタケタ超えたら初老じゃあああ……あふん!」
「へぇ…百四十八歳のおばあちゃんの胸の谷間で、ち◯◯んぴくぴくさせてる子がよく言うわ」
「……そのセリフを聞いて、ますますヤる気が……」
「ふふ……嘘つき。 こっちの子みたいに正直になればいいのに……。
わたしの胸の中で、よだれを垂らし放題じゃない」
「きゅん! や、やめ……」
「んー? ごめんねー。 おばあちゃん長生きし過ぎて、耳がよく聞こえないのー。
手元も胸元も震えが止まんないし、よだれも胸の辺りにつつつーって垂れちゃって……」
「ああ! 乳に! 乳に!」
「うへへ……出しちゃえ」
「ああ……犯された……」
「何をおっしゃる兎さん、まだ尻尾と胸で二回気をやっただけでしょ?
本番はこっちだよ……」
「うわぁ……桜色だけど、襞がふたつ、べろんと……」
「……言わないでよ、気にしてるんだから。 あなたのそれと一緒よ」
「余り皮……自分ひとりで弄り過ぎたんですね、分かりまぎゃあああああ」
「へー、◯ちん◯んの皮って結構伸びるのねー……」
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
「…………さてと」
「あっ」
「そろそろ、挿れるから……っ! くっ……はぁ…………」
「……血!?」
「……あんまり、見ないで」
「…………」
「気持ち、いい?」
「…………うん」
「そ……じゃ、お姉さん、初めてでちょーっと痛いけど頑張っちゃおうかなー……」
「む、無理はしなくても……おぅ!」
「無理を、通せばぁ、道理、引っ込むぅ……!
……あは、ちょっとずつ、気持ち、よく、なって、きたかも……」
「もう、出そう……」
「あ、ダメ、イっちゃ、やぁあ……」
…………こうして、僕は、だらしねぇおっぱいやお尻で、
ちょっとおばさん臭くて、色ボケた行かず後家稲荷と……
「ぼんきゅっぼーんで、フェロモンたーっぷりで、えっちなおねーさん稲荷の間違いでしょ?
……はじめてと引き換えに、大人にしてあげたのは誰だったかしら?」
「うう……」
「まあいいわ、じゃあ、今宵も夫婦の営みと参りましょうか、旦那様。
一番鶏が鳴いても、離しませんから」
「……せめて、せめて……」
「んー? 攻めてほしい? いいよー、お姉さん頑張っちゃう!」
「ち、違うぅ……せめて、ロリっこに化けてくれぇぇぇ!!」
「えー? ……化けるの疲れるんだけどなぁ……。
おまけに、えっちしてても元の姿に戻らないように念入りな化け方をするなら、
精気がたーくさん必要なんだけどなぁ……」
「じゃあ頑張りましょうか、さしあたっては抜かずに十本」
「きゃーぜつりーん♪
ふふ……やっぱり若い旦那様っていいわあ……うへへへへへ……」
蛇足
いやね。
やれ「ずーっと仲の良かったゆきおんなに、こないだついに
“夫婦になってくれ”と申し込んでみたら、受け入れられた」だの
やれ「以前からつき纏って来ていた赤い人魚にほだされて、最近夫婦になった」だの、
「嫁に来てくれとお百度参りしたら、ちびっこ稲荷が嫁に来た」だの、
「上記の真似してお参りしてみたら、おねーさん稲荷が嫁に来た」だの。
うん、妖怪相手にはできないと聞いたのですが、
みーんな腹上死すればいいと思うよげふんげふん。
……はあ。 気を取り直して、今日も今日とて、
妖怪との縁結びに御利益があるという、黒酢大社へとお参りしたいと思います。
「俺専属の家政婦兼娼婦になってくれる、
気さくで押しが強くて甘えん坊かつ甘やかしたがりの美人さんが、
嫁に来てくださいますように……」
……さーて、帰って酒飲んで不貞寝じゃ不貞寝。
「こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい……」
「……そんなに怖がられると、その……悲しくなって、しまいます……」
「あ、ごめんなさい」
『…………』
「でもやっぱり、ジョロウグモさんはこあいよぉ……」
「私達限定ですか……蜘蛛が、お嫌い?」
「……いやね、蜘蛛が嫌いってわけじゃないんスよ。むしろ好き。
あとね、あなたみたいな癖の無いながーい黒髪で、色白で、目つきがちょっとキツめで、
着物の上からでもはっきりお乳が大きいって分かるのも、
おいらの嗜好にがっちり合致してますわよ。 でもね……」
「でも?」
「ジョロウグモさんって、嗜虐性の強さで有名な妖怪じゃないっスかぁ……。
股ぐらを踏まれたり蹴られたり、ねじ切られたり握り潰されたり、
尻の穴や鈴口を爪だの脚だの糸だのでほじられたり、
無理難題言われて挿れさせてもらえなかったり、
挿れてからも出させてもらえなかったりするのはイヤだよぅ……」
「しませんって! あなたの中での私達は、どれだけ鬼畜なんですか……こほん、まずですね。
私達妖怪が、夫の屁の子やふぐりを、蹴るだの握り潰すだのするわけないじゃないですか」
「しないの?」
「しません! ……まさか、してほしいんですか?」
「…………」
「泣きながら首を振らないでくださいな、やりませんから……で、二つ目ですか?
お尻や鈴口をほじられたくない、と」
「あとついでに乳首とか……痛いのはやだ。
それと、尻穴だの乳首だので気持ち良くなるのは、男の尊厳踏みにじられる気分になるからやだ。
第一くすぐったくて気持ち悪いだけだい、実体験上」
「じ、実体験……それはおくとして、あなたに殿方の尊厳なんてあったのですか?」
「無いけどやだ!」
「……もういいです、分かりました。
はあ……何でこの子のお嫁さんになる気になったんだろ、私。
……って、そんな捨てられた仔狸みたいな目で見ないでくださいな、犯しますよ?」
「……無理やり押さえ込まれて、咥え込まれて搾り取られるだけなら、大歓迎だけど」
「あら、なら問題ないじゃないですか。
私がしたいのもちょうどそんな感じですし……くふふ。
では、お互いにしたい事とされたい事が一致したところで、脱ぎ脱ぎしましょうねー」
「はーい……って待った、つい素直に脱いじゃったけど、俺もう二十三……」
「はいはい、私より五つも下じゃないですか……妬ましい。
下といえば、下帯も解いてしまいましょうね」
「……恥ずかしい」
「かむってるくらいなら普通でしょう?
隠す方がみっともないですよ……隠せないように、ばんざーいなさい、ばんざーい」
「すっかりお子様扱いだなぁ……はいばんざーい、これで良い…って!?」
「くふふふ、これでもう腕は使えませんね……ところで、手首や肩に痛いところはございませんか?」
「痛くはないですけど、縛るなら縛るとゆって……イヤ、まあいいか」
「くふふふ……ところで、先程“無理難題言われて挿れさせてもらえなかったり、
挿れてからも出させてもらえなかったりするのはイヤだよぅ……”っておっしゃてましたけど、
私達が、自ら選んだ相手と繋がる事を、 繋がった相手が気持ち良くなってくれる事を、
厭うはずがないではありませんか」
「…………」
「私達の至上の悦びは、一瞬でも長く夫と繋がり、
一滴でも多く夫の精を受け止める事なんですから。
……さてと、悦びを分かち合うと、しましょう……かっ!」
「しまった」
「はい?」
「このままだと、抱きしめる事も頭や髪を撫でる事もお乳を揉みしだく事もできん……」
「まあまあ……代わりに、私が抱きしめながら撫でてあげますから」
ってああ! 石を投げないで!!
だってだって、ちっぱいも乳臭いやわらかーい肌も熱いくらいのぬくもりも、
無邪気な笑顔も素直に好意を表してくれるとこも、
一途で純粋なところも、
何も考えていなさそうで意外と考えてたりするとこも
みな素晴らしいじゃないか!
ぜーはーぜーはー……まあいい、本題に入ろう。
先日、友人のひとりが、稲荷さんが祭られている社に、お百度参りを敢行した。
雨の日も夏の暑い盛りも関係無しに、だ。
願いごとは、「嫁に来てくれ」ただひとつ。
大好きだった遊郭通いとか、ひとり遊びまで我慢しての願掛けだったと、先日本人から聞いた。
そして、お百度参りを達成した夜、奴はこんな夢を見たらしい。
「おい」
「ん? ……あ」
『…………』
「何故、神主の姿をしたキツネ頭の……大男なんだ……」
「んだよ、悪いか?」
「悪いわ! 俺は……『嫁に来てくれ』と、願を掛けたはずだったのに……」
「お前が来てた社の神使な、俺と相棒のつがいなんだわ。 こっちが俺の嫁」
「こんばんわ」
「あ、こんばんわ……って、巫女さん銀狐…だと…? ……しかも、その腹は……」
「うふふ、二人めなんです。 あと三月くらいでしょうか」
「…………で? これみよがしに寄り添われると、血涙で溺れ死にそうなんですが」
「あー、別に夫婦仲を自慢しに来たわけじゃねえぞ……一応な」
「一応かよ」
「そうそう、実は、うちの人の妹が……。
あなたのお参りする姿の一途さに惹かれて、是非お嫁にもらってほしいって」
「……はい? このおっさんギツネの、妹さん?」
「誰がおっさんだコラ、俺はまだ百歳にもなってねーぞ」
「人間基準では二十歳前くらいなんですけどねぇ……」
「……しかし、この人の……いもう、と…………」
「何でそこで落ち込むんだよ、膝を突くな倒れ込むな、ざーとらしくうつぶせになるんじゃねえ。
……たく、あいつもこいつのどこにホレたんだか……オイ、ツラ見せてやれ、この馬鹿に」
「…………こんばんわ」
「……どうも。 って、隠れられた……」
「どう? かわいいでしょ、私の義妹。 血は繋がってませんけど、私と同じ銀狐なんですよ」
「はい……でも……。 このちっちゃさは犯罪なのでは……?」
「……わたしは、今年で還暦ですが」
「お、出て来た……じゃなくて。 人間から見ると、十歳くらいにしか見えんなぁ」
「わたしは、もう、あなたの子供を生める身体です……末永く、可愛がってくださいな」
「で、でも子供相手だと色々まむ゛ぅ!?」
「ま、諦めてもらってやってくれや。 ……妹を幸せにしなかったら祟るからな、兄として」
「……!」
「姪の顔を、できるだけ早く見せてくださいね。
……まあ、この口づけの一途さや、せがれ殿の元気の良さを見れば、
心配はいらないようですけれど……ふふふ」
……そんなこんなで、そいつはロリっこ稲荷を嫁にもらった。
光の当たり具合で銀色に見える黒髪の、物静かな美少女だった。
おまけに、主婦としても、彼女は上玉だったらしい。
彼女が奴の家に来てから、見違えるほど家の中がきれいになってたし、
遊びに行った時にごちそうしてくれた稲荷寿司もおいしかったし、
何より時折奴に向ける発情した視線がけしからげふんげふん。
僕が奴の家を出た途端、幼げな甘い声や、荒い息遣いが聞こえて来た事は忘れたい。
数日後、僕も、同じ事をした。
もとい、稲荷が奉られている社に、お百度参り。
ひとり遊びをすっぱりやめて――女郎さん? 無理それ怖い――、ひたすらに、
「嫁に来てくれ」と。
残暑にも負けず、秋雨にも負けず、雪にも負けず。
ついでに「何をトチ狂ったんだろう、あのロリコン」などという、誹謗中傷にも負けず。
そして今朝、百度目のお参りが終わった。
ああ、寒いしねむい……
「…………」
「……こんばんわ」
「こんばんわ……えーと……どちらさまですか?
あなたみたいに、垂れ目で泣き黒子できょぬーのお稲荷さまとは、
お目にかかった覚えはないのですが」
「『お嫁に来てください』とお願いされて、早三月余り。
嵐が来ようが雪が降ろうがお構いなしに、来てくださるなんて……。
こんなに情熱的な殿方は、この百五十年、ついぞわたしの前には現れてくれませんでしたわ。
よろこんで、あなたのものになりましょう。 んー……」
「ってすとーっぷ!
頬を染めないで目をつぶらないで唇を尖らせないで手を僕の顔から離してくださいぃ!!」
「え? わたしじゃご不満?」
「……あなたに、妹さんはいらっしゃらないんですか?」
「姉ならおりますけれど……あなたが通っていた社の稲荷です。
ちなみに、義兄との間に設けた、三人の娘も」
「な、ならその三人の子たちと会わせてください!
全員と会った上で、誰と一緒になるか判断を……」
「でも、下の二人はすでに近所の子達と夫婦約束を交わしてますし、
上の一人は先日嫁いだ先で、一人目の子を孕んだばかりですけど」
「売約済み…だと…」
「それに、わたしは……あなたの一途さ――と、
イイ声で啼いてくれそうなところ……うへへへへ……――に、
その…………ぽっ」
「って、顔を赤らめないで抱きついてこないで無駄にデカい胸を押しつけないで内股をこすりつけないでぇぇぇ!」
「まあ、無駄にデカいとは心外な。
そんなヒドい事を言うお口は、この胸に押しつけて塞いじゃいましょう」
「むむむむむむむ〜!」
「……さてと、おとなしくなったところで…………自慢の二つ尾でごそごそと……。
ふふ……やっぱり、元気になってるわ…………」
「むぐ!」
「尻尾でくるんでこしこしと、ぬるぬる溢れる先走り。
百日ぶりの当て掻きに、早速果てそうぶーるぶる。
間髪入れず力込め、ぐいぐいシゴく亀の首、
たまらず噴き出す子種汁、もったいないとぺろぺろり……」
「はあ、はあ……」
「……ふふ、若い子っていいわぁ……。
こんなにいっぱい、濃くてねばねばしたのを出してくれたのに、
まだおへそまで反り返っちゃってる……ちゅ」
「あひっ……くそっ! 鎮まれ!! 僕の分身!!
こんな発情したおばはんに、貞操を奪われちゃ駄目だああ!!!!」
「……おばはん呼ばわりとはご挨拶ね、
わたしはまだ、人間で言えばギリギリ二十代なんだけど」
「人間の女性は……フタケタ超えたら初老じゃあああ……あふん!」
「へぇ…百四十八歳のおばあちゃんの胸の谷間で、ち◯◯んぴくぴくさせてる子がよく言うわ」
「……そのセリフを聞いて、ますますヤる気が……」
「ふふ……嘘つき。 こっちの子みたいに正直になればいいのに……。
わたしの胸の中で、よだれを垂らし放題じゃない」
「きゅん! や、やめ……」
「んー? ごめんねー。 おばあちゃん長生きし過ぎて、耳がよく聞こえないのー。
手元も胸元も震えが止まんないし、よだれも胸の辺りにつつつーって垂れちゃって……」
「ああ! 乳に! 乳に!」
「うへへ……出しちゃえ」
「ああ……犯された……」
「何をおっしゃる兎さん、まだ尻尾と胸で二回気をやっただけでしょ?
本番はこっちだよ……」
「うわぁ……桜色だけど、襞がふたつ、べろんと……」
「……言わないでよ、気にしてるんだから。 あなたのそれと一緒よ」
「余り皮……自分ひとりで弄り過ぎたんですね、分かりまぎゃあああああ」
「へー、◯ちん◯んの皮って結構伸びるのねー……」
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い!」
「…………さてと」
「あっ」
「そろそろ、挿れるから……っ! くっ……はぁ…………」
「……血!?」
「……あんまり、見ないで」
「…………」
「気持ち、いい?」
「…………うん」
「そ……じゃ、お姉さん、初めてでちょーっと痛いけど頑張っちゃおうかなー……」
「む、無理はしなくても……おぅ!」
「無理を、通せばぁ、道理、引っ込むぅ……!
……あは、ちょっとずつ、気持ち、よく、なって、きたかも……」
「もう、出そう……」
「あ、ダメ、イっちゃ、やぁあ……」
…………こうして、僕は、だらしねぇおっぱいやお尻で、
ちょっとおばさん臭くて、色ボケた行かず後家稲荷と……
「ぼんきゅっぼーんで、フェロモンたーっぷりで、えっちなおねーさん稲荷の間違いでしょ?
……はじめてと引き換えに、大人にしてあげたのは誰だったかしら?」
「うう……」
「まあいいわ、じゃあ、今宵も夫婦の営みと参りましょうか、旦那様。
一番鶏が鳴いても、離しませんから」
「……せめて、せめて……」
「んー? 攻めてほしい? いいよー、お姉さん頑張っちゃう!」
「ち、違うぅ……せめて、ロリっこに化けてくれぇぇぇ!!」
「えー? ……化けるの疲れるんだけどなぁ……。
おまけに、えっちしてても元の姿に戻らないように念入りな化け方をするなら、
精気がたーくさん必要なんだけどなぁ……」
「じゃあ頑張りましょうか、さしあたっては抜かずに十本」
「きゃーぜつりーん♪
ふふ……やっぱり若い旦那様っていいわあ……うへへへへへ……」
蛇足
いやね。
やれ「ずーっと仲の良かったゆきおんなに、こないだついに
“夫婦になってくれ”と申し込んでみたら、受け入れられた」だの
やれ「以前からつき纏って来ていた赤い人魚にほだされて、最近夫婦になった」だの、
「嫁に来てくれとお百度参りしたら、ちびっこ稲荷が嫁に来た」だの、
「上記の真似してお参りしてみたら、おねーさん稲荷が嫁に来た」だの。
うん、妖怪相手にはできないと聞いたのですが、
みーんな腹上死すればいいと思うよげふんげふん。
……はあ。 気を取り直して、今日も今日とて、
妖怪との縁結びに御利益があるという、黒酢大社へとお参りしたいと思います。
「俺専属の家政婦兼娼婦になってくれる、
気さくで押しが強くて甘えん坊かつ甘やかしたがりの美人さんが、
嫁に来てくださいますように……」
……さーて、帰って酒飲んで不貞寝じゃ不貞寝。
「こわいこわいこわいこわいこわいこわいこわいこわい……」
「……そんなに怖がられると、その……悲しくなって、しまいます……」
「あ、ごめんなさい」
『…………』
「でもやっぱり、ジョロウグモさんはこあいよぉ……」
「私達限定ですか……蜘蛛が、お嫌い?」
「……いやね、蜘蛛が嫌いってわけじゃないんスよ。むしろ好き。
あとね、あなたみたいな癖の無いながーい黒髪で、色白で、目つきがちょっとキツめで、
着物の上からでもはっきりお乳が大きいって分かるのも、
おいらの嗜好にがっちり合致してますわよ。 でもね……」
「でも?」
「ジョロウグモさんって、嗜虐性の強さで有名な妖怪じゃないっスかぁ……。
股ぐらを踏まれたり蹴られたり、ねじ切られたり握り潰されたり、
尻の穴や鈴口を爪だの脚だの糸だのでほじられたり、
無理難題言われて挿れさせてもらえなかったり、
挿れてからも出させてもらえなかったりするのはイヤだよぅ……」
「しませんって! あなたの中での私達は、どれだけ鬼畜なんですか……こほん、まずですね。
私達妖怪が、夫の屁の子やふぐりを、蹴るだの握り潰すだのするわけないじゃないですか」
「しないの?」
「しません! ……まさか、してほしいんですか?」
「…………」
「泣きながら首を振らないでくださいな、やりませんから……で、二つ目ですか?
お尻や鈴口をほじられたくない、と」
「あとついでに乳首とか……痛いのはやだ。
それと、尻穴だの乳首だので気持ち良くなるのは、男の尊厳踏みにじられる気分になるからやだ。
第一くすぐったくて気持ち悪いだけだい、実体験上」
「じ、実体験……それはおくとして、あなたに殿方の尊厳なんてあったのですか?」
「無いけどやだ!」
「……もういいです、分かりました。
はあ……何でこの子のお嫁さんになる気になったんだろ、私。
……って、そんな捨てられた仔狸みたいな目で見ないでくださいな、犯しますよ?」
「……無理やり押さえ込まれて、咥え込まれて搾り取られるだけなら、大歓迎だけど」
「あら、なら問題ないじゃないですか。
私がしたいのもちょうどそんな感じですし……くふふ。
では、お互いにしたい事とされたい事が一致したところで、脱ぎ脱ぎしましょうねー」
「はーい……って待った、つい素直に脱いじゃったけど、俺もう二十三……」
「はいはい、私より五つも下じゃないですか……妬ましい。
下といえば、下帯も解いてしまいましょうね」
「……恥ずかしい」
「かむってるくらいなら普通でしょう?
隠す方がみっともないですよ……隠せないように、ばんざーいなさい、ばんざーい」
「すっかりお子様扱いだなぁ……はいばんざーい、これで良い…って!?」
「くふふふ、これでもう腕は使えませんね……ところで、手首や肩に痛いところはございませんか?」
「痛くはないですけど、縛るなら縛るとゆって……イヤ、まあいいか」
「くふふふ……ところで、先程“無理難題言われて挿れさせてもらえなかったり、
挿れてからも出させてもらえなかったりするのはイヤだよぅ……”っておっしゃてましたけど、
私達が、自ら選んだ相手と繋がる事を、 繋がった相手が気持ち良くなってくれる事を、
厭うはずがないではありませんか」
「…………」
「私達の至上の悦びは、一瞬でも長く夫と繋がり、
一滴でも多く夫の精を受け止める事なんですから。
……さてと、悦びを分かち合うと、しましょう……かっ!」
「しまった」
「はい?」
「このままだと、抱きしめる事も頭や髪を撫でる事もお乳を揉みしだく事もできん……」
「まあまあ……代わりに、私が抱きしめながら撫でてあげますから」
10/08/21 00:13更新 / ふたばや