発情しちゃってるんです!
夏のある日
ホルスタウロスであるハツネは上機嫌だった
茶色いふんわりロングヘアーに、はっきりした目鼻立ち
白いワンピースは、100センチのバストの形にくっきり変形している
黄色いオシャレサンダルをキュッと履きこなし、てとてと歩く
30℃を越える猛暑日に、きっちり繋いだ右手と左手
少し汗ばんでいるが、お互い気にならないようだ
「ねぇ、ひー君、次はどこに行く?」
手を繋いだ少年に尋ねた
彼はハツネの交際相手、ヒロタカ、通称ひー君(※ハツネがつけた)
中性的な顔立ちで、カッコいいよりかはカワイイが先行している
健康的な少年のイメージと大差ない
「そうですね…ハツネさんはどこがいい?」
「え?どこでもいいよ?」
きょとん、とした後、すぐに笑顔で返す
ハツネよりほんの少しだけ背が低い彼は、じゃあ…、と言いつつ、辺りを見回す
そんな様子を真横から見ているハツネは、ぽわぽわ浮いているようだった
今日は久しぶりのデートの日
近所の小さな遊園地で小ぢんまりと幸せな時間を紡ぐのだ
はっ!
としたら、もう日は傾き、景色が赤みを帯びてきた
(そ、そんな…!もきもきほわほわ(※ハツネ語)してたら、もう帰る時間!?)
「たくさん乗りましたね、ハツネさん」
「へぅっ!?あ、あ、そうだね!」
不意打ちを食らい、尻尾や耳がピンと立った
「もう帰りましょう、暗くなったら危ないですから」
「う、うん…そうだね…」
─────────
「…で、帰ってきた、と?」
「…はい…」
夜
ハツネが働いている牧場からほど近い場所にあるシェアハウス
リビングには、三人のシェアメイトが集まっていた
全員女性のホルスタウロスであり、テーブルを挟んで、シングルソファーにそれぞれ座り、前屈みでハツネの話を聞いていたのだが
「なんだよぅ、あんた今日こそファーストキスするんだ、って言ってたじゃん」
年長のホルスタウロスが電子タバコをくわえてビールを開ける
「そ、そうだったんですけど、タイミングがわからなくって…」
「あらぁ、そんなの勢いよぉ」
同期のホルスタウロスがほわほわ(※ハツネ語)しながら微笑みかける
「勢いなんて…ひー君まだ○学生だし、やっぱり初めてのチューはちゃんと順序を踏んで…」
「順序なんて知ってるんですか、先輩?」
一つ下のホルスタウロスが厳しい指摘をしてくれた
だんまり
知らないようだ
「ったく、そんなんでよくキスできる気でいたもんだ」
また缶を開けた
いつの間に一本目を飲み干したのか
「で、でも…」
「でもも何もぉ、あなた達ぃ、交際して一年でしょお?いい加減進展しないとぉ」
ずい、と同期ちゃんがちょっと迫力のある顔で寄ってきた
「し、しないと?」
逃げ場はないのに、ソファーの上で体をよじった
その視線の先には後輩ちゃんがいた
「ひー君さん、他の女に取られちゃいますよ」
「ふえっ!?」
びくぅ!とショックを受けた
「だって、彼氏なのに一年間も先輩の巨乳をお預けなんて、思春期初期の○学生からしたら生殺し以外の何物でもないですよ」
言われた瞬間、ハツネは両腕で胸を抱き抱えるように隠した
「ひ、ひ、ひー君はそんなえっちな子じゃ…」
「なくてもな、一番の愛情表現はえっちなんだよ、わかるか?えっち」
また開け…あ、いや、四本目だ
「えええええっちぃーーーっ!?」
「いや、驚くことじゃないだろ、むしろ普通だし、な?あ、最後輩もまだ処女か」
「っ!わ、私だって彼氏が出来ればすぐ…」
「ここ、後輩ちゃん!女の子なんだから…」
ぎゃあぎゃあ、やいのやいの、と論争が起こっている中
同期ちゃんは
「じゃあハツネちゃん?発情期ならどうかしらぁ?」
ぴたっ…
発
情
期
魔物であるホルスタウロスだが、発情期は標準装備である
人間にとっての生理のような感覚で、定期的に訪れるらしい(出典:『よくわかる魔界生物とのコミュニケーション』アラターナル出版社より好評発売中)
ちなみに、この発情期
意中の男性がいる場合、理性が吹っ飛ぶ可能性がアホみたいに高い
「にゃにゃにゃにゃにゃにおうぅぅぅ!?」
ハツネは絵の具をストレートに塗りつけられたような真っ赤っぷりだが、年長さんと後輩ちゃんは納得がいったようだ
「なるほど、あんたが言ってた勢いってそのことか」
「発情期なら、先輩もドスケベになっちゃいますよね」
「なっ、ならなくていい!ならなくていい!」
ぶんぶんぶんっ!と必死に拒否するが
「じゃあ、いつ一歩を踏み出すのかしらぁ?」
「う…」
「半年前からぁ、同じこと言ってるわよねぇ?」
「ふぐっ…」
「もう…身体に頼るしかないんじゃない?二つの意味でぇ」
「はうぅ…」
感覚的に、ちょこーん、と小さくなったハツネ
これ以上引くと、同期ちゃんにしばかれそうなので
「…ら、来週の木曜…ちょっと誘ってみます…」
───────────
当日
ヒロタカは待ち合わせ場所の駅前で、ベンチに腰掛け、純文学の本を読んでいた
と、見知ったシルエットが視界の端にそろりと現れたので、顔を上げた
「あ、ハツネさ…ん?」
一瞬、人違いかと思った
服装こそ、先日のデートと似たようなコーディネートで、丸つばの帽子を被っただけだが
真っ赤で汗だくな顔、上下する肩、震える足
端から見たら病人のようなハツネだったからだ
普段の元気な女性の面影は影を潜めている
「お、お待たせ…ひー君…」
「あ、は、はい…」
少し戸惑いながらも、ハツネであったことに安心感を覚え、立ち上がる
瞬間、ハツネが足元の点字ブロックにつまずいた
「は、ハツネさんっ!」
すかさず抱き止めるが
「んひぃぃぃっ!」
ハツネは激しく痙攣してしまった
「わっ!ち、ちょっと、ハツネさん!?」
恋人のただならぬ様子に慌てたヒロタカは、そろりそろりとベンチに座らせる
「大丈夫ですか…?」
「う、うん…ごめんね…」
かくかく、と震えながら、ヒロタカに寄りかかる
実は、ホルスタウロスの発情期とは、全身が性的に敏感になってしまうことなのだ
さらに前述した通り、愛する異性に近づけば、その匂いか雰囲気かはわからないが、敏感さが増すのだという
そうなる理由については、円滑な繁殖行為のため、だとか、本人が繁殖の意思を持つためだけ、だとかいくつかの説があるが、要するに
今のハツネは、全身性感帯なのである
ハツネ自身、それを理解してはいるが、まさか…
(こ、こんなに感じやすくなっちゃうなんてぇ…)
理性はなんとか保てているものの、このままヒロタカと一緒にいては、動くこともままならない
「ハツネさん、具合が悪いなら、今日のデートは止めにしませんか?」
「へ、ふえ?だ、大丈夫だよ、無理するから」
ぷるぷる、とベンチの背もたれに手を掛け、立ち上がろうと
「無理なんてしちゃダメですよ、ほら、家まで送りますから、帰りましょう」
がっし、と支えられた
「はぴっ!」
また痙攣
つま先から頭まで、電撃が駆け抜けるような感覚
全身が強ばり、緊張したままになる
「肩を貸します、ゆっくり行きましょう」
ハツネの右腕を担ぐようにして、さらに左手で彼女の腰を支える
もちろん、これだけで達してしまうのだが、ハツネの注目は別の所にあった
「ゆ、ゆっくり…」
(あ、ああぁ…ゆっくりって、この状態が長く続く、ってこと?ひー君に抱かれてるみたいで幸せだけど、変な気分にもなっちゃうぅ…いやぁ、ひー君見ないでぇ…)
こんな幸せながらも恥ずかしい今の姿…
とてもではないが、恋人に見せたくない
だが、ヒロタカのやさしさが、ハツネには心地よい
それが、理性の最後の砦を守っていたのだ
よたよた、と力無く歩くせいで、胸がヒロタカの顔に当たったりで、恥ずかしいやら申し訳ないやら
(…あれ…ひー君、今…)
一瞬、何か違和感を感じたが、本日何度目かのビクビクで情報が上塗りされてしまったのだった
─────────
普段よりずっと長い時間を掛けて、シェアハウスの前
「着きましたよ…まだ、足元しっかりしないですか?」
「う、うん…」
当たり前である
それを聞いて、部屋で寝かせてあげる、と達成条件が更新された
「ごめん…これ、鍵…」
ちゃら、と合鍵をヒロタカに渡す
本当は男子禁制だが、今回ばかりは仕方ない
開錠の音の後、ドアが開けられる
玄関を見ると、誰の靴もない
近所のコンビニに行く時用のダッサイ健康サンダルしかない
今の体の状態と別の意味で恥ずかしかったが、ヒロタカは気にしていないようだった
二階にあるハツネの部屋まで連れて行ってもらい、ついに
(…ひー君をお部屋に入れちゃった…)
祝!と言っていいのかどうか、初めて恋人をお招きしたのだ
緊張がはかりしれない
「とりあえず、ベッドに…」
「えっ!?べべ、ベッド!?」
「はい、横になった方が楽でしょう?」
「あ、あ、あ、うん、そうだね!」
さもない言葉が、甘美に聞こえる
これも、発情期の影響か
何はともあれ、まるで介護でもされるようにベッドに寝かされる
ヒロタカはそのすぐそばで、足の低い椅子に座る
…………
(見られてる…)
のがわかるのだが、どう反応しようか、迷ってしまう
「…あ…汗、拭きます?」
「…え」
視線を合わせると、ヒロタカは頬をやや紅潮させた
なんだろうか
ハツネには少し合点がいくのが遅かったようだ
「…う、うん、お願い…」
言った後で、ピンと来た
汗を拭く
服の上から?
なわけない
服を脱ぐ?
……………………
タンスから新しいタオルを取りだし、手に持ったヒロタカ
少し見つめ、やがて意を決して
「し、失礼します…」
そろーり、とワンピースの胸元に手を伸ばす
「あ、え…」
止めればよかったのかもしれない
だが、緊張のせいで言葉が続かなかった
するり…
「っ!…ふっ…あ…」
肌に布地が触れ、汗を吸い取ると同時に、ハツネの絶頂を誘う
ぐにぐに、と胸をなで回すように撫でる
常に頭の中に火花が散っているようになった頃…
「…ハツネさん…」
「…ふえ?」
ぴたりと止まった手に、違和感を持った
見ると、彼は申し訳なさそうに顔を下げていた
「…今日…発情期…なんですか?」
「…え…どうして…」
知っているのか
「…やっぱり、そうなんですね…」
「あ…」
隠しておくつもりだったのに、口走ってしまった
だが、それだってヒロタカがカマをかけたからだ
そのカマはどこから来たのか…
しばらく、ハツネの荒い息しか部屋に響いていなかったが、やがてヒロタカの口が開いた
「…調べたんです、ホルスタウロスの生態…」
「…ひー君が…?」
「…僕は人間で、ハツネさんは魔物…勝手が違うこともあるかと思って…」
努力
交際相手のことをよく知ろうと、彼はハツネの見えない所で努力をしてくれていたのだ
「そしたら、発情期のことを知って…特徴が酷似していたから…もしかしたらって」
少し言い回しが曖昧になっている
彼としても言葉が見つからないのだろう
「…最初は、ちょっとドキドキしてました、でも、ハツネさん、苦しそうだから…辛くて…」
震える体が、言葉の信憑性を高める
「…あの!」
「は、はい!」
急に飛び出た声に、ハツネは今までと違う感覚を覚えた
「発情期って、性行為をすれば治まる、って書いてありました!」
「…え…」
そうだったか…あ、いや、そうだ、同期ちゃんはそう言っていた
「ぼ、僕でよければ…相手になります…」
「……………………………え」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
(いいいいい、今、ひー君、えっちして、って…え?え?)
ただいま混乱中…now lording…
「いいいいい、いいの?」
(あぁっ!?考える前に言わないで!)
頷くヒロタカ
ということは…
ぷっつん
「う…うにゃあぁぁぁぁ!」
「え?…わあぁぁっ!?」
すっぽーん!とベッドから跳ね飛び、座っていたヒロタカを押し倒す
汗をヒロタカの胸に垂らしながら、四つん這いになる
「いいんだね!?いいんだね!?」
「は、は、はい!」
ヒロタカがうろたえている
そんな彼の唇を
「んんっ!」
強引に奪った
暴れ狂うホルスタウロスの舌に、人間の子供の口が敵うはずもなく、容易く侵入を許してしまう
お互いの、というより、ハツネの舌が一方的にヒロタカの口内を凌辱した
既に断裂した理性はそのまま本能の出口となった
この雄と交尾したい…雌の本能が
「ひー君っ!ひー君っ!」
わけもわからず恋人の名を呼ぶ
一回りも小さい体を下敷きにして
「はあっ…はあっ…ハツネ…さ…」
ハツネの右手が、カチャカチャとズボンのベルトを外す
硬いデニムの下で窮屈そうにしていた男性が、ボクサーパンツに染みを作っていた
そのパンツも即座に取り払われ、あられもない姿が挨拶をした
「お、おち○ち○…ひー君の…」
もぞもぞ、と変な動きで退き、ちょうど目の前に男性が来る体勢になった
まじまじと見つめ、まるで品定めをするかのように視線を送る
まだウブな皮被りの男性…
「これぇ…これをぉ…」
舌を突きだし、はー、はー、と湿っぽい息を吐きながら、涎まみれの口を男性に近づけた
そこからいくらも数えないうちに
ぱくり
「ぎぃっ!は、ハツネ…ひうっ!」
する方もされる方も生まれて初めてのフェラチオ
しかし、少なくともハツネは野性的に、むさぼるようにヒロタカを弄る
舌で穴の先端をほじくったり、周りの包皮と本体の間に舌をねじ込み、強制的に包茎を解消したり
卑猥な水音と共に、頭を大きく前後に振り、快楽を引っ張り出そうとする
「は、ハツネさんっ!もう…無理っ…」
「ふ?…うぇうっ!?」
男性の先端がぷくりと膨らんだと思うと、ダムが決壊したかのように、苦い液体が放出された
何段階かに分けて放たれた精液は、ハツネの喉を犯しながら、彼女の体の奥深くへと染み込んでいく
…はずだったが、未体験のせいが多分にあったのだろう
大きく咳き込み、吐き出してしまった
「えほっ!けほっ!…あ…ひー君のえっち汁…勿体ない…」
飲みきれなかったにも関わらず、ハツネの舌は、一瞬味わった苦味と興奮を求めて、毛が薄いの男性周辺をなめ回した
それが、必要不可欠なものであるかのように
「んふぅ…おいしい…ちょっと苦いかもだけど…」
妙な匂いを伴った息を吐き、恍惚な表情を浮かべる
しかし、満足はしない
「次はおっぱいで…ん、しょっと…してあげるね…」
巨大な胸を、彼の腰に乗せるように動かしたが、返事がない
見ると、快楽の最中の射精で、言葉を失っているようだった
その根源である目の前の肉棒はなおも反り返っているので、続行は可能だ
それが、今のハツネにとって十分な返事に思えた
「そぉれ、ぐにぐに〜」
男根を挟んだ胸を、両サイドから手で以てくねらせる
重量のわりに柔らかい肉は、その中心にある棒を包み込むように様々に形を変える
ぐちぐち、と、涎や射精による水分が卑猥に響き、行為者の耳を刺激する
「はぁっ、はぁっ…ひー君、聞こえる…?ひー君のおち○ち○が私のおっぱいに食べられちゃってる音…」
「は…ひぃっ!」
肯定か、はたまた単なる喘ぎ声か
そんなことはどうでもいい
重要なのは、今…
ハツネの胸の中で、たぎる精液を放出したことだ
「んんっ!…ま、また出たぁ…ひー君が気持ちよくなってくれたぁ…」
それだけが嬉しくて
ハツネの興奮を、行為の続行を、後押しする
「…も、もう我慢できない…」
ハツネは体を起こしたかと思うと、まるで水の中に放り込んだようにグショグショのパンツを脱ぎ捨て、すぐにヒロタカの頭の脇に手を突いた
ヒロタカの視界で、精液まみれの胸が弾んだ
瞬間、下の半身を掴まれた
すりすり、と何か湿っぽいものに先端を這わせるように誘導され、それだけでまた射精してしまった
「あんっ!…や、やだっ、まだダメだよぉ…」
ハツネが何に焦っているのか
半分ふやけた頭でもよくわかる
「よかった…まだ硬い…これなら入るよね…」
何かを探り当て、狭い入り口を押し開く
ゆっくり、ゆっくりと、腰が温かさに飲み込まれていく
細かい痙攣を起こしたが、射精には至らない
その度に、ハツネも息を一瞬止めたが、その先を早く味わいたいようだった
そして、先端が何か張りのある物に触れ、その侵攻を止めた
「きゃうっ!?…あ…ここ…一番奥…?」
ハツネが自己完結しようとした時
ヒロタカの手がハツネの腰を掴み
「…え」
一気に引き付けた
ぶちぃっ
「あがっ…!…………あ…………」
短い悲鳴を残し、ハツネは意識を失った
だが、直後の激痛に、即座に覚醒した
「いぁあああああ!痛い!いっ…!た…ぁっ!」
経験の無い痛み
まるで、ナイフをねじ込んで、捻られたような感覚
形容が難しい感覚を体験しながら、今のが『初めての痛み』だということを理解した
彼女の股間からは赤黒い液体がヒロタカの肉棒を伝わるように垂れてきたが、それは視界の外であったため、この時二人が気づくことはなかった
「ひー、君…痛い…よぉ…」
せめて、せめて恋人に訴えることで、この痛みをまぎらわそうと思ったのだが
「ハツネさん…ハツネぇっ」
ヒロタカも、理性が吹き飛んでいた
腰を掴んだままの手で、彼女を持ち上げては引き落とし、持上げては引き落とし、を繰り返す
「いふぁっ!いっ…あぁっ!…きゅうんっ!」
もはや言葉ではなくなった声が、ヒロタカの本能をさらに尖らせた
手の動きが早くなり、いつの間にか快楽に変わっていた痛みが、段階を踏むように最高潮へとかけ上がる
「ハツネっ!出るっ!」
もう、言葉を理解することもない
ぐちゃぐちゃになった頭の中は、ただそれを求める
「らひてっ!ひーきゅんのえっちぢるぅ!わたひのいちばんおくでぇっ!」
「うっ!ぐっ…あぁぁぁっ!」
ドクゥッ!ドクッ!
「ひぎぃっ!い、イクっ!すごいにょぉ!すごいにょ…あぁぁぁっ!」
爆発した
そう言わずして、どう解釈出来よう
ハツネの体内で膨張した肉棒は、この雌を我が物にしようと、ありったけの一撃を撃ち込んだ
愛する雌の中に、自分の愛を
刻み込むために
────────────
事後
二人は精液と愛液で変な質感になった床から離れ、ベッドで並んで寝ていた
「…あ、あの…」
「…なんですか?」
天井を見つめる全裸の二人
「…ごめんなさい…」
ハツネが謝った
「…どうしてです?」
対するヒロタカは冷めた反応だ
いや、冷えたと言えば、ハツネの頭もだ
発情期を解消し、すっかりいつもの思考回路に
「…いきなり、襲いかかっちゃって…」
なるわけない
理性が無かったとはいえ、激しい行為をした記憶は残っているのだ
「…僕がお願いしたんですから、いいんです」
「…でも…」
「それに」
突然、自分に視線を向けられ、ハツネの心臓が跳ねた
「ハツネさんと、もっと深い関係になれて、よかったです」
「…うん、私も…嬉しい」
きゅ、と手を繋ぎ、横になりながら、キスをした
優しい、軽いキス
大好きな人とのキス
「…でも、出来れば」
キスの直後の近距離で、ヒロタカは顔を赤らめた
「今度は発情期じゃなくても…ハツネさんとえっちがしたいです」
「そうだね、…じゃあ」
また、キスされた
そして、ニコリと笑った
「今、しちゃう…?」
おしまい
ホルスタウロスであるハツネは上機嫌だった
茶色いふんわりロングヘアーに、はっきりした目鼻立ち
白いワンピースは、100センチのバストの形にくっきり変形している
黄色いオシャレサンダルをキュッと履きこなし、てとてと歩く
30℃を越える猛暑日に、きっちり繋いだ右手と左手
少し汗ばんでいるが、お互い気にならないようだ
「ねぇ、ひー君、次はどこに行く?」
手を繋いだ少年に尋ねた
彼はハツネの交際相手、ヒロタカ、通称ひー君(※ハツネがつけた)
中性的な顔立ちで、カッコいいよりかはカワイイが先行している
健康的な少年のイメージと大差ない
「そうですね…ハツネさんはどこがいい?」
「え?どこでもいいよ?」
きょとん、とした後、すぐに笑顔で返す
ハツネよりほんの少しだけ背が低い彼は、じゃあ…、と言いつつ、辺りを見回す
そんな様子を真横から見ているハツネは、ぽわぽわ浮いているようだった
今日は久しぶりのデートの日
近所の小さな遊園地で小ぢんまりと幸せな時間を紡ぐのだ
はっ!
としたら、もう日は傾き、景色が赤みを帯びてきた
(そ、そんな…!もきもきほわほわ(※ハツネ語)してたら、もう帰る時間!?)
「たくさん乗りましたね、ハツネさん」
「へぅっ!?あ、あ、そうだね!」
不意打ちを食らい、尻尾や耳がピンと立った
「もう帰りましょう、暗くなったら危ないですから」
「う、うん…そうだね…」
─────────
「…で、帰ってきた、と?」
「…はい…」
夜
ハツネが働いている牧場からほど近い場所にあるシェアハウス
リビングには、三人のシェアメイトが集まっていた
全員女性のホルスタウロスであり、テーブルを挟んで、シングルソファーにそれぞれ座り、前屈みでハツネの話を聞いていたのだが
「なんだよぅ、あんた今日こそファーストキスするんだ、って言ってたじゃん」
年長のホルスタウロスが電子タバコをくわえてビールを開ける
「そ、そうだったんですけど、タイミングがわからなくって…」
「あらぁ、そんなの勢いよぉ」
同期のホルスタウロスがほわほわ(※ハツネ語)しながら微笑みかける
「勢いなんて…ひー君まだ○学生だし、やっぱり初めてのチューはちゃんと順序を踏んで…」
「順序なんて知ってるんですか、先輩?」
一つ下のホルスタウロスが厳しい指摘をしてくれた
だんまり
知らないようだ
「ったく、そんなんでよくキスできる気でいたもんだ」
また缶を開けた
いつの間に一本目を飲み干したのか
「で、でも…」
「でもも何もぉ、あなた達ぃ、交際して一年でしょお?いい加減進展しないとぉ」
ずい、と同期ちゃんがちょっと迫力のある顔で寄ってきた
「し、しないと?」
逃げ場はないのに、ソファーの上で体をよじった
その視線の先には後輩ちゃんがいた
「ひー君さん、他の女に取られちゃいますよ」
「ふえっ!?」
びくぅ!とショックを受けた
「だって、彼氏なのに一年間も先輩の巨乳をお預けなんて、思春期初期の○学生からしたら生殺し以外の何物でもないですよ」
言われた瞬間、ハツネは両腕で胸を抱き抱えるように隠した
「ひ、ひ、ひー君はそんなえっちな子じゃ…」
「なくてもな、一番の愛情表現はえっちなんだよ、わかるか?えっち」
また開け…あ、いや、四本目だ
「えええええっちぃーーーっ!?」
「いや、驚くことじゃないだろ、むしろ普通だし、な?あ、最後輩もまだ処女か」
「っ!わ、私だって彼氏が出来ればすぐ…」
「ここ、後輩ちゃん!女の子なんだから…」
ぎゃあぎゃあ、やいのやいの、と論争が起こっている中
同期ちゃんは
「じゃあハツネちゃん?発情期ならどうかしらぁ?」
ぴたっ…
発
情
期
魔物であるホルスタウロスだが、発情期は標準装備である
人間にとっての生理のような感覚で、定期的に訪れるらしい(出典:『よくわかる魔界生物とのコミュニケーション』アラターナル出版社より好評発売中)
ちなみに、この発情期
意中の男性がいる場合、理性が吹っ飛ぶ可能性がアホみたいに高い
「にゃにゃにゃにゃにゃにおうぅぅぅ!?」
ハツネは絵の具をストレートに塗りつけられたような真っ赤っぷりだが、年長さんと後輩ちゃんは納得がいったようだ
「なるほど、あんたが言ってた勢いってそのことか」
「発情期なら、先輩もドスケベになっちゃいますよね」
「なっ、ならなくていい!ならなくていい!」
ぶんぶんぶんっ!と必死に拒否するが
「じゃあ、いつ一歩を踏み出すのかしらぁ?」
「う…」
「半年前からぁ、同じこと言ってるわよねぇ?」
「ふぐっ…」
「もう…身体に頼るしかないんじゃない?二つの意味でぇ」
「はうぅ…」
感覚的に、ちょこーん、と小さくなったハツネ
これ以上引くと、同期ちゃんにしばかれそうなので
「…ら、来週の木曜…ちょっと誘ってみます…」
───────────
当日
ヒロタカは待ち合わせ場所の駅前で、ベンチに腰掛け、純文学の本を読んでいた
と、見知ったシルエットが視界の端にそろりと現れたので、顔を上げた
「あ、ハツネさ…ん?」
一瞬、人違いかと思った
服装こそ、先日のデートと似たようなコーディネートで、丸つばの帽子を被っただけだが
真っ赤で汗だくな顔、上下する肩、震える足
端から見たら病人のようなハツネだったからだ
普段の元気な女性の面影は影を潜めている
「お、お待たせ…ひー君…」
「あ、は、はい…」
少し戸惑いながらも、ハツネであったことに安心感を覚え、立ち上がる
瞬間、ハツネが足元の点字ブロックにつまずいた
「は、ハツネさんっ!」
すかさず抱き止めるが
「んひぃぃぃっ!」
ハツネは激しく痙攣してしまった
「わっ!ち、ちょっと、ハツネさん!?」
恋人のただならぬ様子に慌てたヒロタカは、そろりそろりとベンチに座らせる
「大丈夫ですか…?」
「う、うん…ごめんね…」
かくかく、と震えながら、ヒロタカに寄りかかる
実は、ホルスタウロスの発情期とは、全身が性的に敏感になってしまうことなのだ
さらに前述した通り、愛する異性に近づけば、その匂いか雰囲気かはわからないが、敏感さが増すのだという
そうなる理由については、円滑な繁殖行為のため、だとか、本人が繁殖の意思を持つためだけ、だとかいくつかの説があるが、要するに
今のハツネは、全身性感帯なのである
ハツネ自身、それを理解してはいるが、まさか…
(こ、こんなに感じやすくなっちゃうなんてぇ…)
理性はなんとか保てているものの、このままヒロタカと一緒にいては、動くこともままならない
「ハツネさん、具合が悪いなら、今日のデートは止めにしませんか?」
「へ、ふえ?だ、大丈夫だよ、無理するから」
ぷるぷる、とベンチの背もたれに手を掛け、立ち上がろうと
「無理なんてしちゃダメですよ、ほら、家まで送りますから、帰りましょう」
がっし、と支えられた
「はぴっ!」
また痙攣
つま先から頭まで、電撃が駆け抜けるような感覚
全身が強ばり、緊張したままになる
「肩を貸します、ゆっくり行きましょう」
ハツネの右腕を担ぐようにして、さらに左手で彼女の腰を支える
もちろん、これだけで達してしまうのだが、ハツネの注目は別の所にあった
「ゆ、ゆっくり…」
(あ、ああぁ…ゆっくりって、この状態が長く続く、ってこと?ひー君に抱かれてるみたいで幸せだけど、変な気分にもなっちゃうぅ…いやぁ、ひー君見ないでぇ…)
こんな幸せながらも恥ずかしい今の姿…
とてもではないが、恋人に見せたくない
だが、ヒロタカのやさしさが、ハツネには心地よい
それが、理性の最後の砦を守っていたのだ
よたよた、と力無く歩くせいで、胸がヒロタカの顔に当たったりで、恥ずかしいやら申し訳ないやら
(…あれ…ひー君、今…)
一瞬、何か違和感を感じたが、本日何度目かのビクビクで情報が上塗りされてしまったのだった
─────────
普段よりずっと長い時間を掛けて、シェアハウスの前
「着きましたよ…まだ、足元しっかりしないですか?」
「う、うん…」
当たり前である
それを聞いて、部屋で寝かせてあげる、と達成条件が更新された
「ごめん…これ、鍵…」
ちゃら、と合鍵をヒロタカに渡す
本当は男子禁制だが、今回ばかりは仕方ない
開錠の音の後、ドアが開けられる
玄関を見ると、誰の靴もない
近所のコンビニに行く時用のダッサイ健康サンダルしかない
今の体の状態と別の意味で恥ずかしかったが、ヒロタカは気にしていないようだった
二階にあるハツネの部屋まで連れて行ってもらい、ついに
(…ひー君をお部屋に入れちゃった…)
祝!と言っていいのかどうか、初めて恋人をお招きしたのだ
緊張がはかりしれない
「とりあえず、ベッドに…」
「えっ!?べべ、ベッド!?」
「はい、横になった方が楽でしょう?」
「あ、あ、あ、うん、そうだね!」
さもない言葉が、甘美に聞こえる
これも、発情期の影響か
何はともあれ、まるで介護でもされるようにベッドに寝かされる
ヒロタカはそのすぐそばで、足の低い椅子に座る
…………
(見られてる…)
のがわかるのだが、どう反応しようか、迷ってしまう
「…あ…汗、拭きます?」
「…え」
視線を合わせると、ヒロタカは頬をやや紅潮させた
なんだろうか
ハツネには少し合点がいくのが遅かったようだ
「…う、うん、お願い…」
言った後で、ピンと来た
汗を拭く
服の上から?
なわけない
服を脱ぐ?
……………………
タンスから新しいタオルを取りだし、手に持ったヒロタカ
少し見つめ、やがて意を決して
「し、失礼します…」
そろーり、とワンピースの胸元に手を伸ばす
「あ、え…」
止めればよかったのかもしれない
だが、緊張のせいで言葉が続かなかった
するり…
「っ!…ふっ…あ…」
肌に布地が触れ、汗を吸い取ると同時に、ハツネの絶頂を誘う
ぐにぐに、と胸をなで回すように撫でる
常に頭の中に火花が散っているようになった頃…
「…ハツネさん…」
「…ふえ?」
ぴたりと止まった手に、違和感を持った
見ると、彼は申し訳なさそうに顔を下げていた
「…今日…発情期…なんですか?」
「…え…どうして…」
知っているのか
「…やっぱり、そうなんですね…」
「あ…」
隠しておくつもりだったのに、口走ってしまった
だが、それだってヒロタカがカマをかけたからだ
そのカマはどこから来たのか…
しばらく、ハツネの荒い息しか部屋に響いていなかったが、やがてヒロタカの口が開いた
「…調べたんです、ホルスタウロスの生態…」
「…ひー君が…?」
「…僕は人間で、ハツネさんは魔物…勝手が違うこともあるかと思って…」
努力
交際相手のことをよく知ろうと、彼はハツネの見えない所で努力をしてくれていたのだ
「そしたら、発情期のことを知って…特徴が酷似していたから…もしかしたらって」
少し言い回しが曖昧になっている
彼としても言葉が見つからないのだろう
「…最初は、ちょっとドキドキしてました、でも、ハツネさん、苦しそうだから…辛くて…」
震える体が、言葉の信憑性を高める
「…あの!」
「は、はい!」
急に飛び出た声に、ハツネは今までと違う感覚を覚えた
「発情期って、性行為をすれば治まる、って書いてありました!」
「…え…」
そうだったか…あ、いや、そうだ、同期ちゃんはそう言っていた
「ぼ、僕でよければ…相手になります…」
「……………………………え」
「えぇぇぇぇぇぇぇ!?」
(いいいいい、今、ひー君、えっちして、って…え?え?)
ただいま混乱中…now lording…
「いいいいい、いいの?」
(あぁっ!?考える前に言わないで!)
頷くヒロタカ
ということは…
ぷっつん
「う…うにゃあぁぁぁぁ!」
「え?…わあぁぁっ!?」
すっぽーん!とベッドから跳ね飛び、座っていたヒロタカを押し倒す
汗をヒロタカの胸に垂らしながら、四つん這いになる
「いいんだね!?いいんだね!?」
「は、は、はい!」
ヒロタカがうろたえている
そんな彼の唇を
「んんっ!」
強引に奪った
暴れ狂うホルスタウロスの舌に、人間の子供の口が敵うはずもなく、容易く侵入を許してしまう
お互いの、というより、ハツネの舌が一方的にヒロタカの口内を凌辱した
既に断裂した理性はそのまま本能の出口となった
この雄と交尾したい…雌の本能が
「ひー君っ!ひー君っ!」
わけもわからず恋人の名を呼ぶ
一回りも小さい体を下敷きにして
「はあっ…はあっ…ハツネ…さ…」
ハツネの右手が、カチャカチャとズボンのベルトを外す
硬いデニムの下で窮屈そうにしていた男性が、ボクサーパンツに染みを作っていた
そのパンツも即座に取り払われ、あられもない姿が挨拶をした
「お、おち○ち○…ひー君の…」
もぞもぞ、と変な動きで退き、ちょうど目の前に男性が来る体勢になった
まじまじと見つめ、まるで品定めをするかのように視線を送る
まだウブな皮被りの男性…
「これぇ…これをぉ…」
舌を突きだし、はー、はー、と湿っぽい息を吐きながら、涎まみれの口を男性に近づけた
そこからいくらも数えないうちに
ぱくり
「ぎぃっ!は、ハツネ…ひうっ!」
する方もされる方も生まれて初めてのフェラチオ
しかし、少なくともハツネは野性的に、むさぼるようにヒロタカを弄る
舌で穴の先端をほじくったり、周りの包皮と本体の間に舌をねじ込み、強制的に包茎を解消したり
卑猥な水音と共に、頭を大きく前後に振り、快楽を引っ張り出そうとする
「は、ハツネさんっ!もう…無理っ…」
「ふ?…うぇうっ!?」
男性の先端がぷくりと膨らんだと思うと、ダムが決壊したかのように、苦い液体が放出された
何段階かに分けて放たれた精液は、ハツネの喉を犯しながら、彼女の体の奥深くへと染み込んでいく
…はずだったが、未体験のせいが多分にあったのだろう
大きく咳き込み、吐き出してしまった
「えほっ!けほっ!…あ…ひー君のえっち汁…勿体ない…」
飲みきれなかったにも関わらず、ハツネの舌は、一瞬味わった苦味と興奮を求めて、毛が薄いの男性周辺をなめ回した
それが、必要不可欠なものであるかのように
「んふぅ…おいしい…ちょっと苦いかもだけど…」
妙な匂いを伴った息を吐き、恍惚な表情を浮かべる
しかし、満足はしない
「次はおっぱいで…ん、しょっと…してあげるね…」
巨大な胸を、彼の腰に乗せるように動かしたが、返事がない
見ると、快楽の最中の射精で、言葉を失っているようだった
その根源である目の前の肉棒はなおも反り返っているので、続行は可能だ
それが、今のハツネにとって十分な返事に思えた
「そぉれ、ぐにぐに〜」
男根を挟んだ胸を、両サイドから手で以てくねらせる
重量のわりに柔らかい肉は、その中心にある棒を包み込むように様々に形を変える
ぐちぐち、と、涎や射精による水分が卑猥に響き、行為者の耳を刺激する
「はぁっ、はぁっ…ひー君、聞こえる…?ひー君のおち○ち○が私のおっぱいに食べられちゃってる音…」
「は…ひぃっ!」
肯定か、はたまた単なる喘ぎ声か
そんなことはどうでもいい
重要なのは、今…
ハツネの胸の中で、たぎる精液を放出したことだ
「んんっ!…ま、また出たぁ…ひー君が気持ちよくなってくれたぁ…」
それだけが嬉しくて
ハツネの興奮を、行為の続行を、後押しする
「…も、もう我慢できない…」
ハツネは体を起こしたかと思うと、まるで水の中に放り込んだようにグショグショのパンツを脱ぎ捨て、すぐにヒロタカの頭の脇に手を突いた
ヒロタカの視界で、精液まみれの胸が弾んだ
瞬間、下の半身を掴まれた
すりすり、と何か湿っぽいものに先端を這わせるように誘導され、それだけでまた射精してしまった
「あんっ!…や、やだっ、まだダメだよぉ…」
ハツネが何に焦っているのか
半分ふやけた頭でもよくわかる
「よかった…まだ硬い…これなら入るよね…」
何かを探り当て、狭い入り口を押し開く
ゆっくり、ゆっくりと、腰が温かさに飲み込まれていく
細かい痙攣を起こしたが、射精には至らない
その度に、ハツネも息を一瞬止めたが、その先を早く味わいたいようだった
そして、先端が何か張りのある物に触れ、その侵攻を止めた
「きゃうっ!?…あ…ここ…一番奥…?」
ハツネが自己完結しようとした時
ヒロタカの手がハツネの腰を掴み
「…え」
一気に引き付けた
ぶちぃっ
「あがっ…!…………あ…………」
短い悲鳴を残し、ハツネは意識を失った
だが、直後の激痛に、即座に覚醒した
「いぁあああああ!痛い!いっ…!た…ぁっ!」
経験の無い痛み
まるで、ナイフをねじ込んで、捻られたような感覚
形容が難しい感覚を体験しながら、今のが『初めての痛み』だということを理解した
彼女の股間からは赤黒い液体がヒロタカの肉棒を伝わるように垂れてきたが、それは視界の外であったため、この時二人が気づくことはなかった
「ひー、君…痛い…よぉ…」
せめて、せめて恋人に訴えることで、この痛みをまぎらわそうと思ったのだが
「ハツネさん…ハツネぇっ」
ヒロタカも、理性が吹き飛んでいた
腰を掴んだままの手で、彼女を持ち上げては引き落とし、持上げては引き落とし、を繰り返す
「いふぁっ!いっ…あぁっ!…きゅうんっ!」
もはや言葉ではなくなった声が、ヒロタカの本能をさらに尖らせた
手の動きが早くなり、いつの間にか快楽に変わっていた痛みが、段階を踏むように最高潮へとかけ上がる
「ハツネっ!出るっ!」
もう、言葉を理解することもない
ぐちゃぐちゃになった頭の中は、ただそれを求める
「らひてっ!ひーきゅんのえっちぢるぅ!わたひのいちばんおくでぇっ!」
「うっ!ぐっ…あぁぁぁっ!」
ドクゥッ!ドクッ!
「ひぎぃっ!い、イクっ!すごいにょぉ!すごいにょ…あぁぁぁっ!」
爆発した
そう言わずして、どう解釈出来よう
ハツネの体内で膨張した肉棒は、この雌を我が物にしようと、ありったけの一撃を撃ち込んだ
愛する雌の中に、自分の愛を
刻み込むために
────────────
事後
二人は精液と愛液で変な質感になった床から離れ、ベッドで並んで寝ていた
「…あ、あの…」
「…なんですか?」
天井を見つめる全裸の二人
「…ごめんなさい…」
ハツネが謝った
「…どうしてです?」
対するヒロタカは冷めた反応だ
いや、冷えたと言えば、ハツネの頭もだ
発情期を解消し、すっかりいつもの思考回路に
「…いきなり、襲いかかっちゃって…」
なるわけない
理性が無かったとはいえ、激しい行為をした記憶は残っているのだ
「…僕がお願いしたんですから、いいんです」
「…でも…」
「それに」
突然、自分に視線を向けられ、ハツネの心臓が跳ねた
「ハツネさんと、もっと深い関係になれて、よかったです」
「…うん、私も…嬉しい」
きゅ、と手を繋ぎ、横になりながら、キスをした
優しい、軽いキス
大好きな人とのキス
「…でも、出来れば」
キスの直後の近距離で、ヒロタカは顔を赤らめた
「今度は発情期じゃなくても…ハツネさんとえっちがしたいです」
「そうだね、…じゃあ」
また、キスされた
そして、ニコリと笑った
「今、しちゃう…?」
おしまい
13/02/08 14:25更新 / フルジフォン