久しぶりの任務
俺の名前はイクス、イクスハルト・キドナ。
主神と呼ばれる存在を崇める教団で、かつては勇者となるべく教育を受けた男だが、その言動があまりにも常識的ではないため、勇者候補としてではなく単に騎士として育てられた。
「…げ、イクスも居るじゃねーか」
「あんなキチガイが一緒かよ…クソ、この任務は断っときゃよかったぜ」
「あーあ、またイクスの尻拭いをさせられんのかねぇ」
「ったく、何であんなヤツがまだ騎士として在籍してるんだよ…とっとと左遷でもされちまえばいいのに」
今日は久しぶりの任務で呼び出され、朝からこうして騎士団の集会場に来たわけだが、お聞きの通り俺の評価はこんな感じだ。
入団当初は実力を偽っていたせいで、アホ・バカ・カス・マヌケ・ヘタレなどの罵詈雑言に始まり、実力を露見させ始めてからはキチガイだ異端だなんてセリフもより取り見取り。
どれも流石に聞き飽きているレベルだが。
「………」
よって、聞き飽きたが故に反応も反論もしない。
すればするだけ調子に乗らせるばかりだし、経験上…調子に乗せたところでいい事なんて何一つないからだ。
「見ろよ、こんなところに卑怯者のバケモンがいるぜ」
「……」
「おい、てめぇに言ってんだよイクス。何シカトこいてんだよ、さっさとコッチ見ろや!」
口汚く突っかかってくる男を前に、俺はそれまで閉じていた目を薄く開き、思った事を告げる。
「……団長の話が始まるぞ。俺なんかほっといて前を見たらどうだ? こんなバケモノなんかほっといてよ」
「ンだとてめぇ!」
俺をバケモノ呼ばわりしたのはお前だろう?
だから俺みたいなバケモノは放っておけと諭したら逆上し、腰に佩いた剣の柄に手を伸ばす同僚…のようなもの。
便宜上は同僚だが、俺は同僚と思っていない…いや、それは相手も同じか。
ともかくこればっかりはどうしようもない。
何せ俺とコイツは…いや、教団所属の騎士とは、思想の原点からして全く逆だし、コイツに至っては騎士団に入って以来ずっとこんな調子で、人の話をろくすっぽ聞かない困ったヤツだ。
当然だが俺としてはイライラする一方で、叶うのであればブン殴ってやりたいところだが、俺がコイツをブン殴ると、最低でも複雑骨折の重傷を負わせ、最悪は死に至らせてしまう。
勇者候補だっただけあって、素の腕力はコイツより…いや、本気を出せば騎士団内でもトップクラスなのだ、俺という存在は。
ましてやここ…騎士団の集会所で撲殺事件など起こせば絞首刑は免れないし、絞首刑だけではなく故郷の家族に迷惑がかかる。
俺はまだ死にたくない。
まだと言うよりはこんなところで死にたくない。
同じ死ぬならそう…やはり故郷で死にたい。
故郷で嫁さんを見つけ、幸せな家庭を築き、女房を看取るか女房に看取られるかして、眠るように穏やかに安らかに死にたい。
…なぜ故郷にこだわるかと言えば、俺は今から10年前、親の使いで街まで買い物に行った帰り道、故郷が目と鼻の先という距離で教団の勧誘(と言う名の拉致)を受け、家族と別れを告げる間もなく故郷を去ることになった。
実家の事情もあって、その頃すでに読み書き計算が出来たし、持ち前の腕力と家族直伝の魔法が使えた俺は、教団へ入団した直後から勇者候補として英才教育…実質は拷問に近い生活を強いられ、血反吐を吐きながらも5年を過ごした訳だが…転機は突然訪れた。
教団騎士として、または勇者としての最初の任務…魔物の浄化を謳った侵攻作戦において、俺は故郷の近くを通る事になった俺は、哨戒任務をこなすついでにごくわずかな時間ではあるが、故郷へ戻る事に成功したのだ。
余談ではあるが、5年ぶりとなった家族との再会は、驚きの連続であった事も言っておこう。
というのも最初に再会したのは実の母なのだが、記憶にある姿とは大きく違っていて…
『イクス!? イクスなの!?』
『母さん!? って…その頭の角と尖った耳、腰の翼と尻尾は何?』
そう、母は頭に捩じれた太い角を生やし、耳は三角形に尖り、極めつけは腰から黒い翼と、先端がハート状になって尻尾が生えていたのだ。
話を聞けば母は、俺は無事だと信じて疑っておらず、辛抱強く待てば絶対に俺から連絡があると思っていたらしい。
ところが母は人間であるため、同じ待つにしても種族的な寿命の問題で80年前後しか待つ事が出来ず、しかしながら子の…俺からの連絡があるまでは絶対に死ねないと考え、父と相談した結果、知り合いのサキュバスに頼んで自らを魔物化し、人間を辞める事で長寿命を得て、俺を待ち続ける事にしたそうだ。
『これでも去年まではレッサーサキュバスだったのよ?』
『つまり今はレッサーサキュバスではない、と?』
『ええ、今は正真正銘のサキュバスなの。どう? お母さんの体、興奮する?』
言って実の息子を誘惑するが如く、妖艶なポーズを取った母は、直後に父に頭をはたかれていた。
そしてなし崩し的に再会した父もまた、母と共に俺を待つために人間を辞めており、種族としてはインキュバスになっていたのだ。
とまぁこんな感じで家族との再会を果たした俺は、現状の説明と同時に改めて親魔物であり続ける事を固く誓い、不定期にはなるが手紙を送ると約束して任務に戻った。
もちろんこの時の侵攻作戦は両親に協力してもらい、先に住民全員に故郷の村から財産を持って逃げてもらい、無人となった村を攻め落とす事で達成とさせてもらった。
…話が逸れた。
「揃ってるか? よし、ではこれより今回の征伐任務について説明を行う」
「…団長のお出ましだぞ。後で訓練を倍にされたくなかったら前を向いてろ」
「…ケッ!」
団長は今年で55になる壮年の男だが、団長と言う肩書きは伊達ではなく、その剣の腕前は教団内トップ3に入る実力者。
正義感が強くて情に厚いのだが、同時に凄まじいまでの石頭で、しかも筋金入りの主神教信者でもあるため、俺のような異端者にとっては正直言って目の上のコブと言える。
「今回の任務はここから東にある森の先、ミルディアと呼ばれる街を浄化する事が主目的となる」
「浄化作戦ですか!」
「やった! 胸が躍る!」
「………」
団長が告げた任務内容に、居合わせた同僚たちは口々に歓喜の言葉を発するが、俺としてはやりきれない気持ちでいっぱいだった。
ミルディアと言えば森の先にある、小ぢんまりとした規模の街で、住民はみな気さくで親しみやすく、俺みたいな騎士であっても平等に接してくれる。
そんな街を浄化…つまり壊滅させるのが今回の任務だと団長は言う。
教団側の主観でいえば当然か。
あそこは故郷と同じで親魔物領…つまり、教団が悪と断ずる魔物娘を等しく民と扱い、魔物娘によって他の魔物娘が増えたり、男がインキュバス化するのを祝福する異端の地なのだから。
「さて、部隊配置だが…例によって斥候はイクス、お前が行け。先行して街の様子を調査し、後続の浄化部隊に報告せよ」
「分かりました」
とは言えここでイヤだと言えば、それこそ妻を看取るだ看取られるだなんて夢は叶わず、それどころか団長を含んだコイツらにボコボコにされるだけ。
だが今回の任務はまだ救いようがある…何せ俺は斥候、先んじて現地入り出来る重要な役割だ。
かつて故郷の浄化を誤魔化したように。
「浄化部隊はロイド、ヘンリー、ジョン、レガス、それにミシェル。そしてリオ様にもご同行いただきます」
「………チッ」
団長が告げた作戦のメンバーを聞いて、俺はごく小さくではあるが舌打ちをしてしまった。
ロイドはさっき俺を『バケモノ』と詰め寄り、諭されて逆上した騎士。
貴族の嫡男らしく、自分のやってる事はどれも正しいと思っており、俺に対し事ある毎にいちゃもんをつけてくる。
ヘンリーは馬兵隊出身の長槍使いで、ロイドの腰ぎんちゃく。
ロイドが黒いと言えば白いものも黒く見る主義で、ロイドの実家の分家の嫡男だそうだ。
ジョンは怪力を誇る戦鎚(バトルハンマー)使いの騎士。
本人曰く難しい事は分からないそうで、戦いになっても正面から力任せに殴ることしかできないらしい。
元々は農民だったが、その怪力を認められて騎士団に入った。
単純で舌足らず。
もちろん見上げるほどの大男。
レガスはジョンの幼馴染。
華奢な体格をした茶髪の優男だが、弓の扱いは相当上手い。
突撃しかしないジョンを補佐する為に弓を使うそうだが、本来の適性は頭脳戦にあり、チェスやトランプでは無類の強さを誇る。
故郷に結婚を誓った恋人がいるそうだが?
ミシェルは教団に派遣されているシスターで、同行した仲間の治療やメンタルケアを担う女性。
シスターだけあって主神教信者としては模範的存在であり、任務が無い日は教会で主神教の普及に力を尽くし、熱弁を繰り広げる金髪碧眼の美女。
実のところ俺が最も苦手とする人物でもある。
スレンダー体型で、胸は薄いがあるにはある、といった具合。
もっぱら主神からのお告げを伝える事が主たる存在意義だが、一度戦闘になれば契約している光精霊の力で光球を作り出し、敵対者を薙ぎ払う攻撃的な一面も持っている。
リオは『ヴァルキリー』という、神々に仕えるとされる天界の女戦士であり、その通り純然たる人間はない。
体格は見た感じ、出るとこ出て引っ込むところは引っ込んだ肉感的な女性だが、神族という種族に男女概念があるかどうか不明なので、性別は未詳。
…女性の外見を持ち、しかしながら人間ではないのなら、それこそ魔物娘であるとしてもいいのだが、彼女は生憎と神族であるとの分類がされており、魔物娘と同一視などしては命に係わる。
聞くところによれば快楽に溺れて堕天した『ダークヴァルキリー』という魔物娘がいるそうだが…
「……以上5人とイクス、そしてリオ様を加えた7人を今回の浄化作戦における部隊長とする。出発は5日後、夜明けとともに行う予定だ…質問のある者はいるか? 居ないな? では解散!」
…さて、どうしたもんかね。
心の中でそう呟き、俺は集会場を抜け出した。
主神と呼ばれる存在を崇める教団で、かつては勇者となるべく教育を受けた男だが、その言動があまりにも常識的ではないため、勇者候補としてではなく単に騎士として育てられた。
「…げ、イクスも居るじゃねーか」
「あんなキチガイが一緒かよ…クソ、この任務は断っときゃよかったぜ」
「あーあ、またイクスの尻拭いをさせられんのかねぇ」
「ったく、何であんなヤツがまだ騎士として在籍してるんだよ…とっとと左遷でもされちまえばいいのに」
今日は久しぶりの任務で呼び出され、朝からこうして騎士団の集会場に来たわけだが、お聞きの通り俺の評価はこんな感じだ。
入団当初は実力を偽っていたせいで、アホ・バカ・カス・マヌケ・ヘタレなどの罵詈雑言に始まり、実力を露見させ始めてからはキチガイだ異端だなんてセリフもより取り見取り。
どれも流石に聞き飽きているレベルだが。
「………」
よって、聞き飽きたが故に反応も反論もしない。
すればするだけ調子に乗らせるばかりだし、経験上…調子に乗せたところでいい事なんて何一つないからだ。
「見ろよ、こんなところに卑怯者のバケモンがいるぜ」
「……」
「おい、てめぇに言ってんだよイクス。何シカトこいてんだよ、さっさとコッチ見ろや!」
口汚く突っかかってくる男を前に、俺はそれまで閉じていた目を薄く開き、思った事を告げる。
「……団長の話が始まるぞ。俺なんかほっといて前を見たらどうだ? こんなバケモノなんかほっといてよ」
「ンだとてめぇ!」
俺をバケモノ呼ばわりしたのはお前だろう?
だから俺みたいなバケモノは放っておけと諭したら逆上し、腰に佩いた剣の柄に手を伸ばす同僚…のようなもの。
便宜上は同僚だが、俺は同僚と思っていない…いや、それは相手も同じか。
ともかくこればっかりはどうしようもない。
何せ俺とコイツは…いや、教団所属の騎士とは、思想の原点からして全く逆だし、コイツに至っては騎士団に入って以来ずっとこんな調子で、人の話をろくすっぽ聞かない困ったヤツだ。
当然だが俺としてはイライラする一方で、叶うのであればブン殴ってやりたいところだが、俺がコイツをブン殴ると、最低でも複雑骨折の重傷を負わせ、最悪は死に至らせてしまう。
勇者候補だっただけあって、素の腕力はコイツより…いや、本気を出せば騎士団内でもトップクラスなのだ、俺という存在は。
ましてやここ…騎士団の集会所で撲殺事件など起こせば絞首刑は免れないし、絞首刑だけではなく故郷の家族に迷惑がかかる。
俺はまだ死にたくない。
まだと言うよりはこんなところで死にたくない。
同じ死ぬならそう…やはり故郷で死にたい。
故郷で嫁さんを見つけ、幸せな家庭を築き、女房を看取るか女房に看取られるかして、眠るように穏やかに安らかに死にたい。
…なぜ故郷にこだわるかと言えば、俺は今から10年前、親の使いで街まで買い物に行った帰り道、故郷が目と鼻の先という距離で教団の勧誘(と言う名の拉致)を受け、家族と別れを告げる間もなく故郷を去ることになった。
実家の事情もあって、その頃すでに読み書き計算が出来たし、持ち前の腕力と家族直伝の魔法が使えた俺は、教団へ入団した直後から勇者候補として英才教育…実質は拷問に近い生活を強いられ、血反吐を吐きながらも5年を過ごした訳だが…転機は突然訪れた。
教団騎士として、または勇者としての最初の任務…魔物の浄化を謳った侵攻作戦において、俺は故郷の近くを通る事になった俺は、哨戒任務をこなすついでにごくわずかな時間ではあるが、故郷へ戻る事に成功したのだ。
余談ではあるが、5年ぶりとなった家族との再会は、驚きの連続であった事も言っておこう。
というのも最初に再会したのは実の母なのだが、記憶にある姿とは大きく違っていて…
『イクス!? イクスなの!?』
『母さん!? って…その頭の角と尖った耳、腰の翼と尻尾は何?』
そう、母は頭に捩じれた太い角を生やし、耳は三角形に尖り、極めつけは腰から黒い翼と、先端がハート状になって尻尾が生えていたのだ。
話を聞けば母は、俺は無事だと信じて疑っておらず、辛抱強く待てば絶対に俺から連絡があると思っていたらしい。
ところが母は人間であるため、同じ待つにしても種族的な寿命の問題で80年前後しか待つ事が出来ず、しかしながら子の…俺からの連絡があるまでは絶対に死ねないと考え、父と相談した結果、知り合いのサキュバスに頼んで自らを魔物化し、人間を辞める事で長寿命を得て、俺を待ち続ける事にしたそうだ。
『これでも去年まではレッサーサキュバスだったのよ?』
『つまり今はレッサーサキュバスではない、と?』
『ええ、今は正真正銘のサキュバスなの。どう? お母さんの体、興奮する?』
言って実の息子を誘惑するが如く、妖艶なポーズを取った母は、直後に父に頭をはたかれていた。
そしてなし崩し的に再会した父もまた、母と共に俺を待つために人間を辞めており、種族としてはインキュバスになっていたのだ。
とまぁこんな感じで家族との再会を果たした俺は、現状の説明と同時に改めて親魔物であり続ける事を固く誓い、不定期にはなるが手紙を送ると約束して任務に戻った。
もちろんこの時の侵攻作戦は両親に協力してもらい、先に住民全員に故郷の村から財産を持って逃げてもらい、無人となった村を攻め落とす事で達成とさせてもらった。
…話が逸れた。
「揃ってるか? よし、ではこれより今回の征伐任務について説明を行う」
「…団長のお出ましだぞ。後で訓練を倍にされたくなかったら前を向いてろ」
「…ケッ!」
団長は今年で55になる壮年の男だが、団長と言う肩書きは伊達ではなく、その剣の腕前は教団内トップ3に入る実力者。
正義感が強くて情に厚いのだが、同時に凄まじいまでの石頭で、しかも筋金入りの主神教信者でもあるため、俺のような異端者にとっては正直言って目の上のコブと言える。
「今回の任務はここから東にある森の先、ミルディアと呼ばれる街を浄化する事が主目的となる」
「浄化作戦ですか!」
「やった! 胸が躍る!」
「………」
団長が告げた任務内容に、居合わせた同僚たちは口々に歓喜の言葉を発するが、俺としてはやりきれない気持ちでいっぱいだった。
ミルディアと言えば森の先にある、小ぢんまりとした規模の街で、住民はみな気さくで親しみやすく、俺みたいな騎士であっても平等に接してくれる。
そんな街を浄化…つまり壊滅させるのが今回の任務だと団長は言う。
教団側の主観でいえば当然か。
あそこは故郷と同じで親魔物領…つまり、教団が悪と断ずる魔物娘を等しく民と扱い、魔物娘によって他の魔物娘が増えたり、男がインキュバス化するのを祝福する異端の地なのだから。
「さて、部隊配置だが…例によって斥候はイクス、お前が行け。先行して街の様子を調査し、後続の浄化部隊に報告せよ」
「分かりました」
とは言えここでイヤだと言えば、それこそ妻を看取るだ看取られるだなんて夢は叶わず、それどころか団長を含んだコイツらにボコボコにされるだけ。
だが今回の任務はまだ救いようがある…何せ俺は斥候、先んじて現地入り出来る重要な役割だ。
かつて故郷の浄化を誤魔化したように。
「浄化部隊はロイド、ヘンリー、ジョン、レガス、それにミシェル。そしてリオ様にもご同行いただきます」
「………チッ」
団長が告げた作戦のメンバーを聞いて、俺はごく小さくではあるが舌打ちをしてしまった。
ロイドはさっき俺を『バケモノ』と詰め寄り、諭されて逆上した騎士。
貴族の嫡男らしく、自分のやってる事はどれも正しいと思っており、俺に対し事ある毎にいちゃもんをつけてくる。
ヘンリーは馬兵隊出身の長槍使いで、ロイドの腰ぎんちゃく。
ロイドが黒いと言えば白いものも黒く見る主義で、ロイドの実家の分家の嫡男だそうだ。
ジョンは怪力を誇る戦鎚(バトルハンマー)使いの騎士。
本人曰く難しい事は分からないそうで、戦いになっても正面から力任せに殴ることしかできないらしい。
元々は農民だったが、その怪力を認められて騎士団に入った。
単純で舌足らず。
もちろん見上げるほどの大男。
レガスはジョンの幼馴染。
華奢な体格をした茶髪の優男だが、弓の扱いは相当上手い。
突撃しかしないジョンを補佐する為に弓を使うそうだが、本来の適性は頭脳戦にあり、チェスやトランプでは無類の強さを誇る。
故郷に結婚を誓った恋人がいるそうだが?
ミシェルは教団に派遣されているシスターで、同行した仲間の治療やメンタルケアを担う女性。
シスターだけあって主神教信者としては模範的存在であり、任務が無い日は教会で主神教の普及に力を尽くし、熱弁を繰り広げる金髪碧眼の美女。
実のところ俺が最も苦手とする人物でもある。
スレンダー体型で、胸は薄いがあるにはある、といった具合。
もっぱら主神からのお告げを伝える事が主たる存在意義だが、一度戦闘になれば契約している光精霊の力で光球を作り出し、敵対者を薙ぎ払う攻撃的な一面も持っている。
リオは『ヴァルキリー』という、神々に仕えるとされる天界の女戦士であり、その通り純然たる人間はない。
体格は見た感じ、出るとこ出て引っ込むところは引っ込んだ肉感的な女性だが、神族という種族に男女概念があるかどうか不明なので、性別は未詳。
…女性の外見を持ち、しかしながら人間ではないのなら、それこそ魔物娘であるとしてもいいのだが、彼女は生憎と神族であるとの分類がされており、魔物娘と同一視などしては命に係わる。
聞くところによれば快楽に溺れて堕天した『ダークヴァルキリー』という魔物娘がいるそうだが…
「……以上5人とイクス、そしてリオ様を加えた7人を今回の浄化作戦における部隊長とする。出発は5日後、夜明けとともに行う予定だ…質問のある者はいるか? 居ないな? では解散!」
…さて、どうしたもんかね。
心の中でそう呟き、俺は集会場を抜け出した。
15/06/20 20:48更新 / イグニス
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